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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
第1章 真と偽
第2章 哀別の歌
第3章 楽屋内
第4章 俄狂言
第5章 森の怪
第6章 梟の笑
第2篇 文明盲者
第7章 玉返志
第8章 巡拝
第9章 黄泉帰
第10章 霊界土産
第11章 千代の菊
第3篇 衡平無死
第12章 盲縞
第13章 黒長姫
第14章 天賊
第15章 千引岩
第16章 水車
第17章 飴屋
第4篇 怪妖蟠離
第18章 臭風
第19章 屁口垂
第20章 険学
第21章 狸妻
第22章 空走
第5篇 洗判無料
第23章 盲動
第24章 応対盗
第25章 恋愛観
第26章 姑根性
第27章 胎蔵
余白歌
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第52巻(卯の巻)
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(B)
(N)
飴屋 >>>
第一六章
水車
(
みづぐるま
)
〔一三五二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:
第3篇 衡平無死
よみ(新仮名遣い):
こうへいむし
章:
第16章 水車
よみ(新仮名遣い):
みずぐるま
通し章番号:
1352
口述日:
1923(大正12)年02月09日(旧12月24日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
文助は子供たちを連れて八衢の関所に進もうとしたが、どうしても子供たちの体は石のようになって動くことができなかった。これは、文助が一念悔悟の上は、大神から直接産土の神に命じられて各々霊の安住所へ導かれることになっていたからである。
文助はわが子の側にしばらくなりと居りたかったが、何者かに後ろから押されるようで、次第に子供たちから遠ざかって行き、親子は別れを告げた。
文助は西北に進んで行くと、水車小屋に突き当たった。何か食べ物を乞おうと門口に立つと、中で粉まみれで働いていたのは、自分の父母であった。父母は、自分たちは文助のために天国の団体から下ろされて、賠償的労働に従事しているのだと語った。
母は、文助は多くの人をウラナイ教の教理で地獄に迷わせた罪によって、自分自身も地獄の苦しみを受けなければならないところだった、それを黙って見て居られず、文助や、文助に迷わされた人たちの罪を軽くしたいと、神様にお願いしてここに水車小屋を建てて、我が身を搗き臼にひかれて穢れを落としながら、艱難苦労をしているのだと明かした。
文助は両親に向かって心の底から天津祝詞を奏上し、神に謝罪した。そして自分が水車の苦行をするから、両親やわが子を助けていただきたいと熱涙を流して祈願を凝らした。文助の両親はまた、吾が子や孫が天国に救われるように祈っている。
そこへ大火団が下り来て中から容色端麗なエンゼルが現れた。エンゼルは、文助の父母が子孫を思う真心が通じ、天国へ帰る時が来たと告げ、自分は三五教の初稚姫だと名乗った。そして文助にはまだ現界で為すべき仕事が残っているので、ここで別れて八衢の関所に行かねばならないと言い渡した。
初稚姫は文助の両親を引き連れ、三個の火団となって東南方の空に立ち去った。文助はその姿を見送りながら感謝の涙にくれた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2023-12-04 08:32:52
OBC :
rm5216
愛善世界社版:
203頁
八幡書店版:
第9輯 451頁
修補版:
校定版:
210頁
普及版:
89頁
初版:
ページ備考:
001
文助
(
ぶんすけ
)
は
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶり
)
に
会
(
あ
)
うた
二人
(
ふたり
)
の
子供
(
こども
)
を
引連
(
ひきつ
)
れて、
002
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
に
進
(
すす
)
まむとしたが、
003
何
(
ど
)
うしても
二人
(
ふたり
)
の
子供
(
こども
)
は
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
限
(
かぎ
)
つて
体
(
からだ
)
が
磐石
(
ばんじやく
)
の
如
(
ごと
)
くになり、
004
動
(
うご
)
く
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
なかつた。
005
之
(
これ
)
は
産土
(
うぶすな
)
の
神
(
かみ
)
の
取計
(
とりはか
)
らひによつて、
006
かくなつたのである。
007
文助
(
ぶんすけ
)
が
一念
(
いちねん
)
悔悟
(
くわいご
)
の
上
(
うへ
)
は
大神
(
おほかみ
)
より
直接
(
ちよくせつ
)
に
産土神
(
うぶすながみ
)
に
伝
(
つた
)
へられ、
008
それより
各
(
おのおの
