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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第76巻(卯の巻)
序文
総説
日本所伝の天地開闢説
支那の開闢説
波斯の宇宙創造説
希臘の天地開闢説
エヂプトの開闢説
メキシコナフア族の天地創造説
マヤ族の万物創造説
北欧に於ける宇宙創造説
太平洋西北岸創造説
英領北亜米利加創造説
亜弗利加神話
ヘブライ天地創造説
パレスチン創造説
ミクロネシヤ創造説
インドネシヤ創造説
第1篇 春風駘蕩
第1章 高宮参拝
第2章 魔の渓流
第3章 行進歌
第4章 怪しの巌山
第5章 露の宿
第2篇 晩春の神庭
第6章 報告祭
第7章 外苑の逍遥
第8章 善言美霊
第3篇 孤軍奮闘
第9章 闇の河畔
第10章 二本松の蔭
第11章 栄城の山彦
第12章 山上の祈り
第13章 朝駒の別れ
第14章 磐楠舟
第15章 御舟巌
余白歌
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天祥地瑞(第73~81巻)
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第76巻(卯の巻)
> 第3篇 孤軍奮闘 > 第15章 御舟巌
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(B)
(N)
余白歌 >>>
第一五章
御舟巌
(
みふねいは
)
〔一九三二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
篇:
第3篇 孤軍奮闘
よみ(新仮名遣い):
こぐんふんとう
章:
第15章 御舟巌
よみ(新仮名遣い):
みふねいわ
通し章番号:
1932
口述日:
1933(昭和8)年12月08日(旧10月21日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年3月23日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
八十曲津神たちは、沼に変じて朝香比女を待ち伏せていたが、あべこべに比女の言霊に固められて、本物の沼となって大野ケ原に永遠に横たわることになってしまった。また、曲津見の本体であった巨巌も、比女の沼渡りに逆に使われた挙句、御舟巌と固められてしまった。
その他の悪神たちは沼底の貝と変じて、わずかに命脈を保つことを許されたのみであった。
朝香比女は沼と巌に、魚貝を育てて国津神たちにを養う糧を生み育てることを命じて、東南方を指して進んで行った。
程なくして、国津神たちが住む集落にたどり着いた。国津神の長、狭野比古(さぬひこ)は、比女の前にひざまずき笑みをたたえ、高天原より降り来た女神に、飢えに悩む国津神を救ってくれるよう懇願した。
朝香比女は、湖水の魚を食べるように諭すが、狭野比古は、国津神は木の実を食べて生きるもので、魚は食べられない、と答えた。そこで比女は彼らに火を与え、魚貝を焼いて食べることを教えた。
国津神たちは、その美味さに先を争って魚貝を食べた。狭野比古は、湖水に豊富に生息する魚貝を食料にできるならば、もう飢えに悩むことはないと喜び、感謝の歌をささげた。
朝香比女は、御舟巌の回りだけは漁をすることを禁じ、また必ず湖水の魚貝に火を通してから食べることを教えた。
すると狭野比古は次に、この近辺は水が悪いために、病気になり命を落とすものまでいることを訴えた。朝香比女は土を練って瓶を焼き、水を満たして沸騰させることを教えた。以後、国津神たちは白湯を飲んで水あたりすることはなくなった。これが、火食の道の始まりである。
狭野比古は感謝の歌を歌い、また真賀の湖水の湖辺に新しい宮居を造り、主の神の神霊を祀り、相殿に朝香比女の神霊を祀り、国津神がかわるがわる奉仕することとなった。
朝香比女は狭野の郷を発って、さらに西方の国に進むことになった。狭野比古は別れ惜しさに、比女の逗留を懇願するが、比女の心は固かった。そこで、狭野比古はせめて曲津神の多くなる先の道中を守るため、比女の共を申し出た。
朝香比女は快諾し、かくして比女は狭野比古を従えて大野ケ原を進んでいくこととなった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7615
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 574頁
修補版:
校定版:
446頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
は
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
行手
(
ゆくて
)
を
遮
(
さへぎ
)
らむとして、
002
広大
(
くわうだい
)
なる
沼
(
ぬま
)
と
体
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ、
003
女神
(
めがみ
)
を
悩
(
なや
)
まし
奉
(
まつ
)
らむとして
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へ
居
(
ゐ
)
たりしが、
004
女神
(
めがみ
)
の
生言霊
(
いくことたま
)
に
固
(
かた
)
められて、
005
忽
(
たちま
)
ち
真
(
まこと
)
の
沼
(
ぬま
)
となり、
006
永久
(
とこしへ
)
に
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
の
真中
(
まんなか
)
に
横
(
よこた
)
はる
事
(
こと
)
となりにける。
007
又
(
また
)
巨巌
(
きよがん
)
は
