霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第42巻(巳の巻)
序文に代へて
総説に代へて
第1篇 波瀾重畳
第1章 北光照暗
第2章 馬上歌
第3章 山嵐
第4章 下り坂
第2篇 恋海慕湖
第5章 恋の罠
第6章 野人の夢
第7章 女武者
第8章 乱舌
第9章 狐狸窟
第3篇 意変心外
第10章 墓場の怪
第11章 河底の怪
第12章 心の色々
第13章 揶揄
第14章 吃驚
第4篇 怨月恨霜
第15章 帰城
第16章 失恋会議
第17章 酒月
第18章 酊苑
第19章 野襲
第5篇 出風陣雅
第20章 入那立
第21章 応酬歌
第22章 別離の歌
第23章 竜山別
第24章 出陣歌
第25章 惜別歌
第26章 宣直歌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第42巻(巳の巻)
> 第3篇 意変心外 > 第10章 墓場の怪
<<< 狐狸窟
(B)
(N)
河底の怪 >>>
第一〇章
墓場
(
はかば
)
の
怪
(
くわい
)
〔一一三五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
篇:
第3篇 意変心外
よみ(新仮名遣い):
いへんしんがい
章:
第10章 墓場の怪
よみ(新仮名遣い):
はかばのかい
通し章番号:
1135
口述日:
1922(大正11)年11月15日(旧09月27日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月1日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
右守はいい機嫌で歌を歌いながら城への道を歩いていると、セーリス姫と白狐におどかされて逃げてきたユーフテスに突き当てられ、道の真ん中に倒れてしまった。
カールチンは怒って怒鳴りつけた。ユーフテスはこの声に、突き当たったのが右守であることを覚った。ユーフテスは白狐におどかされて意味のわからないことを右守に報告している。
カールチンはユーフテスが肘鉄を食わされたのだろうと意にも留めずに城に行こうとするのを、しがみついて止めた。とうとう止めきれずに手を放したとたんに、カールチンは勢い余って小栗の森に飛び込んだ。
この森にはイルナの城に仕えて居た先祖の墓があった。カールチンは石塔に頭を打って倒れてしまった。
気が付くと、あたりは夕闇となっていた。カールチンは石塔の後ろから狸に話しかけられ、追い払った。
やがて提灯をともしたヤスダラ姫が、小栗の森の墓場の道をやってくるのが見えた。カールチンは、大きな眼をした古狸ことをヤスダラ姫に話した。
ヤスダラ姫はこんな眼か、と大声を出した。カールチンが見ると、ヤスダラ姫の口は耳まで裂け、蛇の目傘のような目をむいていた。カールチンは驚いて闇の道をイルナの城門さして逃げていく。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-23 14:16:51
OBC :
rm4210
愛善世界社版:
133頁
八幡書店版:
第7輯 690頁
修補版:
校定版:
137頁
普及版:
55頁
初版:
ページ備考:
001
カールチン
『イルナの
都
(
みやこ
)
に
名
(
な
)
も
高
(
たか
)
き
002
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へたる
003
吾
(
われ
)
は
賢
(
かしこ
)
きカールチン
004
千思
(
せんし
)
万慮
(
ばんりよ
)
の
其
(
その
)
結果
(
けつくわ
)
005
バラモン
教
(
けう
)
の
大棟梁
(
だいとうりやう
)
006
大黒主
(
おほくろぬし
)
のお
見出
(
みだ
)
しに
007
預
(
あづ
)
かりまして
今
(
いま
)
ははや
008
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
を
尊
(
たふと
)
しと
009
思
(
おも
)
うた
事
(
こと
)
も
夢
(
ゆめ
)
となり
010
左守
(
さもり
)
や
右守
(
うもり
)
を
使
(
つか
)
ふ
身
(
み
)
の
011
イルナの
都
(
みやこ
)
の
刹帝利
(
せつていり
)
012
セーラン
王
(
わう
)
の
後
(
あと
)
を
継
(
つ
)
ぎ
013
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
るも
目
(
ま
)
のあたり
014
うれしき
事
(
こと
)
が
重
(
かさ
)
なれば
015
よくも
重
(
かさ
)
なるものだなア
016
天女
(
てんによ
)
を
欺
(
あざむ
)
く
美貌
(
びばう
)
持
(
も
)
ち
017
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
慕
(
した
)
はれて
018
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず
顔
(
かほ
)
の
皺
(
しわ
)
019
俄
(
にはか
)
にのびて
来
(
