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霊界物語
天祥地瑞(第73~81巻)
第76巻(卯の巻)
序文
総説
日本所伝の天地開闢説
支那の開闢説
波斯の宇宙創造説
希臘の天地開闢説
エヂプトの開闢説
メキシコナフア族の天地創造説
マヤ族の万物創造説
北欧に於ける宇宙創造説
太平洋西北岸創造説
英領北亜米利加創造説
亜弗利加神話
ヘブライ天地創造説
パレスチン創造説
ミクロネシヤ創造説
インドネシヤ創造説
第1篇 春風駘蕩
第1章 高宮参拝
第2章 魔の渓流
第3章 行進歌
第4章 怪しの巌山
第5章 露の宿
第2篇 晩春の神庭
第6章 報告祭
第7章 外苑の逍遥
第8章 善言美霊
第3篇 孤軍奮闘
第9章 闇の河畔
第10章 二本松の蔭
第11章 栄城の山彦
第12章 山上の祈り
第13章 朝駒の別れ
第14章 磐楠舟
第15章 御舟巌
余白歌
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霊界物語
>
天祥地瑞(第73~81巻)
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第76巻(卯の巻)
> 第2篇 晩春の神庭 > 第7章 外苑の逍遥
<<< 報告祭
(B)
(N)
善言美霊 >>>
第七章
外苑
(
ぐわいゑん
)
の
逍遥
(
せうえう
)
〔一九二四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻
篇:
第2篇 晩春の神庭
よみ(新仮名遣い):
ばんしゅんのしんてい
章:
第7章 外苑の逍遥
よみ(新仮名遣い):
がいえんのしょうよう
通し章番号:
1924
口述日:
1933(昭和8)年12月06日(旧10月19日)
口述場所:
水明閣
筆録者:
谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1934(昭和9)年3月23日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
旅に疲れた諸神たちは各々眠りにつき、高地秀の宮居の広庭は水を打ったように静まり、小鳥のさえずる声のみが聞こえていた。
胎別男の神は神駒の疲れを休ませようと、外苑の庭に放して遊ばせていた。春風は花の香りを四辺に送り、いたるところおぼろのもやが立ち込めて、のどかな晩春の景色となっていた。
そんな中、ひとり朝香比女の神は、長閑な春の日に眠るのは惜しいと、清庭に立ち居で、心静かに歌を歌っていた。
晩春の景色を述懐していた朝香比女だが、その歌は次第に、旅立っていった顕津男の神への思慕に変わっていった。そして御樋代の神として顕津男の神をどこまでも探し追い求めて行こう、高地秀の宮居を旅立とう、という思いにまでなっていった。
その歌を耳にした胎別神は、大いに驚いて宮居に急ぎ帰り、他の御樋代神と鋭敏鳴出神、天津女雄の神に報告した。一同は驚いて外苑に出てきてみれば、朝香比女はすでに駒の背に倉を置き、片手に手綱を取ってまさにあぶみに足を掛けて乗り出でようとするところだった。
高野比女は急ぎ馳せよって駒のくつわを固く握って押さえ、出立をいさめる歌を歌った。
朝香比女は右手に手綱を取りながら、返答歌にて、顕津男の神への恋しさに、道にそむくと知りながらも、旅立つ心を押さえられない気持ちを伝えた。
高野比女は厳然として諭しの歌を歌うが、朝香比女はさらに強い自分の思いを返答歌にして返すのみであった。
朝香比女の神の勢いに驚いたその他の神々も、比女を思い止めようとさまざまに諭しの歌を歌うが、朝香比女はそのたびに自分の強い決意を歌にして返した。
最後に天津女雄の神がいさめの歌を歌うが、朝香比女は決然として別れの歌を歌い、駒に一鞭あてると、まっしぐらに夕闇の中へ旅立っていってしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm7607
愛善世界社版:
八幡書店版:
第13輯 533頁
修補版:
校定版:
291頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
長途
(
ちやうと
)
の
旅
(
たび
)
に
疲
(
つか
)
れたる
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
は、
002
各自
(
おのもおのも
)
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
結
(
むす
)
ばせ
給
(
たま
)
ひ、
003
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
の
広庭
(
ひろには
)
は
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
ちたる
如
(
ごと
)
く
静
(
しづ
)
まりて、
004
小鳥
(
ことり
)
の
春
(
はる
)
を
囀
(
さへづ
)
り
交
(
かは
)
す
声
(
こゑ
)
のみぞ
聞
(
きこ
)
ゆ。
005
胎別男
(
みわけを
)
の
神
(
かみ
)
は
駒
(
こま
)
の
疲
(
つか
)
れを
休
(
やす
)
ませむとして、
006
限
(
かぎ
)
りも
無
(
な
)
き
広
(
ひろ
)
き
外苑
(
ぐわいゑん
)
の
若草
(
わかぐさ
)
萌
(
も
)
ゆる
清庭
(
すがには
)
に、
007
駒
(
こま
)
を
放
(
はな
)
