霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 梅(うめ)の花(はな)〔四七一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第1篇 長駆進撃 よみ(新仮名遣い):ちょうくしんげき
章:第4章 梅の花 よみ(新仮名遣い):うめのはな 通し章番号:471
口述日:1922(大正11)年02月28日(旧02月02日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
二人の横を千匹の狼が走り抜けていった。その物音に目を覚まし、東彦(本当は高彦)は次は大蛇が出てくるぞ、と時公をおどかした。
そこへ突然美しい女が現れ、梅ケ香姫だと名乗った。時公は大蛇が化けているのではないかと、えらい権幕で疑ってかかる。梅ケ香姫は時公をからかって、人間の肉が食いたい、と大蛇のふりをする。
時公は覚悟を決めて、東彦と一緒に大蛇に飲まれよう、と言うが、梅ケ香姫は冗談であることを明かす。そして、石凝姥宣伝使と、鉄彦も一緒にいると明かすと、二人は草の中から現れた。
一行五人は夜が明けるのを待って、クス野ケ原の大蛇を言向け和すことになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:27:15 文字数:2328 OBC :rm1104
愛善世界社版:38頁 八幡書店版:第2輯 527頁 修補版: 校定版:38頁 普及版:15頁 初版: ページ備考:
001 東彦(あづまひこ)、002時公(ときこう)の二人(ふたり)は草疲(くたび)れ果(は)てて、003前後(ぜんご)も知(し)らず暖(あたた)かき夢(ゆめ)を結(むす)ぶ折(をり)しも、004前方(ぜんぱう)より慌(あわただ)しき何者(なにもの)かの足音(あしおと)が聞(きこ)え来(き)た。005二人(ふたり)は此(この)物音(ものおと)に目(め)を醒(さ)まし、006折柄(をりから)昇(のぼ)る半(はん)円(ゑん)の月(つき)に透(す)かし見(み)れば、007巨大(きよだい)なる獅子(しし)の群(むれ)幾百(いくひやく)ともなく、008二人(ふたり)の眠(ねむ)る横側(よこがは)を雲(くも)を霞(かすみ)と走(はし)り行(ゆ)くのであつた。009時公(ときこう)は東彦(あづまひこ)の耳(みみ)に口(くち)寄(よ)せ、
010時公『モシモシ、011宣伝使(せんでんし)様(さま)、012千疋(せんびき)獅子(しし)が通(とほ)りましたデ、013……知(し)つてますか』
014東彦(あづまひこ)『千疋(せんびき)獅子(しし)と云(い)ふものがあるか、015あれは千疋(せんびき)狼(おほかみ)だ。016お前(まへ)がシヤツチもない宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)つて宣(の)り直(なほ)せと云(い)ふに、017宣(の)り直(なほ)さないものだから、018神(かみ)様(さま)が怒(いか)つて、019獅子(しし)を遣(つか)はしてお前(まへ)を探(さが)して御座(ござ)るのだ。020モウおつつけ此方(こちら)へ引返(ひきかへ)して来(く)る時分(じぶん)だ。021早(はや)う宣伝歌(せんでんか)を宣(の)り直(なほ)せ』
022時公(ときこう)『そんな事(こと)云(い)つて恐嚇(おどし)たつて、023この時(とき)さんは、024時々(ときどき)この野(の)で千疋(せんびき)獅子(じし)に会(あ)ふのだから、025獅子(しし)喰(く)た犬(いぬ)に其(その)嚇(おど)しは利(き)きませぬで……貴方(あなた)宣(の)り直(なほ)しなさい』
