霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一七章 飴屋(あめや)〔一三五三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第52巻 真善美愛 卯の巻 篇:第3篇 衡平無死 よみ(新仮名遣い):こうへいむし
章:第17章 飴屋 よみ(新仮名遣い):あめや 通し章番号:1353
口述日:1923(大正12)年02月09日(旧12月24日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年1月28日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
霊主体従とは、人間の内分が神に向かって開け、神を愛し理解し、善徳を積み、真の知恵を輝かせて信の真徳に居り、外的事物に拘泥しない状態を云うのである。このような人は地上の天人にして、生きながら天国に籍を置いている。この精霊を本守護神という。
体主霊従とは、人間はどうしても霊界と現界の中間に介在し、一方に天国を開き一方に地獄を開いている。ゆえに、どうしても善悪美醜たがいに交わって世の中の神業に奉仕しなくてはならない。そこでもし、霊を軽んじ体を重んじるなら、体五霊五となり、地獄に向かって内分が開けることになる。
一般に体主霊従は霊学の説明上「悪」とされているが、これは生きながら中有界に迷っている人間の境遇を云うのである。人間は最善を尽くして一つも悪をなさなくても、その心性情動の如何によって、あるいは善となり、あるいは悪となるものである。
何ほど善を尽くしたと思っても、その愛が神的であれば天国、自然的であれば地獄に分かれるのである。体主霊従的人間が、現世で一つでも悪事をなしたら、どうしてもこれは体五霊五より堕ちてしまい、たちまち地獄道に落ちなければならないのである。
善悪不二とは、神が中有界に迷える人間にも自愛の心をもって臨むことを表した言葉であり、人間の言動に当てはまることではない。人間は、肉体を保って現世に在る間は絶対的な善をなすことはできない。しかしその内的生涯において天国に籍を置くことができるなら、これを霊主体従の人ということができるのである。
中有界の八衢は、善悪正邪の審判所である。人間の大部分は、中有界と地獄界に籍を置いている。人間が霊界に行ったときは、外分が除却されて内分のみ存在し、霊的生涯を営むことになる。
純潔な霊は、肉体に附けるすべての悪が払しょくされ、霊相応に天国の団体に和合することができる。あまり利己心の強い精霊は、死後にいたるまでその執着を残し、容易に駆除されず、外分のみ開けてしまう。またその内底の悪が暴露され、浅ましい面貌となって地獄界に堕ちるものである。
文助は八衢の関所に着き、白と赤の守衛に比較的丁寧に導かれて、門の傍らの石の上に腰をかけて息を休めていた。すると半町ばかり手前に騒がしい飴屋の囃子が聞こえてきた。
飴屋は関所の前に荷を卸、ラッパを吹きたてる。たくさんの子供が集まってきて、先を争って銭を差し出し、飴をくれと押し掛ける。子供にせがまれて囃子を歌い、しきりに金を出せを歌って子供相手の商売をやっている。
守衛たちは通行人の身元調べに忙しい中、飴屋が大勢の子供を集めて騒ぎ出したので面喰い、城の守衛が側に寄ってきて、飴屋の爺に別の場所に移動するように言い聞かせた。飴屋はここが幽界の八衢だとは信じず、騒ぎまわる。赤の守衛は大いに怒り、飴屋を手早くひっくくって門内に姿を隠した。
文助は五里霧中に彷徨した心地で、これまでのことは夢か現かとしきりに首をひねっていた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-12-05 13:39:58 OBC :rm5217
愛善世界社版:210頁 八幡書店版:第9輯 453頁 修補版: 校定版:217頁 普及版:92頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎全集 > 第一巻 皇道編 > 第七篇 高天原 > 第十章 霊主体従・体主霊従
