霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第三章 行進歌(かうしんか)〔一九二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯の巻 篇:第1篇 春風駘蕩 よみ(新仮名遣い):しゅんぷうたいとう
章:第3章 行進歌 よみ(新仮名遣い):こうしんか 通し章番号:1920
口述日:1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日) 口述場所:水明閣 筆録者:林弥生 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年3月23日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
一行は、曲津神の妨げを見破り追い払い、行進歌を歌いながら進んでいく。一応は鋭敏鳴出の神のウの言霊を賛美する行進歌を歌っていく。
各々神々は歌を歌いながら進んでいき、狭別比女は、言霊歌によって黒雲を跡形もなく吹き散らした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:0000-00-00 00:00:00 文字数:4609 OBC :rm7603
愛善世界社版: 八幡書店版:第13輯 506頁 修補版: 校定版:192頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 八十(やそ)曲津見(まがつみ)の神(かみ)は、002高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)一行(いつかう)が行手(ゆくて)を妨(さまた)げむとして、003底(そこ)ひも知(し)れぬ深溪川(ふかたにがは)と身(み)を変(へん)じさやり居(ゐ)たりけるが、004高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)の烱眼(けいがん)に看破(かんぱ)され、005鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の生言霊(いくことたま)に打(う)たれて、006忽(たちま)ち煙散(えんさん)霧消(むせう)の体(てい)たらくとなり、007風(かぜ)のまにまに東(ひがし)の空(そら)高(たか)く逃(に)げ去(さ)りければ、008一行(いつかう)十柱(とはしら)の神(かみ)は駿馬(はやこま)に鞭(むち)うち、009大野(おほの)ケ原(はら)を御歌(みうた)うたひつつ東(ひがし)をさして進(すす)ませ給(たま)ふ。
010 高野(たかの)比女(ひめ)の神(かみ)の御歌(みうた)。
011『高天原(たかあまはら)に舞(ま)ひ上(のぼ)り
012天津(あまつ)高宮(たかみや)に詣(まう)でつつ
013主(ス)の大神(おほかみ)の大神言(おほみこと)
014かかぶりまつりて一同(いちどう)は
015心(こころ)の駒(こま)を立(た)て直(なほ)し
016今迄(いままで)なやみし村肝(むらきも)の
017わが魂線(たましひ)は晴(は)れにつつ
018鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)を先頭(せんとう)に
019天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)伴(ともな)ひて
020東(ひがし)の宮居(みや)に帰(かへ)りゆく
021紫微(しび)天界(てんかい)の大野原(おほのはら)
022清(きよ)くさやけく澄(す)みきらひ
023林(はやし)に囀(さへづ)る百鳥(ももどり)の
024声(こゑ)も清(すが)しく響(ひび)きつつ
025百草(ももぐさ)千草(ちぐさ)は咲(さ)き匂(にほ)ひ
026根本(ねもと)にすだく虫(むし)の音(ね)は
027天界(みくに)の春(はる)をうたふなり
028吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)も爽(さわや)かに
029吾(われ)等(ら)が面(おも)を撫(な)ででゆく
030ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
