霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 千引岩(ちびきいは)〔一三五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻 篇:第3篇 衡平無死 よみ(新仮名遣い):こうへいむし
章:第15章 千引岩 よみ(新仮名遣い):ちびきいわ 通し章番号:1351
口述日:1923(大正12)年02月09日(旧12月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年1月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
文助は大石が動くので神言を奏上していた。すると二十歳くらいの娘と十八歳くらいの男が岩の下から現れ、自分たちは文助の娘・年子と息子・平吉だと名乗った。
文助の子・お年と平吉は、それぞれ三つと二つのときに死んだが、霊界で成長したのだという。そしてその間、文助にだまされたという人がたくさん霊界にやってきて睨まれるので、十六年の間、姉弟で萱野ケ原に逃れて隠れて暮らしていたのだという。
文助は自分の子供たちの身の上話を聞いて涙に暮れて考え込んでいる。後ろから肩を叩く者があって驚いて振り向くと、生前の知己の竜助であった。
竜助は、生前に文助が教えてくれた話が霊界へ来てみるとすっかり間違いだらけで、方角がわからなくなって、この原野にさまよっているのだと身の上を語り、文助の二人の子がかわいそうだからときどき様子を見に来て食べる物を渡しているのだ、と語った。
文助は宣伝使としてどのように心を持ったらよいかわからず、嘆いた。竜助は、何事も神様の御神徳によって人が助かり、自分も生き、人の上に立って教えることができるのだ、と文助を諭した。たちまち竜助は大火団となって中空に舞のぼり、東の方面を指して行った。竜助と見えたのは、文助の産土の神の化身であった
産土の神がお年・平吉の身を憐み、神務の余暇にここへきて二人を助けていたことを知った文助は、産土の神の御仁慈を悟って地にひれ伏し、啼泣して感謝をささげた。
文助は二人の子供たちに、自分の慢心の罪を詫びた。文助は、今まで唱える祝詞の力によって天国へ救い導くものと思っていたが、これはたいへんな間違いであり、神様の御力によって救われるのだということを理解し、懺悔した。
この上は神様に何事も任せて、お指図を受ける外にはないことを悟った文助は、親子三人で荒野が原に端座して、一生懸命に祈願を凝らした。
ちなみに、産土の神が二人の姉弟をかくまうために石を使われたのは、石が真を現し、虚偽と罪悪と醜穢を裁断する神力が備わったものであるからである。神の真を現す石は、悪魔の襲来を防ぐ。石は鉱物であり、玉留魂である。
ゆえに石は霊国の真相を現すもので、月の大神の御神徳に相応し、石の玉をもって御神体とする。霊国の神の御舎は石を持って造られている。天国は木をもって宮が造られている。木は愛に相応し、太陽の熱に和合するからである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:黄泉平坂(黄泉比良坂) データ凡例: データ最終更新日:2023-11-26 18:53:53 文字数:3288 OBC :rm5215
愛善世界社版:194頁 八幡書店版:第9輯 448頁 修補版: 校定版:202頁 普及版:84頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]:出口王仁三郎全集 > 第二巻 宗教・教育編 > 第四篇 神霊世界 > 第二十五章 天賊
