霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 大気津(おほげつ)(ひめ)(だん)(一)〔四八二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第3篇 言霊解 よみ(新仮名遣い):ことたまかい
章:第15章 大気津姫の段(一) よみ(新仮名遣い):おおげつひめのだん(一) 通し章番号:482
口述日:1920(大正9)年01月16日(旧11月26日) 口述場所: 筆録者:谷村真友[#講演筆録] 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
古事記において、天の真奈井の誓約において、素尊の御魂の清明無垢が証明されたため、素尊の部下たちの不満が勃発し、そのために天の岩戸の大事件が発生したのであった。
素尊はその責任を負って、「千位の置戸を負わせられ」て追放されたのであった。千位の置戸とは、一天万乗の位、群臣の上に立つ位を放棄させられて、という意味である。
素尊は万神万有のいっさいの罪科を一身に負って、自ら罪人となって天地の神明に潔白な心性を表示されたのである。世界一切の万類を救うために身を犠牲に供することを、千位の置戸というのである。
「髭を切り」とは、社会的な重要な役職をすべて放擲させられた、ということである。
「手足の爪を抜かしめて」とある手足の爪は、私有財産一切のことである。
「神追い(カムヤラヒ)」とは、ヤは天地自然の大道に帰って万民を教え導くことである。ラは寸暇なき神業奉仕者となることである。ヒとは、天地経綸の司宰者である人の本霊を顕して無上の尊厳を保つことである。すなわち、神追いとは単に神様を追放するということではないのである。
世の中には絶対的な平等もなければ絶対的な差別もない。差別的平等なる天理天則を悟り、もって自らの髭を切り、手足の爪を抜いて天下のために真に意義のある生活に入るべきである。
「食物(おしもの)」とは、衣食住の三種を総称したものである。大気津姫とは、物質文明の極点で、みなこぞってあらゆる贅沢をなし始めたことを言うのである。
それにたいして素尊は、八百万の神々に対して正衣正食することをお諭しになったのである。
世の中が進むについて、国風に合致しない悪風習が現れてきたのである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ:言霊反し(言霊返し) データ凡例: データ最終更新日:2021-06-11 18:40:15 OBC :rm1115
愛善世界社版:143頁 八幡書店版:第2輯 564頁 修補版: 校定版:143頁 普及版:61頁 初版: ページ備考:
初出[?]この文献の初出または底本となったと思われる文献です。[×閉じる]神霊界 > 大正10年2月1日号(第134号)【出口王仁三郎執筆】 > 皇典と現代(五)
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎著作集 > 第二巻 変革と平和 > 第三部 『霊界物語』の思想 > 大気津姫の段
001 『於是(ここに)002八百万(やほよろづ)神共(かみども)(はか)りて、003(はや)須佐之男(すさのをの)(みこと)千位(ちくら)置戸(おきど)()はせ、004(また)(ひげ)()り、005手足(てあし)(つめ)をも()かしめて、006(かむ)(やら)ひに(やら)ひき』
007 (ここ)天照(あまてらす)大神(おほかみ)(はや)須佐之男(すさのをの)(みこと)(あめ)真奈井(まなゐ)誓約(せいやく)によりて、008清明(せいめい)無垢(むく)素尊(そそん)御魂(みたま)009三女神(さんぢよしん)(あら)はれ(たま)ひしより、010素尊(そそん)部下(ぶか)諸神(しよしん)()不平(ふへい)勃発(ぼつぱつ)し、011(つひ)(あま)岩戸(いはと)大事変(だいじへん)湧起(ゆうき)せしめ、012(いち)()天津(あまつ)神国(かみくに)も、013葦原(あしはら)中津国(なかつくに)常暗(とこやみ)()となり、014(つい)八百万(やほよろづ)(かみ)(たち)(あめ)安河原(やすかはら)(かむ)(つど)ひに(つど)ひて、015神議(かむはか)りに(はか)(たま)ひ、016結局(けつきよく)大海原(おほうなばら)主神(しゆしん)たりし(はや)須佐之男(すさのをの)(みこと)千位(ちくら)置戸(おきど)()はせ、017(また)(ひげ)()り、018手足(てあし)(つめ)をも()かしめて、019天上(てんじやう)より(かむ)(やら)ひに(やら)(たま)ふの()むを()ざるに立到(たちいた)つたのであります。