031今日(けふ)の旅路(たびぢ)の楽(たの)しけれ
032これに引(ひ)き替(か)へ瑞御霊(みづみたま)
033わが背(せ)の神(かみ)は曲津見(まがつみ)の
034伊猛(いたけ)りくるふ荒野原(あらのはら)
035夜(よ)を日(ひ)についで進(すす)みつつ
036百(もも)の悩(なや)みを浴(あ)びながら
037主(ス)の大神(おほかみ)の御依(みよ)さしの
038神業(みわざ)に仕(つか)へ給(たま)ふべく
039進(すす)ませ給(たま)ふ雄々(をを)しさよ
040吾(われ)等(ら)は女神(めがみ)の身(み)なりせば
041四季(しき)の花(はな)咲(さ)く高地秀(たかちほ)の
042安(やす)き聖所(すがど)に仕(つか)へつつ
043月日(つきひ)を仇(あだ)におくらむや
044再(ふたた)び天津(あまつ)高宮(たかみや)の
045主(ス)の大神(おほかみ)のみことのり
046承(うけたま)はりて村肝(むらきも)の
047心(こころ)の空(そら)は晴(は)れ渡(わた)り
048いよいよ聖地(せいち)を守(まも)らむと
049万里(ばんり)の駒(こま)に跨(また)がりて
050帰(かへ)らむ路(みち)をあら不思議(ふしぎ)
051八十(やそ)曲津見(まがつみ)は千丈(せんぢやう)の
052深溪川(ふかたにがは)と身(み)を変(へん)じ
053吾(われ)等(ら)が行手(ゆくて)をさへぎりつ
054横(よこた)はれるぞいまはしき
055ここにウ声(ごゑ)の言霊(ことたま)ゆ
056なり出(い)で給(たま)ひし鋭敏鳴出(うなりづ)の
057神(かみ)の言霊(ことたま)勇(いさ)ましく
058打(う)ち出(い)で給(たま)へば曲神(まがかみ)は
059怪(あや)しき雲(くも)と身(み)を変(へん)じ
060西(にし)吹(ふ)く風(かぜ)にまくられて
061東(ひがし)の空(そら)にはかなくも
062消(き)え失(う)せたるぞ面白(おもしろ)き
063ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
064東(ひがし)の宮居(みや)の聖所(すがどこ)に
065心(こころ)を清(きよ)め身(み)を清(きよ)め
066朝(あさ)な夕(ゆふ)なを禊(みそぎ)して
067岐美(きみ)の御幸(みさち)を祈(いの)りつつ
068仕(つか)へまつらむ楽(たの)しさよ』
069 鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は御歌(みうた)うたひ給(たま)ふ。
070『主(ス)の大神(おほかみ)の神言(みこと)もて
071天津(あまつ)高宮(たかみや)大前(おほまへ)を
072謹(つつし)み敬(ゐやま)ひ畏(かしこ)みて
073御樋代(みひしろ)神(がみ)を守(まも)りつつ
074万里(ばんり)の荒野(あらの)を打(う)ちわたり
075いよいよ此処(ここ)に来(き)て見(み)れば
076邪気(じやき)かたまりて曲津見(まがつみ)と
077なり出(い)で雲霧(くもきり)わかしつつ
078深溪川(ふかたにがは)と身(み)を変(へん)じ
079吾(われ)等(ら)が行手(ゆくて)をさへぎりぬ
080高野(たかの)の比女(ひめ)はすばしくも
081曲津(まが)の正体(しやうたい)看破(みやぶ)らし
082生言霊(いくことたま)を宣(の)りませば
083実(げ)にもとわれは驚(おどろ)きて
084ウの言霊(ことたま)のある限(かぎ)り
085金剛力(こんがうりき)を発揮(はつき)して
086貴(うづ)の言霊(ことたま)宣(の)りつれば
087流石(さすが)の曲津見(まがつみ)怖(お)ぢ恐(おそ)れ
088雲(くも)を霞(かすみ)と逃(に)げ去(さ)りぬ
089そのたまゆらに溪川(たにがは)は
090跡(あと)かたもなく消(き)え失(う)せて
091草(くさ)莽々(ばうばう)と生(は)えにつつ
092百花(ももばな)千花(ちばな)咲(さ)き満(み)ちて
093虫(むし)のなく音(ね)もさやさやに
094天界(みくに)の春(はる)となりにけり
095ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
096生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひに
