霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 誠(まこと)の化身(けしん)〔一八九二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻 篇:第3篇 玉藻霊山 よみ(新仮名遣い):たまもれいざん
章:第24章 誠の化身 よみ(新仮名遣い):まことのけしん 通し章番号:1892
口述日:1933(昭和8)年10月30日(旧09月12日) 口述場所:水明閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
本津真言の神が大幣を打ち振りながら先頭にたち、宮の階段を登っていった。顕津男の神はその後に従い、階段の最上段にうずくまって神言をあげ、大神のご託宣を願った。
しかし、大神からの神宣はいつまでたってもこなかった。
次に、玉野比女が宣旨の願いを歌に込めて歌ったが、何も起こらなかった。
続いて、生代比女が祈りの歌を歌ったが、やはり何も起こらない。
待合比古の神の後、最後に力充男の神が歌った。力充男の神は、本津真言の神こそが、主の神の御化身であったのだ、と悟りの歌を歌う。
この歌に、顕津男の神・玉野比女の神・生代比女の神・待合比古の神は驚いて、まず力充男の神へ敬拝し、そして本津真言の神の前にひざまずいて不礼を謝った。
神々が主神である本津真言の神に歌を歌う間、本津真言の神は厳然としていたが、その顔はますます輝いた。その間、不思議にも一言も言葉を発することはなかった。
最後に、力充男の神が、瑞御霊の御神業を助けて国造りをしようと誓いの歌を歌うと、主の神の化身である本津真言の神は、望みどおり国造りを助けよう、と歌うと、たちまち天から迎え来た紫紺の雲に包まれて、天空へと帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考:言霊の活字の方向が異なるものが3行ある。a147「ウーウーウーウウアーアーアーアアアア」、a149「ウーウーウーアーアーアーアアー」、a151「スースースー」。第75巻8章にも同様の行がある。 タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-07-14 23:01:03 文字数:3979 OBC :rm7424
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 269頁 修補版: 校定版:407頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)は、002時(とき)到(いた)れりと先頭(せんとう)に立(た)ち大幣(おほぬさ)を打(う)ちふり、003庭(には)の面(も)を清(きよ)めながら、004宮(みや)の階段(かいだん)をしづしづ登(のぼ)り給(たま)へば、005顕津男(あきつを)の神(かみ)も御後(みしりへ)に従(したが)ひ、006階段(かいだん)の最上段(さいじやうだん)に蹲(うづくま)りて神言(かみごと)を宣(の)らせ給(たま)ふ。
 
007『掛(か)け巻(まく)も綾(あや)に畏(かしこ)き、008主(ス)の大神(おほかみ)の天降(あも)らせ給(たま)ふ玉藻(たまも)ケ丘(をか)の聖所(すがど)に、009大宮柱(おほみやはしら)太知(ふとし)り立(た)て、010高天原(たかあまはら)に千木高(ちぎたか)知(し)れる此(これ)の聖宮(すがみや)に、011今日(けふ)の吉(よ)き日(ひ)の吉(よ)き時(とき)を、012天降(あも)り給(たま)ひし、013大御神(おほみかみ)の神言(みこと)請(こ)ひのみまつりて、014まだ国土(くに)稚(わか)き真鶴(まなづる)の荒野原(あらのはら)を拓(ひら)き固(かた)めむとす。015仰(あふ)ぎ願(ねが)はくは主(ス)の大御神(おほみかみ)の生言霊(いくことたま)の御稜威(みいづ)幸(さちは)ひ給(たま)ひて、016太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)に依(よ)さし給(たま)へる神業(みわざ)を、017𪫧怜(うまら)に委曲(つばら)に守(まも)り助(たす)け、018紫微(しび)天界(てんかい)の南(みなみ)の国(くに)の国津柱(くにつはしら)を生(う)ましめ給(たま)へ。