001 霊主(れいしゆ)体従(たいじゆう)とは、002人間(にんげん)内分(ないぶん)(かみ)(むか)つて(ひら)け、003(ただ)(かみ)(あい)し、004(かみ)理解(りかい)し、005善徳(ぜんとく)()み、006(しん)智慧(ちゑ)(かがや)かし、007(しん)真徳(しんとく)()り、008外的(ぐわいてき)事物(じぶつ)(すこ)しも拘泥(こうでい)せざる状態(じやうたい)()ふのである。009(かく)(ごと)(ひと)所謂(いはゆる)地上(ちじやう)天人(てんにん)にして、010()きながら天国(てんごく)(せき)()いて()(もの)で、011この精霊(せいれい)(しよう)して(ほん)守護神(しゆごじん)()ふのである。012至粋(しすゐ)013至純(しじゆん)014至美(しび)015至善(しぜん)016至愛(しあい)017至真(ししん)(とく)()るものでなくては、018(この)境遇(きやうぐう)()(こと)出来(でき)ぬ。
019 (また)体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)とは、020人間(にんげん)はどうしても霊界(れいかい)現界(げんかい)との中間(ちうかん)介在(かいざい)するものである以上(いじやう)は、021一方(いつぱう)天国(てんごく)(ひら)一方(いつぱう)地獄(ぢごく)(ひら)いて()るものだ。022(ゆゑ)人間(にんげん)はどうしても善悪(ぜんあく)混交(こんかう)美醜(びしう)(たがひ)(まじ)はつて()(なか)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)せなくてはならない。023(しか)しこれは、024普通(ふつう)一般(いつぱん)(ぜん)にも(あら)(あく)にも(あら)ざる人間(にんげん)(こと)である。025人間(にんげん)肉体(にくたい)基礎(きそ)とし、026(また)終極点(しうきよくてん)とするが(ゆゑ)に、027外的(ぐわいてき)方面(はうめん)より()体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)()ふのであるが、028(しか)しながら、029(これ)主観(しゆくわん)(てき)()へば霊的(れいてき)五分(ごぶ)030体的(たいてき)五分(ごぶ)031(すなは)ち、032霊五(れいご)体五(たいご)たるべきものである。033()(れい)(かろ)んじ(たい)(おも)んずるに(いた)らば、034(ここ)に、035体五(たいご)霊五(れいご)となるのである。036(おな)(たい)五分(ごぶ)(れい)五分(ごぶ)(いへど)も、037(その)所主(しよしゆ)(あい)外的(ぐわいてき)なると、038内的(ないてき)なるとに()つて、039霊五(れいご)体五(たいご)となり、040(また)体五(たいご)霊五(れいご)となるのである。041(ゆゑ)霊五(れいご)体五(たいご)人間(にんげん)は、042天国(てんごく)(むか)つて内分(ないぶん)(ひら)け、043体五(たいご)霊五(れいご)人間(にんげん)は、044地獄(ぢごく)(むか)つて(その)内分(ないぶん)(ひら)けて()るものである。
045 一般(いつぱん)体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)()へば、046霊学(れいがく)説明(せつめい)(じやう)(あく)となつて()るが、047(しか)体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)とは、048(いき)ながら中有界(ちううかい)(まよ)つて()人間(にんげん)境遇(きやうぐう)()ふのである。049人間(にんげん)最善(さいぜん)(つく)し、050(ただ)(ひと)つの(あく)をなさなくても(その)心性(しんせい)情動(じやうどう)如何(いかん)()りて、051(あるひ)(ぜん)となり(あるひ)(あく)となるものである。052(ゆゑ)人間(にんげん)は、053どうしても霊五(れいご)体五(たいご)より(くだ)(こと)出来(でき)ない。054これを(くだ)れば(たちま)地獄界(ぢごくかい)()ちねばならぬのである。055何程(なにほど)(ぜん)(つく)したと(おも)つて()ても、056(その)(あい)神的(しんてき)なると自然(しぜん)(てき)なるとに()つて、057天国(てんごく)地獄(ぢごく)(わか)るるのであるから、058体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)(てき)人間(にんげん)が、059現世(げんせ)(おい)(ひと)つでも悪事(あくじ)をなしたならば、060どうしても(これ)体五(たいご)霊五(れいご)(どころ)体六(たいろく)霊四(れいし)061体七(たいしち)霊三(れいさん)となりて、062(たちま)地獄道(ぢごくだう)()ちねばならぬのである。