097わが行(ゆ)く道(みち)は平(たひら)けく
098いと安(やす)らけく開(ひら)かれて
099跨(またが)る駒(こま)も勇(いさ)ましく
100蹄(ひづめ)を揃(そろ)へて嘶(いなな)きつ
101果(は)てなき野辺(のべ)を進(すす)むなり
102行手(ゆくて)に如何(いか)なる曲津見(まがつみ)の
103さやりて災(わざはひ)なすとても
104主(ス)の大神(おほかみ)の賜(たま)ひてし
105生言霊(いくことたま)の幸(さちは)ひに
106汝(な)が神(かみ)等(たち)をやすやすと
107東(ひがし)の宮居(みや)におくるべし
108ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
109神(かみ)の守(まも)りの強(つよ)ければ
110御樋代(みひしろ)神(がみ)等(たち)心安(うらやす)く
111思召(おぼしめ)しませ鋭敏鳴出(うなりづ)の
112神(かみ)は真心(まごころ)照(て)らしつつ
113ここに所信(しよしん)を宣(の)べまつる
114ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
115御霊(みたま)幸(さち)はへましませよ』
116 朝香(あさか)比女(ひめ)の神(かみ)は馬上(ばじやう)豊(ゆたか)に歌(うた)はせ給(たま)ふ。
117『われ等(ら)は神(かみ)に選(えら)まれて
118御樋代(みひしろ)神(がみ)となりながら
119心(こころ)は曇(くも)り魂(たま)ねぢけ
120生言霊(いくことたま)の濁(にご)らへば
121御子(みこ)産(う)む神業(わざ)にふさはずと
122百神(ももがみ)達(たち)の嘲(あざけ)りを
123怨(うら)みし事(こと)の恥(はづ)かしき
124太元(おほもと)顕津男(あきつを)の神(かみ)は
125弱(よわ)き心(こころ)は持(も)たさねど
126百神(ももがみ)等(たち)の嘲(あざけ)りを
127五月蠅(うるさ)く思(おぼ)し召(め)しまして
128しばしためらひ給(たま)ひつつ
129御樋代(みひしろ)神(がみ)の魂線(たましひ)の
130ひたに曇(くも)れる有様(ありさま)を
131窺(うかが)ひ知(し)りていち早(はや)く
132東(ひがし)の宮居(みや)を出(い)で立(た)たし
133彼方(あなた)此方(こなた)に間配(まくば)れる
134八十(やそ)比女神(ひめがみ)に見合(みあ)ひして
135国魂神(くにたまがみ)を生(う)まさむと
136心(こころ)の駒(こま)に鞭(むち)うちて
137出(い)で立(た)ち給(たま)ひし畏(かしこ)さよ
138吾(われ)等(ら)御樋代(みひしろ)神(がみ)等(たち)は
139岐美(きみ)の無情(むじやう)を怨(うら)みつつ
140ただ徒(いたづら)に月(つき)と日(ひ)を
141疎(うと)みかこちて過(す)ぎにけり
142ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
143神(かみ)の心(こころ)も白雲(しらくも)の
144空(そら)にさまよふ如(ごと)くなり
145主(ス)の大神(おほかみ)の御光(みひかり)に
146照(て)らされ今日(けふ)よりわが魂(たま)は
147月日(つきひ)の如(ごと)く輝(かがや)きて
148心(こころ)にひそむ曲神(まがかみ)の
149在処(ありか)を隈(くま)なく悟(さと)りたり
150そも天界(てんかい)の要(かなめ)なる
151神業(みわざ)といふは言霊(ことたま)の
152水火(いき)を清(きよ)めて澄(す)みきらし
153朝(あさ)な夕(ゆふ)なに禊(みそぎ)して
154愛(あい)と信(しん)との道(みち)守(まも)り
155真心(まごころ)こめて大神(おほかみ)に
156仕(つか)ふるよりは外(ほか)になし
157かくも悟(さと)りし上(うへ)からは
158主(ス)の大神(おほかみ)も怨(うら)むまじ
159岐美(きみ)の無情(むじやう)もかこつまじ
160心(こころ)平(たひら)に安(やす)らかに
161八咫(やあた)の鏡(かがみ)と澄(す)みきりて
162この天界(てんかい)に永久(とこしへ)に
163仕(つか)へまつらむ真心(まごころ)を
164いよいよ今日(けふ)は固(かた)めたり
165ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
166神(かみ)の守(まも)りの深(ふか)くあれ
167恩頼(みたまのふゆ)の幸(さき)くあれ』
168 天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)は、169馬上(ばじやう)豊(ゆたか)に御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
170『筑紫(つくし)の宮居(みや)を立(た)ち出(い)でて
171紫微(しび)天界(てんかい)の旅枕(たびまくら)
172御樋代(みひしろ)神(がみ)の御尾前(みをさき)を
173守(まも)り仕(つか)へて今(いま)此処(ここ)に
174いそいそ進(すす)み来(き)て見(み)れば
175言霊(ことたま)穢(けが)れ固(かた)まりて
176八十(やそ)の曲津見(まがつみ)生(うま)れ出(い)で
177深溪川(ふかたにがは)と身(み)を変(へん)じ
178吾(われ)等(ら)が旅(たび)ゆく道(みち)の辺(べ)を
179さへぎりゐたるゆゆしさに
180ウ声(ごゑ)に生(うま)れし神柱(かむばしら)
181鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)は奮(ふる)ひ起(た)ち
182力(ちから)限(かぎ)りに言霊(ことたま)を
183天地(てんち)も破(わ)れよと宣(の)り給(たま)ふ
184強(つよ)き御稜威(みいづ)に辟易(へきえき)し
185八十(やそ)の曲津(まがつ)は忽(たちま)ちに
186雲(くも)と変(へん)じて空(そら)高(たか)く
187風(かぜ)のまにまに散(ち)り失(う)せぬ
188ああ惟神(かむながら)言霊(ことたま)の
189水火(いき)の力(ちから)の尊(たふと)さよ
190吾(われ)等(ら)は未(いま)だ村肝(むらきも)の
191心(こころ)の曇(くも)り晴(は)れざれば
192如何(いか)に言霊(ことたま)宣(の)るとても
193草木(くさき)の梢(こずゑ)ゆるぐより
194外(ほか)に功(いさを)は無(な)かりける
195結(むす)びの水火(いき)の清(きよ)まりし
196鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)のけなげにも
197宣(の)り上(あ)げ給(たま)ふ言霊(ことたま)は
198わが魂線(たましひ)の底(そこ)までも
199沁(し)みわたりつつ天地(あめつち)に
200ひそめる曲(まが)のかげもなく
201雲(くも)を霞(かすみ)と逃(に)げ去(さ)りぬ
202ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
203今日(けふ)より心(こころ)を改(あらた)めて
204生言霊(いくことたま)を研(と)ぎすませ
205東(ひがし)の宮居(みや)に朝夕(あさゆふ)を
206仕(つか)へまつりて天界(かみくに)の
207神業(みわざ)に仕(つか)へ百神(ももがみ)の
208日々(ひび)の幸(さち)をば祈(いの)るべし
209駒(こま)は勇(いさ)みて鬣(たてがみ)を
210前後(ぜんご)左右(さいう)に振(ふ)りながら
211花(はな)咲(さ)く野辺(のべ)をしやんしやんと
212進(すす)み行(ゆ)くこそ楽(たの)しけれ
213わが行(ゆ)く先(さき)は遥(はろか)なり
214行手(ゆくて)に如何(いか)なる曲神(まがかみ)の
215さやらむ例(ためし)ありとても
216言霊(ことたま)清(きよ)き鋭敏鳴出(うなりづ)の
217神(かみ)の先頭(せんとう)に立(た)ちまさば
218吾(われ)等(ら)は何(なん)の怖(おそ)れなく
219従(したが)ひゆくこそ畏(かしこ)けれ
220ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
221天界(みくに)の旅(たび)に幸(さち)あれよ
222天界(みくに)の旅(たび)に幸(さち)あれよ』
223 ここに香具(かぐ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
224『見渡(みわた)せば大野(おほの)の奥(おく)に雲(くも)たちて
