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霊界物語
真善美愛(第49~60巻)
第52巻(卯の巻)
序文
総説代用
第1篇 鶴首専念
第1章 真と偽
第2章 哀別の歌
第3章 楽屋内
第4章 俄狂言
第5章 森の怪
第6章 梟の笑
第2篇 文明盲者
第7章 玉返志
第8章 巡拝
第9章 黄泉帰
第10章 霊界土産
第11章 千代の菊
第3篇 衡平無死
第12章 盲縞
第13章 黒長姫
第14章 天賊
第15章 千引岩
第16章 水車
第17章 飴屋
第4篇 怪妖蟠離
第18章 臭風
第19章 屁口垂
第20章 険学
第21章 狸妻
第22章 空走
第5篇 洗判無料
第23章 盲動
第24章 応対盗
第25章 恋愛観
第26章 姑根性
第27章 胎蔵
余白歌
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霊界物語
>
真善美愛(第49~60巻)
>
第52巻(卯の巻)
> 第3篇 衡平無死 > 第14章 天賊
<<< 黒長姫
(B)
(N)
千引岩 >>>
第一四章
天賊
(
てんぞく
)
〔一三五〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻
篇:
第3篇 衡平無死
よみ(新仮名遣い):
こうへいむし
章:
第14章 天賊
よみ(新仮名遣い):
てんぞく
通し章番号:
1350
口述日:
1923(大正12)年02月09日(旧12月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年1月28日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
文助は悄然として、黒蛇に囲まれた道を神に任せてまっしぐらに進んで行ったところ、沼に行き当たった。どうしたことか、黒蛇は沼の中には襲ってこなかった。
文助は怪しい虫が這いあがってくるのを薙ぎ払い落としつつ進んで行くと、たくさんの人間の頭が水面に浮かんでいるところにやってきた。よくみれば、今まで自分が霊祭りをしてやった知己や朋友、また現世にいるはずの人々であった。
文助は、その中の一人・久助という男に声をかけ、なぜこんなところにいるのかと尋ねた。久助は、文助が神様の職権を横領して天国へ上げてやろうと慢心して霊祭りをしたから、本来天国に行くべき自分の先祖までがこんなところに落とされてしまったと非難した。
文助は、自分が霊祭りをしたとこに、久助は霊媒に懸って天国へ救われたと言ったではないか、と反論した。久助は、天国へ霊を上げるのは大神様だけだ、慢心した宣伝使の言霊を聞いて、兇党界の悪霊が集まり、自分や先祖の名を騙ったのだと答えた。
文助は、久助たちは罪を犯したからここにいるのだ、自分が救ってやる、とあくまで自説を曲げない。久助が下知すると、沼の亡者たちの頭が水面に大小無数に浮かび上がり、口から真っ黒な水を吹いて文助を襲撃する。
文助は沼の中を一生懸命に泳ぎ走り、ようやく向こう岸に着いた。文助が後を振り返ると、たくさんの亡者の首が水際まで追いかけてきて、恨めしそうな顔をしている。
久助の頭が進んでくると文助に向かい、つい今しがた、瑞の御魂が現れて自分たちを沼から救い出してくれるという御沙汰が下ったところだから、文助への怨みはきれいさっぱり忘れてやる、と告げた。
そして久助は、自分たちはもともと悪人ではなく、天国へ進むだけの資格が合ったにもかかわらず、案内者の不徳によって苦しんでいたのだと告げ、これからは自分の神力で祖先の霊や病気が助かるなどと慢心してはならない、と戒めを与えた。
無数の亡者の頭はにわかに白煙となり、紫色に変じると月のような玉になり、たくさんの星のようなものがその周囲に集まった。そして次第に南の天を指して上って行った。
文助はこの態を見て初めて自分の慢心を悟った。文助は自分こそ天の賊であったと懺悔しながら、荒風が猛る萱野ケ原を進んで行く。ここには草原の中にかなり大きな平たい石があって、むくむくと動いている。文助は立ち止まって、何事かと石を眺めていた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2019-11-13 23:20:20
OBC :
rm5214
愛善世界社版:
187頁
八幡書店版:
第9輯 445頁
修補版:
校定版:
195頁
普及版:
80頁
初版:
ページ備考:
派生
[?]
