霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 怪(あや)しの巌山(いはやま)〔一九二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻 篇:第1篇 春風駘蕩 よみ(新仮名遣い):しゅんぷうたいとう
章:第4章 怪しの巌山 よみ(新仮名遣い):あやしのいわやま 通し章番号:1921
口述日:1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日) 口述場所:水明閣 筆録者:白石恵子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年3月23日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
一方、鋭敏鳴出の神に吹き散らされた曲津神たちは陣容を立て直し、雲を次々と吐き出して重なり合わせ、延々数百里にもまたがる巖山を築き上げ、その前に千尋の谷川を作って一行を阻もうとした。
しかし、再び鋭敏鳴出の神が、千引巖を頭上の高く差し上げ、「うん」という一声と共に深い谷川の巖が根に打ち付ければ、巖と巖がぶつかってほとばしりでた火の光に曲津神は驚き退いてしまった。
紫微天界における火は、鋭敏鳴出の神の神の巖投げによって始まった。
曲津見の神たちは、火の光に驚き肝を冷やし、数百里の巖山も次第に影が薄らぎ、白雲となって空に消えてしまった。
さらに鋭敏鳴出の神の神は言霊歌により風を呼び、空に漂ってなおも日の光をさえぎっている曲津神の雲を晴らしてしまった。
一行一同は、鋭敏鳴出の神の言霊の神徳をたたえる歌を歌ったが、同時に、曲津神の根源が、百神たちの曇った水火(いき)が固まって生まれたことを悟った。そして、自分自身の心の曇りが高地秀の宮にも曇りを生んだことを悔いた。
高野比女は、鋭敏鳴出の神に先頭を、天津女雄の神に後方の守りを任せ、一行は春風渡る青野ケ原を、駒に乗って東の宮への帰り道を進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-07-03 17:53:21 文字数:3982 OBC :rm7604
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 515頁 修補版: 校定版:226頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 八十(やそ)曲津見(まがつみ)の神(かみ)は、002鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の生言霊(いくことたま)にうたれて、003雲霧(くもきり)となり、004西(にし)吹(ふ)く風(かぜ)にあふられて、005一度(ひとたび)は東(ひがし)の御空(みそら)遥(はる)かに逃(に)げ失(う)せたれども、006ここに再(ふたた)び陣容(ぢんよう)を立(た)て直(なほ)し、007飽(あ)くまでも神(かみ)の神業(みわざ)にさやらむと、008古綿(ふるわた)をちぎりたる如(ごと)く、009雲(くも)を次々(つぎつぎ)吐(は)き出(い)だし、010幾千丈(いくせんぢやう)とも限(かぎ)りなく重(かさな)り合(あは)せて、011遂(つひ)には天(てん)を貫(つらぬ)く大巨巌(だいきよがん)となり、012蜿蜒(えんえん)数百(すうひやく)里(り)にまたがる巌骨(いはほね)の山(やま)を築(きづ)き上(あ)げ、013その前面(ぜんめん)に千尋(ちひろ)の深(ふか)き溪川(たにがは)をつくりて、014一歩(いつぽ)も進(すす)ましめざらむとし、015力(ちから)を尽(つく)すこそ忌々(ゆゆ)しけれ。