001 文助(ぶんすけ)は重(おも)た相(さう)な石(いし)が、002土鼠(もぐら)が持(も)つ様(やう)に、003ムクムクと動(うご)くので、004此奴(こいつ)ア不思議(ふしぎ)と立止(たちどま)り神言(かみごと)を奏上(そうじやう)してゐると、005一人(ひとり)は二十(にじつ)歳(さい)位(くらゐ)な娘(むすめ)、006一人(ひとり)は十八(じふはち)歳(さい)位(くらゐ)な男(をとこ)が岩(いは)の下(した)から現(あら)はれて来(き)た。007文助(ぶんすけ)は何者(なにもの)ならむと身構(みがま)へしてゐると、008男女(だんぢよ)二人(ふたり)は文助(ぶんすけ)の側(そば)へ馴々(なれなれ)しくよつて来(き)て、
009二人『お父(とう)さま、010能(よ)う来(き)て下(くだ)さいました。011私(わたくし)は年子(としこ)で厶(ござ)います……私(わたくし)は平吉(へいきち)で厶(ござ)います』
012文助『私(わたし)には、013成程(なるほど)お年(とし)、014平吉(へいきち)といふ二人(ふたり)の子(こ)はあつた。015併(しか)しながら其(その)子(こ)は、016姉(あね)は三(みつ)つの年(とし)に、017弟(おとうと)は二(ふた)つの年(とし)に死(し)んだ筈(はず)だ。018お前(まへ)のやうな大(おほ)きな子(こ)を持(も)つた筈(はず)はない、019ソラ大方(おほかた)人違(ひとちがひ)だらう』
020年子(としこ)『私(わたし)は三(みつ)つの年(とし)に現界(げんかい)を去(さ)つて、021あなたの側(そば)を離(はな)れ、022霊界(れいかい)へ出(で)て来(き)ました。023さうすると沢山(たくさん)な、024お父(とう)さまに騙(だま)された人(ひと)がやつて来(き)て、025彼奴(あいつ)は文助(ぶんすけ)の娘(むすめ)だと睨(にら)みますので、026居(を)るにも居(を)られず、027行(ゆ)く所(ところ)へも行(ゆ)けず、028今日(けふ)で十六(じふろく)年(ねん)の間(あひだ)、029此(この)萱野(かやの)ケ原(はら)で暮(くら)して来(き)ました。030そして毎日(まいにち)ここに隠(かく)れて、031姉弟(きやうだい)が住居(すまゐ)をして居(を)ります。032霊界(れいかい)へ来(き)てから、033ここまで成人(せいじん)したのです』
034文助『成程(なるほど)、035さう聞(き)けばどこともなしに女房(にようばう)に似(に)た所(ところ)もあり、036私(わし)の記憶(きおく)に残(のこ)つてゐるやうだ。037そしてお前(まへ)等(ら)二人(ふたり)は永(なが)い間(あひだ)此処(ここ)ばかりに居(を)つたのか』
038平吉(へいきち)『ハイ、039姉(ねえ)さまと二人(ふたり)が木(こ)の実(み)を取(と)つたり、040芋(いも)を掘(ほ)つたり、041いろいろとして、042今日(けふ)迄(まで)暮(くら)して来(き)ました。043人(ひと)に見(み)つけられようものなら、044すぐに、045お前(まへ)の親(おや)は俺(おれ)をチヨロまかして、046こんな所(ところ)へ落(おと)しよつたと云(い)つて責(せ)めますから、047それが苦(くる)しさに、048永(なが)い間(あひだ)穴住居(あなずまゐ)をして居(ゐ)ました』
049と涙(なみだ)を滝(たき)の如(ごと)くに流(なが)し、050其(その)場(ば)で姉弟(きやうだい)は泣(な)き伏(ふ)して了(しま)つた。051文助(ぶんすけ)は手(て)を組(く)み、052涙(なみだ)を流(なが)しながら思案(しあん)にくれてゐると、053後(うしろ)から文助(ぶんすけ)の背(せ)を叩(たた)いて、
054(竜助)『オイ文助(ぶんすけ)』