この文献を底本として書かれたと思われる文献です。
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:
出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 第四篇 神霊世界 > 第二十五章 天賊
001
文助
(
ぶんすけ
)
は
悄然
(
せうぜん
)
として
黒蛇
(
くろへび
)
に
天地
(
てんち
)
四方
(
しはう
)
を
包
(
つつ
)
まれながら、
002
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
して
驀地
(
まつしぐら
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
003
ピタリと
玉子草
(
たまこ
)
の
生
(
は
)
えた
沼
(
ぬま
)
に
行当
(
ゆきあた
)
つた、
004
何
(
ど
)
うしてもここを
跋渉
(
ばつせふ
)
せなくては
前進
(
ぜんしん
)
することは
出来
(
でき
)
ぬ。
005
黒蛇
(
くろへび
)
は
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
まで
追
(
お
)
つかけて
来
(
き
)
たが、
006
何
(
ど
)
うしたものか
水中
(
すいちう
)
へは
襲
(
おそ
)
うて
来
(
こ
)
なかつた。
007
文助
(
ぶんすけ
)
はヤツと
蛇
(
へび
)
の
難
(
なん
)
を
遁
(
のが
)
れ
一息
(
ひといき
)
したと
思
(
おも
)
へば、
008
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
を
渡
(
わた
)
らねばならぬ、
009
どこ
迄
(
まで
)
広
(
ひろ
)
いか
遠
(
とほ
)
いか
見当
(
けんたう
)
のつかぬシクシク
原
(
ばら
)
である。
010
そして
怪
(
あや
)
しの
虫
(
むし
)
が
足
(
あし
)
にたかつて
来
(
き
)
て
登
(
のぼ
)
りつき、
011
尺取虫
(
しやくとりむし
)
の
様
(
やう
)
な
恰好
(
かつかう
)
で
顔
(
かほ
)
の
方
(
はう
)
まで
這
(
は
)
うてくる
其
(
その
)
気持
(
きもち
)
の
悪
(
わる
)
さ、
012
消
(
き
)
え
入
(
い
)
るばかりに
思
(
おも
)
はれて
来
(
き
)
た。
013
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
之
(
これ
)
を
薙払
(
なぎはら
)
ひ、
014
むしつては
落
(
おと
)
し、
015
漸
(
やうや
)
く
顔
(
かほ
)
だけは
中立
(
ちうりつ
)
地帯
(
ちたい
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
得
(
え
)
て
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
くと、
016
沢山
(
たくさん
)
な
人間
(
にんげん
)
の
頭
(
あたま
)
が
水面
(
すいめん
)
に
浮
(
うか
)
んでゐる。
017
よくよく
見
(
み
)
れば、
018
自分
(
じぶん
)
が
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
霊祭
(
みたままつ
)
りをしてやつた
知己
(
ちき
)
や
朋友
(
ほういう
)
の
霊界
(
れいかい
)
に
行
(
い
)
つた
者
(
もの
)
及
(
およ
)
びまだ
現世
(
げんせ
)
に
居
(
を
)
る
筈
(
はず
)
の
人間
(
にんげん
)
の
顔
(
かほ
)
である。
019
文助
(
ぶんすけ
)
は
此
(
この
)
時
(
とき
)
は
既
(
すで
)
に
目
(
め
)
が
余程
(
よほど
)
明
(
あか
)
くなつてゐた。
020
そして
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
の
色
(
いろ
)
によつて、
021
現界
(
げんかい
)
で
知己
(
ちき
)
となつた
信者
(
しんじや
)
は
皆
(
みな
)
悟
(
さと
)
ることを
得
(
え
)
た。
022
真先
(
まつさき
)
に
現
(
あら
)
はれた
人間
(
にんげん
)
の
頭
(
あたま
)
は、
023
小北山
(
こぎたやま
)
に
永
(
なが
)
らく
参詣
(
さんけい
)
し、
024
ヘグレ
神社
(
じんしや
)
の
信者
(
しんじや
)
であつた
久助
(
きうすけ
)
といふ
男
(
をとこ
)