ちて
遊
(
あそ
)
ばせ
給
(
たま
)
ひつつありける。
008
春風
(
はるかぜ
)
は
徐
(
おもむ
)
ろに
吹
(
ふ
)
き
花
(
はな
)
の
香
(
か
)
を
四辺
(
しへん
)
に
送
(
おく
)
り、
009
四方
(
よも
)
はおぼろに
靄
(
もや
)
立
(
た
)
ちこめて、
010
げに
長閑
(
のどか
)
なる
晩春
(
おそはる
)
の
景色
(
けしき
)
なりける。
011
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
長途
(
ちやうと
)
の
疲
(
つか
)
れもいとひ
給
(
たま
)
はず、
012
この
長閑
(
のどか
)
なる
春日
(
しゆんじつ
)
を
眠
(
ねむ
)
るは
惜
(
を
)
ししと、
013
花
(
はな
)
の
蕾
(
つぼみ
)
のほぐれたる
清庭
(
すがには
)
に
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
ひ、
014
心
(
こころ
)
静
(
しづか
)
に
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
015
『
梓弓
(
あづさゆみ
)
春
(
はる
)
の
女神
(
めがみ
)
は
夏山
(
なつやま
)
の
016
みどりの
園
(
その
)
にうつらせ
給
(
たま
)
ひぬ
017
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
も
長閑
(
のどか
)
なりけり
晩春
(
おそはる
)
の
018
野辺
(
のべ
)
の
景色
(
けしき
)
は
湯
(
ゆ
)
の
沸
(
わ
)
ける
如
(
ごと
)
し
019
百千草
(
ももちぐさ
)
所
(
ところ
)
せきまで
萌
(
も
)
え
出
(
い
)
づる
020
野辺
(
のべ
)
の
遊
(
あそ
)
びは
心地
(
ここち
)
よろしも
021
露
(
つゆ
)
おびし
若草
(
わかぐさ
)
の
上
(
うへ
)
を
踏
(
ふ
)
みて
行
(
ゆ
)
く
022
素足
(
すあし
)
の
裏
(
うら
)
のさも
心地
(
ここち
)
よき
023
紫
(
むらさき
)
の
花
(
はな
)
はほぐれて
池水
(
いけみづ
)
に
024
咲
(
さ
)
くも
床
(
ゆか
)
しき
庭
(
には
)
のあやめよ
025
やがて
今
(
いま
)
あやめの
花
(
はな
)
は
紫
(
むらさき
)
と
026
日々
(
ひび
)
に
匂
(
にほ
)
ひて
夏
(
なつ
)
深
(
ふか
)
むらむ
027
池水
(
いけみづ
)
の
底
(
そこ
)
に
泳
(
およ
)
げる
大魚
(
おほな
)
小魚
(
さな
)
028
鰭
(
ひれ
)
の
動
(
うご
)
きのすみやかなるも
029
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
はいづくの
果
(
は
)
てにお
在
(
は
)
すらむと
030
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なを
思
(
おも
)
ひわづらふ
031
爛漫
(
らんまん
)
と
咲
(
さ
)
きほこりたる
桜木
(
さくらぎ
)
の
032
花
(
はな
)
もつれなく
散
(
ち
)
る
世
(
よ
)
なりけり
033
白梅
(
しらうめ
)
は
早
(
は
)
や
散
(
ち
)
り
果
(
は
)
てて
若葉
(
わかば
)
萌
(
も
)
ゆる
034
梢
(
こずゑ
)
につぶら
実
(
み
)
のぞきゐるかも
035
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
は
霞
(
かすみ
)
の
空
(
そら
)
にほのぼのと
036
光
(
ひかり
)
やはらげて
昇
(
のぼ
)
りましける
037
駿馬
(
はやこま
)
の
嘶
(
いなな
)
き
強
(
つよ
)
く
草
(
くさ
)
むしる
038
愛
(
め
)
ぐしき
姿
(
すがた
)
に
夏
(
なつ
)
は
来
(
き
)
むかふ
039
山
(
やま
)
も
野
(
の
)
もみどりの
衣
(
ころも
)
着飾
(
きかざ
)
りて
040
夏
(
なつ
)
の
粧
(
よそほ
)
ひものものしけれ
041
われもまた
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
一柱
(
ひとはしら
)
042
ただいたづらに
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
つべき
043
天地
(
あめつち
)
の
森羅万象
(
すべてのもの
)
はうつり
行
(
ゆ
)
く
044
この
天界
(
かみくに
)
に
黙
(
もだ
)
しあるべき
045
いたづらに
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ひつつ
歳
(
とし
)
を
経
(
へ
)
し
046
わがおろかさを
今更
(
いまさら
)
悔
(
く
)
ゆるも
047
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
御子生
(
みこう
)
みのみにあらずとは
048
知
(
し
)
れど
如何
(
いか
)
でか
忍
(
