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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
第1章 真と偽
第2章 哀別の歌
第3章 楽屋内
第4章 俄狂言
第5章 森の怪
第6章 梟の笑
第2篇 文明盲者
第7章 玉返志
第8章 巡拝
第9章 黄泉帰
第10章 霊界土産
第11章 千代の菊
第3篇 衡平無死
第12章 盲縞
第13章 黒長姫
第14章 天賊
第15章 千引岩
第16章 水車
第17章 飴屋
第4篇 怪妖蟠離
第18章 臭風
第19章 屁口垂
第20章 険学
第21章 狸妻
第22章 空走
第5篇 洗判無料
第23章 盲動
第24章 応対盗
第25章 恋愛観
第26章 姑根性
第27章 胎蔵
余白歌
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霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
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第52巻(卯の巻)
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<<< 序文
(B)
(N)
真と偽 >>>
総説
(
そうせつ
)
代用
(
だいよう
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:
前付
よみ(新仮名遣い):
章:
総説代用
よみ(新仮名遣い):
そうせつだいよう
通し章番号:
口述日:
1923(大正12)年01月29日(旧12月13日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
桃園天皇の御代に、伏見竹田の里北の入り口に、薬師院と銘打った修験者が現れた。祈祷のために訪れた人の身の上を一々的中させるので、それが有難いと信じ込まれて噂が広まり、繁盛したという。
近江の国の百姓直兵衛という者が、年来の眼病で暗室に閉じこもって療養を尽くしたが効験なく、伏見薬師院のことを人づてに聞いて、訪ねることにし、夫婦で旅立った。
伏見の薬師院は群衆が集い、直兵衛夫婦は夕暮れてようやく院主に面会することができた。薬師院は、直兵衛の訴えを聞くと、今夜はここに籠るように勧め、その間に自分が直兵衛の星を見て病を見立てようと答えた。
その夜の八つ時ごろ、院主は白衣で水垢離し、直兵衛夫婦を座らせて祈りだした。やがて曇りがちの空が晴れ渡り、こうこうと星の光まぶしく、北の方から火団が飛んできて地上に墜落した。
直兵衛夫婦は肝をつぶして平伏し様子を見ていると、院主は火団に何事か呪文を唱え、念珠ではっしと撲った。火団は音もなく散乱して消え、中から一羽の白鳩が飛び去った。
院主は威儀を正して直兵衛に向かい、あの火団は汝の属星であり、自分の法力によって降して病の根源を調べた。怪しい光があったので、それを祓い取ったのだ、と告げた。そして薬師夢想の霊薬と称するものを渡し、これを塗れば七日の間に回復するであろうと言い渡した。
直兵衛は喜んで押し頂き、翌朝慇懃に礼を述べて帰国した。しかし眼病は依然として治らなかった。病気は治らなくても、院主の不可思議な法術呼び物となって薬師院は繁盛していたのである。いずれもバラモン教を守護する魔神の所為であることは言うまでもない。
この院主は腕白小僧であったがバラモンの魔神に憑依され、巧みに妖術をもてあそんで一角の祈祷師となり、薬師院快実と名乗って伏見に本拠を構えた。表面には慈悲をまとい、内心は豺狼のごとき野心を蔵し、世の善男善女を欺いたばかりか、禁裏にまで侵入して天下の大事を引き起こそうとしたのである。しかし関白九条直実公のために看破されてついにその身を滅ぼしたという。
邪神は常住不断に妖術または種々の方法手段を講じて天下を乱し、世を暗黒界に落とそうと企みつつあるものである。読者はこの霊界物語を十分に心を潜めて熟読されれば、邪神の悪計姦策がいかなるものか、了知されることであろう。一例を挙げて読者の参考に資することにした次第である。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm520002
愛善世界社版:
3頁
八幡書店版:
第9輯 379頁
修補版:
校定版:
3頁
普及版:
1頁
初版:
ページ備考:
001
桃園
(
ももぞの
)
天皇
(
てんわう
)
の
御宇
(
ぎよう
)
、
002
伏見
(
ふしみ
)
竹田
(
たけだ
)
の
郷
(
さと
)
北
(
きた
)
の
入口
(
いりぐち
)
に、
003
薬師院
(
やくしゐん
)
と
銘
(
めい
)
打
(
う
)
つた
修験者
(
しうげんじや
)
が
現
(
あら
)
はれた。
004
この
者
(
もの
)
の
奇怪
(
きくわい
)
なる
行
(
おこな
)
ひは
端
(
はし
)
なくも
人心
(
じんしん
)
を
驚
(
おどろ
)
かし、
005
遠近
(
ゑんきん
)
聞
(
き
)
き
伝
(
つた
)
へ、
006
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
日々
(
にちにち
)
門前
(
もんぜん
)
に
群集
(
ぐんしふ
)
するもの
踵
(
きびす
)
を
接
(
せつ
)
して
常
(
つね
)
に
市
(
いち
)
をなし、
007
恰
(
あだか
)
も
角力場
(
すまふば
)
のやうに
雑沓
(
ざつたふ
)
することとなつた。
008
その
行術
(
ぎやうじゆつ
)
といふは
七仏
(
しちぶつ
)
薬師
(
やくし
)
の
法
(
はふ
)
と
称
(
とな
)
へ、
009
祈祷者
(
きたうしや
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
語
(
かた
)
ること
一々
(
いちいち
)
符節
(
ふせつ
)
を
合
(
がつ
)
する
如
(
ごと
)
くに
適中
(
てきちう
)
するので、
010
医薬
(
いやく
)
の
整
(
ととの
)
はない
当時
(
たうじ
)
のこととて、
011
人々
(
ひとびと
)
は
奇異
(
きい
)
の
思
(
おも
)
ひをなして、
012
只々
(
ただただ
)
有難
(
ありがた
)
し
有難
(
ありがた
)
しと
訳
(
わけ
)
もなく
信
(
しん
)
じ、
013
その
噂
(
うはさ
)
がそれからそれへと
拡
(
ひろ
)
まり
行
(
ゆ
)
き、
014
京都
(
きやうと
)
からも
三
(
さん
)
里
(
り
)
の
間
(
あひだ
)
を
遠
(
とほ
)
しとせず、
015
徒歩
(
とぼ
)
々々
(
とぼ
)
と
竹田
(
たけだ
)
に
向
(
むか
)
ふもの
引
(
ひ
)
きも
切
(
き
)
らず
繁昌
(
はんじやう
)
した。
016
その
頃
(
ころ
)
、
017
近江国
(
あふみのくに
)
志賀郡
(
しがぐん
)
石田村
(
いしだむら
)
の
百姓
(
ひやくしやう
)
直兵衛
(
なほべゑ
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
が、
018
年来
(
ねんらい
)
の
眼病
(
がんびやう
)
で
左眼
(
さがん
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
い
)
で、
019
光明
(
くわうみやう
)
の
世界
(
せかい
)
から
見放
(
みはな
)
されたかの
様
(
やう
)
に、
020
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
暗室
(
あんしつ
)
に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
り、
021
療養
(
れうやう
)
に
手
(
て
)
を
尽
(
つく
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
022
人
(
ひと
)
の
勧
(
すす
)
めで
美濃国
(
みののくに
)
間島
(
まじま
)
で
名高
(
なだか
)
い
眼科医
(
がんくわい
)
の
治療
(
ちれう
)
を
受
(
う
)
けたけれど
更
(
さら
)
に
効験
(
かうけん
)
なく、
023
家内
(
かない
)
の
愁嘆
(
しうたん
)
のみか、
024
親戚
(
しんせき
)
の
者
(
もの
)
も
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
に
思
(
おも
)
ひ、
025
各地
(
かくち
)
の
神社
(