225御空(みそら)の月(つき)はかくろひにけり
226昼月(ひるづき)のかげを包(つつ)みし黒雲(くろくも)は
227曲津見(まがつみ)の水火(いき)の凝(こ)れるなるらむ
228吾(わが)駒(こま)は勇(いさ)み進(すす)めど大空(おほぞら)の
229月日(つきひ)の光(かげ)はうすらぎにつつ
230曲神(まがかみ)は行手(ゆくて)にさやり居(を)るならむ
231天地(あめつち)にはかに曇(くも)らひにけり
232高野(たかの)比女(ひめ)の御後(みあと)に従(したが)ひわれは今(いま)
233大野(おほの)の旅(たび)を続(つづ)けけるかも
234曲津見(まがつみ)は深溪川(ふかたにがは)と変(へん)じつつ
235わが行(ゆ)く道(みち)にさやりけるかな
236鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の言霊(ことたま)幸(さち)はひて
237雲(くも)となりつつ曲津(まが)は失(う)せけり
238主(ス)の神(かみ)の神言(みこと)を受(う)けて帰(かへ)りゆく
239道(みち)にさやりし曲津(まが)ぞ忌々(ゆゆ)しき』
240 梅咲(うめさく)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)うたひ給(たま)ふ。
241『十柱(とはしら)の神(かみ)の乗(の)らせる白駒(しらこま)の
242蹄(ひづめ)の音(おと)のいさましきかも
243地(つち)稚(わか)き荒野(あらの)ケ原(はら)を渉(わた)りゆく
244駒(こま)の蹄(ひづめ)はふかく残(のこ)れり
245駒(こま)並(な)めて東(ひがし)の宮居(みや)に帰(かへ)りゆく
246わが旅立(たびだ)ちの幸(さき)かれと祈(いの)る
247わが行(ゆ)かむ道(みち)をさへぎり曲津見(まがつみ)は
248深溪川(ふかたにがは)となりて居(ゐ)しはや
249鋭敏鳴出(うなりづ)の生言霊(いくことたま)にやらはれて
250あはれ曲津(まがつ)は消(き)え失(う)せにけり
251山(やま)も野(の)も一度(いちど)に暗(くら)くなりにけり
252月日(つきひ)を包(つつ)みし醜(しこ)の黒雲(くろくも)に
253この辺(あた)り曲神(まがかみ)等(たち)は黒雲(くろくも)の
254網(あみ)を張(は)りつつ悩(なや)むるなるらむ
255とにもあれかくにもあれや言霊(ことたま)の
256水火(いき)を続(つづ)けて聖所(すがど)に帰(かへ)らむ』
257 寿々子(すずこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
258『雲(くも)の幕(まく)十重(とへ)に二十重(はたへ)に包(つつ)むとも
259何(なに)か怖(おそ)れむ神(かみ)に在(あ)る身(み)は
260主(ス)の神(かみ)とともにある身(み)の今日(けふ)の旅(たび)
261さやらむものは亡(ほろ)びゆくべし
262十柱(とはしら)の神(かみ)の出(い)で立(た)ちさやらむと
263待(ま)ち佗(わ)ぶるならむ曲津見(まがつみ)の神(かみ)は
264惟神(かむながら)神(かみ)の神言(みこと)を畏(かしこ)みて
265吾(われ)等(ら)は聖所(すがど)に帰(かへ)りゆくなり
266さまざまの奸計(たくみ)の罠(わな)を張(は)るとても
267破(やぶ)りて進(すす)まむ言霊(ことたま)の水火(いき)に
268天界(てんかい)は愛(あい)と信(しん)との神国(みくに)なれば
269虚偽(きよぎ)は許(ゆる)さじ悪(あく)はゆるさじ
270曲神(まがかみ)は偽(うそ)を誠(まこと)とかまへつつ
271真言(まこと)の神(かみ)にさやらむとすも
272浅(あさ)ましき心(こころ)なるかも曲津見(まがつみ)の
273奸計(たくみ)のわざは忽(たちま)ち破(やぶ)れぬ』
274 宇都子(うづこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
275『鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)に守(まも)られゆく道(みち)に
276さやらむ曲津見(まがつみ)はなしと思(おも)へり
277曲津見(まがつみ)の災(わざはひ)如何(いか)に強(つよ)くとも
278ウの言霊(ことたま)にひらき進(すす)まむ
