霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 吃驚(びつくり)〔一一三九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第3篇 意変心外 よみ(新仮名遣い):いへんしんがい
章:第14章 吃驚 よみ(新仮名遣い):びっくり 通し章番号:1139
口述日:1922(大正11)年11月16日(旧09月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台:イルナ城(入那城、セーラン王の館) あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
カールチンは意気揚々と奥の間に入ってきた。セーリス姫は白狐につままれたカールチンをひとしきりからかうと、座に就くようにと招き入れた。
ヤスダラ姫に化けた清照姫は、わざとにつれない態度を取ってカールチンをじらす。セーリス姫は座を立って二人を部屋に残した。
あからさまに自分の女房になるようにと迫るカールチンに対し、清照姫はやんわり拒絶する。カールチンが心変わりをなじると、隣の王の間から黄金姫が王の声色で咳払いをなした。
清照姫は、隣の部屋には王が控えているのだから、発言を慎むようにとカールチンに注意した。カールチンは王がいるからわざとヤスダラ姫は自分につれないことを言ったのだと合点し、機嫌を直した。
すると城の受付が、今セーラン王とヤスダラ姫が城に戻ってきたと注進に来た。カールチンは不審に思い、その場にあぐらをかいて思案に沈んだ。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-12-25 14:43:34 文字数:2895 OBC :rm4214
愛善世界社版:173頁 八幡書店版:第7輯 704頁 修補版: 校定版:177頁 普及版:73頁 初版: ページ備考:
001 右守司(うもりのかみ)のカールチンは意気(いき)揚々(やうやう)として清照姫(きよてるひめ)、002セーリス姫(ひめ)の話(はな)してゐる奥(おく)の間(ま)へ入(い)り来(きた)り、
003カールチン『あゝヤスダラ姫(ひめ)殿(どの)、004セーリス姫(ひめ)殿(どの)、005えらい御(ご)無沙汰(ぶさた)を致(いた)しました。006昨日(きのふ)はお目(め)にかかる積(つも)りで居(を)りましたが、007少(すこ)しく差支(さしつかへ)が出来(でき)まして到頭(とうとう)失礼(しつれい)を致(いた)しました』
008セーリス姫『それはお忙(いそが)しいことで厶(ござ)りましたな。009道中(だうちう)で頭(あたま)の鉢合(はちあは)せをしたり、010親切(しんせつ)にお墓(はか)参(まゐ)りをなされたり、011狸(たぬき)に騙(だま)されたり、012河(かは)へ飛(と)び込(こ)んだり、013大変(たいへん)な御(ご)活動(くわつどう)で厶(ござ)りましたさうですな。014流石(さすが)は右守(うもり)さまだと云(い)つて、015姉(ねえ)さまも感心(かんしん)して居(ゐ)やはりました。016さう立(た)ちはだかつて居(を)らずに、017マアここにお坐(すわ)りなさいませ。018昨日(きのふ)の一伍(いちぶ)一什(しじふ)を一(ひと)つ聞(き)かして頂(いただ)きたいもので厶(ござ)ります』
019 カールチンは頭(あたま)を掻(か)きながら、
020カールチン『ヘー、021別(べつ)に活動(くわつどう)したと……云(い)ふ訳(わけ)でもありませぬ。022時(とき)の勢(いきほひ)やむを得(え)ず、023惟神(かむながら)的(てき)にさされたのですよ。024誰(たれ)が又(また)そんな事(こと)を御(ご)報告(はうこく)に参(まゐ)りましたかな』
025セーリス姫『私(わたし)の天眼通(てんがんつう)で一寸(ちよつと)此処(ここ)から透視(とうし)して居(を)りましたよ。026まづまづお怪我(けが)がなくて結構(けつこう)でしたな。027時(とき)にユーフテスさまは如何(どう)してゐられますかな。028昨日(きのふ)から待(ま)つてゐますが、029お顔(かほ)を見(み)せなさらぬので大変(たいへん)に気(き)を揉(も)んで居(を)ります』