055といふ者(もの)がある。056よくよく見(み)れば、057生前(せいぜん)に見覚(みおぼえ)のある竜助(りうすけ)であつた。058文助(ぶんすけ)は驚(おどろ)いて、
059文助『イヤ、060お前(まへ)は竜助(りうすけ)か、061根(ね)つから年(とし)がよらぬぢやないか』
062竜助『折角(せつかく)お前(まへ)が生前(せいぜん)に於(おい)ていろいろと結構(けつこう)な話(はなし)をしてくれたが、063併(しか)しながら其(その)話(はなし)はスツカリ霊界(れいかい)へ来(き)て見(み)ると、064間違(まちが)ひだらけで、065サツパリ方角(はうがく)が分(わか)らぬやうになり、066今日(けふ)で十(じふ)年(ねん)の間(あひだ)、067此(この)原野(げんや)に彷徨(さまよ)うてゐるのだ、068これから先(さき)へ行(ゆ)くと、069八衢(やちまた)の関所(せきしよ)があるが、070そこから追(お)ひかへされて、071かやうな所(ところ)で面白(おもしろ)からぬ生活(せいくわつ)をやつてゐるのだ。072お前(まへ)の為(ため)にどれだけ苦(くる)しんでゐる者(もの)があるか分(わか)つたものでないワ』
073文助『誰(たれ)もかれも、074会(あ)ふ人(ひと)毎(ごと)に不足(ふそく)を聞(き)かされ、075たまつたものぢやない。076ヤツパリ私(わたし)の言(い)ふ事(こと)は違(ちが)うて居(を)つたのかなア』
077竜助『お前(まへ)はウラナイ教(けう)を俺(おれ)に教(をし)へてくれた先生(せんせい)だが、078あの教(をしへ)は皆(みな)兇党界(きようたうかい)の神(かみ)の言葉(ことば)だつた。079それ故(ゆゑ)妙(めう)な所(ところ)へ落(おと)される所(ところ)だつたが、080産土(うぶすな)の神(かみ)様(さま)の御(お)かげによつて、081霊界(れいかい)の方(はう)へやつて貰(もら)うたのだ。082併(しか)しながら生前(せいぜん)に於(おい)て誠(まこと)の神(かみ)様(さま)に反(そむ)き、083兇党界(きようたうかい)ばかりを拝(をが)んだ罪(つみ)が酬(むく)うて来(き)て、084智慧(ちゑ)は眩(くら)み、085力(ちから)はおち、086かやうな所(ところ)に修業(しうげふ)を致(いた)して居(を)るのだ。087お前(まへ)の娘(むすめ)、088息子(むすこ)だつてヤツパリお前(まへ)の脱線(だつせん)した教(をしへ)を聞(き)いてゐたものだから、089俺(おれ)達(たち)と同(おな)じやうに、090こんな荒野(あらの)ケ原(はら)に惨(みぢ)めな生活(せいくわつ)をしてゐるのだ。091そして大勢(おほぜい)の者(もの)にお前(まへ)の子(こ)だからと云(い)つて、092憎(にく)まれてゐるのだ、093俺(おれ)はいつも二人(ふたり)が可愛相(かあいさう)なので、094大勢(おほぜい)に隠(かく)れて、095チヨコ チヨコ喰物(くひもの)を持(も)つて来(き)たり、096又(また)淋(さび)しからうと思(おも)つて訪問(はうもん)してやるのだよ』
097文助『あ、098困(こま)つた事(こと)が出来(でき)たものだなア、099今(いま)は改心(かいしん)して三五教(あななひけう)に入(はい)つてゐるのだ。100マ、101其(その)時(とき)は悪気(わるぎ)でしたのでないから、102マ、103許(ゆる)して貰(もら)はな仕方(しかた)がない、104どうぞ皆(みな)さまに会(あ)つてお詫(わび)をしたいものだ』
