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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第74巻(丑の巻)
序文
総説
第1篇 渺茫千里
第1章 科戸の風
第2章 野路の草枕
第3章 篠の笹原
第4章 朝露の光
第5章 言霊神橋
第6章 真鶴山霊
第7章 相聞の闇
第8章 黒雲晴明
第9章 真鶴鳴動
第2篇 真鶴新国
第10章 心の手綱
第11章 万代の誓
第12章 森の遠望
第13章 水上の月
第14章 真心の曇らひ
第15章 晴天澄潮
第16章 真言の力(一)
第17章 真言の力(二)
第18章 玉野の森
第19章 玉野の神丘
第20章 松下の述懐
第3篇 玉藻霊山
第21章 玉野清庭
第22章 天地は曇る
第23章 意想の外
第24章 誠の化身
第25章 感歎幽明
第26章 総神登丘
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第74巻(丑の巻)
> 第3篇 玉藻霊山 > 第25章 感歎幽明
<<< 誠の化身
(B)
(N)
総神登丘 >>>
第二五章
感歎
(
かんたん
)
幽明
(
いうめい
)
〔一八九三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻
篇:
第3篇 玉藻霊山
よみ(新仮名遣い):
たまもれいざん
章:
第25章 感歎幽明
よみ(新仮名遣い):
かんたんゆうめい
通し章番号:
1893
口述日:
1933(昭和8)年10月31日(旧09月13日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
森良仁
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年1月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主の大神は、玉野森にご降臨したが、神々がまだ悟りを得ていなかったので、やむを得ず本津真言の神の姿を借りて、国造りの神業を助けていた。
神々は主の大神であるとまったく気づかなかったが、力充男の神がついに気づき歌に明かしたため、再び天津高宮にお帰りになったのであった。
玉野比女は、八十比女神に選ばれたものの、御子生みの資格が得られるほど悟りが深くなかった。そのため、神生みの神業はせず、国土生みの神業に仕えるように定められたのであった。
また、顕津男の神は神業のはじめにあたって、周りの神々たちに遠慮したことが勇猛心を欠き、神業の期を逃してしまった。
一方、真鶴山の御魂・生代比女は、八十比女神には入れなかったのだが、知恵と悟りに優れた賢女であったため、神生みの業をなすことを、大神はあえて許したのであった。生代比女の積極的な行動が、国生み・神生みの神策にかなったからである。
あえて生代比女の小さな過ちよりも大きな功を取ったのも、時代相応の処置であったと思われる。
本津真言の神が天に帰って行ったのを見て、神々はそれぞれ述懐の歌を歌い、国生みの神業への誓いを新たにする。
すると最後に、力充男の神は、実は自分は紫微天界の高鋒の神であり、主の大神の霊(チ)と体(カラ)が結合して生まれた神である、と明かす。
力充男の神は、国生みに従事する神々がそろった今、自分の役割は終わったと歌い、光となってあたりを照らしながら、紫の雲を呼び起こして天津高宮に帰って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7425
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 275頁
修補版:
校定版:
429頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
より、
002
玉野森
(
たまのもり
)
に
天降
(
あも
)
りましつれど、
003
神々
(
かみがみ
)
の
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
未
(
いま
)
だ
全
(
まつた
)
からざれば、
004
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
和光
(
わくわう
)
同塵
(
どうぢん
)
の
神策
(
しんさく
)
を
立
(
た
)
て
給
(
たま
)
ひて、
005
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
となり、
006
国土造
(
くにつく
)
りの
神業
(
みわざ
)
を
助
(
たす
)
け
給
(
たま
)
ひつつありけるが、
007
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
を
初
(
はじ
)
め
其
(
その
)
他
(
た
)
の
神々
(
かみがみ
)
も
其
(
その
)
化身
(
けしん
)
たるを
知
(
し
)
らず、
008
うかうかとして
同僚
(
どうれう
)
の
神
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
くに
扱
(
あつか
)
ひたりけるが、
009
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
の
賢
(
さと
)
き
目
(
め
)
に
名乗
(
なの
)
り
明
(
あか
)
されて、
010
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
は
直
(
ただち
)
に
諾
(
うべな
)
ひ
給
(
たま
