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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第74巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 渺茫千里
第1章 科戸の風
第2章 野路の草枕
第3章 篠の笹原
第4章 朝露の光
第5章 言霊神橋
第6章 真鶴山霊
第7章 相聞の闇
第8章 黒雲晴明
第9章 真鶴鳴動
第2篇 真鶴新国
第10章 心の手綱
第11章 万代の誓
第12章 森の遠望
第13章 水上の月
第14章 真心の曇らひ
第15章 晴天澄潮
第16章 真言の力(一)
第17章 真言の力(二)
第18章 玉野の森
第19章 玉野の神丘
第20章 松下の述懐
第3篇 玉藻霊山
第21章 玉野清庭
第22章 天地は曇る
第23章 意想の外
第24章 誠の化身
第25章 感歎幽明
第26章 総神登丘
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第74巻(丑の巻)
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<<< 玉野清庭
(B)
(N)
意想の外 >>>
第二二章
天地
(
てんち
)
は
曇
(
くも
)
る〔一八九〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:
第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):
たまもれいざん
章:
第22章 天地は曇る
よみ(新仮名遣い):
てんちはくもる
通し章番号:
1890
口述日:
1933(昭和8)年10月29日(旧09月11日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
生代比女は、顕津男の神と共に導かれていたが、なんとなく玉野比女が自分を快く思っていないのではないか、との念から、松の木陰に身を潜めていた。そして、自分のしたことのおろかさを悔い、大神にお詫びの歌を歌っていた。
瑞の御霊を悩ませつづけ、ついには玉野比女の神業であった神生みを奪ってしまった自分の罪に涙していた。
すると、白砂の庭を、大幣を打ち振りながら一人の神人が近づいてきた。そして大幣を打ち振りながら、自分は力充男の神であり、何事も神の心として勇んで来るように、と生代比女に声をかけた。
力充男の神は、自分は力を添え充ちさせる神、と歌い、罪穢れのある身であれば、そもそもこの聖所には登って来れないのだから、と生代比女を励ます。
力充男の神の歌に心の晴れた生代比女は、先に顕津男の神が禊をした清泉に導かる。生代比女は清泉を前に喜びの歌を歌い、天津祝詞を奏上した。
すると、待合比古の神がやってきて、主の大神が待っているので、早く来るように、と生代比女を迎えに来る。
生代比女は、自分を主の神が待っていることを知り、喜びによみがえったような心地のありがたさを歌った。
生代比女は、待合比古の神に導かれ、力充男の神に守られて、白砂を踏みながら大宮居に静静と進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7422
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 259頁
修補版:
校定版:
372頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
茲
(
ここ
)
に
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
002
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
導
(
みちび
)
かれ
給
(
たま
)
ひけるが、
003
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
顔
(
かんばせ
)
どことなく
美
(
うるは
)
しからぬ
心地
(
ここち
)
しければ、
004
松
(
まつ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
身
(
み
)
を
潜
(
ひそ
)
めて、
005
その
身
(
み
)
の
愚
(
おろか
)
さを
悔
(
く
)
い、
006
さめざめと
泣
(
な
)
き
給
(
たま
)
ひつつ、
007
ひそかに
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
詫言
(
わびごと
)
を
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ひつつ
歌
(
うた
)
はせ
給
(
たま
)
ふ。
008
その
御歌
(
みうた
)
。
009
『あさましき
吾
(
われ
)
にもあるか
聖所
(
すがどこ
)
に
010
登
(
のぼ
)
りて
魂
(
たま
)
は
戦
(
をのの
)
き
慄
(
ふる
)
ふも
011
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
大御心
(
おほみこころ
)
に
叶
(
かな
)
はぬか
012
わが
魂線
(
たましひ
)
はうち
慄
(
ふる
)
ふなり
013
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
の
悲
(
かな
)
しさを
014
吾
(
われ
)
は
思
(
おも
)
ひて
堪
(
た
)
へやらぬかも
015
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
を
悩
(
なや
)
ませし