105竜助『三五教(あななひけう)だつて、106お前(まへ)の慢心(まんしん)が強(つよ)いから、107肝腎(かんじん)の神(かみ)様(さま)の教(をしへ)は伝(つた)はらず、108ヤツパリお前(まへ)の我(が)ばかりで、109人(ひと)を導(みちび)いて来(き)たのだから、110地獄道(ぢごくだう)へ堕(お)ちたのもあり、111ここに迷(まよ)うて居(ゐ)るのも沢山(たくさん)ある。112なにほど尊(たふと)い神(かみ)の教(をしへ)でも、113取次(とりつぎ)が間違(まちが)つたならば、114信者(しんじや)は迷(まよ)はざるを得(え)ないのだよ』
115文助『何(なん)と難(むつ)かしいものだなア。116吾々(われわれ)宣伝使(せんでんし)は一体(いつたい)何(ど)うしたらいいのだらうか、117訳(わけ)が分(わか)らぬやうになつて了(しま)つた』
118竜助『何(なん)でもない事(こと)だよ、119何事(なにごと)も皆(みな)神(かみ)様(さま)の御(お)蔭(かげ)、120神(かみ)様(さま)の御(ご)神徳(しんとく)に仍(よ)つて人(ひと)が助(たす)かり、121自分(じぶん)も生(い)き働(はたら)き、122人(ひと)の上(かみ)に立(た)つて教(をし)へる事(こと)が出来(でき)るのだ。123自分(じぶん)の力(ちから)は一(ひと)つも之(これ)に加(くは)はるのでないといふ事(こと)が合点(がつてん)が行(ゆ)けば、124それでお前(まへ)は立派(りつぱ)な宣伝使(せんでんし)だ。125余(あま)り自分(じぶん)の力(ちから)を頼(たよ)つて慢心(まんしん)を致(いた)すと、126助(たす)かるべき者(もの)も助(たす)からぬやうな事(こと)が出来(しゆつたい)するのだよ。127是(これ)から先(さき)には沢山(たくさん)のお前(まへ)に導(みちび)かれた連中(れんぢう)が苦(くる)しんでゐるから、128其(その)積(つも)りで行(い)つたがよい。129二人(ふたり)の娘(むすめ)、130息子(むすこ)だつてお前(まへ)の為(ため)に可愛相(かあいさう)なものだ。131筆先(ふでさき)に「子(こ)に毒(どく)をのます」と書(か)いてあるのは此(この)事(こと)だ。132合点(がつてん)がいつたか』
133と、134どこともなしに竜助(りうすけ)の言葉(ことば)は荘重(さうちよう)になつて来(き)た。135文助(ぶんすけ)は思(おも)はず神(かみ)の言葉(ことば)のやうに思(おも)はれてハツと首(くび)を下(さ)げ、136感謝(かんしや)の涙(なみだ)にくれてゐる。137忽(たちま)ちあたりがクワツと明(あか)るくなつたと思(おも)へば、138竜助(りうすけ)は大火団(だいくわだん)となつて中空(ちうくう)に舞(ま)ひのぼり、139東(ひがし)の方面(はうめん)指(さ)して帰(かへ)つて行(ゆ)く。140之(これ)は文助(ぶんすけ)の産土(うぶすな)の神(かみ)であつた。
141 産土(うぶすな)の神(かみ)はお年(とし)、142平吉(へいきち)の二人(ふたり)を憐(あは)れみ、143神務(しんむ)の余暇(よか)に此処(ここ)へ現(あら)はれて、144二人(ふたり)を助(たす)け給(たま)ひつつあつたのである。145文助(ぶんすけ)は始(はじ)めて産土(うぶすな)の神(かみ)の御(ご)仁慈(じんじ)を悟(さと)り、146地(ち)にひれ伏(ふ)して涕泣(ていきふ)感謝(かんしや)を稍(やや)久(ひさ)しうした。
147 文助(ぶんすけ)は二人(ふたり)に向(むか)い、
148文助『お前(まへ)たち二人(ふたり)は、149子供(こども)でもあり、150まだ罪(つみ)も作(つく)つてゐないから、151ウラナイ教(けう)の御(ご)神徳(しんとく)で天国(てんごく)へ行(い)つて居(ゐ)る者(もの)だとのみ思(おも)つてゐたのに、152斯様(かやう)な所(ところ)で苦労(くらう)してゐたとは気(き)がつかなかつた。153之(これ)も全(まつた)く私(わたし)の罪(つみ)だ。154どうぞ許(ゆる)してくれ、155さぞさぞ苦労(くらう)をしたであらうな』