しの
)
ばるべしやは
049
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ふる
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
ははやり
立
(
た
)
ちて
050
女神
(
めがみ
)
の
胸
(
むね
)
は
高鳴
(
たかな
)
り
止
(
や
)
まずも
051
草
(
くさ
)
の
露
(
つゆ
)
素足
(
すあし
)
に
踏
(
ふ
)
みて
行
(
ゆ
)
く
庭
(
には
)
の
052
果
(
は
)
てにも
霞
(
かす
)
む
晩春
(
おそはる
)
の
色
(
いろ
)
053
躊躇
(
ためらひ
)
の
弱
(
よわ
)
き
心
(
こころ
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
054
勇
(
いさ
)
み
進
(
すす
)
まむわが
背
(
せ
)
の
岐美許
(
きみがり
)
に
055
吾
(
われ
)
行
(
ゆ
)
かば
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
怒
(
いか
)
らせ
給
(
たま
)
ふらむ
056
言霊
(
ことたま
)
照
(
てら
)
して
和
(
やは
)
らげて
見
(
み
)
むかも
057
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
の
出
(
い
)
でましし
大宮居
(
おほみや
)
は
058
弥栄
(
いやさか
)
えなむわれ
居
(
を
)
らずとも
059
百神
(
ももがみ
)
に
議
(
はか
)
らば
心
(
かなら
)
ず
止
(
と
)
められむ
060
吾
(
われ
)
はひそかに
旅立
(
たびだ
)
たむかも
061
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
西
(
にし
)
にかたむく
夕暮
(
ゆふぐれ
)
を
062
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り
御空
(
みそら
)
をたづねむ』
063
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はひそひそと
述懐歌
(
じゆつくわいか
)
をうたひ
乍
(
なが
)
ら、
064
芝生
(
しばふ
)
を
逍遥
(
せうえう
)
し
給
(
たま
)
ひけるが、
065
胎別男
(
みわけを
)
の
神
(
かみ
)
は
耳
(
みみ
)
ざとくも
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
御歌
(
みうた
)
を
聞
(
き
)
き
給
(
たま
)
ひ、
066
驚
(
おどろ
)
きて
大宮居
(
おほみや
)
に
馳
(
は
)
せ
帰
(
かへ
)
り、
067
七柱
(
ななはしら
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
始
(
はじ
)
め
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
、
068
天津
(
あまつ
)
女雄
(
めを
)
の
神
(
かみ
)
に
事
(
こと
)
の
由
(
よし
)
を
詳細
(
つぶさ
)
に
告
(
つ
)
げ
給
(
たま
)
へば、
069
各自
(
おのもおのも
)
驚
(
おどろ
)
き
給
(
たま
)
ひて
夢
(
ゆめ
)
を
破
(
やぶ
)
らせつつ、
070
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
出立
(
いでたち
)
を
止
(
とど
)
めむと、
071
夏草
(
なつぐさ
)
萌
(
も
)
ゆる
外苑
(
ぐわいゑん
)
に
立出
(
たちい
)
で
給
(
たま
)
へば、
072
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
吾
(
わが
)
乗
(
の
)
らむ
駒
(
こま
)
の
背
(
せ
)
に
鞍
(
くら
)
を
置
(
お
)
かせ
給
(
たま
)
ひ、
073
片御手
(
かたみて
)
に
手綱
(
たづな
)
を
取
(
と
)
り、
074
左
(
ひだり
)
の
御足
(
みあし
)
を
駒
(
こま
)
の
鐙
(
あぶみ
)
に
半
(
なか
)
ばかけむとし
給
(
たま
)
ふ
折
(
をり
)
なりければ、
075
高野
(
たかの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
驚
(
おどろ
)
き
給
(
たま
)
ひて
馳
(
は
)
せより、
076
駒
(
こま
)
の
轡
(
くつわ
)
を
堅
(
かた
)
く
握
(
にぎ
)
らせ
給
(
たま
)
ひて
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
077
『
春
(
はる
)
さりて
夏
(
なつ
)
来
(
き
)
むかへる
清庭
(
すがには
)
に
078
何故
(
なにゆゑ
)
汝
(
なれ
)
は
駒
(
こま
)
に
召
(
め
)
さすか
079
駿馬
(
はやこま
)
に
跨
(
またが
)
りいゆく
旅衣
(
たびごろも
)
も
080
早
(
は
)
や
