霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第76巻(卯の巻)
序文
総説
日本所伝の天地開闢説
支那の開闢説
波斯の宇宙創造説
希臘の天地開闢説
エヂプトの開闢説
メキシコナフア族の天地創造説
マヤ族の万物創造説
北欧に於ける宇宙創造説
太平洋西北岸創造説
英領北亜米利加創造説
亜弗利加神話
ヘブライ天地創造説
パレスチン創造説
ミクロネシヤ創造説
インドネシヤ創造説
第1篇 春風駘蕩
第1章 高宮参拝
第2章 魔の渓流
第3章 行進歌
第4章 怪しの巌山
第5章 露の宿
第2篇 晩春の神庭
第6章 報告祭
第7章 外苑の逍遥
第8章 善言美霊
第3篇 孤軍奮闘
第9章 闇の河畔
第10章 二本松の蔭
第11章 栄城の山彦
第12章 山上の祈り
第13章 朝駒の別れ
第14章 磐楠舟
第15章 御舟巌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスク完了しました
。どうもありがとうございます。
|
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第76巻(卯の巻)
> 前付 > 波斯の宇宙創造説
<<< 支那の開闢説
(B)
(N)
希臘の天地開闢説 >>>
波斯
(
ペルシヤ
)
の
宇宙
(
うちう
)
創造
(
さうざう
)
説
(
せつ
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
篇:
前付
よみ(新仮名遣い):
章:
波斯の宇宙創造説
よみ(新仮名遣い):
ぺるしゃのうちゅうそうぞうせつ
通し章番号:
口述日:
1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
内崎照代
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年3月23日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm760005
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 422頁
修補版:
校定版:
10頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
世界
(
せかい
)
の
初
(
はじ
)
めにアフラ・マズダと
言
(
い
)
ふ
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
とアングラ・マイニウと
言
(
い
)
ふ
邪悪
(
じやあく
)
な
精霊
(
せいれい
)
とがあつた。
002
アフラ・マズダは
限
(
かぎ
)
りなき
光明
(
くわうみやう
)
の
世界
(
せかい
)
に
住
(
す
)
んで
居
(
を
)
り、
003
アングラ・マイニウは
涯
(
はて
)
もない
暗黒
(
あんこく
)
の
深淵
(
しんえん
)
に
住
(
す
)
んでゐた。
004
そして
其
(
そ
)
の
光明
(
くわうみやう
)
の
世界
(
せかい
)
と
暗黒
(
あんこく
)
の
深淵
(
しんえん
)
との
間
(
あひだ
)
は、
005
何一
(
なにひと
)
つも
存在
(
そんざい
)
しない
空
(
くう
)
の
空
(
くう
)
であつた。
006
アフラ・マズダは
種々
(
しゆじゆ
)
の
生物
(
せいぶつ
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した。
007
併
(
しか
)
し
始
(
はじ
)
めは
目
(
め
)
に
見
(
み
)
える
形
(
かたち
)
を
持
(
も
)
つてゐなかつた。
008
この
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は、
009
自分
(
じぶん
)
が
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した
総
(
すべ
)
ての
生物
(
せいぶつ
)
を、
010
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
考
(
かんが
)
へることも
無
(
な
)
ければ、
011
動
(
うご
)
くことも
無
(
な
)
い
無形
(
むけい
)
の
霊
(
れい
)
の
姿
(
すがた
)
にして
置
(
お
)
かうと
思
(
おも
)
つたのであつた。
012
邪悪
(
じやあく
)
なアングラ・マイニウはアフラ・マズダが
色々
(
いろいろ
)
な
生物
(
せいぶつ
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
したと
言
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
き
込
(
こ
)
むと、
013
『
何
(
なに
)
を
小癪
(
こしやく
)
な、
014
おれがアフラ・マズダの
世界
(
せかい
)
に
行
(
い
)
つて
何
(
なに
)
もかも
叩
(
たた
)
きつぶしてやる』
015
と
言
(
い
)
つて
暗黒
(
あんこく
)
の
深淵
(
しんえん
)
から
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して
光明
(
くわうみやう
)
の
世界
(
せかい
)
にやつて
来
(
き
)
た。
016
併
(
しか
)
しいよいよアフラ・マズダの
所
(
ところ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