)
ひ、
011
二首
(
にしゆ
)
の
御歌
(
みうた
)
を
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ひて、
012
久方
(
ひさかた
)
の
御空
(
みそら
)
高
(
たか
)
く
紫紺
(
しこん
)
の
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
りて、
013
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひしこそ
畏
(
かしこ
)
けれ。
014
又
(
また
)
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
015
八十
(
やそ
)
比女神
(
ひめがみ
)
の
一柱
(
ひとはしら
)
に
選
(
えら
)
まれ
給
(
たま
)
ひ、
016
玉野森
(
たまのもり
)
に
年永
(
としなが
)
く
時
(
とき
)
の
到
(
いた
)
るを
待
(
ま
)
たせ
給
(
たま
)
へども、
017
未
(
いま
)
だ
国魂神
(
くにたまがみ
)
としての
貴
(
たふと
)
き
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
まさむ
資格
(
しかく
)
備
(
そな
)
はらず、
018
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
全
(
まつた
)
からざりせば、
019
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
に
神生
(
かみう
)
みの
神業
(
みわざ
)
を
止
(
や
)
められ、
020
茲
(
ここ
)
に
国土生
(
くにう
)
みの
神業
(
みわざ
)
に
仕
(
つか
)
ふべく
余儀
(
よぎ
)
なくされ
給
(
たま
)
ひしなり。
021
次
(
つぎ
)
に
太元
(
おほもと
)
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は、
022
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
の
種々
(
くさぐさ
)
の
囁
(
ささや
)
きに
深
(
ふか
)
く
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
り、
023
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御言葉
(
みことば
)
をためらひつつ、
024
永
(
なが
)
き
年月
(
としつき
)
を
経
(
へ
)
給
(
たま
)
ひければ、
025
神生
(
かみう
)
みの
神業
(
みわざ
)
の
自
(
おのづか
)
ら
後
(
おく
)
れさせ
給
(
たま
)
ひしこそ
是非
(
ぜひ
)
なけれ。
026
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
なれば
仁慈
(
じんじ
)
の
心
(
こころ
)
深
(
ふか
)
く、
027
且
(
か
)
つ
神々
(
かみがみ
)
の
和親
(
わしん
)
を
旨
(
むね
)
として
勇猛心
(
ゆうまうしん
)
を
欠
(
か
)
き
給
(
たま
)
ひしかば、
028
終
(
つひ
)
に
神業
(
みわざ
)
の
期
(
き
)
を
逸
(
いつ
)
し
給
(
たま
)
ひしこそ、
029
返
(
かへ
)
す
返
(
がへ
)
すも
惜
(
をし
)
むべき
事
(
こと
)
にこそあれ。
030
真鶴山
(
まなづるやま
)
の
御魂
(
みたま
)
と
生
(
あ
)
れます
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
031
八十柱
(
やそはしら
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
の
選
(
せん
)
に
漏
(
も
)
れ
給
(
たま
)
ひし
神
(
かみ
)
なれども、
032
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
に
勝
(
すぐ
)
れたる
細女
(
くはしめ
)
賢女
(
さかしめ
)
にいませば、
033
国津柱
(
くにつばしら
)
と
世
(
よ
)
に
立
(
た
)
てられ、
034
御子
(
みこ
)
生
(
う
)
ますべきに
叶
(
かな
)
ひたれば、
035
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
黙許
(
もくきよ
)
し
給
(
たま
)
ひ、
036
茲
(
ここ
)
に
大神業
(
おほみわざ
)
は
遂
(
と
)
げられたるなり。
037
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
積極
(
せききよく
)
的
(
てき
)
行動
(
かうどう
)
は、
038
国土生
(
くにう
)
み
神生
(
かみう
)
みの
神策
(
しんさく
)
に
叶
(
かな
)
ひ
奉
(
まつ
)
れば、
039
大功
(
たいこう
)
を
採
(
と
)
りて
小瑾
(
せうきん
)
を
顧
(
かへり
)
みざる
神策
(
しんさく
)
を
採
(
と
)
り
給
(
たま
)
ひしも、
040
時代
(
じだい
)
相応
(
さうおう
)
の
処置
(
しよち
)
とこそ
窺
(
うかが
)
はるるなり。
041
嗚呼
