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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
第1章 真と偽
第2章 哀別の歌
第3章 楽屋内
第4章 俄狂言
第5章 森の怪
第6章 梟の笑
第2篇 文明盲者
第7章 玉返志
第8章 巡拝
第9章 黄泉帰
第10章 霊界土産
第11章 千代の菊
第3篇 衡平無死
第12章 盲縞
第13章 黒長姫
第14章 天賊
第15章 千引岩
第16章 水車
第17章 飴屋
第4篇 怪妖蟠離
第18章 臭風
第19章 屁口垂
第20章 険学
第21章 狸妻
第22章 空走
第5篇 洗判無料
第23章 盲動
第24章 応対盗
第25章 恋愛観
第26章 姑根性
第27章 胎蔵
余白歌
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真善美愛(第49~60巻)
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第52巻(卯の巻)
> 第4篇 怪妖蟠離 > 第21章 狸妻
<<< 険学
(B)
(N)
空走 >>>
第二一章
狸妻
(
りさい
)
〔一三五七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:
第4篇 怪妖蟠離
よみ(新仮名遣い):
かいようばんり
章:
第21章 狸妻
よみ(新仮名遣い):
りさい
通し章番号:
1357
口述日:
1923(大正12)年02月10日(旧12月25日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
四人は美しい奥の一間に導かれた。ガリヤは終始注意の眼であたりの不可解な光景を凝視していた。初と徳は、その場に現れた高宮姫を見て、どことなく高姫に似ていると首をひねっている。
高宮姫は、杢助が高宮彦となり、初と徳が奪い返してきた曲輪の神力によって、このような壮麗な城郭ができあがり、自分も若返ったのだと初と徳に自慢げに説明した。初は、杢助と高姫の仕打ちに文句を言うが、この曲輪城の左守と右守に任じるという高宮彦・高宮姫の言にすっかり有頂天になり、手なづけられてしまった。
高宮姫は、左守の妻は初稚姫、右守の妻は宮野姫と決められていると告げた。ケースは不服を言い、職務と結婚は別だと言い出した。そこで次の間に控えている初稚姫と宮野姫に、それぞれ言い寄って夫婦を決めることになった。
徳公は、考えてみれば、また狸にだまされているようでここは怪しいと注意をした。ガリヤは目がくらんですっかり高宮彦を信じてしまっている。そこへ四五人の美人が現れ、その中のサベル姫が徳公に言い寄ってきた。
徳公は、サベル姫の容貌に目がくらみ、目じりを下げてサベル姫の居間に導かれてしまった。そこへ四人の美人がやってきて、徳公の体に食らいつく。徳公は、体をかじられて血を吸われているのにもkがつかず、良い気分になり、しかし段々青くなってぐったりと寝てしまった。
ガリヤは心の中に神言を称えながら、警戒しつつ呆けたような顔を装って様子を考えていた。高宮姫はガリヤをうまく説きつけようと全力を尽くし、副城主の地位をもちかけた。ガリヤは副城主の地位に未練があるふりをして高宮姫を安心させた。
いつの間にか高宮彦がいなくなっていたので、後を追って高宮姫も出て行った。後にガリヤ一人が居間に残された。ガリヤが考え込んでいると、さきほどのサベル姫がやってきて、徳公は嫌になったとガリヤに色目を使う。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-12-18 18:05:42
OBC :
rm5221
愛善世界社版:
251頁
八幡書店版:
第9輯 469頁
修補版:
校定版:
260頁
普及版:
112頁
初版:
ページ備考:
001
ガリヤ、
002
ケース、
003
初
(
はつ
)
、
004
徳
(
とく
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
005
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
美女
(
びぢよ
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
006
美
(
うる
)
はしき
広
(
ひろ
)
き
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
に
請
(
しやう
)
ぜられた。
007
ケースは
何
(
なん
)
となく、
008
女
(
をんな
)
の
美
(
うる
)
はしさと
殿内
(
でんない
)
の
荘厳
(
そうごん
)
さに
打
(
う
)
たれて
呆気
(
あつけ
)
に
取
(
と
)
られてゐる。
009
ガリヤは
始終
(
しじう
)
注意
(
ちゆうい
)
の
眼
(
まなこ
)
を
