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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第74巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 渺茫千里
第1章 科戸の風
第2章 野路の草枕
第3章 篠の笹原
第4章 朝露の光
第5章 言霊神橋
第6章 真鶴山霊
第7章 相聞の闇
第8章 黒雲晴明
第9章 真鶴鳴動
第2篇 真鶴新国
第10章 心の手綱
第11章 万代の誓
第12章 森の遠望
第13章 水上の月
第14章 真心の曇らひ
第15章 晴天澄潮
第16章 真言の力(一)
第17章 真言の力(二)
第18章 玉野の森
第19章 玉野の神丘
第20章 松下の述懐
第3篇 玉藻霊山
第21章 玉野清庭
第22章 天地は曇る
第23章 意想の外
第24章 誠の化身
第25章 感歎幽明
第26章 総神登丘
余白歌
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> 第1篇 渺茫千里 > 第2章 野路の草枕
<<< 科戸の風
(B)
(N)
篠の笹原 >>>
第二章
野路
(
のぢ
)
の
草枕
(
くさまくら
)
〔一八七〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:
第1篇 渺茫千里
よみ(新仮名遣い):
びょうぼうせんり
章:
第2章 野路の草枕
よみ(新仮名遣い):
のじのくさまくら
通し章番号:
1870
口述日:
1933(昭和8)年10月20日(旧09月2日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
顕津男の神は、雲を払った多々久美の神の言霊を褒め称える。
多々久美の神は恐縮して謙遜するが、顕津男の神は、自分の心にかかった現世比女への恋着の曇りをも払ってくれた、と感謝の歌を歌う。
一行、この原野で野宿することとなったので、おのおの、述懐歌を歌う。
一夜を明かした一行は、朝日とともに、再び原野を歌うたいつつ進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7402
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 168頁
修補版:
校定版:
26頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
広袤
(
くわうばう
)
千里
(
せんり
)
の
原野
(
げんや
)
を
覆
(
おほ
)
ひたる
夕空
(
ゆふぞら
)
の
叢雲
(
むらくも
)
を、
002
生言霊
(
いくことたま
)
に
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ、
003
天地
(
てんち
)
を
清
(
きよ
)
めたる
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
功績
(
いさをし
)
を
深
(
ふか
)
く
感
(
かん
)
じ
給
(
たま
)
ひて、
004
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
005
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
『
天晴
(
あは
)
れ
天晴
(
あは
)
れ
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
006
天地
(
あめつち
)
をこめし
雲
(
くも
)
は
散
(
ち
)
らへり
007
言霊
(
ことたま
)
の
御水火
(
みいき
)
に
生
(
あ
)
れしもの
皆
(
みな
)
は
008
また
言霊
(
ことたま
)
に
消
(
き
)
え
失
(
う
)
するかも
009
わが
行手
(
ゆくて
)
深
(
ふか
)
く
包
(
つつ
)
みし
醜雲
(
しこぐも
)
の
010
晴
(
は
)
れて
清
(
すが
)
しき
夕
(
ゆふべ
)
の
広野
(
ひろの
)
よ
011
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
の
星
(
ほし
)
かげは
012
黄金
(
こがね
)
白銀
(
しろがね
)
とかがよひにけり
013
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
功績
(
いさをし
)
なかりせば
014
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
は
吹
(
ふ
)
かざるべきを
015
わが
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
へて
公
(
きみ
)
はいやさきに
016
貴
(
うづ
)
の
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
て
給
(
たま
)
ひける
017
三笠山
(
みかさやま
)
頂上
(
いただき
)
つつみし
白雲
(
しらくも
)
も
018
今
(
いま
)
はあとなく
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
るらむ
019
夕月
(
ゆふづき
)
の
影
(
かげ
)
やうやくに
現
(
あらは
)
れて
020
草葉
(
くさば
)
の
露
(
つゆ
)
は
照
(
て
)
り
初
(
そ
)
めにけり
021
月
(
つき
)
出
(
い
)
でて
草葉
(
くさば
)
にすだく
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も
022
いよよ
清
(
すが
)
しくなりにけらしな
023
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
はかくろひ
給
(
たま
)
へども
月読
(
つきよみ
)
の
024
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
草枕
(
くさまくら
)
やすし
025
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
を
重
(
かさ
)
ねて
大野原
(
おほのはら
)
026
闇
(
やみ
)
と
雲
(
くも
)
とに
包
(
つつ
)
まれしはや
027
久方
(
ひさかた
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
月
(
つき
)
かげを