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
となりにけらしな
081
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たすは
春
(
はる
)
と
秋
(
あき
)
の
082
花
(
はな
)
と
紅葉
(
もみぢ
)
の
頃
(
ころ
)
なるべきを』
083
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
右手
(
めて
)
に
手綱
(
たづな
)
を
取
(
と
)
りながら
答
(
いらへ
)
の
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
084
『
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
の
御上
(
みうへ
)
思
(
おも
)
へば
恋
(
こ
)
ふしさの
085
心
(
こころ
)
つのりて
得堪
(
えた
)
へずなりぬ
086
八十筋
(
やそすぢ
)
に
乱
(
みだ
)
れ
初
(
そ
)
めにしわが
心
(
こころ
)
087
つかねむ
由
(
よし
)
もなかりけるかな
088
大道
(
おほみち
)
に
違
(
たが
)
ひ
奉
(
まつ
)
ると
知
(
し
)
りつつも
089
吾
(
われ
)
進
(
すす
)
まばや
背
(
せ
)
の
岐美許
(
きみがり
)
に
090
駿馬
(
はやこま
)
のはやる
心
(
こころ
)
を
止
(
とど
)
めます
091
公
(
きみ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
恨
(
うら
)
めしきかな
092
いか
程
(
ほど
)
にとどめ
給
(
たま
)
ふもわが
心
(
こころ
)
093
はや
旅立
(
たびだ
)
ちを
定
(
さだ
)
めたりける
094
なまじひに
止
(
とど
)
め
給
(
たま
)
ひそわが
駒
(
こま
)
は
095
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たむと
足掻
(
あが
)
き
止
(
や
)
まずも』
096
高野
(
たかの
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
儼然
(
げんぜん
)
として
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
097
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
汝
(
なれ
)
は
依
(
よ
)
さしの
御樋代
(
みひしろ
)
よ
098
許
(
ゆる
)
しなくして
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たすか
099
天界
(
かみくに
)
は
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
よ
100
いかで
許
(
ゆる
)
さむ
独断心
(
ひとりごころ
)
を』
101
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
答
(
いらへ
)
の
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
102
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
に
背
(
そむ
)
くと
知
(
し
)
りながら
103
恋
(
こ
)
ふしさつのりて
死
(
し
)
なまく
苦
(
くる
)
し
104
日
(
ひ
)
に
夜
(
よる
)
に
苦
(
くる
)
しみもがきし
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
は
105
消
(
け
)
なば
消
(
け
)
ぬべく
死
(
し
)
なば
死
(
し
)
ぬべし
106
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらぬまでの
恋
(
こ
)
ふしさに
107
胸
(
むね
)
の
高鳴
(
たかな
)
り
苦
(
くる
)
しく
止
(
や
)
まずも
108
今
(
いま
)
となりて
恋
(
こ
)
ふしき
心
(
こころ
)
をひるがへす
109
力
(
ちから
)
なきわれを
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ』
110
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
はこの
様
(
さま
)
を
見
(
み
)
て
驚
(
おどろ
)
きながら、
111
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
112
『
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
に
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
とまけられし
113
公
(
きみ
)
にあらずや
省
(
かへり
)
みましませ
114
草枕
(
くさまくら
)
女神
(
めがみ
)
の
一人
(