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
の
本体
(
ほんたい
)
なりけるを、
008
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
はひによりて
水上
(
すゐじやう
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
磐楠舟
(
いはくすぶね
)
となり、
009
比女神
(
ひめがみ
)
を
彼岸
(
ひがん
)
に
渡
(
わた
)
す
御用
(
ごよう
)
に
逆
(
さか
)
しまに
使
(
つか
)
はれ、
010
再
(
ふたた
)
び
汀辺
(
みぎはべ
)
に
万世
(
ばんせい
)
不動
(
ふどう
)
の
御舟巌
(
みふねいは
)
と
固
(
かた
)
められければ、
011
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
は
如何
(
いかん
)
とも
詮
(
せん
)
すべなく、
012
その
率
(
ひき
)
ゐたる
百
(
もも
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
は、
013
いづれも
沼底
(
ぬまそこ
)
の
貝
(
かひ
)
と
変
(
へん
)
じて、
014
わづかに
生命
(
いのち
)
を
保
(
たも
)
つ
事
(
こと
)
を
許
(
ゆる
)
されにける。
015
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
016
この
態
(
さま
)
を
見
(
み
)
て
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
017
『
面白
(
おもしろ
)
し
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
は
大野原
(
おほのはら
)
の
018
中
(
なか
)
に
動
(
うご
)
かぬ
沼
(
ぬま
)
となりしよ
019
曲津見
(
まがつみ
)
の
沼
(
ぬま
)
となりける
水
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
020
磐楠舟
(
いはくすぶね
)
に
乗
(
の
)
りて
渡
(
わた
)
りし
021
今日
(
けふ
)
よりは
弥永久
(
いやとこしへ
)
に
沼
(
ぬま
)
となりて
022
所
(
ところ
)
を
変
(
か
)
へな
世
(
よ
)
の
終
(
をは
)
るまで
023
もろもろの
曲津神
(
まがつかみ
)
等
(
たち
)
は
沼底
(
ぬまそこ
)
の
024
貝
(
かひ
)
となりつつ
生命
(
いのち
)
をたもて
025
貝
(
かひ
)
は
皆
(
みな
)
吾
(
わが
)
乗
(
の
)
り
来
(
きた
)
りし
楠舟
(
くすぶね
)
の
026
形
(
かたち
)
となりて
沼
(
ぬま
)
にひそめよ
027
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
真賀
(
まが
)
の
湖水
(
こすゐ
)
の
面
(
おも
)
照
(
てら
)
し
028
狭霧
(
さぎり
)
もやもや
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
りつつ
029
わが
為
(
ため
)
に
謀
(
はか
)
らひたりし
醜
(
しこ
)
の
沼
(
ぬま
)
は
030
またわが
為
(
ため
)
に
謀
(
はか
)
らはれける
031
水底
(
みなそこ
)
に
青
(
あを
)
くうつろふ
山影
(
やまかげ
)
は
032
栄城
(
さかき
)
の
山
(
やま
)
か
波
(
なみ
)
にさゆれつ
033
月読
(
つきよみ
)
の
光
(
かげ
)
を
浮
(
うか
)
べしこの
沼
(
ぬま
)
は
034
曲津
(
まがつ
)
の
化身
(
けしん
)
と
思
(
おも
)
はれざりしよ
035
何事
(
なにごと
)
も
善意
(
ぜんい
)
に
解
(
かい
)
せばもの
皆
(
みな
)
は
036
わが
為
(
ため
)
によきものとなるかも
037
曲津
(
まがつ
)
神
(
かみ
)
も
愛
(
あい
)
と
善
(
ぜん
)
には
勝
(
か
)
ち
難
(
がた
)
く
038
大地
(
だいち
)
に
伏
(
ふ
)
して
沼
(
ぬま
)
と
溢
(
あふ
)
れつ
039
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
日毎
(
ひごと
)
々々
(
ひごと
)
の
餌
(
ゑ
)
を
生
(
う
)
みて
040
魚貝
(
ぎよかひ
)
を
育
(
そだ
)
てよ
真賀
(
まが
)
の
湖
(
みづうみ
)
041
沼水
(
ぬまみづ
)
はいやつぎつぎに
澄
(
す
)
みきりて
042
深
(
ふか
)
き
湖水
(
こすゐ
)
となりにけらしな
043
御舟巌
(
みふねいは
)
の
側
(
そば
)
に
集
(
あつ
)
まる
魚族
(
うろくづ
)
は
044
いや
永久
(
とこしへ
)
に
生命
(
いのち
)
たもたむ
045
御舟巌
(
みふねいは
)
は
吾
(
われ
)
を
助
(
たす
)
けし
神
(
かみ
)
なれば
046
幾千代
(
いくちよ
)
までも
滅
(
ほろ
)
びざるべし
047
巌ケ根
(
いはがね
)
に
住
(
す
)
み
魚族
(
うろくづ
)
も
諸貝
(
もろかひ
)
も
048
われを
助
(
たす
)
けし
功
(
いさを
)
に
生
(
い
)
きむ
049
いざさらば