028
見
(
み
)
ればわが
霊
(
たま
)
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く
029
現世
(
うつしよ
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
も
今日
(
けふ
)
の
月読
(
つきよみ
)
を
030
仰
(
あふ
)
ぎつ
吾
(
われ
)
を
偲
(
しの
)
びますらむ』
031
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
は、
032
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
033
『はづかしも
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
称言
(
たたへごと
)
034
聞
(
き
)
けば
嬉
(
うれ
)
しも
今宵
(
こよひ
)
の
胸
(
むね
)
は
035
御尾前
(
みをさき
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
言霊
(
ことたま
)
の
036
力
(
ちから
)
をはじめて
試
(
こころ
)
みしはや
037
岐美
(
きみ
)
が
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
に
雲霧
(
くもきり
)
あらせじと
038
吾
(
われ
)
御尾前
(
みをさき
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りぬ
039
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
生
(
う
)
みてし
天界
(
てんかい
)
にも
040
雲
(
くも
)
のさやるは
怪
(
あや
)
しきろかも』
041
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
、
042
再
(
ふたた
)
び
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
043
『
愛善
(
あいぜん
)
の
道
(
みち
)
をはづして
恋
(
こひ
)
となりし
044
わが
胸
(
むね
)
の
火
(
ひ
)
ゆくもらひにけむ
045
比女神
(
ひめがみ
)
を
恋
(
こ
)
ふる
心
(
こころ
)
の
胸
(
むね
)
の
火
(
ひ
)
は
046
雲霧
(
くもきり
)
となりて
空
(
そら
)
にあふれしか
047
現世
(
うつしよ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
思
(
おも
)
ひは
天
(
あめ
)
を
焼
(
や
)
き
048
わが
霊線
(
たましひ
)
は
地
(
つち
)
を
覆
(
おほ
)
へり
049
執着
(
しふちやく
)
の
心
(
こころ
)
ゆ
出
(
いで
)
し
黒雲
(
くろくも
)
の
050
群立
(
むらた
)
ちにつつ
行手
(
ゆくて
)
なやますも
051
今日
(
けふ
)
よりは
心
(
こころ
)
の
駿馬
(
はやこま
)
綱
(
つな
)
締
(
し
)
めて
052
安
(
やす
)
らに
平
(
たひ
)
らに
神業
(
みわざ
)
仕
(
つか
)
へむ
053
天界
(
てんかい
)
といへども
未
(
いま
)
だ
生
(
う
)
み
終
(
を
)
へぬ
054
国土
(
くに
)
は
怪
(
あや
)
しの
雲霧
(
くもきり
)
立
(
た
)
つも
055
科戸辺
(
しなどべ
)
の
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
056
包
(
つつ
)
める
雲霧
(
くもきり
)
払
(
はら
)
ふたふとさ』
057
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
058
『
瑞御霊
(
みづみたま
)
出
(
い
)
でます
神業
(
みわざ
)
の
大野原
(
おほのはら
)
を
059
包
(
つつ
)
みし
雲
(
くも
)
は
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
りけり
060
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
る
御空
(
みそら
)
の
奥
(
おく
)
にかがやける
061
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
のにこやかなるも
062
瑞御霊
(
みづみたま
)
月読
(
つきよみ
)
の
神
(
かみ
)
を
力
(
ちから
)
にて
063
国土生
(
くにう
)
みの
御供
(
みとも
)
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らな
064
見渡
(
みわた
)
せば
大野
(
おほの
)
が
原
(
はら
)
に
湯気
(
ゆげ
)
立
(
た
)
ちて
065
未
(
ま
)
だ
地
(
くに
)
稚
(
わか
)
く
一樹
(
ひとき
)
だにもなし
066
見
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り
草
(
くさ
)
ばうばうの
荒野原
(
あらのはら
)
067
分
(
わ
)
け
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
のはろけくもあるか
068
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神霊
(
みたま
)
に
生
(
あ
)
れし
国土
(
くに
)
なれば
069
安
(
やす
)
く
進
(
すす
)
まむ
醜
(
しこ
)
の
荒野
(
あらの
)
も
070
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
添
(
そ
)
ひますこの
旅路
(
たびぢ
)
071
雲
(
くも
)
立
(
た
)
ち
騒
(
さわ
)
ぐも
何
(
なに
)
おそるべき
072
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
は
風
(
かぜ
)
の
神
(
かみ
)
073
科戸辺
(
しなどべ
)
比古
(
ひこ
)
を
生
(
う
)
ましめにけり
074
国土造
(
くにつく
)
る
道
(
みち
)
ははろけし
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