ひとり
)
旅立
(
たびだ
)
ちは
115
危
(
あや
)
ふかりけむ
時
(
とき
)
を
待
(
ま
)
たせよ
116
いか
程
(
ほど
)
に
心
(
こころ
)
はやらせ
給
(
たま
)
ふとも
117
この
稚国土
(
わかぐに
)
は
進
(
すす
)
む
道
(
みち
)
なし』
118
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
決然
(
けつぜん
)
として
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
119
『よしやよし
万里
(
ばんり
)
の
荒野
(
あらの
)
を
渉
(
わた
)
るとも
120
吾
(
われ
)
は
恐
(
おそ
)
れじ
言霊剣
(
ことたまつるぎ
)
もてれば
121
言霊
(
ことたま
)
の
貴
(
うづ
)
の
剣
(
つるぎ
)
をふりかざし
122
さやらむ
曲津
(
まが
)
を
斬
(
き
)
りはふり
行
(
ゆ
)
かむ
123
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
は
尊
(
たふと
)
し
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
は
124
一入
(
ひとしほ
)
なつかし
黙
(
もだ
)
しあるべきや
125
吾
(
われ
)
一人
(
ひとり
)
これの
宮居
(
みやゐ
)
にあらずとも
126
鋭敏鳴出
(
うなりづ
)
の
神
(
かみ
)
ひかへますなり
127
遠
(
とほ
)
くはかり
深
(
ふか
)
く
思
(
おも
)
ひて
吾
(
われ
)
は
今
(
いま
)
128
御子生
(
みこう
)
みの
旅
(
たび
)
に
立
(
た
)
たむとすなり
129
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
神業
(
みわざ
)
遂
(
と
)
ぐるまで
130
吾
(
われ
)
は
帰
(
かへ
)
らじ
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
131
御樋代
(
みひしろ
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
等
(
たち
)
よわが
願
(
ねが
)
ひ
132
𪫧怜
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
き
)
きて
許
(
ゆる
)
さへ
133
わが
心
(
こころ
)
千引
(
ちびき
)
の
巌
(
いは
)
より
重
(
おも
)
くして
134
如何
(
いか
)
なる
力
(
ちから
)
も
動
(
うご
)
かし
得
(
え
)
ざらむ』
135
梅咲
(
うめさく
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
はしとやかに
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
136
『
背
(
せ
)
の
岐美
(
きみ
)
を
思
(
おも
)
はす
心
(
こころ
)
のあさからぬ
137
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
の
真言
(
まこと
)
を
悲
(
かな
)
しむ
138
吾
(
われ
)
とても
日々
(
ひび
)
に
恋
(
こ
)
ふしく
思
(
おも
)
へども
139
御許
(
みゆる
)
しなければせむ
術
(
すべ
)
もなし
140
あらためて
神
(
かみ
)
の
許
(
ゆる
)
しの
下
(
くだ
)
るまでは
141
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
よ
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
ちませ
142
いたづらにわが
思
(
おも
)
ひねをつき
通
(
とほ
)
し
143
後
(
あと
)
にて
悔
(
く
)
います
公
(
きみ
)
を
悲
(
かな
)
しむ
144
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
と
仕
(
つか
)
へてわれとても
145
心
(
こころ
)
苦
(
くる
)
しくけ
長
(
なが
)
く
待
(
ま
)
ちぬる
146
汝
(
な
)
が
心
(
こころ
)
吾
(
われ
)
は
知
(
し
)
らぬにあらねども
147
神
(
かみ
)
の
許
(
ゆる
)
しのなきを
恐
(
おそ
)
るる
148
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
に
帰
(
かへ
)
りませ
149
汝
(
なれ
)
が
心
(
こころ
)
のはやりいませば
150
落
(
お
)
ちつきて
身
(
み
)
の
行
(
ゆ
)
く
末
(
すゑ
)
を
語
(
かた
)
らひつ
151
静
(
しづ
)
かに
静
(
しづ
)
かにおこなはせませ』
152
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
もて
答
(
こた
)
へ
給
(
たま
)
ふ。
153
『ありがたし
梅咲
(
うめさく
)
比女
(
ひめ
)
の
神宣