放
(
はな
)
つて、
010
四辺
(
あたり
)
の
不可解
(
ふかかい
)
な
光景
(
くわうけい
)
を
凝視
(
ぎようし
)
してゐた。
011
初
(
はつ
)
、
012
徳
(
とく
)
両人
(
りやうにん
)
は
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
城主
(
じやうしゆ
)
高宮彦
(
たかみやひこ
)
及
(
およ
)
び
高宮姫
(
たかみやひめ
)
の
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
現
(
あら
)
はれたのを
見
(
み
)
て、
013
余程
(
よほど
)
容貌
(
ようばう
)
は
変
(
かは
)
つて
居
(
を
)
れども、
014
どこともなく、
015
高宮姫
(
たかみやひめ
)
は
小北山
(
こぎたやま
)
で
見
(
み
)
た
高姫
(
たかひめ
)
に
似
(
に
)
てゐるので、
016
しきりに
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けてゐた。
017
高宮姫
(
たかみやひめ
)
は
初
(
はつ
)
、
018
徳
(
とく
)
を
見
(
み
)
て
打笑
(
うちわら
)
ひ、
019
高姫
『ホホホホホ、
020
初
(
はつ
)
さま、
021
徳
(
とく
)
さま、
022
これには
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りましただらう。
023
高宮彦
(
たかみやひこ
)
といふのは
杢助
(
もくすけ
)
さまだよ。
024
そして
高宮姫
(
たかみやひめ
)
はかう
若
(
わか
)
く
見
(
み
)
えてもヤツパリ
高姫
(
たかひめ
)
だよ。
025
お
前
(
まへ
)
が
取
(
と
)
つて
来
(
き
)
てくれた
曲輪
(
まがわ
)
の
神力
(
しんりき
)
に
依
(
よ
)
つて、
026
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
荘厳
(
さうごん
)
美麗
(
びれい
)
なる
城廓
(
じやうくわく
)
が
瞬
(
またた
)
く
間
(
うち
)
に
出来上
(
できあが
)
がり、
027
又
(
また
)
妾
(
わたし
)
の
容貌
(
ようばう
)
が
元
(
もと
)
の
十八
(
じふはち
)
に
返
(
かへ
)
り、
028
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
き
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
なる
美人
(
びじん
)
となつたのも
曲輪
(
まがわ
)
の
神力
(
しんりき
)
だよ。
029
お
前
(
まへ
)
はよいことをしてくれましたねえ』
030
初
(
はつ
)
『
貴女
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
私
(
わたし
)
たちに
骨
(
ほね
)
を
折
(
を
)
らせておきながら、
031
怪志
(
あやし
)
の
森
(
もり
)
からドロンと
消
(
き
)
えて
了
(
しま
)
ひ、
032
足
(
あし
)
の
立
(
た
)
たない
両人
(
りやうにん
)
を
置去
(
おきざ
)
りにした
上
(
うへ
)
、
033
石
(
いし
)
をぶつかけて
逃
(
に
)
げるとは、
034
チツとひどいですな。
035
初
(
はつ
)
は
恨
(
うら
)
んで
居
(
ゐ
)
ましたよ』
036
高姫
『ホホホホホ、
037
お
前
(
まへ
)
の
度胸
(
どきよう
)
を
試
(
ため
)
してみたのだよ。
038
サ、
039
之
(
これ
)
からお
前
(
まへ
)
は
此
(
この
)
城
(
しろ
)
の
大番頭
(
おほばんとう
)
だ。
040
忠実
(
ちうじつ
)
に
御用
(
ごよう
)
をしなさい。
041
初
(
はつ
)
は
左守
(
さもり
)
、
042
徳
(
とく
)
は
右守
(
うもり
)
だ、
043
ねえ
高宮彦
(
たかみやひこ
)
さま、
044
それでよいでせう』
045
妖幻
(
えうげん
)
『
何事
(
なにごと
)
も
女王
(
ぢよわう
)
の
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
に
任
(
まか
)
しませう。
046
女帝
(
によてい
)
崇拝
(
すうはい
)
の
現代
(
げんだい
)
だから、
047
仕方
(
しかた
)
がないワイ、
048
アハハハハ』
049
初
(
はつ
)
『
思
(
おも
)
ひ
掛
(
がけ
)
なき
抜擢
(
ばつてき
)
に
預
(
あづ
)
かりまして、
050
