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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第76巻(卯の巻)
序文
総説
日本所伝の天地開闢説
支那の開闢説
波斯の宇宙創造説
希臘の天地開闢説
エヂプトの開闢説
メキシコナフア族の天地創造説
マヤ族の万物創造説
北欧に於ける宇宙創造説
太平洋西北岸創造説
英領北亜米利加創造説
亜弗利加神話
ヘブライ天地創造説
パレスチン創造説
ミクロネシヤ創造説
インドネシヤ創造説
第1篇 春風駘蕩
第1章 高宮参拝
第2章 魔の渓流
第3章 行進歌
第4章 怪しの巌山
第5章 露の宿
第2篇 晩春の神庭
第6章 報告祭
第7章 外苑の逍遥
第8章 善言美霊
第3篇 孤軍奮闘
第9章 闇の河畔
第10章 二本松の蔭
第11章 栄城の山彦
第12章 山上の祈り
第13章 朝駒の別れ
第14章 磐楠舟
第15章 御舟巌
余白歌
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霊界物語
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天祥地瑞(第73~81巻)
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第76巻(卯の巻)
> 第1篇 春風駘蕩 > 第2章 魔の渓流
<<< 高宮参拝
(B)
(N)
行進歌 >>>
第二章
魔
(
ま
)
の
渓流
(
けいりう
)
〔一九一九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
篇:
第1篇 春風駘蕩
よみ(新仮名遣い):
しゅんぷうたいとう
章:
第2章 魔の渓流
よみ(新仮名遣い):
まのけいりゅう
通し章番号:
1919
口述日:
1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年3月23日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
高地秀の宮への帰り道、鋭敏鳴出の神は行進歌を歌いながら進んで行った。
すると、行く手に断崖の渓流が現れた。天津高宮への詣でのときにはこのような渓流はなかったので、一同は曲津神にたくらみであると悟った。そして、心身を清めて言霊で渓流を退けようと、まず高野比女が言霊歌を詠み始めた。
鋭敏鳴出の神は、言霊の限りを尽くして『ウーウーウー』と唸り出れば、渓流の水はたちまち雲となって天に上り出し、風になびいて東の空に立ち去ってしまった。
一同は鋭敏鳴出の神の言霊をたたえる歌を歌い、引き続き高地秀の宮へ進んで行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7602
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 498頁
修補版:
校定版:
161頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
ここに
八柱
(
やはしら
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
遥々
(
はるばる
)
と
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
打
(
う
)
ち
集
(
つど
)
ひ、
002
祈願
(
きぐわん
)
をこらすべく
上
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
003
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もちて、
004
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮
(
みや
)
の
神司
(
かむつかさ
)
として
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
、
005
天津
(
あまつ
)
女雄
(
めを
)
の
神
(
かみ
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
を
授
(
さづ
)
けられ、
006
いそいそとして
白馬
(
しらこま
)
に
跨
(
またが
)
り、
007
蹄
(
ひづめ
)
の
音
(
おと
)
も
勇
(
いさ
)
ましく、
008
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮
(
みや
)
をさして
帰
(
かへ
)
らせ
給
(
たま
)
ひつつ、
009
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
は
行進歌
(
かうしんか
)
をうたはせ
給
(
たま
)
ふ。
010
『
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
神言
(
みこと
)
もて
011
八柱神
(
やはしらがみ
)
を
守
(
まも
)
りつつ
012
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
に
013
そそり
立
(
た
)
ちたる
高地秀
(
たかちほ
)
の
014
神
(
かみ
)
の
御山
(
みやま
)
の
麓
(
ふもと
)
なる
015
高地秀
(
たかちほ
)
宮
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へむと
016
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
任
(
まか
)
せつつ
017
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
楽
(
たの
)
しけれ
018
御空
(
みそら
)
にかかる
月光
(
つきかげ
)
も
019
天津
(
あまつ
)
陽光
(
ひかげ
)
も
清
(
きよ
)
らかに
020
雲霧
(
くもきり
)
晴
(
は
)
れて
天地
(
あめつち
)
は
021
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
歌
(
うた
)
ふなり
022
百
(
もも
)
の
木草
(
きぐさ
)
は
芳
(
かむ
)
ばしき
023
香
(
かを
)
りを
放
(
はな
)
ち
種々
(
くさぐさ
)
の
024
艶
(
えん