き
)
たやうだ
020
文珠
(
もんじゆ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
の
再来
(
さいらい
)
か
021
曾富戸
(
そほど
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
か
022
何
(
なん
)
だか
知
(
し
)
らぬが
俺
(
おれ
)
は
又
(
また
)
023
尊
(
たふと
)
き
知識
(
ちしき
)
があるだらう
024
古
(
ふる
)
くなつたるテーナ
姫
(
ひめ
)
025
どうしてやろかと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
026
思案
(
しあん
)
なげ
首
(
くび
)
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
き
027
困
(
こま
)
りぬいたる
折
(
をり
)
もあれ
028
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
忠告
(
ちうこく
)
に
029
渡
(
わた
)
りに
船
(
ふね
)
と
喜
(
よろこ
)
んで
030
テーナの
姫
(
ひめ
)
に
遥々
(
はるばる
)
と
031
軍
(
いくさ
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
遠国
(
ゑんごく
)
に
032
出陣
(
しゆつぢん
)
せよと
命
(
めい
)
ずれば
033
天下
(
てんか
)
に
武名
(
ぶめい
)
を
現
(
あら
)
はして
034
イルナの
花
(
はな
)
と
謳
(
うた
)
はれむ
035
あゝ
面白
(
おもしろ
)
しと
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
036
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
嬉
(
うれ
)
しけれ
037
定
(
さだ
)
めしテーナは
途中
(
とちう
)
にて
038
敵
(
てき
)
の
軍勢
(
ぐんぜい
)
に
出会
(
でつくは
)
し
039
奮戦
(
ふんせん
)
苦闘
(
くとう
)
の
其
(
その
)
結果
(
けつくわ
)
040
必
(
かなら
)
ず
討死
(
うちじに
)
するだらう
041
さうなりや
俺
(
おれ
)
の
活舞台
(
くわつぶたい
)
042
これから
自由
(
じいう
)
に
開
(
ひら
)
け
往
(
ゆ
)
く
043
畳
(
たたみ
)
の
古
(
ふる
)
くなつたのと
044
居宅
(
きよたく
)
が
焼
(
や
)
けて
女房
(
にようばう
)
が
045
死
(
し
)
んだのは
泣
(
な
)
き
泣
(
な
)
き
新
(
あたら
)
しく
046
なるものなりと
聞
(
き
)
く
上
(
うへ
)
は
047
ほんに
嬉
(
うれ
)
しい
俺
(
わし
)
の
胸
(
むね
)
048
もはや
女房
(
にようばう
)
に
対
(
たい
)
しては
049
絶対
(
ぜつたい
)
気兼
(
きがね
)
はいるまいぞ
050
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
051
梵天
(
ぼんてん
)
帝釈
(
たいしやく
)
自在天
(
じざいてん
)
052
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
目
(
め
)
に
叶
(
かな
)
うたか
053
よい
事
(
こと
)
ばかりが
続々
(
ぞくぞく
)
と
054
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
襲
(
おそ
)
うて
来
(
き
)
たやうだ
055
それはさておき
今頃
(
いまごろ
)
は
056
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
首
(
くび
)
のばし
057
カールチンさまはなぜ
遅
(
おそ
)
い
058
心
(
こころ
)
変
(
かは
)
つたのぢやあるまいか
059
何
(
なん
)
とはなしに
気
(
き
)
がもめる
060
一時
(
いつとき
)
さへも
千秋
(
せんしう
)
の
061
思
(
おも
)
ひがすると
首
(
くび
)
のばし
062
案
(
あん
)
じて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
るだらう
063
エヘヽヽヘツヘ エヘヽヽヽ
064
イヒヽヽヒツヒイあゝぼろい
065
年
(
とし
)
をとつたと
思
(
おも
)
へども
066
惚
(
ほ
)
れた
女
(
をんな
)
の
眼
(
まなこ
)
より
067
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
や
若
(
わか
)
く
見
(
み
)
えるのか
068
ほんに
合点
(
がてん
)
のゆかぬ
事
(