まるで
初公
(
はつこう
)
は
狸
(
たぬき
)
につままれたやうな
気分
(
きぶん
)
が
致
(
いた
)
します』
051
高姫
『コレ
初公
(
はつこう
)
、
052
否
(
いな
)
初司
(
はつつかさ
)
、
053
狸
(
たぬき
)
につままれたやうだとは、
054
何
(
なん
)
といふ
不謹慎
(
ふきんしん
)
なことを
仰有
(
おつしや
)
る。
055
ここは
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
で
厶
(
ござ
)
るぞや。
056
決
(
けつ
)
して
曲津
(
まがつ
)
などは
近寄
(
ちかよ
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
057
今後
(
こんご
)
は
心得
(
こころえ
)
なされ』
058
徳
(
とく
)
『
私
(
わたし
)
は
異数
(
いすう
)
の
抜擢
(
ばつてき
)
に
与
(
あづか
)
りまして、
059
右守
(
うもり
)
と
任
(
にん
)
ぜられ、
060
身
(
み
)
にあまる
光栄
(
くわうえい
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
061
これと
申
(
まを
)
すも、
062
全
(
まつた
)
く
吾々
(
われわれ
)
が
命
(
いのち
)
がけの
大活動
(
だいくわつどう
)
を
致
(
いた
)
し、
063
曲輪
(
まがわ
)
の
玉
(
たま
)
を
取返
(
とりかへ
)
して
来
(
き
)
た
其
(
その
)
酬
(
むく
)
いで
厶
(
ござ
)
いますれば、
064
徳
(
とく
)
が
右守
(
うもり
)
となつたとて、
065
余
(
あま
)
り
出世
(
しゆつせ
)
のし
過
(
す
)
ぎでも
厶
(
ござ
)
いませぬ。
066
当然
(
たうぜん
)
の
所得
(
しよとく
)
として
謹
(
つつし
)
んでお
受
(
う
)
けを
致
(
いた
)
します』
067
妖幻
(
えうげん
)
『アハハハハ、
068
喜
(
よろこ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのか
不足
(
ふそく
)
を
云
(
い
)
つてるのか、
069
チツとも
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
らぬぢやないか。
070
怪体
(
けつたい
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
だなア』
071
徳
『
何分
(
なにぶん
)
狸
(
たぬき
)
と
相撲
(
すまふ
)
とり、
072
鼬
(
いたち
)
に
屁
(
へ
)
はかがされ、
073
精神
(
せいしん
)
に
異状
(
いじやう
)
を
来
(
きた
)
したと
見
(
み
)
えまして、
074
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
ぐることが
前後
(
ぜんご
)
矛盾
(
むじゆん
)
、
075
自家
(
じか
)
撞着
(
どうちやく
)
の
傾
(
かたむ
)
きが
厶
(
ござ
)
いませう。
076
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
曲輪城
(
まがわじやう
)
ですから、
077
本気
(
ほんき
)
で
徳公
(
とくこう
)
もお
受
(
う
)
けは
出来
(
でき
)
ませぬ、
078
アハハハハ』
079
高姫
(
たかひめ
)
は
柳眉
(
りうび
)
を
逆立
(
さかだ
)
て、
080
高姫
『コレ
徳
(
とく
)
、
081
お
前
(
まへ
)
は
右守
(
うもり
)
に
任
(
にん
)
じて
貰
(
もら
)
ひながら、
082
左様
(
さやう
)
な
挨拶
(
あいさつ
)
を
致
(
いた
)
すのは、
083
吾々
(
われわれ
)
を
侮辱
(
ぶじよく
)
してるのぢやないかい。
084
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
でなければ
右守
(
うもり
)
が
勤
(
つと
)
まらぬといふのではない。
085
それなら
今
(
いま
)
から
取消
(
とりけ
)
します。
086
其
(
その
)
代
(
かは
)
りとして、
087
ケースに
願
(
ねが
)
ひませう』
088
ケース『ハイ、
089
右守
(
うもり
)
でも
結構
(
けつこう
)
です。
090
何
(
なん
)
なら
左守
(
さもり
)
も
兼
(
か
)
ねても
宜
(
よろ
)
しう
厶
(
ござ
)
います』
091
高姫
『
両方
(
りやうはう
)
といふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬ。
092
ヤツパリ
貴方
(
あなた
)
は
右守
(
うもり
)
を
勤
(
つと
)
めて
下
(
くだ
)
さい。
093
就
(
つ
)
いては
右守
(
うもり
)
、
094
左守
(
さもり
)
とも
夫婦
(
ふうふ
)
相並
(
あひなら
)
んで
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
さねばならぬ。
095
左守
(
さもり
)
の
妻
(
つま
)
には
初稚姫
(
はつわかひめ
)
、
096
右守
(
うもり
)
の
妻
(
つま
)
には
宮野姫
(
みやのひめ
)
ときまつて
居
(
を
)
りますれば、
097
やがて
盛大
(
せいだい
)
なる
結婚式
(
けつこんしき
)
を
取行
(
とりおこな
)
ふことに
致
(
いた
)
しませう』
098
初
(
はつ
)
『エヘヘヘヘ、
099
まるで
夢
(
ゆめ
)
のやうだ。
100
オイ、
101
ケース、
102
初公
(
はつこう
)
に
失礼
(
しつれい
)
、
103
すみまへんな』
104
ケース『ウーン、
105
もし
高宮姫
(
たかみやひめ
)
さま、
106
左守
(
さもり
)
、
107
右守
(
うもり
)
といふことは
之
(
これ
)
は
職名
(
しよくめい
)
でせう。
108
人間
(
にんげん
)
を
又
(
また
)
人間
(
にんげん
)
として
各自
(
かくじ
)
に
夫婦
(
ふうふ
)
を
選
(
えら
)
むのが
至当
(
したう
)
ぢやありませぬか。
109
女
(
をんな
)
を
左守
(
さもり
)
、
110
右守
(
うもり
)
の
職名
(
しよくめい
)
の
附属物
(
ふぞくぶつ
)
にするとは、
111
チツと
変
(
へん
)
なものですな。
112
これだけは
自由
(
じいう
)
結婚
(
けつこん
)
にして
頂
(
いただ
)
きたいものです。
113
もしそれが
出来
(
でき
)
ねば、
114
ケースを
左守
(
さもり
)
にして
貰
(
もら
)
ひたいものです』
115
高姫
『
然
(
しか
)
らば
宮野姫
(
みやのひめ
)
、
116
初稚姫
(
はつわかひめ
)
両人
(
りやうにん
)
を
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
控
(
ひか
)
へさしておきますから、
117
ケースに
初公
(
はつこう
)
は
自由
(
じいう
)
に
妻
(
つま
)
をお
選
(
えら
)
びなさいませ。
118
又
(
また
)
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
にも
考
(
かんが
)
へがありませうから、
119
両方
(
りやうはう
)
から
水火
(
いき
)
の
合
(
あ
)
うたものが
夫婦
(
ふうふ
)
になれば、
120
極
(
きは
)
めて
円満
(
ゑんまん
)
に
暮
(
くら
)
されるでせうよ』
121
ケース
『イヤ、
122
よく
分
(
わか
)
りました。
123
オイ
初公
(
はつこう
)
、
124
サア
之
(
これ
)
から
選挙
(
せんきよ
)
競争
(
きやうそう
)
だ。
125
中原
(
ちうげん
)
の
鹿
(
しか
)
は
誰
(
たれ
)
の
手
(
て
)
におちるか、
126
ここが
一
(
ひと
)
つ
獅子
(
しし
)
奮迅
(
ふんじん
)
の
活動
(
くわつどう
)
舞台
(
ぶたい
)
だ。
127
ケースの
俺
(
おれ
)
は
上杉
(
うへすぎ
)
謙信
(
けんしん
)
だ。
128
貴様
(
きさま
)
は
武田
(
たけだ
)
信玄
(
しんげん
)
だ。
129
川中島
(
かはなかじま
)
を
隔
(
へだ
)
てて、
130
いよいよ
女房
(
にようばう
)
の
争奪戦
(
さうだつせん
)
だ、
131
イヒヒヒヒ』
132
徳
(
とく
)
『オイ
初公
(
はつこう
)
、
133
ケース、
134
徳
(
とく
)
と
考
(
かんが
)
へりやチツとここは
怪
(
あや
)
しいぞ。
135
又
(
また
)
狸
(
たぬき
)
につままれて、
136
ドブへはめられなよ。
137
なア ガリヤ、
138
此
(
この
)
立派
(
りつぱ
)
な
宮殿
(
きうでん
)
のやうに
見
(
み
)
えてるが、
139
どうやらすると
草
(
くさ
)
つ
原
(
ぱら
)
が
見
(
み
)
えるやうですな。
140
かう
見
(
み
)
えて
居
(
を
)
つても、
141
ヤツパリ
狸
(
たぬき
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
かも
知
(
し
)
れませぬで』
142
ガリヤ『ナアニ、
143
そんなことがあらうか、
144