026東彦(あづまひこ)(本当は高彦)『イヤ、027汝(おまへ)はねぶた目(め)で獅子(しし)と間違(まちが)つたのだ、028あれは巨大(きよだい)な狼(おほかみ)だよ。029何(なん)でも大(おほ)きな大蛇(だいじや)が現(あら)はれたので逃(に)げて来(き)たのだ。030キツト此(この)次(つぎ)は太(ふと)い奴(やつ)だ。031用心(ようじん)せよ』
032時公(ときこう)『太(ふと)い奴(やつ)つて、033大蛇(だいじや)ですか』
034東彦(あづまひこ)(本当は高彦)『さうだ、035大蛇(をろち)といふものは斯(か)ういふ草原(くさはら)に隠(かく)れてるものだ。036あまりお前(まへ)が人間(にんげん)臭(くさ)い事(こと)をいふものだから、037大蛇(をろち)の奴(やつ)一(ひと)つ呑(の)んでやらうと思(おも)つて現(あら)はれたのだよ。038併(しか)し乍(なが)ら此(この)高彦(たかひこ)さまが御座(ござ)る間(あひだ)は大丈夫(だいぢやうぶ)だ。039マア安心(あんしん)せい』
040時公(ときこう)『あなた、041矢張(やつぱり)化物(ばけもの)だな。042悪魔彦(あくまひこ)だとか云(い)つて居(を)つたと思(おも)へば又(また)鷲(わし)は鷹(たか)だとか、043鳶(とび)だとか、044鳥(とり)とめもない事(こと)を言(い)ふ人(ひと)だ』
045高彦(たかひこ)『マアどうでもよい。046今(いま)に長(なが)い太(ふと)い奴(やつ)がザーツと音(おと)を立(た)ててお出(で)ましだ。047一(ひと)つ宣伝歌(せんでんか)でも聞(き)かしてやらうかい』
048時公(ときこう)『さうですなア。049宣伝(せんでん)万歌(ばんか)(千変(せんぺん)万化(ばんくわ))の言霊(ことたま)の妙用(めうよう)を試(ため)すは此(この)時(とき)です』
050 斯(か)かる所(ところ)へ忽然(こつぜん)として美(うつく)しき女(をんな)が現(あら)はれた。
051女(をんな)『ヤア、052お前(まへ)は時(とき)さまか。053どうして斯(こ)んな所(ところ)へ来(き)やしやんしたのだい』
054時公(ときこう)『ヤ、055出(で)やがつたなア。056ヤイ大蛇(をろち)、057綺麗(きれい)な別嬪(べつぴん)に化(ば)けやがつて、058俺(おれ)を誤魔化(ごまくわ)さうと思(おも)つたつて誤魔化(ごまくわ)せないぞ。059コラツ、060俺(おれ)を何(なん)と心得(こころえ)て居(を)る。061蛇(へび)を掴(つか)んで喰(く)ふ蛇掴(へびつか)みの悪神(あくがみ)でさへも、062俺(おれ)のフンと吹(ふ)いた鼻息(はないき)で、063雲(くも)を霞(かすみ)と逃(に)げ散(ち)るといふ様(やう)な、064古今(ここん)無双(むさう)の豪傑(がうけつ)だ。065良(よ)い加減(かげん)に姿(すがた)を隠(かく)さんと、066掴(つか)んで喰(く)てやらうか』
067高彦(たかひこ)『アハヽヽヽ』
068時公(ときこう)『コレコレ、069高(たか)さん、070何(なに)が可笑(をか)しい、071千騎(せんき)一騎(いつき)だ。072是(これ)から時(とき)さまの腕試(うでだめ)しだ。073チツト都合(つがふ)の良(よ)い宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)つて下(くだ)さい。074応援(おうゑん)だ応援(おうゑん)だ』
075高彦(たかひこ)『アハヽヽヽヽ』
076女(をんな)『ホヽヽヽ』
