霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二八章 二夫婦(ふたふうふ)〔四九五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第5篇 乾坤清明 よみ(新仮名遣い):けんこんせいめい
章:第28章 二夫婦 よみ(新仮名遣い):ふたふうふ 通し章番号:495
口述日:1922(大正11)年03月04日(旧02月06日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
続いて天之児屋根命が左から、梅ケ香姫が右から廻った。
次に、天之目一箇神と竹野姫が左右から柱を廻って結婚式を終えた。
引き続いて酒宴に移り、神人らは歌を歌って宴席をにぎわせた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:57:42 文字数:3926 OBC :rm1128
愛善世界社版:260頁 八幡書店版:第2輯 606頁 修補版: 校定版:265頁 普及版:110頁 初版: ページ備考:
001 天之(あめの)児屋根(こやねの)命(みこと)は神籬(ひもろぎ)を左(ひだり)より廻(めぐ)り合(あ)ひ、002結婚式(けつこんしき)の歌(うた)を歌(うた)ひ始(はじ)むる。
003天之児屋根命『仰(あふ)げば高(たか)し久方(ひさかた)の
004青雲(あをくも)別(わ)けて三(み)つ星(ぼし)の
005御魂(みたま)幸(さちは)ふ霊鷲(りやうしう)の
006山(やま)に現(あら)はれ大稜威(おほみいづ)
007高彦神(たかひこがみ)と現(あら)はれて
008黄金山(わうごんざん)に現(あ)れませる
009埴安彦(はにやすひこ)の開(ひら)かれし
010三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
011四方(よも)の国民(くにたみ)救(すく)はむと
012駱駝(らくだ)の背(せな)に跨(またが)りて
013アシの沙漠(さばく)を打渡(うちわた)り
014広(ひろ)き河瀬(かはせ)を横(よこ)ぎりて
015雪(ゆき)踏(ふ)みさくみ霜(しも)を浴(あ)び
016雨(あめ)に風(かぜ)にと曝(さら)されて
017噂(うはさ)に高(たか)きアーメニヤ
018曲(まが)の猛(たけ)びを鎮(しづ)めむと
019心(こころ)の駒(こま)に鞭撻(むちう)ちて
020道(みち)もいそいそ膝栗毛(ひざくりげ)
021雪(ゆき)は真白(ましろ)に積(つも)り居(ゐ)て
022表(おもて)は清(きよ)き銀世界(ぎんせかい)
023中(なか)に包(つつ)まる曲津見(まがつみ)の
024ウラルの彦(ひこ)やウラル姫(ひめ)
025コーカス山(ざん)に立籠(たてこも)り
026心(こころ)も猛(たけ)く荒鉄(あらがね)の
027地(つち)を護(まも)れる三柱(みはしら)の
028神(かみ)の宮居(みやゐ)を太知(ふとし)りて
029此(この)世(よ)を詐(いつは)る曲業(まがわざ)を
030厳(いづ)と瑞(みづ)との言霊(ことたま)に
031向(むけ)和(やは)さむと来(きた)るうち
032ウラルの彦(ひこ)の目付役(めつけやく)
033雲霞(うんか)の如(ごと)く出(い)で来(きた)り
034有無(うむ)を言(い)はせず山腹(さんぷく)の
035七(なな)つの岩窟(いはや)に投(な)げ込(こ)まれ
036心(こころ)を千々(ちぢ)に砕(くだ)きつつ
037案(あん)じ煩(わづら)ふ折柄(をりから)に
038眠(ねむり)の神(かみ)に襲(おそ)はれて
039暗(くら)き千尋(ちひろ)の底(そこ)深(ふか)く