063 信者(しんじや)(なか)には善悪(ぜんあく)不二(ふじ)とか、064正邪(せいじや)一如(いちによ)とか()聖言(せいげん)(たて)()つて、065自分(じぶん)勝手(かつて)のよいやうに解釈(かいしやく)して()(ひと)もあるやうだが、066(これ)(かみ)善悪(ぜんあく)不二(ふじ)()はるるのは中有界(ちううかい)(まよ)へる人間(にんげん)(たい)して()はれるのであり、067(かつ)(かみ)善悪(ぜんあく)(かか)はらず慈愛(じあい)(こころ)をもつて(のぞ)ませらるる見地(けんち)から(おほ)せらるる言葉(ことば)である。068(けつ)して人間(にんげん)云為(うんゐ)すべき言葉(ことば)ではない。069どうしても人間(にんげん)肉体(にくたい)(たも)つて現世(げんせ)にある(あひだ)は、070絶対(ぜつたい)(てき)(ぜん)()(こと)出来(でき)ない。071(しか)しながら(その)内的(ないてき)生涯(しやうがい)(おい)天国(てんごく)(せき)()(こと)()るならば、072最早(もはや)これを霊主(れいしゆ)体従(たいじゆう)(ひと)()(こと)出来(でき)るのである。
073 中有界(ちううかい)八衢(やちまた)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)審判所(しんぱんしよ)であつて、074今日(こんにち)人間(にんげん)大部分(だいぶぶん)はこの中有界(ちううかい)地獄界(ぢごくかい)(せき)()いて()るものである。075されども人間(にんげん)霊肉(れいにく)脱離(だつり)関門(くわんもん)()えて霊界(れいかい)()つた(とき)は、076(その)外分(ぐわいぶん)情態(じやうたい)(とき)()るに(したが)つて除却(ぢよきやく)さるるが(ゆゑ)に、077(その)内分(ないぶん)のみ存在(そんざい)し、078(ここ)霊的(れいてき)生涯(しやうがい)(いとな)(こと)となる。079(この)(とき)肉体(にくたい)()ける(すべ)ての(あく)払拭(ふつしき)され、080(その)純潔(じゆんけつ)なる(みたま)天国(てんごく)団体(だんたい)に、081霊相応(みたまさうおう)和合(わがふ)()るものである。082(しか)しながら(あま)利己心(りこしん)(つよ)精霊(せいれい)は、083死後(しご)(いた)るまで(その)執着(しふちやく)(のこ)し、084容易(ようい)駆除(くぢよ)されないが(ゆゑ)に、085外分(ぐわいぶん)のみ(ひら)け、086(かつ)(また)外分(ぐわいぶん)(とき)()うて脱離(だつり)すると(とも)(その)内底(ないてい)(あく)(たちま)暴露(ばくろ)され、087妖怪(えうくわい)変化(へんげ)(ごと)(あさ)ましき面貌(めんばう)となつて地獄界(ぢごくかい)()()くものである。
088 文助(ぶんすけ)(やうや)くにして八衢(やちまた)関所(せきしよ)()いた。089(しろ)090(あか)二人(ふたり)守衛(しゆゑい)比較(ひかく)(てき)叮嚀(ていねい)(みちび)かれ、091(もん)(かたはら)のロハ(だい)(うへ)腰打(こしうち)かけ、092(いき)(やす)めて()た。093半町(はんちやう)ばかり手前(てまへ)(あた)つて(さわ)がしい(おと)(きこ)えて()た。
094『トンチントントン チンチントントン
095チントン、チントン、チンチントン
096夕日(ゆふひ)(あか)横町(よこちやう)
097飴屋(あめや)のお(ぢい)さん(かね)ならす
098(おほ)きい子供(こども)(ちひ)さな子供(こども)
099一銭(いつせん)()しては(あめ)()
100二銭(にせん)()しては(あめ)()
101(ぢい)サン両手(りやうて)(たくみ)(うご)
102金魚(きんぎよ)(ひと)(うさぎ)(ひと)
103(ひと)()には()がくれた
104飴屋(あめや)のお(ぢい)さん(かね)ならす』
105子供(こども)沢山(たくさん)(むら)がつて飴屋(あめや)(うしろ)から()いて()る。106飴屋(あめや)(めう)身振(みぶり)をしながら、
107『トンチントントン、チンチントントン
108チントン チントン、チンチントン』