077時公(ときこう)『フン、078何(なに)を吐(ぬか)しやがる。079此(この)寒(さむ)い時分(じぶん)にホヽヽなんて、080呆(ほう)けやがつて。081鶯(うぐひす)の真似(まね)をしたつて誰(たれ)が其(その)手(て)に乗(の)るかい。082呆助(ほうすけ)奴(め)が、083とぼけやがるな。084時(とき)さんは時(とき)を知(し)つて居(ゐ)るのだ。085ホヽヽと言(い)うて出(で)る奴(やつ)は、086梅(うめ)の花(はな)の咲(さ)く時分(じぶん)だ』
087女(をんな)『わたしは梅ケ香姫(うめがかひめ)で御座(ござ)います』
088時公(ときこう)『ナニツ、089梅ケ香姫(うめがかひめ)もあつたものかい。090梅ケ香姫(うめがかひめ)は、091二日前(ふつかまへ)に鉄谷村(かなたにむら)を三人(さんにん)連(づれ)で出(で)た筈(はず)だ。092貴様(きさま)一人(ひとり)こんな処(ところ)においとく筈(はず)がない。093貴様(きさま)の正体(しやうたい)は時(とき)さまがチヤーンと見届(みとど)けてあるのだ。094ソレ、095太(ふと)い奴(やつ)の長(なが)い奴(やつ)だらう。096俺(おれ)の天眼通(てんがんつう)は百発(ひやくぱつ)百中(ひやくちゆう)だ。097恐(おそ)れ入(い)つたか、098邪神(じやしん)奴(め)が』
099女(をんな)『ホヽヽヽ、100時(とき)さまのあの気張(きば)り様(やう)、101わたしはお臍(へそ)が茶(ちや)を沸(わ)かします。102ホヽヽヽ』
103時公(ときこう)『エヽ、104厭(いや)らしい。105此(この)野原(のはら)に夜(よる)の夜中(よなか)に出(で)て来(き)やがつて、106魔性(ましやう)の姿(すがた)をして、107何(なに)をほざきやがるのだ。108煙草(たばこ)の脂(づう)を飲(の)ましてやろか』
109高彦(たかひこ)『アハヽヽヽ』
110女(をんな)『妾(わらは)は時(とき)さまの天眼通(てんがんつう)力(りき)に恐(おそ)れ入(い)りました、111お察(さつ)しの通(とほ)り、112太(ふと)い長(なが)い此(この)クス野ケ原(のがはら)の主(ぬし)で御座(ござ)います。113妾(わらは)は沢山(たくさん)の獅子(しし)を餌食(ゑじき)に致(いた)して居(を)ります。114一口(ひとくち)に牛(うし)の様(やう)な獅子(しし)を十疋(じつぴき)くらゐ喰(く)はねば、115歯(は)にも当(あた)らぬ様(やう)な気(き)が致(いた)します。116ホヽヽヽ』
117時公(ときこう)『ヤア、118厭(いや)らしい奴(やつ)だ。119コレコレ高彦(たかひこ)さま、120あなたも起(おき)ぬか。121なんぼ死(し)んで生(うま)れて、122死(し)んで生(うま)れると言(い)つても、123こんな奴(やつ)に呑(の)まれて死(し)ぬのは、124チツト残念(ざんねん)だ。125サア起(おき)て下(くだ)さい、126早(はや)う早(はや)う』
127高彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、128可笑(をか)しい奴(やつ)だナ。129モシモシ大蛇娘(をろちむすめ)さま、130お前(まへ)さま、131獅子(しし)ばつかり喰(く)つて居(を)つても、132あんまり珍(めづら)しくなからう。133ここに一(ひと)つ人肉(ひとしし)の温(あたた)かいのがあるが、134是(これ)はどうだな』
135女(をんな)『ホヽヽヽヽ、136それは何(なに)よりの好物(かうぶつ)、137頂戴(ちやうだい)致(いた)しませう』
138時公(ときこう)『オヽ、139それがよい、140それがよい。141蛇(へび)の口(くち)から、142高彦(たかひこ)が喰(く)て呉(く)れと云(い)つてる。143此奴(こいつ)をグーと一(ひと)つ呑(の)んで、144それで帳消(ちやうけ)しだ』
