霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 相聞(さうもん)(やみ)〔一八七五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻 篇:第1篇 渺茫千里 よみ(新仮名遣い):びょうぼうせんり
章:第7章 相聞の闇 よみ(新仮名遣い):そうもんのやみ 通し章番号:1875
口述日:1933(昭和8)年10月21日(旧09月3日) 口述場所:水明閣 筆録者:谷前清子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
神々たちはさらに、七日七夜の間、生言霊を山のさまざまな方角から宣りあげていった。真鶴山は四方八方に伸び広がって、目も届かないくらいに広大になった。
これにより、山の四方の原野は次第に水気がなくなって地が固まり、真鶴国が誕生した。
一行は祝いと喜びの歌を歌った。
生代比女は、顕津男の神をずっと待っていたが、いまやっと真鶴山が世に出て、時が来たと歌いかける。
しかし、顕津男の神は、生代比女が八十比女神の一人ではないため、見合うことはできない、と諭す。
すると生代比女は嘆きの歌を歌い、たちまちその姿は消えて隠れてしまった。そして、山麓より黒煙が立ち上り、あたりを包んでしまった。
多々久美の神の言霊でも黒雲は晴れず、顕津男の神は生代比女に歌い呼びかけた。
すると黒雲の中から生代比女は答えて、顕津男の神への恋が破れた恨みに、沼の主となり、八十比女神の一人、玉野比女を呪ってやる、と歌い残して、悪竜となって玉野湖をさして駆け去ってしまった。
連れの神々は口々に、生代比女に対する怒りの歌を歌うが、顕津男の神は生代比女の情けにほだされ、主の神のいいつけに背いても、生代比女を捨てることはできない、と歌った。
たちまちあたりの黒雲は晴れ、四方に白梅が香り、天国の状態を顕した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7407
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 187頁 修補版: 校定版:97頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 顕津男(あきつを)(かみ)(なら)びに百神(ももがみ)(たち)は、002真鶴山(まなづるやま)(いただき)()生言霊(いくことたま)をうち(そろ)へ、003東北東(とうほくとう)(そら)(むか)ひまし、004七十五(しちじふご)(せい)言霊(ことたま)(こゑ)(すが)しく()(たま)へば、005真鶴山(まなづるやま)次第(しだい)々々(しだい)真北(まきた)(はう)()(ひろ)ごりぬ。006それより百神(ももがみ)(たち)は、007(ほく) 北東(ほくとう) 東北(とうほく) (とう)(かた)008東南(とうなん) 南東(なんとう) (なん)(かた)009南西(なんせい) 西南(せいなん) 西(せい)(かた)010西北(せいほく) 北西(ほくせい)と、011生言霊(いくことたま)七日(ななか)七夜(ななよ)(あひだ)012()まず(おこた)らず(ちから)(かぎ)宣上(のりあ)(たま)へば、013真鶴山(まなづるやま)四方(しはう)八方(はつぱう)()(ひろ)ごり、014(ふく)()がりて目路(めぢ)もとどかぬ(ばか)りとなりぬ。015真鶴山(まなづるやま)膨張(ばうちやう)によりて、016東西(とうざい)南北(なんぼく)万里(ばんり)原野(げんや)次第(しだい)々々(しだい)水気(みづけ)()りて()(かた)まりぬれば、017(ここ)目出度(めでた)真鶴国(まなづるこく)𪫧怜(うまら)委曲(つばら)()()でにける。
018この荒原(くわうげん)につづきたる
019(やま)(つつ)みし広沼(ひろぬま)
020西南方(せいなんぱう)一処(ひとところ)
021いより(つど)ひて(みづ)(ふか)
022(ぬま)(ひろ)らかに()めりけり
023(ぬま)(まは)りに常磐樹(ときはぎ)
024(まつ)(にはか)()()ちて
025(とき)じく(にほ)白梅(しらうめ)
026(みぎは)みぎはをかざりつつ
027(ひかり)(はな)()(はな)
028目出度(めでた)姿(すがた)清沼(すがぬま)
029水底(みなぞこ)までもうつろひて
030(かがみ)(ごと)くなりにけり。