こと
)
069
さはさりながらカールチン
070
色
(
いろ
)
は
黒
(
くろ
)
ても
跛
(
びつこ
)
でも
071
惚
(
ほ
)
れた
弱身
(
よわみ
)
の
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
072
心
(
こころ
)
にうつるは
天教
(
てんけう
)
の
073
山
(
やま
)
に
在
(
ま
)
します
日
(
ひ
)
の
出別
(
でわけ
)
074
司
(
つかさ
)
の
如
(
ごと
)
くに
見
(
み
)
えるだらう
075
俺
(
おれ
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り
女
(
をんな
)
等
(
ら
)
に
076
もてる
男
(
をとこ
)
に
違
(
ちが
)
ひない
077
エヘヽヽヘヽヽヽエヘヽヽヽ
078
涎
(
よだれ
)
の
奴
(
やつ
)
めが
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
079
俺
(
おれ
)
に
許
(
ゆる
)
しもうけぬ
間
(
ま
)
に
080
勝手
(
かつて
)
気儘
(
きまま
)
に
流
(
なが
)
れよる
081
アハヽヽヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
082
此奴
(
こいつ
)
また
偉
(
えら
)
いエラしこぢや
083
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
も
恋路
(
こひぢ
)
には
084
話
(
はなし
)
にならぬ
呆
(
とぼ
)
け
方
(
かた
)
085
嘸
(
さぞ
)
や
他人
(
たにん
)
が
見
(
み
)
たならば
086
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
すだらうと
思
(
おも
)
へども
087
そこがかはつた
恋
(
こひ
)
の
路
(
みち
)
088
唐変木
(
たうへんぼく
)
には
分
(
わか
)
らない
089
アイタヽタツタ
躓
(
つまづ
)
いた
090
誰
(
たれ
)
だか
知
(
し
)
らぬがスタスタと
091
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
からやつて
来
(
く
)
る
092
もうよい
加減
(
かげん
)
に
切
(
き
)
り
上
(
あ
)
げて
093
惚
(
のろ
)
けの
歌
(
うた
)
はやめようか
094
勿体
(
もつたい
)
なやと
思
(
おも
)
へども
095
心猿
(
しんゑん
)
意馬
(
いば
)
奴
(
め
)
が
狂
(
くる
)
ひたち
096
中々
(
なかなか
)
容易
(
ようい
)
にや
納
(
をさ
)
まらぬ
097
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
事
(
こと
)
思
(
おも
)
や
098
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らずドシドシと
099
自然
(
しぜん
)
に
足
(
あし
)
が
早
(
はや
)
くなる
100
女
(
をんな
)
の
力
(
ちから
)
と
云
(
い
)
ふやつは
101
ほんとに
偉
(
えら
)
いものだなア
102
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
る
右守
(
うもり
)
さへ
103
涼
(
すず
)
しい
目玉
(
めだま
)
をさしむけて
104
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
翻弄
(
ほんろう
)
し
105
中々
(
なかなか
)
苦労
(
くらう
)
をかけよるな
106
とは
云
(
い
)
ふものの
苦労
(
くらう
)
せにや
107
誠
(
まこと
)
の
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
かないと
108
三五教
(
あななひけう
)
でも
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
る
109
恋
(
こひ
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
くイルナ
城
(
じやう
)
110
男
(
をとこ
)
は
沢山
(
たくさん
)
ありとても
111
此
(
この
)
花
(
はな
)
手折
(
たを
)
る
主人公
(
しゆじんこう
)
は
112
カールチンさまより
外
(
ほか
)
にない
113
山
(
やま
)
も
田地
(
でんぢ
)
も
家倉
(
いへくら
)
も
114
靨
(
ゑくぼ
)
の
中
(
なか
)
へ
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
んで
115
俺
(
おれ
)
の
魂
(
たま
)
までグチヤグチヤに
