霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 高宮(たかみや)参拝(さんぱい)〔一九一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻 篇:第1篇 春風駘蕩 よみ(新仮名遣い):しゅんぷうたいとう
章:第1章 高宮参拝 よみ(新仮名遣い):たかみやさんぱい 通し章番号:1918
口述日:1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日) 口述場所:水明閣 筆録者:森良仁 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年3月23日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
太元顕津男の神が、国生み御子生みの御神業のために、高地秀(たかちほ)の宮(東の宮)をただ一人出立したそのあと(八年後)、残された八柱の御樋代神たちは、天津高宮に詣でて宮の司となる神の降臨を願い出た。主の大神はそれに応えて、鋭敏鳴出(うなりづ)の神、天津女雄(あまつめを)の神、二柱を降して宮仕えを命じた。
顕津男の神の妻神・高野比女は天津高宮の大前に、感謝の歌をささげた。それに対して、鋭敏鳴出の神、天津女雄の神の二神は、顕津男の神の後任として高地秀の宮司として仕える抱負を歌った。
高野比女に仕える侍女神たちは、宮司の神の降臨に、祝いの神楽を催すように進言する。高野比女は喜んで、鋭敏鳴出・天津女雄の二神に、白幣(しろにぎて)・青幣(あおにぎて)、そして二振りの五百鳴(いほなり)の鈴を授けた。
二柱の宮司神は大地を踏み鳴らし、五百鳴の鈴をさやさやと響かせて、右手に持った白幣・青幣を打ち振りながら舞い踊った。
それを見た天津高宮に仕える百の神たちは、天地が一度に開けたような心地がして、喜び勇んだ。鳥たちは微妙の声で御神楽の拍子に合わせて歌い、天と人が和楽する境界を現した。主の大神も、天津高宮の扉を内側から押し開け、この光景をご覧になった。
侍女神たちはこの様を喜び、御神楽をたたえ、主の神への感謝と喜びを歌った。神々はそれぞれ歌を歌い、大御前に祝詞を奏上すると、天津高宮に仕える神々に別れを告げて、高地秀の宮に帰っていった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:4360 OBC :rm7601
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 491頁 修補版: 校定版:135頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 紫微(しび)天界(てんかい)に於(お)ける神政(しんせい)樹立(じゆりつ)の根元地(こんげんち)なる高地秀(たかちほ)の山(やま)の山麓(さんろく)に、002宮柱(みやばしら)太敷(ふとしき)立(た)て高天原(たかあまはら)に千木高(ちぎたか)知(し)りて、003四方(よも)に輝(かがや)きたまふ高地秀(たかちほ)の宮(みや)一名(いちめい)東(ひがし)の宮(みや)を後(あと)にして、004思(おぼ)し召(め)すことありとて、005太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)は、006八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)を後(あと)に残(のこ)し、007一柱(ひとはしら)の供神(ともがみ)をも連(つ)れ給(たま)はず立出(たちい)で給(たま)ひければ、008茲(ここ)に八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)は天津(あまつ)高宮(たかみや)に詣(まう)で給(たま)ひて、009主(ス)の大神(おほかみ)の神宣(みことのり)を乞(こ)ひ給(たま)ひ、010宮(みや)の司(つかさ)たるべき神(かみ)を降(くだ)し給(たま)へと祈(いの)らせ給(たま)へば、011主(ス)の大神(おほかみ)は、012その願事(ねぎごと)を諾(うべな)ひ給(たま)ひて、013茲(ここ)に鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)、014天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)の二柱(ふたはしら)を降(くだ)し給(たま)ひて、015朝(あさ)な夕(ゆふ)なの宮仕(みやづか)へを言依(ことよ)さし給(たま)ひしこそ畏(かしこ)けれ。