じんじや
)
仏閣
(
ぶつかく
)
に
祈祷
(
きたう
)
などしたが
一向
(
いつかう
)
に
効
(
かう
)
が
見
(
み
)
えない。
026
この
時
(
とき
)
或
(
ある
)
者
(
もの
)
から
伏見
(
ふしみ
)
薬師院
(
やくしゐん
)
の
事
(
こと
)
を
語
(
かた
)
り
聞
(
き
)
かされた。
027
直兵衛
(
なほべゑ
)
は
心
(
こころ
)
に
喜
(
よろこ
)
びつつ、
028
わが
多年
(
たねん
)
眼病
(
がんびやう
)
に
悩
(
なや
)
まされ、
029
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
痛
(
いた
)
み
加
(
くは
)
はり、
030
闇
(
やみ
)
から
闇
(
やみ
)
へと
長
(
なが
)
の
年月
(
としつき
)
を
暮
(
くら
)
して
来
(
き
)
たので、
031
所詮
(
しよせん
)
助
(
たす
)
かるまいとは
思
(
おも
)
へど、
032
先
(
ま
)
づ
其
(
その
)
薬師院
(
やくしゐん
)
とやらへ
参
(
まゐ
)
り、
033
若
(
も
)
し
治
(
なほ
)
らぬとあらば
愈
(
いよいよ
)
それ
迄
(
まで
)
と
諦
(
あきら
)
め、
034
死
(
し
)
して
罪障
(
ざいしやう
)
の
消滅
(
せうめつ
)
を
図
(
はか
)
らむと、
035
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し
哀
(
あは
)
れげに
語
(
かた
)
らひながら
妻子
(
さいし
)
と
共
(
とも
)
に
旅
(
たび
)
の
用意
(
ようい
)
を
整
(
ととの
)
へた。
036
庭
(
には
)
はまだ
薄暗
(
うすぐら
)
い
暁
(
あかつき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びて
村
(
むら
)
を
立出
(
たちい
)
で、
037
途中
(
とちう
)
輿
(
こし
)
を
傭
(
やと
)
ひ、
038
露
(
つゆ
)
深
(
ふか
)
き
草路
(
くさみち
)
を
踏
(
ふ
)
み
別
(
わ
)
け、
039
叢
(
くさむら
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
を
聞
(
き
)
きながら、
040
急
(
いそ
)
ぎに
急
(
いそ
)
いで
伏見
(
ふしみ
)
の
薬師院
(
やくしゐん
)
に
着
(
つ
)
き、
041
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
院主
(
ゐんしゆ
)
に
面会
(
めんくわい
)
せむとしたが、
042
引
(
ひ
)
き
切
(
き
)
れない
程
(
ほど
)
の
群集
(
ぐんしふ
)
に
妨
(
さまた
)
げられて、
043
暫
(
しばら
)
く
台所
(
だいどころ
)
へ
差控
(
さしひか
)
へてゐた。
044
其
(
その
)
日
(
ひ
)
も
早
(
はや
)
夕映
(
ゆふばえ
)
して
山
(
やま
)
の
彼方
(
あなた
)
を
彩
(
いろど
)
り
初
(
そ
)
めた
頃
(
ころ
)
、
045
遉
(
さすが
)
は
忙
(
せは
)
しかつた
参詣人
(
さんけいにん
)
も
次第
(
しだい
)
に
散
(
さん
)
じたので、
046
直兵衛
(
なほべゑ
)
は
左眼
(
さがん
)
を
押
(
おさ
)
へて
怖
(
おそ
)
る
怖
(
おそ
)
る
院主
(
ゐんしゆ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
み、
047
『
私
(
わたし
)
は
近江国
(
あふみのくに
)
石田
(
いしだ
)
在
(
ざい
)
の
百姓
(
ひやくしやう
)
直兵衛
(
なほべゑ
)
といふもので、
048
当年
(
たうねん
)
三十七
(
さんじふしち
)
歳
(
さい
)
になるのですが、
049
今
(
いま
)
から
六年前
(
ろくねんぜん
)
、
050
不図
(
ふと
)
したことより
左眼
(
さがん
)
を
病
(
や
)
み、
051
朝夕
(
あさゆふ
)
に
痛
(