結構
(
けつこう
)
な
曲輪城
(
まがわじやう
)
の
御殿
(
ごてん
)
だ。
145
杢助
(
もくすけ
)
さまに
高姫
(
たかひめ
)
さま、
146
初稚姫
(
はつわかひめ
)
さままでが
厶
(
ござ
)
るのだもの、
147
そんな
心配
(
しんぱい
)
はするものでないワ』
148
徳
『ヘエー、
149
妙
(
めう
)
ですな』
150
かく
言
(
い
)
つてゐる
所
(
ところ
)
へ
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
、
151
盛装
(
せいさう
)
を
凝
(
こ
)
らして
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
152
一人
(
ひとり
)
の
女
(
をんな
)
は
徳公
(
とくこう
)
の
首玉
(
くびたま
)
に
喰
(
くら
)
ひつき、
153
柔
(
やはら
)
かい
頬
(
ほほ
)
を
顔
(
かほ
)
ににじりつけて、
154
女
『あのマア
徳
(
とく
)
さまの
良
(
よ
)
い
男
(
をとこ
)
、
155
あたえ、
156
こんな
気
(
き
)
の
利
(
き
)
いた
気骨
(
きこつ
)
のある
人
(
ひと
)
は、
157
まだ
見
(
み
)
たことがないワ、
158
ねえ
四
(
よ
)
人
(
にん
)
のお
方
(
かた
)
』
159
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
一時
(
いちじ
)
にうなづく。
160
徳公
(
とくこう
)
に
喰
(
くら
)
ひついた
女
(
をんな
)
は
名
(
な
)
をサベル
姫
(
ひめ
)
といふ。
161
サベル姫
『
徳
(
とく
)
さま、
162
そんな
六
(
む
)
つかしい
小理窟
(
こりくつ
)
をいはずに
私
(
わたし
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
来
(
き
)
て
頂戴
(
ちやうだい
)
ね。
163
お
前
(
まへ
)
は
狸
(
たぬき
)
と
相撲
(
すまふ
)
とつたでせう。
164
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
妄念
(
まうねん
)
が
残
(
のこ
)
つてゐて、
165
何
(
なに
)
もかも
狸
(
たぬき
)
に
見
(
み
)
えるのですよ。
166
あたえかて、
167
そんな
恐
(
おそ
)
ろしい
狸
(
たぬき
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
にはよう
居
(
を
)
りませぬワ。
168
あたえが
居
(
ゐ
)
ること
思
(
おも
)
へば、
169
狸
(
たぬき
)
の
巣
(
す
)
ぢやありますまい。
170
浮木
(
うきき
)
の
森
(
もり
)
のランチ
将軍
(
しやうぐん
)
様
(
さま
)
の
陣営
(
ぢんえい
)
の
跡
(
あと
)
ですもの、
171
サ
参
(
まゐ
)
りませう、
172
サベルと
一緒
(
いつしよ
)
に』
173
徳
(
とく
)
は
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて、
174
暫
(
しばら
)
く
思案
(
しあん
)
をしてゐたが、
175
サベル
姫
(
ひめ
)
の
容貌
(
ようばう
)
は
何
(
ど
)
うしても
捨
(
す
)
て
難
(
がた
)
く
思
(
おも
)
はれ、
176
たうとう
恋
(
こひ
)
の
曲者
(
くせもの
)
に
捉
(
とら
)
はれて、
177
目尻
(
めじり
)
を
下
(
さ
)
げ、
178
サベル
姫
(
ひめ
)
の
居間
(
ゐま
)
に
導
(
みちび
)
かれて
行
(
ゆ
)
く。
179
徳
(
とく
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
一間
(
ひとま
)
に
請
(
しやう
)
ぜられ、
180
サベル
姫
(
ひめ
)
と
共
(
とも
)
に、
181
喋々
(
てふてふ
)
喃々
(
なんなん
)
として
甘
(
あま
)
き
囁
(
ささや
)
きを
続
(
つづ
)
けてゐた。
182
そこへ
以前
(
いぜん
)
の
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
美人
(
びじん
)
、
183
ドアを
開
(
あ
)
けて
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り、
184
四人の美人
『アレマア
姉
(
ねえ
)
さま、
185
色男
(
いろをとこ
)
の
独占
(
どくせん
)
はチツと
残酷
(