031 顕津男(あきつを)(かみ)このさまを()そなはして、032御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
033()(かみ)のたまひし七十五(ななそいつ)(ごゑ)
034生言霊(いくことたま)国土(くに)ひろごりぬ
035弥先(いやさ)きに真北(まきた)(そら)()(むか)
036()言霊(ことたま)国土(くに)(うま)れけり
037()()ぎに百神(ももがみ)(たち)水火(いき)(あは)
038()言霊(ことたま)()(ひろ)ごりぬ
039わが目路(めぢ)のとどかぬ(かぎ)湿(しめ)(つち)
040(つち)(かた)まりてよき国土(くに)となりぬ
041今更(いまさら)生言霊(いくことたま)功績(いさをし)
042(さと)れば(たふと)水火(いき)()きにける
043水火(いき)()きて()きの(かぎ)りは()(かみ)
044神業(みわざ)(つか)へむ百神(ももがみ)(とも)
045天界(てんかい)はうましき国土(くに)(うるは)しの
046(かみ)御国(みくに)よこころ(すが)しき
047見渡(みわた)せば原野(はらの)(かぎ)(むらさき)
048(はな)(にほ)へり(かぜ)(かを)れり
049科戸辺(しなどべ)(かぜ)ほどほどに()()でで
050(うめ)(かをり)四方(よも)(つつ)めり
051七十余(ななそまり)(いつ)つの(こゑ)言霊(ことたま)
052紫微(しび)天界(てんかい)(ひら)()くかも』
053 遠見男(とほみを)(かみ)御歌(みうた)うたひ(たま)ふ。
054瑞御霊(みづみたま)(かみ)御供(みとも)(つか)()
055今日(けふ)目出度(めでた)(さち)()ふかな
056言霊(ことたま)水火(いき)生命(いのち)(もとゐ)かも
057天地(あめつち)(もも)身魂(みたま)()ませば
058(わか)かりしこの国原(くにばら)言霊(ことたま)
059水火(いき)(さちは)ひて(かた)まりにけり
060(うつ)(くに)よにぎはしき(くに)(うづ)(くに)
061(みづ)御霊(みたま)(まも)らす国土(くに)
062たまちはふ(かみ)御水火(みいき)()()でし
063真鶴(まなづる)(くに)(うるは)しきかも
064朝日子(あさひこ)(ひかり)(きよ)月読(つきよみ)
065(かげ)もさやけき(うるは)しの(くに)
066(みづ)(きよ)(かぜ)(また)(すが)しき真鶴(まなづる)
067(くに)()れます生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)
068生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)真鶴山(まなづるやま)水火(いき)
069(さちは)ひまして()れましにけむ
070(うるは)しき紫微(しび)天界(てんかい)(うま)(くに)
071真鶴山(まなづるやま)生代(いくよ)比女神(ひめがみ)
072生代(いくよ)比女(ひめ)国中(くになか)比古(ひこ)ともろともに
073(まも)りますらむ真鶴(まなづる)(くに)を』
074 国中(くになか)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
075顕津男(あきつを)(かみ)(ちから)(かた)まりし
076真鶴山(まなづるやま)姿(すがた)気高(けだか)
077真鶴(まなづる)(やま)はつぎつぎ(ひろ)ごりて
078(くに)(はしら)(たか)()たすも
079この(やま)(くに)御柱(みはしら)()(かなめ)
080四方(よも)神々(かみがみ)(つど)()ませよ』
081 生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)御歌(みうた)うたひ(たま)ふ。
082『いく(とせ)(つち)にひそみて(われ)()ちし
083真鶴山(まなづるやま)()()でにけり
084()(かみ)神言(みこと)(かしこ)気永(けなが)くも
085岐美(きみ)()でまし()ちゐたりける
086神国(かみくに)(うづ)神業(みわざ)(つか)へむと
087()甲斐(かひ)ありて岐美(きみ)()ませる』
088 顕津男(あきつを)(かみ)(うた)(たま)ふ。
089(なれ)こそはうづの細女(くはしめ)賢女(さかしめ)
090さはあれ八十(やそ)比女神(ひめがみ)におはさず