016 ここに、017高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)一行(いつかう)は、018駒(こま)の轡(くつわ)を並(なら)べて、019夜(よ)を日(ひ)についで進(すす)ませ給(たま)ふ折(をり)しもあれ、020前途(ぜんと)に横(よこた)はる思(おも)ひがけなき巌山(いはやま)に、021行手(ゆくて)を遮(さへぎ)られ、022暫(しば)し思案(しあん)にくれ給(たま)ひけるが、023ここに鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は、024曲津見(まがつみ)の醜(しこ)の雄猛(をたけ)びものものしやと宣(の)りつつ、025かたへの千引巌(ちびきいは)を、026頭上(づじやう)高(たか)くさし上(あ)げながら、027「うん」と一声(ひとこゑ)、028深溪川(ふかたにがは)の巌ケ根(いはがね)に向(むか)つて打(う)ちつけ給(たま)へば、029巌(いは)と巌(いは)とは相摩(あひま)して、030迸(ほとばし)り出(い)でたる火(ひ)の光(ひかり)に、031曲津(まがつ)神(かみ)は驚(おどろ)きて、032さしもに堅(かた)き巌山(いはやま)も、033どよめきそめつ梢(やや)後方(しりへ)に退(しりぞ)きにける。
034 紫微(しび)天界(てんかい)に於(お)ける、035火(ひ)の生(うま)れ出(い)でしは、036鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の巌投(いはな)げによりて始(はじ)まれるなり。037曲津見(まがつみ)の神(かみ)は激(はげ)しく飛(と)び出(い)でし火(ひ)の光(ひかり)に、038驚(おどろ)きて肝(きも)を冷(ひや)し、039今(いま)までの勇気(ゆうき)はどこへやら、040数百(すうひやく)里(り)にまたがる巌山(いはやま)も、041次第(しだい)々々(しだい)に影(かげ)うすらぎ、042遂(つひ)には白雲(はくうん)となりて、043御空(みそら)遠(とほ)く消(き)え失(う)せたるぞ不思議(ふしぎ)なれ。
044 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)はこの態(さま)を見(み)て、045感嘆(かんたん)のあまり御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
046『鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の功(いさを)に生(あ)れ出(い)でし
047火(ひ)は曲神(まがかみ)を追(お)ひ散(ち)らしける
048巌骨(ロツキー)の山(やま)と変(へん)じて曲神(まがかみ)は
049わが行先(ゆくさき)をさへぎりしはや
050千引巌(ちびきいは)の摩擦(まさつ)によりて現(あら)はれし
051炎(ほのほ)はすべてを焼(や)きつくすらむ
052天界(てんかい)に始(はじ)めて見(み)たる火(ひ)の光(ひかり)
053四方(よも)を照(て)らして曲(まが)をやらへり
054巌ケ根(いはがね)ゆ火(ひ)の出(い)づること悟(さと)りけり
055鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の神業(みわざ)によりて』
056 鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
057『曲神(まがかみ)は巌骨(ロツキー)の山(やま)と変(へん)じつつ
058行手(ゆくて)にさやれど何(なに)か恐(おそ)れむ
059巌(いは)と巌(いは)の軋(きし)りて生(あ)れし火(ひ)の神(かみ)の
060功(いさを)たふとくわれをろがみぬ
061谷底(たにそこ)に散(ち)りたる火花(ひばな)に怖(お)ぢ恐(おそ)れ
062ときはの巌山(いはやま)も崩(くづ)れ初(そ)めたり
063堅磐(かきは)常磐(ときは)の巌(いはほ)の山(やま)と見(み)ゆれども
064雲(くも)と雲(くも)とのかたまりなるも
065アオウエイ生言霊(いくことたま)を宣(の)りあげて
066この巌山(いはやま)を雲(くも)と散(ち)らさむ』
067 かく歌(うた)ひつつ、068鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は、069声(こゑ)も朗(ほがら)かに御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
070『アオウエイ天津(あまつ)真言(まこと)の言霊(ことたま)に
071巌骨山(ロツキーさん)は跡(あと)なく消(き)えむ
072カコクケキ輝(かがや)き渡(わた)る大空(おほぞら)の