116
分
(
わか
)
らぬやうにして
了
(
しま
)
ふ
117
女
(
をんな
)
は
魔神
(
まがみ
)
と
聞
(
き
)
きつれど
118
あんな
優
(
やさ
)
しい
顔
(
かほ
)
をして
119
右守
(
うもり
)
の
司
(
かみ
)
やヤスダラ
姫
(
ひめ
)
の
120
心
(
こころ
)
が
貴方
(
あなた
)
に
分
(
わか
)
らぬか
121
悲
(
かな
)
しう
御座
(
ござ
)
ると
泣
(
な
)
いた
時
(
とき
)
や
122
俺
(
おれ
)
もチヨツクリ
泣
(
な
)
きかけた
123
右守
(
うもり
)
は
男
(
をとこ
)
だ
悲
(
かな
)
しうて
124
決
(
けつ
)
して
泣
(
な
)
いたのぢやないほどに
125
余
(
あま
)
り
嬉
(
うれ
)
して
嬉
(
うれ
)
し
泣
(
な
)
き
126
あんな
所
(
ところ
)
をテーナ
奴
(
め
)
が
127
一寸
(
ちよつと
)
のぞいた
事
(
こと
)
ならば
128
地震
(
ぢしん
)
雷
(
かみなり
)
火
(
ひ
)
の
雨
(
あめ
)
が
129
ガラガラ ビシヤビシヤ ピカピカと
130
乱痴気
(
らんちき
)
騒
(
さわ
)
ぎが
起
(
おこ
)
るだらう
131
桑原
(
くはばら
)
々々
(
くはばら
)
惟神
(
かむながら
)
132
危
(
あぶ
)
ないところであつたわい
133
アイタヽタツタ、イツタイ……』
134
と
云
(
い
)
つた
途端
(
とたん
)
に、
135
ドスンと
何者
(
なにもの
)
にか
衝
(
つ
)
き
当
(
あた
)
られ、
136
大道
(
だいだう
)
の
真中
(
まんなか
)
に
仰向
(
あふむけ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
137
衝
(
つ
)
き
当
(
あた
)
つた
男
(
をとこ
)
は、
138
セーリス
姫
(
ひめ
)
に
嚇
(
おど
)
かされて、
139
命
(
いのち
)
からがら
尻引
(
しりひ
)
きまくり、
140
頭
(
あたま
)
を
先
(
さき
)
に
尻
(
しり
)
を
一間
(
いつけん
)
ばかりつき
出
(
だ
)
して、
141
向
(
むか
)
ふ
見
(
み
)
ずに
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
たユーフテスであつた。
142
カールチン
『タヽ
誰
(
たれ
)
ぢやい。
143
往来
(
わうらい
)
を
歩
(
ある
)
くのに、
144
ちつと
気
(
き
)
をつけぬか。
145
人
(
ひと
)
に
衝突
(
しようとつ
)
しよつて
何者
(
なにもの
)
ぢや。
146
勿体
(
もつたい
)
なくも
俺
(
おれ
)
はイルナの
城
(
しろ
)
の
右守司
(
うもりのかみ
)
だぞ。
147
もはや
了簡
(
れうけん
)
ならぬ。
148
姓名
(
せいめい
)
を
名乗
(
なの
)
れ。
149
後
(
あと
)
から
捕吏
(
ほり
)
を
遣
(
つか
)
はして
相当
(
さうたう
)
の
処分
(
しよぶん
)
をなしてやる』
150
と
呶鳴
(
どな
)
る
声
(
こゑ
)
も
慄
(
ふる
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
151
ユーフテスは
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
初
(
はじ
)
めて
右守
(
うもり
)
たる
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
り、
152
衝突
(
しようとつ
)
したる
頭
(
あたま
)
の
痛
(
いた
)
さを
耐
(
こら
)
へ
顔
(
かほ
)
を
顰
(
しか
)
めながら、
153
ユーフテス
『マヽ
誠
(
まこと
)
にすみませぬ。
154
タヽ
大変
(
たいへん
)
ですよ。
155
何
(
ど
)
うにも
斯
(
か
)
うにも、
156
ドテライ
女
(
をんな
)
に
出会
(
でつくわ
)
して
私
(
わたし
)
はもう
懲々
(
こりこり
)
致
(
いた
)
しました。
157
貴方
(
あなた
)
もこれから
女
(
をんな
)
の
所
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
くのでせう。
158
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひませぬ。
159
おきなさい。
160
むき
ますぜ。
161
それはそれは
大
(
おほ
)
きな
奴
(
やつ
)
を、
162
おまけに
同
(
おな
)
じ
奴
(
やつ
)
が
二人
(
ふたり
)
も
出
(
で
)
ますぜ。
163
あゝ
恐
(
こは
)
い
恐
(
こは
)
い、
164
あた
嫌
(
いや
)
らしい』
165
カールチン
『ナヽ
何
(
なん
)
と
申
(
まを
)
す。
166
むく
とは
何
(
なに
