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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
第1章 真と偽
第2章 哀別の歌
第3章 楽屋内
第4章 俄狂言
第5章 森の怪
第6章 梟の笑
第2篇 文明盲者
第7章 玉返志
第8章 巡拝
第9章 黄泉帰
第10章 霊界土産
第11章 千代の菊
第3篇 衡平無死
第12章 盲縞
第13章 黒長姫
第14章 天賊
第15章 千引岩
第16章 水車
第17章 飴屋
第4篇 怪妖蟠離
第18章 臭風
第19章 屁口垂
第20章 険学
第21章 狸妻
第22章 空走
第5篇 洗判無料
第23章 盲動
第24章 応対盗
第25章 恋愛観
第26章 姑根性
第27章 胎蔵
余白歌
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真善美愛(第49~60巻)
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第52巻(卯の巻)
> 第2篇 文明盲者 > 第7章 玉返志
<<< 梟の笑
(B)
(N)
巡拝 >>>
第七章
玉返志
(
たまかへし
)
〔一三四三〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
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王仁DB
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主な登場人物
[?]
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備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
文字数:
OBC :
rm5207
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
小北山
(
こぎたやま
)
の
受付
(
うけつけ
)
には、
002
文助
(
ぶんすけ
)
爺
(
ぢい
)
さまが
初
(
はつ
)
、
003
徳
(
とく
)
の
両人
(
りやうにん
)
にしたたか
頭
(
あたま
)
をかち
割
(
わ
)
られ、
004
それから
発熱
(
はつねつ
)
して
床
(
とこ
)
につき、
005
時々
(
ときどき
)
囈言
(
うはごと
)
を
云
(
い
)
ひ、
006
大勢
(
おほぜい
)
の
信者
(
しんじや
)
や
役員
(
やくゐん
)
が
頭
(
あたま
)
を
悩
(
なや
)
ましてゐる。
007
そして
魔我彦
(
まがひこ
)
は
不在
(
ふざい
)
なり、
008
初
(
はつ
)
、
009
徳
(
とく
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
遁走
(
とんそう
)
し、
010
俄
(
にはか
)
に
運用
(
うんよう
)
機関
(
きくわん
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
停止
(
ていし
)
の
厄
(
やく
)
に
遭
(
あ
)
うた。
011
お
菊
(
きく
)
は
勝気
(
かちき
)
な
女
(
をんな
)
とて、
012
受付
(
うけつけ
)
兼
(
けん
)
神殿係
(
しんでんがかり
)
を
兼務
(
けんむ
)
し、
013
参詣
(
さんけい
)
して
来
(
く
)
る
病人
(
びやうにん
)
の
祈願
(
きぐわん
)
をなし、
014
或
(
あるひ
)
は
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
かせ、
015
又
(
また
)
受付
(
うけつけ
)
に
現
(
あら
)
はれて、
016
目
(
め
)
も
廻
(
まは
)
るばかりの
多忙
(
たばう
)
を
極
(
きは
)
めて
居
(
を
)
つた。
017
お
菊
(
きく
)
はホツと
持
(
も
)
て
余
(
あま
)
し、
018
体
(
からだ
)
は
縄
(
なは
)
のやうになつて、
019
チツとばかり
愚痴
(
ぐち
)
り
出
(
だ
)
した。
020
お菊
『あああ、
021
受付
(
うけつけ
)
と
云
(
い
)
ふ
役
(
やく
)
は
何
(
なん
)
でもないものだ、
022
遊
(
あそ
)
び
半分
(
はんぶん
)
に
何時
(
いつ
)
も
文助
(
ぶんすけ
)
さまが
絵
(
ゑ
)
を
描
(
か
)
いてゐる。
023
之
(
これ
)
も
用
(
よう
)
がなくて
暇
(
ひま
)
潰
(
つぶ
)
しにやつてゐるのだらうと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたが、
024
中々
(
なかなか
)
自分
(
じぶん
)
がやつて
見
(
み
)
ると
忙
(
いそが
)
しいものだ。
025
鎮魂
(
ちんこん
)
もしてやらねばならず、
026
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
もせなならず、
027
ホンにホンに
文助
(
ぶんすけ
)
さまも
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だつたなア。
028
何卒
(
どうぞ
)
早
(
はや
)
く
治
(
なほ
)
つてくれれば
可
(
い
)
いに、
029
これ
丈
(
だけ
)
そこら
中
(
ぢう
)
に
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いてるのに、
030
花
(
はな
)
摘
(
つ
)
みに
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
