霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 心(こころ)の手綱(たづな)〔一八七八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑の巻 篇:第2篇 真鶴新国 よみ(新仮名遣い):まなづるしんこく
章:第10章 心の手綱 よみ(新仮名遣い):こころのたづな 通し章番号:1878
口述日:1933(昭和8)年10月23日(旧09月5日) 口述場所:水明閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年1月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
そもそも宇宙の始め、大虚空の中心に、一点のヽ(ほち)が突然現れ、ヽは次第次第に円満さを増していき、ついに主(ス)の言霊が生まれ出た。
スの声はだんだんと膨張して、ついに七十五声の言霊が、大虚空の中に現れるにいたったのである。
スの言霊は、さらにますます大活動力を発揮することで、神となった。これが、天之峯火夫の神である。またの名を、大国常立の神言(みこと)という。
スの大神の威光はますます発展して、大宇宙を生み成した。その中心である紫微天界に天津高宮を築き、スの大神は永遠にそこに鎮まることとなった。
鎮まりつつ、大宇宙の生成を続け、国を生み、神を生み、幾億万劫の末の今日にいたるまで、一瞬たりともその活動を休まず続けているのである。
主(ス)の神は、ウの言霊から天之道立の神を生み、またアの言霊から太元顕津男の神を生み、まず紫微天界の修理固成を始めた。国土を生み、神を生む神業を、二神に任せることとなったのである。
天之道立の神は宇宙万有の精神界を守り、顕津男の神は紫微天界の霊的物質界を生成し育てるという神業を、それぞれ主の神よりおおせつかった。
この二神による神業もまた、幾億万劫の末の今日まで継続・活躍しており、また限りなく終わりなく続いていくのである。
ここではもっぱら、太元顕津男の神の活動について述べているが、その内容が膨大であるため、ただ数千万分の一程度を開示したに過ぎない。だから、読者はこの物語が天界のすべてではないことを、知って読まなければならない。
国生み神生みについて
顕津男の神と八十柱の比女神たちは、ただ水火(いき)と水火をいっしょに組み合わせる。
すると、鳴り鳴りて鳴りの果てに、神霊の気が感応して、尊い国魂神が生まれるのである。
宇宙一切の生成と育成は、スの神の幸魂である愛の情動より発してる。だから、愛を離れてはいかなる生産もありえない。神々といえでも、女男二柱が見合うときは、必ず恋愛の心が湧き出でるのは、自然の道理なのである。
恋愛は魂がいついて離れないものである。だから、主の神は、国魂神を生ませるために八十柱の比女神を御樋代とするよう、顕津男の神に言いつけたのである。
そして、もし一人の比女神が二柱の国魂神を生むと、権力地位の争いによって滅びてしまう。だから、一つの国に一つの国魂神と定めたのである。
顕津男の神は、最初の国生み神生みのとき、如衣比女への恋着によって神業を遅らせた。その執着心が恐ろしい大蛇となって、如衣比女を葬り去る結果となってしまった。
その前例に恐れ慎み、八十柱の比女神以外の女神に対しては、一切心を動かすことはない顕津男の神であるが、生代比女の恋は激しく、その扱いに困惑していた。
顕津男の神とその従者神たち十一柱の神々は、生代比女の執着を取り払おうと、言霊の限りを尽くし、また祝詞を唱えたが、一向におさまらず、神業を妨害しつづけた。
終に神々は七日七夜の間、主の神の降臨を祈願した。すると、宇宙に主の神の歌が響いた。
主の神の定めた御樋代である八十柱の比女神とのみ見合い、その他の女神は、いかに美しい神であっても、心を動かしてはならない。
すると、妖邪の気は払われ、辺りは一点の雲もないほどに清く明るい国となった。
顕津男の神は主の神の神徳を感謝しつつ、どんな曲津神が襲い来ても、少しも動揺しない大勇猛心を発揮するに至った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-04-09 07:21:05 文字数:2572 OBC :rm7410