(
ああ
)
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
、
042
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
043
何
(
いづ
)
れも
至善
(
しぜん
)
至美
(
しび
)
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
にして
賢
(
さか
)
しき
心
(
こころ
)
を
欠
(
か
)
き
給
(
たま
)
ひ、
044
且
(
か
)
つ
勇猛心
(
ゆうまうしん
)
薄
(
うす
)
かりしかば、
045
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の、
046
眼前
(
がんぜん
)
に
化身
(
けしん
)
として
現
(
あらは
)
れ
給
(
たま
)
ふ
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
真相
(
しんさう
)
を
知
(
し
)
り
給
(
たま
)
はざりしに
反
(
はん
)
し、
047
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
賢
(
さと
)
くも
其
(
その
)
化身
(
けしん
)
なる
事
(
こと
)
を
朧気
(
おぼろげ
)
に
覚
(
さと
)
り
居
(
ゐ
)
給
(
たま
)
ひし
程
(
ほど
)
の
細女
(
くはしめ
)
なりければ、
048
貴
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
を
孕
(
はら
)
ませ
給
(
たま
)
ひしも
宜
(
うべ
)
なりと
諾
(
うなづ
)
かるるなり。
049
嗚呼
(
ああ
)
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
050
茲
(
ここ
)
に
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
は、
051
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
本体
(
ほんたい
)
を
現
(
あらは
)
して、
052
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひしを
遠
(
とほ
)
く
拝
(
をが
)
ませ
給
(
たま
)
ひて、
053
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
054
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
は
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
り
終
(
を
)
へて
055
雲
(
くも
)
に
乗
(
の
)
らせつ
天
(
あま
)
かへりますも
056
久方
(
ひさかた
)
の
空
(
そら
)
を
紫紺
(
しこん
)
に
染
(
そ
)
めながら
057
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
帰
(
かへ
)
りますかも
058
おろかなるわが
霊線
(
たましひ
)
を
今更
(
いまさら
)
に
059
悔
(
く
)
ゆるも
詮
(
せん
)
なし
神業
(
みわざ
)
遅
(
おく
)
れて
060
ためらひし
心
(
こころ
)
の
罪
(
つみ
)
を
許
(
ゆる
)
しませ
061
天
(
あめ
)
に
帰
(
かへ
)
らす
主
(
ス
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
よ
062
進
(
すす
)
み
進
(
すす
)
み
拓
(
ひら
)
き
拓
(
ひら
)
きて
仕
(
つか
)
へ
行
(
ゆ
)
く
063
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
をおろそかにせるも
064
百神
(
ももがみ
)
に
心配
(
こころくば
)
りて
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
065
生言霊
(
いくことたま
)
にそむきしを
悔
(
く
)
ゆ
066
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
にそむく
心
(
こころ
)
は
持
(
も
)
たねども
067
ためらひ
心
(
ごころ
)
に
神業
(
みわざ
)
遅
(
おく
)
れし
068
今
(
いま
)
となりて
弱
(
よわ
)
き
心
(
こころ
)
を
悔
(
く
)
いにけり
069
いざや
勇
(
いさ
)
みの
駒
(
こま
)
立直
(
たてなほ
)
さむ
070
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
心
(
こころ
)
を
思
(
おも
)
へば
我
(
われ
)
は
今
(
いま
)
071
消
(
き
)
えたくなりぬ
悲
(
かな
)
しくなりぬ』
072
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
073
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
化身
(
けしん
)
と
知
(
し
)
らず
朝夕
(
あさゆふ
)
を
074
吾
(
われ
)