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
湖
(
みづうみ
)
よ
050
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
を
永久
(
とは
)
に
養
(
やしな
)
へ』
051
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ひつつ
駒
(
こま
)
にひらりと
跨
(
またが
)
り、
052
東南方
(
とうなんぱう
)
の
野辺
(
のべ
)
をさして
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
へば、
053
程近
(
ほどちか
)
き
野辺
(
のべ
)
の
真中
(
まんなか
)
に
余
(
あま
)
り
高
(
たか
)
からぬ
丘陵
(
きうりよう
)
ありて、
054
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
の
住家
(
すみか
)
幾十
(
いくじふ
)
となく
建
(
た
)
ち
並
(
なら
)
び
居
(
ゐ
)
たりければ、
055
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
住
(
すま
)
へる
村
(
むら
)
を
訪
(
と
)
はむとして
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
056
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
長
(
をさ
)
たる
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は、
057
比女神
(
ひめがみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
跪
(
ひざまづ
)
きながら
満面
(
まんめん
)
に
笑
(
ゑみ
)
をたたへて、
058
『
汝
(
なれ
)
こそは
高天原
(
たかあまはら
)
ゆ
降
(
くだ
)
ります
059
女神
(
めがみ
)
にますか
面
(
おも
)
かがやける
060
この
郷
(
さと
)
に
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
守
(
まも
)
りつつ
061
住
(
すま
)
へる
吾
(
われ
)
は
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
にこそ
062
願
(
ねが
)
はくばこの
村里
(
むらざと
)
に
止
(
とど
)
まりて
063
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
を
救
(
すく
)
はせたまへ
064
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
日毎
(
ひごと
)
の
餌
(
ゑば
)
に
苦
(
くる
)
しみつ
065
飢
(
う
)
ゑ
渇
(
かわ
)
きたり
安
(
やす
)
きをたまへ
066
気魂
(
からたま
)
をたしに
保
(
たも
)
てる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
067
餌
(
ゑば
)
なく
飢
(
うゑ
)
に
渇
(
かわ
)
きゐるなり』
068
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
に
答
(
こた
)
へて、
069
『
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
日々
(
ひび
)
の
糧
(
かて
)
をば
与
(
あた
)
ふべし
070
真賀
(
まが
)
の
湖水
(
こすゐ
)
の
魚族
(
うろくづ
)
とらせよ』
071
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
答
(
こた
)
へて、
072
『ありがたし
忝
(
かたじけ
)
なしと
思
(
おも
)
へども
073
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
に
生
(
い
)
くる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
なるよ
074
魚族
(
うろくづ
)
をくひて
生
(
い
)
くべき
生命
(
いのち
)
なれば
075
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
飢
(
うゑ
)
にせまらざるべし』
076
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
077
『
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
また
生命
(
いのち
)
の
為
(
ため
)
によけれども
078
魚族
(
うろくづ
)
喰
(
くら
)
へば
生命
(
いのち
)
ながけむ
079
われは
今
(
いま
)
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
に
魚族
(
うろくづ
)
を
080
焼
(
や
)
きて
喰
(
く
)
ふべき
真火
(
まひ
)
を
与
(
あた
)
へむ』
081
斯
(
か
)
く
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ひて