)
をむくのぢや。
167
膝節
(
ひざぶし
)
を
擦
(
す
)
り
むい
たのか、
168
大変
(
たいへん
)
な
慌方
(
あわてかた
)
ぢやないか』
169
ユーフテス
『これが
慌
(
あわ
)
てずに
何
(
なん
)
としませう。
170
それはそれは
むき
ましたぜ。
171
セーリス
姫
(
ひめ
)
だと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたら、
172
ドテライ
狐
(
きつね
)
でした。
173
もう
私
(
わたし
)
は
諦
(
あきら
)
めました。
174
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
、
175
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
ひませぬ。
176
サアこれから
私
(
わたし
)
と
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
りませう』
177
カールチン
『
貴様
(
きさま
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
178
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
曖昧
(
あいまい
)
模糊
(
もこ
)
として
捕捉
(
ほそく
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ないぢやないか。
179
もつとハツキリ
分
(
わか
)
るやうに
云
(
い
)
はぬかい。
180
一体
(
いつたい
)
何
(
なに
)
が
出
(
で
)
たと
云
(
い
)
ふのぢや』
181
ユーフテス
『それが
分
(
わか
)
るやうな
事
(
こと
)
なら、
182
何
(
ど
)
うして
逃
(
に
)
げて
帰
(
かへ
)
りますものか。
183
偉
(
えら
)
い
事
(
こと
)
頬辺
(
ほつぺた
)
をつめりますぜ、
184
痛
(
いた
)
いの
痛
(
いた
)
くないのつて、
185
涙
(
なみだ
)
が
一升
(
いつしよう
)
程
(
ほど
)
出
(
で
)
ました』
186
カールチン
『
一升
(
いつしよう
)
も
涙
(
なみだ
)
がどこから
出
(
で
)
たのだ』
187
ユーフテス
『
尿道
(
ねうだう
)
から
出
(
で
)
ました』
188
カールチン
『エヽ
貴様
(
きさま
)
のやうな
没分暁漢
(
わからずや
)
に
相手
(
あひて
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
所
(
ところ
)
ぢない。
189
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
が
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
るわい、
190
大方
(
おほかた
)
貴様
(
きさま
)
は
肱鉄
(
ひぢてつ
)
を
喰
(
く
)
はされよつたのだなア』
191
と
云
(
い
)
ひながら、
192
又
(
また
)
もや
尻引
(
しりひ
)
つからげ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
さうとするのを、
193
ユーフテスは
後
(
うしろ
)
から
腰
(
こし
)
をグツと
掴
(
つか
)
んだ。
194
カールチンは
向
(
むか
)
ふに
気
(
き
)
を
取
(
と
)
られ、
195
ユーフテスが
剛力
(
がうりき
)
に
任
(
まか
)
せ
腰
(
こし
)
を
抱
(
だ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのにも
気
(
き
)
が
付
(
つ
)
かず、
196
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
ばかり
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
つて
石
(
いし
)
づきをやつて
居
(
を
)
る。
197
恰度
(
ちやうど
)
横槌
(
よこづち
)
を
縦
(
たて
)
にして、
198
柄
(
え
)
に
石亀
(
いしがめ
)
をのせたやうなスタイルである。
199
カールチン
『あゝ、
200
何
(
なん
)
ぼう
歩
(
ある
)
いても
捗
(
はかど
)
らぬ
道
(
みち
)
だなア。
201
近
(
ちか
)
いやうでも
遠
(
とほ
)
いのは
恋
(
こひ
)
の
道
(
みち
)
だワイ。
202
ウントコドツコイ ドツコイ、
203
これでも
進
(
すす
)
めば、
204
何時
(
いつ
)
かは
行
(
ゆ
)
くだらう。
205
何
(
なん
)
だか
後髪
(
うしろがみ
)
を
引
(
ひ
)
かれるやうだ。
206
俄
(
にはか
)
に
体
(
からだ
)
が
重
(
おも
)
くなつて
来
(