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 197頁 修補版: 校定版:137頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 大虚空(だいこくう)の中心(ちうしん)に、002一点(いつてん)のヽ(ほち)忽然(こつぜん)として現(あらは)れ、003ヽ(ほち)は次第(しだい)に円満(ゑんまん)の度(ど)を加(くは)へ、004遂(つひ)に主(ス)の言霊(ことたま)生(うま)れ出(い)でぬ。005ス声(ごゑ)は次第(しだい)々々(しだい)に膨張(ばうちやう)して、006遂(つひ)に七十五(しちじふご)声(せい)の言霊(ことたま)大虚空(だいこくう)中(ちう)に現(あらは)れ給(たま)ふに至(いた)れり。007スの言霊(ことたま)はいよいよ大(だい)活動力(くわつどうりよく)を発揮(はつき)して、008遂(つひ)に神(かみ)となり給(たま)ふ。009之(これ)を天之(あまの)峯火夫(みねひを)の神(かみ)又(また)の御名(みな)は大国常立(おほくにとこたち)の神言(みこと)と称(しよう)し奉(たてまつ)る。010茲(ここ)に大神(おほかみ)の御稜威(みいづ)は益々(ますます)発展(はつてん)し給(たま)ひて、011大宇宙(だいうちう)を生(う)みなし給(たま)ひ、012其(その)中心(ちうしん)たる紫微(しび)天界(てんかい)に天津(あまつ)高宮(たかみや)を築(きづ)き給(たま)ひ、013大神(おほかみ)永遠(とこしへ)に鎮(しづ)まり給(たま)ひて、014大宇宙(だいうちう)を生(う)み国土(くに)を生(う)み神(かみ)を生(う)み給(たま)ひつつ、015幾億(いくおく)万劫(まんごふ)の末(すゑ)の今日(こんにち)に至(いた)る迄(まで)、016一瞬間(いつしゆんかん)と雖(いへど)も其(その)活動(くわつどう)を休(やす)み給(たま)ひし事(こと)なし。
017 スの言霊(ことたま)にして万々一(まんまんいち)、018一(いち)秒間(べうかん)と雖(いへど)も其(その)活動(くわつどう)を休止(きうし)し給(たま)ふ時(とき)は、019三千(さんぜん)大千(だいせん)世界(せかい)たる大宇宙(だいうちう)の一切(いつさい)万有(ばんいう)は、020忽(たちま)ち生命(せいめい)を失(うしな)ひ滅亡(めつばう)するに至(いた)るべし。021ここに主(ス)の神(かみ)は、022ウの言霊(ことたま)より天之(あめの)道立(みちたつ)の神(かみ)を生(う)み、023又(また)アの言霊(ことたま)より太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)を生(う)ませ給(たま)ひて、024まづ紫微(しび)天界(てんかい)の修理(しうり)固成(こせい)を始(はじ)め国土生(くにう)み神生(かみう)みの神業(みわざ)を依(よ)させ給(たま)ひしなり。025而(しかう)して天之(あめの)道立(みちたつ)の神(かみ)はあらゆる神人(しんじん)を初(はじ)め、026宇宙(うちう)万有(ばんいう)の精神界(せいしんかい)を守(まも)り給(たま)ひ、027顕津男(あきつを)の神(かみ)は紫微(しび)天界(てんかい)に於(お)ける、028霊的(れいてき)物質界(ぶつしつかい)の生成(せいせい)化育(くわいく)の神業(みわざ)に奉仕(ほうし)し給(たま)ふの重大(ぢうだい)なる責任(せきにん)を、029主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)もて負(お)はせ給(たま)ひしぞ畏(かしこ)けれ。030此(この)神業(みわざ)は幾億(いくおく)万々劫(まんまんごふ)の末(すゑ)の今日(こんにち)に至(いた)ると雖(いへど)も、031無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)的(てき)に継続(けいぞく)して活躍(くわつやく)し給(たま)ふなり。
