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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第11巻(戌の巻)
言霊反
凡例
信天翁(二)
総説歌
第1篇 長駆進撃
第1章 クス野ケ原
第2章 一目お化
第3章 死生観
第4章 梅の花
第5章 大風呂敷
第6章 奇の都
第7章 露の宿
第2篇 意気揚々
第8章 明志丸
第9章 虎猫
第10章 立聞
第11章 表教
第12章 松と梅
第13章 転腹
第14章 鏡丸
第3篇 言霊解
第15章 大気津姫の段(一)
第16章 大気津姫の段(二)
第17章 大気津姫の段(三)
第4篇 満目荒寥
第18章 琵琶の湖
第19章 汐干丸
第20章 醜の窟
第21章 俄改心
第22章 征矢の雨
第23章 保食神
第5篇 乾坤清明
第24章 顕国宮
第25章 巫の舞
第26章 橘の舞
第27章 太玉松
第28章 二夫婦
第29章 千秋楽
余白歌
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霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第11巻(戌の巻)
> 第2篇 意気揚々 > 第9章 虎猫
<<< 明志丸
(B)
(N)
立聞 >>>
第九章
虎猫
(
とらねこ
)
〔四七六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
篇:
第2篇 意気揚々
よみ(新仮名遣い):
いきようよう
章:
第9章 虎猫
よみ(新仮名遣い):
とらねこ
通し章番号:
476
口述日:
1922(大正11)年03月01日(旧02月03日)
口述場所:
筆録者:
池沢原次郎
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
時公は、鉄彦の命で梅ケ香姫の護衛をするべく、後を追って来て船中でやっとめぐり合えたところ、勝公が梅ケ香姫に襲い掛かろうとしたので、助けたのであった。
時公に捕まった勝公は、あべこべに三五教の教えを楯にして、許しを請う。梅ケ香姫も時公も、勝公のちゃっかりした物言いに思わず笑ってしまう。
八公、鴨公も時公の強さに恐れ入って降参するが、勝公は軽口をたたいて皆を笑わせている。そして船中にわかに一同は三五教に改心し、コーカス山に魔神を言向け和しに乗り込むこととなった。
おりしも、船は明志の湖の西岸のタカオに到着した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
(池沢原次郎、池沢原治郎、池沢原二郎)
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-15 00:13:43
OBC :
rm1109
愛善世界社版:
88頁
八幡書店版:
第2輯 545頁
修補版:
校定版:
88頁
普及版:
37頁
初版:
ページ備考:
001
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
乱暴者
(
らんばうもの
)
に
三方
(
さんぱう
)
より
攻
(
せ
)
めかけられ
稍
(
やや
)
困
(
こま
)
りゐる、
002
其処
(
そこ
)
へ
時公
(
ときこう
)
が
現
(
あら
)
はれて
勝公
(
かつこう
)
を
懲
(
こら
)
して
呉
(
く
)
れたのでヤツト
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し、
003
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『ヤア
時
(
とき
)
さま、
004
よい
処
(
ところ
)
へ
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた、
005
五月蝿
(
うるさ
)
いお
方
(
かた
)
で
宣伝
(
せんでん
)
したつて
聞
(
き
)
く
耳
(
みみ
)
のない
蛸
(
たこ
)
の
様
(
やう
)
な
方
(
かた
)
ですからな』
006
時公
(
ときこう
)
『あゝ
左様
(
さやう
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
007
北
(
きた
)
の
森
(
もり
)
の
人間
(
にんげん
)
はこの
界隈
(
かいわい
)
でも
一番
(
いちばん
)
没分暁漢
(
わからずや
)
の
居
(
を
)
る
処
(
ところ
)
ですから』
008
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『
貴方
(
あなた
)
、
009
クス
野ケ原
(
のがはら
)
の
開墾
(
かいこん
)
は
何
(
ど
)
うなさつたの』
010
時公
(
ときこう
)
『ヤア、
011
開墾
(
かいこん
)
も
開墾
(
かいこん
)
ですが、
012
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
が……
何
(
ど
)
うも
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
様
(
さま
)
のお