)
を
競
(
きそ
)
へる
花
(
はな
)
は
咲
(
さ
)
き
025
げに
楽
(
たの
)
もしき
国原
(
くにはら
)
や
026
小鳥
(
ことり
)
はうたひ
蝶
(
てふ
)
は
舞
(
ま
)
ふ
027
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
真秀良場
(
まほらば
)
に
028
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
を
蒙
(
かか
)
ぶりて
029
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
030
進
(
すす
)
まむ
道
(
みち
)
にさやるべき
031
醜
(
しこ
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
もあらざらむ
032
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
033
万里
(
ばんり
)
の
山坂
(
やまさか
)
のり
越
(
こ
)
えて
034
吾
(
われ
)
は
堂々
(
どうどう
)
進
(
すす
)
むなり
035
わが
乗
(
の
)
る
駒
(
こま
)
は
貴
(
うづ
)
の
駒
(
こま
)
036
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
を
鬣
(
たてがみ
)
に
037
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に
分
(
わ
)
けながら
038
嘶
(
いなな
)
き
強
(
つよ
)
く
駆
(
か
)
け
出
(
い
)
だす
039
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
040
今日
(
けふ
)
の
旅路
(
たびぢ
)
のいさましさ』
041
斯
(
か
)
く
歌
(
うた
)
ひつつ
進
(
すす
)
み
給
(
たま
)
ふや、
042
行手
(
ゆくて
)
に
横
(
よこた
)
はる
川底
(
かはそこ
)
深
(
ふか
)
き
溪流
(
けいりう
)
、
043
如何
(
いか
)
なる
神馬
(
しんめ
)
も
越
(
こ
)
ゆるあたはず。
044
西岸
(
せいがん
)
の
断崖
(
だんがい
)
絶壁
(
ぜつぺき
)
を
打
(
う
)
ち
眺
(
なが
)
めながら、
045
各自
(
おのもおのも
)
駒
(
こま
)
の
背
(
せ
)
を
下
(
お
)
り
岸辺
(
きしべ
)
に
立
(
た
)
ちて
休
(
やす
)
らひ
乍
(
なが
)
ら、
046
この
溪川
(
たにがは
)
を
如何
(
いか
)
にして
越
(
こ
)
えむかと
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ひ
給
(
たま
)
ひぬ。
047
八柱
(
やはしら
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
天津
(
あまつ
)
高宮
(
たかみや
)
に
詣
(
まう
)
で
給
(
たま
)
ひし
行手
(
ゆくて
)
の
道
(
みち
)
には、
048
かかる
深
(
ふか
)
き
溪川
(
たにがは
)
あらざりしに、
049
帰
(
かへ
)
り
路
(
ぢ
)
に
当
(
あた
)
りて
同
(
おな
)
じ
道筋
(
みちすぢ
)
に、
050
かかる
危険
(
きけん
)
の
溪流
(
けいりう
)
横
(
よこた
)
はるは、
051
大曲津見
(
おほまがつみ
)
の
神
(
かみ
)
の
神業
(
みわざ
)
をさまたげむとしての
奸計
(
わるだくみ
)
ならむ。
052
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
身
(
み
)
を
清
(
きよ
)
め、
053
静
(
しづか
)
に
生言霊
(
いくことたま
)
を
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて、
054
この
溪川
(
たにがは
)
を
遠
(
とほ
)
き
彼方
(
かなた
)
の
海
(
うみ
)
に
退
(
しりぞ
)
けやらむと、
055
先
(
ま
)
づ
高野
(
たかの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
生言霊
(
いくことたま
)
の
御歌
(
みうた
)
を
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
056
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
吾
(
われ
)
伊行
(
いゆ
)
く
057
道
(
みち
)
にさやらむ
神
(
かみ
)
はあるべき
058
明
(
あき
)
らけき
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
国中
(
くになか
)
に
059
さやる
曲津
(
まがつ
)
はかならず
亡
(
ほろ
)
びむ
060
隠
(
かく
)
れ
忍
(
しの
)
びいたづらを
為
(
な
)
す
醜神
(
しこがみ
)
の
061
御魂
(
みたま
)
あらはさむわが
言霊
(
ことたま
)
に
062
さやります
神
(
かみ
)
は
大蛇
(
をろち
)
か
醜神
(
しこがみ
)
か
063
姿
(
すがた
)
あらはせわが
目
(
め
)
のまへに
064
滝津瀬
(
たきつせ
)
の
吠
(
ほ
)
ゆるが
如
(
ごと
)
く
響
(
ひび
)
くなる
065
この
溪川
(
たにがは
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
化身
(
けしん
)
よ
066
長々
(
ながなが
)
と
果
(
は
)
てしも
知
(
し
)
らぬ
溪川
(
たにがは
)
の
067
流
(
なが
)
れはいたく
濁
(
にご
)
らへるかな
068
果
(
は
)
てしなきこの
天界
(
てんかい
)
の
中
(
なか
)
にして
069
小
(
ちひ
)
さき
曲
(
まが
)
のすさびおそれむや
070
曲津見
(
まがつみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
猛
(
たけ
)
びの
強
(
つよ
)
くとも
071
いかで
恐