156お年(とし)『お父(とう)さま、157あなたの吾々(われわれ)を思(おも)うて下(くだ)さる御(お)志(こころざし)は本当(ほんたう)に有難(ありがた)う厶(ござ)いますが、158何(なん)と云(い)つても、159誠(まこと)の神(かみ)様(さま)の道(みち)に反(そむ)き、160兇党界(きようたうかい)の神(かみ)に媚(こ)び諂(へつら)ひ、161日々(にちにち)罪(つみ)を重(かさ)ねてゐられるものですから、162私(わたし)たちの耳(みみ)にも、163現界(げんかい)の消息(せうそく)がチヨコ チヨコ聞(きこ)えて、164其(その)度(たび)毎(ごと)に剣(つるぎ)を呑(の)むやうな心持(こころもち)で厶(ござ)いました。165今日(けふ)も亦(また)文助(ぶんすけ)の導(みちび)きで兇党界(きようたうかい)行(ゆき)があつたが、166産土(うぶすな)様(さま)のお蔭(かげ)で霊界(れいかい)へ救(すく)はれたといふ噂(うはさ)を幾(いく)ら聞(き)いたか分(わか)りませぬ。167弟(おとうと)も余(あま)り恥(はづ)かしいと云(い)つて外(そと)へ出(で)ず、168又(また)外(そと)へ出(で)ても大勢(おほぜい)の者(もの)に睨(にら)まれるのが辛(つら)さに狐(きつね)のやうに、169穴(あな)を掘(ほ)つて、170此(この)岩(いは)の下(した)に生活(せいくわつ)を続(つづ)けて来(き)ました。171これだけ広(ひろ)い野原(のはら)で、172石(いし)なとなければ印(しるし)がないので、173産土(うぶすな)様(さま)のお蔭(かげ)で、174此(この)石(いし)を一(ひと)つ運(はこ)んで貰(もら)ひ、175これを目当(めあて)に暮(くら)してゐます。176石(いし)といふものは、177さやります黄泉(よもつ)大神(おほかみ)と云(い)つて、178これさへあれば敵(てき)は襲来(しふらい)しませぬ。179此(この)岩(いは)のお蔭(かげ)で、180姉弟(きやうだい)がやうやうとここまで成人(せいじん)したので厶(ござ)います。181お父(とう)さまも、182一(いち)時(じ)も早(はや)く御(ご)改心(かいしん)を遊(あそ)ばして、183吾々(われわれ)を天国(てんごく)へ行(ゆ)くやうにして下(くだ)さい』
184文助『今(いま)までは、185吾々(われわれ)が祝詞(のりと)の力(ちから)に仍(よ)つて天国(てんごく)へ救(すく)へるもの、186又(また)は導(みちび)けるものと思(おも)うてゐたが大変(たいへん)な間違(まちがひ)だつた。187これは神(かみ)様(さま)の御(お)力(ちから)に仍(よ)つて救(すく)はれるのだつた、188今(いま)迄(まで)は自分(じぶん)の力(ちから)で人(ひと)を救(すく)うと思(おも)ひ、189又(また)人(ひと)の病(やまひ)を自分(じぶん)の力(ちから)で直(なほ)すと思(おも)うたのが慢心(まんしん)だつたのだ。190もう此(この)上(うへ)は神(かみ)様(さま)に何事(なにごと)も任(まか)して、191御(お)指図(さしづ)を受(う)ける外(ほか)はない。192ああ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)』
193と親子(おやこ)三(さん)人(にん)は荒野(あらの)ケ原(はら)に端坐(たんざ)して、194一生(いつしやう)懸命(けんめい)に祈願(きぐわん)を凝(こ)らした。