016 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)は天津(あまつ)高宮(たかみや)の大前(おほまへ)に願事(ねぎごと)白(まを)し給(たま)ふ、017その御言葉(みことば)。
018『久方(ひさかた)の天津(あまつ)高宮(たかみや)に詣(まう)で来(き)て
019われはいのりぬ禊(みそぎ)をさめて
020禊(みそぎ)してはろばろ此処(ここ)に八柱(やはしら)の
021女神(めがみ)は真心(まごころ)ささげて祈(いの)るも
022久方(ひさかた)の天(あま)の高地秀(たかちほ)の宮司(みやづかさ)
023顕津男(あきつを)の神(かみ)を守(まも)らせたまへ
024朝夕(あさゆふ)に高地秀(たかちほ)の宮居(みや)に仕(つか)へつつ
025なほ真心(まごころ)の足(た)らぬを悔(く)ゆるも
026国土(くに)を生(う)み国魂神(くにたまがみ)を生(う)まさむと
027出(い)でます岐美(きみ)に恙(つつが)あらすな
028天地(あめつち)の中(なか)に一人(ひとり)の岐美(きみ)ゆゑに
029われは一入(ひとしほ)恋(こ)ふしみおもふ
030わが岐美(きみ)は何(いづ)れの果(はて)にましますか
031こころ許(もと)なく朝夕(あさゆふ)いのるも
032主(ス)の神(かみ)の恵(めぐみ)かしこし二柱(ふたはしら)の
033宮居(みや)の司(つかさ)をくだしたまひぬ
034鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)はかしこき宮司(みやづかさ)
035高地秀(たかちほ)の宮居(みや)は今(いま)より栄(さか)えむ
036天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)の面(おも)ざし眺(なが)むれば
037瑞(みづ)の御霊(みたま)に似(に)ましつるかも』
038 鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は答(いらへ)の御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
039『高野(たかの)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の御歌(みうた)聞(き)きて
040足(た)らはぬ吾(われ)を恥(はづ)かしみおもふ
041わが力(ちから)及(およ)ばざれども村肝(むらきも)の
042心(こころ)をつくして仕(つか)へまつらむ
043東(ひむがし)の宮居(みや)に今(いま)より仕(つか)へむと
044思(おも)へばうれしこころ栄(さか)ゆも
045顕津男(あきつを)の神(かみ)の力(ちから)に比(くら)ぶれば
046天(あめ)と地(つち)との差別(けぢめ)ありけり
047力(ちから)なき吾(われ)にはあれど真心(まごころ)の
048あらむ限(かぎ)りを仕(つか)へむと思(おも)ふ
049八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)を守(まも)りつつ
050東(ひむがし)の宮居(みや)を守(まも)りまつらむ
051八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)を主(あるじ)とし
052仕(つか)へむとおもふ朝(あさ)な夕(ゆふ)なを
053天地(あめつち)のあらむ限(かぎ)りは主(ス)の神(かみ)の
054御樋代(みひしろ)なりと思(おも)へばかしこし
055国土(くに)未(いま)だ稚(わか)かる紫微(しび)の天界(かみくに)に
056為(な)すべき神業(みわざ)は限(かぎ)りなく多(おほ)し
