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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第42巻(巳の巻)
序文に代へて
総説に代へて
第1篇 波瀾重畳
第1章 北光照暗
第2章 馬上歌
第3章 山嵐
第4章 下り坂
第2篇 恋海慕湖
第5章 恋の罠
第6章 野人の夢
第7章 女武者
第8章 乱舌
第9章 狐狸窟
第3篇 意変心外
第10章 墓場の怪
第11章 河底の怪
第12章 心の色々
第13章 揶揄
第14章 吃驚
第4篇 怨月恨霜
第15章 帰城
第16章 失恋会議
第17章 酒月
第18章 酊苑
第19章 野襲
第5篇 出風陣雅
第20章 入那立
第21章 応酬歌
第22章 別離の歌
第23章 竜山別
第24章 出陣歌
第25章 惜別歌
第26章 宣直歌
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第42巻(巳の巻)
> 第5篇 出風陣雅 > 第20章 入那立
<<< 野襲
(B)
(N)
応酬歌 >>>
第二〇章
入那立
(
いるなだち
)
〔一一四五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
篇:
第5篇 出風陣雅
よみ(新仮名遣い):
しゅっぷうじんが
章:
第20章 入那立
よみ(新仮名遣い):
いるなだち
通し章番号:
1145
口述日:
1922(大正11)年11月25日(旧10月7日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年7月1日
概要:
舞台:
イルナ城(入那城、セーラン王の館)
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
サマリー姫は、カールチンたちが夜が更けても帰ってこないので、サモア姫、ハルマンその他を引き連れてイルナ城にやってきた。東雲の空のもと、カールチンたちが霜柱の立つ庭の上にのびているのを見つけた。
揺り起こされたカールチンたちは揺り起こされて不審の念に打たれている。そこへ竜雲、レーブ、カル、テームスがやってきて、セーラン王が奥で待っていることを伝えた。
王の前に出たカールチン、ユーフテス、マンモスの三人は、どのような沙汰があるかと震えていた。セーラン王は三人に右守館で百日間の閉門を命じた。そして清照姫、セーリス姫、サモア姫には、百日の間三人の世話をするように申し付けた。
異議を唱える清照姫に対し、セーラン王は、権謀術数で三人をだました報いだと理由を告げた。しかしカールチンは、王位簒奪を企んだ自分の罪を閉門で許してくれた王の慈悲に感謝を述べ、清照姫ら三人の女性の付添は必要ないと断った。
一同はそれぞれ述懐の歌を歌った。
ヤスダラ姫は神の教えに照らされてセーラン王を恋い慕う心を転じ、宣伝使になることを誓った。そして黄金姫の一行と共にハルナの都に進むことになった。
セーラン王は今まで忌み嫌っていたサマリー姫を深く愛し、夫婦ともにイルナの城に三五の教えを布き、国家百年の基礎を固めることとなった。
カールチンは改心し、元の右守に任じられた。テーナ姫の凱旋を待って夫婦睦まじく王に仕えた。セーリス姫は王の媒酌によってユーフテスの妻となり、サモア姫もマンモスの妻となってイルナ城に仕え、子孫繁栄した。
黄金姫と清照姫は、ヤスダラ姫およびハルマンと共にハルナ城に向かった。レーブ、カル、テームス、竜雲は別に一隊を組織して各地に三五教を宣伝しながらハルナの都を指して進んだ。リーダーは王の忠実な臣下となって側近く使えることになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-28 15:18:47
OBC :
rm4220
愛善世界社版:
239頁
八幡書店版:
第7輯 728頁
修補版:
校定版:
245頁
普及版:
103頁
初版:
ページ備考:
001
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
父
(
ちち
)
カールチンの
夜
(
よ
)
更
(
ふ
)
けて
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
らざるに
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
め、
002
サモア
姫
(
ひめ
)
、
003
ハルマン
其
(
その
)
他
(
た
)
二三
(
にさん
)
の
家僕
(
かぼく
)
を
従
(
したが
)
へ、
004
イルナ
城
(
じやう
)
の
表門
(
おもてもん
)
を
潜
(
くぐ
)
つて
広庭
(
ひろには
)
迄
(
まで
)
やつて
来
(
き
)
た。
005
東雲
(
しののめ
)
の
空
(
そら
)
漸
(
やうや
)
く
紅
(
あか
)
く、
006
霜柱
(
しもばしら
)
の
立
(
た
)
つてゐる
庭
(
には
)
の
芝生
(
しばふ
)
や
土
(
つち
)
の
上
(
うへ
)
に
ぶつ
倒
(
たふ
)
れて、
007
カールチン
始
(
はじ
)
め
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
家
(
いへ
)
の
子
(
こ
)
はふんのびてゐる。
008
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
眉
(
まゆ
)
をひそめながら、
009
サマリー姫
『エヽ
情
(
なさけ
)
ない、
010
何
(
なん
)
として
又
(
また
)
斯様
(
かやう
)
な
処
(
ところ
)
に、
011
父
(
ちち
)
を
始
(
はじ
)
めユーフテス、
012
マンモスが
倒
(
たふ
)
れてゐるのだらう。
013
ハルマン、
014
一
(
ひと
)
つ
揺
(
ゆ
)
り
起
(
おこ
)
してくれないか』
015
ハルマン
『ハイ
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
016
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
017
捻鉢巻
(
ねぢはちまき
)
に
襷
(
たすき
)
をかけ、
018
まづ
第一
(
だいいち
)
にカールチンを
抱
(
だ
)
き
起
(
おこ
)
した。
019
カールチンは
目
(
め
)
をこすりながら、
020
あたりをキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
し、
021
カールチン
『ヤア
其方
(
そなた
)
はサマリー
姫
(
ひめ
)
、
022
サモア、
023
一体
(
いつたい
)
ここは
何処
(
どこ
)
だ。
024
俺
(
おれ
)
が
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
つたと
