宣伝歌
そもそも天地の中に、生言霊の御威光よりも尊いものは、他にない。
生言霊の功によって、山河が生まれ、草木が萌え出、あらゆる神々が生まれ出でるのだから。
紫微天界は、もともと愛と善の国土である。そして愛と善は、主の神の魂であり、姿そのものである。
愛は、神の心を生かすようにと生まれた、主の神の御賜物であった。
しかし、時がたつにつれ、愛があやしい恋の炎となり、さまざまな災いを起こすという、恐ろしい事態になった。
真鶴山の御魂として現れた生代比女は、太元顕津男の神への恋の炎を燃やした。
主の神の御言に忠実な顕津男の神に拒まれると、その失望は恨みと変じ、大蛇の姿となって、八十比女の一人、玉野比女を呪った。
そして、自ら恋の恨みの炎を消そうと、湖水に自ら飛び込んだ。
結比合(むすびあわせ)の神の歌
天界のすべてのものを結び合わせる誠の力は、恋である。
一方、喜びも悲しみも、楽しみも騒ぎも、また恋から湧き出でる。
恋はとどめることができない、ゆえに、玉野比女、生代比女の真心を、私はどうすることもできない。
美味素(うましもと)の神の歌
愛の果て、善の極みは恋となり、誠となって現れる。
しかし、恋の炎は天地のすべてを焼き払う炎ともなる。恋心は天地を塞ぎ、神の心を闇に包むことにもなる。
恐ろしきも楽しきも恋である。
二神が歌い終わると、再び山麓から猛火が燃え上がり、顕津男の神の身辺近く迫ってきた。顕津男の神は、神々を率いて、サソスセシ、ザゾズゼジの言霊と共に、生代比女を諭す歌を歌った。
すると、火焔はたちまち消えて、再び紫微天界の清浄さが辺りによみがえった。