279われも亦(また)ウ声(ごゑ)になりし女神(めがみ)なれば
280曲津(まが)の奸計(たくみ)を如何(いか)で怖(おそ)れむ
281大空(おほぞら)の月日(つきひ)をのみし黒雲(くろくも)は
282八十(やそ)曲津見(まがつみ)の姿(すがた)なりける
283大空(おほぞら)を封(ふう)じて八十(やそ)の曲津見(まがつみ)は
284月日(つきひ)の光(かげ)をさへぎりてをり
285待(ま)てしばし貴(うづ)の言霊(ことたま)宣(の)り上(あ)げて
286醜(しこ)の黒雲(くろくも)四方(よも)に散(ち)らさむ
287わが伊行(いゆ)く道(みち)の傍(かた)へに百千花(ももちばな)
288咲(さ)きにほひつつ春(はる)栄(さか)えけり
289春(はる)の野(の)に駒(こま)を並(なら)べて進(すす)みゆく
290わが旅立(たびだ)ちを勇(いさ)ましく思(おも)ふ
291鳥(とり)うたひ胡蝶(こてふ)は舞(ま)へる春(はる)の野(の)を
292駒(こま)を並(なら)べて伊行(いゆ)くたのしさ
293曲津見(まがつみ)の奸計(たくみ)たくみし深溪川(ふかたにがは)も
294生言霊(いくことたま)に消(き)え失(う)せにけり
295わが伊行(いゆ)く道(みち)にさやらむ曲津(まが)あらば
296駒(こま)の蹄(ひづめ)に蹶散(けち)らし進(すす)まむ』
297 狭別(さわけ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
298『はろばろと遠野(とほの)の旅(たび)を続(つづ)けつつ
299日々(ひび)に聖所(すがど)に近(ちか)づく楽(たの)しさ
300吹(ふ)く風(かぜ)もいと軟(やはら)かに百鳥(ももとり)の
301声(こゑ)はさやけく澄(す)みわたる春(はる)
302大空(おほぞら)をつつみし醜(しこ)の黒雲(くろくも)も
303おちつかぬがにたち迷(まよ)ひつつ
304科戸辺(しなどべ)の神(かみ)の御水火(みいき)の幸(さち)はひて
305吹(ふ)き散(ち)らすらむ黒雲(くろくも)の幕(まく)を
306山(やま)となり溪川(たにがは)となり雲(くも)となり
307曲津見(まがつみ)は行手(ゆくて)にさやらむとすも
308恐(おそ)るべきもの一(ひと)つなき天界(かみくに)に
309生(い)きてはたらく身(み)は楽(たの)しけれ
310万世(よろづよ)の末(すゑ)の末(すゑ)まで語(かた)り伝(つた)へ
311御稜威(みいづ)照(て)らさむ言霊(ことたま)の旅(たび)を
312瑞御霊(みづみたま)万里(ばんり)の旅(たび)に立(た)たせども
313月(つき)をし見(み)れば淋(さび)しからずも
314わが岐美(きみ)の御霊(みたま)こもりし月光(つきかげ)を
315つつみし雲(くも)の憎(にく)らしきかも
316狭別(さわけ)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の言霊(ことたま)に
317御空(みそら)の雲霧(くもきり)さわけ散(ち)らさむ』
318 斯(か)くうたひ給(たま)へば、319科戸(しなど)の神(かみ)も諾(うべな)ひ給(たま)ひけむ、320科戸辺(しなどべ)の風(かぜ)俄(にはか)に吹(ふ)き出(い)でて、321四方(よも)八方(やも)に雲霧(うんむ)を吹(ふ)き散(ち)らし、322さしもの黒雲(くろくも)は跡(あと)かたもなく消(き)え失(う)せにける。
323 この状(さま)を眺(なが)めて花子(はなこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
324『狭別(さわけ)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の言霊(ことたま)に
325御空(みそら)の雲(くも)は散(ち)り失(う)せしはや
326久方(ひさかた)の空(そら)の黒雲(くろくも)散(ち)りにつつ
327月日(つきひ)の神(かみ)はかがやき給(たま)へり
328地(ち)の上(うへ)に咲(さ)き足(た)らひたる百花(ももばな)も
329笑(ゑ)まひ顔(がほ)なり月日(つきひ)をがみて
330百鳥(ももとり)の声(こゑ)もさやかに聞(きこ)ゆなり
331御空(みそら)の雲(くも)の吹(ふ)き散(ち)りしより