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
なるわれは
072
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
如何
(
いか
)
にすさぶとも
猛
(
たけ
)
るとも
073
生言霊
(
いくことたま
)
の
水火
(
いき
)
にはかなはじ
074
吾
(
わが
)
進
(
すす
)
む
道
(
みち
)
にさやらむものあらば
075
真言
(
まこと
)
の
剣
(
つるぎ
)
もちてはふらむ
076
いすくはし
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
御樋代
(
みひしろ
)
と
077
まけられし
吾
(
われ
)
の
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
けよ
078
木
(
き
)
も
草
(
くさ
)
も
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
になびく
世
(
よ
)
を
079
など
曲神
(
まがかみ
)
の
道
(
みち
)
にさやれる
080
敷島
(
しきしま
)
の
大和心
(
やまとごころ
)
の
太刀
(
たち
)
もちて
081
斬
(
き
)
りてはふらむ
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
を
082
千早振
(
ちはやぶ
)
る
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
吾
(
われ
)
なれば
083
安
(
やす
)
く
渡
(
わた
)
らむ
溪川
(
たにがは
)
うづめて
084
西
(
にし
)
の
宮居
(
みや
)
に
詣
(
まう
)
でで
帰
(
かへ
)
る
道
(
みち
)
しばに
085
さやりけるかな
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
は
086
久方
(
ひさかた
)
の
天
(
あめ
)
の
高地秀
(
たかちほ
)
宮
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
ふ
087
司
(
つかさ
)
の
出
(
い
)
でましよ
恐
(
おそ
)
れ
畏
(
かしこ
)
め
088
御樋代
(
みひしろ
)
と
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
八柱
(
やはしら
)
を
089
未
(
いま
)
だ
知
(
し
)
らずや
曲津見
(
まがつみ
)
汝
(
なれ
)
は
090
いみじくも
流
(
なが
)
るる
深
(
ふか
)
き
溪川
(
たにがは
)
の
091
水瀬
(
みなせ
)
を
止
(
と
)
めて
吾
(
われ
)
渡
(
わた
)
らばや
092
吾
(
わが
)
駒
(
こま
)
はたてがみふるひ
嘶
(
いなな
)
きぬ
093
これの
溪川
(
たにがは
)
やすく
渡
(
わた
)
らむと
094
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でまし
知
(
し
)
らざるか
095
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
の
神
(
かみ
)
のおろかさ
096
黒雲
(
くろくも
)
の
中
(
なか
)
にかくるる
曲津見
(
まがつみ
)
の
097
今
(
いま
)
にほろびむ
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
にける
098
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひし
天界
(
かみくに
)
よ
099
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
の
棲
(
す
)
まむ
道
(
みち
)
なし
100
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
御空
(
みそら
)
に
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ひつつ
101
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
行手
(
ゆくて
)
を
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
102
奴婆玉
(
ぬばたま
)
の
闇
(
やみ
)
を
晴
(
は
)
らして
厳御霊
(
いづみたま
)
103
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
はかがやきたまへり
104
伏
(
ふ
)
して
見
(
み
)
つ
仰
(
あふ
)
ぎては
見
(
み
)
つ
天地
(
あめつち
)
の
105
くしき
姿
(
すがた
)
にわれはかしこむ
106
むらむらと
溪川
(
たにがは
)
深
(
ふか
)
く
湧
(
わ
)
き
立
(
た
)
てる
107
雲
(
くも
)
にひそめる
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
よ
108
湯気
(
ゆげ
)
の
如
(
ごと
)
烟
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
る
109
雲
(
くも
)
の
姿
(
すがた
)
のあやしきろかも
110
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
の
111
さまたげ
払
(
はら
)
ひて
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
112
選
(
えら
)
まれて
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
となりし
吾
(
われ
)
は
113
醜
(
しこ
)
の
雲霧
(
くもきり
)
いかでおそれむ
114
穢
(
けが
)
れたる
水火
(
いき
)
集
(
あつま
)
りて
曲津見
(
まがつみ
)
と
115
なる
魂
(
たましひ
)
をあはれとおもふ
116
せせらぎの
音
(
おと
)
高々
(
たかだか
)
と
聞
(
きこ
)
ゆなり
117
溪
(
たに
)
のながれは
巌
(
いはほ
)
を
噛
(