(
みことのり
)
154
心
(
こころ
)
に
刻
(
きざ
)
みて
忘
(
わす
)
れざるべし
155
さりながら
生命
(
いのち
)
消
(
け
)
ぬまでこがれてし
156
岐美
(
きみ
)
はわが
身
(
み
)
に
捨
(
す
)
て
難
(
がた
)
きかも
157
百神
(
ももがみ
)
はいかにわが
身
(
み
)
をはかゆとも
158
恐
(
おそ
)
れず
行
(
ゆ
)
かむ
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
うちて
159
御樋代
(
みひしろ
)
の
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
宮居
(
みや
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
たち
)
160
わが
旅立
(
たびだ
)
ちを
詳細
(
つぶさ
)
に
許
(
ゆる
)
せよ
161
いざさらば
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
り
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
かむ
162
すこやかにませ
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
等
(
たち
)
』
163
と
言
(
い
)
ひつつ、
164
再
(
ふたた
)
び
駒
(
こま
)
に
跨
(
またが
)
らむとし
給
(
たま
)
ふにぞ、
165
寿々子
(
すずこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
駒
(
こま
)
の
轡
(
くつわ
)
をきびしく
手握
(
たにぎ
)
り
給
(
たま
)
ひて、
166
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
167
『
吾
(
われ
)
とても
岐美
(
きみ
)
を
恋
(
こ
)
ひつつ
朝夕
(
あさゆふ
)
を
168
歎
(
なげ
)
きて
暮
(
く
)
らす
神魂
(
みたま
)
なりけり
169
さりながら
主
(
ス
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
許
(
ゆる
)
しなくて
170
これの
聖所
(
すがど
)
をはなるべしやは
171
汝
(
な
)
が
神
(
かみ
)
の
清
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
のそこひまで
172
吾
(
われ
)
は
悟
(
さと
)
れりとどむるも
悲
(
かな
)
し
173
止
(
とど
)
めあへぬ
涙
(
なみだ
)
かくして
夜昼
(
よるひる
)
を
174
なげきし
吾
(
われ
)
はかくもやつれし
175
さりながら
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
重
(
おも
)
ければ
176
忍
(
しの
)
びて
待
(
ま
)
ちぬ
長
(
なが
)
の
月日
(
つきひ
)
を
177
この
度
(
たび
)
は
思
(
おも
)
ひ
止
(
とど
)
まり
給
(
たま
)
へかし
178
牡丹
(
ぼたん
)
の
花
(
はな
)
も
開
(
ひら
)
き
初
(
そ
)
むれば
179
爛漫
(
らんまん
)
と
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひたる
桜花
(
さくらばな
)
も
180
夜嵐
(
よあらし
)
に
散
(
ち
)
る
世
(
よ
)
を
思
(
おも
)
ひませ
181
愛善
(
あいぜん
)
の
紫微
(
しび
)
天界
(
てんかい
)
も
永久
(
とこしへ
)
に
182
花
(
はな
)
も
梢
(
こずゑ
)
のものならざらむ』
183
宇都子
(
うづこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
184
駿馬
(
はやこま
)
の
前
(
まへ
)
にしとやかに
立
(
た
)
たせ
給
(
たま
)
ひつつ、
185
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
の
旅立
(
たびだ
)
ちを
止
(
とど
)
めむとして
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
186
『
春
(
はる
)
さりて
夏
(
なつ
)
はやうやく
来向
(
きむか
)
へる
187
野
(
の
)
に
若草
(
わかぐさ
)
は
萌
(
も
)
えさかりける
188
夏草
(
なつぐさ
)
の
萌
(
も
)
ゆる
聖所
(
すがど
)
を
後
(
あと
)
にして
189
旅立
(
たびだ
)
たす
公
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
あやしも
190
願
(
ねが
)
はくば
暫
(
しば
)
しを
待
(
ま
)
たせ
主
(
ス
)
の
神
(
かみ
)
の
191
やがて
許
(
ゆる
)
しの
下
(
くだ
)
る
日
(
ひ
)
来
(
きた
)
らむ
192
何事
(
なにごと
)
も
己
(
おの
)
が
心
(
こころ
)