017
威儀
(
ゐぎ
)
堂々
(
だうだう
)
として
力
(
ちから
)
が
強
(
つよ
)
く
徳
(
とく
)
が
高
(
たか
)
かつたので、
018
『これは
驚
(
おどろ
)
いた、
019
とてもおれなんか
敵
(
かな
)
ひさうにない』
020
と
始
(
はじ
)
めの
凄
(
すさま
)
じい
勢
(
いきほ
)
ひはどこへやら、
021
這々
(
はふばふ
)
の
体
(
てい
)
でもとの
暗黒
(
あんこく
)
世界
(
せかい
)
に
逃
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
つた。
022
そして、
023
『アフラ・マズダがあんなに
偉
(
えら
)
くては、
024
おれ
一人
(
ひとり
)
の
力
(
ちから
)
では
何
(
ど
)
うする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ぬ。
025
よし、
026
おれを
助
(
たす
)
けてくれるものを
造
(
つく
)
ることにしよう』
027
と
言
(
い
)
つて
数々
(
かずかず
)
の
悪魔
(
あくま
)
をこしらへた。
028
アフラ・マズダは
早
(
はや
)
くも
光明
(
くわうみやう
)
世界
(
せかい
)
からそれを
見
(
み
)
てとつて、
029
『
今
(
いま
)
のうちに
何
(
なん
)
とか
片
(
かた
)
を
付
(
つ
)
けて
置
(
お
)
かねばならぬ』
030
と
思
(
おも
)
つた。
031
そこでわざわざ
暗黒
(
あんこく
)
世界
(
せかい
)
に
降
(
くだ
)
つて
行
(
い
)
つてアングラ・マイニウに
会
(
あ
)
つて、
032
『お
前
(
まへ
)
や、
033
お
前
(
まへ
)
がこしらへた
生物
(
せいぶつ
)
は
寿命
(
じゆみやう
)
に
定
(
き
)
まりがあるだろう』
034
と
言
(
い
)
つた。
035
アングラ・マイニウは
口惜
(
くや
)
しさうな
顔
(
かほ
)
をして、
036
『さうだよ、
037
それがどうしたと
言
(
い
)
ふのかね』
038
と
言
(
い
)
つた。
039
『どうぢや、
040
わしが
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した
総
(
すべ
)
ての
生物
(
せいぶつ
)
を
助
(
たす
)
け
讃
(
たた
)
へて
呉
(
く
)
れないか、
041
さうしたら、
042
お
前
(
まへ
)
にも、
043
お
前
(
まへ
)
のこしらへた
生物
(
せいぶつ
)
にも、
044
不滅
(
ふめつ
)
の
命
(
いのち
)
を
与
(
あた
)
へることにしてやるが……』
045
とアフラ・マズダが
温順
(
おとな
)
しく
相談
(
さうだん
)
を
持
(
も
)
ちかけると、
046
アングラ・マイニウは
凄
(
すさ
)
まじい
声
(
こゑ
)
で
唸
(
うな
)
り
出
(
だ
)
して、
047
『それは
御免
(
ごめん
)
を
蒙
(
かう
)
むらうかい。
048
わしはお
前
(
まへ
)
のこしらへた
生物
(
せいぶつ
)
を
助
(
たす
)
けたり
讃
(
たた
)
へたりすることは
出来
(
でき
)
ぬ。
049
わしは
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
を
滅
(
ほろ
)
ぼして
了
(
しま
)
ふか、
050
それともお
前
(
まへ
)
の
許
(
もと
)
を
離
(
はな
)
れて、
051
わしの
心
(
こころ
)
に
靡
(
なび
)
くやうにするつもりだ』
052
とどこまでも
挑
(
いど
)
みかかつた。
053
併
(
しか
)
しアフラ・マズダは
落
(
お
)
ちついた
様子
(
やうす
)
で、
054
『それでは、
055
わしたちはめいめい
自分
(
じぶん
)
の
好
(
す
)
きなやうにするより
外
(
ほか
)
は
無
(
な
)
い、
056
わしたちはお
互
(
たがひ
)
に
争
(
あらそ
)
ひ
合
(
あ
)
ふまでぢや。
057
併
(
しか
)
しいつまで
争
(
あらそ
)
つてゐても
仕方
(
しかた
)
がない。
058
どうぢや、
059
争
(
あらそ
)
ひの
期限
(
きげん
)
をきめようではないか』
060
と
言
(
い
)
つた。
061
よからうとアングラ・マイニウが
応
(
おう
)
じた。
062
『では
其
(
その
)
期限
(
きげん
)
を
九千
(
きうせん
)
年
(
ねん
)
としようではないか』
063
とアフラ・マズダが
言
(
い
)
つた。
064
よかろうと
又
(
また
)
アングラ・マイニウが
答
(
こた
)
へた。
065
アングラ・マイニウは
九千
(
きうせん
)
年
(
ねん
)
を
過
(
す
)
ぎても
自分
(
じぶん
)
の
勢力
(
せいりよく
)
がまだ
続
(
つづ
)
くものと
思
(
おも
)
つて、
066
ウカと
斯
(
こ
)
んな
約束
(
やくそく
)
をしてしまつたのだが、
067
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
にはチヤンと
未来
(
みらい
)
の
見透
(
みとほ
)
しが
付
(
つ
)
いてゐるのであつた。
068
始
(
はじ
)
めの
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
はアフラ・マズダの
思
(
おも
)
ふことが
何
(
なん
)