020 『千位(ちくら)置戸(おきど)()はせて』と()意義(いぎ)は、021一天(いつてん)万乗(ばんじやう)(くらゐ)で、022群臣(ぐんしん)023百僚(ひやくれう)024百官(ひやくくわん)(うへ)()高御座(たかみくら)()はせ(すなは)放棄(はうき)させてと()(こと)であります。025(ちち)伊邪那岐(いざなぎの)大神(おほかみ)より、026大海原(おほうなばら)なる大地球(だいちきう)統治権(とうぢけん)附与(ふよ)されて、027天下(てんか)君臨(くんりん)(たま)ふべき素尊(そそん)でありますけれ(ども)028高天原(たかあまはら)()ける(あま)岩戸(いはと)(へん)大責任(だいせきにん)()ひて、029衆議(しうぎ)結果(けつか)千万(ちよろづ)(かみ)(うへ)()千位(ちくら)置戸(おきど)()(たま)ふに(いた)つたのであります。030(すべ)万神(ばんしん)万有(ばんいう)一切(いつさい)罪科(ざいくわ)一身(いつしん)負担(ふたん)して、031(みづか)罪人(ざいにん)となつて、032天地(てんち)神明(しんめい)潔白(けつぱく)なる心性(しんせい)表示(へうじ)されたのであります。033()温順(をんじゆん)善美(ぜんび)なる(みこと)()精霊(せいれい)(しよう)して(みづ)御魂(みたま)()ふのである。034基督(キリスト)十字架(じふじか)釘付(くぎづ)けられて万民(ばんみん)(つみ)(あがな)ふと()ふのも、035(えう)するに千位(ちくら)置戸(おきど)()うたと(おな)意味(いみ)であります。036世界(せかい)一切(いつさい)万類(ばんるゐ)(すく)(ため)()犠牲(ぎせい)(きよう)する(こと)は、037(すなは)千位(ちくら)置戸(おきど)()ふのである。038現今(げんこん)(ごと)(つみ)(けがれ)()ち、039腐敗(ふはい)(きよく)(たつ)せる地上(ちじやう)(また)040至仁(しじん)至愛(しあい)なる(みづ)御魂(みたま)(かみ)贖罪(とくざい)ある(ため)に、041大難(だいなん)小難(せうなん)()り、042小難(せうなん)消失(せうしつ)するのである。043アヽ(いち)(にち)(はや)く、044片時(へんじ)(すみや)かに、045天下(てんか)国家(こくか)(ため)犠牲(ぎせい)となる()き、046(みづ)御魂(みたま)守護(しゆご)ある真人(しんじん)各所(かくしよ)出現(しゆつげん)して、047(すで)倒壊(たうくわい)せむとする世界(せかい)現状(げんじやう)救済(きうさい)せむことを希望(きばう)して()まぬ次第(しだい)である。
048 『(また)(ひげ)()り』と()意義(いぎ)は、
049 は、050(れい)であり、051()御子(みこ)(てう)(つか)へて政治(せいぢ)(てら)言霊(ことたま)であり、
052 実名(じつめい)職掌(しよくしやう)である。
053 (すなは)自分(じぶん)官吏(くわんり)ならば官職(くわんしよく)()し、054会社(くわいしや)重役(ぢゆうやく)()すと()(こと)を、055()くと()ふのである。056(ぞく)(なに)()らずに(たか)(ところ)()まつてエラサウに(ぬか)すと、057(ひげ)()いてやらうかなぞと()ふのも、058不信任(ふしんにん)表白(へうはく)した言葉(ことば)である。059高位(かうゐ)高官(かうくわん)(ひと)や、060大会社(だいくわいしや)重役(ぢゆうやく)や、061(だい)教育家(けういくか)なぞが大本(おほもと)教義(けうぎ)でなくては天下(てんか)国家(こくか)(すく)(こと)出来(でき)ない(こと)心底(しんてい)より承認(しようにん)(なが)ら、062()充分(じうぶん)決心(けつしん)がつかずして現在(げんざい)地位(ちゐ)恋々(れんれん)として、063自己(じこ)名利(めいり)栄達(えいたつ)にのみ腐心(ふしん)して、064大本(おほもと)(をしへ)人眼(ひとめ)(しの)んで(とほ)くより研究(けんきう)し、065世人(せじん)()られる(こと)(はばか)つて()()うな立派(りつぱ)人士(じんし)沢山(たくさん)()るが、066(かく)(ごと)(ひと)至忠(しちう)思君(しくん)思国(しこく)日本(やまと)(だましひ)振起(しんき)して、067公然(こうぜん)大本(おほもと)信者(しんじや)名乗(なの)り、068現代(げんだい)(たか)位地(ゐち)なり、069名望(めいばう)眼中(がんちう)()かず、070()むを()ざれば(げん)位地(ゐち)(なげう)つて、071天下(てんか)国家(こくか)(ため)に、072大本(おほもと)主義(しゆぎ)天下(てんか)実行(じつかう)する(やう)になつた(とき)が、073所謂(いはゆる)(ひげ)()つて、074真個(しんこ)神明(しんめい)大君(おほぎみ)社会(しやくわい)とに奉仕(ほうし)出来(でき)(とき)であります。
075 『手足(てあし)(つめ)まで()かしめて、076(かむ)(やら)ひに(やら)(たま)ひき』と()意義(いぎ)は、
077 手足(てあし)(つめ)とは私有(しいう)財産(ざいさん)(こと)である。078()(つめ)現代(げんだい)所謂(いはゆる)動産物(どうさんぶつ)(あし)(つめ)不動産(ふどうさん)(ぶつ)である。079(えう)するに一切(いつさい)地位(ちゐ)(なげう)ち、080一切(いつさい)財産(ざいさん)(かへり)みず、081物質(ぶつしつ)(てき)欲望(よくばう)()てて神明(しんめい)(みち)天下(てんか)宣伝(せんでん)する(こと)が、082(かむ)(やら)ひに(やら)ひきと()(こと)になるのである。083従来(じうらい)俗界(そくかい)(はな)れて、084至聖(しせい)085至美(しび)086至直(しちよく)なる大神(おほかみ)(みち)(つか)(まつ)(こと)(かむ)やらひと()ふのである。
087 言霊(ことたま)調(しら)べる(とき)は、
088 天地(てんち)自然(しぜん)大道(だいだう)(かへ)り、089世界(せかい)(おや)たる覚悟(かくご)(もつ)万民(ばんみん)(をし)(みちび)き、090八方(はつぱう)事物(じぶつ)(あきら)かに指示(しじ)する(こと)である。
091 は、092(ぞく)より(しん)(かへ)りて、093従来(じうらい)体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)行動(かうどう)翻然(ほんぜん)として(あらた)め、094無量寿(むりやうじゆ)にして生死(せいし)(ほか)超然(てうぜん)として産霊(むすび)大道(だいだう)実行(じつかう)し、095霊系(れいけい)高皇(たかみ)産霊(むすびの)(かみ)神業(しんげふ)翼賛(よくさん)し、096極乎(きよくこ)として間断(かんだん)なく惟神(かむながら)大道(だいだう)天下(てんか)宣伝(せんでん)し、097実行(じつかう)して、098寸暇(すんか)()神業(しんげふ)奉仕者(ほうししや)となる(こと)である。
099 は、100天理(てんり)人道(じんだう)(あきら)かにし、101神妙(しんめう)不可測(ふかそく)神機(しんき)透徹(とうてつ)し、102過去(くわこ)103現在(げんざい)104未来(みらい)(あきら)かに了知(れうち)し、105達観(たつくわん)し、106天地(てんち)経綸(けいりん)(だい)司宰者(しさいしや)たる(ひと)本能(ほんのう)霊徳(れいとく)(あら)はし、107(もつ)⦿()根底(こんてい)(むす)(まも)り、108無上(むじやう)尊厳(そんげん)(たも)(こと)である。
109 (ゆゑ)(かむ)(やら)ひは、110(かみ)(さま)追放(つゐはう)したり、111退去(たいきよ)させたりすると()意義(いぎ)では()い。112漢字(かんじ)退漢字(かんじ)区別(くべつ)ある(こと)()反省(はんせい)すべきである。113この(てん)古事記(こじき)撰録者(せんろくしや)(もつと)()(もち)ゐたる(てん)にして、114(じつ)()親切(しんせつ)周到(しうたう)なる注意(ちうい)とは感謝(かんしや)すべき(こと)であります。