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
082
この
村里
(
むらざと
)
の
小川
(
をがは
)
に
満
(
み
)
てる
魚貝
(
ぎよかひ
)
等
(
など
)
を
漁
(
あさ
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
083
燧
(
ひうち
)
により
火
(
ひ
)
を
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
して、
084
木草
(
きぐさ
)
に
燃
(
も
)
えつかせ、
085
魚貝
(
ぎよかひ
)
をその
中
(
なか
)
にほりくべ、
086
加減
(
かげん
)
よく
焙
(
あぶ
)
り
給
(
たま
)
へば、
087
芳
(
かむ
)
ばしき
香
(
かを
)
り
四辺
(
あたり
)
に
満
(
み
)
ちぬる。
088
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
は、
089
この
香
(
かを
)
りにそそられて、
090
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひ、
091
貪
(
むさぼ
)
る
如
(
ごと
)
くに
喰
(
く
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
092
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
喜
(
よろこ
)
びて、
093
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
畏
(
かしこ
)
し
魚族
(
うろくづ
)
の
094
よき
味
(
あぢ
)
はひを
教
(
をし
)
へ
給
(
たま
)
ひぬ
095
今日
(
けふ
)
よりはこの
村里
(
むらざと
)
の
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
096
飢
(
うゑ
)
に
歎
(
なげ
)
かむ
恐
(
おそ
)
れはあらじ
097
比女神
(
ひめがみ
)
のきり
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
ひし
真火
(
まひ
)
こそは
098
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
か
光
(
ひか
)
りかがよふ
099
この
真火
(
まひ
)
を
吾
(
われ
)
に
賜
(
たま
)
はば
永久
(
とこしへ
)
に
100
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
は
滅
(
ほろ
)
びざるべし』
101
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
懐中
(
くわいちう
)
より
控
(
ひか
)
への
燧
(
ひうち
)
を
取
(
と
)
り
出
(
い
)
で、
102
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
に
与
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
へば、
103
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
感謝
(
かんしや
)
措
(
お
)
く
能
(
あた
)
はず、
104
カチリカチリと
火
(
ひ
)
を
切
(
き
)
り
出
(
い
)
でながら、
105
喜
(
よろこ
)
びの
余
(
あま
)
り
俗謡
(
ぞくえう
)
を
歌
(
うた
)
ひて、
106
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
と
共
(
とも
)
に
月
(
つき
)
の
輪
(
わ
)
を
造
(
つく
)
りて
踊
(
をど
)
り
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ひける。
107
『
天津
(
あまつ
)
比女神
(
ひめがみ
)
この
郷
(
さと
)
に
108
降
(
くだ
)
りましまし
永久
(
とこしへ
)
の
109
光
(
ひか
)
りを
与
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
ひけり
110
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
今迄
(
いままで
)
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
のみ
111
喰
(
く
)
ひて
生
(
い
)
きたる
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
112
夏
(
なつ
)
と
秋
(
あき
)
とはよけれども
113
冬
(
ふゆ
)
さり
春
(
はる
)
の
来
(
き
)
むかへば
114
飢
(
うゑ
)
にくるしみ
悩
(
なや
)
みたり
115
今日
(
けふ
)
は
如何
(
いか
)
なる
吉
(
よ
)
き
日
(
ひ
)
ぞや
116
湖水
(
こすゐ
)
池水
(
いけみづ
)
川底
(
かはそこ
)
に
117
ところせきまで
満
(
み
)
ち
足
(
た
)
らふ
118
魚族
(
うろくづ
)
喰
(
く
)
ひて
永久
(
とこしへ
)
に
119