のままにならば
193
吾
(
われ
)
も
黙
(
もだ
)
して
止
(
とど
)
まらざるべし
194
汝
(
な
)
が
神
(
かみ
)
の
切
(
せつ
)
なる
心
(
こころ
)
は
悟
(
さと
)
れども
195
天界
(
みくに
)
のために
吾
(
われ
)
はとどめむ
196
大宮居
(
おほみや
)
に
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なを
仕
(
つか
)
へます
197
汝
(
なれ
)
の
勤
(
つと
)
めを
汚
(
けが
)
し
給
(
たま
)
ふな
198
言霊
(
ことたま
)
の
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
とつつしみて
199
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
に
暫
(
しば
)
し
仕
(
つか
)
へませ
200
吾
(
われ
)
とても
同
(
おな
)
じ
思
(
おも
)
ひに
泣
(
な
)
きながら
201
忍
(
しの
)
びて
宮居
(
みや
)
に
仕
(
つか
)
へゐるなり』
202
狭別
(
さわけ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
203
『
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
神
(
かみ
)
の
神言
(
みこと
)
の
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ちを
204
とどめむとする
吾
(
われ
)
は
苦
(
くる
)
しも
205
苦
(
くる
)
しさを
忍
(
しの
)
びてとどむるわが
言葉
(
ことば
)
206
うべなひ
給
(
たま
)
へ
朝香
(
あさか
)
の
比女神
(
ひめがみ
)
よ
207
高地秀
(
たかちほ
)
の
峰
(
みね
)
の
桜
(
さくら
)
は
散
(
ち
)
り
果
(
は
)
てて
208
野
(
の
)
は
常夏
(
とこなつ
)
の
色
(
いろ
)
をそめたり
209
高地秀
(
たかちほ
)
の
春
(
はる
)
のはじめの
桜花
(
さくらばな
)
も
210
はや
散
(
ち
)
りにけり
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
の
身
(
み
)
に
211
春
(
はる
)
過
(
す
)
ぎし
花
(
はな
)
なき
木草
(
きぐさ
)
の
如何
(
いか
)
にして
212
花
(
はな
)
なる
岐美
(
きみ
)
と
水火
(
いき
)
の
合
(
あ
)
ふべき
213
夏草
(
なつぐさ
)
は
所
(
ところ
)
せきまで
萌
(
も
)
え
出
(
い
)
でぬ
214
汝
(
な
)
が
神
(
かみ
)
すでに
歳古
(
としふ
)
りにける
215
歳古
(
としふ
)
りし
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
は
言霊
(
ことたま
)
の
216
もとゐとなりて
天界
(
みくに
)
を
守
(
まも
)
れよ
217
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
歳
(
とし
)
ふりし
身
(
み
)
よ
言霊
(
ことたま
)
の
218
御樋代
(
みひしろ
)
神
(
がみ
)
となりて
仕
(
つか
)
へむ
219
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
の
名花
(
めいくわ
)
を
散
(
ち
)
らすかと
220
思
(
おも
)
へば
惜
(
を
)
しし
公
(
きみ
)
の
旅立
(
たびだ
)
ち』
221
花子
(
はなこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
222
『
花子
(
はなこ
)
比女
(
ひめ
)
花
(
はな
)
の
姿
(
すがた
)
はあせにけり
223
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
も
斯
(
か
)
くやましけむ
224
あさからぬ
朝香
(
あさか
)
の
比女
(
ひめ
)
の
志
(
こころざし
)
225
とどめむとして
涙
(
なみだ
)
あふれつ
226
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
の
御後
(
みあと
)
を
訪
(
たづ
)
ねむと
227
思
(
おも
)
ほす
公
(
きみ
)
の
心
(
こころ
)
かなしも
228
顕津男
(
あきつを
)
の
神
(
かみ
)
は
国土生
(
くにう
)
み
神生
(
かみう
)
みの
229
神業
(
わざ
)
忙
(
いそが
)
しく
顧
(
かへり
)
みたまはじ
230
遥々
(
はろばろ
)
と
遠
(
とほ
)
の
山野
(
やまぬ
)
をのり
越
(
こ
)
えて
231
無情
(
むじやう
)
に
泣
(
な
)
かす
公
(
きみ
)
を
悲
(
かな
)
しむ
232
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し
233
止
(
とど
)
まり
給
(
たま
)
へ
高地秀