073天津(あまつ)日光(ひかげ)に亡(ほろ)びよ曲津見(まがつみ)
074サソスセシ
075さやりたる醜(しこ)の曲津見(まがつみ)の曲業(まがわざ)も
076生言霊(いくことたま)の水火(いき)に消(き)えなむ
077タトツテチ
078たつくもの重(かさな)り合(あ)ひて巌(いは)となりし
079曲津(まが)の山(やま)をば崩(くづ)してや見(み)む
080ナノヌネニ
081ながながと広野(ひろの)の中(なか)に尾(を)をひきし
082この巌山(いはやま)もいまに消(き)えなむ
083ハホフヘヒ空(そら)吹(ふ)く風(かぜ)の功績(いさをし)に
084雲(くも)と散(ち)るべしこの巌山(いはやま)も
085マモムメミ
086曲津見(まがつみ)の醜(しこ)の猛(たけ)びの深(ふか)くとも
087われには言霊剣(ことたまつるぎ)ありけり
088ヤヨユエイ
089八十(やそ)曲津見(まがつみ)力(ちから)の限(かぎ)りさやるとも
090如何(いか)で悩(なや)まむ神(かみ)なるわれは
091ワヲウヱヰ
092わくらはに力(ちから)あつめて生(な)り出(い)でし
093曲(まが)の巌山(いはやま)いまに砕(くだ)かむ
094一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)九(ここの)十(たり)
095百千万(ももちよろづ)の神(かみ)守(まも)らせたまへ』
096 斯(か)く歌(うた)ひ給(たま)ふや、097蜿蜒(ゑんえん)として幾百(いくひやく)里(り)にわたりたる巌骨(ロツキー)の山(やま)も、098次第(しだい)々々(しだい)に煙(けむり)となりて砕(くだ)けつつ、099風(かぜ)のまにまに散(ち)り行(ゆ)くぞ愉快(ゆくわい)なれ。
100 天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)はこの態(さま)を見(み)て、101御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
102『天晴(あは)れ天晴(あは)れ鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の功績(いさをし)に
103醜(しこ)の巌山(いはやま)早(は)や崩(くづ)れたり
104曲神(まがかみ)の奸計(たくみ)の深溪川(ふかたにがは)さへも
105底(そこ)あせにつつかくろひにけり
106天地(あめつち)の中(なか)に生(うま)れて主(ス)の神(かみ)の
107恵(めぐ)みを知(し)らぬ曲津(まがつ)神(かみ)はも
108火(ひ)の神(かみ)の在処(ありか)を始(はじ)めて悟(さと)りけり
109巌(いは)と巌(いは)との中(なか)にいますを
110曲神(まがかみ)の醜(しこ)のとりでを亡(ほろ)ぼさむ
111ためには強(つよ)き力(ちから)の火(ひ)なるよ
112あらがねの地(つち)にも火(ひ)にも神(かみ)ますと
113われは始(はじ)めて悟(さと)らひしはや
114曲神(まがかみ)は火(ひ)の御光(みひかり)に怖(お)ぢ恐(おそ)れ
115雲(くも)の彼方(かなた)に影(かげ)をかくせり
116かくのごと力(ちから)の限(かぎ)りを集(あつ)めたる
117曲(まが)の仕組(しぐみ)の山(やま)は崩(くづ)れぬ
118言霊(ことたま)の水火(いき)に生(うま)れし天界(かみくに)に
119尊(たふと)きものは言霊(ことたま)なるかも
120何一(なにひと)つ武器(ぶき)は持(も)たねど言霊(ことたま)の
121水火(いき)の剣(つるぎ)に守(まも)られ行(ゆ)かむ
122真心(まごころ)をつくしの宮居(みや)より降(くだ)り来(こ)し
123われ面白(おもしろ)きことを見(み)たりき
124駿馬(はやこま)は勇(いさ)みすすみて天界(かみくに)の
125この清(すが)しさに嘶(いなな)き止(や)まずも』
126 梅咲(うめさく)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
127『面白(おもしろ)き旅(たび)に立(た)つかも行先(ゆくさき)に
128曲(まが)の構(かま)へし砦(とりで)を破(やぶ)りつ
129主(ス)の神(かみ)の御稜威(みいづ)は高(たか)しわが岐美(きみ)の
130功(いさを)は広(ひろ)しと思(おも)へば楽(たの)し