040水(みづ)を湛(たた)へし岩底(いはそこ)に
041落(お)ちて凍(こご)ゆる折柄(をりから)に
042かすかに響(ひび)く言霊(ことたま)の
043光(ひか)りに漸(やうや)う力(ちから)附(づ)き
044眼(まなこ)を開(ひら)き眺(なが)むれば
045我(わが)目(め)の上(うへ)になよ竹(だけ)の
046雪(ゆき)にたはみし如(ごと)くなる
047手弱女(たをやめ)姿(すがた)の竹野姫(たけのひめ)
048詔(の)る言霊(ことたま)に勇(いさ)み立(た)ち
049力(ちから)の限(かぎ)り岩壁(がんぺき)を
050伝(つた)ひて漸(やうや)く姫(ひめ)の前(まへ)
051来(きた)る折(を)りしも傍(かたはら)の
052岩壁(がんぺき)砕(くだ)く物音(ものおと)に
053驚(おどろ)き見詰(みつ)むる間(ま)もあらず
054天(あま)の頭槌(くぶつち)打振(うちふる)ひ
055岩(いは)の戸割(とわ)りて出(い)で来(きた)る
056天(あめ)の目一箇(まひとつ)神司(かむづかさ)
057此処(ここ)に三人(みたり)は巡(めぐ)り会(あ)ひ
058宿世(すぐせ)を語(かた)る折柄(をりから)に
059表(おもて)に聞(きこ)ゆる足音(あしおと)は
060救(すく)ひの神(かみ)か曲神(まがかみ)か
061様子(やうす)如何(いか)にと聞(き)き居(を)れば
062忽(たちま)ち開(ひら)く岩戸口(いはとぐち)
063立出(たちい)で見(み)ればこは如何(いか)に
064開(ひら)く時世(ときよ)を松代姫(まつよひめ)
065薫(かを)りゆかしき梅ケ香姫(うめがかひめ)の
066貴(うづの)命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
067石凝姥(いしこりどめ)や時置師(ときおかし)
068八彦(やつひこ)鴨彦(かもひこ)諸共(もろとも)に
069廻(めぐ)り会(あ)うたる優曇華(うどんげ)の
070花(はな)咲(さ)く春(はる)の嬉(うれ)しさよ
071心(こころ)も勇(いさ)み身(み)も勇(いさ)み
072珍(うづ)の宮居(みやゐ)に来(き)て見(み)れば
073ウラルの姫(ひめ)やヤツコスの
074神(かみ)に従(したが)ふビツコスや
075数多(あまた)のクスの神(かみ)迄(まで)が
076宴会(うたげ)の莚(むしろ)賑(にぎは)しく
077列(れつ)を乱(みだ)して舞(ま)ひ狂(くる)ふ
078時(とき)しもあれや松代姫(まつよひめ)
079二人(ふたり)の姉妹(おとどひ)始(はじ)めとし
080天(あま)の数歌(かずうた)歌(うた)ひつつ
081声(こゑ)も涼(すず)しき宣伝歌(せんでんか)
082詔(の)らせ給(たま)へば曲神(まがかみ)は
083霊(たま)に打(う)たれて雲(くも)霞(かすみ)
084逃(に)げ行(ゆ)く後(あと)は春(はる)の日(ひ)の
085花(はな)咲(さ)く如(ごと)き心地(ここち)して
086茲(ここ)に三柱(みはしら)大御神(おほみかみ)
087祝(ことほ)ぎ奉(まつ)れる折柄(をりから)に
088神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)の
089大御言(おほみこと)もて高彦(たかひこ)は
090梅ケ香姫(うめがかひめ)と末(すゑ)永(なが)く
091縁(えん)を結(むす)びの神(かみ)の前(まへ)
092左(ひだ)り右(みぎ)りの順序(ついで)をば
093正(ただ)しく巡(めぐ)り来(き)て見(み)れば
094互(たがひ)に合(あは)す顔(かほ)と顔(かほ)
095神(かみ)か人(ひと)かは白梅(しらうめ)の
096薫(かを)り目出度(めでた)き姫(ひめ)の前(まへ)