075
荒野
(
あらの
)
の
夕
(
ゆふべ
)
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
聞
(
き
)
くなり
076
駿馬
(
はやこま
)
の
足
(
あし
)
は
急
(
いそ
)
げど
大野原
(
おほのはら
)
077
果
(
はて
)
しなければ
夕
(
ゆふ
)
さりにけり
078
夕
(
ゆふ
)
されば
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
清
(
すが
)
しきこの
野辺
(
のべ
)
に
079
鏡
(
かがみ
)
の
月
(
つき
)
は
満
(
み
)
ち
照
(
て
)
らひたり
080
仰
(
あふ
)
ぎ
見
(
み
)
る
御空
(
みそら
)
雲
(
くも
)
なく
星
(
ほし
)
の
海
(
うみ
)
081
浪
(
なみ
)
も
静
(
しづ
)
かに
月舟
(
つきふね
)
の
行
(
ゆ
)
く
082
月舟
(
つきふね
)
の
御空
(
みそら
)
流
(
なが
)
るるさま
見
(
み
)
つつ
083
移
(
うつ
)
り
行
(
ゆ
)
く
世
(
よ
)
を
偲
(
しの
)
ばれにける』
084
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
085
『
思
(
おも
)
ひきや
万里
(
とほ
)
の
荒野
(
あらの
)
に
瑞御霊
(
みづみたま
)
と
086
月
(
つき
)
に
照
(
て
)
らされ
虫
(
むし
)
を
聞
(
き
)
くとは
087
瑞御霊
(
みづみたま
)
行手
(
ゆくて
)
はろけし
圓屋
(
まるや
)
比古
(
ひこ
)
088
吾
(
われ
)
は
気永
(
けなが
)
く
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
らな
089
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
伏
(
ふ
)
し
拝
(
をが
)
み
090
遥
(
はろ
)
けく
宣
(
の
)
らむ
善言
(
みやび
)
美詞
(
ことば
)
を
091
善言美詞
(
みやびごと
)
朝夕
(
あしたゆふべ
)
を
宣
(
の
)
りつれど
092
非時
(
ときじく
)
曇
(
くも
)
るわが
魂
(
たま
)
あやしも』
093
茲
(
ここ
)
に
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
み
給
(
たま
)
ふ。
094
『
限
(
かぎ
)
りなき
広
(
ひろ
)
けき
紫微
(
しび
)
の
天界
(
てんかい
)
に
095
国魂神
(
くにたまがみ
)
を
生
(
う
)
ます
畏
(
かしこ
)
さ
096
美
(
うるは
)
しき
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
国中
(
くになか
)
に
097
さやる
黒雲
(
くろくも
)
わが
憎
(
にく
)
らしも
098
神々
(
かみがみ
)
の
心
(
こころ
)
の
曇
(
くも
)
り
固
(
かた
)
まりて
099
水火
(
いき
)
濁
(
にご
)
りつつ
雲
(
くも
)
となりつる
100
朝夕
(
あさゆふ
)
に
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
101
世
(
よ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
を
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
めむ
102
山
(
やま
)
青
(
あを
)
く
水
(
みづ
)
又
(
また
)
清
(
きよ
)
き
天界
(
てんかい
)
の
103
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れしわが
幸
(
さち
)
思
(
おも
)
へり
104
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
を
清
(
きよ
)
めて
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
105
依
(
よ
)
さしの
神業
(
みわざ
)
朝夕
(
あさゆふ
)
守
(
まも
)
らむ
106
御
(
おん
)
供
(
とも
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りてこの
宵
(
よひ
)
を
107
わが
言霊
(
ことたま
)
はひらき
初
(
そ
)
めたり
108
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
天津
(
あまつ
)
真言
(
まこと
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
109
この
天地
(
あめつち
)
は
弥栄
(
いやさか
)
えまさむ
110
清
(
きよ
)
き
赤
(
あか
)
き
正
(
ただ
)
しき
真言
(
まこと
)
の
言霊
(
ことたま
)
は
111
荒
(
あら
)
ぶる
神
(
かみ
)
も
和
(
やは
)
ぎ
伏
(
ふ
)
すなり
112
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かみ
)
の
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
113
今日
(
けふ
)
言霊
(
ことたま
)
の
功
(
いさを
)
をさとりぬ
114
多々久美
(
たたくみ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
115
清
(
きよ
)
き
明
(
あか
)
るき
水火
(
いき
)
の
力
(
ちから
)
よ』
116
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
は
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
117
『
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
のなやみの
空
(
そら
)
晴
(
は
)
れし
118
このたそがれを
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
119
天地
(
あめつち
)
に
喜
(
よろこ
)
び
満
(
み
)
つる