131曲神(まがかみ)の心(こころ)つくしの巌山(いはやま)も
132生言霊(いくことたま)に跡(あと)なく亡(ほろ)びぬ
133曲神(まがかみ)は偽(いつは)りごとをたくみつつ
134さやらむとする心(こころ)浅(あさ)ましも
135天津(あまつ)真言(まこと)の生言霊(いくことたま)の幸(さち)はひに
136生(な)りし森羅万象(ものみな)は永久(とは)に亡(ほろ)びじ』
137 香具(かぐ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
138『御樋代(みひしろ)神(がみ)とわれは選(えら)まれ東(ひむがし)の
139宮居(みや)に仕(つか)へておもふ事(こと)なし
140今(いま)までの心(こころ)の雲(くも)り晴(は)れにつつ
141わが背(せ)の岐美(きみ)を尊(たふと)くぞ思(おも)ふ
142恋(こひ)しさの心(こころ)は消(き)えて背(せ)の岐美(きみ)を
143敬(うやま)ふわれとなりにけらしな
144鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の功(いさを)の尊(たふと)さを
145悟(さと)りてわれは心(こころ)はづかし
146力(ちから)なき女神(めがみ)の身(み)もて神業(かむわざ)に
147仕(つか)ふる日々(ひび)の重(おも)さを思(おも)ふ
148さりながら辞(いな)まむ術(すべ)もなかりけり
149神(かみ)の依(よ)さしの尊(たふと)かりせば
150わが心(こころ)曇(くも)らひにつつ背(せ)の岐美(きみ)の
151神業(みわざ)にさやりし事(こと)を悔(く)ゆるも
152言霊(ことたま)の水火(いき)も清(きよ)めずひたすらに
153岐美(きみ)を慕(した)ひし愚(おろ)かさを恥(は)づ』
154 寿々子(すずこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
155『ここに来(き)て神(かみ)の奇(くす)しき神業(かむわざ)を
156近(ちか)く眺(なが)めつおどろきしはや
157何事(なにごと)も生言霊(いくことたま)の幸(さち)はひに
158生(な)り出(い)づるよしを悟(さと)らひにけり
159やすやすと神(かみ)に仕(つか)へて朝夕(あさゆふ)を
160過(すご)せしわれは愚(おろ)かなりける
161朝夕(あさゆふ)の禊(みそぎ)の神事(わざ)をおこたりし
162われは御子生(みこう)み叶(かな)はざりしよ
163今日(けふ)よりは瀬見(せみ)の小川(をがは)に禊(みそぎ)して
164生言霊(いくことたま)を清(きよ)め澄(す)まさむ
165鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の言霊(ことたま)清(きよ)ければ
166流石(さすが)の曲津見(まがつみ)も逃(に)げ失(う)せにけり』
167 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)うたひ給(たま)ふ。
168『御樋代(みひしろ)の神(かみ)とはいへど言霊(ことたま)の
169濁(にご)りにそひます神(かみ)はあらまじ
170わが岐美(きみ)を恨(うら)みし事(こと)の今更(いまさら)に
171はづかしきかも水火(いき)の曇(くも)れば
172曇(くも)りたる水火(いき)もて少(すこ)しも曇(くも)りなき
173水火(いき)にあはすと思(おも)ひし愚(おろ)かさ
174吾(われ)のみか八柱(やはしら)比女神(ひめがみ)も悉(ことごと)く
175生言霊(いくことたま)は濁(にご)らひますらむ
176御子生(みこう)みの神業(わざ)に離(はな)れし過(あやまち)も
177みな言霊(ことたま)の濁(にご)ればなりけり
178今日(けふ)よりは心(こころ)の奥(おく)より清(きよ)め澄(す)まし
179神(かみ)の依(よ)さしの神業(みわざ)につくさむ
180御樋代(みひしろ)の神(かみ)と任(ま)けられいたづらに
181この年月(としつき)を暮(くら)すべきやは
182言霊(ことたま)の清(きよ)くありせば曲神(まがかみ)の
183千引(ちびき)の巌(いは)も崩(くづ)れこそすれ
184朝(あさ)な夕(ゆふ)な瀬見(せみ)の小川(をがは)に禊(みそぎ)して