016
吾
(
われ
)
は
怪
(
あや
)
しき
女神
(
めがみ
)
なりしよ
017
恋
(
こひ
)
すてふ
怪
(
あや
)
しき
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて
018
吾
(
われ
)
は
神業
(
みわざ
)
を
妨
(
さまた
)
げにけむ
019
斯
(
か
)
くなれば
天地
(
あめつち
)
にわが
身
(
み
)
の
置場
(
おきば
)
なし
020
ゆるさせ
給
(
たま
)
へ
主
(
ス
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
021
真鶴
(
まなづる
)
の
神山
(
みやま
)
恋
(
こひ
)
しくなりにけり
022
煙
(
けむり
)
となりて
消
(
き
)
えたき
思
(
おも
)
ひに
023
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
神業
(
かむわざ
)
を
024
犯
(
をか
)
せし
吾
(
われ
)
は
邪神
(
まがかみ
)
なりしか
025
如何
(
いか
)
にしてこの
罪
(
つみ
)
穢
(
けがれ
)
払
(
はら
)
はむと
026
思
(
おも
)
へど
詮
(
せん
)
なし
御子
(
みこ
)
は
孕
(
はら
)
みぬ
027
瑞御霊
(
みづみたま
)
一目
(
ひとめ
)
もかけず
吾
(
われ
)
を
後
(
あと
)
に
028
御前
(
みまへ
)
に
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ
畏
(
かしこ
)
さ
029
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
の
神
(
かみ
)
に
責
(
せ
)
められて
030
吾
(
われ
)
恥
(
は
)
づかしく
死
(
し
)
なまく
思
(
おも
)
ふも
031
聖所
(
すがどこ
)
を
汚
(
けが
)
さむことの
恐
(
おそろ
)
しさ
032
吾行
(
われゆ
)
く
道
(
みち
)
は
閉
(
とざ
)
されにけり
033
万代
(
よろづよ
)
の
末
(
すゑ
)
の
末
(
すゑ
)
まで
恋
(
こひ
)
せじと
034
吾
(
われ
)
は
悟
(
さと
)
りぬ
聖所
(
すがどこ
)
に
来
(
き
)
て
035
胸
(
むね
)
の
火
(
ひ
)
の
燃
(
も
)
え
立
(
た
)
つままに
天地
(
あめつち
)
の
036
道
(
みち
)
ふみ
外
(
はづ
)
し
罪
(
つみ
)
の
身
(
み
)
となりぬ
037
おほらかに
生
(
う
)
むべき
御子
(
みこ
)
にあらずやと
038
思
(
おも
)
へば
悲
(
かな
)
し
重
(
おも
)
きこの
身
(
み
)
は
039
御手
(
みて
)
にさへ
触
(
ふ
)
れず
孕
(
はら
)
みしこのからだ
040
わが
魂線
(
たましひ
)
の
怪
(
あや
)
しさを
思
(
おも
)
ふ
041
一度
(
ひとたび
)
の
手枕
(
たまくら
)
も
無
(
な
)
く
情
(
なさけ
)
なや
042
想像
(
おもひ
)
妊娠
(
はらみ
)
の
今日
(
けふ
)
の
苦
(
くる
)
しさ
043
わが
歎
(
なげ
)
き
凝固
(
こりかたま
)
りて
雲
(
くも
)
となり
044
御空
(
みそら
)
の
月日
(
つきひ
)
覆
(
おほ
)
ひ
隠
(
かく
)
さむ
045
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
白
(
まを
)
す
言霊
(
ことたま
)
の
046
なき
吾
(
われ
)
こそは
悲
(
かな
)
しかりける
047
天
(
あま
)
渡
(
わた
)
る
陽光
(
ひかげ
)
も
月
(
つき
)
の
顔
(
かんばせ
)
も
048
吾
(
われ
)
恐
(
おそろ
)
しく
拝
(
をが
)
むよしなし
049
つらつらに
思
(
おも
)
へば
罪
(
つみ
)
の
恐
(
おそろ
)
しさ
050
わが
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
は
切
(
き
)
れむとするも
051
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生命
(
いのち
)
はよしやまかるとも
052
岐美
(
きみ
)
思
(
おも
)
ふ
心
(
こころ
)
の
如何
(
いか
)
で
失
(
う
)
すべき
053
果
(
はて
)
しなきわが
思
(
おも
)
ひかも
天地
(
あめつち
)
に
054
只
(
ただ
)
一柱
(
ひとはしら
)
の
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ひつつ
055
わが
恋
(
こ
)
ふる
岐美
(
きみ
)
はすげなく
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
に
056
御手
(
みて
)
を
曳
(
ひ
)
かれて
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
らせる
057
善悪
(
よしあし
)
の
乱
(
みだ
)
れ
混交
(
まじこ
)
る
天界
(
てんかい
)
に
058
わが
縺
(
もつ
)
れ
髪
(
がみ
)
解
(
と
)
くよしもなし
059
玉野丘
(
たまのをか
)
の
聖所
(
すがど
)
に
吾
(
われ
)
は
導
(
みちび
)
かれ
060
斯
(
か
)
かる
歎
(
なげ
)
きに
逢
(
あ
)
ふぞ
悲
(
かな
)
しき
061
瑞御霊