019畏(かしこ)くも紫微(しび)の宮居(みやゐ)を立(た)ち出(い)でて、020四方(よも)の荒野原(あらのはら)に国土生(くにう)み神生(かみう)みの業(わざ)仕(つか)へまつるとすれど、021我(われ)はもとより言霊(ことたま)の力(ちから)全(まつた)からねば思(おも)ふに任(まか)せず、022御依(みよ)さしの業(わざ)もはかどりまつらず、023恐(おそ)れ謹(つつし)み朝(あさ)な夕(ゆふ)なに我身(わがみ)を省(かへり)みつつ仕(つか)へまつる事(こと)のよしを、024平(たひら)けく安(やす)らけく聞(きこ)し召(め)して、025わが願言(ねぎごと)を諾(うべな)ひ給(たま)へ、026国土(くに)造(つく)る神業(みわざ)につきても、027わが足(たら)はぬ処(ところ)を確(たし)に教(をし)へ導(みちび)き給(たま)ひて、028夜(よ)の守(まも)り日(ひ)の守(まも)りに守(まも)り幸(さちは)へ給(たま)へ、029大御神(おほみかみ)の大神言(おほみこと)を宣(の)り聞(き)かし給(たま)へと、030謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ畏(かしこ)み畏(かしこ)みも申(まを)す』
 
031 顕津男(あきつを)の神(かみ)は大御前(おほみまへ)に平(ひ)れ伏(ふ)して、032祝詞(のりと)畏(かしこ)み申上(まをしあ)げ給(たま)へども、033主(ス)の大神(おほかみ)の御心(みこころ)如何(いか)にましますか、034何(なん)の神宣(みことのり)も下(くだ)し給(たま)はず、035寂然(せきぜん)として松(まつ)吹(ふ)くそよ風(かぜ)の音(おと)もなく、036静(しづ)まりかへれるぞ不思議(ふしぎ)なれ。037茲(ここ)に顕津男(あきつを)の神(かみ)は恐(おそ)れみ謹(つつし)み、038御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
039『かけまくも畏(かしこ)きこれの大神(おほかみ)の
040神言(みこと)たまはれ国土(くに)造(つく)るため
041御依(みよ)さしの国土生(くにう)み神生(かみう)み朝夕(あさゆふ)に
042仕(つか)へてなほもおそれ恥(は)ぢらふ
043わがなさむ業(わざ)悉(ことごと)く主(ス)の神(かみ)の
044御旨(みむね)のままに仕(つか)へまつるも
045真鶴(まなづる)の国土(くに)稚(わか)ければ主(ス)の神(かみ)の
046御水火(みいき)の助(たす)けに固(かた)めむと思(おも)ふ
047願(ねがは)くは厳(いづ)の言霊(ことたま)垂(た)れたまひ
048わがゆく道(みち)を示(しめ)したまはれ
049玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)の神言(みこと)は神生(かみう)みの
050業(わざ)後(おく)れましわが罪(つみ)にして
051ためらへる間(あひだ)に年月(としつき)うつりつつ
052神業(みわざ)怠(おこた)りし我(われ)を悔(く)いまつる
053大神(おほかみ)の御心(みこころ)曇(くも)らせ奉(たてまつ)る
054わが怠(おこた)りをゆるさせたまへ
055力(ちから)なき我(われ)にしあれば大神(おほかみ)の
056任(ま)けの半(なかば)もならぬを畏(おそ)る
057一言(ひとこと)の生言霊(いくことたま)をたまへかし
058膝折(ひざを)り伏(ふ)せて請(こ)ひのみまつるも
059鹿児自(かごじ)物(もの)膝折(ひざを)りふせて宇自物(うじもの)我(われ)
060頸根(うなね)突貫(つきぬ)き請(こ)ひのみまつる
061小雄鹿(さをしか)の耳(みみ)振(ふ)り立(た)てて聞(きこ)し召(め)せ
062わが国土生(くにう)みの太祝詞(ふとのりごと)を』
063 斯(か)く真心(まごころ)をこめて顕津男(あきつを)の神(かみ)は種々(さまざま)願言(ねぎごと)を申(まを)し給(たま)へども、064主(ス)の大神(おほかみ)の御心(みこころ)いかに面白(おもしろ)からず思(おぼ)し召(め)しけむ、065只一言(ただひとこと)の神宣(みのり)さへも賜(たま)はらねば、066神々(かみがみ)は御(ご)神慮(しんりよ)の程(ほど)をはかりかね階段(かいだん)に平(ひ)れ伏(ふ)して、067畏(かしこ)み戦(をのの)き給(たま)ふのみ。068茲(ここ)に玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)は頭(かしら)を擡(もた)げ、069拍手(はくしゆ)の音(おと)も爽(さはや)かに願言(ねぎごと)申(まを)し給(たま)はく、