109(はや)()て、110八衢(やちまた)関所(せきしよ)(まへ)にやつて()た。111さうして其処(そこ)()()ろし、112おもちやの喇叭(らつぱ)(しき)りに()()てて沢山(たくさん)子供(こども)(あつ)()した。113子供(こども)四方(しはう)八方(はつぱう)から(あつ)まつて()て、114(さけ)()つた(あか)(ぜに)や、115白粉(おしろい)をつけた(しろ)銀貨(ぎんくわ)()して、116(さき)(あらそ)うて『(あめ)()(あめ)()れ』と()しかける。117飴屋(あめや)(ゆび)(さき)(たくみ)(うご)かして、118(うさぎ)や、119(にはとり)120達磨(だるま)なぞを(またた)(うち)(ひね)つては(こしら)へ、121麦藁(むぎわら)でぷつと()いて(かさ)(たか)うし、122()つて()子供(こども)(かね)()きかへに(わた)して()る。123さうして子供(こども)所望(しよまう)によつて(また)もや(うた)ひだした。
124『トンチントントン チンチントントン
125チントン チントン チンチントン
126(あめ)(なか)からお()やんエ、お()やんが(いや)なら金時(きんとき)
127金時(きんとき)(いや)なら達磨(だるま)さま
128(うさぎ)でも(もち)つく、お(さる)でも
129十五(じふご)のお(つき)さんの(もち)つきに
130よう()飴屋(あめや)のお(ぢい)さんよ
131こりやこりや其処(そこ)らの子供(こども)(たち)
132(あめ)()しけりや幾何(いくら)でもやらう
133しかしお(かね)()きかへぢや
134地獄(ぢごく)沙汰(さた)でも金次第(かねしだい)
135(かね)()ければ(うま)(しる)
136どうしてもかうしても()はりやせぬ
137(かん)(ちち)よりお砂糖(さと)より
138もつと(あま)いのは(この)(あめ)ぢや
139あめが(した)には他人(たにん)()(こと)
140()いものぞやと三五教(あななひけう)
141(かみ)(さま)()はしやつたけれど
142何程(なにほど)あめ(した)ぢやとて
143(かね)()ければ他人(たにん)ぢやぞ
144(かね)(かたき)()(なか)
145このお(ぢい)さんが(いま)()(かね)
146ミロク三会(さんゑ)()けの(かね)
147(かね)()(やつ)近寄(ちかよ)るな
148トンチントントン、チンチントントン
149チントン、チントン、チンチントン』
150一生(いつしやう)懸命(けんめい)子供(こども)相手(あひて)暴儲(ぼろまう)けをやつて()る。
151 (しろ)152(あか)守衛(しゆゑい)通行人(つうかうにん)身許調(みもとしら)べに忙殺(ぼうさつ)されて()(ところ)へ、153沢山(たくさん)子供(こども)(あつ)め、154(かね)太鼓(たいこ)(さわ)()したので(おほい)面喰(めんくら)ひ、155(しろ)守衛(しゆゑい)(そば)()つて、
156白の守衛『これこれお(ぢい)さん、157場所(ばしよ)(かんが)へないか。158こんな関所(せきしよ)(まへ)で、159さうやかましく()つて()れては、160(おれ)(たち)邪魔(じやま)になるぢやないか。161ちと()()かして、162彼方(あつち)(はう)()つてやつたらどうだ』
163飴屋(かま)うて(くだ)さるな。164(わたし)行商(ぎやうしやう)()つて道路(だうろ)(ある)いて(あきな)ひをするものだ。165これでも政府(せいふ)税金(ぜいきん)(をさ)めて()るものだ。166何処(どこ)商売(しやうばい)をしようと(かま)うて(くだ)さるな。167子供(こども)沢山(たくさん)よつて()(ところ)で、168子供(こども)相手(あひて)商売(しやうばい)をやつて()るのだ。169(わたし)商売(しやうばい)邪魔(じやま)をするのなら、170損害(そんがい)賠償(ばいしやう)(うつた)へませうか』
171白の守衛現界(げんかい)でなればお(まへ)勝手(かつて)だらうが、172此処(ここ)冥途(めいど)八衢(やちまた)関所(せきしよ)だから、173(まへ)もやがて調(しら)べてやる(とき)()るのだ。174まア(しばら)彼方(あちら)(はう)()つて()()れ』
175飴屋(なん)()つても此処(ここ)(うご)かないのだ。176ヘン冥途(めいど)八衢(やちまた)なんぞと馬鹿(ばか)にしなさんな。177最前(さいぜん)から(こゑ)()れる(ほど)(うた)つて子供(こども)(あつ)め、178商売(しやうばい)繁昌(はんじやう)真最中(まつさいちう)だ。179(まへ)勝手(かつて)がよければ此方(こつち)勝手(かつて)(わる)い、180(わたし)商売(しやうばい)邪魔(じやま)になるのなら、181なぜ(たか)税金(ぜいきん)()るのだ』