従神
(
ともがみ
)
と
思
(
おも
)
ひけるかも
075
斯
(
か
)
くの
如
(
ごと
)
わが
愚
(
おろか
)
しき
心
(
こころ
)
もて
076
如何
(
いか
)
で
御子生
(
みこう
)
み
仕
(
つか
)
へ
得
(
う
)
べきや
077
智慧
(
ちゑ
)
証覚
(
しようかく
)
未
(
いま
)
だ
足
(
た
)
らねば
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
は
078
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
に
依
(
よ
)
さし
給
(
たま
)
ひしか
079
真鶴
(
まなづる
)
の
国津柱
(
くにつはしら
)
を
孕
(
はら
)
みます
080
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
貴
(
たふと
)
くありける
081
この
丘
(
をか
)
に
岐美
(
きみ
)
を
待
(
ま
)
ちつつ
年
(
とし
)
経
(
ふ
)
りし
082
わが
魂線
(
たましひ
)
は
曇
(
くも
)
りてしかも
083
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
に
朝夕
(
あさゆふ
)
仕
(
つか
)
へつつ
084
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
を
知
(
し
)
らざりにけり
085
そよと
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
にも
神声
(
みこゑ
)
あるものを
086
側
(
そば
)
に
坐
(
ま
)
す
神
(
かみ
)
知
(
し
)
らざる
恥
(
は
)
づかしさよ
087
今日
(
けふ
)
よりは
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
を
神柱
(
みはしら
)
と
088
仰
(
あふ
)
ぎ
奉
(
まつ
)
りて
国土生
(
くにう
)
みなさばや』
089
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
090
『
八十柱
(
やそはしら
)
比女神
(
ひめがみ
)
とおはす
公
(
きみ
)
なれば
091
わが
腹
(
はら
)
の
御子
(
みこ
)
奉
(
たてまつ
)
るべし
092
今日
(
けふ
)
よりは
玉野
(
たまの
)
の
比女
(
ひめ
)
にまつろひて
093
御子
(
みこ
)
を
育
(
はごく
)
み
日足
(
ひた
)
しまつらむ
094
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
下女
(
しため
)
と
吾
(
われ
)
なりて
095
御子
(
みこ
)
を
育
(
はごく
)
み
朝夕
(
あさゆふ
)
仕
(
つか
)
へむ
096
吾
(
われ
)
は
只
(
ただ
)
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
にこがれたる
097
そのたまゆらに
孕
(
はら
)
みたるのみ
098
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
直
(
ただ
)
の
依
(
よ
)
さしにあらざれば
099
吾
(
われ
)
ははしため
御子
(
みこ
)
育
(
そだ
)
つるのみよ
100
瑞御霊
(
みづみたま
)
神
(
かみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
101
神
(
かみ
)
は
真鶴国
(
まなづるくに
)
拓
(
ひら
)
きませよ
102
ちり
程
(
ほど
)
のねたみうらみを
持
(
も
)
たぬ
吾
(
われ
)
を
103
安
(
やす
)
く
思
(
おぼ
)
され
国土
(
くに
)
造
(
つく
)
りませ
104
わが
腹
(
はら
)
の
御子
(
みこ
)
生
(
お
)
ひ
立
(
た
)
たすそれまでは
105
心
(
こころ
)
清
(
きよ
)
めて
近
(
ちか
)
く
仕
(
つか
)
へむ』
106
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
107
『
健気
(
けなげ
)
なる
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
の
言霊
(
ことたま
)
よ
108
我
(
われ
)
は
感謝
(
かんしや
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
ぶも
109
比女神
(
ひめがみ
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
に
諾
(
うべな
)
ひて
110
御子
(
みこ
)
は
宿
(
やど
)
らせ
給
(
たま
)
ひけむかも
111
今更
(
いまさら
)
に
比女
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
の
清
(
きよ
)
きをば
112
深
(
ふか
)
くさとりて
涙
(
なみだ
)
に
暮
(
く
)
るるも
113
その
清
(
きよ
)
き
正
(
ただ
)
しき
明
(
あか
)
るき
魂線
(
たましひ
)
を
114
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