097嗚呼(ああ)美(うつく)しきエー少女(をとめ)
098嗚呼(ああ)美(うる)はしきエー少女(をとめ)
099男(を)と女(め)の仲(なか)は千代(ちよ)八千代(やちよ)
100天(あめ)と地(つち)との睦(むつび)合(あ)ひ
101表(おもて)と裏(うら)との水火(いき)合(あは)せ
102神(かみ)の鎮(しづ)まる肉(にく)の宮(みや)
103貴(うづ)の御子(みこ)をばさわさわに
104湯津玉(ゆつたま)椿(つばき)繁(しげ)る如(ごと)
105生(う)み足(たら)はして天地(あめつち)の
106大百姓(おほみたから)を生(う)みなさむ
107嗚呼(ああ)エー少女(をとめ)エー少女(をとめ)
108嗚呼(ああ)美(うつく)しき汝(なれ)が顔(かほ)
109嗚呼(ああ)美(うつく)しき汝(なれ)が胸(むね)
110若(わか)やぐ胸(むね)を素手(すだ)抱(だ)きて
111手抱(ただき)拱(まながり)真玉手(またまで)の
112玉手(たまで)差纒(さしま)[※「纒」は「纏」の異体字]き股長(ももなが)に
113抱(いだ)きて寝(い)ねん豊(とよ)の御酒(みき)
114うまらに委曲(つばら)に聞(きこ)し召(め)せ
115嗚呼(ああ)美(うる)はしき神(かみ)の道(みち)
116嗚呼(ああ)美(うる)はしき神(かみ)の御子(みこ)
117阿那爾夜志(あなにやし)愛(えー)少女(をとめ)』
118 梅ケ香姫(うめがかひめ)は又(また)もや右(みぎ)より、119撞(つき)の御柱(みはしら)に傚(なぞら)へたる神籬(ひもろぎ)を廻(まは)り始(はじ)め、120歌(うた)ひ出(だ)したり。
121梅ケ香姫『仰(あふ)げば高(たか)し久方(ひさかた)の
122高天原(たかあまはら)の天使長(てんしちやう)
123桃上彦(ももがみひこ)の神司(かむづかさ)
124末(すゑ)の娘(むすめ)と生(あ)れましし
125妾(わらは)は梅ケ香姫(うめがかひめ)の神(かみ)
126過(すぎ)つる春(はる)の上三日(かみみつか)
127年(とし)は二八(にはち)の月(つき)の顔(かほ)
128花(はな)の姿(すがた)を雨風(あめかぜ)に
129曝(さら)しつ出(いだ)し姉妹(おとどひ)の
130松竹梅(まつたけうめ)の旅衣(たびごろも)
131聖地(せいち)を後(あと)に立(た)ち出(い)でて
132エデンの河(かは)を渡(わた)らむと
133する時(とき)醜(しこ)の里人(さとびと)に
134悩(なや)まされつつある折(をり)に
135月照彦(つきてるひこ)の神霊魂(かむみたま)
136名(な)も照彦(てるひこ)と現(あら)はれて
137松竹梅(まつたけうめ)の姉妹(おとどひ)を
138父(ちち)のまします珍(うづ)の国(くに)
139珍(うづ)の都(みやこ)へ送(おく)りまし
140親子(おやこ)夫婦(めをと)は優曇華(うどんげ)の
141花(はな)咲(さ)く春(はる)の喜(よろこ)びに
142七日(なぬか)七夜(ななよ)を暮(くら)しつつ
143又(また)もや親子(おやこ)の生別(いきわか)れ
144高砂島(たかさごじま)を遠近(をちこち)と
145教(をし)へ伝(つた)ふる折柄(をりから)に
146ハザマの森(もり)に差(さし)かかり
147途方(とはう)に暮(く)るる折柄(をりから)に
148心(こころ)目出(めで)たき春山(はるやま)の
149彦(ひこ)の命(みこと)に助(たす)けられ
150茲(ここ)に姉妹(おとどひ)三(さん)人(にん)は
151端(はし)なく巡(めぐ)り相生(あひおひ)の
152松代(まつよ)の姫(ひめ)や竹野姫(たけのひめ)
153鬼武彦(おにたけひこ)に救(すく)はれて
154茲(ここ)に目出度(めでた)く目(め)の国(くに)を