でも
叶
(
かな
)
ふのであつて、
069
邪悪
(
じやあく
)
の
霊
(
れい
)
はこれを
妨
(
さまた
)
ぐることが
出来
(
でき
)
ぬ。
070
次
(
つぎ
)
の
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
思
(
おも
)
ふことが
互
(
たがひ
)
にかち
合
(
あ
)
つて、
071
どちらもうまく
行
(
い
)
かぬ。
072
そして
最後
(
さいご
)
の
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
に、
073
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは
全然
(
ぜんぜん
)
アフラ・マズダに
征服
(
せいふく
)
されてしまふのを
看破
(
みやぶ
)
つてゐるのは
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
だけであつた。
074
始
(
はじ
)
めの
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
が
間
(
あひだ
)
はアフラ・マズダが
拵
(
こしら
)
へた
生物
(
せいぶつ
)
は、
075
何
(
なん
)
の
害
(
がい
)
も
受
(
う
)
けないで、
076
無形
(
むけい
)
の
霊
(
れい
)
潜
(
ひそ
)
める
力
(
ちから
)
として
生
(
い
)
き
続
(
つづ
)
けた。
077
その
時期
(
じき
)
がをはるとアフラ・マズダは
形
(
かたち
)
のある
種々
(
しゆじゆ
)
の
物
(
もの
)
を
造
(
つく
)
り
始
(
はじ
)
めた。
078
彼
(
かれ
)
は
先
(
ま
)
づ
天空
(
てんくう
)
を
造
(
つく
)
り、
079
次
(
つぎ
)
に
星
(
ほし
)
を
造
(
つく
)
つた。
080
星
(
ほし
)
の
数
(
かず
)
は
六百
(
ろくぴやく
)
四十八
(
よんじうはち
)
万
(
まん
)
に
及
(
およ
)
んだ。
081
アフラ・マズダは、
082
それらの
星
(
ほし
)
を
夫
(
そ
)
れ
夫
(
ぞ
)
れ
大空
(
おほぞら
)
の
四方
(
しはう
)
に
配
(
くば
)
つて、
083
四
(
よ
)
人
(
にん
)
の
首領
(
しゆりやう
)
に
司配
(
しはい
)
させることにした。
084
東
(
ひがし
)
の
方
(
はう
)
の
首領
(
しゆりやう
)
はチシュトリアと
呼
(
よ
)
ばれ、
085
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
の
首領
(
しゆりやう
)
はサタヴェースと
呼
(
よ
)
ばれ、
086
南
(
みなみ
)
の
方
(
はう
)
の
首領
(
しゆりやう
)
はヴァナンドと
呼
(
よ
)
ばれ、
087
北
(
きた
)
の
方
(
はう
)
の
首領
(
しゆりやう
)
はハブトーク・リングと
呼
(
よ
)
ばれる。
088
星
(
ほし
)
くづが
出来上
(
できあが
)
ると、
089
アフラ・マズダは
次
(
つぎ
)
に
月
(
つき
)
を
拵
(
こしら
)
へて、
090
それから
太陽
(
たいやう
)
を
拵
(
こしら
)
へた。
091
その
間
(
あひだ
)
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは
昏々
(
こんこん
)
として
眠
(
ねむ
)
り
続
(
つづ
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
092
ジャヒと
呼
(
よ
)
ばれた
女性
(
ぢよせい
)
の
悪魔
(
あくま
)
がそれを
見
(
み
)
て、
093
『どうも
仕方
(
しかた
)
が
無
(
な
)
いナア。
094
アフラ・マズダはどしどし
色々
(
いろいろ
)
の
物
(
もの
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
してゐるのに、
095
うちの
首領
(
かしら
)
は
暢気
(
のんき
)
に
眠
(
ねむ
)
りこけてゐる』
096
と
頻
(
しき
)
りに
気
(
き
)
を
揉
(
も
)
んでゐたが、
097
たうとうたまり
兼
(
かね
)
てアングラ・マイニウの
側
(
そば
)
に
駈
(
か
)
けつけて、
098
『お
首領
(
かしら
)
お
起
(
お
)
き
下
(
くだ
)
さい、
099
わたしたちは、
100
この
世界
(
せかい
)
に
騒動
(
さうだう
)
を
起
(
おこ
)
さうではありませんか』
101
と
叫
(
さけ
)
んだ。
102
併
(
しか
)
しアングラ・マイニウは
内心
(
ないしん
)
アフラ・マズダが
恐
(
こは
)
いので、
103
女魔
(
によま
)
の
呼
(
よ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
に
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
ましても
依然
(
いぜん
)
眠
(
ねむ
)
つたふりをして
居
(
ゐ
)
た。
104
ジャヒは
気
(
き
)
を
苛
(
いら
)
つて、
105
『お
首領
(
かしら
)
、
106
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
きて
下
(
くだ
)
さい。
107
