霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第二〇章 (しこ)(いはや)〔四八七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第4篇 満目荒寥 よみ(新仮名遣い):まんもくこうりょう
章:第20章 醜の窟 よみ(新仮名遣い):しこのいわや 通し章番号:487
口述日:1922(大正11)年03月03日(旧02月05日) 口述場所: 筆録者:岩田久太郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
梅ケ香姫は、コーカス山に進んで大気津姫を言向け和す決意を宣伝歌に歌った。
船中では、コーカス山側だった大工の馬公、牛公、鹿公、虎公が、宣伝使たちの共になって一緒にコーカス山に進んで行くことになった。
船が岸に着き、降りて雪深い山道を進んで行く。途中で日が暮れたため、牛公の提案で、近くの岩窟に宿を取ることになった。
牛公の話によると、竹野姫の前にも於縢山津見という宣伝使がやってきたが、やはり大気津姫の部下に捕まって、岩窟の中に閉じ込められてすでに百日以上になる、とのことであった。
牛公は自分がウラル教の目付けであることを口走ってしまう。一同が休んでいる岩窟の外には、ウラル教の捕り手の足音が聞こえてきた。時公はとっさに牛公に当身をくわせて気絶させた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-10-31 08:49:15 OBC :rm1120
愛善世界社版:192頁 八幡書店版:第2輯 583頁 修補版: 校定版:195頁 普及版:84頁 初版: ページ備考:
001 梅ケ香姫(うめがかひめ)立上(たちあが)り、
002梅ケ香姫四方(よも)山野(さんや)見渡(みわた)せば
003(ゆき)(ころも)(つつ)まれて
004()るも(きよ)けき銀世界(ぎんせかい)
005世界(せかい)(まが)(ちり)(あくた)
006(おほ)ひかくしてしらじらと
007表面(うはべ)(ひか)(いま)()
008何処(どこ)彼処(かしこ)ゆき(つま)
009(あを)きは(うみ)(なみ)ばかり
010青木(あをき)(はら)()れませる
011(かむ)伊邪諾(いざなぎ)大神(おほかみ)
012木花姫(このはなひめ)御教(みをしへ)
013(てら)()くなる宣伝使(せんでんし)
014()りの友船(ともぶね)(ひと)(おほ)
015(みな)口々(くちぐち)(ささや)きの
016(こと)()(かぜ)(あふ)られて
017(こころ)(くも)(むね)(やみ)
018闇夜(やみよ)(てら)朝日子(あさひこ)
019()出神(でのかみ)(みこと)もて
020曲津(まがつ)(たけ)ぶコーカスの
021大気津(おほげつ)(ひめ)のあれませる
022(ゆき)()(やま)(むか)ひたる
023竹野(たけの)(ひめ)如何(いか)にして
024岩窟(いはや)(なか)(とら)はれし
025嗚呼(ああ)我々(われわれ)千早振(ちはやふる)
026(かみ)(ひかり)()()けて
027黒白(あやめ)(わか)岩窟(がんくつ)
028(うれひ)(くも)(あね)(きみ)
029(すく)ひまつらで()くべきか
030コーカス(ざん)山颪(やまおろし)
031(なに)かあらむや(かみ)(みち)
032()()(すす)(わが)一行(いつかう)
033(とき)(きた)れり(とき)(いま)
034(あま)窟戸(いはやど)()()けて
035コーカス(ざん)(あつ)まれる
036(もも)魔神(まがみ)言向(ことむ)けむ
037言向(ことむけ)(やは)皇神(すめかみ)
038(ひろ)(こころ)神直日(かむなほひ)
039(めぐみ)(つゆ)大直日(おほなほひ)
040(まが)身魂(みたま)をスクスクに
041直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
042()(なほ)させん宣伝使(せんでんし)
043千変(せんぺん)万化(ばんくわ)神界(しんかい)