やしない。
031
そこへ
又
(
また
)
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
越
(
こ
)
しになつたものだから、
032
松姫
(
まつひめ
)
さまは
忙
(
いそが
)
しいのでチツとも
手伝
(
てつだ
)
うては
下
(
くだ
)
さらず、
033
お
千代
(
ちよ
)
さまもお
宮
(
みや
)
のお
給仕
(
きふじ
)
やなんかで
忙
(
いそが
)
しいさうだし、
034
本当
(
ほんたう
)
に
厭
(
いや
)
になつちまつた。
035
せめて
魔我
(
まが
)
さまなつと
帰
(
かへ
)
つてくればよいのに、
036
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
だな。
037
万公
(
まんこう
)
さまも
万公
(
まんこう
)
さまだ、
038
何処
(
どこ
)
を
一体
(
いつたい
)
彷徨
(
うろつ
)
いてるのだらう。
039
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
りや
可
(
い
)
いに、
040
そしたら
又
(
また
)
惚
(
ほ
)
れたやうな
顔
(
かほ
)
をして、
041
退屈
(
たいくつ
)
ざましに
嬲
(
なぶ
)
つてやるのだけれどなア。
042
あああ
仕方
(
しかた
)
がないワ、
043
何程
(
なにほど
)
きばつた
所
(
ところ
)
で、
044
先繰
(
せんぐ
)
り
先繰
(
せんぐ
)
り
婆
(
ばば
)
、
045
嬶
(
かか
)
がやつて
来
(
く
)
るのだから、
046
お
菊
(
きく
)
さまもやり
切
(
き
)
れない。
047
一
(
ひと
)
つここらで
昼寝
(
ひるね
)
でもやつたらうかなア。
048
此
(
この
)
夜
(
よ
)
の
短
(
みじか
)
い
日
(
ひ
)
の
永
(
なが
)
いのに、
049
睡
(
ね
)
ぶつたくて
仕様
(
しやう
)
がないワ。
050
椿
(
つばき
)
の
花
(
はな
)
でさへも
居睡
(
ゐねむ
)
つて、
051
ボトリボトリと
首
(
くび
)
を
抜
(
ぬ
)
かして
溜池
(
ためいけ
)
の
鮒
(
ふな
)
を
脅
(
おびや
)
かし、
052
水面
(
すいめん
)
を
真赤
(
まつか
)
に
染
(
そ
)
めてゐる。
053
私
(
わし
)
だつて
生物
(
いきもの
)
だから、
054
チツとは
休養
(
きうやう
)
もせなくちや
叶
(
かな
)
ふまい』
055
と
独言
(
ひとりごと
)
を
言
(
い
)
ひながら、
056
グツと
眠
(
ねむ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
057
そこへ、
058
六十
(
ろくじふ
)
許
(
ばか
)
りの
爺
(
おやぢ
)
が
十二三
(
じふにさん
)
の
娘
(
むすめ
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
ひ、
059
トボトボとやつて
来
(
き
)
た。
060
爺
(
おやぢ
)
『ハイ、
061
御免
(
ごめん
)
なさいませ、
062
私
(
わたし
)
はつひ
近在
(
きんざい
)
の
首陀
(
しゆだ
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
063
娘
(
むすめ
)
が
喉
(
のど
)
に
鯛
(
たひ
)
の
骨
(
ほね
)
か
何
(
なに
)
かを
立
(
た
)
てまして、
064
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
え、
065
息
(
いき
)
が
切
(
き
)
れさうになつて
居
(
を
)
ります。
066
何卒
(
どうぞ
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
で
除
(
と
)
つて
頂
(
いただ
)
くことは
出来
(
でき
)
ますまいかなア』
067
居眠
(
ゐねむ
)
つてゐたお
菊
(
きく
)
はフツと
目
(
め
)
をさまし、
068
お菊
『ウニヤ ウニヤ ウニヤ ウニヤ、
069
ようお
出
(
い
)
でなさいませ、
070
随分
(
ずいぶん
)
日
(
ひ
)
の
永
(
なが
)
いこつて
厶
(
ござ
)
いますな。
071
モウ
何時
(
なんどき
)
ですか』
072
爺
(
おやぢ
)
『まだ
四
(
よ
)
つ
時
(
どき
)
で
厶
(
ござ
)
います。
073
至急
(
しきふ
)
に
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
したい
事
(
こと
)
が
厶
(
ござ
)
いますので、
074
お
世話
(
せわ
)
に
預
(
あづ
)
かりたいと
思
(
おも
)
ひ
参
(
まゐ
)
りました。
075
之
(
これ
)
は
私
(
わたくし
)
の
孫
(
まご
)
で
厶
(
ござ
)
いますが、
076
喉
(
のど
)
に
何
(
なん
)
だか
立
(
た
)
ちまして、
077
困
(
こま
)
りますので
鎮魂
(
ちんこん
)
とやらをして
貰
(
もら
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
きませぬだらうかな』
078
お菊
『ヘー、
079
宜
(
よろ
)
しい、
080
併
(
しか
)
し
住所
(
ぢゆうしよ
)
姓名
(
せいめい
)
を
伺
(
うかが
)
ひます』
081
爺
(
おやぢ
)
『ハイ、
082
住所
(
ぢゆうしよ
)
姓名
(
せいめい
)
は
後
(
あと
)
から
申上
(
まをしあ
)
げます。
083