030カールチン『エ、031何(なん)と仰有(おつしや)います。032ユーフテスは昨日(きのふ)来(き)たぢやありませぬか。033大変(たいへん)に頬辺(ほほべた)を抓(つめ)られて顔(かほ)を腫(は)らして居(ゐ)ましたよ。034大変(たいへん)苛(いぢ)めなさつたと云(い)ふ事(こと)ですが、035さう悪戯(いたづら)をするものぢやありませぬぞ。036女(をんな)はヤツパリ女(をんな)らしう為(な)さる方(はう)が床(ゆか)しいですな』
037セーリス姫『この間(あひだ)からユーフテス様(さま)のお顔(かほ)を拝(をが)んだ事(こと)はありませぬ。038そりや何(なに)かのお考(かんが)へ違(ちが)ひでせう。039大方(おほかた)私(わたし)だと思(おも)つて仇志野(あだしの)の古狐(ふるぎつね)にでも弄(もてあそ)ばれて居(ゐ)らつしやつたのでせう。040何(なん)とまア困(こま)つた人(ひと)だなア』
041カールチン『何分(なにぶん)此(この)頃(ごろ)は悪魔(あくま)横行(わうかう)しまして、042彼方(あつち)にも此方(こつち)にも古狸(ふるだぬき)や狐(きつね)が出現(しゆつげん)し、043男(をとこ)を悩(なや)ますと見(み)えますわい。044ワハヽヽヽ』
045セーリス姫『もしもし姉(ねえ)さま、046何(なに)恥(はづ)かしさうに俯向(うつむ)いて居(を)られますの。047あれほど八釜(やかま)しく焦(こが)れて居(ゐ)ながら気(き)の弱(よわ)い、048何(なん)です、049早(はや)く御(ご)挨拶(あいさつ)をなさいませぬか』
050 清照姫(きよてるひめ)、051細(ほそ)い声(こゑ)で恥(はづ)かしさうに、
052清照姫『ハイ』
053と云(い)つたきり益々(ますます)俯向(うつむ)く。
054カールチン『アハヽヽヽ、055余程(よほど)恥(はづ)かしくなつて来(き)たと見(み)えるな。056流石(さすが)はお嬢(ぢやう)さまだ。057いやさうなくては女(をんな)の価値(ねうち)がない。058今時(いまどき)の女(をんな)は男(をとこ)を三文(さんもん)とも思(おも)つてゐないから困(こま)るのだ。059いやズンと気(き)に入(い)つた。060海棠(かいだう)の花(はな)でも雨(あめ)に湿(しめ)つてチツとばかり俯向(うつむ)いて居(ゐ)る所(ところ)に、061得(え)もいはれぬ風情(ふぜい)のあるものだ。062エヘヽヽヽ』
063セーリス姫『もし右守(うもり)さま、064口(くち)から何(なん)だか長(なが)い紐(ひも)が下(さ)がつて居(ゐ)るぢやありませぬか。065早(はや)うお手繰(たぐ)り遊(あそ)ばせ。066姉(ねえ)さまが御覧(ごらん)になつたら、067あまり見(み)つともよくありませぬよ。068ホヽヽヽヽ、069あのまア細(ほそ)い目(め)わいのう。070本当(ほんたう)に右守(うもり)さまも、071姉(ねえ)さまにスウヰートハートして居(を)られると見(み)えますな。072お目出度(めでた)いお目出度(めでた)い。073これ姉(ねえ)さま、074お顔(かほ)を上(あ)げなさらぬか。075何(なん)ですか十二(じふに)か十三(じふさん)の娘(むすめ)の様(やう)に、076そんな気(き)の弱(よわ)い事(こと)で如何(どう)して恋(こひ)が成功(せいこう)しますか。077私(わたし)、078側(そば)に見(み)てゐても本当(ほんたう)にジレツたいわ』
079カールチン『どうやら恥(はづ)かしいと見(み)えるわい。080いやセーリス姫(ひめ)さま、081姉妹(きやうだい)の貴女(あなた)がここに居(ゐ)らつしやると、082姫(ひめ)も気(き)がひけて思(おも)ふ事(こと)も云(い)へないと見(み)えます。083何卒(どうぞ)少(すこ)し席(せき)を外(はづ)して貰(もら)ふ事(こと)は出来(でき)ますまいかな』
084セーリス姫『ホヽヽヽヽ、085それはお易(やす)い御用(ごよう)で厶(ござ)います。086それなら邪魔者(じやまもの)は暫(しばら)く姿(すがた)を隠(かく)しますから、087何卒(どうぞ)シツポリと御(ご)両人(りやうにん)様(さま)お楽(たの)しみ』