)
霊
(
みたま
)
の
安住所
(
あんぢうしよ
)
に
導
(
みちび
)
かるる
事
(
こと
)
になつてゐるが
故
(
ゆゑ
)
である。
009
文助
(
ぶんすけ
)
も
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
側
(
そば
)
に
暫
(
しばら
)
くなりと
居
(
を
)
りたかつた。
010
されど
何者
(
なにもの
)
にか
後
(
うしろ
)
より
押
(
お
)
さるる
様
(
やう
)
にあつて、
011
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
遠
(
とほ
)
ざかり
行
(
ゆ
)
く。
012
僅
(
わづか
)
に
後
(
あと
)
ふりかへつて
茲
(
ここ
)
に
親子
(
おやこ
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
悲
(
かな
)
しき
別
(
わか
)
れを
告
(
つ
)
げた。
013
文助
(
ぶんすけ
)
は
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
014
トボトボ
薄
(
すすき
)
の
穂
(
ほ
)
にも
怖
(
お
)
ぢ
恐
(
おそ
)
れながら、
015
西北
(
せいほく
)
をさして
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くと、
016
ドンと
行当
(
ゆきあた
)
つたのは
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
であつた。
017
俄
(
にはか
)
に
空腹
(
くうふく
)
を
感
(
かん
)
じたので、
018
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
に
立寄
(
たちよ
)
つて
食物
(
しよくもつ
)
を
乞
(
こ
)
はむと
門口
(
かどぐち
)
に
訪
(
おとな
)
へば
豈
(
あに
)
図
(
はか
)
らむや、
019
自分
(
じぶん
)
の
生前
(
せいぜん
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
た
実父母
(
じつふぼ
)
が、
020
粉
(
こな
)
まぶれになつて
働
(
はたら
)
いてゐた。
021
文助
(
ぶんすけ
)
は
驚
(
おどろ
)
いてよくよく
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
をすかし
見
(
み
)
た。
022
老夫婦
(
らうふうふ
)
も
亦
(
また
)
文助
(
ぶんすけ
)
の
顔
(
かほ
)
を
穴
(
あな
)
のあく
程
(
ほど
)
睨
(
にら
)
んでゐる。
023
やや
暫
(
しば
)
し
互
(
たがひ
)
に
首
(
くび
)
をかたげ
沈黙
(
ちんもく
)
の
幕
(
まく
)
がおりた。
024
此
(
この
)
二人
(
ふたり
)
は
冬助
(
とうすけ
)
、
025
おくみと
云
(
い
)
ふ
文助
(
ぶんすけ
)
の
両親
(
りやうしん
)
である。
026
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
許
(
ばか
)
り
前
(
まへ
)
に
現界
(
げんかい
)
を
去
(
さ
)
つてここに
第二
(
だいに
)
の
新生涯
(
しんしやうがい
)
に
入
(
い
)
り、
027
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
の
主
(
あるじ
)
となつてゐたのである。
028
冬助
(
とうすけ
)
『お
前
(
まへ
)
は
伜
(
せがれ
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
ぢやないか』
029
文助
『はい、
030
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
031
貴方
(
あなた
)
はお
父
(
とう
)
さま、
032
お
母
(
かあ
)
さま、
033
どうしてマア、
034
こんな
処
(
ところ
)
で
斯様
(
かやう
)
な
事
(
こと
)
をして
居
(
を
)
られますのか。
035
チツとも
合点
(
がつてん
)
が
行
(
ゆ
)
きませぬ』
036
冬助
『ここはお
前
(
まへ
)
の
目
(
め
)
では
何
(
ど
)
う
見
(
み
)
えるか
知
(
し
)
らぬが、
037
大変
(
たいへん
)
な
処
(
ところ
)
だよ。
038
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
に
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
天国
(
てんごく
)
の
団体
(
だんたい
)
から
下
(
おろ
)
されて、
039
賠償