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
孫娘
(
まごむすめ
)
が
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
で
厶
(
ござ
)
いますから、
084
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
をして
頂
(
いただ
)
きたいもので
厶
(
ござ
)
います』
085
お菊
『それなら
特別
(
とくべつ
)
を
以
(
もつ
)
て、
086
先
(
さき
)
にする
手続
(
てつづき
)
を
後
(
あと
)
にし、
087
お
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
しませう。
088
併
(
しか
)
しながら
此
(
この
)
子
(
こ
)
の
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
きませぬと、
089
願
(
ねが
)
ふ
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませぬワ』
090
爺
(
おやぢ
)
『それは
御尤
(
ごもつと
)
もで
厶
(
ござ
)
います。
091
娘
(
むすめ
)
の
名
(
な
)
は
滝野
(
たきの
)
と
申
(
まを
)
します』
092
お菊
『ハイ
宜
(
よろ
)
しい、
093
サア
此方
(
こちら
)
へ
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
なさい。
094
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
に
願
(
ねが
)
へば
直様
(
すぐさま
)
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいます。
095
サ、
096
お
爺
(
ぢい
)
さま、
097
お
上
(
あが
)
りなさい』
098
爺
(
おやぢ
)
『
甚
(
はなは
)
だ
申
(
まを
)
し
兼
(
か
)
ねますが、
099
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
草鞋
(
わらぢ
)
をはいて
居
(
を
)
りますから、
100
足
(
あし
)
が
汚
(
よご
)
れて
居
(
を
)
ります。
101
何卒
(
どうぞ
)
娘
(
むすめ
)
だけ
上
(
あ
)
げて
下
(
くだ
)
さいませ』
102
と
背中
(
せなか
)
から
下
(
おろ
)
した。
103
娘
(
むすめ
)
は
転
(
ころ
)
げるやうにして、
104
お
菊
(
きく
)
が
願
(
ねが
)
ふ
祭壇
(
さいだん
)
の
前
(
まへ
)
に
行
(
い
)
つた。
105
お
菊
(
きく
)
は
紫
(
むらさき
)
の
袴
(
はかま
)
を
着
(
つ
)
け、
106
白
(
しろ
)
い
着物
(
きもの
)
の
上
(
うへ
)
に
格衣
(
かくい
)
を
羽織
(
はお
)
つて
中啓
(
ちうけい
)
を
持
(
も
)
ち、
107
恭
(
うやうや
)
しく
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
108
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らした。
109
お
菊
(
きく
)
が
熱湯
(
ねつたう
)
の
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
しての
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
の
祈願
(
きぐわん
)
も
容易
(
ようい
)
に
効
(
かう
)
顕
(
あら
)
はれず、
110
娘
(
むすめ
)
は
益々
(
ますます
)
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
えるばかりである。
111
お
千代
(
ちよ
)
は
用
(
よう
)
のすきまに
階段
(
かいだん
)
を
下
(
くだ
)
つて
受付
(
うけつけ
)
へ
来
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
112
怪
(
あや
)
しい
爺
(
ぢい
)
が
庭
(
には
)
の
隈
(
すみ
)
に
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
してしやがんでゐる。
113
神殿
(
しんでん
)
を
見
(
み
)
れば、
114
お
菊
(
きく
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らしてゐた。
115
お
千代
(
ちよ
)
は
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て、
116
お千代
『
受付
(
うけつけ
)
はサツパリ
空屋
(
あきや
)
だ。
117
どれ
暫
(
しばら
)
く
私
(
わたし
)
が
代理
(
だいり
)
を
勤
(
つと
)
めておかうか』
118
と
云
(
い
)
ひながら、
119
受付
(
うけつけ
)
にチヨコナンと
坐
(
すわ
)
つてみた。
120
そこへ
坂路
(
さかみち
)
を
登
(
のぼ
)
つて、
121
息
(
いき
)
をスースー
喘
(
はづ
)
ませながら
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
がやつて
来
(
き
)
た。
122
これはイク、
123
サールの
両人
(
りやうにん
)
である。