057大宮居(おほみや)を守(まも)りまつりて主(ス)の神(かみ)の
058神業(みわざ)に仕(つか)ふとおもへば楽(たの)し
059今日(けふ)よりは吾(われ)をいたはり給(たま)ひつつ
060仕(つか)はせたまへ御樋代(みひしろ)女神(めがみ)よ』
061 天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
062『鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の司(つかさ)の添柱(そへばしら)と
063選(えら)まれし吾(われ)の今日(けふ)のうれしさ
064幾万(いくまん)里(り)東(ひがし)の国土(くに)の高地秀(たかちほ)の
065宮居(みや)に仕(つか)ふと思(おも)へばいさまし
066御樋代(みひしろ)の神(かみ)の御供(みとも)に仕(つか)へつつ
067いざやすすまむ東(ひがし)の宮居(みや)に
068国土(くに)稚(わか)き紫微(しび)天界(てんかい)の大宮居(おほみや)に
069仕(つか)ふるわが身(み)の魂(たま)は栄(さか)えつ
070永久(とこしへ)の栄(さか)えと喜(よろこ)び満(み)たせつつ
071進(すす)みて行(ゆ)かむ高地秀(たかちほ)の宮居(みや)に
072八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)ははろばろと
073これの聖所(すがど)に来(き)ませる尊(たふと)さ
074優(やさ)しくて雄々(をを)しくいます八柱(やはしら)の
075御樋代(みひしろ)神(がみ)は御魂(みたま)ひかれり
076顕津男(あきつを)の神(かみ)は光明(ひかり)と現(あら)はれて
077四方(よも)の雲霧(くもきり)別(わ)け明(あか)したまふ
078顕津男(あきつを)の神(かみ)の仕(つか)へし貴(うづ)の宮居(みや)に
079仕(つか)ふるわれを愧(は)づかしみおもふ
080光明(ひかり)なき吾身(わがみ)ながらも主(ス)の神(かみ)の
081神言(みこと)なりせばかしこみ仕(つか)へむ
082鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)を補(たす)けて八柱(やはしら)の
083御樋代(みひしろ)神(がみ)に仕(つか)へむとおもふ
084八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)比女神(ひめがみ)今日(けふ)よりは
085わが足(た)らはぬを補(おぎな)ひ給(たま)はれ』
086 梅咲(うめさく)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
087『白梅(しらうめ)の花(はな)咲(さ)きにほふ天界(かみくに)に
088生(うま)れしわれは御樋代(みひしろ)神(がみ)ぞや
089非時(ときじく)に梅咲(うめさく)比女(ひめ)の神(かみ)なれば
090宮居(みやゐ)の庭(には)を清(きよ)め仕(つか)へむ
091主(ス)の神(かみ)の恵(めぐ)み畏(かしこ)し二柱(ふたはしら)
092東(ひがし)の宮居(みや)の司(つかさ)たまひぬ
093果(はて)しなき稚国原(わかくにはら)を旅立(たびだ)たす
094わが岐美(きみ)の上(へ)に災(わざはひ)あらすな
095吾(わが)岐美(きみ)は光明(ひかり)の神(かみ)にましませば
096醜(しこ)の曲津(まがつ)もさやらざるべし
097岐美(きみ)立(た)ちし日(ひ)より八年(やとせ)を経(へ)につれど
098雁(かりがね)の便(たよ)りだにも聞(き)かなく
099吾(わが)岐美(きみ)よ何処(いづく)の果(はて)にお在(は)すらむ
100こころ許(もと)なく朝夕(あさゆふ)をおもふ
101久方(ひさかた)の天津(あまつ)高宮(たかみや)の清庭(すがには)に
102宣(の)る言霊(ことたま)は澄(す)みきらひたり
103言霊(ことたま)に森羅万象(すべてのもの)は生(うま)るなり
104唯(ただ)ままならぬは岐美(きみ)の水火(いき)なり
105凡神(ただがみ)の誹(そし)りあざけり思(おも)ひはかり
106つれなく岐美(きみ)は出(い)でましにけり