182呶鳴(どな)りつけ、183(なほ)トンチントントン、184チンチントントンと(かね)(たた)(うた)(うた)つて、185子供(こども)機嫌(きげん)()つて()る。
186 (あか)守衛(しゆゑい)は、187(あま)頑強(ぐわんきやう)飴屋(あめや)態度(たいど)にグツト()()き、
188赤の守衛『これ飴屋(あめや)189これ(ほど)(こと)()けて(まを)すのに、190(その)(はう)()かぬのか』
191飴屋『そんな()(まる)のやうな(あか)(かほ)をして(にら)んだ(ところ)が、192(この)亜米利加(アメリカ)()さまはビクとも(いた)しませぬわいな、193ヤンキイモンキイ()はずに、194黙言(だま)つて引込(ひつこ)んで()なさい。
195トンチントントン、チンチントントン
196(あめ)(なか)からお()やんと金太(きんた)さんが()んで()たよ』
197(また)もや(をど)(くる)ふ。198(あか)(しろ)守衛(しゆゑい)(むか)ひ、
199赤の守衛(こま)つたものですな、200どうしませうかなア』
201白の守衛(しばら)くほつといてやりませうかい、202(わけ)(わか)らぬ(おやぢ)をつかまへて(しか)つて()(ところ)(なん)にもなりますまい。203やがて商売(あきなひ)()くなつたら(かへ)るでせうし、204子供(こども)だつて()るだけの(かね)をつかへば飴屋(あめや)(よう)はありませぬからなア』
205(あか)『デモ、206かう(やかま)しくては仕方(しかた)がないぢやありませぬか、207どうしてもこいつは追払(おつぱら)はにやなりますまい。208こりやこりや飴屋(あめや)209此処(ここ)()(こと)(ゆる)さないから、210どこかへ()つて商売(あきない)をして()るがよからう、211(やかま)しくて事務(じむ)邪魔(じやま)になるからな』
212飴屋『ヘン(うま)(こと)仰有(おつしや)りますワイ。213飴屋(あめや)太鼓(たいこ)(ぐらゐ)(なに)(やかま)しいのだ。214今日(こんにち)()(なか)労働(らうどう)争議(さうぎ)とか普選(ふせん)問題(もんだい)とか、215小作(こさく)争議(さうぎ)だとか外交(ぐわいかう)問題(もんだい)だとか()つて、216あれだけ(やかま)しう(さわ)()てて()るのに、217(その)(こゑ)(きこ)えないのか。218飴屋(あめや)(ぐらゐ)(やかま)しいとはチと(きこ)えないぢやないか。219これ(くらゐ)(こと)(みみ)(さは)るやうで、220どうして役人(やくにん)がつとまるか。221役人(やくにん)(みみ)何億(なんおく)()人民(じんみん)号泣(がうきふ)(こゑ)がちつとも(きこ)えないやうに(ふさ)がつて()るのだ。222それでなくては今日(こんにち)()(しよ)して、223大人物(だいじんぶつ)とは()はれないぞ。224仮令(たとへ)木端(こつぱ)役員(やくゐん)(いへど)(つと)まるものぢやない。225庚申(かうしん)さまの眷族(けんぞく)になつて、226()ざる、227()かざる、228()はざるを(まも)つて()るのが一番(いちばん)(かしこ)いやりかただ。229(やかま)しう()ふと何時(いつ)までも門番(もんばん)をさされて(くる)しんで()らねばならぬぞ、230ほんとに仕方(しかた)のない(やつ)だ。
231トンチントントン チントントン
232チンチントン
233八衢(やちまた)街道(かいだう)のまん(なか)
234(しろ)(あか)との守衛(しゆゑい)出会(であ)うた
235(あめ)(あぢ)をば()らないと()えて
236(にが)(かほ)して(ねら)みよる
237ほんに因果(いんぐわ)(うま)れつき
238チンチントントン チントントン』
239(また)もや(やかま)しく囃立(はやした)(をど)(くる)ふ。240(あか)(おほい)(いか)り、241矢庭(やには)飴屋(あめや)(うで)(うしろ)(まは)し、242手早(てばや)()(くく)つて門内(もんない)姿(すがた)(かく)した。
243 文助(ぶんすけ)五里(ごり)霧中(むちゆう)彷徨(はうくわう)した心地(ここち)で、244(いま)(わた)つて()山路(やまみち)(ぬま)245萱野(かやの)(はら)(こと)や、246両親(りやうしん)()うた(こと)など(おも)()し、247(ゆめ)(うつつ)()現界(げんかい)幽界(いうかい)かと、248(しき)りに(くび)(ひね)つて()た。
249大正一二・二・九 旧一一・一二・二四 加藤明子録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→