124
イク『
御免
(
ごめん
)
なさい、
125
私
(
わたくし
)
は
祠
(
ほこら
)
の
森
(
もり
)
のイク、
126
サールといふ
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
います。
127
もしや
初稚姫
(
はつわかひめ
)
様
(
さま
)
はスマートといふ
犬
(
いぬ
)
を
連
(
つ
)
れてお
立寄
(
たちより
)
になつては
居
(
を
)
りませぬか』
128
お千代
『それはようお
出
(
い
)
でなさいました。
129
マア
御
(
ご
)
一服
(
いつぷく
)
なさいませ。
130
夜前
(
やぜん
)
からお
見
(
み
)
えになつて
居
(
を
)
りますが、
131
お
母
(
かあ
)
さまと
何
(
なん
)
だか
御
(
お
)
話
(
はなし
)
がはづんで
居
(
を
)
ります。
132
何
(
いづ
)
れ
手
(
て
)
があきましたら
御
(
お
)
知
(
し
)
らせ
致
(
いた
)
しますから、
133
此
(
この
)
境内
(
けいだい
)
のお
宮様
(
みやさま
)
を
一遍
(
いつぺん
)
、
134
御
(
ご
)
巡拝
(
じゆんぱい
)
なさいませ』
135
イク
『イヤ
有難
(
ありがた
)
う、
136
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
参拝
(
さんぱい
)
さして
頂
(
いただ
)
きませう。
137
オイ、
138
サール、
139
まだ
十二三
(
じふにさん
)
らしいが
随分
(
ずいぶん
)
しつかりしたものだね。
140
小北山
(
こぎたやま
)
はこんな
小
(
ちひ
)
さい
子供
(
こども
)
で
受付
(
うけつけ
)
が
出来
(
でき
)
るのだから、
141
大
(
たい
)
したものだよ。
142
イルやハルの
奴
(
やつ
)
、
143
偉
(
えら
)
さうに
受付面
(
うけつけづら
)
を
晒
(
さら
)
しよつて
酒
(
さけ
)
ばかり
喰
(
くら
)
ひ、
144
筆先
(
ふでさき
)
だとかいつて
紙
(
かみ
)
ばかり
使
(
つか
)
ひよつて、
145
日
(
ひ
)
の
暮
(
く
)
れるのばかりを
待
(
ま
)
つてゐるサボ
先生
(
せんせい
)
とはえらい
違
(
ちがひ
)
だなア』
146
サール
『
本当
(
ほんたう
)
に
感心
(
かんしん
)
だ。
147
コレ
受付
(
うけつけ
)
さま、
148
お
前
(
まへ
)
さまの
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ひますか』
149
お千代
『
私
(
わたし
)
の
名
(
な
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
何
(
なん
)
となさるのですか。
150
別
(
べつ
)
に
用
(
よう
)
がないぢやありませぬか』
151
サール
『イヤもう
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました、
152
それならモウお
伺
(
うかが
)
ひ
致
(
いた
)
しませぬワ』
153
イク
『ハハハハ、
154
サール、
155
とうと、
156
やられよつたな。
157
恥
(
はぢ
)
を
知
(
し
)
れよ』
158
サール
『
貴様
(
きさま
)
なんだ、
159
肝腎
(
かんじん
)
の
水晶玉
(
すいしやうだま
)
を
犬
(
いぬ
)
にとられたぢやないか。
160
犬
(
いぬ
)
かと
思
(
おも
)
へばド
狸
(
たぬき
)
につままれよつて、
161
スコタンを
喰
(
く
)
はされ、
162
おまけに
悪口
(
あくこう
)
雑言
(
ざふごん
)
を
浴
(
あ
)
びせかけられ、
163
よい
恥
(
はぢ
)
をさらしたぢやないか、
164
偉
(
えら
)
さうに
言
(
い
)
ふまいぞ』
165
イク
『そりやお
互
(
たがひ
)
さまだ、
166
こんな
所
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て、
167
そんな
馬鹿
(
ばか
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
があるかい』
168
お千代
『
何
(
なん
)
とマアお
前
(
まへ
)
さま
達
(
たち
)
は、
169
どこともなしに
空気
(
くうき
)
のぬけた
面
(
つら
)
をしてますね。
170
今
(
いま
)
聞
(
き
)
きますれば
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
られたとか
仰有
(
おつしや
)
いましたが、
171
本当
(
ほんたう
)
にラムネの
玉落
(
たまおち
)
みたいなお
方
(
かた
)
ですねえ、
172
ホホホ』
173
イク『ヤ、
174
此奴
(
こいつ
)
ア
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
ります、
175
お
面
(
めん
)
、
176
お
小手
(
こて
)
、
177
お
胴
(
どう
)
といかれてけつかる。
178
ヤアこはいこはい、
179
サ、
180
サール
行
(
い
)
かう』
181
サール
『オイ
一寸
(
ちよつと
)
待
(
ま
)
て、
182
此
(
この
)
爺
(
ぢい
)
さまは、
183
怪
(
あや
)
しいぢやないか。
184
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るとビリビリ
慄
(
ふる
)
うてゐるぞ』
185
イク
『ホンにけつ
体
(
たい
)
な
爺
(
ぢい
)
さまだなア。
186
オイ
爺