195 因(ちなみ)に石(いし)といふものは、196真(しん)を現(あら)はすものである。197そして、198所在(あらゆる)虚偽(きよぎ)と罪悪(ざいあく)と醜穢(しうゑ)を裁断(さいだん)する所(ところ)の神力(しんりき)の備(そな)はつたものである。199神典(しんてん)古事記(こじき)にも、200黄泉(よもつ)平坂(ひらさか)の上(うへ)に千引(ちびき)の岩(いは)をおかれたのは、201黄泉国(よもつくに)の曲(まが)を裁断(さいだん)する為(ため)であつた。202人間(にんげん)の屋敷(やしき)の入口(いりぐち)に大(おほ)きな岩(いは)を立(た)てて、203門(もん)に代用(だいよう)するのも外来(ぐわいらい)の悪魔(あくま)を防(ふせ)ぐ為(ため)である。204又(また)家屋(かをく)の周囲(しうゐ)に延石(のべいし)を引(ひ)きまはすのも、205千引(ちびき)の岩(いは)の古事(こじ)にならひ悪魔(あくま)の襲来(しふらい)を防(ふせ)ぐ為(ため)である。206築山(つきやま)を石(いし)を以(もつ)て飾(かざ)るのも神(かみ)の真(しん)を現(あら)はす為(ため)であり、207又(また)悪魔(あくま)の襲来(しふらい)を防(ふせ)ぐ為(ため)である。208そして所在(あらゆる)植物(しよくぶつ)を庭園(ていゑん)に栽培(さいばい)するのは愛(あい)を表徴(へうちよう)したのである。209人間(にんげん)の庭園(ていゑん)は愛善(あいぜん)の徳(とく)と信真(しんしん)の光(ひかり)を惟神(かむながら)的(てき)に現(あら)はした至聖所(しせいじよ)である。210故(ゆゑ)に之(これ)を坪(つぼ)の内(うち)とも花園(はなぞの)とも称(しよう)するのである。211天国(てんごく)の諸団体(しよだんたい)の有様(ありさま)は、212すべて美(うる)はしき石(いし)を配置(はいち)し、213所在(あらゆる)植物(しよくぶつ)を植(う)ゑつけられた庭園(ていゑん)に類似(るゐじ)したものである。214それから石(いし)は砿物(くわうぶつ)であり玉留魂(たまつめむすび)である。215故(ゆゑ)に神(かみ)様(さま)の御霊(みたま)を斎(まつ)るのは所謂(いはゆる)霊国(れいごく)の真相(しんさう)を現(あら)はすもので、216月(つき)の大神(おほかみ)の御(ご)神徳(しんとく)に相応(さうおう)するが故(ゆゑ)に、217石(いし)の玉(たま)を以(もつ)て御(ご)神体(しんたい)とするのである。218これ故(ゆゑ)に霊国(れいごく)の神(かみ)の御舎(みあらか)は皆(みな)石(いし)を以(もつ)て造(つく)られ、219天国(てんごく)は木(き)を以(もつ)て、220其(その)宮(みや)を造(つく)られてある。221木(き)は愛(あい)に相応(さうおう)し、222太陽(たいやう)の熱(ねつ)に和合(わがふ)するが故(ゆゑ)である。223大本(おほもと)の御(ご)神体(しんたい)が石(いし)であつたから、224何(なん)でも無(な)い神(かみ)だと嘲笑(てうせう)してゐるそこらあたりの新聞(しんぶん)記事(きじ)などは、225実(じつ)に霊界(れいかい)の真理(しんり)に到達(たうたつ)せざる癲狂(てんきやう)痴呆(ちはう)であつて、226新聞(しんぶん)記者(きしや)自(みづか)らの不明(ふめい)を表白(へうはく)してゐるものである。
227 ああ惟神(かむながら)霊(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)。
228(大正一二・二・九 旧一一・一二・二四 松村真澄録)
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