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
が
案
(
あん
)
じられてならない、
013
可愛
(
かあ
)
い
娘
(
むすめ
)
の
生命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつた
方
(
かた
)
ですから、
014
村中
(
むらぢう
)
の
者
(
もの
)
を
喚
(
よ
)
んでそれに
開墾
(
かいこん
)
させる、
015
お
前
(
まへ
)
は
跡
(
あと
)
を
慕
(
した
)
つて
目的
(
もくてき
)
を
達
(
たつ
)
せられるまでお
伴
(
とも
)
をせよ……と
仰有
(
おつしや
)
つたので、
016
渡
(
わた
)
りに
船
(
ふね
)
だ、
017
何時
(
いつ
)
までも
百姓
(
ひやくしやう
)
をして
居
(
ゐ
)
るより
貴方
(
あなた
)
のお
跡
(
あと
)
を
慕
(
した
)
つて、
018
知
(
し
)
らぬ
国
(
くに
)
を
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つてぶらつくのも、
019
時
(
とき
)
に
取
(
と
)
つての
楽
(
たのし
)
みと
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んでやつて
来
(
き
)
ました
処
(
ところ
)
が、
020
皆
(
みな
)
さまの
行衛
(
ゆくゑ
)
を
見失
(
みうしな
)
ひもう
此
(
この
)
湖
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
つてあちらへお
出
(
い
)
でになつた
事
(
こと
)
と
思
(
おも
)
つて、
021
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
に
乗込
(
のりこ
)
みグツスリと
寝入
(
ねい
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
022
処
(
ところ
)
が
何
(
なん
)
だかワイワイと
喧嘩
(
けんくわ
)
の
様
(
やう
)
な
声
(
こゑ
)
に
目
(
め
)
を
覚
(
さ
)
まし
見
(
み
)
れば
貴方
(
あなた
)
のお
歌
(
うた
)
、
023
嬉
(
うれ
)
しや
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
引合
(
ひきあは
)
せと
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る
矢先
(
やさき
)
に、
024
勝公
(
かつこう
)
とやらが
暴
(
あば
)
れかけたものだから
一寸
(
ちよつと
)
悪戯
(
いたづら
)
をして
見
(
み
)
ました』
025
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『あゝ
左様
(
さやう
)
だつたのですか、
026
これからこの
勝
(
かつ
)
さまを
何
(
ど
)
うなさるの』
027
時公
(
ときこう
)
『まだ
腹案
(
ふくあん
)
がありませぬ、
028
何
(
ど
)
うなとする
積
(
つもり
)
です』
029
勝公
(
かつこう
)
『モシモシ
時
(
とき
)
さま、
030
負
(
ま
)
けて
勝
(
か
)
つのが
勝
(
かつ
)
さまの
筆法
(
ひつぱふ
)
だ、
031
勝
(
か
)
つて
兜
(
かぶと
)
の
緒
(
を
)
を
締
(
し
)
めるといふ
事
(
こと
)
があるが、
032
貴方
(
あなた
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
強力
(
がうりき
)
と
見
(
み
)
えるが、
033
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し、
034
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちはのり
直
(
なほ
)
せといふ
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
か』
035
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『ホヽヽヽ、
036
まあ
勝
(
かつ
)
さまの
頓智
(
とんち
)
の
好
(
よ
)
い
事
(
こと
)
』
037
時公
(
ときこう
)
『エイ
仕様
(
しやう
)
がない、
038
反対
(
あべこべ
)
に
逆襲
(
ぎやくしふ
)
しやがつて
よう
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
笠
(
かさ
)
に
被
(
き
)
る
奴
(
やつ
)
だ』
039
勝公
(
かつこう
)
『それが
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
です、
040
矢張
(
やつぱ
)
り
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
豪
(