か
)
みて
118
手
(
て
)
を
打
(
う
)
ちて
天津
(
あまつ
)
真言
(
まこと
)
の
神言
(
かみごと
)
を
119
曲津見
(
まがつみ
)
の
為
(
ため
)
に
宣
(
の
)
り
上
(
あ
)
げて
見
(
み
)
む
120
ねもごろに
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
せども
曲津見
(
まがつみ
)
の
121
心
(
こころ
)
はますますくもるのみなる
122
平
(
たひら
)
けくいと
安
(
やす
)
らけき
天国
(
かみくに
)
の
123
道
(
みち
)
にさやれる
曲津見
(
まがつみ
)
あはれ
124
眼
(
め
)
に
見
(
み
)
ゆるものことごとは
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
125
水火
(
いき
)
より
出
(
い
)
でしみたまものなる
126
笑
(
ゑ
)
み
栄
(
さか
)
え
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
みて
暮
(
くら
)
すべき
127
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
にさやる
曲津見
(
まがつみ
)
よ
128
遠
(
とほ
)
き
近
(
ちか
)
き
差別
(
けぢめ
)
も
知
(
し
)
らに
守
(
まも
)
ります
129
神
(
かみ
)
の
光
(
ひか
)
りを
知
(
し
)
らずや
曲津見
(
まがつみ
)
130
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
醜
(
しこ
)
の
曲津見
(
まがつみ
)
もことごとく
131
神
(
かみ
)
の
水火
(
いき
)
より
生
(
うま
)
れたるはや
132
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
洗
(
あら
)
ひて
道
(
みち
)
を
行
(
ゆ
)
く
133
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
を
通
(
とほ
)
せ
曲津見
(
まがつみ
)
134
そば
立
(
だ
)
てるこの
溪川
(
たにがは
)
の
高岸
(
たかぎし
)
に
135
行
(
ゆ
)
きなづみつつ
神言
(
かみごと
)
宣
(
の
)
るも
136
伴
(
ともな
)
ひし
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
はことごとく
137
言霊
(
ことたま
)
きよき
神柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
よ
138
野
(
の
)
も
山
(
やま
)
も
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
ただよへる
139
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
よ
退
(
しりぞ
)
け
曲津見
(
まがつみ
)
140
ほのぼのと
紫
(
むらさき
)
の
雲
(
くも
)
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
る
141
この
天界
(
てんかい
)
は
神
(
かみ
)
ます
神苑
(
みその
)
よ
142
もろもろの
曲津見
(
まがつみ
)
ここに
集
(
あつま
)
りて
143
深溪川
(
ふかたにがは
)
と
横
(
よこ
)
たはるかも
144
よしやよし
此
(
この
)
川岸
(
かはぎし
)
は
高
(
たか
)
くとも
145
生言霊
(
いくことたま
)
にうづめて
行
(
ゆ
)
かむ
146
治
(
をさ
)
まりて
日々
(
ひび
)
に
栄
(
さか
)
ゆる
天界
(
てんかい
)
を
147
乱
(
みだ
)
さむとする
曲津見
(
まがつみ
)
あはれ』
148
この
御歌
(
みうた
)
に
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
は、
149
この
溪川
(
たにがは
)
こそ
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
の
化身
(
けしん
)
なりてふことを
早
(
はや
)
くも
悟
(
さと
)
らせ
給
(
たま
)
ひ、
150
生言霊
(
いくことたま
)
の
限
(
かぎ
)
りをつくし、
151
『ウーウーウー』と
唸
(
うな
)
り
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
へば、
152
如何
(
いかが
)
はしけむ、
153
深溪川
(
ふかたにがは
)
の
溪水
(
たにみづ
)
は
真綿
(
まわた
)
をちぎりたる
如
(
ごと
)
き
雲
(
くも
)
、
154
次
(
つ
)
ぎ
次
(
つ
)
ぎに
湧
(
わ
)
き
出
(
い
)
でて
天
(
てん
)
に
冲
(
ちう
)
し、
155
風
(
かぜ
)
になびきて
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
さして
幾百千
(
いくひやくせん
)
ともなき
雲片
(
くもきれ
)
は、
156
風
(
かぜ
)
のまにまに
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
りにける。
157
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
の
深
(
ふか
)
き
溪流
(
けいりう
)
は、
158
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
にふくれ
上
(
あが
)
りて、
159
またたく
間
(
うち
)
に
平地
(
へいち
)
となり
変
(
かは
)
りたれば、
160
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
は
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
功績
(
いさをし
)
に
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
き、
161
感歎
(
かんたん
)
の
余
(
あま
)