き
)
よつた』
207
と
益々
(
ますます
)
石亀
(
いしがめ
)
の
地団駄
(
ぢだんだ
)
を
踏
(
ふ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
208
ユーフテスはとうとう
根負
(
こんまけ
)
をして
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
した。
209
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
にバタバタバタと
三間
(
さんげん
)
ばかり
急進
(
きふしん
)
し、
210
バタリと
倒
(
たふ
)
れ、
211
カールチン
『アイタツタツタ、
212
又
(
また
)
膝頭
(
ひざがしら
)
を
擦
(
す
)
りむいた』
213
と
云
(
い
)
ひながら、
214
覚束
(
おぼつか
)
ない
足
(
あし
)
を
無理
(
むり
)
に
踏
(
ふ
)
ん
張
(
ば
)
り、
215
タヽヽヽと
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
けて
行
(
ゆ
)
く。
216
勢
(
いきほひ
)
あまつて
左
(
ひだり
)
へおりる
道
(
みち
)
を
一町
(
いつちやう
)
ばかり
右
(
みぎ
)
へ
取
(
と
)
り、
217
小栗
(
をぐり
)
の
森
(
もり
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
218
此
(
この
)
森
(
もり
)
はイルナの
城
(
しろ
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
る
神司
(
かむつかさ
)
の
先祖
(
せんぞ
)
や
身内
(
みうち
)
のものが
葬
(
はうむ
)
つてある
墓場
(
はかば
)
であつた。
219
矢庭
(
やには
)
に
墓場
(
はかば
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、
220
石塔
(
せきたふ
)
に
頭
(
あたま
)
を
打
(
う
)
つて、
221
カールチン
『アイタツタツタ』
222
と
叫
(
さけ
)
ぶと
共
(
とも
)
に
目
(
め
)
から
星
(
ほし
)
のやうにパツと
火
(
ひ
)
が
出
(
で
)
た。
223
自分
(
じぶん
)
の
目
(
め
)
から
出
(
で
)
た
火
(
ひ
)
に
驚
(
おどろ
)
いてドスンと
腰
(
こし
)
をおろし、
224
どうしたものか
一声
(
ひとこゑ
)
も
出
(
で
)
なくなつて
了
(
しま
)
つた。
225
カールチンは
昼
(
ひる
)
頃
(
ごろ
)
から
一
(
いち
)
のくらみになる
迄
(
まで
)
ビクとも
動
(
うご
)
かず、
226
ウンとも
得言
(
えい
)
はず、
227
墓
(
はか
)
の
石塔
(
せきたふ
)
と
睨
(
にら
)
み
合
(
あ
)
ひをして
居
(
ゐ
)
た。
228
心
(
こころ
)
のせいか、
229
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らず
石塔
(
せきたふ
)
の
後
(
うしろ
)
から
婆
(
ばば
)
が
赤黒
(
あかぐろ
)
い
手
(
て
)
を
しう
と
前
(
まへ
)
に
垂
(
た
)
らし、
230
蚊
(
か
)
の
鳴
(
な
)
くやうな
声
(
こゑ
)
で、
231
婆
『
恨
(
うら
)
めしや』
232
とやり
出
(
だ
)
した。
233
カールチンは
益々
(
ますます
)
驚
(
おどろ
)
きよくよく
見
(
み
)
れば
女房
(
にようばう
)
のテーナ
姫
(
ひめ
)
の
顔
(
かほ
)
にそつくりである。
234
カールチン
『ヤア
貴様
(
きさま
)
はテーナぢやないか………ハ……テーナ……いつの
間
(
ま
)
に、
235
こんな
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
やがつたのだ。
236
エーン』
237
婆
『お
前
(
まへ
)
はカールチンぢやないか。
238
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
に
現
(
うつつ
)
を
抜
(
ぬ
)
かし、
239
私
(
わたし
)
をハルナの
都
(
みやこ
)
へ
軍
(
いくさ
)
に
出
(
だ
)
し、
240
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
、
241
恋
(
こひ
)
の
欲望
(
よくばう
)
を
遂
(
と
)
げようとした
悪性
(
あくしやう
)
男
(
をとこ
)
だ。
242
此
(
この
)
テーナは
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て
非業
(
ひごふ
)
の
最後
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げ、