いた
)
みは
激
(
はげ
)
しくなり
増
(
ま
)
し、
052
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
此
(
この
)
様
(
やう
)
に
眼球
(
めだま
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
053
風
(
かぜ
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
もなりませぬ。
054
何卒
(
どうぞ
)
奇
(
く
)
しき
御
(
ご
)
祈祷
(
きたう
)
が
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
したい。
055
併
(
しか
)
しこの
眼
(
め
)
が
元
(
もと
)
のものになるやうとは
願
(
ねが
)
ひませぬ。
056
せめて
痛
(
いた
)
みだけなりと
止
(
と
)
まる
様
(
やう
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
したく、
057
罷
(
まか
)
り
出
(
い
)
でました』
058
と
潜々
(
さめざめ
)
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
頼
(
たの
)
み
込
(
こ
)
んだ。
059
院主
(
ゐんしゆ
)
は
始終
(
しじう
)
を
聞
(
き
)
きながら、
060
『
如何
(
いか
)
さまそれは
難儀
(
なんぎ
)
なことであろう。
061
今宵
(
こよひ
)
は
此処
(
ここ
)
に
籠
(
こも
)
らつしやい。
062
吾
(
われ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
の
行術
(
ぎやうじゆつ
)
がある。
063
汝
(
なんぢ
)
が
星
(
ほし
)
を
見
(
み
)
て、
064
その
病
(
やまひ
)
が
治
(
なほ
)
るか
治
(
なほ
)
らぬかを
答
(
こた
)
へて
上
(
あ
)
げよう』
065
と
言
(
い
)
はれて、
066
直兵衛
(
なほべゑ
)
夫婦
(
ふうふ
)
はその
儘
(
まま
)
院内
(
いんない
)
に
一泊
(
いつぱく
)
することとなつた。
067
その
夜
(
よ
)
の
八
(
や
)
つ
時
(
どき
)
と
思
(
おぼ
)
しき
時
(
とき
)
、
068
院主
(
ゐんしゆ
)
は
白衣姿
(
びやくえすがた
)
で
井戸側
(
ゐどばた
)
に
立
(
た
)
つて
幾度
(
いくたび
)
か
水
(
みづ
)
を
浴
(
あ
)
びて
後
(
のち
)
、
069
仏前
(
ぶつぜん
)
に
灯明
(
とうみやう
)
を
点
(
とも
)
しつつ、
070
夫婦
(
ふうふ
)
の
者
(
もの
)
を
縁側
(
えんがは
)
に
跪坐
(
きざ
)
させ
置
(
お
)
き、
071
呪文
(
じゆもん
)
高
(
たか
)
らかに
念珠
(
ねんじゆ
)
を
爪繰
(
つまぐ
)
り、
072
天
(
てん
)
の
一方
(
いつぱう
)
を
仰
(
あふ
)
いで
頻
(
しき
)
りに
祈
(
いの
)
り
出
(
だ
)
した。
073
やがて
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
雲脚
(
くもあし
)
急
(
せ
)
はしく
曇
(
くも
)
り
勝
(
が
)
ちの
空
(
そら
)
が
拭
(
ぬぐ
)
ふが
如
(
ごと
)
く
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り、
074
煌々
(
かうかう
)
たる
星
(
ほし
)
の
光
(
ひか
)
り
眩
(
まぶ
)
しく、
075
一陣
(
いちぢん
)
の
風
(
かぜ
)
が
襟元
(
えりもと
)
を
襲
(
おそ
)
うたかと
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
しも、
076
北
(
きた
)
の
方
(
はう
)
から
一団
(
いちだん
)
の
火光
(
くわくわう
)
飛来
(
ひらい
)
して
地上
(
ちじやう
)
に
墜落
(