である。
025
文助
『オイ、
026
お
前
(
まへ
)
は
久助
(
きうすけ
)
さまぢやないか、
027
何
(
なに
)
しにこんな
所
(
ところ
)
に
迷
(
まよ
)
うてゐるのだい、
028
結構
(
けつこう
)
な
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
霊祭
(
みたままつり
)
までしてやつてあるのに、
029
なぜこんな
所
(
ところ
)
にうろついてゐるのか』
030
久助
『お
前
(
まへ
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
職権
(
しよくけん
)
を
横領
(
わうりやう
)
して
猪口才
(
ちよこざい
)
な
霊祭
(
みたままつり
)
をしてやらうの、
031
天国
(
てんごく
)
へ
上
(
あ
)
げてやらうのと
慢心
(
まんしん
)
を
致
(
いた
)
したものぢやから、
032
天国
(
てんごく
)
へ
行
(
ゆ
)
くべき
俺
(
おれ
)
の
先祖
(
せんぞ
)
までが、
033
これ
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り、
034
こんな
所
(
ところ
)
に
堕
(
おと
)
されてゐるのだ。
035
祝詞
(
のりと
)
のお
蔭
(
かげ
)
で、
036
地獄
(
ぢごく
)
へまでは
行
(
ゆ
)
かないが、
037
地獄
(
ぢごく
)
に
等
(
ひと
)
しいこんな
沼
(
ぬま
)
の
中
(
なか
)
で
苦
(
くる
)
しんでゐるのは、
038
皆
(
みな
)
貴様
(
きさま
)
が
神
(
かみ
)
さま
気取
(
きどり
)
になつて、
039
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
から
貰
(
もら
)
うた
俺
(
おれ
)
たちの
霊
(
みたま
)
を
左右
(
さいう
)
致
(
いた
)
したからだ。
040
ササ
何
(
ど
)
うしてくれる、
041
大先祖
(
おほせんぞ
)
が
地獄
(
ぢごく
)
に
堕
(
お
)
ちてるから、
042
霊祭
(
みたままつり
)
をして
高天原
(
たかあまはら
)
へ
上
(
あ
)
げてやらうなどと
吐
(
ほざ
)
きやがつて、
043
こんな
所
(
ところ
)
へ
押込
(
おしこ
)
めておいたぢやないか』
044
文助
『ソリヤ
貴様
(
きさま
)
が
悪
(
わる
)
いのだよ。
045
おれが
霊祭
(
みたままつり
)
をした
時
(
とき
)
にや、
046
貴様
(
きさま
)
霊媒
(
れいばい
)
に
憑
(
かか
)
つて……お
蔭
(
かげ
)
で
天国
(
てんごく
)
へ
救
(
すく
)
はれた、
047
地獄
(
ぢごく
)
の
苦
(
く
)
を
遁
(
のが
)
れました……と
喜
(
よろこ
)
びよつたぢやないか、
048
一旦
(
いつたん
)
天国
(
てんごく
)
へ
上
(
のぼ
)
つて
又
(
また
)
悪
(
あく
)
を
致
(
いた
)
し、
049
こんな
所
(
ところ
)
へ
落
(
おと
)
されたのだらう、
050
そんな
不足
(
ふそく
)
は
聞
(
き
)
きませぬぞや』
051
久助
『
今
(
いま
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
といふ
奴
(
やつ
)
は、
052
皆
(
みな
)
自分
(
じぶん
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
気取
(
きどり
)
になり、
053
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
神徳
(
しんとく
)
を
横領
(
わうりやう
)
して、
054
平然
(
へいぜん
)
と
構
(
かま
)
へてゐる
天賊
(
てんぞく
)
だから、
055
そんな
奴
(
やつ
)
の
言霊
(
ことたま
)
が
何
(
ど
)
うして
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
耳
(
みみ
)
に
達
(
たつ
)
するか、
056
皆
(
みな
)
兇党界
(
きようたうかい
)
の
悪霊
(
あくれい
)
が、
057
貴様
(
きさま
)
の
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
058
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
先祖
(
せんぞ
)
の
名
(
な
)
を
騙
(
かた
)
り、
059
天国
(
てんごく
)
へ
助