115 『(かむ)(やら)ひ』と()(こと)大本(おほもと)(うつ)して()(とき)は、116第一(だいいち)(かく)役員(やくゐん)(ごと)きは、117(すべ)(ひげ)()手足(てあし)(つめ)まで()きて大本(おほもと)神追(かむやら)ひに(やら)はれ(たま)うた人々(ひとびと)であります。118(しか)(なが)現今(げんこん)社会(しやくわい)(すべ)てが(みぎ)諸子(しよし)(ごと)くに神追(かむやら)ひに(やら)はれ、119(かつ)(また)(ひげ)()手足(てあし)(つめ)まで()かしめられては(かへ)つて天下(てんか)政治(せいぢ)(みだ)し、120産業(さんげふ)発達(はつたつ)阻止(そし)し、121国力(こくりよく)(よわ)める(こと)になりますから、122(かみ)(さま)神業(しんげふ)直接(ちよくせつ)奉仕(ほうし)すべき身魂(みたま)因縁(いんねん)ある真人(しんじん)のみに(つな)()けて、123大本(おほもと)()引寄(ひきよ)せに()つたのであります。124(ゆゑ)身魂(みたま)因縁(いんねん)()人々(ひとびと)は、125最初(さいしよ)から何程(なにほど)熱心(ねつしん)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)せむとしても、126(かみ)(さま)から()使(つか)ひに()らぬから、127(なん)()かの機会(きくわい)不平(ふへい)(おこ)して脱退(だつたい)せなくてはならぬ(やう)破目(はめ)(おちい)り、128(つひ)には某々(ぼうぼう)()()(ごと)犬糞(けんぷん)(てき)悪胴(わるどう)()ゑて、129一生(いつしやう)懸命(けんめい)大本(おほもと)攻撃(こうげき)(はじ)める(やう)()るのであります。130(また)(ふか)因縁(いんねん)()人士(じんし)で、131(ひげ)()()ね、132手足(てあし)(つめ)()()ねて、133(とほ)くから奉仕(ほうし)されて()人々(ひとびと)もまだまだ沢山(たくさん)にあります。134大本(おほもと)神業(しんげふ)直接(ちよくせつ)奉仕(ほうし)する真人(しんじん)と、135(また)間接(かんせつ)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)されて()人士(じんし)とがあります。136(これ)(ひげ)()ると()らないとの差異(さい)でありますが、137因縁(いんねん)ある人士(じんし)勇猛(ゆうまう)果断(くわだん)一日(いちじつ)(はや)く、138神業(しんげふ)直接(ちよくせつ)参加(さんか)せられたいものであります。139さうで()ければ天下(てんか)跳梁(てうりやう)跋扈(ばつこ)せる八岐(やまた)大蛇(をろち)(ほろ)ぼし、140(あめ)(した)至治(しぢ)泰平(たいへい)ならしむる神業(しんげふ)完全(くわんぜん)遂行(すゐかう)する(こと)出来(でき)ないのであります。141()(なか)には小官(せうくわん)小吏(せうり)(ひげ)(ばか)(たくは)へて尊大(そんだい)()真意(しんい)了解(れうかい)出来(でき)(くせ)に、142(どぜう)(なまづ)()うな貧乏鬚(びんばふひげ)()みながら、143大本(おほもと)淫祠(いんし)だの邪教(じやけう)だのと、144(おほ)きな(くち)()けて(どろ)()き、145田螺(たにし)(かへる)(をど)かして、146大本(おほもと)入信(にふしん)せむとする可憐(かれん)純良(じゆんりやう)同胞(どうはう)精神(せいしん)(にご)さむとして()るのが沢山(たくさん)ある。147(また)()(なか)には、148手足(てあし)(つめ)()くどころか、149(つめ)(さき)()(とも)して利己(りこ)主義(しゆぎ)一遍(いつぺん)人物(じんぶつ)があつて()()(つめ)()ぎすまし、150(たか)(すずめ)(ねら)(やう)に、151()れよしに浮身(うきみ)をやつして()厄介(やくかい)現代(げんだい)である。152(また)現代(げんだい)(ごと)詰込(つめこ)主義(しゆぎ)教育法(けういくはふ)(つね)精神(せいしん)自由(じいう)束縛(そくばく)し、153自然(しぜん)良智(りやうち)良能(りやうのう)発達(はつたつ)妨害(ばうがい)して()るのであるから、154(とこ)()飾物(かざりもの)()鉢植(はちうゑ)面白(おもしろ)珍木(ちんぼく)出来(でき)るが、155(いへ)(はしら)となる良材(りやうざい)到底(たうてい)出来(でき)るものでない。