り
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
162
梅咲
(
うめさく
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
。
163
『
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
功績
(
いさをし
)
に
164
曲
(
まが
)
の
溪川
(
たにがは
)
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにける
165
曲津見
(
まがつみ
)
は
雲霧
(
くもきり
)
となり
川底
(
かはそこ
)
ゆ
166
立
(
た
)
ち
昇
(
のぼ
)
りつつ
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りしはや
167
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
は
168
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りにける
169
雲
(
くも
)
となり
霞
(
かすみ
)
となりて
曲津見
(
まがつみ
)
は
170
ほろび
行
(
ゆ
)
きけむ
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
に
171
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
生
(
あ
)
れます
高地秀
(
たかちほ
)
の
172
宮居
(
みや
)
は
今日
(
けふ
)
よりやすけかるらむ
173
曲津見
(
まがつみ
)
の
雄猛
(
をたけ
)
び
如何
(
いか
)
に
強
(
つよ
)
くとも
174
何
(
なに
)
かおそれむ
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
に
175
紫微
(
しび
)
の
宮居
(
みや
)
に
神言
(
かみごと
)
宣
(
の
)
りて
帰
(
かへ
)
るさの
176
道
(
みち
)
にさやりし
曲津見
(
まがつみ
)
あはれ
177
曲津見
(
まがつみ
)
は
生言霊
(
いくことたま
)
に
照
(
て
)
らされて
178
雲
(
くも
)
となりつつ
逃
(
に
)
げうせにける』
179
香具
(
かぐ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
180
『
曲津見
(
まがつみ
)
の
奸計
(
たくみ
)
の
深
(
ふか
)
き
溪川
(
たにがは
)
も
181
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
に
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せにけり
182
神々
(
かみがみ
)
は
栄
(
さか
)
えをよろこび
曲津見
(
まがつみ
)
は
183
亡
(
ほろ
)
びを
唯一
(
ゆいつ
)
の
楽
(
たの
)
しみとなすも
184
深溪川
(
ふかたにがは
)
包
(
つつ
)
みし
雲
(
くも
)
も
滝津瀬
(
たきつせ
)
も
185
ウの
言霊
(
ことたま
)
にほろび
失
(
う
)
せける
186
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
功績
(
いさをし
)
に
187
烟
(
けむり
)
となれる
曲津見
(
まがつみ
)
あはれ
188
天地
(
あめつち
)
の
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
きし
心地
(
ここち
)
せり
189
曲津
(
まが
)
の
奸計
(
たくみ
)
の
幕
(
まく
)
はやぶれて』
190
寿々子
(
すずこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
191
『
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へし
始
(
はじ
)
めより
192
かかるためしは
見
(
み
)
ざりけるかも
193
曲津見
(
まがつみ
)
は
深溪川
(
ふかたにがは
)
と
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ
194
わが
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
をさへぎりしはや
195
穢
(
けが
)
れなきこの
天界
(
かみくに
)
にも
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
196
曲業
(
まがわざ
)
ありとは
知
(
し
)
らざりにけり
197
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
も
心
(
こころ
)
許
(
ゆる
)
せぬ
天界
(
かみくに
)
と
198
つくづく
思
(
おも
)
へり
魔
(
ま
)
の
溪川
(
たにがは
)
を
見
(
み
)
て
199
今日
(
けふ
)
よりは
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
を
恨
(
うら
)
むまじ
200
いづれも
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
なりせば
201
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
のつれなき
心
(
こころ
)
を
恨
(
うら
)
みてし
202
妾
(
わらは
)
は
今更
(
いまさら
)
はづかしくなりぬ
203
よしやよしこのまま
天界
(
みくに
)
に
老
(
お
)
ふるとも
204
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
は
永久
(
とは
)
に
恨
(
うら
)
まじ
205
日
(
ひ
)
に
夜
(
よる
)
に
心
(
こころ
)
くるしめ
給
(
たま
)
ひつつ
206
岐美
(
きみ
)
は
万里
(
ばんり
)
の
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たせり
207
行
(
ゆ
)
く
先
(
さ
)
きに
