霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 虎猫(とらねこ)〔四七六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第2篇 意気揚々 よみ(新仮名遣い):いきようよう
章:第9章 虎猫 よみ(新仮名遣い):とらねこ 通し章番号:476
口述日:1922(大正11)年03月01日(旧02月03日) 口述場所: 筆録者:池沢原次郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
時公は、鉄彦の命で梅ケ香姫の護衛をするべく、後を追って来て船中でやっとめぐり合えたところ、勝公が梅ケ香姫に襲い掛かろうとしたので、助けたのであった。
時公に捕まった勝公は、あべこべに三五教の教えを楯にして、許しを請う。梅ケ香姫も時公も、勝公のちゃっかりした物言いに思わず笑ってしまう。
八公、鴨公も時公の強さに恐れ入って降参するが、勝公は軽口をたたいて皆を笑わせている。そして船中にわかに一同は三五教に改心し、コーカス山に魔神を言向け和しに乗り込むこととなった。
おりしも、船は明志の湖の西岸のタカオに到着した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ:(池沢原次郎、池沢原治郎、池沢原二郎) データ凡例: データ最終更新日:2026-09-17 16:09:55 文字数:2460 OBC :rm1109
愛善世界社版:88頁 八幡書店版:第2輯 545頁 修補版: 校定版:88頁 普及版:37頁 初版: ページ備考:
001 梅ケ香姫(うめがかひめ)は乱暴者(らんばうもの)に三方(さんぱう)より攻(せ)めかけられ稍(やや)困(こま)りゐる、002其処(そこ)へ時公(ときこう)が現(あら)はれて勝公(かつこう)を懲(こら)して呉(く)れたのでヤツト胸(むね)を撫(な)で下(おろ)し、
003梅ケ香姫(うめがかひめ)『ヤア時(とき)さま、004よい処(ところ)へ来(き)て下(くだ)さつた、005五月蝿(うるさ)いお方(かた)で宣伝(せんでん)したつて聞(き)く耳(みみ)のない蛸(たこ)の様(やう)な方(かた)ですからな』
006時公(ときこう)『あゝ左様(さやう)で御座(ござ)いませう。007北(きた)の森(もり)の人間(にんげん)はこの界隈(かいわい)でも一番(いちばん)没分暁漢(わからずや)の居(を)る処(ところ)ですから』
008梅ケ香姫(うめがかひめ)『貴方(あなた)、009クス野ケ原(のがはら)の開墾(かいこん)は何(ど)うなさつたの』
010時公(ときこう)『ヤア、011開墾(かいこん)も開墾(かいこん)ですが、012御(ご)主人(しゆじん)が……何(ど)うも梅ケ香姫(うめがかひめ)様(さま)のお身(み)の上(うへ)が案(あん)じられてならない、013可愛(かあ)い娘(むすめ)の生命(いのち)を助(たす)けて下(くだ)さつた方(かた)ですから、014村中(むらぢう)の者(もの)を喚(よ)んでそれに開墾(かいこん)させる、015お前(まへ)は跡(あと)を慕(した)つて目的(もくてき)を達(たつ)せられるまでお伴(とも)をせよ……と仰有(おつしや)つたので、016渡(わた)りに船(ふね)だ、017何時(いつ)までも百姓(ひやくしやう)をして居(ゐ)るより貴方(あなた)のお跡(あと)を慕(した)つて、018知(し)らぬ国(くに)を宣伝歌(せんでんか)を歌(うた)つてぶらつくのも、019時(とき)に取(と)つての楽(たのし)みと喜(よろこ)び勇(いさ)んでやつて来(き)ました処(ところ)が、020皆(みな)さまの行衛(ゆくゑ)を見失(みうしな)ひもう此(この)湖(うみ)を渡(わた)つてあちらへお出(い)でになつた事(こと)と思(おも)つて、021船(ふね)の中(なか)に乗込(のりこ)みグツスリと寝入(ねい)つて居(ゐ)ました。