愛
(
め
)
でましにけむ
115
公
(
きみ
)
と
我
(
われ
)
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せし
御子
(
みこ
)
ながら
116
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御魂
(
みたま
)
なりける』
117
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
118
『
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
の
清
(
すが
)
しさに
119
吾
(
われ
)
恥
(
は
)
づかしくなりにけらしな
120
曇
(
くも
)
りたるわが
魂線
(
たましひ
)
の
如何
(
いか
)
にして
121
貴
(
たふと
)
き
御子
(
みこ
)
を
孕
(
はら
)
み
得
(
う
)
べきや
122
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
深
(
ふか
)
き
経綸
(
しぐみ
)
を
今更
(
いまさら
)
に
123
覚
(
さと
)
りて
吾
(
われ
)
は
慄
(
をのの
)
きにけり
124
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
と
125
思
(
おも
)
へば
怨
(
うら
)
みの
雲霧
(
くもきり
)
もなし
126
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
吾
(
われ
)
にさきだち
御子
(
みこ
)
孕
(
はら
)
むと
127
聞
(
き
)
きてねたみし
心
(
こころ
)
の
恥
(
は
)
づかし
128
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
永久
(
とこしへ
)
に
色
(
いろ
)
変
(
か
)
へぬ
129
翠
(
みどり
)
の
心
(
こころ
)
に
吾
(
われ
)
仕
(
つか
)
へばや
130
そよと
吹
(
ふ
)
く
松
(
まつ
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
風
(
かぜ
)
にさへ
131
日
(
ひ
)
に
幾度
(
いくたび
)
の
訪
(
おとづ
)
れあるを
132
八十年
(
やそとせ
)
を
待
(
ま
)
ちあぐみたる
魂線
(
たましひ
)
の
133
弥
(
いや
)
ますますに
曇
(
くも
)
りてしかな
134
清
(
きよ
)
き
赤
(
あか
)
き
真言
(
まこと
)
の
恋
(
こひ
)
にあらずして
135
真言
(
まこと
)
の
御子
(
みこ
)
を
如何
(
いか
)
で
孕
(
はら
)
み
得
(
う
)
べきや
136
瑞御霊
(
みづみたま
)
気永
(
けなが
)
く
待
(
ま
)
ちし
甲斐
(
かひ
)
もなく
137
神業
(
みわざ
)
に
遅
(
おく
)
れしわがおろかさよ
138
今
(
いま
)
よりは
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めひたすらに
139
岐美
(
きみ
)
に
従
(
したが
)
ひ
国土生
(
くにう
)
み
助
(
たす
)
けむ』
140
待合
(
まちあはせ
)
比古
(
ひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
141
『
幾年
(
いくとせ
)
を
待合
(
まちあは
)
せたる
玉野
(
たまの
)
比女
(
ひめ
)
の
142
今日
(
けふ
)
の
心
(
こころ
)
を
計
(
はか
)
りて
泣
(
な
)
くも
143
気永
(
けなが
)
くも
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
を
待
(
ま
)
たせつつ
144
あはれ
御子生
(
みこう
)
みの
神業
(
みわざ
)
ならずも
145
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
深
(
ふか
)
き
神心
(
みこころ
)
今更
(
いまさら
)
に
146
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
心
(
こころ
)
をののく
147
天界
(
てんかい
)
は
愛
(
あい
)
と
善
(
ぜん
)
との
神国
(
みくに
)
なれば
148
毛筋
(
けすぢ
)
の
汚
(
けが
)
れもゆるさざりけむ
149
よしあしの
行交
(
ゆきか
)
ふ
世
(
よ
)
にも
国土
(
くに
)
造
(
つく
)
る
150
神業
(
みわざ
)
に
塵
(
ちり
)
の
止
(
とど
)
まるべきやは
151
地
(
つち
)
稚
(
わか
)
き
真鶴
(
まなづる
)
の
国土
(
くに
)
の
国柱
(
くにばしら
)
152
清
(
きよ
)
き
真言
(
まこと
)
に
孕
(
はら
)
み
給
(
たま
)
ひぬ
153
生代
(
いくよ
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
貴
(
たふと
)
き
功績
(
いさをし
)
を
154
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
も
褒
(
ほ
)
め
給
(
たま
)
ひけむ
155
さまざまの
神代
(
みよ
)
の
出来事
(