(
ぢい
)
さま、
187
お
前
(
まへ
)
一体
(
いつたい
)
何処
(
どこ
)
から
参
(
まゐ
)
つたのだい』
188
爺
(
おやぢ
)
『
何卒
(
どうぞ
)
、
189
そんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さるな。
190
孫
(
まご
)
が
大変
(
たいへん
)
な
病気
(
びやうき
)
にかかつて
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
るので、
191
今
(
いま
)
ここへ
願
(
ねが
)
つて
貰
(
もら
)
ひに
来
(
き
)
たのだよ。
192
病気
(
びやうき
)
にさはるから、
193
お
前
(
まへ
)
さまは
早
(
はや
)
くお
宮
(
みや
)
さまへ
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
なさい』
194
イク
『オイ、
195
サール、
196
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
へ
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
が
肝腎
(
かんじん
)
だ、
197
サ
参
(
まゐ
)
らう』
198
と
云
(
い
)
ひながら、
199
受付
(
うけつけ
)
を
立
(
た
)
つて
沢山
(
たくさん
)
の
宮
(
みや
)
を
一々
(
いちいち
)
巡拝
(
じゆんぱい
)
し
始
(
はじ
)
めた。
200
お
菊
(
きく
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
頼
(
たの
)
んでゐる。
201
娘
(
むすめ
)
は
次第
(
しだい
)
に
苦
(
くる
)
しみ
悶
(
もだ
)
えだし、
202
喉
(
のど
)
につまつた
鯛
(
たひ
)
の
骨
(
ほね
)
はますます
深
(
ふか
)
くおち
込
(
こ
)
んだものか、
203
息
(
いき
)
が
殆
(
ほとん
)
どつまり、
204
無我
(
むが
)
夢中
(
むちう
)
になつて
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
み
出
(
だ
)
した。
205
お
千代
(
ちよ
)
は
吃驚
(
びつくり
)
して、
206
側
(
そば
)
へよつて
見
(
み
)
れば、
207
大
(
おほ
)
きな
狸
(
たぬき
)
の
尾
(
を
)
が
娘
(
むすめ
)
の
尻
(
しり
)
からみえてゐる。
208
此奴
(
こいつ
)
は
化物
(
ばけもの
)
に
相違
(
さうゐ
)
ないと、
209
早速
(
さつそく
)
外
(
そと
)
へ
飛出
(
とびだ
)
し、
210
イク、
211
サールの
両人
(
りやうにん
)
を「
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く」と
手招
(
てまね
)
きした。
212
両人
(
りやうにん
)
は
何事
(
なにごと
)
か
急用
(
きふよう
)
が
出来
(
でき
)
たらしいと、
213
巡拝
(
じゆんぱい
)
を
半
(
なかば
)
にして
打切
(
うちき
)
り、
214
後
(
あと
)
から
拝
(
をが
)
む
事
(
こと
)
とし、
215
スタスタと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
216
今
(
いま
)
まで
受付
(
うけつけ
)
の
横
(
よこ
)
に
慄
(
ふる
)
うてゐた
爺
(
おやじ
)
の
姿
(
すがた
)
は
何時
(
いつ
)
しか
消
(
き
)
えて、
217
妙齢
(
めうれい
)
の
美人
(
びじん
)
が
坐
(
すわ
)
つてゐる。
218
二人
(
ふたり
)
はどつかで
見
(
み
)
た
事
(
こと
)
のある
女
(
をんな
)
だと
思
(
おも
)
ひながら、
219
お
千代
(
ちよ
)
に
跟
(
つ
)
いて
神殿
(
しんでん
)
に
進
(
すす
)
み、
220
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
221
娘
(
むすめ
)
は
益々
(
ますます
)
苦
(
くる
)
しみ
出
(
だ
)
した。
222
お
千代
(
ちよ
)
は
娘
(
むすめ
)
の
背中
(
せなか
)
を、
223
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
うてポンポンと
二
(
ふた
)
つ
叩
(
たた
)
いた
拍子
(
ひやうし
)
に、
224
クワツと
音
(
おと
)
がして
飛出
(
とびだ
)
したのは
鯛
(
たひ
)
の
骨
(
ほね
)
でもなく、
225
直径
(
ちよくけい
)
一寸
(
いつすん
)
許
(
ばか
)
りの
水晶玉
(
すいしやうだま
)
であつた。
226
一同
(
いちどう
)
はアツと
驚
(
おどろ
)
く
間
(
ま
)
もなく、
227
娘
(
むすめ
)
は
忽
(
たちま
)
ち
古狸
(
ふるだぬき
)
となり、
228
受付
(
うけつけ
)
に
居
(
を
)
つた
女
(
をんな
)
も
亦
(
また
)
同
(
おな
)
じく
大狸
(
おほだぬき
)
となつて、
229
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
山越
(
やまご
)
しに
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
230
イク『ヤア
畜生
(
ちくしやう
)
、
231
ザマを
見
(
み
)
い、
232
ウマク
俺
(
おれ
)
をチヨロまかして、