070『久方(ひさかた)の天津(あまつ)高宮(たかみや)ゆ遥(はろ)けくも
071天降(あも)りし神(かみ)の功(いさを)畏(かしこ)し
072年月(としつき)を玉野(たまの)の宮(みや)に仕(つか)へ来(き)て
073今日(けふ)の天降(あも)りに遇(あ)ふぞ嬉(うれ)しき
074神生(かみう)みの神業(みわざ)に反(そむ)きし過(あやまち)を
075ゆるさせ給(たま)へ主(ス)の大御神(おほみかみ)
076そよと吹(ふ)く風(かぜ)さへもなき今日(けふ)の日(ひ)の
077しづけさ神心(みこころ)はかりかねつも
078真鶴(まなづる)の翼(つばさ)の音(おと)も止(とど)まりて
079松(まつ)の梢(こずゑ)に陽(ひ)の光(かげ)鈍(にぶ)し
080主(ス)の神(かみ)の神心(みこころ)如何(いか)になごめむと
081吾(われ)は心(こころ)を千々(ちぢ)に砕(くだ)きつ
082顕津男(あきつを)の神(かみ)をゆるさせたまへかし
083神生(かみう)みの神業(みわざ)止(や)むなく後(おく)れしを
084ためらひの心(こころ)は遂(つひ)に神生(かみう)みの
085神業(みわざ)に外(はづ)れ罪(つみ)となりぬる
086皇神(すめかみ)の依(よ)さし言葉(ことば)をためらひて
087世(よ)に習(なら)ひたる罪(つみ)許(ゆる)しませ
088朝夕(あさゆふ)に謹(つつし)み御前(みまへ)につかへつつ
089なほ神業(かむわざ)の後(おく)るるを恐(おそ)れつ
090一言(ひとこと)の主(ス)の大神(おほかみ)の神宣言(みのりごと)
091聞(き)かま欲(ほ)しやと泣(な)きつつ祈(いの)るも』
092 斯(か)く玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)の生言霊(いくことたま)の祈(いの)りにも何(なん)の御言葉(みことば)もなく、093四辺(あたり)はますます静(しづ)まりかへるのみ。094生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)は御前(みまへ)に、095畏(かしこ)み祈(いの)りの御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
096『真鶴(まなづる)の山(やま)の御魂(みたま)と現(あらは)れし
097吾(われ)は生代(いくよ)比女神(ひめがみ)あはれみたまへ
098生代(いくよ)比女(ひめ)畏(おそ)れ多(おほ)くも瑞御霊(みづみたま)の
099神生(かみう)みの業(わざ)に仕(つか)へまつりし
100罪(つみ)ならばきためたまひてわが魂(たま)を
101みがかせたまへ主(ス)の大御神(おほみかみ)
102主(ス)の神(かみ)の御水火(みいき)のこもるわが腹(はら)に
103宿(やど)らせたまふ貴(うづ)の御子(みこ)かも
104おそるおそるこれの聖所(すがど)に詣(まう)でけり
105恋(こひ)に溺(おぼ)れしことを悔(く)いつつ
106真心(まごころ)の凝(こ)り固(かた)まりて貴(うづ)の神子(みこ)は
107わが体内(みのうち)にやどりましぬる
108真鶴(まなづる)の国土(くに)稚(わか)ければ貴御子(うづみこ)を
109育(はぐ)くみそだてて仕(つか)へまつらむ
110玉野(たまの)比女(ひめ)の年(とし)さびませるをあななひて
111吾(われ)仕(つか)へたる神生(かみう)みの神業(みわざ)よ
112大神(おほかみ)の依(よ)さしなけれど貴(うづ)の御子(みこ)
113孕(はら)める吾(われ)をゆるさせたまへ
114天地(あめつち)はそよ風(かぜ)の音(おと)もなきままに
115静(しづ)まりかへる今日(けふ)の不思議(ふしぎ)さ
116言霊(ことたま)の水火(いき)なかりせばもろもろの
117神(かみ)も草木(くさき)もしなび果(は)つべし
118願(ねがは)くは主(ス)の大神(おほかみ)の御水火(みいき)より
119生(な)り成(な)りませよ国土(くに)生(い)かすべく
120主(ス)の神(かみ)の御水火(みいき)止(と)まらば天地(あめつち)も
121神(かみ)も草木(くさき)も尽(つ)き果(は)つるべし
122真心(まごころ)を凝(こ)らして祈(いの)れど主(ス)の神(かみ)の
123御水火(みいき)かからぬ今日(けふ)の淋(さび)しさ
124村肝(むらきも)の心(こころ)あせれど如何(いか)にせむ
125主(ス)の大神(おほかみ)の言葉(ことば)なければ
126玉野森(たまのもり)の常磐(ときは)の松(まつ)も真鶴(まなづる)も