185慎(つつ)しみ敬(ゐやま)ひ神業(みわざ)に仕(つか)へむ
186曲神(まがかみ)の強(つよ)き猛(たけ)びも恐(おそ)れずに
187進(すす)み行(ゆ)かむか言霊剣(ことたまつるぎ)もて』
188 宇都子(うづこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
189『宇都子(うづこ)比女(ひめ)われは御樋代(みひしろ)神(がみ)として
190今日(けふ)が日(ひ)までも待(ま)ちあぐみたり
191真心(まごころ)をつくしの宮居(みや)に詣(まう)でつつ
192主(ス)の大神(おほかみ)の光(ひか)りにうたれつ
193主(ス)の神(かみ)の依(よ)さしの神業(みわざ)成(な)らずして
194あだに月日(つきひ)を過(すご)す苦(くる)しさ
195鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の言霊(ことたま)清(きよ)ければ
196御空(みそら)の月日(つきひ)も澄(す)み渡(わた)りつつ
197曲神(まがかみ)は雲霧(くもきり)となり雨(あめ)となりて
198わが行先(ゆくさき)にさやりこそすれ
199万世(よろづよ)の末(すゑ)の末(すゑ)まで生(い)き生(い)きて
200神業(みわざ)に仕(つか)へむ若返(わかがへ)りつつ
201若返(わかがへ)り若返(わかがへ)りつつ神業(かむわざ)に
202仕(つか)へむとして言霊(ことたま)磨(みが)くも』
203 狭別(さわけ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
204『いざさらば進(すす)み行(ゆ)かなむ曲津見(まがつみ)は
205影(かげ)だにもなく逃(に)げ失(う)せにけり
206うづ高(たか)く積(つ)みて造(つく)りし巌山(いはやま)も
207跡(あと)なく消(き)えて春風(はるかぜ)わたる
208言霊(ことたま)の旅(たび)を重(かさ)ねてをりをりに
209曲津(まが)の奸計(たくみ)をめづらしみ見(み)つ
210言霊(ことたま)に消(き)えて跡(あと)なき巌山(いはやま)の
211あとに匂(にほ)へる百花(ももばな)千花(ちばな)よ
212言霊(ことたま)の水火(いき)の濁(にご)れば雲(くも)となり
213曲津見(まがつみ)となりて世(よ)を塞(ふさ)ぐなり
214百神(ももがみ)の曇(くも)れる水火(いき)の固(かた)まりて
215八十(やそ)曲津見(まがつみ)は生(あ)れ出(い)でにけむ
216斯(かく)の如(ごと)悟(さと)りしわれは今日(けふ)の日(ひ)を
217さかひとなして言霊(ことたま)みがかむ
218わが神魂(みたま)清(きよ)まりぬれば自(おのづか)ら
219生言霊(いくことたま)も澄(す)みきらふらむ
220天界(かみくに)の旅(たび)をつづけて今更(いまさら)に
221生言霊(いくことたま)のたふとさを知(し)る
222洗(あら)へども磨(みが)けどおちぬ魂線(たましひ)の
223曇(くも)りを如何(いか)に払(はら)はむかと思(おも)ふ
224神(かみ)を愛(あい)し神(かみ)を信(しん)じつ朝夕(あさゆふ)に
225魂(たま)洗(あら)ふよりほかに道(みち)なし』
226 花子(はなこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
227『われもまた御樋代(みひしろ)神(がみ)と仕(つか)へつつ
228高地秀(たかちほ)の宮居(みや)に年(とし)をふりけり
229高地秀(たかちほ)の宮居(みや)の聖所(すがど)に朝夕(あさゆふ)を
230曇(くも)りし心(こころ)に仕(つか)へ来(こ)しはも
231愛善(あいぜん)の真言(まこと)の光(ひかり)におはす神(かみ)は
232われをきためず許(ゆる)しましぬる
233今日(けふ)よりは心(こころ)の駒(こま)を立(た)て直(なほ)し
234小(ちひ)さき事(こと)にかかはらざるべし
235大(おほ)らかにいます岐美(きみ)ゆゑ大(おほ)らかに
236仕(つか)へて神業(みわざ)に勉(つと)むべきなり
237村肝(むらきも)の心(こころ)の闇(やみ)は晴(は)れにけり
238主(ス)の大神(おほかみ)の御旨(みむね)さとりて
239何事(なにごと)も神(かみ)の御心(みこころ)と知(し)りながら