243
先祖
(
せんぞ
)
の
骨
(
ほね
)
の
埋
(
うづ
)
めてある
此
(
この
)
墓
(
はか
)
へ
幽霊
(
いうれい
)
となつて
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たのだ。
244
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
婆
(
ばば
)
も、
245
かう
幽霊
(
いうれい
)
になつた
上
(
うへ
)
は、
246
お
前
(
まへ
)
と
添
(
そ
)
ふ
訳
(
わけ
)
にも
往
(
ゆ
)
かぬ。
247
見
(
み
)
て
見
(
み
)
ぬ
振
(
ふり
)
をして
居
(
を
)
るから、
248
仲
(
なか
)
よくヤスダラ
姫
(
ひめ
)
と
添
(
そ
)
ふがよからう』
249
と
蟷螂
(
かまきり
)
のやうなスタイルをして、
250
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
喋
(
しやべ
)
りたて、
251
クルクルと
毬
(
まり
)
のやうな
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
いて
見
(
み
)
せた。
252
カールチン
『コリヤコリヤ、
253
貴様
(
きさま
)
は
狸
(
たぬき
)
ぢやな。
254
俺
(
おれ
)
の
女房
(
にようばう
)
はそんな
弱
(
よわ
)
いものと
違
(
ちが
)
ふわい。
255
馬鹿
(
ばか
)
にさらすと
了簡
(
れうけん
)
ならぬぞ。
256
早
(
はや
)
く
俺
(
おれ
)
の
腰
(
こし
)
を
癒
(
なほ
)
さぬか』
257
と
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら
言論
(
げんろん
)
機関
(
きくわん
)
が
円滑
(
ゑんくわつ
)
に
働
(
はたら
)
き
出
(
だ
)
した。
258
婆
『
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
俺
(
おれ
)
は
小栗
(
をぐり
)
の
森
(
もり
)
の
古狸
(
ふるだぬき
)
だよ。
259
どうぞこれぎり、
260
キツト
出
(
で
)
ませぬとは
申
(
まを
)
さぬから、
261
許
(
ゆる
)
して
下
(
くだ
)
さい。
262
左様
(
さやう
)
なら、
263
又
(
また
)
明晩
(
みやうばん
)
改
(
あらた
)
めてお
目
(
め
)
にかかりませう』
264
ブスツと
象
(
ざう
)
が
屁
(
へ
)
を
こい
たやうな
音
(
おと
)
をして
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
つた。
265
カールチンは
漸
(
やうや
)
く
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
り、
266
カールチン
『
何
(
なん
)
だ
狸
(
たぬき
)
奴
(
め
)
、
267
馬鹿
(
ばか
)
にしやがつた。
268
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
慌
(
あわ
)
ててこんな
所
(
ところ
)
へ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
たと
見
(
み
)
えるわい。
269
俺
(
おれ
)
もやつぱり
恋
(
こひ
)
の
暗路
(
やみぢ
)
に
迷
(
まよ
)
うて
居
(
を
)
るのかなア。
270
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
関係
(
くわんけい
)
をつけようと
思
(
おも
)
へば
大抵
(
たいてい
)
の
事
(
こと
)
ぢやない、
271
命
(
いのち
)
がけだ』
272
と
呟
(
つぶや
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
273
そこへ
提灯
(
ちやうちん
)
を
灯
(
とぼ
)
してスタスタとやつて
来
(
き
)
た
美
(
うつく
)
しい
女
(
をんな
)
がある。
274
カールチンは
其
(
その
)
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
を
怪
(
あや
)
しみながら、
275
こはごは
窺
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
ると、
276
豈計
(
あにはか
)
らむやヤスダラ
姫
(
ひめ
)
であつた。
277
カールチン
『ヤア
貴女
(
あなた
)
はヤスダラ
様
(
さま
)
ぢやありませぬか。
278
どうしてまアこんな
物騒
(
ぶつそう
)
な
所
(
ところ
)
へ、
279
女
(
をんな
)
の
身
(
み
)
としてお