127萎(しを)れそめたりこのたまゆらを
128真鶴(まなづる)の声(こゑ)も聞(きこ)えずなりにけり
129主(ス)の大神(おほかみ)の御水火(みいき)とまりて
130常磐樹(ときはぎ)の松(まつ)さへ緑(みどり)の色(いろ)あせて
131四辺(あたり)淋(さび)しくなりにけらしな』
132 斯(か)く御歌(みうた)詠(よ)ませ祈(いの)り給(たま)へども、133恰(あたか)も岩石(がんせき)に向(むか)つて語(かた)るが如(ごと)く、134何(なん)の反響(はんきやう)もなかりける。135茲(ここ)に待合(まちあはせ)比古(ひこ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
136『月(つき)と日(ひ)を重(かさ)ねて待(ま)ちし今日(けふ)の日(ひ)の
137淋(さび)しさ思(おも)へば吾(われ)は悲(かな)しも
138年月(としつき)を玉野(たまの)の比女(ひめ)に仕(つか)へ来(き)て
139今日(けふ)の淋(さび)しき清庭(すがには)にあふかな
140主(ス)の神(かみ)の黙(もだ)したまへるたまゆらに
141わが魂線(たましひ)は萎(しを)れむとすも
142国土(くに)を生(う)み神(かみ)を生(う)ますと瑞御霊(みづみたま)
143現(あ)れます今日(けふ)ぞ守(まも)らせたまへ』
144 力充男(ちからみちを)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
145『言霊(ことたま)のス声(ごゑ)の水火(いき)はとまりたれど
146われはウ声(ごゑ)の言霊(ことたま)活(い)かさむ
147ウーウーウーウウアーアーアーアアアア[※底本では文字の向きに変化あり。ウ(直立)ーウ(右90度転倒)ーウ(左90度転倒)ーウウ(この2文字は180度逆転)ア(直立)ーア(右90度転倒)ーア(左90度転倒)ーアア(この2文字は直立)ア(左90度転倒)ア(180度逆転)]
148久方(ひさかた)のス声(ごゑ)にかへれわが言霊(ことたま)よ
149ウーウーウーアーアーアーアアー[※底本では文字の向きに変化あり。ウーウーウーアーアーアー(ここまでは直立)アア(この2文字は180度逆転)ー]
150力充男(ちからみちを)神(かみ)はス声(ごゑ)によみがへりてむ
151スースースー[※底本では文字の向きに変化あり。ス(直立)ース(右90度転倒)ース(左90度転倒)ー]静(しづか)に宮(みや)の御扉(みとびら)を
152開(ひら)きて出(い)でませ元(もと)つ親神(おやがみ)
153サソスセシ神(かみ)の伊吹(いぶき)の言霊(ことたま)に
154よみがへれかし玉野(たまの)の森(もり)よ
155生(い)き生(い)きて生(い)きの果(はて)なき天界(てんかい)ぞ
156如何(いか)にス声(ごゑ)のとどまるべきやは
157かくまでにわが言霊(ことたま)を宣(の)りつれど
158御扉(みとびら)あかぬは不思議(ふしぎ)なるかも
159主(ス)の神(かみ)は吾(われ)等(ら)の身魂(みたま)をみがかむと
160本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)とあれますか
161愚(おろか)なるわが魂線(たましひ)よ主(ス)の神(かみ)は
162本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)なりしはや』
163 この御歌(みうた)に驚(おどろ)きて、164太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)、165玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)、166生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)、167待合(まちあはせ)比古(ひこ)の神(かみ)はまづ力充男(ちからみちを)の神(かみ)へ敬拝(けいはい)し、168本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)の御前(みまへ)に拝跪(はいき)して不礼(ぶれい)を謝(しや)し、169言霊歌(ことたまうた)を宣(の)らせ給(たま)ふ。
170 顕津男(あきつを)の神(かみ)の御歌(みうた)。
171『愚(おろか)なる我(わが)霊線(たましひ)よ主(ス)の神(かみ)の