思
(
おも
)
つて、
025
屋外
(
をくぐわい
)
へ
放
(
ほふ
)
り
出
(
だ
)
しよつたのだなア。
026
怪
(
け
)
しからぬ
事
(
こと
)
を
致
(
いた
)
す、
027
ヨーシ、
028
此
(
この
)
方
(
はう
)
にも
考
(
かんが
)
へがある』
029
と
立上
(
たちあが
)
らうとする。
030
何人
(
なんぴと
)
の
悪戯
(
いたづら
)
か
知
(
し
)
らぬが、
031
庭先
(
にはさき
)
の
巨大
(
きよだい
)
なる
捨石
(
すていし
)
に
紐
(
ひも
)
を
以
(
もつ
)
て
腰
(
こし
)
から
括
(
くく
)
りつけられ、
032
動
(
うご
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ぬ。
033
サマリー姫
『カールチンさま、
034
しつかりなさいませ。
035
ここは
入那城
(
いるなじやう
)
内
(
ない
)
の
大広庭
(
おほひろには
)
で
厶
(
ござ
)
いますよ。
036
貴方
(
あなた
)
は
昨夜
(
さくや
)
よからぬ
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へて、
037
城内
(
じやうない
)
へ
闖入
(
ちんにふ
)
し
来
(
き
)
たのでせう。
038
神罰
(
しんばつ
)
立所
(
たちどころ
)
に
当
(
あた
)
つて、
039
こんな
態
(
ざま
)
の
悪
(
わる
)
い
乞食
(
こじき
)
のやうに
野天
(
のてん
)
で
倒
(
たふ
)
れてゐたのでせう。
040
コレ、
041
ユーフテス、
042
お
前
(
まへ
)
もシツカリせないか、
043
何
(
なん
)
といふ
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
をしてゐるのだ。
044
顔中
(
かほぢう
)
墨
(
すみ
)
が
一杯
(
いつぱい
)
ぬつてあるぢやないか』
045
ユーフテス
『ヘー、
046
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
047
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
のお
供
(
とも
)
を
致
(
いた
)
しまして、
048
うまく
敵
(
てき
)
を
殲滅
(
せんめつ
)
し、
049
いよいよ
刹帝利
(
せつていり
)
になられた
御
(
お
)
祝
(
いはひ
)
にお
酒
(
さけ
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
し、
050
余
(
あま
)
り
酔
(
よ
)
うた
揚句
(
あげく
)
、
051
こんな
所
(
ところ
)
まで、
052
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
が
肉体
(
にくたい
)
を
伴
(
つ
)
れて、
053
酔
(
よひ
)
ざましに
出張
(
しゆつちやう
)
したと
見
(
み
)
えます。
054
イヤもう、
055
ラツチもないことで
厶
(
ござ
)
いました。
056
アツハヽヽヽ』
057
サマリー姫
『ナニ、
058
其
(
その
)
方
(
はう
)
はカールチンと
共
(
とも
)
に、
059
セーラン
王
(
わう
)
様
(
さま
)
を
暗殺
(
あんさつ
)
しよつたのだなア。
060
モウかうなる
上
(
うへ
)
は
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
仇敵
(
かたき
)
、
061
覚悟
(
かくご
)
をしたがよからう』
062
と
懐剣
(
くわいけん
)
をスラリと
抜
(
ぬ
)
いて
逆手
(
さかて
)
に
持
(
も
)
ち、
063
ユーフテスに
向
(
むか
)
ひ
斬
(
き
)
つてかかるを、
064
ハルマンは
後
(
うしろ
)
より
姫
(
ひめ
)
の
両腕
(
りやううで
)
をグツとかかへ、
065
ハルマン
『
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づお
待
(
ま
)
ちなさいませ。
066
これには
何
(
なに
)
か
様子
(
やうす
)
のある
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いませう。
067
狼狽
(
あわて
)
て
仕損
(
しそん
)
じてはなりませぬ』
068
マンモス『ヤアここは
城
(
しろ
)
の
馬場
(
ばば
)
だつた。
069
サツパリ
狐
(
きつね
)
にやられたと
見
(
み
)
えるワイ。
070
モシモシ カールチン
様
(
さま
)
、
071
陰謀
(
いんぼう
)
露顕
(
ろけん
)
に
及
(
およ
)
んでは
大変
(
たいへん
)
です、
072
サア
早
(
はや
)
く
逃
(
に
)
げませう。
073
オイ、
074
ユーフテス、
075
お
前
(
まへ
)
も
早
(
はや
)
く
逃
(
に
)
げたり
逃
(
に
)
げたり』
076
カールチン
『コリヤコリヤ、
077
両人
(
りやうにん
)
、
078
何
(
なに
)
も
騒
(
さわ
)
ぐ
事
(
こと
)
はない。
079
先
(
ま
)
づ
俺
(
おれ
)
の
綱
(
つな
)
をほどいて、
080
俺
(
おれ
)
が
逃
(
に
)
げたあとで
逃
(
に
)
げるのだ。
081
主人
(
しゆじん
)
を
捨
(
す
)
てて、
082
貴様
(
きさま
)
ばかり
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
をとるといふ
事
(
こと
)
があるか、
083
エーン』
084
サマリー『オホヽヽヽヽ、
085
何
(
なん
)
とマア、
086
とぼけ
人足
(
にんそく
)
ばかり
集
(
よ
)
つたものだなア』
087
サモア『
見
(
み
)
れば
旦那
(
だんな
)
様
(
さま
)
にユーフテスにマンモスの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
088
失恋党
(
しつれんたう
)
の
領袖
(
りやうしう
)
連
(
れん
)
ばかりが、
089
お
揃
(
そろ
)
ひで………
何
(
なん
)
と
面白
(
おもしろ
)
い
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
られたものですなア』
090
カールチンは
目
(
め
)
に
角
(
かど
)
を
立
(
た
)
て、
091
カールチン
『コリヤ コリヤ サモア、
092
失恋党
(
しつれんたう
)
とは
何
(
なん
)
だ。
093
マ
一度