332天界(かみくに)の旅(たび)をつづくる白駒(しらこま)の
333蹄(ひづめ)の音(おと)も冴(さ)えわたりつつ
334野辺(のべ)を吹(ふ)く風(かぜ)さへ薫(かを)る春(はる)の日(ひ)を
335駒(こま)を並(なら)べて進(すす)む楽(たの)しさ』
336 小夜子(さよこ)比女(ひめ)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
337『科戸辺(しなどべ)の風(かぜ)に散(ち)りにし黒雲(くろくも)は
338巌(いはほ)となりて道(みち)にさやらむ
339散(ち)りはてし雲(くも)は彼方(かなた)の大空(おほぞら)に
340伊寄(いよ)り集(つど)ひて峰(みね)となりつつ
341もうもうと湧(わ)き立(た)ち湧(わ)き立(た)ち雲(くも)の峰(みね)と
342なりて行手(ゆくて)にさやる曲津見(まがつみ)
343曲津見(まがつみ)の猛(たけ)びは如何(いか)に強(つよ)くとも
344駒(こま)の蹄(ひづめ)にかけて進(すす)まむ
345美(うるは)しき清(きよ)き天界(みくに)の中(なか)にして
346由々(ゆゆ)しきかもよ曲津見(まがつみ)の猛(たけ)びは
347鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の功(いさを)に村肝(むらきも)の
348心(こころ)はつよく太(ふと)らひにけり
349わが心(こころ)ふくれひろごり天地(あめつち)に
350充(み)ち足(た)らひつつ勇(いさ)みけるはや
351この上(うへ)は如何(いか)なる曲津(まが)のさやるとも
352何(なに)かおそれむ神(かみ)にあるわれは』
353 天津(あまつ)女雄(めを)の神(かみ)は御歌(みうた)詠(よ)ませ給(たま)ふ。
354『高野(たかの)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)に従(したが)ひて
355ゆく天界(かみくに)の旅(たび)は楽(たの)しも
356曲神(まがかみ)の隙(すき)をねらへるこの旅(たび)も
357生言霊(いくことたま)に安(やす)く進(すす)まむ
358鋭敏鳴出(うなりづ)の神(かみ)の功(いさを)に曲神(まがかみ)は
359雲(くも)を霞(かすみ)と逃(に)げ失(う)せにけり
360梅咲(うめさく)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の幸(さち)はひに
361吹(ふ)き来(く)る風(かぜ)も香(かむ)ばしきかな
362香具(かぐ)比女(ひめ)の御魂(みたま)幸(さち)はひ非時(ときじく)に
363香具(かぐ)の木(こ)の実(み)の香(かを)りこそすれ
364寿々子(すずこ)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)の言霊(ことたま)に
365澄(す)み清(きよ)まりぬこの天地(あめつち)は
366朝香(あさか)比女(ひめ)神(かみ)は面勝(おもかつ)神(かみ)にして
367またも射向(いむか)ふ神(かみ)にましける
368宇都子(うづこ)比女(ひめ)神(かみ)の神言(みこと)は言霊(ことたま)も
369いと美(うるは)しく冴(さ)え渡(わた)りけり
370狭別(さわけ)比女(ひめ)神(かみ)の言霊(ことたま)幸(さち)はひて
371御空(みそら)の雲(くも)は吹(ふ)き散(ち)りにける
372花子(はなこ)比女(ひめ)生言霊(いくことたま)の幸(さち)はひに
373百(もも)の木草(きぐさ)は花(はな)満(み)ちにけり
374小夜子(さよこ)比女(ひめ)宣(の)らせる稜威(いづ)の言霊(ことたま)に
375真昼(まひる)の月(つき)はあらはれにける』
376 斯(か)くの如(ごと)く、377神々(かみがみ)は各自(おのもおのも)に御歌(みうた)うたはせ給(たま)ひつつ、378馬上(ばじやう)ゆたかに揺(ゆ)られながら春風(はるかぜ)渡(わた)る大野(おほの)ケ原(はら)を、379夜(よ)を日(ひ)についで進(すす)ませ給(たま)ふ。
380(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 林弥生謹録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→