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
の
災
(
わざはひ
)
を
208
切
(
き
)
り
抜
(
ぬ
)
け
進
(
すす
)
ます
岐美
(
きみ
)
は
畏
(
かしこ
)
き』
209
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
210
『
永久
(
とこしへ
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
ると
思
(
おも
)
ひてし
211
岐美
(
きみ
)
は
万里
(
ばんり
)
の
旅
(
たび
)
にいませり
212
幾万
(
いくまん
)
里
(
り
)
山野
(
やまぬ
)
を
渉
(
わた
)
り
西
(
にし
)
の
宮
(
みや
)
に
213
詣
(
まう
)
でて
心
(
こころ
)
あらたまりしはや
214
曲津見
(
まがつみ
)
の
深
(
ふか
)
き
奸計
(
たくみ
)
にかからむと
215
せし
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
にたすけられにき
216
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
のいまさずば
217
この
溪川
(
たにがは
)
は
消
(
き
)
えざらましを
218
曲津見
(
まがつみ
)
の
醜
(
しこ
)
の
大蛇
(
をろち
)
の
姿
(
すがた
)
なれや
219
道
(
みち
)
にさやりし
深溪川
(
ふかたにがは
)
は
220
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
と
悟
(
さと
)
りつつ
221
をりをりくもる
心
(
こころ
)
はづかし
222
駒
(
こま
)
止
(
と
)
めて
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めつ
曲津見
(
まがつみ
)
の
223
化身
(
けしん
)
の
溪川
(
たにがは
)
を
望
(
のぞ
)
みけるはや
224
山
(
やま
)
となり
溪川
(
たにがは
)
となり
巌
(
いは
)
となり
225
八十
(
やそ
)
曲津見
(
まがつみ
)
は
真道
(
まみち
)
にさやるも
226
この
上
(
うへ
)
は
言霊
(
ことたま
)
みがき
禊
(
みそぎ
)
して
227
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
をひたに
進
(
すす
)
まむ
228
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ひつ
恨
(
うら
)
みつあこがれつ
229
経
(
へ
)
にし
月日
(
つきひ
)
は
雲
(
くも
)
となりけり
230
吾
(
わが
)
思
(
おも
)
ひ
雲
(
くも
)
と
湧
(
わ
)
き
立
(
た
)
ち
霧
(
きり
)
と
燃
(
も
)
えて
231
天津
(
あまつ
)
月日
(
つきひ
)
をつつまひてゐし
232
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
清
(
きよ
)
き
光
(
ひかり
)
にあてられて
233
われは
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
をはらひぬ
234
ねたみたる
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
も
晴
(
は
)
れ
行
(
ゆ
)
きて
235
胸
(
むね
)
にかがやく
月日
(
つきひ
)
の
御光
(
みひかり
)
236
大空
(
おほぞら
)
の
月日
(
つきひ
)
をうつして
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
は
237
鏡
(
かがみ
)
のごとくかがよひにけり
238
草
(
くさ
)
も
木
(
き
)
も
天津
(
あまつ
)
神国
(
みくに
)
をゑらぐ
世
(
よ
)
に
239
如何
(
いか
)
でなげかむ
小
(
ちひ
)
さき
事
(
こと
)
に
240
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
にまけられ
村肝
(
むらきも
)
の
241
心
(
こころ
)
にくもりありしを
悔
(
く
)
ゆるも
242
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
の
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
見捨
(
みす
)
てて
出
(
い
)
でましし
243
まことの
心
(
こころ
)
を
今
(
いま
)
さとりけり
244
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
らひあれば
水火
(
いき
)
と
水火
(
いき
)
245
交
(
か
)
はさむ
術
(
すべ
)
もなかりけらしな
246
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
を
恨
(
うら
)
むるよりも
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
の
247
くもりしを
先
(
ま
)
づ
恨
(
うら
)
むべかりし』
248
宇都子
(
うづこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
249
『
非時
(
ときじく
)
の
香具
(
かぐ
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
に
生
(
あ
)
れながら
250
わが
魂線
(
たましひ
)
はくもりてありき
251
くもりたる
心
(
こころ
)
抱
(
いだ
)
きて
御樋代
(
みひしろ
)
と
252
おごりし
事
(
こと
)
を
今更
(
いまさら
)
悔
(
く
)
ゆるも
253
山
(
やま
)
に
野
(
の
)
に
花
(
はな
)
は
匂
(
にほ
)
へど
百鳥
(
ももとり
)
は
254
うたへど
春
(
はる
)
の
心地
(
ここち
)
せざりき
255
掛巻
(
かけまく
)
も
綾
(
あや
)
に
尊
(
たふと
)
き
高地秀
(
たかちほ
)
の
256
宮居
(
みや
)