えら
)
いものですなア。
041
お
神酒
(
みき
)
あがらぬ
神
(
かみ
)
はないとやら、
042
酸
(
す
)
いも
甘
(
あま
)
いもよく
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
られる、
043
貴方
(
あなた
)
は
宣伝使
(
せんでんし
)
だから
酒
(
さけ
)
は
飲
(
の
)
んだら
悪
(
わる
)
いか
知
(
し
)
らぬが、
044
お
神酒
(
みき
)
はいくらあがつても
差支
(
さしつかへ
)
ありますまい』
045
時公
(
ときこう
)
『オイオイ
勝
(
かつ
)
さま、
046
何
(
ど
)
うやらお
前
(
まへ
)
が
宣伝使
(
せんでんし
)
の
様
(
やう
)
だ、
047
丸
(
まる
)
きり
俺
(
おれ
)
がお
説教
(
せつけう
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
だな』
048
勝公
(
かつこう
)
『それはさうですとも、
049
三五教
(
あななひけう
)
は
天地
(
てんち
)
が
覆
(
かへ
)
ると
云
(
い
)
つたのぢやから、
050
天
(
てん
)
が
地
(
ち
)
となり
地
(
ち
)
が
天
(
てん
)
となり
天地
(
てんち
)
顛倒
(
てんたふ
)
だ。
051
貴方
(
あなた
)
は
人
(
ひと
)
の
苦
(
くる
)
しむのを
見
(
み
)
て
天
(
てん
)
として
カヘリ
見
(
み
)
ぬといふ
調子
(
てうし
)
だが
地
(
ち
)
と
神
(
かみ
)
の
慈悲
(
じひ
)
といふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
ますか』
052
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『ホヽヽヽ、
053
たうとう
勝
(
かつ
)
さんも
三五教
(
あななひけう
)
に
負
(
ま
)
けましたな。
054
これから「
負
(
まけ
)
さま」と
名
(
な
)
を
改
(
あらた
)
めなさい』
055
勝公
(
かつこう
)
『ハイ、
056
大神
(
おほかみ
)
の
まけ
のまにまに』
057
時公
(
ときこう
)
『
洒落
(
しやれ
)
ない、
058
この
寒
(
さむ
)
いのに
洒落
(
しやれ
)
どころか』
059
勝公
(
かつこう
)
『
洒落
(
しやれ
)
どころか、
060
酒
(
さけ
)
所
(
どころ
)
だ。
061
マア
一寸
(
ちよつと
)
酒
(
さけ
)
が
悪
(
わる
)
けりやお
神酒
(
みき
)
でもあがつてから、
062
その
六
(
むづ
)
かしい
顔
(
かほ
)
を
直
(
なほ
)
して
梅ケ香
(
うめがか
)
さまのお
酌
(
しやく
)
を
願
(
ねが
)
つて
一杯
(
いつぱい
)
やつたら
如何
(
どう
)
だ。
063
さうすればお
前
(
まへ
)
さまの
七六
(
しちむつ
)
かしい
顔
(
かほ
)
も
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
だ。
064
オイ
八
(
やつ
)
、
065
鴨
(
かも
)
、
066
何
(
なに
)
をクスクス
笑
(
わら
)
ひやがる、
067
此処
(
ここ
)
は
クス
野ケ原
(
のがはら
)
とは
違
(
ちが
)
ふぞ』
068
八公
(
やつこう
)
『オイ
勝公
(
かつこう
)
、
069
上
(
うへ
)
には
上
(
うへ
)
があるものだな。
070
貴様
(
きさま
)
が
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
だと
思
(
おも
)
つたが
今日
(
けふ
)
の
態
(
ざま
)
は
何
(
なん
)
だ』
071
勝公
(
かつこう
)
『なに
俺
(
おれ
)
は
強
(
つよ
)
いのだ、
072
向方
(
むかふ
)
はも
一
(
ひつ
)
ツ
強
(
つよ
)
いだけの
事
(
こと
)
だ』
073
鴨公
(
かもこう
)
『
強
(
つよ
)
い
事
(
こと
)
は
強
(
つよ
)
いが
負惜
(
まけをし
)
みばかり
強
(
つよ
)
い
男
(
をとこ
)
だから
可笑
(
をか
)
しいワイ』
074
時公
(
ときこう
)
『オイ
勝公
(
かつこう
)
どつこい
勝
(
かつ
)
さま、
075
お
前
(
まへ
)
さまは
今
(
いま
)
までウラル
教
(
けう
)
の
手先
(
てさき
)
をやつてゐたと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だが
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
では
猫
(
ねこ
)
を
被
(
かぶ
)
つて
居
(
ゐ
)
て
上陸
(
じやうりく
)
したが
最後
(
さいご
)
、
076
また
目
(
め
)
を
剥
(
む
)
き
爪
(
つめ
)
を
立
(
た
)
てて
虎猫
(
とらねこ
)
の
真似
(
まね
)
をするのぢやないか』
077
勝公
(
かつこう
)
『
トラ
、
078
猫
(
ねこ
)
から
分
(