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
つと
教
(
をし
)
へまし
120
燧
(
ひうち
)
を
吾
(
われ
)
に
与
(
あた
)
へまし
121
焼
(
や
)
きて
喰
(
く
)
ふべく
教
(
をし
)
へます
122
大御恵
(
おほみめぐみ
)
のありがたや
123
今日
(
けふ
)
より
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
124
生命
(
いのち
)
の
糧
(
かて
)
を
得
(
え
)
たりけり
125
ああたのもしやたのもしや
126
天
(
あめ
)
より
降
(
くだ
)
りし
比女神
(
ひめがみ
)
の
127
恵
(
めぐみ
)
は
千代
(
ちよ
)
に
忘
(
わす
)
れまじ
128
ああありがたやありがたや
129
祝
(
いは
)
へよ
祝
(
いは
)
へよ
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
130
踊
(
をど
)
れよ
舞
(
ま
)
へよ
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
131
御空
(
みそら
)
は
碧
(
あを
)
く
地
(
つち
)
広
(
ひろ
)
く
132
月日
(
つきひ
)
は
清
(
きよ
)
く
輝
(
かがや
)
きて
133
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
もおだやかに
134
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
はまのあたり
135
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたり
惟神
(
かむながら
)
136
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
感謝言
(
ゐやひごと
)
137
白
(
まを
)
さむ
言葉
(
ことば
)
もあら
尊
(
たふ
)
と
138
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
139
女神
(
めがみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
は
忘
(
わす
)
れまじ
140
祝
(
いは
)
へよ
祝
(
いは
)
へよ
踊
(
をど
)
れよ
踊
(
をど
)
れよ
141
大地
(
だいち
)
の
底
(
そこ
)
のぬけるまで
142
竜宮
(
りうぐう
)
の
釜
(
かま
)
の
割
(
わ
)
るるまで』
143
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
の
音頭
(
おんど
)
につれて、
144
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
は
次
(
つ
)
ぎ
次
(
つ
)
ぎに
集
(
あつま
)
り
来
(
きた
)
り、
145
天地
(
てんち
)
を
震動
(
しんどう
)
させながら、
146
踊
(
をど
)
り
狂
(
くる
)
ひ
給
(
たま
)
ひける。
147
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
148
諸神
(
ももがみ
)
に
向
(
むか
)
ひ
御歌
(
みうた
)
もて
宣
(
の
)
らせ
給
(
たま
)
ふ。
149
『
曲津見
(
まがつみ
)
の
醜
(
しこ
)
のすさびを
退
(
やら
)
はむと
150
われは
燧
(
ひうち
)
を
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
に
与
(
あた
)
へし
151
今日
(
けふ
)
よりは
真賀
(
まが
)
の
湖
(
こ
)
に
棲
(
す
)
む
魚族
(
うろくづ
)
を
152
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
がかてに
与
(
あた
)
へおくべし
153
御舟巌
(
みふねいは
)
のまはりに
棲
(
す
)
める
魚族
(
うろくづ
)
は
154
いやとこしへに
漁
(
すなど
)
るなゆめ
155
御舟巌
(
みふねいは
)
は
吾
(
われ
)
を
助
(
たす
)
けし
神
(
かみ
)
なれば
156
近
(
ちか
)
くの
魚族
(
うろくづ
)
は
助
(
たす
)
け
置
(
お
)
くべし
157
過
(
あやま
)
ちて
巌根
(
いはね
)
に
棲
(
す
)
まむ
魚貝
(
ぎよかひ
)
喰
(
く
)
はば
158
忽
(
たちま
)
ち
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
が
生命
(
いのち
)
は
失
(
う
)
せむ
159
いや
広
(
ひろ
)
き
湖
(
みづうみ
)
なれば
到
(
いた
)
るところ
160
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
が
喰
(
く
)
ふべき
魚貝
(
ぎよかひ
)
は
満
(
み
)
てり
161
魚族
(
うろくづ
)
は
火
(
ひ
)
にて
焙
(
あぶ
)
りて
喰
(
くら
)
ふべし
162
生
(
い
)
きたるままにて
必
(
かなら
)
ず
喰
(
を
)
すな』
163
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
御歌
(
みうた
)
もて
喜
(
よろこ
)
び
答
(