を
穢
(
けが
)
せしわれなりにけり
257
宇都比女
(
うづひめ
)
の
貴
(
うづ
)
の
御名
(
みな
)
さへ
恥
(
はづか
)
しも
258
くもり
穢
(
けが
)
れし
神魂
(
みたま
)
いだきて
259
くもりたる
心
(
こころ
)
の
魂
(
たま
)
を
洗
(
あら
)
はむと
260
この
溪川
(
たにがは
)
は
生
(
な
)
り
出
(
い
)
でにけむ
261
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
住
(
す
)
まひつつ
262
吾
(
わが
)
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
をさへぎりにけむ
263
曲神
(
まがかみ
)
の
仇
(
あだ
)
とし
思
(
おも
)
はず
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
の
264
くもりゆ
生
(
あ
)
れし
深溪川
(
ふかたにがは
)
よ
265
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
生言霊
(
いくことたま
)
に
驚
(
おどろ
)
きて
266
ふるひをののき
曲
(
まが
)
は
出
(
い
)
でけり
267
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
宣
(
の
)
らせる
言霊
(
ことたま
)
に
268
身
(
み
)
も
魂線
(
たましひ
)
もをののきにけり
269
今日
(
けふ
)
よりは
元
(
もと
)
つ
心
(
こころ
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り
270
禊
(
みそぎ
)
の
神事
(
わざ
)
につかへまつらむ』
271
狭別
(
さわけ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
272
『
幾年
(
いくとせ
)
か
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
273
なほわが
魂線
(
たましひ
)
のくもり
去
(
さ
)
らずも
274
わが
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ふる
心
(
こころ
)
の
重
(
かさ
)
なりて
275
神魂
(
みたま
)
も
水火
(
いき
)
もくもらひしはや
276
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め
今日
(
けふ
)
よりは
277
まごころもちて
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へむ
278
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
かむわざ
)
と
279
思
(
おも
)
へば
岐美
(
きみ
)
を
恨
(
うら
)
まむすべなし
280
道立
(
みちたつ
)
の
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
の
尊
(
たふと
)
さを
281
仰
(
あふ
)
ぎて
一入
(
ひとしほ
)
岐美
(
きみ
)
をおもふも
282
久方
(
ひさかた
)
の
天之
(
あめの
)
道立
(
みちたつ
)
の
神柱
(
かむばしら
)
283
いとおごそかに
笑
(
ゑ
)
ませ
給
(
たま
)
ひぬ
284
道立
(
みちたつ
)
の
神
(
かみ
)
にも
増
(
ま
)
して
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
の
285
気高
(
けだか
)
さ
思
(
おも
)
へば
堪
(
た
)
へやらぬかも
286
堪
(
た
)
へがたき
心
(
こころ
)
おさへて
年月
(
としつき
)
を
287
仕
(
つか
)
ふる
身
(
み
)
こそ
苦
(
くる
)
しかりける
288
悔
(
くや
)
みてもかへらぬ
事
(
こと
)
とは
知
(
し
)
りながら
289
をりをり
悲
(
かな
)
しくなりにけらしな
290
山川
(
やまかは
)
は
清
(
きよ
)
くさやけく
百鳥
(
ももとり
)
の
291
声
(
こゑ
)
は
澄
(
す
)
めどもさみしかりける
292
さみしてふ
心
(
こころ
)
の
曇
(
くも
)
り
晴
(
は
)
れにけり
293
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
は
胸
(
むね
)
さえにつつ』
294
花子
(
はなこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
295
『
野
(
の
)
に
山
(
やま
)
に
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
匂
(
にほ
)
へども
296
われ
美
(
うるは
)
しと
思
(
おも
)
はざりけり
297
吾
(
わが
)
心
(
こころ
)
ねぢり
曲
(
まが
)
りてひたすらに
298
岐美
(
きみ
)
の
上
(
うへ
)
のみ
恨
(
うら
)
みてしはや
299
わが
岐美
(
きみ
)
は
万里
(
ばんり
)
の
外
(
そと
)
の
旅枕
(
たびまくら
)
300
天界
(
みくに
)
造
(
つく
)
るとなやみたまはむ
301
安
(
やす
)
らかに
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へつつ
302
なやみの
岐美
(
きみ
)
をうらみけるはや
303
岐美
(
きみ
)
こそは
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
国土
(
くに
)
を
生
(
う
)
み
304
国魂
(
くにたま
)
生
(
う
)
ます
神柱
(
みはしら
)
なりし
305
朝夕
(
あさゆふ
)
に
岐美
(
きみ
)
のつれなき
心根
(
こころね
)
を
306
恨
(
うら
)
みまつりし
吾
(
われ
)
はづかしき
307
日並
(
けなら
)
べて
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
ちつつ
思
(
おも
)
ふかな
308
果
(
は
)
てしも
知
(
し
)
らぬ
岐美