(
ばいしやう
)
的
(
てき
)
労働
(
らうどう
)
に
従事
(
じゆうじ
)
してるのだよ』
040
文助
『ここは
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
では
厶
(
ござ
)
りませぬか。
041
ヤツパリ
霊界
(
れいかい
)
に
於
(
おい
)
ても
現界
(
げんかい
)
同様
(
どうやう
)
に
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
があるのですかな』
042
おくみ『お
前
(
まへ
)
は
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
から
随分
(
ずいぶん
)
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
いヤンチヤ
男
(
をとこ
)
で
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
は
少
(
すこ
)
しも
耳
(
みみ
)
に
這入
(
はい
)
らず、
043
其
(
その
)
天罰
(
てんばつ
)
で
到頭
(
たうとう
)
目
(
め
)
を
病
(
や
)
み、
044
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
手
(
て
)
を
尽
(
つく
)
した
揚句
(
あげく
)
、
045
しよう
事
(
こと
)
なしに
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
道
(
みち
)
を
信仰
(
しんかう
)
する
様
(
やう
)
になつたのだ。
046
併
(
しか
)
しながら
三
(
み
)
つ
児
(
ご
)
のくせは
百
(
ひやく
)
迄
(
まで
)
と
云
(
い
)
つて、
047
持
(
も
)
つて
生
(
うま
)
れた
我情
(
がじやう
)
我慢
(
がまん
)
は
容易
(
ようい
)
に
直
(
なほ
)
らず、
048
ウラナイ
教
(
けう
)
や
三五教
(
あななひけう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
をして
受付
(
うけつけ
)
に
頑張
(
ぐわんば
)
り、
049
いろいろと
脱線
(
だつせん
)
的
(
てき
)
教理
(
けうり
)
を
伝
(
つた
)
へたものだから、
050
お
前
(
まへ
)
の
為
(
ため
)
に
地獄
(
ぢごく
)
へ
迷
(
まよ
)
うて
来
(
く
)
るものは
何程
(
いくら
)
あるか
知
(
し
)
れぬ。
051
そして
不思議
(
ふしぎ
)
な
事
(
こと
)
には、
052
お
前
(
まへ
)
の
導
(
みちび
)
いた
連中
(
れんぢう
)
は
皆
(
みな
)
此
(
この
)
道
(
みち
)
を
通
(
とほ
)
るのだ。
053
お
前
(
まへ
)
は
沢山
(
たくさん
)
の
人間
(
にんげん
)
を
地獄
(
ぢごく
)
に
導
(
みちび
)
いた
科
(
とが
)
によつて、
054
地獄
(
ぢごく
)
の
苦
(
くる
)
しみを
受
(
う
)
けねばならぬ
処
(
ところ
)
だ。
055
それを
親
(
おや
)
として
如何
(
どう
)
して
黙
(
だま
)
つて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか。
056
親
(
おや
)
となり
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れるのも
皆
(
みな
)
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
があつての
事
(
こと
)
だ。
057
それ
故
(
ゆゑ
)
自分
(
じぶん
)
は
下層
(
かそう
)
天国
(
てんごく
)
の
天人
(
てんにん
)
の
団体
(
だんたい
)
に
加
(
くは
)
へられ
夫婦
(
ふうふ
)
が
楽
(
たの
)
しい
生活
(
せいくわつ
)
を
送
(
おく
)
つて
居
(
を
)
つたが、
058
お
前
(
まへ
)
が
現界
(
げんかい
)
に
於
(
おい
)
て
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
の
邪魔
(
じやま
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
るがために、
059
大勢
(
おほぜい
)
の
者
(
もの
)
が
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
き、
060
子
(
こ
)
や
孫
(
まご
)
に
至
(
いた
)
るまで
中有界
(
ちううかい
)
に
迷
(
まよ
)
うと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を、
061
エンゼルから
聞
(