107国魂(くにたま)の神(かみ)を生(う)まむと朝夕(あさゆふ)に
108祈(いの)れど甲斐(かひ)なし水火(すいくわ)合(あ)はねば
109徒(いたづら)に若(わか)き月日(つきひ)を経(へ)ぬるかと
110おもひて朝夕(あさゆふ)われは泣(な)くなり
111いざさらば此(これ)の宮居(みやゐ)に感謝言(ゐやひごと)
112白(まを)して東(ひがし)の宮居(みや)に帰(かへ)らむ』
113 香具(かぐ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
114『八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)はいたづらに
115東(ひがし)の宮居(みや)に年(とし)を経(へ)にけり
116主(ス)の神(かみ)の御前(みまへ)に復命(かへりごと)白(まを)すべき
117功績(いさ)なき吾(われ)をかなしみ思(おも)ふも
118雄心(をごころ)の大和心(やまとごころ)を奮(ふ)り起(おこ)し
119想像(おもひ)妊娠(はらま)む岐美(きみ)の御水火(みいき)を
120天(あめ)高(たか)く地(つち)また広(ひろ)く定(さだ)まりて
121この天界(かみくに)は栄(さか)え初(そ)めたり
122非時(ときじく)の香具(かぐ)の木(こ)の実(み)より生(あ)れしてふ
123御樋代(みひしろ)のわれ世(よ)に生(い)きて淋(さび)しも
124水火(いき)の限(かぎ)り高地秀(たかちほ)山(やま)の神霊(しんれい)に
125仕(つか)へて天界(みくに)を照(て)らさむと思(おも)ふ
126吾(わが)岐美(きみ)の光明(ひかり)を御魂(みたま)に充(み)たしつつ
127紫微(しび)天界(てんかい)を明(あか)し行(ゆ)くべし
128神(かみ)に仕(つか)へ岐美(きみ)を偲(しの)びて朝夕(あさゆふ)を
129高地秀(たかちほ)の峰(みね)に年(とし)経(ふ)りにけり
130掛巻(かけまく)も畏(かしこ)き天津(あまつ)高宮(たかみや)に
131別(わか)れて言葉(ことば)慎(つつし)み宣(の)らむ
132宮司(みやつかさ)二柱神(ふたはしらがみ)を得(え)し今日(けふ)は
133天地(あめつち)開(ひら)けし心地(ここち)するかも
134東(ひむがし)の宮居(みや)に帰(かへ)らむ御樋代(みひしろ)神(がみ)よ
135これの清庭(すがには)に神楽(かぐら)をかなでよ』
136 茲(ここ)に高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)は、137各(かく)比女神(ひめがみ)の神言(みこと)の提言(ていげん)を甚(いた)く悦(よろこ)び諾(うべな)ひたまひ、138鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)、139天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)二柱神(ふたはしらがみ)に、140白幣(しろにぎて)青幣(あをにぎて)及(およ)び二振(ふたふり)の五百鳴(いほなり)の鈴(すず)を授(さづ)け給(たま)へば、141二神(にしん)は天津(あまつ)高宮(たかみや)の聖所(すがど)に地(つち)踏(ふ)み鳴(な)らし、142白衣(びやくえ)長袖(ちやうしう)しとやかに踊(をど)らせ給(たま)へば、143八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)比女神(ひめがみ)を始(はじ)め、144天津(あまつ)高宮(たかみや)に仕(つか)へ奉(まつ)る百(もも)の神(かみ)達(たち)も異口(いく)同音(どうおん)に祝(いは)ひの御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
145 その御歌(みうた)。
146『天晴(あは)れ天晴(あは)れ目出度(めでた)き言(こと)のかぎりかも
147タータータラリ タラリーラー アガリララーリトー チリーヤ タラリ ララリトー』