032 茲(ここ)に天之(あめの)道立(みちたつ)の神(かみ)の御(ご)神業(しんげふ)は暫(しばら)くおき、033太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)の御(ご)活動(くわつどう)情態(じやうたい)に就(つい)て、034大海(たいかい)の一滴(いつてき)に比(ひ)すべき程(ほど)の事蹟(じせき)を述(の)べむとするも、035浩瀚(かうかん)にして容易(ようい)に述(の)べ尽(つく)す事(こと)能(あた)はざるなり。036我(われ)は唯(ただ)数千万(すうせんまん)分(ぶん)の一(いち)に当(あた)るべき御(ご)活動(くわつどう)の情態(じやうたい)を開示(かいじ)せむとす。037故(ゆゑ)に読者(どくしや)は此(この)物語(ものがたり)を読(よ)みて、038天界(てんかい)活動(くわつどう)の全部(ぜんぶ)に非(あら)ざるを弁(わきま)へ知(し)るべし。
039 主(ス)の大神(おほかみ)の依(よ)さし給(たま)ひし国土生(くにう)み神生(かみう)みの神業(みわざ)に就(つい)ても、040八十柱(やそはしら)の比女神(ひめがみ)を先(ま)づ賜(たま)ひたれども、041現界人(げんかいじん)の如(ごと)き、042性的(せいてき)行動(かうどう)をなし給(たま)ふ如(ごと)き事(こと)なく、043唯単(ただたん)に水火(いき)と水火(いき)とを組(く)み合(あは)せもやひ合(あは)せ、044鳴(な)り鳴(な)りて鳴(な)りの果(は)てに神霊(しんれい)の気(き)感応(かんのう)し給(たま)ひて、045ここに尊(たふと)き国魂神(くにたまがみ)を生(う)ませ給(たま)ふの神業(みわざ)なり。046然(しか)しながら宇宙(うちう)一切(いつさい)の生成(せいせい)化育(くわいく)は、047スの神(かみ)の幸魂(さちみたま)たる愛(あい)の情動(じやうどう)より発生(はつせい)するものなれば、048愛(あい)を離(はな)れて絶対(ぜつたい)的(てき)に生産(せいさん)は求(もと)むべからず。049然(しか)るが故(ゆゑ)に女男(めを)二柱(ふたはしら)の神々(かみがみ)見合(みあ)ひます時(とき)は、050必(かなら)ず愛恋(あいれん)の心(こころ)湧出(ゆうしゆつ)すべきは自然(しぜん)の道理(だうり)なり。051愛(あい)し愛(あい)され其(その)結果(けつくわ)は、052遂(つひ)に恋(こひ)となり恋愛(れんあい)となりて、053魂(たましひ)のいつきて離(はな)れざるものなるが故(ゆゑ)に、054主(ス)の神(かみ)は八十柱(やそはしら)の国魂神(くにたまがみ)を生(う)ましめむとして、055深(ふか)き御心(みこころ)の在(おは)します儘(まま)に、056八十柱(やそはしら)の比女神(ひめがみ)を御子生(みこう)みの御樋代(みひしろ)として、057顕津男(あきつを)の神(かみ)に言依(ことよ)さし給(たま)ひたるなり。058然(しか)るが故(ゆゑ)に瑞(みづ)の御霊(みたま)に在(おは)します顕津男(あきつを)の神(かみ)は、059一度(ひとたび)見合(みあ)ひますれば一(ひと)つの国魂神(くにたまがみ)を生(う)み給(たま)ふが故(ゆゑ)に、060一所(ひとところ)に留(とど)まりて現代人(げんだいじん)の如(ごと)く夫婦(ふうふ)生活(せいくわつ)に居(を)らせ給(たま)ふ事(こと)能(あた)はざりしなり。061八十柱(やそはしら)の神(かみ)にしても、062もし二柱(ふたはしら)生(う)ませ給(たま)ふ事(こと)あらむか、063必(かなら)ず其(その)国(くに)は遂(つひ)に権力(けんりよく)位置(ゐち)の争(あらそ)ひによりて崩壊(ほうくわい)すべし。064茲(ここ)に主(ス)の神(かみ)は深謀(しんぼう)遠慮(ゑんりよ)の結果(けつくわ)、065一(ひと)つの国(くに)に一(ひと)つの国魂神(くにたまがみ)を生(う)ませ給(たま)ふべく言依(ことよ)させ給(たま)ひしなり。
066 顕津男(あきつを)の神(かみ)は、067高日(たかひ)の宮(みや)に幾年(いくとせ)の間(あひだ)を籠(こも)り仕(つか)へ給(たま)ひ、068如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)の艶麗(えんれい)なる容色(ようしよく)に恋々(れんれん)として国土生(くにう)み神生(かみう)みの神業(みわざ)を後(おく)れさせ給(たま)ひけるが、069其(その)執着心(しふちやくしん)は忽(たちま)ち鬱結(うつけつ)して中津滝(なかつたき)の大蛇(をろち)と化(くわ)し、070如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