き
)
いたによつて、
062
せめては
子
(
こ
)
の
罪
(
つみ
)
を
軽
(
かる
)
くしてやりたい、
063
又
(
また
)
世間
(
せけん
)
の
人間
(
にんげん
)
を
一人
(
ひとり
)
でも
助
(
たす
)
けて
吾
(
わが
)
子孫
(
しそん
)
の
罪
(
つみ
)
を
軽
(
かる
)
くしたいと
思
(
おも
)
うて、
064
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねが
)
ひ
致
(
いた
)
し、
065
此
(
この
)
荒野
(
あらの
)
ケ
原
(
はら
)
の
中央
(
まんなか
)
に
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
を
建
(
た
)
てて
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
艱難
(
かんなん
)
苦労
(
くらう
)
をしてるのだ。
066
ここを
通
(
とほ
)
る
旅人
(
たびびと
)
は
大抵
(
たいてい
)
偽
(
にせ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
教
(
をしへ
)
によつて
迷
(
まよ
)
うて
来
(
く
)
るものが
多
(
おほ
)
い。
067
自分
(
じぶん
)
の
息子
(
むすこ
)
も
其
(
その
)
一人
(
ひとり
)
だから、
068
何卒
(
どうぞ
)
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
犠牲
(
ぎせい
)
になつて、
069
皆様
(
みなさま
)
の
罪
(
つみ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
め、
070
天国
(
てんごく
)
へ
上
(
のぼ
)
らし
度
(
た
)
いと
思
(
おも
)
ひ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねが
)
ひすれば、
071
沢山
(
たくさん
)
の
亡者
(
まうじや
)
の
罪
(
つみ
)
穢
(
けが
)
れ
垢
(
あか
)
等
(
など
)
が
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
夫婦
(
ふうふ
)
の
体
(
からだ
)
に
堆高
(
うづたか
)
く
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
072
どうしても
落
(
お
)
ちないので、
073
夫婦
(
ふうふ
)
が
互
(
たがひ
)
に
搗臼
(
つきうす
)
の
中
(
なか
)
に
体
(
からだ
)
を
沈
(
しづ
)
め、
074
地獄
(
ぢごく
)
以上
(
いじやう
)
の
苦
(
くるし
)
みをして
皆様
(
みなさま
)
のために
霊
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
いて
居
(
を
)
るのだ』
075
とばかりワツと
泣
(
な
)
き
伏
(
ふ
)
す。
076
文助
(
ぶんすけ
)
は
父母
(
ふぼ
)
の
恩
(
おん
)
の
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
限
(
かぎ
)
りなきを
感謝
(
かんしや
)
し、
077
只
(
ただ
)
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
して
泣
(
な
)
きじやくりするのみであつた。
078
文助
(
ぶんすけ
)
は
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
の
中
(
なか
)
へ
這
(
はい
)
つて
見
(
み
)
れば
大
(
おほ
)
きな
二
(
ふた
)
つの
つぼ
があつて、
079
そこには
縦柱
(
たてばしら
)
の
杵
(
きね
)
が
二本
(
にほん
)
互
(
たがひ
)
に
臼
(
うす
)
を
搗
(
つ
)
いてゐる。
080
ここは
両親
(
りやうしん
)
が
替
(
か
)
はる
替
(
が
)
はる
臼
(
うす
)
の
中
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
つて
此
(
この
)
柱杵
(
はしらぎね
)
に
体
(
からだ
)
の
垢
(
あか
)
を
摺
(
す
)
り
落
(
おと
)
される
修行場
(
しうぎやうば
)
である。
081
米
(
こめ
)
や
麦
(
むぎ
)
を
搗
(
つ
)
く
水車
(
すゐしや
)
とは
余程
(
よほど
)
趣
(
おもむき
)
が
変
(
かは
)
つてゐる。
082
併
(
しか
)
しながら、
083
トントンと
臼搗
(
うすつ
)
きする
毎
(
ごと
)
に
何処
(
どこ
)
ともなしに
白
(
しろ
)
い
粉
(
こな
)
が
立
(
た
)
つて