145女(をんな)『イエイエ、146時(とき)さまが美味(おいし)さうなお顔付(かほつき)、147肉(にく)の具合(ぐあひ)といひ、148コツクリと肌(はだ)の黒(くろ)い美味(うま)さうなお姿(すがた)。149ホヽヽヽヽ』
150時公(ときこう)『エイ邪魔(じやま)臭(くさ)い、151口(くち)開(あ)け、152獅子(しし)の十(とう)も喰(くら)うて歯(は)に当(あた)らぬ様(やう)な大(おほ)きな口(くち)なら、153俺(おれ)もトンネルだと思(おも)つて喰(く)はれてやらう。154其(その)代(かは)りに此(この)杖(つゑ)を振(ふ)つて振(ふ)つて振(ふ)り廻(まは)し、155腹(はら)の中(なか)に這入(はい)つた時(とき)に腸(はらわた)を突(つ)いて突(つ)いて突(つ)き廻(まは)してやるから、156さう思(おも)へ。157サア、158早(はや)う正体(しやうたい)を現(あら)はさぬか』
159女(をんな)『わたしの口(くち)は火(ひ)の様(やう)な熱(ねつ)があります。160口(くち)へ入(い)れたが最期(さいご)、161火(ひ)の中(なか)へ薄氷(うすこほり)を投(ほ)り込(こ)んだ様(やう)なもの、162時(とき)さまのお身体(からだ)も、163鉄棒(てつぼう)もみんな熔(と)けて了(しま)ひます』
164時公(ときこう)『コイツ都合(つがふ)が悪(わる)いなア。165オイ高(たか)さま、166籤引(くじびき)だ。167言(い)ひ出(だ)し、168放(こ)き出(だ)し、169笑(わらひ)出(だ)しだ。170屁(へ)でもない様(やう)な事(こと)を云(い)ふものだから俺(おれ)を喰(く)ふなんて云(い)ひやがるんだ。171サア、172一緒(いつしよ)に附合(つきあひ)だ。173二人(ふたり)乍(なが)ら呑(の)ましてやらうかい』
174高彦(たかひこ)『アハヽヽヽ』
175女(をんな)『モシモシ時(とき)さん、176嘘(うそ)ですよ。177妾(わたし)は蛇掴(へびつか)みの岩窟(いはや)へ清姫(きよひめ)さまの身代(みがは)りになつて、178貴方(あなた)に担(かつ)いで往(いつ)て貰(もら)うた梅ケ香姫(うめがかひめ)です』
179時公(ときこう)『嘘(うそ)の様(やう)な、180本真(ほんま)の様(やう)な話(はなし)だが、181そんなら何故(なぜ)俺(おれ)ん所(とこ)の主人(しゆじん)の鉄彦(かなひこ)さまと、182石凝姥(いしこりどめ)の宣伝使(せんでんし)をどうしたのだ』
183女(をんな)『二人(ふたり)共(とも)此処(ここ)に居(を)られます。184アヽモシモシお二人(ふたり)様(さま)、185此処(ここ)へお越(こ)し下(くだ)さいませ』
186 草(くさ)の中(なか)から二人(ふたり)の男(をとこ)の声(こゑ)
187石凝姥、鉄彦『アハヽヽヽ、188オホヽヽヽ』
189 今(いま)まで薄雲(うすぐも)に包(つつ)まれ、190ドンヨリとして居(ゐ)た月光(つきかげ)は皎々(かうかう)と輝(かがや)き初(はじ)めた。
191高彦(たかひこ)『ヤア、192貴方(あなた)は石凝姥(いしこりどめ)の神(かみ)様(さま)[※石凝姥の旧名は「東彦」]、193珍(めづら)しい処(ところ)でお目(め)に掛(かか)りました』
194時公(ときこう)『ナーンだ。195全然(まるで)お紋狐(もんぎつね)に魅(つま)まれた様(やう)だ』
196 是(これ)より五(ご)人(にん)は夜(よ)の明(あ)くるを待(ま)つて、197クス野ケ原(のがはら)の大蛇(をろち)を言向(ことむ)け和(やは)す事(こと)となつたのである。
198(大正一一・二・二八 旧二・二 松村真澄録)
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