できごと
)
朝夕
(
あさゆふ
)
に
156
見
(
み
)
つつ
吾
(
われ
)
はも
迷
(
まよ
)
ひけるかな
157
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
化身
(
けしん
)
と
知
(
し
)
らず
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
158
神
(
かみ
)
を
従神
(
とも
)
よと
扱
(
あつか
)
ひしはや
159
愚
(
おろか
)
かなるわが
魂線
(
たましひ
)
よ
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
160
化身
(
けしん
)
を
軽
(
かる
)
く
扱
(
あつか
)
ひにけり
161
久方
(
ひさかた
)
の
御空
(
みそら
)
を
高
(
たか
)
く
帰
(
かへ
)
りましし
162
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
を
仰
(
あふ
)
ぎて
泣
(
な
)
きぬ
163
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
を
今
(
いま
)
ぞ
知
(
し
)
る
164
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
帰
(
かへ
)
らす
光
(
ひかり
)
に
165
日
(
ひ
)
をおひて
光
(
ひかり
)
いや
増
(
ま
)
せし
神柱
(
みはしら
)
を
166
化身
(
けしん
)
と
知
(
し
)
らずに
居
(
ゐ
)
たる
愚
(
おろか
)
さ
167
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
真鶴
(
まなづる
)
の
国
(
くに
)
は
目出度
(
めでた
)
けれ
168
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御子
(
みこ
)
宿
(
やど
)
りませば
169
スの
水火
(
いき
)
を
合
(
あは
)
せてここに
瑞御霊
(
みづみたま
)
170
生代
(
いくよ
)
比女神
(
ひめがみ
)
御子
(
みこ
)
孕
(
はら
)
みましぬ
171
大空
(
おほぞら
)
は
広
(
ひろ
)
く
高
(
たか
)
しも
真鶴
(
まなづる
)
の
172
稚
(
わか
)
き
国原
(
くにばら
)
を
照
(
てら
)
す
御子
(
みこ
)
はも』
173
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
174
『
霊
(
ち
)
と
体
(
から
)
の
力
(
ちから
)
充
(
み
)
ちぬる
天界
(
てんかい
)
は
175
スの
言霊
(
ことたま
)
ゆ
生
(
あ
)
れましにける
176
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
霊
(
ち
)
と
体
(
から
)
を
177
給
(
むす
)
びて
生
(
うま
)
れし
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
なり
178
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
本津
(
もとつ
)
真言
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
と
共
(
とも
)
に
179
ここに
降
(
くだ
)
りし
化身
(
けしん
)
なるぞや
180
吾
(
われ
)
こそは
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
に
鎮
(
しづ
)
まれる
181
高鋒
(
たかほこ
)
の
神
(
かみ
)
よいざ
帰
(
かへ
)
らむとすも
182
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
現
(
あ
)
れませし
今日
(
けふ
)
よりは
183
吾
(
われ
)
に
用
(
よう
)
なしいざ
帰
(
かへ
)
りなむ
184
百神
(
ももがみ
)
よまめやかにまして
真鶴
(
まなづる
)
の
185
国土生
(
くにう
)
み
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
ましましませ』
186
斯
(
か
)
く
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ひつつ、
187
再
(
ふたた
)
び
光
(
ひかり
)
となり
四辺
(
あたり
)
を
照
(
て
)
らしながら、
188
力充男
(
ちからみちを
)
の
神
(
かみ
)
は
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
を
呼
(
よ
)
び
起
(
おこ
)
し、
189
悠々
(
いういう
)
として
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
向
(
むか
)
ひ
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ふぞ
尊
(
たふと
)
けれ。
190
(
昭和八・一〇・三一
旧九・一三
於水明閣
森良仁
謹録)
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