091八十(やそ)比女(ひめ)見合(みあ)ひて(われ)神生(かみう)みの
092神業(みわざ)(つか)ふる(つかさ)なるぞや
093()(かみ)御許(みゆる)しのなき生代(いくよ)比女(ひめ)
094見合(みあ)はむすべも(われ)なかりけり
095神生(かみう)みの(わざ)(ゆる)させ(たま)ふべし
096()大神(おほかみ)()さしならねば
097(いたづら)細女(くはしめ)なりとて見合(みあ)ふべき
098(われ)には八十(やそ)比女神(ひめがみ)()てれば』
099 生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)(うた)(たま)ふ。
100(なさけ)なや(みづ)御霊(みたま)(おん)言葉(ことば)
101()けば(かな)しも()なまく(おも)
102瑞御霊(みづみたま)生言霊(いくことたま)をよろこびて
103(われ)(くに)より(あらは)れしはや
104真鶴(まなづる)(やま)尾上(をのへ)(あらは)れて
105かかるなげきは(おも)はざりしよ
106(なげ)けども千引(ちびき)(いは)瑞御霊(みづみたま)
107わが言霊(ことたま)(うご)(たま)はず』
108 ()(うた)(たま)ひて生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)は、109(くも)(かすみ)御姿(みすがた)をかくし(たま)ひし()もあらず、110黒煙(こくえん)濛々(もうもう)として山麓(さんろく)より()ちのぼるすさまじさ。111(たちま)ちにして頂上(ちやうじやう)咫尺(しせき)(べん)ぜぬ黒雲(くろくも)(つつ)まれにける。112ここに多々久美(たたくみ)(かみ)濃雲(のううん)(はら)はむとして、113御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
114多々久美(たたくみ)(かみ)言霊(ことたま)(きこ)()
115科戸(しなど)比古神(ひこがみ)科戸(しなど)比女神(ひめがみ)
116タータータータタの(ちから)にこの(やま)
117(くも)をはらせよ科戸辺(しなどべ)(かみ)
118生代(いくよ)比女(ひめ)(うら)みの水火(いき)(かた)まりて
119黒雲(くろくも)となり(やま)(つつ)めるか
120(おそろ)しきものは(こひ)かも(こころ)かも
121生代(いくよ)比女(ひめ)(おに)となりしか
122言霊(ことたま)をいや(たか)らかに()りつれど
123なほ黒雲(くろくも)()くぞうれたき』
124 多々久美(たたくみ)(かみ)生言霊(いくことたま)(なん)(かう)なく、125科戸(しなど)(かぜ)さへ()(きた)らず、126百神(ももがみ)(たち)山上(さんじやう)佇立(ていりつ)して、127(おの)(おの)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、128天地(てんち)開明(かいめい)()たせ(たま)ふ。
129 ここに顕津男(あきつを)(かみ)は、130儼然(げんぜん)として御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
131生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)のやさしき心根(こころね)
132くみ()()ざる(われ)にはあらず
133さり(なが)()大神(おほかみ)御依(みよ)さしに
134あらねば如何(いか)にせむすべもなき
135村肝(むらきも)(こころ)やはらげ黒雲(くろくも)
136はらさせ(たま)(かみ)のまにまに
137(われ)(また)木石(ぼくせき)ならぬ()にしあれば
138(なれ)細女(くはしめ)をいかで(いと)はむ
139(いぢ)らしく雄々(をを)しく(なつ)かしく(おも)へども
140せむ(すべ)もなき(われ)をあはれみ(たま)
141(なれ)姿(すがた)()つつ(わが)(むね)もえぬれど
142(みづ)御霊(みたま)にけしてしのびつ』
143 ()(うた)(たま)ふや、144黒雲(くろくも)(なか)より生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)(こゑ)ありて、
145(うら)めしの岐美(きみ)言霊(ことたま)(われ)(いま)
146(ぬま)(あるじ)となりてしのばむ