アフラ・マズダが
勝手
(
かつて
)
なことをして
居
(
ゐ
)
ますよ。
108
早
(
はや
)
く
邪魔
(
じやま
)
をしてやりませう』
109
と
叫
(
さけ
)
んだ。
110
そして
女魔
(
によま
)
が
三度
(
さんど
)
叫
(
さけ
)
ぶと、
111
三度目
(
さんどめ
)
にアングラ・マイニウがむつくと
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つた。
112
そしてジャヒの
頭
(
あたま
)
に
接吻
(
せつぷん
)
をしながら、
113
『そなたは、
114
わしに、
115
何
(
なに
)
か
望
(
のぞ
)
むことがあるのかね』
116
と
尋
(
たづ
)
ねた。
117
『エエさうですよ、
118
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
たいのですよ』
119
と
女魔
(
によま
)
が
答
(
こた
)
へた。
120
と、
121
其
(
そ
)
の
言葉
(
ことば
)
が
終
(
をは
)
るか
終
(
をは
)
らないうちに、
122
魔王
(
まわう
)
アングラ・マイニウの
姿
(
すがた
)
は
十五
(
じふご
)
歳
(
さい
)
位
(
くらゐ
)
の
男
(
をとこ
)
に
変
(
へん
)
じた。
123
女魔
(
によま
)
は
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
んで、
124
『サア、
125
直
(
す
)
ぐに
天界
(
てんかい
)
に
行
(
い
)
つてアフラ・マズダの
仕事
(
しごと
)
の
邪魔
(
じやま
)
をしてやりませう』
126
と
言
(
い
)
つた。
127
『よし、
128
承知
(
しようち
)
ぢや』
129
アングラ・マイニウは
斯
(
か
)
う
叫
(
さけ
)
んで、
130
数多
(
あまた
)
の
悪魔
(
あくま
)
どもを
引
(
ひ
)
き
連
(
つ
)
れて、
131
まつしぐらに
天界
(
てんかい
)
目
(
め
)
ざして
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
した。
132
彼
(
かれ
)
は
天空
(
てんくう
)
を
見
(
み
)
ると、
133
『ほう、
134
おれの
知
(
し
)
らぬ
間
(
ま
)
に
変
(
へん
)
なものが
出来
(
でき
)
たな』
135
と
言
(
い
)
つて
蛇
(
へび
)
のやうにそこに
躍
(
をど
)
り
込
(
こ
)
んで
行
(
い
)
つた。
136
空
(
そら
)
は
狼
(
おほかみ
)
に
襲
(
おそ
)
はれた
羊
(
ひつじ
)
のやうに、
137
顫
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
いた。
138
勢
(
いきほ
)
ひに
乗
(
の
)
つたアングラ・マイニウは、
139
アフラ・マズダが
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した
総
(
すべ
)
てのものに
飛
(
と
)
びついて
行
(
い
)
つて、
140
片端
(
かたつぱし
)
からそれを
傷
(
きず
)
つけ
汚
(
けが
)
した。
141
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
世界
(
せかい
)
が
暗黒
(
あんこく
)
になつた。
142
『ウマイウマイ、
143
今度
(
こんど
)
は
斯
(
か
)
うしてくれるぞ』
144
とアングラ・マイニウは
数多
(
あまた
)
の
惑星
(
わくせい
)
を
拵
(
こしら
)
へてアフラ・マズダの
任命
(
にんめい
)
した
星座
(
せいざ
)
の
首領
(
しゆりやう
)
たちに
対抗
(
たいかう
)
させた。
145
惑星
(
わくせい
)
は
凄
(
すさ
)
まじい
勢
(
いきほ
)
ひで、
146
神
(
かみ
)
が
造
(
つく
)
つた
星
(
ほし
)
くづにぶつつかつて
行
(
い
)
つたので、
147
満天
(
まんてん
)
の
星
(
ほし
)
どもは
駭
(
おどろ
)
き
畏
(
おそ
)
れて、
148
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
逃
(
に
)
げ
惑
(
まど
)
うた。
149
アフラ・マズダに
率
(
ひき
)
ゐられた
天使
(
てんし
)
の
群
(
むれ
)
アメシヤ、
150
スペンタやヤザタたちは
天下
(
てんか
)
の
一大事
(
いちだいじ
)
と、
151
必死
(
ひつし
)
となつて
邪霊
(
じやれい
)
に
率
(
ひき
)
ゐられた
悪魔
(
あくま
)
の
群
(
むれ
)
と
戦
(
たたか
)
つた。
152
そして
大小
(
たいせう
)
の
悪魔
(
あくま
)
どもを
引
(
ひ
)
つ
掴
(
つか
)
んでは、
153
天界
(
てんかい
)
から
暗黒
(
あんこく
)
の
深淵
(
しんえん
)
へと
投
(
な
)
げ
落
(
おと
)
し
続
(
つづ
)
けた。
154
全世界
(
ぜんせかい
)
を
揺
(
ゆ
)
り
動
(
うご
)
かすほどの
激
(
はげ
)
しい
戦
(
たたか
)
ひが
昼
(
ひる
)
を
九日
(
ここのか
)
、
155
夜
(
よる
)
を
九夜
(
ここのや
)
行
(
おこな
)
はれた。
156
さうしてゐるうちに
大空
(
たいくう
)
に
堅固
(
けんご
)
な
塁壁
(
とりで
)
が