つゐらく
)
し、
077
その
音
(
おと
)
恰
(
あだか
)
も
雷霆
(
らいてい
)
のそれの
如
(
ごと
)
くであつた。
078
夫婦
(
ふうふ
)
は
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し
這
(
こ
)
はそも
如何
(
いか
)
に、
079
さても
不可思議
(
ふかしぎ
)
なる
現象
(
げんしやう
)
よと
戦慄
(
をのの
)
きつつ
縁板
(
えんいた
)
の
上
(
うへ
)
に
平伏
(
へいふく
)
して
居
(
ゐ
)
る。
080
院主
(
ゐんしゆ
)
はその
時
(
とき
)
彼
(
か
)
の
火団
(
くわだん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
081
何事
(
なにごと
)
か
暫
(
しばら
)
く
呪文
(
じゆもん
)
を
唱
(
とな
)
へ、
082
念珠
(
ねんじゆ
)
を
揚
(
あ
)
げて
発矢
(
はつし
)
と
撲
(
なぐ
)
ると、
083
其
(
その
)
火団
(
くわだん
)
は
音
(
おと
)
もなく
散乱
(
さんらん
)
して
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せ、
084
中
(
なか
)
から
一羽
(
いちは
)
の
白鳩
(
しろはと
)
が
鼓翼
(
はばた
)
きして
飛
(
と
)
び
去
(
さ
)
つた。
085
院主
(
ゐんしゆ
)
はやがて
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
ただ
)
し
直兵衛
(
なほべゑ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
086
『
汝
(
なんぢ
)
は
最前
(
さいぜん
)
より
一箇
(
いつこ
)
の
火光団
(
くわくわうだん
)
を
見
(
み
)
たであらう、
087
あれこそ
汝
(
なんぢ
)
の
属星
(
ぞくせい
)
ぢや。
088
今
(
いま
)
わが
法力
(
ほふりき
)
に
依
(
よ
)
つて、
089
汝
(
なんぢ
)
の
属星
(
ぞくせい
)
を
降
(
くだ
)
して
病
(
やまひ
)
の
根元
(
こんげん
)
を
調
(
しら
)
べしに、
090
如何
(
いか
)
にも
其
(
その
)
星
(
ほし
)
には
怪
(
あや
)
しき
光
(
ひかり
)
があつたから、
091
その
光
(
ひかり
)
を
祓
(
はら
)
ひ
除
(
と
)
つてやつたのだ。
092
日
(
ひ
)
ならずして
汝
(
なんぢ
)
の
眼病
(
がんびやう
)
も
全快
(
ぜんくわい
)
するであらう。
093
是
(
これ
)
ぞ
即
(
すなは
)
ち
七仏
(
しちぶつ
)
薬師
(
やくし
)
の
加持
(
かぢ
)
の
奇瑞
(
きずゐ
)
ぢや。
094
但
(
ただ
)
しここに
薬師
(
やくし
)
夢想
(
むさう
)
の
霊薬
(
れいやく
)
がある。
095
之
(
これ
)
を
一二服
(
いちにふく
)
与
(
あた
)
へるから、
096
この
薬
(
くすり
)
を
一
(
いち
)
日
(
にち
)
に
二回
(
にくわい
)
づつ
左眼
(
さがん
)
に
塗
(
ぬ
)
れば、
097
七日
(
なぬか
)
の
間
(
あひだ
)
には
大方
(
おほかた
)
不思議
(
ふしぎ
)
のことがあるだらう』
098
と
右
(
みぎ
)
の
薬
(
くすり
)
を
取
(
と
)
つて
与
(
あた
)
へた。
099
直兵衛
(
なほべゑ
)
の
悦
(
よろこ
)
びは
一方
(
ひとかた
)
ならず、
100
幾度
(
いくたび
)
か
押戴
(
おしいただ
)
いて
納
(
をさ
)
め、
101
翌朝
(
よくてう
)
慇懃
(
いんぎん
)
に
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べて
帰国
(
きこく
)
した。
102
然
(
しか
)
しその
眼病
(
がんびやう
)
は
依然
(
いぜん
)
として
治
(
なほ
)
らなかつたけれども、
103
院主
(
ゐんしゆ
)
の
不可思議
(
ふかしぎ
)
なる
法術
(
はふじゆつ