147国土造(くにつく)御子生(みこう)(たま)神業(かむわざ)
148(われ)(うら)みて永久(とは)にさやらむ
149八十(やそ)比女神(ひめがみ)玉野(たまの)比女神(ひめがみ)玉野湖(たまのうみ)
150(もり)にしのびてみゆき()たせり
151玉野(たまの)比女(ひめ)(われ)御姿(みすがた)やぶりつつ
152岐美(きみ)(こころ)をいためむと(おも)
153真鶴山(まなづるやま)(つつ)める(くも)はわが(こひ)
154()ゆる(おも)ひぞ永久(とは)()れまじ
155岐美(きみ)()ふるわが真心(まごころ)退(しりぞ)けて
156玉野(たまの)比女(ひめ)見合(みあは)岐美(きみ)かも
157どこ(まで)岐美(きみ)()ほしければ(われ)(いま)
158玉野(たまの)比女(ひめ)(うら)(かへ)さな
159玉野(たまの)比女(ひめ)(たま)(かんばせ)(たちま)ちに
160醜女(しこめ)となりてなげかせ(たま)はむ』
161(うた)(をは)(たま)ふや、162(たちま)悪竜(あくりう)となりて黒雲(くろくも)(まく)(やぶ)り、163ピカリピカリと(ひかり)()げつつ、164玉野(たまの)湖水(こすゐ)をさして()(ごと)()()(たま)ふぞうたてけれ。165圓屋(まるや)比古(ひこ)(かみ)はこの(てい)()(いか)らせ(たま)ひ、
166生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)曲神(まがみ)にうつられて
167(みづ)御霊(みたま)にさやらむとすも
168圓屋(まるや)比古(ひこ)(かみ)生命(いのち)のある(かぎ)
169言霊(ことたま)征矢(そや)もてきためてやみむ
170(あき)らけき真鶴山(まなづるやま)(くも)らせて
171(うみ)にひそみし醜神(しこがみ)あはれ』
172 国中(くになか)比古(ひこ)(かみ)(うた)(たま)ふ。
173真鶴山(まなづるやま)(かみ)のかためし国中(くになか)
174曲神(まがかみ)すさぶとは(おも)はざりしよ
175いざさらば生言霊(いくことたま)御光(みひかり)
176射干玉(ぬばたま)(やみ)はらし()らさむ
177(みち)ならぬ(みち)をたどると生代(いくよ)比女(ひめ)
178(かみ)(こころ)をあはれと(おも)ふ』
179 美波志(みはし)比古(ひこ)(かみ)御歌(みうた)うたひ(たま)ふ。
180『あはれなる生代比女(いくよひめ)(かみ)恋衣(こひごろも)
181(やぶ)れつくらふ(すべ)もなきかな
182瑞御霊(みづみたま)比女(ひめ)(こころ)(なご)むべく
183生言霊(いくことたま)()らせ(たま)へよ
184よしあしの(しげ)れるこれの国原(くにばら)
185()だよしあしの(かた)まらぬ神代(みよ)
186よしあしのけぢめも(しば)(わす)れまし
187生代(いくよ)比女(ひめ)見合(みあ)ひましませ
188生代(いくよ)比女(ひめ)(いか)りを(なご)むる神柱(みはしら)
189岐美(きみ)をしおきて(ほか)にあらじな』
190 ここに顕津男(あきつを)(かみ)は、191生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)(なさけ)にほだされて、192()りつめし(こころ)もやはらぎ、193御歌(みうた)うたひ(たま)ふ。
194『よしあしはよしやともあれ()くもあれ
195生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)()はなむ
196生代(いくよ)比女(ひめ)(かみ)(しづ)まりましまして
197(こころ)をはらせ(くも)()らさね
198御依(みよ)さしに(われ)はそむくと(おも)へども
199(きみ)(なさけ)()つるすべなし』
200 ()(うた)(たま)へば、201今迄(いままで)四辺(あたり)(つつ)みたる烏羽玉(うばたま)(くろ)叢雲(むらくも)は、202(ぬぐ)ふが(ごと)()(わた)り、203青雲(あをくも)(そら)(たちま)(あらは)れ、204白梅(しらうめ)芳香(はうかう)四辺(しへん)(かを)り、205(たちま)天国(てんごく)状態(じやうたい)となりしこそ不思議(ふしぎ)なれ。
206昭和八・一〇・二一 旧九・三 於水明閣 谷前清子謹録)
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