築
(
きづ
)
き
上
(
あ
)
げられたので、
157
さすがの
悪魔軍
(
あくまぐん
)
も
最早
(
もはや
)
手
(
て
)
の
出
(
だ
)
し
様
(
やう
)
がなくなつて、
158
スゴスゴ
暗黒
(
あんこく
)
世界
(
せかい
)
に
引返
(
ひきかへ
)
して
了
(
しま
)
つた。
159
戦
(
たたか
)
ひが
止
(
や
)
むとアフラ・マズダは
復
(
また
)
創造
(
さうざう
)
の
仕事
(
しごと
)
を
続
(
つづ
)
けた。
160
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は、
161
今度
(
こんど
)
は
数多
(
あまた
)
の
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
れを
拵
(
こしら
)
へた。
162
是
(
これ
)
等
(
ら
)
の
流
(
なが
)
れは
一所
(
ひとところ
)
に
集
(
あつ
)
まつてヴールカシヤ(
広大
(
くわうだい
)
なる
深淵
(
わたつみ
)
)と
言
(
い
)
ふ
海
(
うみ
)
となる。
163
ヴールカシヤ
海
(
かい
)
はアルブールズ
山
(
さん
)
の
南
(
みなみ
)
の
果
(
はて
)
に
当
(
あた
)
つて
大地
(
だいち
)
の
三分
(
さんぶん
)
の
一
(
いち
)
を
占
(
し
)
めてゐる。
164
それは
一千
(
いつせん
)
の
湖
(
みづうみ
)
の
水
(
みづ
)
を
含
(
ふく
)
んでゐると
信
(
しん
)
じられた。
165
世界
(
せかい
)
の
所在
(
あらゆる
)
水
(
みづ
)
はアルドヴイ、
166
スーラー、
167
アナーヒタ(
潤
(
うるほ
)
ひて
強
(
つよ
)
く
且
(
か
)
つ
汚
(
けが
)
れ
無
(
な
)
きものの
義
(
ぎ
)
)といふ
泉
(
いづみ
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
る、
168
その
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
た
水
(
みづ
)
は
数多
(
あまた
)
の
河
(
かは
)
となつて
大地
(
だいち
)
をうるほすのであつた。
169
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは
是
(
これ
)
を
見
(
み
)
ると、
170
復
(
また
)
むらむらと
悪気
(
わるぎ
)
を
起
(
おこ
)
して、
171
旱魃
(
かんばつ
)
の
悪魔
(
あくま
)
アバオシヤを
呼
(
よ
)
び
出
(
だ
)
して、
172
『お
前
(
まへ
)
、
173
天界
(
てんかい
)
に
上
(
のぼ
)
つて、
174
水
(
みづ
)
の
流
(
なが
)
れの
邪魔
(
じやま
)
をしてやれ』
175
と
言
(
い
)
ひつけた。
176
アバオシヤは
直
(
す
)
ぐに
天界
(
てんかい
)
に
上
(
のぼ
)
つて
行
(
い
)
つた。
177
そして
夏
(
なつ
)
の
間
(
あひだ
)
大地
(
だいち
)
に
水
(
みづ
)
を
恵
(
めぐ
)
むことを
司
(
つかさ
)
どつてゐるチシュトリアの
所
(
ところ
)
に
来
(
き
)
て、
178
流
(
なが
)
れを
堰
(
せ
)
き
止
(
と
)
めようとして、
179
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
に
烈
(
はげ
)
しい
争
(
あらそ
)
ひが
起
(
おこ
)
つたが、
180
たうとうアバオシヤの
力
(
ちから
)
が
尽
(
つ
)
きて
天界
(
てんかい
)
から
投
(
ほう
)
り
出
(
だ
)
された。
181
アフラ・マズダは
更
(
さら
)
に
創造
(
さうざう
)
の
仕事
(
しごと
)
を
続
(
つづ
)
けて、
182
今度
(
こんど
)
は
新
(
あら
)
たに
大地
(
だいち
)
を
造
(
つく
)
ることにした。
183
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は
先
(
ま
)
づチシュトリアに
言
(
い
)
ひ
付
(
つ
)
けて、
184
古
(
ふる
)
い
大地
(
だいち
)
の
上
(
うへ
)
に
大雨
(
おほあめ
)
を
降
(
ふ
)
らせた。
185
忽
(
たちま
)
ち
大地
(
だいち
)
は
一面
(
いちめん
)
の
水
(
みづ
)
となつて、
186
邪悪
(
じやあく
)
な
生物
(
せいぶつ
)
の
毒
(
どく
)
をすつかり
洗
(
あら
)
ひ
浄
(
きよ
)
めた。
187
水
(
みづ
)
が
減
(
ひ
)
くにつれて
三十三
(
さんじふさん
)
種
(
しゆ
)
の
陸地
(
りくち
)
が
造
(
つく
)
られた。
188
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
はこれを
七
(
なな
)
つの
部分
(
ぶぶん
)
に
分
(
わ
)
けることにした。
189
それを
見
(
み
)
た
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは、
190
『アフラ・マズダ
奴
(
め
)
、
191
色々
(
いろいろ
)
の
物
(
もの
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