155越(こ)えて黄泉(よもつ)の島(しま)に着(つ)き
156黄泉戦(よもついくさ)の戦(たたか)ひに
157大神津見(おほかむづみ)と現(あら)はれし
158桃(もも)の三人(みたり)の末(すゑ)の子(こ)の
159吾(あ)れは梅ケ香姫(うめがかひめ)の神(かみ)
160金勝要(きんかつかね)の大神(おほかみ)の
161依(よ)さしの儘(まま)に今日(けふ)の日(ひ)に
162撞(つき)の御柱(みはしら)巡(めぐ)りつつ
163喜(よろこ)び勇(いさ)み来(き)て見(み)れば
164誉(ほまれ)も高(たか)き高彦(たかひこ)の
165天(あめ)の児屋根(こやね)の神司(かむづかさ)
166天津(あまつ)祝詞(のりと)の太祝詞(ふとのりと)
167詔(の)らせ玉(たま)へる言(こと)の葉(は)は
168天津(あまつ)国土(くにつち)揺(ゆる)ぐごと
169轟(とどろ)き渡(わた)る大稜威(おほみいづ)
170雄々(をを)しき聖(きよ)き神(かみ)の御子(みこ)
171嗚呼(ああ)エー男(をとこ)エー男(をとこ)
172嗚呼(ああ)美(うる)はしき珍(うづ)の御子(みこ)
173神(かみ)の命(みこと)を畏(かしこ)みて
174幾(いく)久(ひさ)しくも限(かぎ)りなく
175真玉手(またまで)玉手(たまで)取交(とりかは)し
176夫婦(めをと)のちぎり心安(うらやす)の
177心安国(うらやすくに)と鳴(な)り響(ひび)く
178汝(な)が言霊(ことたま)に百草(ももぐさ)も
179靡(なび)き伏(ふ)すらむ鴛鴦衾(おしふすま)
180男(を)と女(め)の水火(いき)の末(すゑ)永(なが)く
181変(かは)らせ給(たま)ふ事(こと)なかれ
182神(かみ)を力(ちから)に真心(まごころ)を
183杖(つゑ)や柱(はしら)と頼(たの)みつつ
184神(かみ)生(う)み島(しま)生(う)み人(ひと)生(う)みの
185大神業(おほかむわざ)に仕(つか)ふべし
186貴(うづ)の御業(みわざ)に仕(つか)ふべし
187嗚呼(ああ)美(うる)はしき愛男子(えーをのこ)
188嗚呼(ああ)美(うる)はしき愛女(えーをみな)
189花(はな)と月(つき)との夫婦(めをと)連(づれ)
190花(はな)は散(ち)らざれ幾千代(いくちよ)も
191月(つき)は円(まる)かれ何時迄(いつまで)も
192花月(はなつき)(鼻(はな)突(つ)き)飯(めし)の面白(おもしろ)く
193神(かみ)の随意(まに)々々(まに)栄(さか)えかし
194神(かみ)のまにまに栄(さか)えかし』
195と繰返(くりかへ)し繰返(くりかへ)し歌(うた)ひ終(をは)つて、196首尾(しゆび)好(よ)く結婚(けつこん)の式(しき)を終了(しうれう)しける。
197 天之(あめの)目一箇(まひとつの)神(かみ)は撞(つき)の三柱(みはしら)を中(なか)に置(お)き、198竹野姫(たけのひめ)と結婚(けつこん)の式(しき)を挙(あ)ぐ可(べ)く、199二人(ふたり)は左右(さいう)より廻(めぐ)り会(あ)ひぬ。200天之(あめの)目一箇(まひとつの)神(かみ)の歌(うた)、
201天之目一箇神『霊鷲山(りやうしうざん)に生(あ)れませる
202神(かみ)の教(をしへ)を白雲(しらくも)の
203降居(をりゐ)向伏(むかふ)す其(その)きはみ
204白雲別(しらくもわけ)と現(あら)はれて
205三大教(さんだいけう)を開(ひら)かむと
206神(かみ)の造(つく)りし宣伝歌(せんでんか)
207歌(うた)ひて来(きた)る折柄(をりから)に
208エデンの川(かは)の岸(きし)の辺(べ)に
209五大教(ごだいけう)なる宣伝使(せんでんし)