(
たす
)
けてくれたの
何
(
なん
)
のと、
060
嘘
(
うそ
)
を
言
(
い
)
つてゐるのだ。
061
霊
(
みたま
)
を
天国
(
てんごく
)
へ
上
(
あ
)
げるものは
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
よりないのだ、
062
又
(
また
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
聖霊
(
せいれい
)
に
充
(
みた
)
された
予言者
(
よげんしや
)
のみ、
063
之
(
これ
)
をよくするのだ。
064
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
065
何
(
ど
)
うして
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
分霊
(
ぶんれい
)
が
左右
(
さいう
)
されるか、
066
不心得
(
ふこころえ
)
にも
程
(
ほど
)
があるぞ。
067
俺
(
おれ
)
の
子孫
(
しそん
)
は
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
盲
(
めくら
)
審神者
(
さには
)
に
騙
(
だま
)
されて、
068
自分
(
じぶん
)
の
先祖
(
せんぞ
)
は
天国
(
てんごく
)
へ
行
(
い
)
つて
居
(
を
)
ると
云
(
い
)
つて
喜
(
よろこ
)
んでゐるが、
069
子孫
(
しそん
)
の
供物
(
くもつ
)
は
皆
(
みな
)
兇党界
(
きようたうかい
)
にしてやられ、
070
可愛
(
かあい
)
い
子孫
(
しそん
)
の
側
(
そば
)
へも
近
(
ちか
)
づくことが
出来
(
でき
)
ない
様
(
やう
)
にしてしまつたのだ。
071
お
前
(
まへ
)
に
限
(
かぎ
)
らずすべての
宣伝使
(
せんでんし
)
は
自我心
(
じがしん
)
が
強
(
つよ
)
く
癲狂
(
てんきやう
)
痴呆
(
ちはう
)
の
輩
(
やから
)
だから、
072
大
(
だい
)
それた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
権利
(
けんり
)
を
代理
(
だいり
)
するやうな
考
(
かんが
)
へでゐるのだから
困
(
こま
)
つたものだ。
073
地獄界
(
ぢごくかい
)
の
案内者
(
あんないしや
)
といふのは、
074
貴様
(
きさま
)
等
(
ら
)
如
(
ごと
)
き
天賊
(
てんぞく
)
的
(
てき
)
プロパガンディストの
仕業
(
しわざ
)
だ。
075
サア
是
(
これ
)
から
俺
(
おれ
)
たちの
先祖
(
せんぞ
)
や
知己
(
ちき
)
を
迷
(
まよ
)
はしてくれたお
礼
(
れい
)
だ、
076
チツタ
苦
(
くる
)
しうても
辛抱
(
しんばう
)
せい。
077
これから
暫
(
しばら
)
く
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
中
(
なか
)
へ
沈
(
しづ
)
めてブルブルをさしてやらう。
078
さうなとせなくちや、
079
俺
(
おれ
)
たちの
虫
(
むし
)
がいえないワ、
080
のう
熊八
(
くまはち
)
、
081
テル、
082
ヨク、
083
七
(
しち
)
、
084
ヨツ、
085
賢太郎
(
けんたらう
)
、
086
権州
(
ごんしう
)
、
087
さうぢやないか。
088
お
富
(
とみ
)
、
089
お
竹
(
たけ
)
、
090
お
夏
(
なつ
)
貴様
(
きさま
)
もチツと
来
(
こ
)
い、
091
此奴
(
こいつ
)
の
為
(
ため
)
には
被害者
(
ひがいしや
)
だ』
092
といふや
否
(
いな
)
や、
093
「ワーツ」と
蜂
(
はち
)
の
巣
(
す
)
を
破
(
やぶ
)
つたやうな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
094
水面
(
すいめん
)
に
各
(
おのおの
)
首
(
くび
)
をつき
出
(
だ
)
した。
095
数百千
(
すうひやくせん
)
のゴム
毬
(
まり
)
を
水中
(
すいちう
)
に
投
(
な
)
げたやうに、
096
円
(
まる
)
い
頭
(
あたま
)
が
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
から
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
りもなく
浮上
(
うきあが
)
つて
来
(