(
みづみたま
)
玉野
(
たまの
)
の
比女
(
ひめ
)
と
出
(
い
)
でませる
062
後姿
(
うしろ
)
を
吾
(
われ
)
は
見送
(
みおく
)
りて
泣
(
な
)
く
063
神
(
かみ
)
の
影
(
かげ
)
側
(
そば
)
になければ
吾
(
われ
)
一人
(
ひとり
)
064
憚
(
はばか
)
ることなく
泣
(
な
)
き
飽
(
あ
)
かむかも
065
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
は
繁
(
しげ
)
れど
白梅
(
しらうめ
)
は
066
匂
(
にほ
)
へど
吾
(
われ
)
は
悲
(
かな
)
しく
淋
(
さび
)
し
067
いと
清
(
きよ
)
き
白砂
(
しらすな
)
の
丘
(
をか
)
に
只一人
(
ただひとり
)
068
世
(
よ
)
をはかなみて
吾
(
われ
)
は
泣
(
な
)
くなり
069
如何
(
いか
)
にして
今日
(
けふ
)
の
艱
(
なや
)
みを
払
(
はら
)
はむと
070
思
(
おも
)
へばなほも
悲
(
かな
)
しくなりぬ
071
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしに
反
(
そむ
)
き
瑞御霊
(
みづみたま
)
の
072
心
(
こころ
)
汚
(
けが
)
せし
吾
(
われ
)
を
悔
(
く
)
ゆるも
073
あだ
花
(
ばな
)
となりしわが
身
(
み
)
の
恋心
(
こひごころ
)
074
斯
(
か
)
かる
歎
(
なげ
)
きの
御子
(
みこ
)
を
孕
(
はら
)
みて
075
思
(
おも
)
ひきやこの
聖所
(
すがどこ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
076
松
(
まつ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
潜
(
ひそ
)
み
泣
(
な
)
かむとは』
077
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
しもあれ、
078
大幣
(
おほぬさ
)
を
左右左
(
さいうさ
)
に
打振
(
うちふ
)
りながら、
079
ザクリザクリと
庭
(
には
)
の
白砂
(
しらすな
)
を
踏
(
ふ
)
みくだきつつ
近寄
(
ちかよ
)
り
給
(
たま
)
ふ
神人
(
しんじん
)
あり。
080
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
忍
(
しの
)
ばせる
松
(
まつ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
悠々
(
いういう
)
近寄
(
ちかよ
)
り
給
(
たま
)
ひ、
081
大幣
(
おほぬさ
)
を
左右左
(
さいうさ
)
に
又
(
また
)
もや
打振
(
うちふ
)
りながら、
082
『
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
にしのびます
083
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
勇
(
いさ
)
み
給
(
たま
)
はれ
084
吾
(
われ
)
こそは
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
なれば
085
公
(
きみ
)
迎
(
むか
)
へむと
急
(
いそ
)
ぎ
来
(
き
)
つるも
086
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
と
思召
(
おぼしめ
)
せ
087
歎
(
なげ
)
き
止
(
とど
)
めて
勇
(
いさ
)
ませ
給
(
たま
)
へよ
088
如何
(
いか
)
ならむ
艱
(
なや
)
みおはすか
知
(
し
)
らねども
089
この
聖所
(
すがどこ
)
は
喜
(
よろこ
)
びの
国土
(
くに
)
よ
090
悲
(
かな
)
しみも
艱
(
なや
)
みも
知
(
し
)
らぬこの
丘
(
をか
)
に
091
勇
(
いさ
)
ませ
給
(
たま
)
へ
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
』
092
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
093
『
有難
(
ありがた
)
し
貴
(
たふと
)
き
公
(
きみ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
に
094
吾
(
われ
)
は
悲
(
かな
)
しさ
弥
(
いや
)
まさりける
095
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
天降
(
あも
)
らすこれの
清丘
(
すがをか
)
に
096
汚
(
けが
)
れある
身
(
み
)
の
恐
(
おそろ
)
しさに
泣
(
な
)
く』
097
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
098
『
何事
(
なにごと
)
のおはしますかは
知
(
し
)
らねども
099
力
(
ちから
)
を
添
(
そ
)
へむ
充男
(
みちを
)
の
神
(
かみ
)
吾
(
われ
)
は
100
天
(
あま
)
渡
(
わた
)
る
月
(
つき
)
も
流転
(
るてん
)
の
影
(
かげ
)
ぞかし
101
歎
(
なげ
)
き
給
(
たま
)
ひそ
惟神
(
かむながら
)