越
(
こ
)
しなさつたのですか』
280
ヤスダラ姫
『ハイ、
281
私
(
わたし
)
日
(
ひ
)
が
暮
(
く
)
れたので、
282
貴方
(
あなた
)
のお
越
(
こ
)
しを
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました
処
(
ところ
)
、
283
お
出
(
いで
)
が
遅
(
おそ
)
いものだから、
284
じれつたくて
仕方
(
しかた
)
がなく、
285
そこで
一寸
(
ちよつと
)
人目
(
ひとめ
)
を
忍
(
しの
)
び、
286
裏門
(
うらもん
)
からお
迎
(
むか
)
へに
参
(
まゐ
)
りました。
287
こんな
恐
(
おそ
)
ろしい
所
(
ところ
)
に、
288
ようまア
独
(
ひと
)
り
何
(
なん
)
ともありませなんだなア。
289
私
(
わたし
)
ならよう
参
(
まゐ
)
りませぬわ。
290
恋
(
こひ
)
しい
貴方
(
あなた
)
が
御座
(
ござ
)
ると
思
(
おも
)
へばこそ、
291
ここ
迄
(
まで
)
お
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
たのですよ』
292
カールチンは
嬉
(
うれ
)
しさうに、
293
カールチン
『あゝさうでしたか、
294
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
にようまア
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた』
295
ヤスダラ姫
『
何
(
なに
)
も
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
は
厶
(
ござ
)
いませなんだかなア』
296
カールチン
『
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
がカールチンだと
思
(
おも
)
うて、
297
余程
(
よほど
)
カールたチン(
変
(
かは
)
つた
珍
(
ちん
)
)な
事
(
こと
)
を
古狸
(
ふるだぬき
)
の
奴
(
やつ
)
やつて
見
(
み
)
せたのですよ。
298
随分
(
ずゐぶん
)
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
を
むき
ましたよ。
299
其
(
その
)
時
(
とき
)
には
私
(
わたし
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
しました』
300
ヤスダラ姫
『
悪戯
(
いたづら
)
な
狸
(
たぬき
)
もあつたものですなア。
301
どんなに
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
でしたか、
302
こんなんですか』
303
と
団栗
(
どんぐり
)
のやうな
目
(
め
)
を
むい
て
見
(
み
)
せた。
304
カールチンは
何
(
なん
)
だか
少
(
すこ
)
し
怪
(
あや
)
しいと
思
(
おも
)
ひながら、
305
カールチン
『そんな
小
(
ちひ
)
さなのぢやありませぬ、
306
随分
(
ずゐぶん
)
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
でしたよ』
307
ヤスダラ姫
『こんなんか』
308
と
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
し、
309
耳
(
みみ
)
まで
裂
(
さ
)
けた
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
け、
310
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
の
傘
(
かさ
)
のやうな
目
(
め
)
を、
311
クリクリと
むい
て
見
(
み
)
せた。
312
カールチンはビツクリして
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
闇
(
やみ
)
の
道
(
みち
)
をスタスタとイルナ
城
(
じやう
)
の
表門
(
おもてもん
)
さして
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
313
(
大正一一・一一・一五
旧九・二七
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 狐狸窟
(B)
(N)
河底の怪 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第42巻(巳の巻)
> 第3篇 意変心外 > 第10章 墓場の怪
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第10章 墓場の怪|第42巻|舎身活躍|霊界物語|/rm4210】
合言葉「みろく」を入力して下さい→