二人
(
ふたり
)
の
体
(
からだ
)
は
灰
(
はひ
)
を
被
(
かぶ
)
つた
様
(
やう
)
になつて
居
(
ゐ
)
た。
084
文助
(
ぶんすけ
)
は
両親
(
りやうしん
)
の
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
き
形
(
かたち
)
ばかりの
小
(
ちひ
)
さい
居間
(
ゐま
)
に
座
(
ざ
)
を
占
(
し
)
め、
085
両親
(
りやうしん
)
に
向
(
むか
)
つて
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
086
神
(
かみ
)
に
謝罪
(
しやざい
)
した。
087
そして、
088
文助
『
自分
(
じぶん
)
が
両親
(
りやうしん
)
に
代
(
かは
)
り
水車
(
すゐしや
)
の
苦業
(
くげふ
)
を
致
(
いた
)
しますから、
089
両親
(
りやうしん
)
や
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
を
助
(
たす
)
けて
頂
(
いただ
)
きたい』
090
と
熱涙
(
ねつるゐ
)
を
流
(
なが
)
して
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らした。
091
両親
(
りやうしん
)
は
又
(
また
)
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、
092
両親
『
吾々
(
われわれ
)
は
仮令
(
たとへ
)
如何
(
いか
)
なる
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
しましても、
093
少
(
すこ
)
しも
厭
(
いと
)
ひませぬ。
094
何卒
(
なにとぞ
)
吾
(
わが
)
子
(
こ
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
や
孫
(
まご
)
が
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
はれます
様
(
やう
)
に……』
095
と
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
祈
(
いの
)
つてゐる。
096
そこへ
宙空
(
ちうくう
)
を
照
(
てら
)
して
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
下
(
くだ
)
り
来
(
きた
)
る
大火団
(
だいくわだん
)
があつた。
097
火団
(
くわだん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
五色
(
ごしき
)
の
色
(
いろ
)
と
変
(
へん
)
じ、
098
其
(
その
)
中
(
なか
)
より
容色
(
ようしよく
)
端麗
(
たんれい
)
なる
美人
(
びじん
)
が
現
(
あら
)
はれた。
099
之
(
これ
)
は
初稚姫
(
はつわかひめ
)
の
聖霊
(
せいれい
)
である。
100
親子
(
おやこ
)
はハツと
頭
(
かうべ
)
を
下
(
さ
)
げ、
101
冬助
『
何
(
いづ
)
れのエンゼルか
存
(
ぞん
)
じませぬが、
102
此
(
この
)
穢
(
むさく
)
るしい
冬助
(
とうすけ
)
の
処
(
ところ
)
へ
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
下
(
くだ
)
さいまして
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
103
就
(
つ
)
いては
如何
(
いか
)
なる
御用
(
ごよう
)
で
厶
(
ござ
)
りますか、
104
承
(
うけたま
)
はり
度
(
た
)
う
厶
(
ござ
)
ります』
105
初稚姫
『
妾
(
わらは
)
は
高天原
(
たかあまはら
)
の
霊国
(
れいごく
)
よりの
命
(
めい
)
によつて、
106
只今
(
ただいま
)
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれたエンゼルで
厶
(
ござ
)
ります。
107
冬助
(
とうすけ
)
、
108
おくみの
両人
(
りやうにん
)
が
世人
(
よびと
)
を
思
(
おも
)
ひ
吾
(
わが
)
子孫
(
しそん
)
を
思
(
おも
)
ふ
真心
(
まごころ
)
が
天
(
てん
)
に
通
(
つう
)
じ、
109
子孫
(
しそん
)
の
罪
(
つみ
)
を
許
(
ゆる
)
され
愈
(
いよいよ
)
もとの
天国
(
てんごく
)
へ
帰
(
かへ
)
らるる
事
(
こと
)
となりました。
110
さア
御
(
ご
)
夫婦
(
ふうふ
)
殿
(
どの
)
、
111
妾
(
わらは
)
に
跟
(
つ
)
いてお
出
(
い