なれば
102
罪
(
つみ
)
穢
(
けがれ
)
ある
身
(
み
)
は
如何
(
いか
)
に
急
(
あせ
)
るとも
103
この
聖所
(
すがどこ
)
にのぼり
得
(
う
)
べきや
104
聖所
(
すがどこ
)
にのぼらす
力
(
ちから
)
おはす
公
(
きみ
)
は
105
罪
(
つみ
)
穢
(
けがれ
)
なぞ
塵
(
ちり
)
ほどもなし
106
いざさらば
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し
107
玉
(
たま
)
の
泉
(
いづみ
)
に
禊
(
みそぎ
)
給
(
たま
)
はれ
108
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
によりて
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
109
公
(
きみ
)
迎
(
むか
)
へむと
急
(
いそ
)
ぎ
来
(
こ
)
しはや』
110
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
111
『
有難
(
ありがた
)
し
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
の
宣
(
のり
)
112
わが
魂線
(
たましひ
)
はよみがへりたり
113
死
(
し
)
なましとひたに
思
(
おも
)
ひしわが
心
(
こころ
)
114
公
(
きみ
)
の
神言
(
みこと
)
によみがへりぬる
115
愛善
(
あいぜん
)
の
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
に
生
(
うま
)
れ
合
(
あ
)
ひて
116
歎
(
なげ
)
きに
沈
(
しづ
)
みし
愚
(
おろか
)
さを
思
(
おも
)
ふ
117
わが
心
(
こころ
)
ひがみたりけむ
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
118
御
(
おん
)
顔
(
かんばせ
)
を
畏
(
おそ
)
れちぢみつ』
119
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
はまた
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
120
『
安
(
やす
)
らかに
心
(
こころ
)
広
(
ひろ
)
けく
勇
(
いさ
)
ましく
121
雄々
(
をを
)
しく
優
(
やさ
)
しくおはしませ
比女
(
ひめ
)
よ
122
愛善
(
あいぜん
)
の
天界
(
てんかい
)
なれば
恋
(
こひ
)
すてふ
123
心
(
こころ
)
をどらむ
惟神
(
かむながら
)
にて
124
天界
(
てんかい
)
のこの
真秀良場
(
まほらば
)
に
出
(
い
)
でまして
125
何
(
なに
)
を
歎
(
なげ
)
かむ
月
(
つき
)
冴
(
さ
)
ゆる
庭
(
には
)
に
126
いざさらば
玉
(
たま
)
の
泉
(
いづみ
)
に
案内
(
あない
)
せむ
127
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
よ』
128
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
129
『
薨
(
まか
)
らむと
思
(
おも
)
ひし
事
(
こと
)
も
真言
(
まこと
)
ある
130
公
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
によみがへりける
131
いざさらば
公
(
きみ
)
の
真言
(
まこと
)
に
従
(
したが
)
ひて
132
玉
(
たま
)
の
泉
(
いづみ
)
に
禊
(
みそぎ
)
せむかも
133
真鶴
(
まなづる
)
は
御空
(
みそら
)
に
舞
(
ま
)
へり
白梅
(
しらうめ
)
は
134
樹
(
こ
)
の
間
(
ま
)
に
匂
(
にほ
)
へり
何
(
なに
)
を
歎
(
なげ
)
かむ
135
見
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
りすべてのものは
勇
(
いさ
)
むなるを
136
何
(
なに
)
に
迷
(
まよ
)
ひて
吾
(
われ
)
歎
(
なげ
)
きけむ
137
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
天降
(
あまくだ
)
りませる
聖所
(
すがどこ
)
を
138
吾
(
われ
)
涙
(
なみだ
)
もて
汚
(
けが
)
せし
悔
(
くや
)
しさ
139
村肝
(
むらきも
)
の
心一
(
こころひと
)
つの
持
(
も
)
ちやうに
140
明
(
あか
)
るくもなり
曇
(
くも
)
らふ
神代
(
みよ
)
かな
141
情
(
なさけ
)
ある
公
(
きみ
)
の
言葉
(
ことば
)
にわが
魂
(
たま
)
の
142
力
(
ちから
)
は
充
(
み
)
ちて
雄々
(
をを
)
しくなりぬ』
143
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
は
前
(
さき
)
に
立
(
た
)
たせながら、
144
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
145
『
樹下闇
(
こしたやみ
)
時雨
(
しぐれ
)
に
晴
(
は
)
れて
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