022処(ところ)が何(なん)だかワイワイと喧嘩(けんくわ)の様(やう)な声(こゑ)に目(め)を覚(さ)まし見(み)れば貴方(あなた)のお歌(うた)、023嬉(うれ)しや神(かみ)様(さま)のお引合(ひきあは)せと思(おも)つて居(ゐ)る矢先(やさき)に、024勝公(かつこう)とやらが暴(あば)れかけたものだから一寸(ちよつと)悪戯(いたづら)をして見(み)ました』
025梅ケ香姫(うめがかひめ)『あゝ左様(さやう)だつたのですか、026これからこの勝(かつ)さまを何(ど)うなさるの』
027時公(ときこう)『まだ腹案(ふくあん)がありませぬ、028何(ど)うなとする積(つもり)です』
029勝公(かつこう)『モシモシ時(とき)さま、030負(ま)けて勝(か)つのが勝(かつ)さまの筆法(ひつぱふ)だ、031勝(か)つて兜(かぶと)の緒(を)を締(し)めるといふ事(こと)があるが、032貴方(あなた)も三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)の強力(がうりき)と見(み)えるが、033唯(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の身(み)は直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)し、034身(み)の過(あやま)ちはのり直(なほ)せといふ宣伝歌(せんでんか)を御(ご)承知(しようち)か』
035梅ケ香姫(うめがかひめ)『ホヽヽヽ、036まあ勝(かつ)さまの頓智(とんち)の好(よ)い事(こと)』
037時公(ときこう)『エイ仕様(しやう)がない、038反対(あべこべ)に逆襲(ぎやくしふ)しやがつてよう神(かみ)様(さま)を笠(かさ)に被(き)る奴(やつ)だ』
039勝公(かつこう)『それが神(かみ)様(さま)の教(をしへ)です、040矢張(やつぱ)り神(かみ)様(さま)は豪(えら)いものですなア。041お神酒(みき)あがらぬ神(かみ)はないとやら、042酸(す)いも甘(あま)いもよく知(し)つて居(を)られる、043貴方(あなた)は宣伝使(せんでんし)だから酒(さけ)は飲(の)んだら悪(わる)いか知(し)らぬが、044お神酒(みき)はいくらあがつても差支(さしつかへ)ありますまい』
045時公(ときこう)『オイオイ勝(かつ)さま、046何(ど)うやらお前(まへ)が宣伝使(せんでんし)の様(やう)だ、047丸(まる)きり俺(おれ)がお説教(せつけう)を聞(き)いて居(を)る様(やう)だな』
048勝公(かつこう)『それはさうですとも、049三五教(あななひけう)は天地(てんち)が覆(かへ)ると云(い)つたのぢやから、050天(てん)が地(ち)となり地(ち)が天(てん)となり天地(てんち)顛倒(てんたふ)だ。051貴方(あなた)は人(ひと)の苦(くる)しむのを見(み)て天(てん)としてカヘリ見(み)ぬといふ調子(てうし)だが地(ち)と神(かみ)の慈悲(じひ)といふ事(こと)を知(し)つて居(ゐ)ますか』
052梅ケ香姫(うめがかひめ)『ホヽヽヽ、053たうとう勝(かつ)さんも三五教(あななひけう)に負(ま)けましたな。054これから「負(まけ)さま」と名(な)を改(あらた)めなさい』
055勝公(かつこう)『ハイ、056大神(おほかみ)のまけのまにまに』
057時公(ときこう)『洒落(しやれ)ない、058この寒(さむ)いのに洒落(しやれ)どころか』