(
いちど
)
言
(
い
)
つて
見
(
み
)
よ。
094
了簡
(
れうけん
)
致
(
いた
)
さぬぞ』
095
サモア姫
『
誠
(
まこと
)
に
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
なことを
申
(
まを
)
しましたなア。
096
余
(
あま
)
り
可笑
(
をか
)
しいものですから、
097
ツイ
脱線
(
だつせん
)
しました。
098
オホヽヽヽ』
099
かかる
所
(
ところ
)
へ
竜雲
(
りううん
)
、
100
レーブ、
101
カル、
102
テームスの
四
(
よ
)
人
(
にん
)
、
103
館
(
やかた
)
の
玄関
(
げんくわん
)
をパツと
開
(
ひら
)
き
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
104
竜雲
(
りううん
)
『ヤア、
105
カールチン
殿
(
どの
)
、
106
サマリー
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
、
107
先
(
ま
)
づ
奥
(
おく
)
へお
越
(
こ
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
108
王
(
わう
)
様
(
さま
)
がお
待兼
(
まちかね
)
で
厶
(
ござ
)
います』
109
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
嬉
(
うれ
)
しげに、
110
サマリー姫
『ハイ、
111
お
前
(
まへ
)
さまは
竜雲
(
りううん
)
さまとやら、
112
此
(
この
)
カールチンの
悪人
(
あくにん
)
をよく
戒
(
いまし
)
めて
帰
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
さい。
113
妾
(
わたし
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
王
(
わう
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
面会
(
めんくわい
)
を
願
(
ねが
)
ひませう。
114
コレ、
115
ハルマン、
116
案内
(
あんない
)
をしておくれ』
117
と
云
(
い
)
ひながら、
118
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
王
(
わう
)
の
居間
(
ゐま
)
をさして、
119
ハルマンと
共
(
とも
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
120
カールチン『
到頭
(
たうとう
)
酒
(
さけ
)
に
食
(
くら
)
ひ
酔
(
よ
)
うて、
121
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
登城
(
とじやう
)
の
途中
(
とちう
)
、
122
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
で
くたば
つたと
見
(
み
)
える。
123
何者
(
なにもの
)
か
悪戯
(
いたづら
)
をしよつて、
124
某
(
それがし
)
が
腰
(
こし
)
に
紐
(
ひも
)
を
括
(
くく
)
りつけよつたと
見
(
み
)
える。
125
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
竜雲
(
りううん
)
殿
(
どの
)
、
126
拙者
(
せつしや
)
の
紐
(
ひも
)
をほどいて
下
(
くだ
)
され。
127
手
(
て
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
括
(
くく
)
られてゐるやうだ』
128
竜雲
『アハヽヽヽ、
129
念
(
ねん
)
の
入
(
い
)
つた
泥酔
(
よひどれ
)
だなア』
130
と
云
(
い
)
ひながら、
131
手早
(
てばや
)
く
縛
(
いまし
)
めをほどいた。
132
これはレーブが
昨夜
(
さくや
)
ソツと
悪戯
(
いたづら
)
をしておいたのである。
133
ユーフテスの
顔
(
かほ
)
の
黒
(
くろ
)
くなつたのも、
134
矢張
(
やつぱ
)
りレーブの
副守
(
ふくしゆ
)
の
悪戯
(
いたづら
)
であつた。
135
カールチン『ヤア
有難
(
ありがた
)
い、
136
サア、
137
是
(
これ
)
から
館
(
やかた
)
へ
帰
(
かへ
)
らう。
138
オイ、
139
ユーフテス、
140
マンモス、
141
後
(
あと
)
につづけ』
142
テームス『
待
(
ま
)
つた
待
(
ま
)
つた、
143
さうはなりませぬぞ。
144
今
(
いま
)
王
(
わう
)
様
(
さま
)
が
右守司
(
うもりつかさ
)
に
面会
(
めんくわい
)
したいと
仰有
(
おつしや
)
つて
奥
(
おく
)
に
待
(
ま
)
つてゐられます。
145
一
(
ひと
)
つ
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申上
(
まをしあ
)
げたい
事
(
こと
)
があると
言
(
い
)
はれますから、
146
サア
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしに
奥
(
おく
)
へお
通
(
とほ
)
りなされませ。
147
ユーフテスさまも
手水
(
てうづ
)
を
使
(
つか
)
つて
一緒
(
いつしよ
)
に
拝謁
(
はいえつ
)
をなさいませ。
148
マンモスも
同様
(
どうやう
)
だ』
149
ユーフテス『イヤ、
150
滅相
(
めつさう
)
もない、
151
王
(
わう
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
はれるやうな
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りませぬワイ。
152
此
(
この
)
場
(
ば
)
はこれで
御
(
お
)
見逃
(
みのが
)
しを
願
(
ねが
)
ひます』
153
テームス
『さう
心配
(
しんぱい
)
を
致
(
いた
)
すな、
154
案
(
あん
)
じるより
生
(
う
)
むが
易
(
やす
)
い。
155
マア
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
まで
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
な、
156