わか
)
りませんな。
079
併
(
しか
)
しながら
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
、
080
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
だ、
081
勝
(
かつ
)
さまの
身魂
(
みたま
)
の
中
(
なか
)
へ
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめ
)
さまがお
鎮
(
しづ
)
まりになつて
仰有
(
おつしや
)
るのだ。
082
勝
(
かつ
)
さまは
矢張
(
やつぱ
)
り
勝
(
かつ
)
さま、
083
懸
(
うつ
)
つた
神
(
かみ
)
さまは
神
(
かみ
)
さまだ。
084
私
(
わたくし
)
の
肉体
(
にくたい
)
を
拝
(
をが
)
むと
思
(
おも
)
うたら
当
(
あて
)
が
違
(
ちが
)
ふが、
085
神
(
かみ
)
さまを
拝
(
をが
)
むと
思
(
おも
)
つてサアサア
梅ケ香
(
うめがか
)
さま、
086
時
(
とき
)
さま、
087
拝
(
をが
)
んだ
拝
(
をが
)
んだ。
088
有難
(
ありがた
)
いぞ、
089
勿体
(
もつたい
)
ないぞ、
090
何
(
なん
)
でもよう
聞
(
き
)
かはるぞ、
091
お
神酒
(
みき
)
を
供
(
そな
)
へぬか』
092
時公
(
ときこう
)
『
馬鹿
(
ばか
)
にするない、
093
此
(
この
)
花
(
はな
)
も
彼
(
あ
)
の
花
(
はな
)
もあつたものかい。
094
獅子舞
(
ししまひ
)
の
様
(
やう
)
な
はな
をしやがつて
ハナ
ハナもつて
不都合
(
ふつがふ
)
千万
(
せんばん
)
だ』
095
勝公
(
かつこう
)
『
余
(
あま
)
り
寒
(
さむ
)
いので
冷酒
(
ひやざけ
)
も
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かぬから
一寸
(
ちよつと
)
火
(
ひ
)
を
入
(
い
)
れて
神憑
(
かむがか
)
り
[
※
再版・御校正本・愛世版では「神憑り」、校定版では「かん懸り」。
]
になつたのだ』
096
一同
(
いちどう
)
『アハヽヽヽヽ』
097
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『オホヽヽヽ』
098
勝公
(
かつこう
)
『アヽヽヽヽとか、
099
ホヽヽヽヽとか
余
(
あま
)
り
アホアホ
と
云
(
い
)
つて
呉
(
く
)
れない。
100
皆
(
みな
)
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つてアホアホ
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
がゴツチヤになつて
仕舞
(
しま
)
つて
面白
(
おもしろ
)
くもない。
101
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
北光
(
きたてる
)
の
神
(
かみ
)
とかが
北
(
きた
)
の
森
(
もり
)
で
小六
(
こむつ
)
かしい
説教
(
せつけう
)
をして
居
(
ゐ
)
た
其
(
その
)
時
(
とき
)
に、
102
世
(
よ
)
の
終
(
をは
)
りが
来
(
き
)
て、
103
世間
(
せけん
)
の
人間
(
にんげん
)
が
今
(
いま
)
叶
(
かな
)
はぬと
云
(
い
)
ふ
最後
(
さいご
)
の
五
(
ご
)
分間
(
ふんかん
)
になると、
104
色々
(
いろいろ
)
の
宗教
(
しうけう
)
を
信仰
(
しんかう
)
して
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
も
信仰
(
しんかう
)
せぬ
奴
(
やつ
)
も
叶
(
かな
)
はぬ
時
(
とき
)
の
神頼
(
かみだの
)
みと
云
(
い
)
つて、
105
夫々
(
それぞれ
)
の
宗教
(
しうけう
)
を
拝
(
をが
)
む
声
(
こゑ
)
が
一
(
ひと
)
ツになつて、
106
南無
(
なむ
)
アーメン
法蓮
(
ほふれん
)
陀仏
(
だぶつ
)
、
107
とほかみゑみため、
108
助
(
たす
)
け
給
(
たま
)
へ、
109
かんながら
妙々
(
めうめう
)
と
聞
(
きこ
)
えるので
神
(
かみ
)
さまも
何
(
ど
)
れが
何
(
ど
)
うだか
聞
(
き
)
くのに
困
(
こま
)
るから、
110
世間
(
せけん
)
の
奴
(
やつ
)
が
助
(
たす
)
かりたい
助
(
たす
)
かりたいと
一
(
ひと
)
ツになつて、
111
「かむながらたまちはへませ」と
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
の
聞
(
きこ
)
える
奴
(
やつ
)
だけ
助
(
たす
)
けてやると
云
(
い
)
うて
居
(
ゐ
)
た、
112
それと
同
(
おな
)
じ
伝
(
でん
)
だ。
113