146
光
(
かげ
)
は
清
(
すが
)
しく
輝
(
かがや
)
きにけり
147
村時雨
(
むらしぐれ
)
晴
(
は
)
れたる
後
(
あと
)
の
月光
(
つきかげ
)
は
148
一入
(
ひとしほ
)
明
(
あか
)
るく
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
るなり
149
高
(
たか
)
ゆくや
月
(
つき
)
も
流転
(
るてん
)
の
影
(
かげ
)
ぞかし
150
何
(
なに
)
を
歎
(
なげ
)
かむこの
天界
(
てんかい
)
に
151
果
(
はて
)
しなき
思
(
おも
)
ひの
雲霧
(
くもきり
)
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
り
152
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
月
(
つき
)
かげを
見
(
み
)
む』
153
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
154
『
一夜
(
ひとよさ
)
の
契
(
ちぎ
)
りも
知
(
し
)
らぬ
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
155
神
(
かみ
)
の
歎
(
なげ
)
きのあさましきかな
156
真鶴
(
まなづる
)
の
国原
(
くにばら
)
遥
(
はろ
)
けく
閉
(
とざ
)
したる
157
雲霧
(
くもきり
)
晴
(
は
)
れて
清
(
すが
)
しき
吾
(
われ
)
はも
158
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
愛善
(
あいぜん
)
の
御水火
(
みいき
)
に
包
(
つつ
)
まれて
159
ひがみ
歎
(
なげ
)
きしことを
悔
(
く
)
ゆるも
160
斯
(
か
)
くならば
雲霧
(
くもきり
)
もなしわが
魂
(
たま
)
は
161
月日
(
つきひ
)
の
如
(
ごと
)
く
冴
(
さ
)
え
渡
(
わた
)
りつつ
162
大幣
(
おほぬさ
)
にわが
魂線
(
たましひ
)
を
清
(
きよ
)
められ
163
よみがへりたる
嬉
(
うれ
)
しさに
居
(
を
)
り』
164
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
は、
165
大幣
(
おほぬさ
)
を
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
り
打
(
う
)
ち
振
(
ふ
)
り
老松
(
らうしよう
)
の
蔭
(
かげ
)
に
展開
(
てんかい
)
せる、
166
玉泉
(
たまいづみ
)
の
汀
(
みぎは
)
に
導
(
みちび
)
き
給
(
たま
)
ひつつ、
167
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
168
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
のしたたりに
169
あらはれ
出
(
い
)
でし
玉
(
たま
)
の
清水
(
しみづ
)
よ
170
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
朝夕
(
あしたゆふべ
)
に
禊
(
みそぎ
)
ませる
171
この
玉泉
(
たまいづみ
)
の
底
(
そこ
)
ひ
知
(
し
)
れずも
172
瑞御霊
(
みづみたま
)
七度
(
ななたび
)
の
禊
(
みそぎ
)
終
(
を
)
へ
給
(
たま
)
ひ
173
大宮
(
おほみや
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ひぬ
174
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
朝夕
(
あしたゆふべ
)
をこの
水
(
みづ
)
に
175
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
めて
魂
(
たま
)
を
生
(
い
)
かせり
176
真清水
(
ましみづ
)
は
澄
(
す
)
みに
澄
(
す
)
みつつ
掬
(
むす
)
ぶ
手
(
て
)
に
177
梅
(
うめ
)
の
香
(
か
)
ただよふ
香
(
かをり
)
ゆかしき
178
いざさらば
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
179
禊
(
みそ
)
がせ
給
(
たま
)
へこれの
泉
(
いづみ
)
に』
180
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
喜
(
よろこ
)
びに
堪
(
た
)
へず、
181
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
182
『
高天原
(
たかあまはら
)
に
生
(
あ
)
れませる
183
清
(
きよ
)
けき
清水
(
しみづ
)
真清水
(
ましみづ
)
に
184
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なを
浮
(
うか
)
びます
185
月
(
つき
)
の
鏡
(
かがみ
)
の
弥清
(
いやきよ
)
く
186
弥
(
いや
)
さやさやに
照
(
て
)
りはえて
187
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
神国
(
かみくに
)
に
188