148 茲(ここ)に二柱(ふたはしら)の宮司神(みやつかさがみ)は大地(だいち)を踏(ふ)みならし、149五百鳴(いほなり)の鈴(すず)をさやさやに響(ひび)かせ、150右手(めて)に白幣(しろにぎて)青幣(あをにぎて)を打振(うちふ)り給(たま)ひつつ舞(ま)ひ踊(をど)り給(たま)へば、151百(もも)の神(かみ)等(たち)は天地(あめつち)一度(いちど)に開(ひら)けし心地(ここち)して、152歓(ゑら)ぎ喜(よろこ)び勇(いさ)み給(たま)ふ。153百鳥(ももとり)は微妙(びめう)の声(こゑ)を放(はな)ちて、154御神楽(みかぐら)の拍子(ひやうし)に和(わ)して、155弥々(いよいよ)茲(ここ)に天人(てんじん)和楽(わらく)の境(きやう)を現出(げんしゆつ)せり。156主(ス)の大神(おほかみ)は天津(あまつ)高宮(たかみや)の扉(とびら)を内(うち)より押(お)し開(あ)け給(たま)ひ、157此(こ)の光景(くわうけい)を御覧(みそな)はすこそ畏(かしこ)けれ。
158 茲(ここ)に寿々子(すずこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
159『主(ス)の神(かみ)の光明(ひかり)に吾(われ)は照(て)らされて
160まなこくらみぬこの清庭(すがには)に
161次々(つぎつぎ)に吾(わが)眼界(まなかひ)は光(ひか)りつつ
162今日(けふ)の祝(いは)ひの神楽(かぐら)見(み)しはや
163二柱(ふたはしら)神(かみ)の仕(つか)ふる神楽(かぐら)の舞(まひ)の
164清(すが)しき姿(すがた)にとけ入(い)りにける
165主(ス)の神(かみ)も諾(うべな)ひ給(たま)ふか御扉(みとびら)を
166細目(ほそめ)に開(ひら)きて覗(のぞ)かせ給(たま)へり
167今日(けふ)よりは東(ひがし)の宮居(みや)も賑(にぎは)しく
168かがやきわたらむ宮司(みやつかさ)を得(え)て
169わが岐美(きみ)のいまさぬ宮居(みや)の淋(さび)しさも
170わすれて御苑(みその)の神楽(かぐら)見(み)しかや
171御樋代(みひしろ)の神(かみ)と依(よ)さし給(たま)ひし八柱(やはしら)の
172女神(めがみ)もいまだ神業(みわざ)つかへず
173朝夕(あさゆふ)を高地秀(たかちほ)の宮(みや)の清庭(すがには)に
174立(た)ちて御空(みそら)の月(つき)を仰(あふ)ぎつ
175天(あま)渡(わた)る月(つき)の鏡(かがみ)を仰(あふ)ぎつつ
176岐美(きみ)の安否(あんぴ)を思(おも)ひわづらふ
177曇(くも)りたる月(つき)をし見(み)れば一入(ひとしほ)に
178思(おも)ふは岐美(きみ)の上(うへ)なりにけり
179瑞々(みづみづ)しき月(つき)の鏡(かがみ)を仰(あふ)ぐ夜(よ)は
180岐美(きみ)の御幸(みさち)を思(おも)ひて楽(たの)しむ
181我(わが)岐美(きみ)は遠(とほ)く行(ゆ)きませども仰(あふ)ぎ見(み)る
182月(つき)の姿(すがた)に心(こころ)なぐさむ』
183 宇都子(うづこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
184『はろばろと東(ひがし)の宮居(みや)を立(た)ち出(い)でて
185主(ス)の神(かみ)います宮居(みや)に詣(まう)でつ
186西東(にしひがし)皇(すめ)大神(おほかみ)の永久(とこしへ)に
187鎮(しづ)まりいます宮居(みや)は明(あき)らけし
188八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)比女神(ひめがみ)ははろばろと
189今日(けふ)の吉日(よきひ)を西宮(みやゐ)に詣(まう)でつ
190久方(ひさかた)の天之(あめの)道立(みちたつ)神司(かむつかさ)
191今日(けふ)の神姿(すがた)の荘厳(おごそか)なるも
192道立(みちたつ)の神(かみ)永久(とこしへ)に仕(つか)へます
193天津(あまつ)高宮(たかみや)の荘厳(おごそか)なるも
194四方(よも)八方(やも)に雲霧(くもきり)立(た)ちし稚国土(わかぐに)を
195固(かた)めむとして岐美(きみ)は出(い)でませり
196吾(われ)も亦(また)高地秀(たかちほ)の宮居(みや)に朝夕(あさゆふ)を
197仕(つか)へて神(かみ)を勇(いさ)めむとおもふ
198天界(てんかい)は愛(あい)と信(しん)との神国(みくに)なれば