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
か
吉
(
きち
)
か
凶
(
きよう
)
か
分
(
わか
)
つたものぢやない。
157
一
(
ひと
)
つ
悪
(
わる
)
い
気
(
き
)
がした
所
(
ところ
)
で、
158
たつた
一
(
ひと
)
つの
首
(
くび
)
をとられると
思
(
おも
)
やいゝぢやないか。
159
首
(
くび
)
の
一
(
ひと
)
つ
位
(
くらゐ
)
何
(
なん
)
ぢやい。
160
アーン』
161
ユーフテスは
首
(
くび
)
のあたりを
手
(
て
)
で
探
(
さぐ
)
りながら、
162
ユーフテス
『ヤア、
163
ヤツパリ
俺
(
おれ
)
の
首
(
くび
)
は
依然
(
いぜん
)
として
密着
(
みつちやく
)
してゐるワイ、
164
どうぞ
今日
(
けふ
)
は
大目
(
おほめ
)
に
見逃
(
みのが
)
してくれ。
165
命
(
いのち
)
の
親
(
おや
)
だから』
166
テームス
『
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
勅命
(
ちよくめい
)
だ。
167
綸言
(
りんげん
)
汗
(
あせ
)
の
如
(
ごと
)
し。
168
一度
(
いちど
)
出
(
い
)
づれば
之
(
これ
)
を
引込
(
ひつこ
)
める
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬ。
169
サア
行
(
ゆ
)
かう』
170
と
素首
(
そつくび
)
をグツと
引掴
(
ひつつか
)
んだ。
171
ユーフテスは
弥之助
(
やのすけ
)
人形
(
にんぎやう
)
のやうに、
172
ビツクリ
腰
(
ごし
)
をぬかし、
173
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
もブラブラになつた
儘
(
まま
)
、
174
テームスに
引張
(
ひつぱ
)
られて、
175
奥殿
(
おくでん
)
へ
運
(
はこ
)
ばれた。
176
竜雲
(
りううん
)
はカールチンを
引抱
(
ひつかか
)
へ、
177
これ
亦
(
また
)
奥
(
おく
)
へ
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
178
レーブ、
179
カルはマンモスを
二人
(
ふたり
)
して
引担
(
ひつかつ
)
ぎながら、
180
これ
亦
(
また
)
奥殿
(
おくでん
)
へ
運
(
はこ
)
び
入
(
い
)
れた。
181
失恋党
(
しつれんたう
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
王
(
わう
)
の
前
(
まへ
)
に
引出
(
ひきだ
)
され、
182
色
(
いろ
)
青
(
あを
)
ざめ、
183
唇
(
くちびる
)
を
紫色
(
むらさきいろ
)
に
染
(
そ
)
めてガチガチと
歯
(
は
)
を
鳴
(
な
)
らしてゐる。
184
セーラン王
『
右守司
(
うもりつかさ
)
殿
(
どの
)
、
185
随分
(
ずゐぶん
)
昨夜
(
さくや
)
は
御
(
ご
)
愉快
(
ゆくわい
)
で
厶
(
ござ
)
つたらうなア』
186
カールチン
『ハイ、
187
夢
(
ゆめ
)
の
中
(
なか
)
で
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
まして、
188
イヤもう
何
(
なん
)
とも
申上
(
まをしあ
)
げやうが
厶
(
ござ
)
いませぬ』
189
と
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
事
(
こと
)
を
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る
答
(
こた
)
へた。
190
セーラン王
『アハヽヽ、
191
天下
(
てんか
)
をとると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
192
随分
(
ずゐぶん
)
愉快
(
ゆくわい
)
なものだらうなア。
193
どうだ、
194
是
(
これ
)
から
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
刹帝利
(
せつていり
)
の
後
(
あと
)
をついでくれる
気
(
き
)
はないか』
195
カールチン
『メヽ
滅相
(
めつさう
)
もない、
196
何事
(
なにごと
)
も
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御意
(
ぎよい
)
に
任
(
まか
)
します。
197
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
とあらば、
198
一言
(
ひとこと
)
も
背
(
そむ
)
きは
致
(
いた
)
しませぬ』
199
セーラン王
『
余
(
よ
)
が
言葉
(
ことば
)
ならば
一言
(
ひとこと
)
も
背
(
そむ
)
かぬと
申
(
まを
)
したなア。
200
それに
間違
(
まちがひ
)
はないか』
201
カールチン
『ハイ、
202
武士
(
ぶし
)
の
言葉
(
ことば
)
に
二言
(
にごん
)
は
厶
(
ござ
)
いませぬ』
203
セーラン王
『
然
(
しか
)
らば
汝
(
なんぢ
)
右守司
(
うもりつかさ
)
、
204
叛逆
(
はんぎやく
)
未遂
(
みすゐ
)
の
罪
(
つみ
)
に
依
(
よ
)
つて
割腹
(
かつぷく
)
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
ける』
205
カールチンは
此
(
この
)
言葉
(
ことば
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
しひつくり
返
(
かへ
)
り「アツ」と
叫
(
さけ
)
んだ。
206
セーラン王
『
割腹
(
かつぷく
)
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
けるといふは
表向
(
おもてむ
)
き、
207
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
りテーナ
姫
(
ひめ
)
が
凱旋
(
がいせん
)
あるまで、
208
閉門
(
へいもん
)
仰
(
あふ
)
せ
付
(
つ
)
ける。
209
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
へ』
210
カールチンはヤツと