こた
)
ふ。
164
『
久方
(
ひさかた
)
の
天
(
あめ
)
より
降
(
くだ
)
りし
比女神
(
ひめがみ
)
の
165
神言
(
みこと
)
かしこみ
千代
(
ちよ
)
に
守
(
まも
)
らむ
166
今日
(
けふ
)
よりは
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
安
(
やす
)
らかに
167
喜
(
よろこ
)
びいさみ
恵
(
めぐ
)
みに
浸
(
ひた
)
らむ
168
魚族
(
うろくづ
)
は
数限
(
かずかぎ
)
りなし
年
(
とし
)
普
(
まね
)
く
169
湖
(
うみ
)
に
満
(
み
)
てれば
飢
(
う
)
ゆる
事
(
こと
)
なし
170
願
(
ねが
)
はくば
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
に
水
(
みづ
)
を
与
(
あた
)
へかし
171
小川
(
をがは
)
に
流
(
なが
)
るるこの
真清水
(
ましみづ
)
を
172
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
真清水
(
ましみづ
)
飲
(
の
)
みて
腹
(
はら
)
痛
(
いた
)
め
173
生命
(
いのち
)
をおとす
憂
(
うれ
)
ひありせば』
174
ここに
朝香
(
あさか
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
は、
175
真土
(
まつち
)
を
水
(
みづ
)
にて
練
(
ね
)
り、
176
瓶
(
かめ
)
を
造
(
つく
)
り、
177
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
を
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
に
干
(
ほ
)
し
乾
(
かわ
)
かせ、
178
土
(
つち
)
をもて
窯
(
かまど
)
を
築
(
きづ
)
き、
179
火
(
ひ
)
をおこして
瓶
(
かめ
)
を
焼
(
や
)
き、
180
𪫧怜
(
うまら
)
にかたらに
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げ、
181
之
(
これ
)
に
水
(
みづ
)
を
満
(
みた
)
して
窯
(
かまど
)
を
造
(
つく
)
り
火
(
ひ
)
をもて
焼
(
や
)
かせ
給
(
たま
)
へば、
182
忽
(
たちま
)
ち
瓶
(
かめ
)
の
水
(
みづ
)
は
沸騰
(
ふつとう
)
して
美
(
うる
)
はしき
白湯
(
さゆ
)
となりにける。
183
比女神
(
ひめがみ
)
はこの
白湯
(
さゆ
)
を
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
に
与
(
あた
)
へ、
184
飲
(
の
)
む
事
(
こと
)
を
教
(
をし
)
へ
給
(
たま
)
ひければ、
185
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
みて
之
(
これ
)
より
白湯
(
さゆ
)
を
飲
(
の
)
む
事
(
こと
)
となしければ、
186
生水
(
なまみづ
)
の
如
(
ごと
)
く
腹
(
はら
)
を
痛
(
いた
)
むることなく、
187
各々
(
おのおの
)
その
天寿
(
てんじゆ
)
を
保
(
たも
)
ちけるこそ
目出度
(
めでた
)
けれ。
188
之
(
これ
)
より
火食
(
くわしよく
)
の
道
(
みち
)
始
(
はじ
)
まりにける。
189
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
喜
(
よろこ
)
びの
余
(
あま
)
り
感謝
(
ゐやひ
)
の
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
む。
190
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
にうるほひて
191
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
白湯
(
さゆ
)
の
味
(
あぢ
)
はひ
悟
(
さと
)
りぬ
192
火
(
ひ
)
に
焼
(
や
)
きし
魚族
(
うろくづ
)
の
味
(
あぢ
)
芳
(
かむ
)
ばしく
193
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
生命
(
いのち
)
もよみがへるなり
194
土
(
つち
)
を
練
(
ね
)
りて
瓶
(
かめ
)
を
造
(
つく
)
らせその
瓶
(
かめ
)
を
195
又
(
また
)
火
(
ひ
)
に
焼
(
や
)
かす
神業
(
みわざ
)
尊
(
たふと
)
し
196
焼
(
や
)
き
上
(
あ
)
げし
瓶
(
かめ
)
に
真清水
(
ましみづ
)
盛
(
も
)
り
満
(
みた
)
し
197
薪
(
たきぎ
)
燃
(
もや
)
せば
白湯
(
さゆ
)
は
沸
(
わ
)
くかも
198
火
(
ひ
)
の
力
(
ちから
)
始
(
はじ
)
めて
悟
(
さと
)
りし
吾々
(
われわれ
)
は
199
今日
(
けふ
)
より
飢
(
うゑ
)
に
泣
(
な
)
く
事
(
こと
)
なからむ
200
永久
(
とこしへ
)
の
生命
(
いのち
)
保
(
たも
)
ちてこの
郷
(
さと
)
に
201
われは
栄
(
さか
)