すな、
192
癪
(
しやく
)
にさはる
奴
(
やつ
)
だ、
193
一
(
ひと
)
つ
邪魔
(
じやま
)
をしてやらう』
194
と
言
(
い
)
つて、
195
大地
(
だいち
)
の
腹
(
はら
)
の
奥
(
おく
)
に
潜
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んだかと
思
(
おも
)
ふと、
196
内側
(
うちがは
)
から
激
(
はげ
)
しく
之
(
これ
)
を
揺
(
ゆ
)
り
動
(
うご
)
かしたので、
197
今
(
いま
)
まで
平坦
(
へいたん
)
であつた
大地
(
だいち
)
の
所々
(
ところどころ
)
に
大
(
おほ
)
きな
山
(
やま
)
が
出来
(
でき
)
た。
198
真先
(
まつさき
)
に
出来上
(
できあが
)
つたのが、
199
アルブールズ
山
(
さん
)
であつた。
200
この
山
(
やま
)
が
現
(
あら
)
はれると、
201
大地
(
だいち
)
の
所々
(
ところどころ
)
がそれにつれてムクムクと
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
して、
202
さながら
大
(
おほ
)
きな
樹
(
き
)
のやうに
雲
(
くも
)
を
貫
(
つらぬ
)
くほど
聳
(
そび
)
え
立
(
た
)
つた。
203
次
(
つぎ
)
にアフラ・マズダは
種々
(
しゆじゆ
)
の
草木
(
くさき
)
を
拵
(
こしら
)
へることにした。
204
天使
(
てんし
)
の
群
(
むれ
)
アメシヤ、
205
スペンタの
一人
(
ひとり
)
である、
206
アメレタートが
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
の
仰
(
おほ
)
せを
受
(
う
)
けて、
207
ありとある
植物
(
しよくぶつ
)
を
細
(
こま
)
かに
搗
(
つ
)
き
砕
(
くだ
)
いて、
208
それを
水
(
みづ
)
に
溶
(
と
)
かすと、
209
狼星
(
らうせい
)
がその
水
(
みづ
)
を
普
(
あまね
)
く
大地
(
だいち
)
に
撒
(
ま
)
き
散
(
ち
)
らしたので、
210
やがて
人間
(
にんげん
)
の
頭
(
あたま
)
に
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
が
生
(
は
)
えるやうに
到
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
に
草木
(
くさき
)
が
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
した。
211
その
中
(
なか
)
の
一万
(
いちまん
)
の
草木
(
くさき
)
は、
212
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウが
生物
(
せいぶつ
)
を
苦
(
くる
)
しめるために
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した
一万
(
いちまん
)
の
病気
(
びやうき
)
も
逐
(
お
)
ひ
退
(
の
)
けるに
足
(
た
)
る
力
(
ちから
)
を
持
(
も
)
つてゐた。
213
大海
(
たいかい
)
ヴールカシヤのただ
中
(
なか
)
には
特
(
とく
)
に『あらゆる
種
(
たね
)
を
含
(
ふく
)
む
樹
(
き
)
』が
生
(
は
)
え
出
(
だ
)
した。
214
大地
(
だいち
)
に
現
(
あら
)
はれた
総
(
すべ
)
ての
草木
(
くさき
)
が、
215
いつまでも
絶
(
た
)
え
果
(
は
)
てないやうにと
言
(
い
)
ふアフラ・マズダの
有難
(
ありがた
)
い
考
(
かんが
)
へからである。
216
それから
又
(
また
)
『あらゆる
種
(
たね
)
を
含
(
ふく
)
む
樹
(
き
)
』の
側
(
そば
)
に
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
はガオケレナ(
牛角
(
ぎうかく
)
の
義
(
ぎ
)
)と
言
(
い
)
ふ
植物
(
しよくぶつ
)
を
生
(
お
)
ひ
出
(
い
)
でしめた。
217
この
植物
(
しよくぶつ
)
はあらゆる
草木
(
さうもく
)
の
首領
(
かしら
)
で、
218
これを
口
(
くち
)
にするものは
悉
(
ことごと
)
く
不滅
(
ふめつ
)
の
命
(
いのち
)
を
得
(
う
)
るのであつた。
219
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は
宇宙
(
うちう
)
をいつまでも
生々
(
いきいき
)
とさせて
置
(
お
)
かうと
思
(
おも
)
つて、
220
此
(
こ
)
の
霊樹
(
れいじゆ
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
したのであつた。
221
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは
甚
(
いた
)
く
機嫌
(
きげん
)
を
悪
(
わる
)
くして、
222
『アフラ・マズダの
奴
(
やつ
)
、
223
ほんたうに
癪
(
しやく
)
にさはる
事
(
こと
)
ばかりしでかすな。
224
よし、
225
おれがあの
樹