国原
(
くにばら
)
と
120
思
(
おも
)
へば
吾
(
われ
)
は
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
121
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
かしこみ
瑞御霊
(
みづみたま
)
122
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へて
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
123
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
神
(
かみ
)
の
喜
(
よろこ
)
び
花
(
はな
)
となり
124
又
(
また
)
月
(
つき
)
となり
四方
(
よも
)
にかをらむ
125
行
(
ゆ
)
き
暮
(
く
)
れて
闇
(
やみ
)
に
包
(
つつ
)
まれ
淋
(
さび
)
しかる
126
夕
(
ゆふべ
)
を
出
(
い
)
でし
月
(
つき
)
は
宇礼志穂
(
うれしほ
)
127
御子
(
みこ
)
生
(
う
)
ませ
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み
宇礼志穂
(
うれしほ
)
の
128
いとまもあらに
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
ひぬ
129
幾千里
(
とほどほしく
)
荒野
(
あらの
)
を
渡
(
わた
)
り
瑞御霊
(
みづみたま
)
の
130
岐美
(
きみ
)
と
居
(
ゐ
)
るかも
月
(
つき
)
の
夕
(
ゆふべ
)
を』
131
国中
(
くになか
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
再
(
ふたた
)
び
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
132
『
天晴
(
あは
)
れ
天晴
(
あは
)
れ
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
は
満
(
み
)
つ
133
野
(
の
)
に
花
(
はな
)
匂
(
にほ
)
ひ
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
冴
(
さ
)
えたる
134
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
の
国中
(
くになか
)
に
135
吾
(
われ
)
は
楽
(
たの
)
しも
神業
(
みわざ
)
に
仕
(
つか
)
へて
136
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
功績
(
いさをし
)
に
137
この
曠原
(
ひろはら
)
や
神国
(
みくに
)
樹
(
た
)
つらむ
138
国土造
(
くにつく
)
り
国魂神
(
くにたまがみ
)
を
生
(
う
)
まさむと
139
勤
(
いそ
)
しみ
給
(
たま
)
ふ
功
(
いさを
)
畏
(
かしこ
)
し
140
美
(
うるは
)
しき
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
との
国中
(
くになか
)
に
141
比古
(
ひこ
)
比女
(
ひめ
)
二神
(
にしん
)
は
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
ませり
142
永久
(
とこしへ
)
の
神国
(
みくに
)
の
種
(
たね
)
と
瑞御霊
(
みづみたま
)
143
生
(
う
)
ませる
御子
(
みこ
)
に
国
(
くに
)
は
拓
(
ひら
)
けむ
144
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
ぞ
高照
(
たかてる
)
の
145
尾上
(
をのへ
)
遥
(
はろ
)
けし
月読
(
つきよみ
)
のかげは
146
瑞御魂
(
みづみたま
)
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なをさすらひて
147
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
に
涙
(
なみだ
)
そそがす
148
尊
(
たふと
)
さを
思
(
おも
)
へば
朝
(
あした
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
149
わが
魂
(
たましひ
)
は
曇
(
くも
)
らひにつつ
150
月読
(
つきよみ
)
の
神
(
かみ
)
のかがやく
夕
(
ゆふべ
)
の
野
(
の
)
に
151
駒
(
こま
)
諸共
(
もろとも
)
に
安寝
(
やすい
)
するかも
152
神々
(
かみがみ
)
はいねましにけむ
草
(
くさ
)
の
根
(
ね
)
に
153
鼾
(
いびき
)
の
浪
(
なみ
)
の
打寄
(
うちよ
)
せにつつ』
154
斯
(
か
)
く
各
(
おの
)
も
各
(
おの
)
も
述懐
(
じゆつくわい
)
を
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ひて、
155
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
し、
156
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
豊栄昇
(
とよさかのぼ
)
りし
頃
(
ころ
)
、
157
近見男
(
ちかみを
)
の
神
(
かみ
)
先頭
(
せんとう
)
に、
158
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
神柱
(
みはしら
)
は、
159
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
うち、
160
際限
(
さいげん
)
もなき
草莽々
(
くさばうばう
)
の
野
(
の
)
を、
161
御歌
(
みうた
)
をうたひながら
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふぞ
畏
(
かしこ
)
けれ。
162
(
昭和八・一〇・二〇
旧九・二
於水明閣
森良仁
謹録)
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