神(かみ)を遂(つひ)に蛇腹(じやふく)に葬(はうむ)りけるにぞ、071顕津男(あきつを)の神(かみ)は恐(おそ)れ畏(かしこ)み、072我(わが)過(あやま)れることを悟(さと)りて長(なが)く住(す)みなれし高日(たかひ)の宮(みや)を後(あと)に、073果(はて)しも知(し)らぬ大野原(おほのはら)を国土生(くにう)み御子生(みこう)まむと出(い)で給(たま)ひけるが、074茲(ここ)に未(いま)だ国土(くに)稚(わか)く浮脂(うきあぶら)の如(ごと)く漂(ただよ)へる真鶴(まなづる)の国(くに)を造(つく)り固(かた)め、075国魂神(くにたまがみ)を生(う)まむと思(おも)ひ給(たま)ふ折(をり)しも、076真鶴山(まなづるやま)の山霊(さんれい)より生(うま)れ出(い)でませる生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)は、077顕津男(あきつを)の神(かみ)の聖雄(せいゆう)的(てき)神格(しんかく)に恋々(れんれん)の情(じやう)止(や)み難(がた)く、078頻(しき)りに心火(しんくわ)を燃(も)やしつつ迫(せま)り給(たま)へども、079顕津男(あきつを)の神(かみ)は如衣(ゆくえ)比女(ひめ)の神去(かむさ)りにつき、080甚(いた)く慎(つつし)み恐(おそ)れみ給(たま)ひければ、081主(ス)の神(かみ)の御樋代(みひしろ)ならぬ女神(めがみ)に対(たい)して心(こころ)を動(うご)かし給(たま)はざりける。082生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)は恋着(れんちやく)益々(ますます)深(ふか)くして、083瑞(みづ)の御霊(みたま)は其(その)取捨(しゆしや)に困惑(こんわく)し、084朝(あさ)な夕(ゆふ)なに天津(あまつ)神言(かみごと)を奏上(そうじやう)し生言霊(いくことたま)を宣(の)りあげて、085生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)の心(こころ)を和(やは)らげむとなしたまふぞ畏(かしこ)けれ。086嗚呼(ああ)惟神(かむながら)主(ス)の大神(おほかみ)の依(よ)さしならずば、087何事(なにごと)をなすと雖(いへど)も一々(いちいち)万々(ばんばん)、088成就(じやうじゆ)せざるは今日(こんにち)の世(よ)と雖(いへど)も同一(どういつ)なりと知(し)るべし。
089 太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)を初(はじ)め十一柱(じふいちはしら)の神々(かみがみ)は、090清(きよ)き明(あか)き正(ただ)しき真(まこと)の心(こころ)を籠(こ)めて、091生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)の執着心(しふちやくしん)を払(はら)ひ清(きよ)めむと、092言霊(ことたま)の限(かぎ)りをつくし、093天津(あまつ)祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、094七十(ななそ)まり五(いつ)の言霊(ことたま)を間断(かんだん)なく宣(の)らせ給(たま)ひけれども、095生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)が恋着(れんちやく)の心(こころ)は容易(ようい)にをさまらず、096燃(も)え立(た)つ炎(ほのほ)は胸(むね)を焼(や)き、097遂(つひ)には黒煙(こくえん)を吐(は)き出(い)で給(たま)ひ、098次第(しだい)々々(しだい)に拡(ひろ)ごりて真鶴山(まなづるやま)の国土(こくど)を包(つつ)み、099咫尺(しせき)暗澹(あんたん)として日月(じつげつ)の光(ひかり)をかくし、100暴風(ばうふう)臻(いた)り豪雨(がうう)降(ふ)り大地(だいち)忽(たちま)ち震動(しんどう)して、101まだ地(つち)稚(わか)き真鶴(まなづる)の国原(くにばら)は目(め)もあてられぬ惨状(さんじやう)と化(くわ)せむとせしぞ歎(うたて)けれ。102生代(いくよ)比女(ひめ)の神(かみ)の少(すこ)しく心(こころ)和(やはら)ぎし時(とき)は天変(てんぺん)地妖(ちえう)をさまり、103再(ふたた)び恋着(れんちやく)の猛火(まうくわ)燃(も)ゆる時(とき)は忽(たちま)ち天地(てんち)暗黒(あんこく)と化(くわ)し、104瑞(みづ)の御霊(みたま)の神業(みわざ)の妨害(ばうがい)となる事(こと)甚(はなはだ)しかりける。