210石凝神(いしこりがみ)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
211経(たて)と緯(よこ)との御教(みをしへ)を
212錦(にしき)の機(はた)に織(お)り成(な)して
213水(みづ)も漏(も)らさぬ三五(あななひ)の
214神(かみ)の教(をしへ)と改(あらた)めつ
215言霊(ことたま)詔(の)れる折柄(をりから)に
216群(むら)がる人(ひと)の中(なか)よりも
217猛(たけ)しき神(かみ)の現(あら)はれて
218竹切(たけぎ)れ持(も)ちて我(わが)眼(まなこ)
219骨(ほね)も徹(とほ)れと突(つ)きにける
220一(ひと)つの眼(まなこ)を失(うしな)ひし
221我(わが)身(み)の幸(さち)を嬉(うれ)しみて
222天(あめ)と地(つち)とに仰(あふ)ぎ伏(ふ)し
223恵(めぐ)みを称(たた)ふ折柄(をりから)に
224またもや来(きた)る次(つぎ)の矢(や)を
225待(ま)つ間(ま)程(ほど)なく東彦(あづまひこ)
226神(かみ)の命(みこと)に救(すく)はれて
227後(あと)に残(のこ)りし一(ひと)つ目(め)の
228神(かみ)の命(みこと)の宣伝使(せんでんし)
229神(かむ)素盞嗚(すさのを)の大神(おほかみ)の
230依(よ)さしの儘(まま)にアルプスの
231珍(うづ)の鋼鉄(くろがね)掘出(ほりだ)して
232両刃(もろは)の剣(つるぎ)打(う)ち鍛(きた)へ
233国(くに)の護(まも)りの神実(かむざね)と
234仕(つか)へ奉(まつ)りし今日(けふ)の春(はる)
235漸(やうや)く心(こころ)落着(おちつ)きて
236又(また)もや神(かみ)の御(おん)仰(あふ)せ
237銅(あかがね)鋼鉄(まがね)アルプスの
238山(やま)に出(い)でむとする時(とき)に
239金勝要(きんかつかね)の大神(おほかみ)の
240縁(えにし)の糸(いと)に結(むす)ばれて
241思(おも)ひも掛(か)けぬ妹(いも)と背(せ)の
242契(ちぎり)嬉(うれ)しき神籬(ひもろぎ)を
243左(ひだ)り右(みぎ)りを過(あやま)たず
244巡(めぐ)り来(きた)りて今(いま)此処(ここ)に
245人(ひと)に勝(すぐ)れて矗々(すくすく)と
246背長(せたけ)延(の)びたる竹野姫(たけのひめ)
247醜(しこ)の魔風(まかぜ)をサラサラと
248さばくに敏(さと)き宣伝使(せんでんし)
249露(つゆ)の滴(したた)る眥(まなじり)や
250花(はな)の唇(くちびる)月(つき)の眉(まゆ)
251嗚呼(ああ)エー女(をみな)エー女(をみな)
252かかる女(をみな)と末(すゑ)永(なが)く
253契(ちぎ)る八千代(やちよ)の玉椿(たまつばき)
254貴(うづ)の剣(つるぎ)を鍛(きた)ふごと
255身魂(みたま)を鍛(きた)へ磨(みが)き上(あ)げ
256百世(ももよ)も千代(ちよ)も限(かぎ)りなく
257水火(いき)と水火(いき)とを合(あは)せつつ
258天津(あまつ)御神(みかみ)や国津(くにつ)神(かみ)
259神(かみ)の依(よ)さしの神業(かむわざ)に
260仕(つか)ふる身(み)こそ楽(たの)しけれ
261仕(つか)ふる身(み)こそ楽(たの)しけれ』
262と歌(うた)ひ終(をは)り、263竹野姫(たけのひめ)は神籬(ひもろぎ)を右(みぎ)より廻(まは)りながら、
264竹野姫『桃上彦(ももがみひこ)の珍(うづ)の御子(みこ)
265松竹梅(まつたけうめ)の三(み)つ栗(ぐり)の
266中(なか)に生(うま)れし竹野姫(たけのひめ)
267父(ちち)の行衛(ゆくゑ)を尋(たづ)ねつつ
268松(まつ)と梅(うめ)とに誘(いざな)はれ
269ヨルの湊(みなと)を船出(ふなで)して