えむ
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
と
202
曲津見
(
まがつみ
)
の
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
きた
)
らば
真火
(
まひ
)
もちて
203
放
(
はふ
)
り
退
(
やら
)
はむ
力
(
ちから
)
おぼえし
204
比女神
(
ひめがみ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
御舟巌
(
みふねいは
)
の
205
あたりの
魚族
(
うろくづ
)
永久
(
とは
)
にとらさじ
206
空
(
そら
)
は
晴
(
は
)
れ
地上
(
ちじやう
)
は
夏
(
なつ
)
の
風
(
かぜ
)
吹
(
ふ
)
きて
207
心
(
こころ
)
清
(
すが
)
しも
比女
(
ひめ
)
の
出
(
い
)
でまし
208
比女神
(
ひめがみ
)
の
教
(
をし
)
へたまひし
御恵
(
みめぐみ
)
を
209
四方
(
よも
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
に
分
(
わか
)
ちよろこばむ
210
この
国土
(
くに
)
は
葦原
(
あしはら
)
の
国
(
くに
)
と
昔
(
むかし
)
より
211
たたへ
来
(
きた
)
りし
常闇
(
とこやみ
)
なりけり
212
常闇
(
とこやみ
)
のこの
葦原
(
あしはら
)
も
今日
(
けふ
)
よりは
213
真火
(
まひ
)
の
力
(
ちから
)
によみがへるべし
214
火
(
ひ
)
と
水
(
みづ
)
を
与
(
あた
)
へ
給
(
たま
)
ひし
比女神
(
ひめがみ
)
の
215
恵
(
めぐみ
)
は
永久
(
とは
)
に
忘
(
わす
)
れざるべし
216
比女神
(
ひめがみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
永久
(
とは
)
に
忘
(
わす
)
れじと
217
宮居
(
みやゐ
)
を
造
(
つく
)
り
斎
(
いは
)
ひまつらむ』
218
斯
(
か
)
く
宣
(
の
)
り
終
(
を
)
へて、
219
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
数多
(
あまた
)
の
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
を
率
(
ひき
)
ゐて、
220
真賀
(
まが
)
の
湖辺
(
こへん
)
に
新
(
あたら
)
しき
清
(
すが
)
しき
宮居
(
みや
)
を
造
(
つく
)
り、
221
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
幸
(
さち
)
を
祈
(
いの
)
るべく、
222
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神霊
(
しんれい
)
を
祀
(
まつ
)
り、
223
相殿
(
あひどの
)
に
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
神魂
(
みたま
)
を
合
(
あは
)
せ
祀
(
まつ
)
りて、
224
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
な
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
は
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
る
奉仕
(
ほうし
)
する
事
(
こと
)
となりぬ。
225
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
再
(
ふたた
)
び
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り、
226
この
部落
(
ぶらく
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でむとして
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
227
『いざさらば
狭野
(
さぬ
)
の
小郷
(
をさと
)
に
住
(
す
)
み
給
(
たま
)
ふ
228
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
に
暇
(
いとま
)
を
告
(
つ
)
げむ
229
これよりは
吾
(
われ
)
西方
(
にしかた
)
の
稚国土
(
わかぐに
)
を
230
さして
進
(
すす
)
まむすこやかにあれよ』
231
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
別
(
わか
)
れを
惜
(
を
)
しみて
歌
(
うた
)
を
宣
(
の
)
る。
232
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
功
(
いさを
)
たふとしせめて
今
(
いま
)
233
一日
(
ひとひ
)
をここに
止
(
とど
)
まり
給
(
たま
)
はれ
234
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
生命
(
いのち
)
の
糧
(
かて
)
をたまひたる
235
女神
(
めがみ
)
に
別
(
わか
)
ると
思
(
おも
)
へばかなし