き
)
た。
097
文助
『
今
(
いま
)
文助
(
ぶんすけ
)
が
言霊
(
ことたま
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
助
(
たす
)
けてやらう。
098
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せと
云
(
い
)
ふことがある。
099
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずの
御
(
ご
)
無礼
(
ぶれい
)
御
(
お
)
気障
(
きざは
)
りだ。
100
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
も
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
して
下
(
くだ
)
さるだらう。
101
これから
貴様
(
きさま
)
たちも、
102
俺
(
おれ
)
が
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しをするから
浮
(
うか
)
べるだらう、
103
マアさう
一時
(
いつとき
)
に
喧
(
やかま
)
しくいふない。
104
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
105
久助
『コリヤ、
106
久助
(
きうすけ
)
は
一同
(
いちどう
)
の
代表者
(
だいへうしや
)
だが、
107
そんな
濁
(
にご
)
つた
言霊
(
ことたま
)
は
益々
(
ますます
)
俺
(
おれ
)
たちを
苦
(
くる
)
しむるものだ。
108
そして
言霊
(
ことたま
)
を
奏上
(
そうじやう
)
して
救
(
すく
)
うてやらうとは
何
(
なん
)
だ。
109
まだ
貴様
(
きさま
)
は
我
(
が
)
が
折
(
を
)
れぬのか、
110
ここでお
詫
(
わび
)
を
致
(
いた
)
せばよし、
111
まだ
我
(
が
)
をはるのなら、
112
此方
(
こちら
)
にも
考
(
かんが
)
へがあるぞ』
113
文助
『
俺
(
おれ
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
114
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
を
悪
(
あく
)
に
導
(
みちび
)
かうとしてやつたことぢやない、
115
どうぞよくしてやらうと
思
(
おも
)
ふから、
116
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
霊祭
(
みたままつり
)
をしたり、
117
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
の
子孫
(
しそん
)
に
言
(
い
)
ひ
付
(
つ
)
けて
鄭重
(
ていちよう
)
なお
給仕
(
きふじ
)
をさしてるのだ。
118
そんな
不足
(
ふそく
)
は
聞
(
き
)
きたくはないワイ』
119
久助
『
此奴
(
こいつ
)
ア
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
駄目
(
だめ
)
だ。
120
オーイ、
121
皆
(
みな
)
の
連中
(
れんぢう
)
、
122
餓鬼
(
がき
)
も
人数
(
にんず
)
だ、
123
かかれ かかれ』
124
と
下知
(
げち
)
するや、
125
バサバサと
水
(
みづ
)
をもぐつて
幾千万
(
いくせんまん
)
とも
限
(
かぎ
)
りなく
大小
(
だいせう
)
無数
(
むすう
)
の
頭
(
あたま
)
が
浮
(
う
)
き
上
(
あが
)
り、
126
口
(
くち
)
から
各
(
おのおの
)
真黒
(
まつくろ
)
のエグイともにがいとも
知
(
し
)
れぬ、
127
煙草
(
たばこ
)
の
脂
(
ず
)
を
溶
(
と
)
いたやうな
水
(
みづ
)
を
吹
(
ふ
)
き、
128
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
襲撃
(
しふげき
)
する。
129
文助
(
ぶんすけ
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に、
130
早
(
はや
)
く
岸
(
きし
)
に
泳
(
およ
)
ぎつきたいものだと、
131
頭
(
あたま
)
に
躓
(
つまづ
)
き
乍
(
なが
)
ら
目
(
め
)
も
眩
(
くら
)
むばかりになつて、
132
殆
(
ほとん
)
ど
二時
(
ふたとき