270朝日(あさひ)も智利(てる)の国(くに)を越(こ)え
271大蛇(をろち)の船(ふね)に乗(の)せられて
272珍(うづ)の都(みやこ)の父(ちち)の前(まへ)
273思(おも)ひ掛(が)けなき母神(ははがみ)の
274五月(さつき)の姫(ひめ)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
275親子(おやこ)五(ご)人(にん)は相見(あひみ)ての
276言葉(ことば)も籠(こも)る鴛鴦(をしどり)の
277妹背(いもせ)の契(ちぎり)親(おや)と子(こ)の
278逢(あ)ふ瀬(せ)を茲(ここ)に楽(たの)しみつ
279又(また)もや此(この)家(や)を伊都能売(いづのめ)の
280御祖(みおや)を後(あと)に三柱(みはしら)は
281館(やかた)を出(い)でて遥々(はるばる)と
282歩(あゆ)みも軽(かる)きカルの原(はら)
283ハザマの国(くに)や目(め)の国(くに)を
284越(こ)えて荒浪(あらなみ)打渡(うちわた)り
285日(ひ)の出神(でのかみ)や木(こ)の花姫(はなひめ)の
286依(よ)さしの儘(まま)に黄泉島(よもつじま)
287桃(もも)の実魂(みたま)と現(あら)はれて
288大神津見(おほかむづみ)と称(たた)へられ
289黄金山(わうごんざん)を後(あと)に見(み)て
290又(また)もや進(すす)む宣伝使(せんでんし)
291鬼(おに)や大蛇(をろち)や曲津見(まがつみ)の
292出(いづ)るを幸(さいは)ひ言向(ことむ)けつ
293心(こころ)の色(いろ)は紅葉(もみぢば)の
294明志(あかし)の湖(うみ)を打渡(うちわた)り
295雪(ゆき)は積(つ)めども黒野原(くろのはら)
296言霊(ことたま)響(ひび)く琵琶(びは)の湖(うみ)
297松竹梅(まつたけうめ)の三(み)つの島(しま)
298我(わが)姉妹(おとどひ)と振返(ふりかへ)り
299見返(みかへ)りながら寒風(さむかぜ)に
300吹(ふ)かれて漸(やうや)うコーカスの
301雪(ゆき)の山路(やまぢ)にかかる時(とき)
302顔色(かほいろ)黒(くろ)き牛雲(うしくも)の
303捕手(とりて)の群(むれ)に取巻(とりま)かれ
304岩窟(いはや)の中(なか)に入(い)れられて
305出(で)るに出(で)られぬ籠(かご)の鳥(とり)
306時世(ときよ)時節(じせつ)を待(ま)つ間(うち)に
307思(おも)ひも掛(か)けぬ姉妹(おとどひ)や
308石凝姥(いしこりどめ)の宣伝使(せんでんし)
309力(ちから)の強(つよ)い時(とき)さまを
310連(つ)れて此(この)場(ば)に進(すす)み来(く)る
311天(あま)の岩戸(いはと)に潜(ひそ)みたる
312竹野(たけの)の姫(ひめ)は忽(たちま)ちに
313此(この)場(ば)に現(あら)はれ北光(きたてる)の
314眼(まなこ)一(ひと)つの神(かみ)様(さま)と
315今(いま)一柱(ひとはしら)三柱(みはしら)の
316皇(すめ)大神(おほかみ)を祭(まつ)りたる
317コーカス山(ざん)の山(やま)の尾(を)の
318顕(うつ)しき国(くに)の宮(みや)の前(まへ)
319ウラルの姫(ひめ)の曲事(まがごと)を
320伊吹(いぶき)払(はら)ひて言霊(ことたま)の
321息吹(いぶ)き放(はな)てば雲霧(くもきり)と
322なりて逃(に)げ行(ゆ)く可笑(をかし)さよ
323胸(むね)の思(おも)ひも晴(は)れ渡(わた)り
324此処(ここ)に三柱(みはしら)大神(おほかみ)の
325御霊(みたま)を仕(つか)へ奉(まつ)る時(とき)
326珍(うづ)の神実(かむざね)造(つく)りたる