ざんこく
)
ですワ。
186
私
(
わたし
)
も
徳
(
とく
)
さまの
女房
(
にようばう
)
になります……あたえも……わらはも……』
187
と
四方
(
しはう
)
より
徳
(
とく
)
一
(
いち
)
人
(
にん
)
の
体
(
からだ
)
に
喰
(
くら
)
ひ
付
(
つ
)
き、
188
耳
(
みみ
)
を
舐
(
な
)
めたり、
189
手
(
て
)
を
舐
(
な
)
めたりして
恋
(
こひ
)
しがる。
190
徳公
(
とくこう
)
は
魂
(
たましひ
)
が
有頂天
(
うちやうてん
)
となつて、
191
耳
(
みみ
)
を
咬
(
か
)
み
取
(
と
)
られ、
192
指
(
ゆび
)
を
噛
(
かじ
)
られて
居
(
ゐ
)
るのも、
193
少
(
すこ
)
しも
痛痒
(
つうよう
)
を
感
(
かん
)
ぜず、
194
口
(
くち
)
を
立方形
(
りつぽうけい
)
にあけて
涎
(
よだれ
)
をくつてゐる。
195
耳
(
みみ
)
や
爪先
(
つまさき
)
から
血
(
ち
)
をチウチウと
吸
(
す
)
はれて
段々
(
だんだん
)
青
(
あを
)
くなり、
196
よい
気分
(
きぶん
)
になつて、
197
ぐつたりと
寝
(
ね
)
て
了
(
しま
)
つた。
198
ガリヤは
何処
(
どこ
)
までも
此
(
この
)
正体
(
しやうたい
)
を
見届
(
みとど
)
けねばおかぬと、
199
一分
(
いつぷん
)
の
間
(
ま
)
も
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
にて
神言
(
かみごと
)
をきらさず
称
(
とな
)
へながら、
200
呆
(
はう
)
けたやうな
面
(
つら
)
をして
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へてゐた。
201
高宮姫
(
たかみやひめ
)
は……このガリヤは
容易
(
ようい
)
に
喰
(
く
)
へぬ
奴
(
やつ
)
だ、
202
此奴
(
こいつ
)
をうまく
説
(
と
)
き
付
(
つ
)
けねばなるまい……と
全力
(
ぜんりよく
)
を
尽
(
つく
)
してゐる。
203
高姫
『ガリヤさま、
204
貴方
(
あなた
)
はバラモン
教
(
けう
)
でも
智勇
(
ちゆう
)
兼備
(
けんび
)
の
勇士
(
ゆうし
)
と
承
(
うけたま
)
はりましたが、
205
何
(
なん
)
とはなしに
威風
(
ゐふう
)
凛々
(
りんりん
)
として
四辺
(
あたり
)
を
払
(
はら
)
ふ
御
(
ご
)
人格者
(
じんかくしや
)
で
厶
(
ござ
)
いますねえ。
206
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
吾
(
わが
)
夫
(
をつと
)
高宮彦
(
たかみやひこ
)
さまも、
207
お
前
(
まへ
)
を
自分
(
じぶん
)
の
代理
(
だいり
)
にしたいものだと、
208
それはそれは
懇望
(
こんまう
)
して
居
(
を
)
られますよ。
209
どうか
副城主
(
ふくじやうしゆ
)
になつて
下
(
くだ
)
さる
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬだらうか』
210
ガリヤは
詐
(
いつは
)
つて
承諾
(
しようだく
)
し、
211
一切
(
いつさい
)
の
様子
(
やうす
)
を
突
(
つ
)
きとめむと
思
(
おも
)
ひ、
212
ワザと
嬉
(
うれ
)
しさうな
声
(
こゑ
)
で、
213
ガリヤ
『
私
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
不調法
(
ぶてうはふ
)
な
者
(
もの
)
が、
214
何
(
ど
)
うしてそんな
尊
(
たふと
)
いお
役
(
やく
)
が
勤
(
つと
)
まりませうか。
215
身分
(
みぶん
)
不相応
(
ふさうおう
)
なことを
致
(
いた
)
して
後
(
あと
)
で
失敗
(
しくじ
)
るよりも、
216
一兵卒
(
いつぺいそつ
)
として
低
(
ひく
)
う
仕
(
つか
)
へるのが、
217
私
(
わたし
)
の
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
に
最
(
もつと
)
も
安全
(
あんぜん
)
で
厶
(
ござ
)
います。
218
何卒
(
どうぞ
)
そればかりは
平
(
ひら
)
に
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かうむ
)
りませう』
219
高姫
『そんな
廻
(
まは
)
りくどい
辞令
(
じれい
)
を
用
(
もち
)