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
声
(
こゑ
)
を
揃
(
そろ
)
へてアホアホと
俺
(
おれ
)
を
云
(
い
)
うたところで、
114
足並
(
あしなみ
)
がドツコイ
舌並
(
したなみ
)
が
揃
(
そろ
)
はぬものだから、
115
間
(
ま
)
の
抜
(
ぬ
)
けた
顔
(
かほ
)
をして
笑
(
わら
)
ふのだろ。
116
ホントにあほらしい』
117
八公
(
やつこう
)
『オイオイ
勝公
(
かつこう
)
、
118
そない
怒
(
おこ
)
るな。
119
あの
海上
(
かいじやう
)
を
見
(
み
)
い、
120
貴様
(
きさま
)
の
友達
(
ともだち
)
の
アホ
鳥
(
どり
)
が
羽
(
はね
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
空中
(
くうちう
)
を
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
翔廻
(
かけまは
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやないか。
121
あいつはアホ
鳥
(
どり
)
と
云
(
い
)
ふけれど
字
(
じ
)
で
書
(
か
)
くと
信天翁
(
しんてんをう
)
だ』
122
勝公
(
かつこう
)
『ヤアよく
のり
直
(
なほ
)
して
呉
(
く
)
れた、
123
天教山
(
てんけうざん
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
信
(
しん
)
ずる
翁
(
をう
)
だ、
124
白
(
しろ
)
い
髭
(
ひげ
)
は
生
(
は
)
えて
居
(
を
)
らぬけれど、
125
やがて
オキナ
手柄
(
てがら
)
をして
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
瑞祥
(
ずゐしやう
)
だ。
126
オイ
八公
(
やつこう
)
、
127
鴨公
(
かもこう
)
、
128
貴様
(
きさま
)
も
信天翁
(
しんてんをう
)
になつて
今
(
いま
)
までのウラル
教
(
けう
)
を
掌
(
てのひら
)
を
覆
(
かへ
)
した
様
(
やう
)
に
打遣
(
うちや
)
つて、
129
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となつて、
130
いよいよコーカス
山
(
ざん
)
に
悪魔
(
あくま
)
退治
(
たいぢ
)
と
出掛
(
でか
)
けたら
如何
(
どう
)
だ』
131
八公
(
やつこう
)
『
貴様
(
きさま
)
が
改心
(
かいしん
)
する
程
(
ほど
)
だから
屹度
(
きつと
)
良
(
よ
)
い
教
(
をしへ
)
だらう。
132
貴様
(
きさま
)
から
宣伝使
(
せんでんし
)
さまに
願
(
ねが
)
つて
呉
(
く
)
れないか』
133
勝公
(
かつこう
)
『
願
(
ねが
)
ふも
頼
(
たの
)
むもあつたものか。
134
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
は
神
(
かみ
)
のお
使
(
つかひ
)
だから、
135
直接
(
ちよくせつ
)
に
貴様
(
きさま
)
が
神
(
かみ
)
さまに
願
(
ねが
)
つたら
可
(
い
)
いのだよ、
136
ナア
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
様
(
さま
)
、
137
勝公
(
かつこう
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
は
間違
(
まちが
)
つて
居
(
ゐ
)
ますか』
138
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『それでよろしい、
139
マアマアようそんな
気
(
き
)
になつて
下
(
くだ
)
さいました。
140
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
有難
(
ありがた
)
いお
方
(
かた
)
です』
141
時公
(
ときこう
)
『
三五教
(
あななひけう
)
、
142
万歳
(
ばんざい
)
…………』
143
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
144
船
(
ふね
)
は
西岸
(
せいがん
)
の
タカオ
の
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
したりけり。
145
(
大正一一・三・一
旧二・三
池沢原次郎
録)
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(B)
(N)
立聞 >>>
霊界物語
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【第9章 虎猫|第11巻|霊主体従|霊界物語|/rm1109】
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