156天才(てんさい)教育(けういく)閑却(かんきやく)無理(むり)無態(むたい)(えだ)()つたり()げたり、157(ほそ)銅線(どうせん)(しば)()けたり、158突介棒(つつかいぼう)をかうたり、159()()つたり、160(ひね)つたり、161四方(しはう)八方(はつぱう)()げまはして、162(ちひ)さい()(こしら)へて、163高価(かうか)()()ける植木商(うゑきしやう)(おな)教育(けういく)()(かた)であるから、164到底(たうてい)(ろく)人材(じんざい)(うま)()づるものでない。165(いち)(にち)(はや)くこの(つめ)()()つて(しま)はねば、166帝国(ていこく)前途(ぜんと)(じつ)風前(ふうぜん)灯火(ともしび)であります。167現代(げんだい)個人(こじん)()つて国家(こくか)あるを(わす)れ、168自党(じたう)ありて他党(たたう)あるを(わす)れて()る。169他党(たたう)(いへど)(また)国家(こくか)社会(しやくわい)一部(いちぶ)で、170(おな)じく()人間(にんげん)儔侶(ちうりよ)たるものであるが、171(まつた)(これ)()らざるが(ごと)状況(じやうきやう)である。172(ゆゑ)朋党(ほうたう)(うち)(あひ)(せめ)ぎ、173(そと)環境(くわんきやう)虎視(こし)耽々(たんたん)一般的には虎視「眈々」と書くが「耽々」でも意味は似ているのでこのままにしておく。として間隙(かんげき)(じやう)ぜむとするの(あやふ)きに(そな)ふるの(みち)()らず、174(じつ)国家(こくか)前途(ぜんと)(うれ)へざらむとするも(あた)はざる次第(しだい)である。175アヽ(いま)(とき)(おい)大偉人(だいゐじん)出現(しゆつげん)し、176(もつ)国家(こくか)国民(こくみん)惨状(さんじやう)(すく)ふもの()くんば帝国(ていこく)前途(ぜんと)(じつ)暗澹(あんたん)たりと()ふべきである。177()には絶対(ぜつたい)平等(べうどう)()ければ、178(また)絶対(ぜつたい)差別(さべつ)()い、179平等(べうどう)(うち)差別(さべつ)あり、180差別(さべつ)(うち)平等(べうどう)があるのである。181蒼々(さうさう)として(たか)きは(てん)である。182茫々(ばうばう)として(ひろ)きは()である。183(かく)(ごと)くにして(すで)上下(じやうげ)あり、184何人(なんびと)(すみ)(しろ)しと()(ゆき)(くろ)しと()ふものがあらう()185政治家(せいぢか)も、186宗教家(しうけうか)も、187教育家(けういくか)(この)(とき)(この)(さい)188差別(さべつ)(てき)平等(べうどう)なる天理(てんり)天則(てんそく)覚知(かくち)し、189(もつ)天下(てんか)万民(ばんみん)(ため)に、190(なんぢ)(たくは)ふる高慢(かうまん)なる城壁(じやうへき)(のぞ)き、191(もつ)(その)大切(たいせつ)(おも)(ところ)(ひげ)()れ。192()暴力(ばうりよく)(もち)ゆる手足(てあし)(つめ)()()り、193(もつ)不惜(ふしやく)身命(しんめい)194天下(てんか)(ため)意義(いぎ)ある(しん)生活(せいくわつ)()れ。195(かく)(ごと)くにして(はじ)めて、196御国(みくに)永遠(ゑいゑん)保全(ほぜん)し、197祖先(そせん)遺風(ゐふう)顕彰(けんしやう)し、198(もつ)神国(しんこく)神民(しんみん)天職(てんしよく)(まつた)うする(こと)出来(でき)るのである。
199 『(また)食物(おしもの)大気津(おほげつ)比売(ひめ)(かみ)()ひたまひき』
200 食物(おしもの)言霊返(ことたまかへ)しは、201である。202(いのち)であり、203()づる(いき)である。204(すなは)生命(せいめい)(もと)となるのが食物(しよくもつ)である。205またクイ(もの)クイ(つま)る。206衣服(いふく)(また)207キモノと()ふのである。208()なり、209(くさ)(なり)210()なりの活用(くわつよう)あり。211(ゆゑ)()(しよく)とは、212生命(せいめい)保持(ほぢ)する(うへ)(もつと)必要(ひつえう)なものである。213(ゆゑ)(ひと)オシ(もの)クイ(もの)とに()つて、214イキ()るのである。215(また)(ひと)住居(すまゐ)イヘ()ふ。216イヘ霊返(たまかへ)しは、217となる。218(すなは)()であり、219(えな)である。220(えう)するに、221衣食住(いしよくぢゆう)三種(さんしゆ)総称(そうしよう)して、222食物(おしもの)()ひ、223()()ふのであります。