088と態(わざ)とにプリンとして見(み)せ、089畳(たたみ)を二(ふた)つ三(み)つボンボンと蹶(け)つて早々(さうさう)に自分(じぶん)の居間(ゐま)へ走(はし)つて行(ゆ)く。
090カールチン『オホヽヽヽ、091何(なん)と面白(おもしろ)いものだなア。092然(しか)し、093あこに云(い)ふに云(い)はれぬ妙味(めうみ)があるのだ。094チツとセーリス姫(ひめ)は俺(おれ)達(たち)のローマンスを妬(や)いてゐると見(み)えるわい。095いやヤスダラ姫(ひめ)殿(どの)、096セーちやまは帰(かへ)りました。097サアもう誰(たれ)に遠慮(ゑんりよ)は入(い)りませぬ。098お顔(かほ)をあげなさい。099さうしてトツクリと将来(しやうらい)の御(ご)相談(さうだん)を遂(と)げておかうぢやありませぬか』
100清照姫『オホヽヽヽ、101好(す)かぬたらしい男(をとこ)だこと、102貴方(あなた)は立派(りつぱ)なイルナ城(じやう)の右守(うもり)様(さま)、103さうして、104テーナ姫(ひめ)様(さま)と云(い)ふ立派(りつぱ)な立派(りつぱ)な牡丹餅(ぼたもち)のやうなお顔(かほ)の奥(おく)さまがあるぢやありませぬか。105私(わたし)の様(やう)な出戻(でもど)りの女(をんな)を捉(とら)へて、106そんな事(こと)仰有(おつしや)いますと、107貴方(あなた)の名誉(めいよ)に関(かか)はるぢやありませぬか。108宜(い)い加減(かげん)におやめなさいませ』
109カールチン『これはしたり、110案(あん)に相違(さうゐ)の姫(ひめ)の御(お)言葉(ことば)、111そんな筈(はず)ではなかつたに。112何(なん)とした変(かは)りやうだらう』
113清照姫『妾(わたし)は些(ちつと)も変(かは)つては居(ゐ)ないのよ。114変(かは)つたのは貴方(あなた)のお心(こころ)ですわ』
115カールチン『イヤ吾々(われわれ)は些(ちつと)も変(かは)つてゐない。116姫(ひめ)の心(こころ)がスツカリ変(かは)つてるぢやないか』
117清照姫『さうですかな。118貴方(あなた)が好(す)きで好(す)きで仕方(しかた)がなかつたのだが、119今日(けふ)は又(また)何(なん)だか知(し)らぬが、120ぞぞ毛(け)が立(た)つ程(ほど)嫌(いや)になりました。121好(す)きな貴方(あなた)が嫌(きら)ひな貴方(あなた)と変(かは)つてゐるのですから、122ヤツパリ本人(ほんにん)は貴方(あなた)でせう。123本人(ほんにん)が変(かは)ればこそ、124相手(あひて)方(がた)の妾(わたし)の目(め)から変(かは)つて見(み)えるのですわ』
125カールチン『そんなこたア如何(どう)でも宜(い)い。126サア愈(いよいよ)今日(けふ)は情約(じやうやく)締結(ていけつ)を致(いた)しませう。127私(わたし)が当城(たうじやう)の主人(しゆじん)刹帝利(せつていり)と今(いま)になりますから、128貴女(あなた)は私(わたし)の正妃(せいひ)、129よもやお不足(ふそく)はありますまい』
130清照姫『妾(わたし)は貴方(あなた)の様(やう)な水臭(みづくさ)いお方(かた)は末(すゑ)の見込(みこみ)が厶(ござ)りませぬから、131嫌(きら)ひで厶(ござ)ります。132昔(むかし)からいろいろと艱難(かんなん)辛苦(しんく)をして、133ヤツと此処(ここ)まで夫婦(ふうふ)が位置(ゐち)を築(きづ)き上(あ)げ、134今(いま)や進(すす)んで刹帝利(せつていり)におなりなさると云(い)ふ所(ところ)で慢心(まんしん)を遊(あそ)ばし、135不人情(ふにんじやう)にも女房(にようばう)を殺(ころ)しにやつた後(あと)で、136妾(わたし)の様(やう)な何(なん)にも経験(けいけん)のない、137つまらぬ女(をんな)を女房(にようばう)にしようと思(おも)ふ様(やう)なお方(かた)は、138私(わたし)絶対(ぜつたい)に嫌(きら)ひで厶(ござ)ります。139又(また)外(ほか)に綺麗(きれい)な方(かた)が見付(みつ)かつたら、140私(わたし)は第二(だいに)のテーナ姫(ひめ)様(さま)にしられて了(しま)ひ、141生命(いのち)をとられるやらも図(はか)られませぬから、142まアそんな剣呑(けんのん)な方(かた)にお相手(あひて)になるのは止(や)めておきませうかい』