(
き
)
を
枯
(
か
)
らしてやるぞ』
226
と
言
(
い
)
つてヴールカシヤ
海
(
かい
)
の
水底
(
みなそこ
)
深
(
ふか
)
く
一匹
(
いつぴき
)
の
魔
(
ま
)
の
蜥蜴
(
とかげ
)
を
造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
した。
227
蜥蜴
(
とかげ
)
はガオケレナの
根
(
ね
)
を
咬
(
か
)
んで、
228
いつかはそれを
枯
(
か
)
らさうとしてゐたのを、
229
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は
早
(
はや
)
くもそれを
悟
(
さと
)
つて、
230
カルと
言
(
い
)
ふ
魚
(
うを
)
を
十尾
(
じつぴ
)
拵
(
こしら
)
へて
魔
(
ま
)
の
蜥蜴
(
とかげ
)
に
当
(
あた
)
らせることにした。
231
十尾
(
じつぴ
)
のカル
魚
(
ぎよ
)
は、
232
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
蜥蜴
(
とかげ
)
の
側
(
そば
)
を
泳
(
およ
)
ぎ
廻
(
まは
)
つて、
233
ガオケレナの
根
(
ね
)
の
咬
(
か
)
まうとすると
直
(
す
)
ぐに
飛
(
と
)
びかかつて
行
(
ゆ
)
くのであつた。
234
次
(
つぎ
)
にアフラ・マズダは
火
(
ひ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
世界
(
せかい
)
を
喜
(
よろこ
)
ばした。
235
良
(
よ
)
いものの
現
(
あら
)
はれるのが
大嫌
(
だいきら
)
ひの
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは
復
(
また
)
ひどく
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てて、
236
『アフラ・マズダの
奴
(
やつ
)
、
237
また
変
(
へん
)
なものを
造
(
つく
)
つたな。
238
よし、
239
今度
(
こんど
)
だつて
邪魔
(
じやま
)
をしないでは
置
(
お
)
かないぞ』
240
と
言
(
い
)
つて
火
(
ひ
)
が
燃
(
も
)
える
時
(
とき
)
には、
241
いつも
厭
(
いや
)
な
煙
(
けむり
)
が
出
(
で
)
るやうにした。
242
次
(
つぎ
)
にアフラ・マズダは
種々
(
しゆじゆ
)
の
動物
(
どうぶつ
)
を
造
(
つく
)
ることにした。
243
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
は
素晴
(
すば
)
らしく
強
(
つよ
)
くて
美
(
うつく
)
しい
一頭
(
いつとう
)
の
牛
(
うし
)
を
拵
(
こしら
)
へた。
244
この
牛
(
うし
)
には
総
(
すべ
)
ての
動物
(
どうぶつ
)
の
種
(
たね
)
が
含
(
ふく
)
まれてあつた。
245
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウは、
246
それを
見
(
み
)
ると
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
を
変
(
か
)
へて、
247
『また
厭
(
いや
)
なものを
造
(
つく
)
りをつたな、
248
こりや
依然
(
ぢつと
)
としては
居
(
ゐ
)
られないぞ』
249
と
直
(
すぐ
)
にこの
牛
(
うし
)
の
側
(
そば
)
にノコノコやつて
来
(
き
)
た。
250
アフラ・マズダは
彼
(
かれ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
ると、
251
『あの
男
(
をとこ
)
、
252
またわしの
仕事
(
しごと
)
の
邪魔
(
じやま
)
をしに
来
(
き
)
たな』
253
と
思
(
おも
)
つて、
254
大急
(
おほいそ
)
ぎでビーナークと
言
(
い
)
ふ
霊妙
(
れいめう
)
な
果実
(
くわじつ
)
を
摺
(
す
)
り
潰
(
つぶ
)
して
牛
(
うし
)
に
食
(
た
)
べさせた。
255
果実
(
くわじつ
)
の
不可思議
(
ふかしぎ
)
な
力
(
ちから
)
によつてアングラ・マイニウの
邪悪
(
じやあく
)
な
災
(
わざはひ
)
を
防
(
ふせ
)
がうとしたのである。
256
併
(
しか
)
しアングラ・マイニウが
牛
(
うし
)
の
側
(
そば
)
にやつて
来
(
き
)
て、
257
凄
(
すご
)
い
目
(
め
)
でじつと
見据
(
みす
)
ゑて
居
(
を
)
ると、
258
牛
(
うし
)
はやがて
病
(
やまひ
)
に
罹
(
かか
)
つて
次第
(
しだい
)
に
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へて、
259
遂
(
つひ
)
に
最後
(
さいご
)
の
息
(
いき
)
を
引
(
ひ
)
き
取
(
と
)
つて
終
(
しま
)
つた。
260
と
思
(
おも
)
ふと、
261
牛
(
うし
)
の
霊魂
(
れいこん
)
ゲーウシュ・ウルヴァンが、
262
その
体
(
からだ
)
からスルスルと
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して、