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
211
カールチン
『ハイ、
212
割腹
(
かつぷく
)
に
比
(
くら
)
ぶれば、
213
閉門
(
へいもん
)
位
(
ぐらゐ
)
は
何
(
なん
)
とも
厶
(
ござ
)
いませぬ。
214
私
(
わたくし
)
一人
(
ひとり
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
215
セーラン王
『イヤ、
216
ユーフテス、
217
マンモスも
同様
(
どうやう
)
だ。
218
一人
(
ひとり
)
々々
(
ひとり
)
別個
(
べつこ
)
に
閉門
(
へいもん
)
する
時
(
とき
)
は、
219
妙
(
めう
)
な
心
(
こころ
)
を
出
(
だ
)
し、
220
悲観
(
ひくわん
)
に
陥
(
おちい
)
つては
却
(
かへつ
)
て
為
(
ため
)
にならぬから、
221
其方
(
そのはう
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
右守
(
うもり
)
の
館
(
やかた
)
に
同居
(
どうきよ
)
閉門
(
へいもん
)
を
命
(
めい
)
ずる。
222
勝手
(
かつて
)
に
酒
(
さけ
)
でも
飲
(
の
)
んで
失恋
(
しつれん
)
会議
(
くわいぎ
)
でも
開
(
ひら
)
いたがよからうぞ』
223
ユーフテス『ハイ、
224
何
(
なん
)
と
粋
(
すゐ
)
の
利
(
き
)
いた
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
225
誠
(
まこと
)
に
以
(
もつ
)
て
重々
(
ぢゆうぢゆう
)
の
御
(
ご
)
厚恩
(
こうおん
)
、
226
御
(
おん
)
礼
(
れい
)
の
申上
(
まをしあ
)
げやうも
厶
(
ござ
)
いませぬ』
227
セーラン王
『
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
228
男
(
をとこ
)
ばかりにては
炊事
(
すゐじ
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
万端
(
ばんたん
)
に
支障
(
ししやう
)
を
来
(
きた
)
すであらう。
229
これよりヤスダラ
姫
(
ひめ
)
、
230
セーリス
姫
(
ひめ
)
、
231
サモア
姫
(
ひめ
)
をお
給仕
(
きふじ
)
として
百
(
ひやく
)
日間
(
にちかん
)
共々
(
ともども
)
に
汝
(
なんぢ
)
の
側
(
そば
)
に
侍
(
はべ
)
らすから、
232
有難
(
ありがた
)
く
思
(
おも
)
へ』
233
カールチンは
不思議
(
ふしぎ
)
さうな
顔
(
かほ
)
をして、
234
王
(
わう
)
の
面体
(
めんてい
)
を
打眺
(
うちなが
)
め、
235
呆然
(
ばうぜん
)
としてゐる。
236
セーラン王
『アハヽヽ、
237
今日
(
こんにち
)
より、
238
この
入那城
(
いるなじやう
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
教理
(
けうり
)
を
遵奉
(
じゆんぽう
)
し、
239
喜
(
よろこ
)
ばして
改心
(
かいしん
)
をさせる
方針
(
はうしん
)
だから、
240
汝
(
なんぢ
)
等
(
ら
)
も
満足
(
まんぞく
)
であらう。
241
イヤ
清照姫
(
きよてるひめ
)
殿
(
どの
)
、
242
セーリス
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
、
243
サモア
姫
(
ひめ
)
殿
(
どの
)
、
244
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
ながら
百
(
ひやく
)
日間
(
にちかん
)
閉門
(
へいもん
)
を
致
(
いた
)
す、
245
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
失恋党
(
しつれんたう
)
を
満足
(
まんぞく
)
させてやつて
貰
(
もら
)
ひたい』
246
清照
(
きよてる
)
『
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
247
お
戯談
(
じようだん
)
を
仰有
(
おつしや
)
るも
程
(
ほど
)
があります。
248
苟
(
いやし
)
くも
王者
(
わうじや
)
として、
249
戯談
(
じようだん
)
を
仰有
(
おつしや
)
るといふ
事
(
こと
)
はありますまい』
250
セーラン王
『
決
(
けつ
)
して
戯談
(
じようだん
)
は
申
(
まを
)
さぬ。
251
清照姫
(
きよてるひめ
)
殿
(
どの
)
は
王
(
わう
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ひ、
252
入那城
(
いるなじやう
)
の
安泰
(
あんたい
)
を
計
(
はか
)
つて
下
(
くだ
)
さつた
殊勲者
(
しゆくんしや
)
である。
253
さりながら
三五教
(
あななひけう
)
の
道
(
みち
)
に
在
(
あ
)
りながら、
254
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
を
以
(
もつ
)
て
敵
(
てき
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
するは
大道
(
だいだう
)
に
違反
(
ゐはん
)
するもの、
255
是非
(
ぜひ
)
々々
(
ぜひ
)
カールチン、
256
ユーフテス、
257
マンモスの
仮令
(
たとへ
)
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
なりとも、
258
閉門中
(
へいもんちう
)
の
世話
(
せわ
)
をなし、
259
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
満足
(
まんぞく
)
して
改心
(
かいしん
)
致
(
いた
)
すやうになさるのが、
260
そなたの
罪亡
(
つみほろ
)
ぼしだ。
261
黄金姫
(
わうごんひめ
)
殿
(
どの
)
、
262
左様
(
さやう
)
では
厶
(
ござ
)
らぬか』
263
黄金姫
『オホヽヽそれ
見
(
み
)
なさい、
264
清
(
きよ
)
さま、
265
余
(
あま
)
り
智慧
(
ちゑ
)
が
走
(
はし
)
ると、
266
こんな
天罰
(
てんばつ
)
を
受
(
う
)
けねばなりませぬぞや。
267
これだから
誠正直
(