236
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
諸々
(
もろもろ
)
ここに
集
(
あつ
)
まりて
237
公
(
きみ
)
の
旅立
(
たびだ
)
ち
惜
(
を
)
しみて
泣
(
な
)
くも
238
狭野
(
さぬ
)
の
郷
(
さと
)
の
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
と
現
(
あ
)
れましし
239
比女神
(
ひめがみ
)
の
旅
(
たび
)
を
止
(
とど
)
めたく
思
(
おも
)
ふ
240
とこしへに
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
241
公
(
きみ
)
が
神魂
(
みたま
)
をいつきまつらむ』
242
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
243
『
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
は
悟
(
さと
)
らぬにあらねども
244
御子生
(
みこう
)
みのため
止
(
とど
)
まるべしやは
245
気魂
(
からたま
)
をもたせる
汝
(
なれ
)
等
(
ら
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
よ
246
いたづきもなくまめやかにあれ
247
吾
(
われ
)
こそは
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御水火
(
みいき
)
より
248
生
(
うま
)
れし
神
(
かみ
)
ぞ
身
(
み
)
にさはりなし
249
いざさらば
愛
(
め
)
ぐしき
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
たち
)
よ
250
われは
進
(
すす
)
まむ
永久
(
とは
)
に
栄
(
さか
)
えよ』
251
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
別
(
わか
)
れ
惜
(
を
)
しさに
又
(
また
)
歌
(
うた
)
ふ。
252
『かくならば
止
(
とど
)
めむ
術
(
すべ
)
もなかりけり
253
国津神
(
くにつかみ
)
等
(
ら
)
と
神霊
(
みたま
)
に
仕
(
つか
)
へむ
254
願
(
ねが
)
はくば
御供
(
みとも
)
を
許
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
へかし
255
この
行先
(
ゆくさき
)
の
曲津
(
まが
)
しげければ
256
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
生
(
い
)
きの
生命
(
いのち
)
をすつるとも
257
比女
(
ひめ
)
のためには
惜
(
を
)
しからざるべし
258
今日
(
けふ
)
よりは
御供
(
みとも
)
の
神
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へつつ
259
比女神
(
ひめがみ
)
のために
従
(
したが
)
ひ
行
(
ゆ
)
かむ』
260
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
微笑
(
ほほゑ
)
みながら、
261
『やさしかる
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
の
心
(
こころ
)
うべなひて
262
今日
(
けふ
)
よりわれの
供
(
とも
)
を
許
(
ゆる
)
さむ』
263
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
は
喜
(
よろこ
)
びに
堪
(
た
)
へず、
264
『
比女神
(
ひめがみ
)
の
許
(
ゆる
)
しありけり
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
よ
265
神
(
かみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
清
(
きよ
)
く
仕
(
つか
)
へませ
266
いざさらば
御供
(
みとも
)
仕
(
つか
)
へむ
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
267
神
(
かみ
)
よ
御馬
(
みうま
)
に
鞭
(
むち
)
うたせませ』
268
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はここに
狭野
(
さぬ
)
比古
(
ひこ
)
を
従
(
したが
)
へ、
269
晴
(
は
)
れたる
大野
(
おほの
)
ケ
原
(
はら
)
を、
270
駒
(
こま
)
を
並
(
なら
)
べて
勇
(
いさ
)
ましく
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ひける。
271
(
昭和八・一二・八
旧一〇・二一
於水明閣
谷前清子
謹録)
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【第15章 御舟巌|第76巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7615】
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