224 大気津(おほげつ)(ひめ)といふ言霊(ことたま)は、225(えう)するに、226物質(ぶつしつ)文明(ぶんめい)極点(きよくてん)(たつ)したる(ため)227天下(てんか)(こぞ)つて美衣(びい)美食(びしよく)大廈(たいか)高楼(かうろう)安臥(あんぐわ)して所在(あらゆる)贅沢(ぜいたく)(つく)し、228体主(たいしゆ)霊従(れいじう)頂上(ちやうじやう)(たつ)したる(こと)を、229大気津(おほげつ)(ひめ)()ふのであります。230糧食(りやうしよく)「りやうしよく」の霊返しは「ケ」にはならない。RyousyokUで「ル」になる。校定版・八幡版では「糧食」の直後に括弧書きで「(かて)」という言葉を挿入しているが、KatEなら「ケ」になる。その次の「被衣(かぶと)」(「かづき」とも読む)の霊返しも「ケ」にはならず、KabutOなので「コ」である。「家居(かくれ)」はKakurEで「ケ」になる。霊返(たまかへ)しは、231となり、232被衣(かぶと)霊返(たまかへ)しは()り、233家居(かくれ)霊返(たまかへ)しは(また)となる。234(ゆゑ)衣食住(いしよくぢゆう)(おほい)発達(はつたつ)し、235()非常(ひじやう)なる驕奢(けうしや)に、236世界中(せかいぢう)(そろ)うてなつて()たことを大気津(おほげつ)(ひめ)()ふのであります。
237 『()(たま)ひき』と()ふのは、238(こま)やかの言霊(ことたま)239(あきら)かの言霊(ことたま)である。240(えう)するに、241素盞嗚(すさのをの)(みこと)八百万(やほよろづ)(かみ)(たい)して、242正衣(せいい)正食(せいしよく)し、243清居(せいきよ)すべき(みち)を、244(さと)しになつたのを『()(たま)ひき』と、245言霊学(げんれいがく)(じやう)()ふのであつて、246(けつ)して乞食(こじき)非人(ひにん)食物(しよくもつ)哀求(あいきう)する(やう)意味(いみ)では()いのであります。
247 『(ここ)大気津(おほげつ)比売(ひめ)248(はな)249(くち)(および)(しり)より、250種々(くさぐさ)味物(ためつもの)取出(とりい)で、251種々(くさぐさ)(つく)(そな)へて(たてまつ)る』
252 (はな)()(こと)は、253(はな)やかなるの意義(いぎ)であつて、254立派(りつぱ)高価(かうか)衣服(いふく)のことである。255(くち)()(こと)食餌(しよくじ)意味(いみ)する。256(しり)()(こと)は、257(しり)落着(おちつ)けて起臥(きぐわ)する、258家居(かきよ)意味(いみ)するのである。259種々(くさぐさ)味物(ためつもの)』とは、260色々(いろいろ)臭気(しうき)紛々(ふんぷん)たる獣肉(じうにく)虫類(むしるゐ)(こと)である。261(また)種々(くさぐさ)(つく)(そな)へて(たてまつ)る』と()(こと)は、262獣類(じうるゐ)毛皮(けがは)()たり、263(ほね)(くし)(かふがい)髪をとめるかんざしのことや、264(その)()道具(だうぐ)愛用(あいよう)したり、265(とり)(むし)()(かは)で、266日用品(にちようひん)(つく)つたり、267人間(にんげん)住居(すまゐ)する(いへ)(なか)便所(べんじよ)(つく)つたり、268天則(てんそく)(やぶ)つて(ひと)住居(すまゐ)(つく)るに檜材(ひのきざい)(もち)ゐたり、269屋根(やね)()くにも檜皮(ひのきがは)で、270(あたか)神社(じんじや)()うに、271(ぶん)()ぎた(こと)()したりする(こと)を、272種々(くさぐさ)(つく)(そな)へて(たてまつ)ると()ふのである。273(たてまつ)ると()ふのは、274(した)から上位(じやうゐ)(はう)(たてまつ)ることであるが、275()()本文(ほんもん)(たてまつ)ると()意味(いみ)は、276進歩(しんぽ)すると()ふことである。277(えう)するに物質(ぶつしつ)文明(ぶんめい)発達(はつたつ)進歩(しんぽ)せる結果(けつくわ)278国風(こくふう)合致(がつち)せざる、279衣食住(いしよくぢう)進歩(しんぽ)せる悪風潮(あくふうてう)()して、280クサグサ(たてまつ)ると()ふのであります。
281大正九・一・一六 講演筆録 谷村真友
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