240をりをり小(ちひ)さき心(こころ)のわくも
241妬(ねた)み嫉(そね)み今(いま)まで続(つづ)けし八柱(やはしら)の
242御樋代(みひしろ)神(がみ)を愚(おろ)かしみおもふ
243御樋代(みひしろ)の神(かみ)の中(なか)にもすぐれたる
244きたなき心(こころ)持(も)ちしわれなり
245花(はな)のごと清(きよ)くあれよと主(ス)の神(かみ)は
246花子(はなこ)と名(な)づけ給(たま)ひしものを
247花(はな)も実(み)もなき言霊(ことたま)を宣(の)りにつつ
248わが背(せ)の岐美(きみ)を悩(なや)ませしはや
249わが罪(つみ)の深(ふか)さ重(おも)さを悟(さと)りつつ
250神(かみ)の御前(みまへ)に詫(わ)びつつ泣(な)くなり』
251 小夜子(さよこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
252『夜(よる)も昼(ひる)も神(かみ)の恵(めぐ)みに抱(いだ)かれて
253天界(かみくに)に住(す)むわれはたのしも
254楽(たの)しかるこの天界(かみくに)に生(うま)れあひて
255かこち過(すご)せしことを今(いま)悔(く)ゆ
256言霊(ことたま)の幸(さち)はひたすくる天界(かみくに)に
257われは亡(ほろ)びの道(みち)を歩(あゆ)みし
258知(し)らず識(し)らず亡(ほろ)びの道(みち)を辿(たど)りけり
259妬(ねた)ましき心(こころ)いやかさなりて
260御樋代(みひしろ)神(がみ)かたみに妬(ねた)み嫉(そね)みつつ
261高地秀(たかちほ)の宮居(みや)を曇(くも)らせしはや
262清(きよ)らけき心(こころ)の玉(たま)をかがやかし
263かたみに仕(つか)へむ神(かみ)の御前(みまへ)に
264主(ス)の神(かみ)の七十五声(ななそまりいつつ)の言霊(ことたま)に
265国津(くにつ)神(かみ)たち数多(あまた)生(あ)れにき
266国津(くにつ)神(かみ)の上(かみ)に立(た)てよと主(ス)の神(かみ)の
267依(よ)さし給(たま)ひしわれ等(ら)なりける
268国津(くにつ)神(かみ)の心(こころ)におとる魂線(たましひ)を
269もちて仕(つか)へむことの難(かた)きも
270真心(まごころ)のあらむ限(かぎ)りを照(て)らしつつ
271世(よ)のため神(かみ)のためにつくさむ
272いざさらば百神(ももがみ)駒(こま)に召(め)しませよ
273東(ひがし)の宮居(みや)は遥(はろ)かなりせば』
274 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
275『鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)はわが行(ゆ)く先(さき)に立(た)ちて
276進(すす)ませたまへこの広原(ひろはら)を
277天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)は後方(しりへ)を守(まも)りつつ
278進(すす)ませたまへ東(ひがし)の宮居(みや)へ』
279 斯(か)く歌(うた)ひ給(たま)へば、280鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は、281高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)其(その)他(た)一同(いちどう)に黙礼(もくれい)しながら、282ひらりと駒(こま)に跨(またが)り、283いざや道案内(みちあない)せむと、284馬背(こまのせ)に鞭(むち)うち蹄(ひづめ)の音(おと)も勇(いさ)ましく、285鈴(すず)の音(ね)を四辺(あたり)に響(ひび)かせながら、286春風(はるかぜ)わたる青野(あをの)ケ原(はら)を進(すす)ませ給(たま)へば、287一行(いつかう)は轡(くつわ)を並(なら)べてしづしづと御心(みこころ)も朗(ほがら)かに進(すす)み出(い)で給(たま)ふ。
288(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 白石恵子謹録)
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