)
ばかりを
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
にシクシク
原
(
ばら
)
の
膝
(
ひざ
)
を
没
(
ぼつ
)
する
許
(
ばか
)
りの
沼
(
ぬま
)
を
漸
(
やうや
)
く
向岸
(
むかふぎし
)
に
着
(
つ
)
いた。
133
後
(
あと
)
振返
(
ふりかへ
)
り
見
(
み
)
れば、
134
沢山
(
たくさん
)
の
首
(
くび
)
は
水際
(
みづぎは
)
まで
追
(
お
)
つかけ
来
(
きた
)
り、
135
恨
(
うら
)
めしさうな
顔
(
かほ
)
をして
眺
(
なが
)
めてゐる。
136
久助
(
きうすけ
)
の
頭
(
あたま
)
は
真先
(
まつさき
)
に
進
(
すす
)
んで、
137
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らし、
138
久助
『
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
貴様
(
きさま
)
の
為
(
ため
)
に、
139
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
へ
押
(
お
)
し
込
(
こ
)
められてゐるが、
140
素
(
もと
)
より
案内者
(
あんないしや
)
の
貴様
(
きさま
)
が
悪
(
わる
)
かつた
為
(
ため
)
に
苦
(
くる
)
しんでゐるのだ。
141
決
(
けつ
)
して
元
(
もと
)
よりの
悪人
(
あくにん
)
ぢやない、
142
天国
(
てんごく
)
へ
進
(
すす
)
むだけの
資格
(
しかく
)
は
持
(
も
)
つてゐるのだ。
143
其
(
その
)
証拠
(
しようこ
)
は
常
(
つね
)
から
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
信仰
(
しんかう
)
して
来
(
き
)
たのだ。
144
今
(
いま
)
に
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
が
現
(
あら
)
はれて、
145
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
から
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さるといふ
御
(
ご
)
沙汰
(
さた
)
が
今
(
いま
)
下
(
くだ
)
つた
所
(
ところ
)
だから、
146
最早
(
もはや
)
お
前
(
まへ
)
を
恨
(
うら
)
んだ
所
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
147
綺麗
(
きれい
)
薩張
(
さつぱり
)
と
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
徳
(
とく
)
に
対
(
たい
)
して
忘
(
わす
)
れてやるから、
148
これから
先
(
さき
)
、
149
気
(
き
)
をつけたがよからうぞ。
150
キツと
自分
(
じぶん
)
の
神力
(
しんりき
)
で
祖先
(
そせん
)
の
霊
(
みたま
)
や
人
(
ひと
)
の
病気
(
びやうき
)
が
助
(
たす
)
かるなぞと
思
(
おも
)
うたら
当
(
あて
)
が
違
(
ちが
)
ふぞ。
151
皆
(
みな
)
人
(
ひと
)
をかやうな
苦
(
くる
)
しい
所
(
ところ
)
へおとすばかりだから、
152
別
(
わか
)
れに
臨
(
のぞ
)
んで
一言
(
いちごん
)
注意
(
ちゆうい
)
を
与
(
あた
)
へておく。
153
何
(
いづ
)
れ
八衢
(
やちまた
)
において
会
(
あ
)
ふかも
知
(
し
)
れない、
154
それまでにチツと
心
(
こころ
)
を
直
(
なほ
)
しておくがよからう』
155
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
156
無数
(
むすう
)
の
頭
(
あたま
)
は
俄
(
にはか
)
に
白煙
(
はくえん
)
となつて、
157
沼
(
ぬま
)
の
二三間
(
にさんげん
)
許
(
ばか
)
り
上
(
うへ
)
に
渦
(
うづ
)
をまき、
158
遂
(
つひ
)
にはそれが
紫色
(
むらさきいろ
)
に
変
(
へん
)
じ、
159
月
(
つき
)
の
如
(
ごと
)
き
玉
(
たま
)
となり、
160
沢山
(
たくさん
)
の
星
(
ほし
)
の
様
(
やう
)
なものが
其
(
その
)
周囲
(