233
水晶玉
(
すいしやうだま
)
を
盗
(
ぬす
)
みよつて、
234
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて
喉
(
のど
)
につまり、
235
仕方
(
しかた
)
がないものだから、
236
こんな
所
(
ところ
)
へ
化
(
ば
)
けて
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
ひに
来
(
き
)
よつたのだな。
237
ヤア
今度
(
こんど
)
は
確
(
しつ
)
かり
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けなくちやならないぞ。
238
ヤア
娘
(
むすめ
)
さま、
239
貴女
(
あなた
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
宝
(
たから
)
が
元
(
もと
)
へ
帰
(
かへ
)
りました、
240
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
241
イク
重
(
へ
)
にも
御
(
お
)
礼
(
れい
)
申
(
まを
)
します』
242
千代
(
ちよ
)
『
貴方
(
あなた
)
、
243
狸
(
たぬき
)
と
御
(
ご
)
親類
(
しんるゐ
)
で
厶
(
ござ
)
いますか、
244
どうして
又
(
また
)
あの
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
られたのです?』
245
イク
『イヤ、
246
お
話
(
はな
)
し
申
(
まを
)
せば
恥
(
はづ
)
かしう
厶
(
ござ
)
いますが、
247
此
(
この
)
玉
(
たま
)
の
手
(
て
)
に
入
(
い
)
つた
由来
(
ゆらい
)
から、
248
取
(
と
)
られた
因縁
(
いんねん
)
を
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げねばお
疑
(
うたが
)
ひが
晴
(
は
)
れますまい。
249
それでは
逐一
(
ちくいち
)
申上
(
まをしあ
)
げます』
250
と
狸
(
たぬき
)
に
騙
(
だま
)
されて
水晶玉
(
すいしやうだま
)
を
取
(
と
)
られた
顛末
(
てんまつ
)
を
詳細
(
しやうさい
)
に
物語
(
ものがた
)
つた。
251
お
千代
(
ちよ
)
とお
菊
(
きく
)
は
転
(
こ
)
けて
笑
(
わら
)
つた。
252
お菊
『アレマア、
253
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
254
狸
(
たぬき
)
に
御
(
ご
)
祈祷
(
きたう
)
を
頼
(
たの
)
まれたのだワ。
255
何
(
なん
)
だか
耳
(
みみ
)
が
動
(
うご
)
くと
思
(
おも
)
うて
居
(
を
)
つたのよ。
256
お
千代
(
ちよ
)
さまのお
蔭
(
かげ
)
で、
257
狸
(
たぬき
)
も
助
(
たす
)
かり、
258
私
(
わたし
)
も
助
(
たす
)
かりましたワ。
259
モウ
此
(
この
)
上
(
うへ
)
お
祈
(
いの
)
りをしようものなら、
260
息
(
いき
)
が
切
(
き
)
れる
所
(
ところ
)
でしたワ』
261
サール
『オイ、
262
イク、
263
貴様
(
きさま
)
に
持
(
も
)
たしておくと、
264
どうも
剣呑
(
けんのん
)
だ、
265
今度
(
こんど
)
は
俺
(
おれ
)
が
持
(
も
)
つて
行
(
ゆ
)
くから
此方
(
こちら
)
へ
渡
(
わた
)
せ』
266
イク
『メメ
滅相
(
めつさう
)
な、
267
俺
(
おれ
)
が
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
つたら
可
(
い
)
いぢやないか。
268
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
慌
(
あわ
)
て
者
(
もの
)
に
持
(
も
)
たしておくと
気
(
き
)
が
気
(
き
)
でならぬワ。
269
マア
子供
(
こども
)
は
大人
(
おとな
)
に
一任
(
いちにん
)
した
方
(
はう
)
が
安全
(
あんぜん
)
だよ』
270
サール
『ヘン、
271
仰有
(
おつしや
)
いますワイ。
272
何卒
(
どうぞ
)
狸
(
たぬき
)
に
取
(
と
)
られぬ
様
(
やう
)
に
確
(
しつ
)
かり
御
(
ご
)
監督
(
かんとく
)
を
願
(
ねが
)
ひますよ。
273
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
274
神前
(
しんぜん
)
に
御
(
お
)
礼
(
れい
)
を
申
(
まを
)
しませう』
275
と
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は
横縦陣
(
わうじうぢん
)
を
作
(
つく
)
り、
276
赤心
(
まごころ
)
を
籠
(
こ
)
めて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
感謝
(
かんしや
)
祈願
(
きぐわん
)
の
詞
(
じ
)
を
奏上
(
そうじやう
)
した。
277
イク『
妖怪
(
えうくわい
)
に
騙
(
だま
)
し
取
(
と
)
られた
宝玉
(
はうぎよく
)
も
278
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
吾
(
わが
)
手
(
て
)
に
還
(
かへ
)