059勝公(かつこう)『洒落(しやれ)どころか、060酒(さけ)所(どころ)だ。061マア一寸(ちよつと)酒(さけ)が悪(わる)けりやお神酒(みき)でもあがつてから、062その六(むづ)かしい顔(かほ)を直(なほ)して梅ケ香(うめがか)さまのお酌(しやく)を願(ねが)つて一杯(いつぱい)やつたら如何(どう)だ。063さうすればお前(まへ)さまの七六(しちむつ)かしい顔(かほ)も一度(いちど)に開(ひら)く梅(うめ)の花(はな)だ。064オイ八(やつ)、065鴨(かも)、066何(なに)をクスクス笑(わら)ひやがる、067此処(ここ)はクス野ケ原(のがはら)とは違(ちが)ふぞ』
068八公(やつこう)『オイ勝公(かつこう)、069上(うへ)には上(うへ)があるものだな。070貴様(きさま)が強(つよ)い奴(やつ)だと思(おも)つたが今日(けふ)の態(ざま)は何(なん)だ』
071勝公(かつこう)『なに俺(おれ)は強(つよ)いのだ、072向方(むかふ)はも一(ひつ)ツ強(つよ)いだけの事(こと)だ』
073鴨公(かもこう)『強(つよ)い事(こと)は強(つよ)いが負惜(まけをし)みばかり強(つよ)い男(をとこ)だから可笑(をか)しいワイ』
074時公(ときこう)『オイ勝公(かつこう)どつこい勝(かつ)さま、075お前(まへ)さまは今(いま)までウラル教(けう)の手先(てさき)をやつてゐたと云(い)ふ事(こと)だが船(ふね)の中(なか)では猫(ねこ)を被(かぶ)つて居(ゐ)て上陸(じやうりく)したが最後(さいご)、076また目(め)を剥(む)き爪(つめ)を立(た)てて虎猫(とらねこ)の真似(まね)をするのぢやないか』
077勝公(かつこう)『トラ、078猫(ねこ)から[※そら(そりゃ)、根っから]分(わか)りませんな。079併(しか)しながら人(ひと)は神(かみ)の子(こ)、080神(かみ)の宮(みや)だ、081勝(かつ)さまの身魂(みたま)の中(なか)へ木花(このはな)咲耶姫(さくやひめ)さまがお鎮(しづ)まりになつて仰有(おつしや)るのだ。082勝(かつ)さまは矢張(やつぱ)り勝(かつ)さま、083懸(うつ)つた神(かみ)さまは神(かみ)さまだ。084私(わたくし)の肉体(にくたい)を拝(をが)むと思(おも)うたら当(あて)が違(ちが)ふが、085神(かみ)さまを拝(をが)むと思(おも)つてサアサア梅ケ香(うめがか)さま、086時(とき)さま、087拝(をが)んだ拝(をが)んだ。088有難(ありがた)いぞ、089勿体(もつたい)ないぞ、090何(なん)でもよう聞(き)かはるぞ、091お神酒(みき)を供(そな)へぬか』
092時公(ときこう)『馬鹿(ばか)にするない、093此(この)花(はな)も彼(あ)の花(はな)もあつたものかい。094獅子舞(ししまひ)の様(やう)なはなをしやがつてハナハナもつて不都合(ふつがふ)千万(せんばん)だ』
095勝公(かつこう)『余(あま)り寒(さむ)いので冷酒(ひやざけ)も気(き)が利(き)かぬから一寸(ちよつと)火(ひ)を入(い)れて神憑(かむがか)り[※再版・御校正本・愛世版では「神憑り」、校定版では「かん懸り」。]になつたのだ』
096一同(いちどう)『アハヽヽヽヽ』
097梅ケ香姫(うめがかひめ)『オホヽヽヽ』
098勝公(かつこう)『アヽヽヽヽとか、099ホヽヽヽヽとか余(あま)りアホアホと云(い)つて呉(く)れない。100皆(みな)寄(よ)つて集(たか)つてアホアホ云(い)ふ声(こゑ)がゴツチヤになつて仕舞(しま)つて面白(おもしろ)くもない。