しうゐ
)
に
集
(
あつ
)
まり、
161
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
昇騰
(
しようとう
)
して
南
(
みなみ
)
の
天
(
てん
)
を
指
(
さ
)
して
昇
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
162
其
(
その
)
中
(
うち
)
の
最
(
もつと
)
も
大
(
だい
)
なる
月
(
つき
)
の
如
(
ごと
)
き
玉
(
たま
)
は
久助
(
きうすけ
)
の
精霊
(
せいれい
)
であつた。
163
其
(
その
)
他
(
た
)
の
小
(
ちひ
)
さき
星
(
ほし
)
の
如
(
ごと
)
き
光
(
ひかり
)
は、
164
何
(
いづ
)
れも
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
在
(
あ
)
つて
忠実
(
ちうじつ
)
なる
信者
(
しんじや
)
なりし
者
(
もの
)
が、
165
宣伝使
(
せんでんし
)
に
誤
(
あやま
)
られて、
166
一
(
いち
)
時
(
じ
)
ここに
苦悶
(
くもん
)
を
続
(
つづ
)
けてゐたのである。
167
文助
(
ぶんすけ
)
は
此
(
この
)
態
(
てい
)
を
見
(
み
)
て、
168
初
(
はじ
)
めて
悟
(
さと
)
り………
169
文助
『ああ
自分
(
じぶん
)
は
実
(
じつ
)
に
慢心
(
まんしん
)
をして
居
(
を
)
つた、
170
いかにも
久助
(
きうすけ
)
の
言
(
い
)
つた
通
(
とほり
)
だ。
171
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
、
172
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
、
173
貴神
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
を、
174
知
(
し
)
らず
知
(
し
)
らずに
慢心
(
まんしん
)
を
致
(
いた
)
して
自分
(
じぶん
)
の
物
(
もの
)
と
致
(
いた
)
して
居
(
を
)
りました。
175
重々
(
ぢゆうぢゆう
)
の
罪悪
(
ざいあく
)
をお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ。
176
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
にある
天
(
てん
)
の
賊
(
ぞく
)
とは
全
(
まつた
)
く
吾々
(
われわれ
)
の
事
(
こと
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
177
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
178
と
詫
(
わ
)
びながら、
179
荒風
(
あらかぜ
)
たける
萱野
(
かやの
)
ケ
原
(
はら
)
を
当途
(
あてど
)
もなく
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
180
後
(
あと
)
へ
帰
(
かへ
)
らうとすれども、
181
何者
(
なにもの
)
か
後
(
うしろ
)
より
押
(
お
)
すやうに
思
(
おも
)
へて、
182
一歩
(
いつぽ
)
も
退
(
しりぞ
)
くことは
出来
(
でき
)
ぬ。
183
只
(
ただ
)
機械
(
きかい
)
的
(
てき
)
に
馬車馬
(
ばしやうま
)
的
(
てき
)
に、
184
何者
(
なにもの
)
にか
制縛
(
せいばく
)
されつつあるやうな
心地
(
ここち
)
で、
185
心
(
こころ
)
ならずも
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くのであつた。
186
ここには
草原
(
くさはら
)
の
中
(
なか
)
に
可
(
か
)
なり
大
(
おほ
)
きな
平
(
ひら
)
たい
石
(
いし
)
があつて、
187
ムクムクと
其
(
その
)
石
(
いし
)
が
動
(
うご
)
いてゐる。
188
ハテ
訝
(
いぶ
)
かしやと、
189
文助
(
ぶんすけ
)
は
立止
(
たちど
)
まつて
目
(
め
)
も
放
(
はな
)
たず
眺
(
なが
)
めてゐた。
190
(
大正一二・二・九
旧一一・一二・二四
松村真澄
録)
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