れり』
279
サール『イクの
奴
(
やつ
)
まぬけた
面
(
つら
)
をしてる
故
(
ゆゑ
)
280
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
に
眉毛
(
まゆげ
)
よまれし』
281
イク『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな
貴様
(
きさま
)
が
曲津
(
まがつ
)
につままれて
282
首
(
くび
)
つり
女
(
をんな
)
と
見違
(
みちが
)
へた
故
(
ゆゑ
)
よ』
283
サール『
横面
(
よこづら
)
を
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
に
擲
(
なぐ
)
られて
284
田圃
(
たんぼ
)
に
落
(
お
)
ちし
可笑
(
をか
)
しき
奴
(
やつ
)
かな』
285
イク『イクらでも
人
(
ひと
)
の
悪口
(
わるくち
)
つくがよい
286
善言
(
ぜんげん
)
美詞
(
びし
)
の
道
(
みち
)
を
忘
(
わす
)
れて』
287
サール『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな
俺
(
おれ
)
の
睾丸
(
きんたま
)
握
(
にぎ
)
らうと
288
思
(
おも
)
うて
頭
(
あたま
)
擲
(
なぐ
)
られた
癖
(
くせ
)
に』
289
イク『
擲
(
なぐ
)
りたる
男
(
をとこ
)
に
又
(
また
)
も
擲
(
なぐ
)
られて
290
サールの
馬鹿
(
ばか
)
がベソをかくなり』
291
サール『
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
減
(
へ
)
らず
口
(
ぐち
)
をば
叩
(
たた
)
くなら
292
水晶玉
(
すいしやうだま
)
をこつちへ
渡
(
わた
)
せよ』
293
イク『
水晶
(
すいしやう
)
の
霊
(
みたま
)
なればこそ
水晶
(
すいしやう
)
の
294
玉
(
たま
)
の
守護
(
しゆご
)
をさせられてゐる』
295
サール『
玉脱
(
たまぬ
)
けの
間抜
(
まぬけ
)
男
(
をとこ
)
が
水晶
(
すいしやう
)
の
296
玉
(
たま
)
を
抱
(
いだ
)
いて
罪
(
つみ
)
を
作
(
つく
)
るな』
297
イク『この
玉
(
たま
)
は
小北
(
こぎた
)
の
山
(
やま
)
の
皇神
(
すめかみ
)
の
298
守
(
まも
)
りと
二人
(
ふたり
)
の
恵
(
めぐみ
)
にかへれり。
299
さりながらサール
心
(
こころ
)
を
持
(
も
)
ち
直
(
なほ
)
せ
300
お
前
(
まへ
)
の
罪
(
つみ
)
が
玉
(
たま
)
を
汚
(
けが
)
せば。
301
汚
(
よご
)
れなば
又
(
また
)
この
玉
(
たま
)
は
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
かむ
302
サールの
玉
(
たま
)
をまたも
嫌
(
きら
)
ひて』
303
お
千代
(
ちよ
)
『
水晶
(
すいしやう
)
の
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
は
何神
(
なにがみ
)
に
304
頂
(
いただ
)
きましたか
聞
(
き
)
かまほしさよ』
305
イク『この
玉
(
たま
)
は
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
賜
(
たまもの
)
ぞ
306
いや
永久
(
とこしへ
)
に
離
(
はな
)
されぬ
玉
(
たま
)
』
307
お
千代
(
ちよ
)
『
放
(
はな
)
せとは
誰
(
たれ
)
も
言
(
い
)
はねど
油断
(
ゆだん
)
から
308
狸
(
たぬき
)
の
奴
(
やつ
)
に
取
(
と
)
られ
玉
(
たま
)
ふな』
309
イク『これは
又
(
また
)
思
(
おも
)
ひもよらぬお
言葉
(
ことば
)
よ
310
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
放
(
はな
)
しは
致
(
いた
)
さぬ』
311
お
菊
(
きく
)
『
玉脱
(
たまぬ
)
けのやうな
面
(
つら
)
した
二人
(
ふたり
)
男
(
をとこ
)
の
312
この
行先
(
ゆくさき
)
が
案
(
あん
)
じられける。
313
初稚姫
(
はつわかひめ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
は
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
を
314
嫌
(
きら
)
ひ
玉
(
たま
)
ふも
宜
(
うべ
)
よとぞ
思
(
おも
)
ふ。
315
どことなく
虫
(
むし
)
の
好
(
す
)
かないスタイルだ
316
バラモン
軍
(
ぐん
)
に
居
(
を
)
つた
人
(
ひと
)
だらう』
317
イク『
女
(
をんな
)
にも
似合
(
にあ
)
はずよくもベラベラと
318
大人
(
おとな
)
なぶりの
骨嬲
(
ほねなぶ
)
りするよ』
319
サール『
吾
(
われ
)
とても
男
(
をとこ
)
と
生
(
うま
)
れた
上
(
うへ
)
からは
320
女
(
をんな
)
に
負
(
ま
)
けて
居
(
を
)
れるものかい。
321
乙女子
(
をとめご
)
よがんぜなしとて
余
(
あま
)
りだよ
322
荒男
(
あらをとこ
)
をば
嘲弄
(
てうろう
)
するとは』
323
お
菊
(
きく
)
『
嘲弄
(
てうろう
)
する
心
(
こころ
)
は
微塵
(
みぢん
)