199真言(まこと)と祈(いの)りを要(かなめ)と思(おも)へり
200天界(てんかい)に住(す)みて尊(たふと)き神業(かむわざ)は
201厳(いづ)の言霊(ことたま)と禊(みそぎ)なりけり
202朝夕(あさゆふ)を玉(たま)の泉(いづみ)に禊(みそぎ)して
203百神(ももがみ)等(たち)の幸(さち)を祈(いの)らむ
204百鳥(ももどり)の声(こゑ)も爽(さや)かに響(ひび)くなり
205天津(あまつ)高宮(たかみや)の庭(には)の百樹(ももき)に
206昼月(ひるづき)の光(かげ)ほのぼのと見(み)えながら
207御空(みそら)にさやる雲影(くもかげ)もなし
208主(ス)の神(かみ)の御水火(みいき)に生(あ)れし天津(あまつ)日(ひ)の
209光(ひかり)はますます冴(さ)えわたりつつ
210天津(あまつ)日(ひ)は光(ひかり)の限(かぎ)りを光(ひか)りつつ
211われ等(ら)の暗(くら)き魂(たま)を照(てら)すも
212月(つき)も日(ひ)も並(なら)びてかがよふ天界(かみくに)に
213仕(つか)へてわれは何(なに)を歎(なげ)かむ
214或(ある)は盈(み)ち或(ある)ひは虧(か)くる大空(おほぞら)の
215月(つき)に悟(さと)りぬ世(よ)のありさまを
216日(ひ)を重(かさ)ねうつろひて行(ゆ)く月影(つきかげ)の
217定(さだ)まらぬ世(よ)を吾(われ)悟(さと)りけるかも
218いざさらば二柱(ふたはしら)神(かみ)を伴(ともな)ひて
219共(とも)に帰(かへ)らむ高地秀(たかちほ)の宮居(みや)へ』
220 狭別(さわけ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
221『有難(ありがた)し天津(あまつ)高宮(たかみや)の清庭(すがには)に
222吾(われ)は清(すが)しき神楽(かぐら)見(み)しはや
223天地(あめつち)も一度(いちど)に開(ひら)く心地(ここち)して
224この清庭(すがには)に神楽(かぐら)見(み)しはや
225鈴(すず)の音(ね)もいとさやさやに響(ひび)かひつ
226紫微(しび)天界(てんかい)はいよよあかるし
227白梅(しらうめ)は非時(ときじく)香(かを)り鶯(うぐひす)は
228弥生(やよひ)の春(はる)をすがしくうたふ
229常磐樹(ときはぎ)の松(まつ)の梢(こずゑ)に巣(す)ぐひたる
230鶴(つる)は十二(じふに)の卵(たまご)を産(う)めり
231真鶴(まなづる)の千歳(ちとせ)をうたふ声(こゑ)の色(いろ)の
232すがしく響(ひび)きて栄(さか)ゆる天界(みくに)よ
233我(わが)岐美(きみ)の行衛(ゆくゑ)は今(いま)に知(し)らねども
234御空(みそら)の月(つき)を仰(あふ)ぎてなぐさむ
235御空(みそら)行(ゆ)く月(つき)の鏡(かがみ)の清(きよ)き夜(よ)は
236岐美(きみ)の栄(さか)えを思(おも)ひて楽(たの)しむ
237いざさらば高日(たかひ)の宮居(みや)を拝(をろが)みて
238いそぎ帰(かへ)らむ東(ひがし)の宮居(みや)に
239久方(ひさかた)の天之(あめの)道立(みちたつ)神司(かむつかさ)
240厳(いづ)の教(をしへ)はたふとかりけり
241厳御霊(いづみたま)瑞(みづ)の御霊(みたま)の御教(みをしへ)は
242世界(せかい)を十字(じふじ)に踏(ふ)みならす太元(もと)かも
243火(ひ)と水(みづ)と土(つち)の力(ちから)に天界(かみくに)は
244今(いま)あきらけく固(かた)まりにける』
245 花子(はなこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
246『白梅(しらうめ)の花(はな)の粧(よそほ)ひ眺(なが)むれば
247瑞(みづ)の御霊(みたま)の岐美(きみ)のここちす
248非時(ときじく)に匂(にほ)ふ神苑(みその)の百千花(ももちばな)も
249手折(たを)りささげむ神(かみ)の御前(みまへ)に
250白梅(しらうめ)の一枝(ひとえ)を手折(たを)りて黒髪(くろかみ)の
251簪(かざし)となさばや花子(はなこ)比女(ひめ)われは
252花(はな)の香(かを)り松(まつ)の響(ひびき)も清(すが)しけれ