172みそば近(ちか)くにありて知(し)らざりき
173かくのごと曇(くも)りし霊(たま)の如何(いか)にして
174国土生(くにう)み神生(かみう)みの神業(みわざ)なるべき
175主(ス)の神(かみ)と我(われ)悟(さと)りたるたまゆらに
176本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)を畏(おそ)れし
177本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)とわが前(まへ)に現(あ)れますを
178知(し)らぬわが身(み)の愚(おろか)さを悔(く)ゆ
179天地(あめつち)の真言(まこと)はとほきに非(あら)ずして
180わが目(め)の前(まへ)に光(ひか)らせにけり
181本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)を知(し)らずにうつろなる
182宮(みや)に祈(いの)りし我(われ)恥(は)づかしも
183本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)とあれます主(ス)の神(かみ)よ
184許(ゆる)させたまへ礼(ゐや)なき我(われ)を
185今日(けふ)よりは霊(たま)を洗(あら)ひて言霊(ことたま)を
186清(きよ)め澄(す)ませつ国土生(くにう)みに仕(つか)へむ
187一言(ひとこと)の依(よ)さし言葉(ことば)を聞(き)かずして
188我(われ)はますます心許(こころもと)なき』
189 本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)は儼然(げんぜん)としてますます御面(みおも)輝(かがや)かせ給(たま)ひ、190一言(ひとこと)も宣(の)らせ給(たま)はぬぞ不思議(ふしぎ)なる。191玉野(たまの)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
192『朝夕(あさゆふ)に親(した)しく御姿(みすがた)拝(をが)みつつ
193主(ス)の大神(おほかみ)と悟(さと)らざりしよ
194今迄(いままで)の礼(ゐや)なき罪(つみ)をゆるせかし
195本津(もとつ)真言(まこと)は主(ス)の神(かみ)なりしよ
196ウアの水火(いき)神(かみ)と現(あ)れまし今(いま)ここに
197本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)を生(うま)せり
198玉(たま)の宮(みや)きづきまつると朝夕(あさゆふ)に
199本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)はつとめし
200主(ス)の神(かみ)の深(ふか)き経綸(しぐみ)を知(し)らずして
201宮司(みやつかさ)とのみ思(おも)ひけるかな
202神生(かみう)みの業(わざ)をつぶさに果(はた)し得(え)ざるも
203わが魂線(たましひ)のくもればなりける
204今(いま)となり神生(かみう)みの業(わざ)仕(つか)へずて
205年(とし)さびにけるよしを悟(さと)りぬ
206若(わか)くても智慧(ちゑ)証覚(しようかく)の足(た)らずして
207国津柱(くにつはしら)の御子(みこ)生(うま)るべき
208生代(いくよ)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)はすがすがし
209御子(みこ)孕(はら)ませるを宜(うべ)よと思(おも)ふ
210主(ス)の神(かみ)の依(よ)さしの神生(かみう)み業(わざ)さへも
211魂(たま)の曇(くも)れば仕(つか)ふるすべなし
212主(ス)の神(かみ)はわが言霊(たましひ)のくもれるを
213悟(さと)らせ生代(いくよ)にかへたまひしか
214愚(おろか)なるわが魂線(たましひ)よ濁(にご)りたる
215わが言霊(ことたま)よ悲(かな)し恥(は)づかし
216瑞御霊(みづみたま)後(おく)れしわけもわが魂(たま)の
217年経(としふ)りしよしも悟(さと)り得(え)し今日(けふ)よ』
218 生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
219『瑞御霊(みづみたま)わがあこがれしたまゆらの
220真言(まこと)に御子(みこ)は孕(はら)みたまひし
221恋雲(こひぐも)に包(つつ)まれし吾(われ)も主(ス)の神(かみ)の