もなけれども
324
何
(
なん
)
とはなしに
可笑
(
をか
)
しくぞなる』
325
お
千代
(
ちよ
)
『お
菊
(
きく
)
さま
私
(
わたし
)
も
二人
(
ふたり
)
の
顔
(
かほ
)
をみて
326
空気
(
くうき
)
ぬけ
野郎
(
やらう
)
と
思
(
おも
)
ひましたよ。
327
ド
狸
(
たぬき
)
に
玉
(
たま
)
を
取
(
と
)
られてメソメソと
328
吠面
(
ほえづら
)
かわく
男
(
をとこ
)
なりせば』
329
サール『これ
程
(
ほど
)
に
口
(
くち
)
の
達者
(
たつしや
)
な
乙女子
(
をとめご
)
が
330
居
(
を
)
るとは
知
(
し
)
らず
訪
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
しよな』
331
イク『この
乙女
(
をとめ
)
一筋縄
(
ひとすぢなは
)
では
行
(
ゆ
)
かぬらし
332
侠客育
(
けふかくそだ
)
ちの
生地
(
きぢ
)
が
見
(
み
)
えてる』
333
お
千代
(
ちよ
)
『
松彦
(
まつひこ
)
や
松姫
(
まつひめ
)
さまを
親
(
おや
)
に
持
(
も
)
つ
334
お
千代
(
ちよ
)
の
方
(
かた
)
を
知
(
し
)
らぬ
馬鹿者
(
ばかもの
)
』
335
イク『これはしたり
松彦
(
まつひこ
)
さまの
嬢様
(
ぢやうさま
)
か
336
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
とて
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
しました』
337
お
千代
(
ちよ
)
『あやまれば
別
(
べつ
)
に
咎
(
とが
)
めはせぬ
程
(
ほど
)
に
338
これからキツト
謹
(
つつ
)
しむがよい』
339
イク『
狸
(
たぬき
)
には
大馬鹿
(
おほばか
)
にされ
梟
(
ふくろ
)
には
340
笑
(
わら
)
はれ
又
(
また
)
も
馬鹿
(
ばか
)
をみるかな』
341
サール『アハハハハ
呆
(
あき
)
れて
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
はれない
342
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
化物
(
ばけもの
)
が
出
(
で
)
る。
343
この
女
(
をんな
)
眉毛
(
まゆげ
)
に
唾
(
つば
)
をつけてみよ
344
キツト
尻尾
(
しつぽ
)
がついて
居
(
を
)
らうぞ』
345
お
千代
(
ちよ
)
『
面白
(
おもしろ
)
い
狸
(
たぬき
)
のやうな
面
(
つら
)
をして
346
つままれるのは
当然
(
あたりまへ
)
ぞや』
347
サール『どこまでも
二人
(
ふたり
)
の
乙女
(
をとめ
)
に
馬鹿
(
ばか
)
にされ
348
どこで
男
(
をとこ
)
の
顔
(
かほ
)
が
立
(
た
)
たうか』
349
イク『
何
(
なに
)
よりも
水晶玉
(
すいしやうだま
)
が
手
(
て
)
に
入
(
い
)
らば
350
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
はれても
辛抱
(
しんぼう
)
せうかい。
351
此
(
この
)
様
(
やう
)
なお
転婆娘
(
てんばむすめ
)
があればこそ
352
尻尾
(
しつぽ
)
を
出
(
だ
)
した
化狸
(
ばけたぬき
)
野郎
(
やらう
)
。
353
お
千代
(
ちよ
)
さまお
前
(
まへ
)
のお
蔭
(
かげ
)
で
宝玉
(
はうぎよく
)
が
354
返
(
かへ
)
つたのだから
拝
(
をが
)
みますぞや』
355
お
千代
(
ちよ
)
『お
菊
(
きく
)
さまこんな
腰抜男
(
こしぬけをとこ
)
等
(
ら
)
に
356
玉
(
たま
)
を
与
(
あた
)
へた
神
(
かみ
)
は
何神
(
なにがみ
)
』
357
お
菊
(
きく
)
『
義理
(
ぎり
)
天上
(
てんじやう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
格
(
かく
)
だらう
358
魂
(
たま
)
も
調
(
しら
)
べず
渡
(
わた
)
す
神
(
かみ
)
なら。
359
真正
(
しんせい
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
は
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
360
頓馬
(
とんま
)
男
(
をとこ
)
に
渡
(
わた
)
す
筈
(
はず
)
なし』
361
と
互
(
たがひ
)
に
揶揄
(
からか
)
ひながら、
362
受付
(
うけつけ
)
に
集
(
あつ
)
まつて
白湯
(
さゆ
)
に
喉
(
のど
)
を
潤
(
うる
)
ほし、
363
それより
二人
(
ふたり
)
は
各
(
かく
)
神社
(
じんじや
)
を
参拝
(
さんぱい
)
し
始
(
はじ
)
めた。
364
(
大正一二・一・二九
旧一一・一二・一三
松村真澄
録)
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(B)
(N)
巡拝 >>>
霊界物語
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真善美愛(第49~60巻)
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第52巻(卯の巻)
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