まことしやうぢき
)
で
行
(
ゆ
)
かねばならぬといふのだ、
268
自分
(
じぶん
)
の
美貌
(
びばう
)
を
看板
(
かんばん
)
に
男
(
をとこ
)
をチヨロまかし、
269
王
(
わう
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ふのはよいが、
270
其
(
その
)
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
が
宣伝使
(
せんでんし
)
としての
行
(
おこな
)
ひに
反
(
はん
)
してゐるのだから
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
271
サア
清
(
きよ
)
さま、
272
セーリス
姫
(
ひめ
)
さま、
273
サモアさまも、
274
男
(
をとこ
)
をチヨロまかした
神罰
(
しんばつ
)
が
酬
(
むく
)
うて
来
(
き
)
たのだから、
275
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
の
閉門
(
へいもん
)
の
間
(
あひだ
)
、
276
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
方
(
かた
)
に
虫
(
むし
)
の
得心
(
とくしん
)
する
所
(
ところ
)
まで
親切
(
しんせつ
)
を
尽
(
つく
)
すのだよ。
277
オツホヽヽ、
278
エライことになつたものだ。
279
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
には、
280
一言
(
ひとこと
)
も
反
(
そむ
)
かうと
思
(
おも
)
うても、
281
背
(
そむ
)
く
余地
(
よち
)
がありませぬワイ』
282
清照
(
きよてる
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
283
三
(
さん
)
人
(
にん
)
閉門
(
へいもん
)
の
処
(
ところ
)
へ
又
(
また
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
が
附添
(
つきそ
)
ふとは、
284
何
(
なん
)
とマア
都合
(
つがふ
)
の
好
(
よ
)
い
事
(
こと
)
でせう。
285
お
母
(
か
)
アさま、
286
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
も
一緒
(
いつしよ
)
に
居
(
を
)
りますと、
287
どんな
気
(
き
)
になるかも
知
(
し
)
れませぬから
予
(
あらかじ
)
め
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
を
願
(
ねが
)
つておきますよ。
288
なア、
289
セーリス
姫
(
ひめ
)
さま、
290
貴女
(
あなた
)
だつて、
291
フトした
機
(
はづ
)
みから、
292
本当
(
ほんたう
)
にユーフテスさまがゾツコンお
好
(
す
)
きになられるかも
知
(
し
)
れませぬわねえ。
293
サモアさまだつて
其
(
その
)
通
(
とほ
)
りでせう。
294
オホヽヽ』
295
黄金姫
『エヽ
仕方
(
しかた
)
がない、
296
男女
(
だんぢよ
)
の
道
(
みち
)
は
何程
(
なにほど
)
親
(
おや
)
が
目
(
め
)
を
光
(
ひか
)
らして
居
(
を
)
つても、
297
防
(
ふせ
)
ぐことは
出来
(
でき
)
ない、
298
まして
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
も
離
(
はな
)
れて
居
(
を
)
れば、
299
如何
(
いかん
)
ともすることが
出来
(
でき
)
ないから、
300
清
(
きよ
)
さまの
自由
(
じいう
)
意思
(
いし
)
に
任
(
まか
)
しませう』
301
セーラン王
『
右守司
(
うもりつかさ
)
殿
(
どの
)
、
302
サア
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
女
(
をんな
)
と
共
(
とも
)
に
男女
(
だんぢよ
)
六
(
ろく
)
人
(
にん
)
、
303
早
(
はや
)
くここをお
立
(
た
)
ちなされ』
304
カールチン
『
閉門
(
へいもん
)
は
確
(
たしか
)
にお
受
(
う
)
け
致
(
いた
)
しました。
305
併
(
しか
)
しながら、
306
今
(
いま
)
の
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のお
言葉
(
ことば
)
にて
満足
(
まんぞく
)
致
(
いた
)
しました
以上
(
いじやう
)
は、
307
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
のお
附添
(
つきそ
)
ひは
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
308
私
(
わたし
)
が
悪
(
わる
)
いので
厶
(
ござ
)
いますから、
309
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
が
私
(
わたし
)
をいろいろと
操
(
あやつ
)
り
遊
(
あそ
)
ばしたのも、
310
決
(
けつ
)
して
恨
(
うら
)
みとも
無理
(
むり
)
とも
思
(
おも
)
ひませぬ。
311
かへつて
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
に
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
つては
迷惑
(
めいわく
)
を
致
(
いた
)
します。
312
又
(
また
)
百
(
ひやく
)
日
(
にち
)
の
閉門中
(
へいもんちう
)
に
心
(
こころ
)
の
悪神
(
あくがみ
)
を
放
(
はふ
)
り
出
(
だ
)
し、
313
誠
(
まこと
)
の
精神
(
せいしん
)
に
立復
(
たちかへ
)
りたく
存
(
ぞん
)
じますれば、
314
異性
(
いせい
)
が
側
(
そば
)
に
居
(
を
)
りましては、
315
満足
(
まんぞく
)
に
修行
(
しうぎやう
)
も
出来
(
でき
)
ませぬから、
316
何卒
(
なにとぞ
)
こればかりは
御
(
お
)
取消
(
とりけし
)
を
願
(
ねが
)
ひます。
317
ユーフテス、
318
マンモスも
私
(
わたし
)
と
同意見
(
どういけん