222天津(あまつ)真言(まこと)によみがへりたり
223主(ス)の神(かみ)の水火(いき)の真言(まこと)によみがへる
224そのたまゆらを御子(みこ)孕(はら)ませり
225今日(けふ)よりは御子(みこ)育(はごく)むと村肝(むらきも)の
226心(こころ)くばりて恋(こひ)を忘(わす)れむ
227主(ス)の神(かみ)の経綸(しぐみ)の糸(いと)にしばられて
228われは暫(しば)しを狂(くる)ひたるかも
229今(いま)となりて心(こころ)開(ひら)きぬわが魂(たま)は
230とこよの春(はる)によみがへりけむ
231真鶴(まなづる)の国(くに)の国魂神(くにたまがみ)なれば
232朝夕(あさゆふ)御子(みこ)をつつしみ守(まも)らむ
233いやしかるわが体内(たいない)に主(ス)の神(かみ)の
234御霊(みたま)やどらす畏(かしこ)さ尊(たふと)さ
235本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)の御側(みそば)に近(ちか)く仕(つか)へ
236わが魂線(たましひ)は勇(いさ)みたちたり
237この丘(をか)に吾(われ)登(のぼ)りてゆ主(ス)の神(かみ)は
238本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)と悟(さと)りぬ
239兎(と)も角(かく)も瑞(みづ)の御霊(みたま)に従(したが)ひて
240吾(われ)はつつしみ黙(もだ)し居(ゐ)たりぬ
241本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)の御(おん)身(み)は光(ひかり)なりき
242わが眼(め)にうつるは月光(つきかげ)のみにて
243真寸鏡(ますかがみ)かかりし如(ごと)き心地(ここち)して
244吾(われ)恥(は)づかしく照(て)らされて居(ゐ)し
245今日(けふ)よりは玉野湖(たまのみづうみ)水(みづ)あせむ
246わが曇(くも)りたる心(こころ)晴(は)るれば
247一片(ひとひら)の雲霧(くもきり)もなしわが魂(たま)は
248すみきらひたり月日(つきひ)の如(ごと)くに』
249 力充男(ちからみちを)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
250『この丘(をか)の玉(たま)の泉(いづみ)に朝夕(あさゆふ)を
251みそぎて真(まこと)の神(かみ)知(し)らざりき
252本津(もとつ)真言(まこと)神(かみ)はまさしく主(ス)の神(かみ)の
253化身(けしん)なりしか吾(われ)恥(は)づかしも
254主(ス)の神(かみ)の御霊(みたま)になりし玉野丘(たまのをか)に
255仕(つか)へて真(まこと)の神(かみ)知(し)らざりしよ
256瑞御霊(みづみたま)清(すが)しく雄々(をを)しくましまして
257玉野(たまの)湖畔(こはん)に御子(みこ)孕(はら)ませり
258今日(けふ)よりは吾(われ)つつしみて瑞御霊(みづみたま)の
259神業(みわざ)助(たす)けて国土造(くにつく)りせむ
260遠見男(とほみを)の神(かみ)の一行(いつかう)は山麓(さんろく)に
261禊(みそぎ)したまへば迎(むか)へ来(きた)らむ』
262 茲(ここ)にはじめて本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)は、263言霊(ことたま)朗(ほがら)かに御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
264『畏(かしこ)しや力充男(ちからみちを)の神(かみ)の言葉(ことば)
265我(われ)うべなひて国土生(くにう)み助(たす)けむ
266いざさらば天津(あまつ)高宮(たかみや)にかへるべし
267百神(ももがみ)等(たち)よ健(すこや)かにあれ』
268 斯(か)く歌(うた)ひ給(たま)ひて、269主(ス)の神(かみ)の化身(けしん)なる本津(もとつ)真言(まこと)の神(かみ)は、270忽(たちま)ち天上(てんじやう)より降(くだ)り来(きた)る紫紺(しこん)の雲(くも)に包(つつ)まれて、271久方(ひさかた)の空(そら)高(たか)く帰(かへ)らせ給(たま)ひしぞ尊(たふと)けれ。
272(昭和八・一〇・三〇 旧九・一二 於水明閣 加藤明子謹録)
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