101此(この)間(あひだ)も三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)の北光(きたてる)の神(かみ)とかが北(きた)の森(もり)で小六(こむつ)かしい説教(せつけう)をして居(ゐ)た其(その)時(とき)に、102世(よ)の終(をは)りが来(き)て、103世間(せけん)の人間(にんげん)が今(いま)叶(かな)はぬと云(い)ふ最後(さいご)の五(ご)分間(ふんかん)になると、104色々(いろいろ)の宗教(しうけう)を信仰(しんかう)して居(ゐ)る者(もの)も信仰(しんかう)せぬ奴(やつ)も叶(かな)はぬ時(とき)の神頼(かみだの)みと云(い)つて、105夫々(それぞれ)の宗教(しうけう)を拝(をが)む声(こゑ)が一(ひと)ツになつて、106南無(なむ)アーメン法蓮(ほふれん)陀仏(だぶつ)、107とほかみゑみため、108助(たす)け給(たま)へ、109かんながら妙々(めうめう)と聞(きこ)えるので神(かみ)さまも何(ど)れが何(ど)うだか聞(き)くのに困(こま)るから、110世間(せけん)の奴(やつ)が助(たす)かりたい助(たす)かりたいと一(ひと)ツになつて、111「かむながらたまちはへませ」と云(い)ふ声(こゑ)の聞(きこ)える奴(やつ)だけ助(たす)けてやると云(い)うて居(ゐ)た、112それと同(おな)じ伝(でん)だ。113一(いち)時(じ)に声(こゑ)を揃(そろ)へてアホアホと俺(おれ)を云(い)うたところで、114足並(あしなみ)がドツコイ舌並(したなみ)が揃(そろ)はぬものだから、115間(ま)の抜(ぬ)けた顔(かほ)をして笑(わら)ふのだろ。116ホントにあほらしい』
117八公(やつこう)『オイオイ勝公(かつこう)、118そない怒(おこ)るな。119あの海上(かいじやう)を見(み)い、120貴様(きさま)の友達(ともだち)のアホ鳥(どり)が羽(はね)を拡(ひろ)げて空中(くうちう)を自由(じいう)自在(じざい)に翔廻(かけまは)つて居(ゐ)るぢやないか。121あいつはアホ鳥(どり)と云(い)ふけれど字(じ)で書(か)くと信天翁(しんてんをう)だ』
122勝公(かつこう)『ヤアよくのり直(なほ)して呉(く)れた、123天教山(てんけうざん)の神(かみ)の教(をしへ)を信(しん)ずる翁(をう)だ、124白(しろ)い髭(ひげ)は生(は)えて居(を)らぬけれど、125やがてオキナ手柄(てがら)をして帰(かへ)つて来(く)る瑞祥(ずゐしやう)だ。126オイ八公(やつこう)、127鴨公(かもこう)、128貴様(きさま)も信天翁(しんてんをう)になつて今(いま)までのウラル教(けう)を掌(てのひら)を覆(かへ)した様(やう)に打遣(うちや)つて、129三五教(あななひけう)の信者(しんじや)となつて、130いよいよコーカス山(ざん)に悪魔(あくま)退治(たいぢ)と出掛(でか)けたら如何(どう)だ』
131八公(やつこう)『貴様(きさま)が改心(かいしん)する程(ほど)だから屹度(きつと)良(よ)い教(をしへ)だらう。132貴様(きさま)から宣伝使(せんでんし)さまに願(ねが)つて呉(く)れないか』
133勝公(かつこう)『願(ねが)ふも頼(たの)むもあつたものか。134宣伝使(せんでんし)様(さま)は神(かみ)のお使(つかひ)だから、135直接(ちよくせつ)に貴様(きさま)が神(かみ)さまに願(ねが)つたら可(い)いのだよ、136ナア梅ケ香姫(うめがかひめ)様(さま)、137勝公(かつこう)の申(まを)す事(こと)は間違(まちが)つて居(ゐ)ますか』
138梅ケ香姫(うめがかひめ)『それでよろしい、139マアマアようそんな気(き)になつて下(くだ)さいました。140神(かみ)様(さま)は有難(ありがた)いお方(かた)です』
141時公(ときこう)『三五教(あななひけう)、142万歳(ばんざい)…………』
143 かく話(はな)す折(をり)しも、144船(ふね)は西岸(せいがん)のタカオの港(みなと)に安着(あんちやく)したりけり。
145(大正一一・三・一 旧二・三 池沢原次郎録)
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