)
だと
思
(
おも
)
ひますから、
319
何卒
(
なにとぞ
)
宜
(
よろ
)
しくお
取上
(
とりあ
)
げを
願
(
ねが
)
ひます』
320
セーラン王
『
然
(
しか
)
らば
汝
(
なんぢ
)
の
望
(
のぞ
)
みに
任
(
まか
)
す』
321
カールチン
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
322
心
(
こころ
)
の
曇
(
くも
)
つた
吾々
(
われわれ
)
、
323
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
をお
咎
(
とが
)
めもなく、
324
閉門
(
へいもん
)
位
(
ぐらゐ
)
でお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さるとは
御
(
おん
)
礼
(
れい
)
の
申
(
まを
)
し
様
(
やう
)
も
厶
(
ござ
)
いませぬ。
325
今後
(
こんご
)
は
何処
(
どこ
)
までも
誠
(
まこと
)
を
尽
(
つく
)
し、
326
王
(
わう
)
様
(
さま
)
の
御恩
(
ごおん
)
に
報
(
はう
)
ずる
考
(
かんが
)
へで
厶
(
ござ
)
いますれば、
327
何卒
(
なにとぞ
)
々々
(
なにとぞ
)
御
(
お
)
見捨
(
みす
)
てなく、
328
百日後
(
ひやくにちご
)
は
下僕
(
しもべ
)
の
端
(
はし
)
になりとお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さらば
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます』
329
サマリー
姫
(
ひめ
)
は
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
三十一
(
みそひと
)
文字
(
もじ
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
330
サマリー姫
『
大君
(
おほぎみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
にうるほひて
331
野
(
の
)
べの
醜草
(
しこぐさ
)
も
甦
(
よみがへ
)
りける。
332
重々
(
ぢゆうぢゆう
)
の
罪
(
つみ
)
汚
(
けが
)
れをもカールチン
333
宣直
(
のりなほ
)
します
君
(
きみ
)
ぞかしこき。
334
カールチン
父
(
ちち
)
の
命
(
みこと
)
よ
今
(
いま
)
よりは
335
二心
(
ふたごころ
)
なく
君
(
きみ
)
に
仕
(
つか
)
へませ』
336
カールチン『
有難
(
ありがた
)
しセーラン
王
(
わう
)
の
勅言
(
みことのり
)
337
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
忘
(
わす
)
れざらまし。
338
罪
(
つみ
)
深
(
ふか
)
き
吾
(
われ
)
を
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
339
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
します
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
。
340
恋雲
(
こひぐも
)
も
今
(
いま
)
や
全
(
まつた
)
く
晴
(
は
)
れにけり
341
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
見
(
み
)
しより』
342
ユーフテス『いろいろと
恋
(
こひ
)
の
魔
(
ま
)
の
手
(
て
)
にあやつられ
343
よからぬ
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
みてし
哉
(
かな
)
。
344
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
に
住
(
す
)
める
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
345
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり』
346
セーリス『ユーフテス
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
347
恋
(
こひ
)
と
欲
(
よく
)
との
二道
(
ふたみち
)
は
立
(
た
)
たず。
348
欲
(
よく
)
に
迷
(
まよ
)
ひ
恋
(
こひ
)
に
迷
(
まよ
)
ひていろいろと
349
あやつられたる
人
(
ひと
)
ぞいぢらしき。
350
われも
亦
(
また
)
よからぬことと
知
(
し
)
りながら
351
君
(
きみ
)
迷
(
まよ
)
はせし
心
(
こころ
)
は
恥
(
はづか
)
し』
352
サモア『マンモスを
舌
(
した
)
の
先
(
さき
)
にていろいろと
353
弄
(
もてあそ
)
びたる
吾
(
われ
)
ぞうたてき』
354
マンモス『
恥
(
はづか
)
しや
恋
(
こひ
)
の
囚
(
とりこ
)
となり
果
(
は
)
てて
355
思
(
おも
)
はず
恥
(
はぢ
)
をさらしける
哉
(
かな
)
。
356
大君
(
おほぎみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
の
深
(
ふか
)
くして
357
重
(
おも
)
き
罪科
(
つみとが
)
赦
(
ゆる
)
されにけり』
358
竜雲
(
りううん
)
『
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
入那
(
いるな
)
の
城
(
しろ
)
の
暗雲
(
やみくも
)
も
359
晴
(
は
)
れて
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
御代
(
みよ
)
となりけり』
360
黄金
(
わうごん
)
『
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
の
現
(
あら
)
はれて
361
入那
(
いるな
)
の
城
(
しろ
)
に
旭
(
あさひ
)
かがやく』
362
セーラン『
有難
(
ありがた
)
き
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
守
(
まも
)
られて
363
入那
(
いるな
)
の
城
(
しろ
)
に
月
(
つき
)