327両刃(もろは)の剣(つるぎ)夜昼(よるひる)に
328鍛(きた)へに鍛(きた)へし北光(きたてる)の
329目一箇(まひとつ)神(がみ)の功績(いさをし)に
330心(こころ)の空(そら)は何(なん)となく
331三千(さんぜん)年(ねん)の桃(もも)の花(はな)
332一度(いちど)に開(ひら)きし思(おも)ひして
333かかる目出(めで)たき彦神(ひこがみ)を
334一目(ひとめ)見(み)たやと思(おも)ふ内(うち)
335一目(ひとめ)の神(かみ)は現(あら)はれぬ
336是(こ)れぞ名(な)に負(お)ふ北光(きたてる)の
337神(かみ)の命(みこと)と聞(き)きし時(とき)
338一目(ひとめ)見(み)るより村肝(むらきも)の
339かかる男神(をがみ)と末(すゑ)永(なが)く
340契(ちぎり)を結(むす)ぶ身(み)とならば
341たとへ根(ね)の国(くに)底(そこ)の国(くに)
342魔神(まがみ)の猛(たけ)ぶ唐野尾(からのを)も
343何(なに)の物(もの)かはクス野原(のはら)
344現(あら)はれ出(い)でし一(ひと)つ目(め)の
345大化物(おほばけもの)の姿(すがた)より
346千重(ちへ)も八千重(やちへ)も勝(まさ)りたる
347姿(すがた)優(すぐ)れし男振(をことぶ)り
348仮令(たとへ)眼(まなこ)は一(ひと)つでも
349人目(ひとめ)に触(ふ)れぬ霊(たま)の目(め)の
350数多(あまた)保(たも)たせ給(たま)ふなる
351鍛(きた)へに鍛(きた)へし北光(きたてる)の
352剣(つるぎ)の御魂(みたま)や都牟刈(つむがり)の
353四方(よも)の醜草(しこくさ)薙(な)ぎ払(はら)ふ
354神(かみ)の姿(すがた)ぞ雄々(をを)しけれ
355嗚呼(ああ)エー男子(をのこ)エー男(をのこ)
356眺(なが)めも尽(つ)きじ醜人(しこびと)は
357竹野(たけの)の姫(ひめ)の竹(たけ)の先(さき)
358グサリと突(つ)いた目(め)の光(ひか)り
359光(ひか)り輝(かがや)き北光彦(きたてるひこ)の
360竹野(たけの)の姫(ひめ)が附添(つきそ)うて
361汝(なれ)が命(みこと)の神業(かむわざ)を
362側目(わきめ)も振(ふ)らず助(たす)くべし
363目出(めで)た目出(めで)たの一(ひと)つ目(め)の
364北光彦(きたてるひこ)の神司(かむづかさ)
365天(あめ)の目一箇(まひとつ)神(かみ)様(さま)に
366竹野(たけの)の姫(ひめ)の起臥(おきふ)しに
367汝(な)が身(み)の妻(つま)と成(な)り鳴(な)りて
368心(こころ)の竹(たけ)の有丈(ありだけ)を
369君(きみ)の御前(みまへ)に捧(ささ)ぐべし
370嗚呼(ああ)エー男子(をのこ)エー男子(をのこ)
371嗚呼(ああ)エー女(をみな)エー女(をみな)
372男女(をのこをみな)の睦(むつ)び合(あ)ひ
373竹野林(たけのはやし)の何時迄(いつまで)も
374栄(さか)え目出度(めでた)き松(まつ)の御代(みよ)
375五六七(みろく)の代(よ)迄(まで)も変(かは)らざれ
376五六七(みろく)の代(よ)迄(まで)も変(かは)らざれ』
377と歌(うた)ひ納(をさ)め、378三組(みくみ)の結婚式(けつこんしき)は目出度(めでた)く終結(しうけつ)を告(つ)げける。379後(あと)は酒宴(しゆえん)に移(うつ)り、380陪席(ばいせき)の神々(かみがみ)は面白(おもしろ)き歌(うた)を詠(よ)み、381此(この)結婚(けつこん)を賑(にぎは)しにける。
382(大正一一・三・四 旧二・六 谷村真友録)
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