ゐるよりも、
220
本当
(
ほんたう
)
のことを
言
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
221
お
前
(
まへ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つてもヤツパリ
副城主
(
ふくじやうしゆ
)
の
方
(
はう
)
がお
望
(
のぞ
)
みでせう。
222
此
(
この
)
忙
(
いそが
)
しい
時節
(
じせつ
)
に、
223
そんな
探
(
さぐ
)
るやうなことをいはずに、
224
素直
(
すなほ
)
に
承諾
(
しようだく
)
なさるが
宜
(
よろ
)
しからう』
225
ガリヤ
『
私
(
わたし
)
のやうな
者
(
もの
)
が、
226
そんな
役
(
やく
)
になれば、
227
世間
(
せけん
)
の
人間
(
にんげん
)
は
狸
(
たぬき
)
が
化
(
ば
)
けたと
言
(
い
)
ふでせう。
228
狇猴
(
もくこう
)
が
冠
(
かむり
)
したと
笑
(
わら
)
ふでせう。
229
併
(
しか
)
しながら
人
(
ひと
)
は
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
はば
云
(
い
)
へ、
230
吾
(
わが
)
心根
(
しんこん
)
は
神
(
かみ
)
のみぞ
知
(
し
)
る……と
云
(
い
)
ふ
譬
(
たとへ
)
も
厶
(
ござ
)
いますれば、
231
喜
(
よろこ
)
んでお
受
(
う
)
けを
致
(
いた
)
しませう』
232
高姫
『
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
233
それでこそお
前
(
まへ
)
も
男
(
をとこ
)
があがる。
234
高宮彦
(
たかみやひこ
)
さまも
嘸
(
さぞ
)
お
喜
(
よろこ
)
びでせうねえ』
235
と
後
(
あと
)
振向
(
ふりむ
)
けば、
236
高宮彦
(
たかみやひこ
)
は
最早
(
もはや
)
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
姿
(
すがた
)
は
見
(
み
)
えなかつた。
237
高宮姫
(
たかみやひめ
)
は、
238
高姫(高宮姫)
『アレまあ』
239
と
驚
(
おどろ
)
きの
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
ち、
240
ガリヤを
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
し、
241
慌
(
あわただ
)
しく
夫
(
をつと
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
る。
242
あとにガリヤは
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
吐息
(
といき
)
を
漏
(
も
)
らして、
243
どうしても
此処
(
ここ
)
は
魔窟
(
まくつ
)
に
違
(
ちが
)
ひない。
244
何
(
なん
)
とかして
暴露
(
ばくろ
)
させてくれむものと
考
(
かんが
)
へ
込
(
こ
)
んでゐた。
245
そこへドアを
押開
(
おしあ
)
け
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
る
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
があつた。
246
これはサベル
姫
(
ひめ
)
である。
247
ガリヤは、
248
ガリヤ
『ああ
貴女
(
あなた
)
はサベル
姫
(
ひめ
)
さま、
249
こんな
所
(
ところ
)
へお
越
(
こ
)
しになると、
250
徳公
(
とくこう
)
さまが
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
みますよ、
251
ハハハハハ』
252
サベル姫
『ホホホホホ、
253
あたえ、
254
徳公
(
とくこう
)
さまが
嫌
(
きら
)
ひで
嫌
(
きら
)
ひでたまらなくつて、
255
逃
(
に
)
げて
来
(
き
)
ましたのよ。
256
あたえのラブしてゐるのは、
257
ガの
字
(
じ
)
のつくお
方
(
かた
)
ですワ、
258
ホホホホホ』
259
と
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
に
袖
(
そで
)
をあてて
俯
(
うつむ
)
く。
260
(
大正一二・二・一〇
旧一一・一二・二五
松村真澄
録)
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