(
きみ
)
のみゆきを
309
澄
(
す
)
みきりし
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
の
中
(
なか
)
に
生
(
うま
)
れ
310
何
(
なに
)
を
歎
(
なげ
)
かむ
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
われは
311
善
(
よし
)
と
悪
(
あし
)
楽
(
たの
)
しみと
苦
(
くる
)
しみ
行
(
ゆ
)
き
交
(
ちが
)
ふ
312
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
はありがたかりけり
313
災
(
わざはひ
)
に
遇
(
あ
)
ひて
真言
(
まこと
)
の
喜
(
よろこ
)
びを
314
つぶさに
悟
(
さと
)
る
天界
(
かみよ
)
なりけり
315
喜
(
よろこ
)
びになるればまことの
喜
(
よろこ
)
びも
316
余
(
あま
)
り
楽
(
たの
)
しと
思
(
おも
)
はざりける
317
安
(
やす
)
らけき
月日
(
つきひ
)
過
(
すご
)
せし
吾
(
われ
)
にして
318
神世
(
みよ
)
を
歎
(
なげ
)
きしことを
悔
(
く
)
ゆるも
319
喜
(
よろこ
)
びと
苦
(
くる
)
しみ
互
(
たがひ
)
に
行
(
ゆ
)
き
交
(
か
)
ひて
320
世
(
よ
)
は
永久
(
とこしへ
)
に
栄
(
さか
)
ゆべかりけり』
321
小夜子
(
さよこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
322
『
小夜衣
(
さよごろも
)
重
(
かさ
)
ぬる
暇
(
ひま
)
もあらなくに
323
岐美
(
きみ
)
は
立
(
た
)
たせり
長
(
なが
)
き
旅路
(
たびぢ
)
を
324
御子生
(
みこう
)
みの
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たせる
我
(
わが
)
岐美
(
きみ
)
の
325
悩
(
なや
)
み
思
(
おも
)
ひてわれは
泣
(
な
)
くなり
326
わが
涙
(
なみだ
)
天
(
てん
)
に
昇
(
のぼ
)
りて
雲
(
くも
)
となり
327
雨
(
あめ
)
と
降
(
ふ
)
りつつ
岐美
(
きみ
)
に
注
(
そそ
)
がむ
328
岐美
(
きみ
)
が
行
(
ゆ
)
く
旅
(
たび
)
なる
国
(
くに
)
の
春雨
(
はるさめ
)
は
329
日夜
(
にちや
)
になげきしわが
涙
(
なみだ
)
かも
330
恋
(
こひ
)
すてふ
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれて
331
魂
(
たま
)
のゆくへも
知
(
し
)
らず
乱
(
みだ
)
れし
332
いざさらば
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
よ
駒
(
こま
)
並
(
な
)
めて
333
東
(
ひがし
)
の
宮
(
みや
)
に
進
(
すす
)
ませたまへ
334
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
に
曲津見
(
まがつみ
)
の
335
影
(
かげ
)
は
失
(
う
)
せつつやすく
通
(
かよ
)
はむ』
336
天津
(
あまつ
)
女雄
(
めを
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
337
『
八柱
(
やはしら
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
を
守
(
まも
)
りつつ
338
魔
(
ま
)
の
溪川
(
たにがは
)
に
突
(
つ
)
きあたりける
339
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
功
(
いさを
)
を
今更
(
いまさら
)
に
340
さとりて
心
(
こころ
)
かしこみしはや
341
高野
(
たかの
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
のさとき
目
(
め
)
に
342
曲津
(
まがつ
)
はすがたを
現
(
あら
)
はせしはや
343
駿馬
(
はやこま
)
は
嘶
(
いなな
)
き
初
(
そ
)
めたりいざさらば
344
百神
(
ももがみ
)
たちよ
鞍
(
くら
)
に
召
(
め
)
しませ
345
曲神
(
まがかみ
)
は
行手
(
ゆくて
)
の
道
(
みち
)
にさやるとも
346
いかで
恐
(
おそ
)
れむ
言霊
(
ことたま
)
の
武器
(
ぶき
)
に』
347
ここに
一行
(
いつかう
)
の
神々
(
かみがみ
)
は、
348
天
(
あめ
)
の
駿馬
(
はやこま
)
にひらりと
跨
(
またが
)
り、
349
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
を
駒
(
こま
)
のたてがみに
切
(
き
)
り
分
(
わ
)
けつつ、
350
鈴
(
すず
)
の
音
(
ね
)
も
勇
(
いさ
)
ましく、
351
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
を
先頭
(
せんとう
)
に、
352
天津
(
あまつ
)
女雄
(
めを
)
の
神
(
かみ
)
を
殿
(
しんが
)
りとして、
353
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮
(
みや
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
さして
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
ふぞ
畏
(
かしこ
)
けれ。
354
(
昭和八・一二・五
旧一〇・一八
於水明閣
谷前清子
謹録)
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【第2章 魔の渓流|第76巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7602】
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