263
アフラ・マズダの
許
(
もと
)
にやつて
来
(
き
)
た。
264
そして
一千
(
いつせん
)
の
人間
(
にんげん
)
が
一度
(
いちど
)
に
叫
(
さけ
)
び
出
(
だ
)
したやうな
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で、
265
『
邪悪
(
じやあく
)
なアングラ・マイニウが
勝手
(
かつて
)
なことをしてゐるのに、
266
あなたはどうしてぢつとして
居
(
ゐ
)
られるのです。
267
いつぞやあなたは、
268
偉
(
えら
)
い
男
(
をとこ
)
を
拵
(
こしら
)
へて、
269
すべてのものを
保護
(
ほご
)
させてやると
仰
(
おほ
)
せられたが、
270
その
男
(
をとこ
)
はどこに
居
(
を
)
るのです。
271
今
(
いま
)
のやうにアングラ・マイニウが
悪
(
わる
)
いことをしてゐては、
272
わたしは
種々
(
しゆじゆ
)
の
動物
(
どうぶつ
)
を
養
(
やしな
)
ひ
育
(
そだ
)
てて
行
(
ゆ
)
くことは
出来
(
でき
)
ませぬ』
273
と
言
(
い
)
つた。
274
これを
聞
(
き
)
くとアフラ・マズダは
眉
(
まゆ
)
をひそめて、
275
『わしは
確
(
たしか
)
に
偉
(
えら
)
い
男
(
をとこ
)
を
拵
(
こしら
)
へてやると
言
(
い
)
つたが、
276
まだ
時
(
とき
)
が
来
(
こ
)
ないのぢや』
277
と
答
(
こた
)
へた。
278
併
(
しか
)
し
牛
(
うし
)
の
霊魂
(
れいこん
)
は、
279
この
答
(
こたへ
)
に
満足
(
まんぞく
)
することが
出来
(
でき
)
なかつたので、
280
星
(
ほし
)
の
世界
(
せかい
)
に
歩
(
ある
)
いて
行
(
い
)
つて、
281
先
(
さき
)
のやうに
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
叫
(
さけ
)
び
続
(
つづ
)
けた。
282
余
(
あま
)
りにその
声
(
こゑ
)
が
大
(
おほ
)
きいので、
283
月
(
つき
)
や
太陽
(
たいやう
)
のゐる
所
(
ところ
)
までガンガン
鳴
(
な
)
り
響
(
ひび
)
いた。
284
さうして
居
(
ゐ
)
る
間
(
うち
)
にたうとう
時機
(
じき
)
が
来
(
き
)
たので、
285
アフラ・マズダは
牛
(
うし
)
の
霊魂
(
れいこん
)
に
対
(
むか
)
つて、
286
『モウ
安心
(
あんしん
)
するがよい、
287
ゾロアステルと
言
(
い
)
ふ
偉
(
えら
)
い
予言者
(
よげんしや
)
を、
288
この
世
(
よ
)
に
送
(
おく
)
り
出
(
だ
)
すことにしたから』
289
と
言
(
い
)
ふと、
290
ゲーウシュ・ウルヴァンはやつと
安心
(
あんしん
)
して、
291
ありとある
動物
(
どうぶつ
)
を
養
(
やしな
)
ひ
育
(
そだ
)
てて
行
(
ゆ
)
くやうになつた。
292
暫
(
しばら
)
くすると、
293
死
(
し
)
んだ
牛
(
うし
)
の
体
(
からだ
)
から
五十五
(
ごじふご
)
種
(
しゆ
)
の
穀物
(
こくもつ
)
と
十二種
(
じふにしゆ
)
の
薬草
(
やくさう
)
が
生
(
は
)
え
出
(
だ
)
した。
294
アフラ・マズダがそれを
月
(
つき
)
の
許
(
もと
)
に
送
(
おく
)
ると、
295
月
(
つき
)
はおのが
光
(
ひかり
)
でその
種
(
たね
)
を
浄
(
きよ
)
めた。
296
その
種子
(
たね
)
から
一匹
(
いつぴき
)
の
牡牛
(
をうし
)
と
一匹
(
いつぴき
)
の
牝牛
(
めうし
)
とが
生
(
うま
)
れ、
297
それから
二百
(
にひやく
)
八十二
(
はちじふに
)
種
(
しゆ
)
の
動物
(
どうぶつ
)
が
生
(
うま
)
れた。
298
アフラ・マズダは
獣
(
けだもの
)
を
大地
(
だいち
)
に
棲
(
す
)
ませ、
299
鳥
(
とり
)
を
空中
(
くうちう
)
に
棲
(
す
)
ませ、
300
魚
(
うを
)
を
水中
(
すゐちう
)
に
棲
(
す
)
ませることにした。
301
此
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くにして、
302
尊
(
たふと
)
い
神
(
かみ
)
アフラ・マズダは
邪霊
(
じやれい
)
アングラ・マイニウに
度々
(
たびたび
)
仕事
(
しごと
)
の
邪魔
(
じやま
)
をされながら、
303
たうとう
宇宙
(
うちう
)
創造
(
さうざう
)
の
大事業
(
だいじげふ
)
を
完成
(
くわんせい
)
した。
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 支那の開闢説
(B)
(N)
希臘の天地開闢説 >>>
霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
>
第76巻(卯の巻)
> 前付 > 波斯の宇宙創造説
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【波斯の宇宙創造説|第76巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm760005】
合言葉「みろく」を入力して下さい→