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
を
降
(
ふ
)
らせまし
189
百
(
もも
)
の
草木
(
くさき
)
をはごくみて
190
永久
(
とは
)
に
生
(
い
)
かせる
真清水
(
ましみづ
)
清水
(
しみづ
)
191
斯
(
か
)
かる
聖所
(
すがど
)
に
導
(
みちび
)
かれ
192
わが
魂線
(
たましひ
)
を
洗
(
あら
)
へよと
193
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひし
有難
(
ありがた
)
さ
194
この
真清水
(
ましみづ
)
や
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
195
潔
(
きよ
)
き
清
(
すが
)
しき
御心
(
みこころ
)
の
鏡
(
かがみ
)
かも
196
この
真寸鏡
(
ますかがみ
)
真寸鏡
(
ますかがみ
)
197
玉
(
たま
)
の
真清水
(
ましみづ
)
うまし
水
(
みづ
)
198
清
(
すが
)
しき
水
(
みづ
)
よ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
199
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
たす
生
(
い
)
き
水
(
みづ
)
よ
200
生
(
い
)
ける
御神
(
みかみ
)
の
霊線
(
たましひ
)
の
201
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
のしたたりか
202
この
玉泉
(
たまいづみ
)
拝
(
をろが
)
めば
203
わがからたまも
霑
(
うるほ
)
ひて
204
若々
(
わかわか
)
しくもなりにける
205
生命
(
いのち
)
の
清水
(
しみづ
)
真清水
(
ましみづ
)
よ』
206
と
御歌
(
みうた
)
うたひ
終
(
をは
)
りて、
207
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
声
(
こゑ
)
朗
(
ほがら
)
かに
奏上
(
そうじやう
)
し
給
(
たま
)
ひし
折
(
をり
)
もあれ、
208
急
(
いそ
)
ぎ
此処
(
ここ
)
に
現
(
あらは
)
れ
給
(
たま
)
ひしは、
209
さきに
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
に
仕
(
つか
)
へたる、
210
待合
(
まちあはせ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
におはしける。
211
待合
(
まちあはせ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
212
『
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
のおはさぬに
213
吾
(
われ
)
心
(
こころ
)
づき
迎
(
むか
)
へ
来
(
き
)
つるも
214
神生
(
かみう
)
みの
神業
(
みわざ
)
仕
(
つか
)
へし
公
(
きみ
)
なれば
215
早
(
はや
)
く
御供
(
みとも
)
に
加
(
くは
)
はりまさね
216
いざさらば
吾
(
われ
)
導
(
みちび
)
かむ
急
(
いそ
)
がせよ
217
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
も
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へば』
218
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
意外
(
いぐわい
)
の
喜
(
よろこ
)
びに、
219
よみがへりたる
心地
(
ここち
)
して、
220
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
221
『
有難
(
ありがた
)
し
忝
(
かたじけ
)
なしと
申
(
まを
)
すより
222
答
(
いらへ
)
の
言葉
(
ことば
)
わがなかりける
223
いざさらば
御前
(
みまへ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
るべし
224
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
に
月日
(
つきひ
)
浮
(
うか
)
べて』
225
茲
(
ここ
)
に
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
226
待合
(
まちあはせ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
に
導
(
みちび
)
かれ、
227
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
に
守
(
まも
)
られて、
228
大宮居
(
おほみやゐ
)
に
進
(
すす
)
むべく
広庭
(
ひろには
)
の
白砂
(
しらすな
)
を
踏
(
ふ
)
みなづみつつ
静々
(
しづしづ
)
と
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
229
(
昭和八・一〇・二九
旧九・一一
於水明閣
森良仁
謹録)
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