)
でなさいませ、
112
妾
(
わらは
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
初稚姫
(
はつわかひめ
)
で
厶
(
ござ
)
りますよ』
113
おくみ『
何
(
なん
)
とも
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げやうのない
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
ります。
114
併
(
しか
)
しながら
吾々
(
われわれ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
如何
(
いか
)
なる
苦労
(
くらう
)
を
致
(
いた
)
しましても
少
(
すこ
)
しも
厭
(
いと
)
ひませぬ。
115
何卒
(
なにとぞ
)
伜
(
せがれ
)
の
文助
(
ぶんすけ
)
を
天国
(
てんごく
)
に
救
(
すく
)
うて
下
(
くだ
)
されば、
116
吾々
(
われわれ
)
が
救
(
すく
)
はれたよりも
何程
(
なにほど
)
有難
(
ありがた
)
いか
知
(
し
)
りませぬ。
117
何卒
(
なにとぞ
)
其
(
その
)
お
取計
(
とりはか
)
らひを
願
(
ねが
)
ひ
度
(
た
)
う
存
(
ぞん
)
じます』
118
初稚姫
『
其
(
その
)
願
(
ねがひ
)
は
尤
(
もつと
)
もなれども、
119
神界
(
しんかい
)
の
規則
(
きそく
)
は
動
(
うご
)
かす
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
120
此
(
この
)
文助
(
ぶんすけ
)
殿
(
どの
)
はまだ
現界
(
げんかい
)
に
於
(
おい
)
て
尽
(
つく
)
すべき
仕事
(
しごと
)
も
残
(
のこ
)
つて
居
(
を
)
りますれば、
121
再
(
ふたた
)
び
八衢
(
やちまた
)
の
関所
(
せきしよ
)
まで
送
(
おく
)
り、
122
それより
現界
(
げんかい
)
に
返
(
かへ
)
さねばならぬ
事
(
こと
)
となつてゐます。
123
貴方
(
あなた
)
等
(
がた
)
は
先
(
さき
)
に
行
(
い
)
つて
天国
(
てんごく
)
の
生涯
(
しやうがい
)
を
送
(
おく
)
り、
124
子孫
(
しそん
)
の
上
(
のぼ
)
り
来
(
きた
)
るをお
待
(
ま
)
ちなさるが
宜
(
よろ
)
しい』
125
冬助
(
とうすけ
)
『
然
(
しか
)
らば
仰
(
おほ
)
せに
従
(
したが
)
ひ、
126
冬助
(
とうすけ
)
お
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
へませう』
127
文助
(
ぶんすけ
)
『
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
ります。
128
何分
(
なにぶん
)
両親
(
りやうしん
)
を
宜
(
よろ
)
しくお
願
(
ねが
)
ひします。
129
私
(
わたし
)
は
両親
(
りやうしん
)
に
倣
(
なら
)
ひ
此
(
この
)
水車
(
すいしや
)
小屋
(
ごや
)
で
修行
(
しうぎやう
)
をさして
頂
(
いただ
)
きませう』
130
初稚姫
『
神
(
かみ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
二言
(
にごん
)
は
厶
(
ござ
)
らぬ。
131
貴方
(
あなた
)
は
八衢
(
やちまた
)
に
向
(
むか
)
つてお
進
(
すす
)
みなさい。
132
冬助
(
とうすけ
)
殿
(
どの
)
、
133
おくみ
殿
(
どの
)
、
134
さア
参
(
まゐ
)
りませう』
135
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
み、
136
三個
(
さんこ
)
の
火団
(
くわだん
)
となつて
東南方
(
とうなんぱう
)
をさして、
137
宙空
(
ちうくう
)
を
掠
(
かす
)
めて
立去
(
たちさ
)
り
給
(
たま
)
うた。
138
文助
(
ぶんすけ
)
は
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見送
(
みおく
)
つて
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
139
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
にうたれてゐる。
140
(
大正一二・二・九
旧一一・一二・二四
北村隆光
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
飴屋 >>>
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