(
たかちほ
)
の
宮居
(
みや
)
に』
234
小夜子
(
さよこ
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
235
『
小夜
(
さよ
)
更
(
ふ
)
けし
身
(
み
)
ながら
光
(
ひかり
)
の
顕津男
(
あきつを
)
の
236
神
(
かみ
)
の
御後
(
みあと
)
を
訪
(
と
)
はす
術
(
すべ
)
なさ
237
春
(
はる
)
さりて
夏
(
なつ
)
の
夕
(
ゆふ
)
べを
旅立
(
たびだ
)
たす
238
公
(
きみ
)
を
悲
(
かな
)
しとおもひて
泣
(
な
)
くも』
239
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は、
240
決心
(
けつしん
)
の
色
(
いろ
)
を
面
(
おも
)
に
浮
(
うか
)
べて
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
241
『
神々
(
かみがみ
)
のあつき
心
(
こころ
)
は
悟
(
さと
)
れども
242
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
の
足掻
(
あが
)
き
止
(
や
)
まずも
243
わが
神魂
(
みたま
)
愛
(
め
)
ぐしと
思
(
おぼ
)
し
給
(
たま
)
はれば
244
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
今日
(
けふ
)
の
旅立
(
たびだ
)
ちを
245
よしやよし
曲神
(
まがかみ
)
道
(
みち
)
にさやるとも
246
生言霊
(
いくことたま
)
になびけ
進
(
すす
)
まむ
247
言霊
(
ことたま
)
の
幸
(
さち
)
に
生
(
うま
)
れしわれにして
248
言霊
(
ことたま
)
の
水火
(
いき
)
輝
(
かがや
)
かざらめや
249
駿馬
(
はやこま
)
のはやる
心
(
こころ
)
を
貫
(
つら
)
ぬきて
250
吾
(
われ
)
は
進
(
すす
)
まむ
背
(
せ
)
の
岐美許
(
きみがり
)
に』
251
天津
(
あまつ
)
女雄
(
めを
)
の
神
(
かみ
)
は
憮然
(
ぶぜん
)
として
歌
(
うた
)
ひ
給
(
たま
)
ふ。
252
『
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
強
(
つよ
)
き
心
(
こころ
)
は
悟
(
さと
)
れども
253
今
(
いま
)
暫
(
しばら
)
くを
待
(
ま
)
たせたまはれ
254
比女神
(
ひめがみ
)
の
矢竹心
(
やたけごころ
)
をおさへむと
255
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
の
真心
(
まごころ
)
かなしも
256
百神
(
ももがみ
)
のやさしき
心
(
こころ
)
をよそにして
257
旅立
(
たびだ
)
たむとする
公
(
きみ
)
ぞつれなき』
258
朝香
(
あさか
)
比女
(
ひめ
)
の
神
(
かみ
)
は
矢
(
や
)
も
楯
(
たて
)
もたまらず、
259
決然
(
けつぜん
)
として
鞭
(
むち
)
を
右手
(
めて
)
に
手握
(
たにぎ
)
り、
260
左手
(
ゆんで
)
に
手綱
(
たづな
)
をささげながら
御歌
(
みうた
)
詠
(
よ
)
ませ
給
(
たま
)
ふ。
261
『いざさらば
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
よ
大宮居
(
おほみや
)
に
262
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なを
仕
(
つか
)
へましませ
263
百神
(
ももがみ
)
等
(
たち
)
の
御旨
(
みむね
)
にそむくと
思
(
おも
)
へども
264
かたき
心
(
こころ
)
をわれ
如何
(
いか
)
にせむ』
265
と
言挙
(
ことあ
)
げしつつ
一鞭
(
ひとむち
)
あててまつしぐらに
夕闇
(
ゆふやみ
)
の
幕
(
まく
)
分
(
わ
)
けつつ
一目散
(
いちもくさん
)
に
駆
(
か
)
け
出
(
い
)
で
給
(
たま
)
ふぞ
是非
(
ぜひ
)
なけれ。
266
(
昭和八・一二・六
旧一〇・一九
於水明閣
谷前清子
謹録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
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(B)
(N)
善言美霊 >>>
霊界物語
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天祥地瑞(第73~81巻)
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第76巻(卯の巻)
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【第7章 外苑の逍遥|第76巻|天祥地瑞|霊界物語|/rm7607】
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