105 茲(ここ)に顕津男(あきつを)の神(かみ)初(はじ)め諸々(もろもろ)の神(かみ)等(たち)は、106各(おの)も各(おの)もあらむ限(かぎ)りの力(ちから)を尽(つく)して、107七日(ななか)七夜(ななよ)の間(あひだ)主(ス)の神(かみ)の降臨(かうりん)を祈願(きぐわん)し給(たま)ひける。108此(この)時(とき)宇宙(うちう)に主(ス)の神(かみ)の御声(みこゑ)ありて御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
109『国土(くに)を生(う)み神(かみ)を生(う)むなる神業(かむわざ)は
110なれに依(よ)させし道(みち)をこそゆけ
111言霊(ことたま)の清(きよ)きすがしき水火(いき)をもて
112八十(やそ)の御樋代(みひしろ)のみに見合(みあは)せ
113容貌(みめかたち)如何(いか)に美(うるは)しき神(かみ)なりとも
114神業(みわざ)ならねば心(こころ)染(そ)むるな
115瑞御霊(みづみたま)はわが御霊代(みひしろ)よ八十(やそ)比女(ひめ)は
116わが御子(みこ)生(う)ます御樋代(みひしろ)なるよ
117御樋代(みひしろ)と我(わが)定(さだ)めたる比女神(ひめがみ)の
118外(ほか)に見合(みあ)はむ神(かみ)あらじかし』
119 かく歌(うた)ひ終(をは)り給(たま)ふや、120四辺(あたり)をつつみし妖邪(えうじや)の空気(くうき)は忽(たちま)ち晴(は)れ渡(わた)り、121蒼空(さうくう)一点(いつてん)の雲(くも)なきまでに清(きよ)く明(あか)るき国原(くにばら)となりぬ。122顕津男(あきつを)の神(かみ)は主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)を畏(かしこ)み、123且(か)つ妖邪(えうじや)の空気(くうき)を跡形(あとかた)もなく清(きよ)め給(たま)ひたる主(ス)の大神(おほかみ)の神徳(しんとく)を感謝(かんしや)しながら、124御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
125『久方(ひさかた)の天津宮(あまつみや)より降(くだ)りまし
126永久(とは)の神教(みのり)を宣(の)らせたまひぬ
127主(ス)の神(かみ)の神旨(みむね)に背(そむ)き如何(いか)にして
128われはまみえむ仇(あだし)の神(かみ)に
129弥益(いやます)に心(こころ)を清(きよ)め身(み)を清(きよ)め
130真(まこと)の道(みち)の光(ひかり)てらさむ
131あだし神(がみ)如何程(いかほど)迫(せま)り来(く)るとても
132御樋代(みひしろ)ならぬ神(かみ)にまみえじ
133天地(あめつち)のわるるが如(ごと)き禍(わざはひ)も
134われは恐(おそ)れじ生言霊(いくことたま)に
135生代(いくよ)比女(ひめ)神(かみ)の心(こころ)は愛(め)ぐしけれど
136われは見合(みあ)はむすべなかりける
137この国(くに)は玉野(たまの)の比女(ひめ)の在(おは)す国(くに)
138我(われ)は見合(みあ)ひて貴御子(うづみこ)生(う)まむ』
139 斯(か)く瑞(みづ)の御霊(みたま)は主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)により、140如何(いか)なる曲神(まがかみ)の襲(おそ)ひ来(きた)るとも、141寸毫(すんがう)も動(うご)かざる大(だい)勇猛心(ゆうまうしん)を発揮(はつき)し給(たま)ひて、142茲(ここ)に神魂(しんこん)を練(ね)り、143いよいよ進(すす)んで神生(かみう)みの神業(みわざ)に仕(つか)へ給(たま)ふ御心(みこころ)こそ畏(かしこ)けれ。
144(昭和八・一〇・二三 旧九・五 於水明閣 加藤明子謹録)
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