253主(ス)の神(かみ)います宮居(みやゐ)の庭(には)は
254東(ひむがし)の宮居(みや)の司(つかさ)を伴(ともな)ひて
255歓(ゑら)ぎ帰(かへ)らむ日(ひ)とはなりけり
256いざさらば神(かみ)の御前(みまへ)に感謝言(ゐやひごと)
257うまらにつばらに宣(の)りて帰(かへ)らむ
258高地秀(たかちほ)の峰(みね)ははろけしさりながら
259駒(こま)の蹄(ひづめ)のためらひもなし』
260 小夜子(さよこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
261『瑞御霊(みづみたま)高地秀(たかちほ)の宮居(みや)を出(い)でしより
262御樋代(みひしろ)われは淋(さび)しく年(とし)を経(へ)し
263神(かみ)をあがめ岐美(きみ)を恋(こ)ひつつ鶏(とり)の尾(を)の
264長(なが)き月日(つきひ)を暮(く)れにけるかな
265高地秀(たかちほ)の山(やま)の松風(まつかぜ)朝夕(あさゆふ)に
266響(ひび)けど岐美(きみ)の音信(おとづれ)はなし
267高地秀(たかちほ)の峰(みね)の尾(を)の上(へ)に見(み)る月(つき)も
268変(かは)らず思(おも)へばたふとかりける
269小夜(さよ)更(ふ)けて仰(あふ)ぐ月光(つきかげ)冴(さ)え渡(わた)り
270もの言(い)はすげに思(おも)はするかな
271月(つき)見(み)れば岐美(きみ)の霊(たま)よと思(おも)ひつつ
272ながき別(わか)れをなぐさめしはや
273久々(ひさびさ)にこの高宮(たかみや)に詣(まう)で来(き)て
274わが魂線(たましひ)はよみがへりつつ
275八柱(やはしら)の御樋代(みひしろ)神(がみ)は朝夕(あさゆふ)を
276睦(むつ)み和(なご)みて宮居(みや)に仕(つか)へつ
277怨(うら)み妬(ねた)みなき真心(まごころ)に仕(つか)へ行(ゆ)く
278宮居(みや)の聖所(すがど)に雲霧(くもきり)もなし
279いざさらば主(ス)の大神(おほかみ)に拝礼(ゐやひ)して
280はろばろ東(ひがし)の宮居(みや)に帰(かへ)らな』
281 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
282『主(ス)の神(かみ)の宮居(みや)に始(はじ)めて詣(まう)でけり
283高地秀(たかちほ)の宮居(みや)にあるここちして
284真心(まごころ)を筑紫(つくし)の宮居(みや)の清庭(すがには)に
285国土(くに)の始(はじ)めの神楽(かぐら)見(み)しはや
286西(にし)の宮居(みや)筑紫(つくし)の宮居(みや)は主(ス)の神(かみ)の
287光明(ひかり)も一入(ひとしほ)つよかりにける
288御樋代(みひしろ)神(がみ)と選(えら)まれし吾(われ)はためらはず
289岐美(きみ)のみあとをまぎて行(ゆ)くべし
290いたづらに待(ま)ちて月日(つきひ)を送(おく)るよりも
291すすみて行(ゆ)かむ御子生(みこう)みの旅(たび)に
292主(ス)の神(かみ)の御前(みまへ)に誓(ちか)ひ白(まを)すべし
293われは進(すす)みて神業(みわざ)に仕(つか)へむ
294いざさらば筑紫(つくし)の宮居(みや)を後(あと)にして
295ともに帰(かへ)らむ東(ひがし)の宮居(みや)へ』
296 各(かく)神々(かみがみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ひつつ、297大御前(おほみまへ)に御声(みこゑ)も爽(さや)けく祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、298天津(あまつ)高宮(たかみや)に仕(つか)へます百神(ももがみ)等(たち)に別(わか)れを告(つ)げ、299各自(おのもおのも)天(あめ)の斑駒(ふちこま)の背(せ)に跨(またが)り、300高地秀(たかちほ)の宮居(みや)をさして急(いそ)がせ給(たま)ふぞ畏(かしこ)けれ。
301(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 森良仁謹録)
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