)
が
呼
(
よ
)
びものとなつて
薬師院
(
やくしゐん
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
繁昌
(
はんじやう
)
した。
104
何
(
いづ
)
れもバラモン
教
(
けう
)
を
守護
(
しゆご
)
せる
魔神
(
まがみ
)
の
所為
(
しよゐ
)
なることは
言
(
い
)
ふまでもないことである。
105
この
院主
(
ゐんしゆ
)
は
幼名
(
えうめい
)
佐吉
(
さきち
)
といふ
小賢
(
こざか
)
しい
腕白
(
わんぱく
)
小僧
(
こぞう
)
であつたが、
106
バラモンの
魔神
(
まがみ
)
に
憑依
(
ひようい
)
され、
107
巧
(
たくみ
)
に
妖術
(
えうじゆつ
)
を
弄
(
もてあそ
)
びて
一角
(
いつかど
)
の
祈祷師
(
きたうし
)
となり
了
(
おほ
)
せた
後
(
のち
)
、
108
伏見
(
ふしみ
)
竹田
(
たけだ
)
の
郷
(
さと
)
に
本陣
(
ほんぢん
)
を
構
(
かま
)
へて、
109
薬師院
(
やくしゐん
)
快実
(
くわいじつ
)
と
名乗
(
なの
)
り、
110
表面
(
へうめん
)
には
慈悲
(
じひ
)
忍辱
(
にんにく
)
の
衣
(
ころも
)
を
装
(
よそほ
)
ひ、
111
その
内心
(
ないしん
)
は
豺狼
(
さいらう
)
の
如
(
ごと
)
き
野心
(
やしん
)
を
蔵
(
ざう
)
し、
112
世
(
よ
)
の
善男
(
ぜんなん
)
善女
(
ぜんによ
)
を
欺
(
あざむ
)
きしのみか、
113
畏
(
かしこ
)
くも
禁裡
(
きんり
)
にまで
侵入
(
しんにふ
)
して
天下
(
てんか
)
の
大事
(
だいじ
)
を
惹
(
ひ
)
き
起
(
おこ
)
さむとし、
114
辛
(
から
)
うじて
九条
(
くでう
)
関白
(
くわんばく
)
直実公
(
なほざねこう
)
のために
看破
(
かんぱ
)
せられ、
115
終
(
つひ
)
にその
身
(
み
)
を
滅
(
ほろぼ
)
したるは
隠
(
かく
)
れたる
史実
(
しじつ
)
である。
116
邪神
(
じやしん
)
は
常住
(
じやうぢゆう
)
不断
(
ふだん
)
に
妖術
(
えうじゆつ
)
又
(
また
)
は
種々
(
いろいろ
)
の
方法
(
はうはふ
)
手段
(
しゆだん
)
を
講
(
かう
)
じて、
117
天下
(
てんか
)
を
乱
(
みだ
)
し
世
(
よ
)
を
暗黒界
(
あんこくかい
)
に
堕
(
おと
)
さむと
企
(
たく
)
みつつあるものである。
118
読者
(
どくしや
)
は
此
(
この
)
霊界
(
れいかい
)
物語
(
ものがたり
)
を
充分
(
じうぶん
)
に
心
(
こころ
)
を
潜
(
ひそ
)
めて
熟読
(
じゆくどく
)
せらるれば、
119
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
口述
(
こうじゆつ
)
せし
五十二
(
ごじふに
)
巻
(
くわん
)
の
物語中
(
ものがたりちう
)
に
於
(
おい
)
て、
120
邪神
(
じやしん
)
の
悪計
(
あくけい
)
奸策
(
かんさく
)
の
如何
(
いか
)
なるものかを
了知
(
れうち
)
さるる
事
(
こと
)
でありませう。
121
五十二
(
ごじふに
)
巻
(
くわん
)
の
口述
(
こうじゆつ
)
終了
(
しうれう
)
に
際
(
さい
)
し、
122
一例
(
いちれい
)
を
挙
(
あ
)
げて
読者
(
どくしや
)
の
参考
(
さんかう
)
に
資
(
し
)
する
事
(
こと
)
と
致
(
いた
)
しました。
123
大正十二年二月十日 旧十一年十二月廿五日
124
於教主殿 王仁識
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 序文
(B)
(N)
真と偽 >>>
霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第52巻(卯の巻)
> 前付 > 総説代用
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