143カールチン『今更(いまさら)そんな事(こと)を云(い)つて貰(もら)つちや困(こま)るぢやありませぬか。144大黒主(おほくろぬし)様(さま)から吾々(われわれ)の目的(もくてき)を達成(たつせい)する為(た)めに、145五百騎(ごひやくき)の軍勢(ぐんぜい)を応援(おうゑん)の為(た)め御(ご)派遣(はけん)下(くだ)さるのをば、146貴女(あなた)の希望(きばう)によりお断(ことわ)り申上(まをしあ)げ、147其(その)上(うへ)また味方(みかた)を残(のこ)らず呼(よ)び集(あつ)め、148ハルナの国(くに)へ遠征(ゑんせい)の旅(たび)に出(だ)して了(しま)ひ、149最早(もはや)守(まも)り少(すく)なくなつた此(この)際(さい)、150お前(まへ)さまに尻(いど)を振(ふ)り向(む)けられて、151如何(どう)して此(この)右守司(うもりのかみ)が立(た)ち行(ゆ)きますか。152チツとは推量(すゐりやう)して貰(もら)ひませうかい。153エーン』
154清照姫『ホヽヽヽヽ、155お前(まへ)さまはそんな頓馬(とんま)だから妾(わたし)が嫌(きら)ふのだよ。156女(をんな)にかけたら目(め)も鼻(はな)もないのだから、157本当(ほんたう)に困(こま)つた唐変木(たうへんぼく)だな。158ウフヽヽヽ』
159カールチン『これ、160ヤスダラ姫(ひめ)さま、161腹(はら)の黒(くろ)い。162いゝ加減(かげん)にいちやつかして於(おい)て下(くだ)され。163男冥加(をとこみやうが)につきますぞや』
164 隣(となり)の室(しつ)にはオホンオホンと、165男(をとこ)の咳払(せきばら)ひが聞(きこ)えて来(き)た。166これは黄金姫(わうごんひめ)が二人(ふたり)の掛合(かけあひ)を面白(おもしろ)可笑(をか)しく立聞(たちぎ)きし、167わざとセーラン王(わう)の声色(こわいろ)で咳払(せきばら)ひをして見(み)せたのであつた。168清照姫(きよてるひめ)は小声(こごゑ)になり、
169清照姫『あの通(とほ)り、170襖(ふすま)一(いち)枚(まい)次(つぎ)の間(ま)に王(わう)様(さま)が控(ひか)へて厶(ござ)るのですから、171貴方(あなた)の様(やう)にさうヅケヅケと何(なに)もかも云(い)つて貰(もら)つちや困(こま)るぢやありませぬか。172チと気(き)を付(つ)けて下(くだ)さいな』
173 カールチンは二(ふた)つ三(み)つ首(くび)を縦(たて)に振(ふ)りながら小声(こごゑ)になり、
174カールチン『ウン、175よしよし、176あ! それで分(わか)つた。177何(なん)だか妙(めう)な事(こと)を云(い)ふと思(おも)つたが、178王(わう)が隣室(りんしつ)に居(を)られるので、179あんな事(こと)を云(い)つたのだなア。180よし分(わか)つた。181もう俺(おれ)も諒解(りやうかい)したから心配(しんぱい)して呉(く)れな』
182清照姫『ホヽヽヽ何(なに)が諒解(りやうかい)ですか。183妾(わたし)の様(やう)な女(をんな)を相手(あひて)にせずに、184もつと立派(りつぱ)なお方(かた)にお掛合(かけあひ)遊(あそ)ばせ』
185 斯(か)く云(い)ふ折(をり)しも、186ミルは慌(あわただ)しく走(はし)り来(きた)り、
187ミル『もし右守(うもり)さま、188ヤスダラ姫(ひめ)様(さま)、189今(いま)王(わう)様(さま)とヤスダラ姫(ひめ)と云(い)ふ貴女(あなた)にソツクリのお方(かた)が帰(かへ)られました』
190 カールチンは、
191カールチン『何(なに)、192ヤスダラ姫(ひめ)が帰(かへ)つた。193王(わう)様(さま)がお帰(かへ)り、194ハテ、195如何(どう)したものかな』
196と腕(うで)を組(く)み胡坐(あぐら)をかいて、197暫(しば)し思案(しあん)に沈(しづ)みつつあつた。
198(大正一一・一一・一六 旧九・二八 北村隆光録)
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