は
輝
(
かがや
)
く』
364
ヤスダラ『はるばるとテルマン
国
(
ごく
)
を
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して
365
尊
(
たふと
)
き
君
(
きみ
)
に
会
(
あ
)
ひにけるかな。
366
さりながら
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
367
吾
(
わが
)
恋雲
(
こひぐも
)
は
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり。
368
サマリー
姫
(
ひめ
)
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
よ
今
(
いま
)
よりは
369
セーラン
王
(
わう
)
に
仕
(
つか
)
へましませ。
370
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
は
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
371
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
ひ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
行
(
ゆ
)
かむ』
372
テームス『
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
を
深
(
ふか
)
く
包
(
つつ
)
みし
雲霧
(
くもきり
)
も
373
はれて
嬉
(
うれ
)
しき
今日
(
けふ
)
の
空
(
そら
)
哉
(
かな
)
』
374
カル『
足曳
(
あしびき
)
の
山野
(
やまの
)
も
清
(
きよ
)
く
晴
(
は
)
れにけり
375
入那
(
いるな
)
の
城
(
しろ
)
の
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に』
376
レーブ『
何事
(
なにごと
)
もなくて
治
(
をさ
)
まる
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
は
377
さながら
神代
(
かみよ
)
の
心地
(
ここち
)
せらるる。
378
われも
亦
(
また
)
黄金姫
(
わうごんひめ
)
に
従
(
したが
)
ひて
379
ハルナの
空
(
そら
)
に
向
(
むか
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさ』
380
茲
(
ここ
)
にいよいよヤスダラ
姫
(
ひめ
)
は
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
照
(
て
)
らされて、
381
セーラン
王
(
わう
)
を
恋
(
こ
)
ひ
慕
(
した
)
ふ
心
(
こころ
)
を
転
(
てん
)
じ、
382
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
の
為
(
ため
)
に
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
四方
(
よも
)
に
宣伝
(
せんでん
)
せむことを
誓
(
ちか
)
ひ、
383
黄金姫
(
わうごんひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
にハルナの
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
むこととなつた。
384
セーラン
王
(
わう
)
は
今
(
いま
)
まで
忌
(
い
)
み
嫌
(
きら
)
うてゐたサマリー
姫
(
ひめ
)
を
深
(
ふか
)
く
愛
(
あい
)
し、
385
夫婦
(
ふうふ
)
相並
(
あひなら
)
びて
入那
(
いるな
)
の
城
(
しろ
)
に
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
を
布
(
し
)
き、
386
国家
(
こくか
)
百
(
ひやく
)
年
(
ねん
)
の
基礎
(
きそ
)
を
固
(
かた
)
むる
事
(
こと
)
となつた。
387
そしてカールチンは
改心
(
かいしん
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
388
右守司
(
うもりのかみ
)
と
元
(
もと
)
の
如
(
ごと
)
く
任
(
にん
)
ぜられ、
389
テーナ
姫
(
ひめ
)
の
凱旋
(
がいせん
)
を
待
(
ま
)
つて
夫婦
(
ふうふ
)
睦
(
むつま
)
じく
王
(
わう
)
に
仕
(
つか
)
へた。
390
セーリス
姫
(
ひめ
)
は
王
(
わう
)
の
媒酌
(
ばいしやく
)
によつてユーフテスの
妻
(
つま
)
となり、
391
又
(
また
)
サモア
姫
(
ひめ
)
も
王
(
わう
)
の
媒酌
(
ばいしやく
)
に
依
(
よ
)
つてマンモスの
妻
(
つま
)
となり、
392
入那城
(
いるなじやう
)
に
仕
(
つか
)
へて
子孫
(
しそん
)
繁栄
(
はんゑい
)
した。
393
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
清照姫
(
きよてるひめ
)
、
394
ヤスダラ
姫
(
ひめ
)
及
(
およ
)
びハルマンと
共
(
とも
)
にハルナ
城
(
じやう
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
むこととなり、
395
レーブ、
396
カル、
397
テームス、
398
竜雲
(
りううん
)
は
別
(
べつ
)
に
一隊
(
いつたい
)
を
組織
(
そしき
)
し、
399
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
各地
(
かくち
)
を
巡教
(
じゆんけう
)
しつつ、
400
ハルナの
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこととなつた。
401
リーダーは
王
(
わう
)
の
忠実
(
ちうじつ
)
なる
臣下
(
しんか
)
となつて
側近
(
そばちか
)
く
仕
(
つか
)
ふる
事
(
こと
)
となつた。
402
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
403
(
大正一一・一一・二五
旧一〇・七
松村真澄
録)
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