044(かみ)御業(みわざ)(かしこ)みて
045言霊(ことたま)(きよ)琵琶(びは)(うみ)
046(わた)りて(すす)五人(ごにん)(づれ)
047(こころ)竹野(たけの)(ひめ)(かみ)
048(かみ)(ちから)神嘉言(かむよごと)
049讃美(たた)へて()てよ(いま)(しば)
050(しば)(かく)るる星影(ほしかげ)
051(くも)たち退()けば(はな)(そら)
052(つき)()つとも()くるとも
053()けてはならぬ姉妹(おとどひ)
054(つき)(ゆき)(はな)(もも)()
055意富加牟豆美(おほかむづみ)(あら)はれて
056黄泉戦(よもついくさ)(いさをし)
057()てたる(ごと)今一度(いまいちど)
058天照(あまてる)(かみ)(おん)(まへ)
059岩戸(いはと)(びら)きの神業(かむわざ)
060つかへまつらむそれ(まで)
061(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
062(しこ)(やいば)をかい(くぐ)
063(きよ)(いのち)(たも)つべく
064(まも)らせ(たま)(かね)(かみ)
065(かむ)須佐之男(すさのをの)大御神(おほみかみ)
066国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
067三五教(あななひけう)(まも)ります
068(もも)(かみ)(たち)八十(やそ)(かみ)
069松竹梅(まつたけうめ)行末(ゆくすゑ)
070(あつ)(まも)れよ()(まも)
071(しも)国民(くにたみ)()(しぼ)
072(あぶら)()きて(ただ)一人(ひとり)
073(おご)りを(つく)大気津(おほげつ)(ひめ)
074(かみ)(みこと)(あら)はれし
075ウラルの(ひめ)()(まと)
076八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
077(しこ)鬼神(おにがみ)八十(やそ)曲津(まがつ)
078(かみ)御息(みいき)(ことごと)
079(まつ)ろへまつる(いま)(とき)
080アヽ(とき)さまよ(やつ)さまよ
081(うし)(うま)鹿(しか)(とら)(かも)さまよ
082(いさ)(すす)んでコーカスの
083(やま)()きまくる(しこ)(かぜ)
084(みな)一息(ひといき)()(はら)
085(はら)(きよ)むる(かみ)(くに)
086(かみ)(くに)との(おん)(ため)
087(ちから)(あは)()(つく)
088(のみ)(かんな)をふり()てて
089(かみ)(みち)のみ(あゆ)みつつ
090(かみ)御魂(みたま)惟神(かむながら)
091(たま)(ちはひ)()けよかし
092(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
093(すす)めよ(すす)めいざ(すす)め』
094(うた)(をは)りぬ。
095時公(ときこう)(やつ)さま(かも)さまどうだ。096最前(さいぜん)から随分(ずゐぶん)(はしや)いで()大工(だいく)さまの(うし)097(うま)098鹿(しか)099(とら)()(あし)100オツトドツコイ()(にん)さまは、101どうやら(とき)さまの宣伝歌(せんでんか)帰順(きじゆん)したらしいぞ。102これも(とき)(ちから)()ふものだ。103貴様(きさま)はいつも(おれ)を、104時々(ときどき)脱線(だつせん)する(をとこ)だから(とき)さまだナンテ、105(ひや)かしよつたがどうだ、106時々(ときどき)功名(こうみやう)(あら)はすたふとき(たつ)とき(とき)さまだぞ』
107八公(やつこう)(なに)(えら)さうに(とき)めきやがる。108たふとき(たつ)とき(おんな)(こつ)ちやないか。109貴様(きさま)クス野ケ原(のがはら)梅ケ香姫(うめがかひめ)のお洒落(しやれ)にかかつた(とき)と、110(ひと)()小僧(こぞう)出逢(であ)つた(とき)状態(ざま)(なん)だい。111()らぬかと(おも)つて法螺(ほら)()いても、112チヤンと(この)(やつ)さんは天眼通(てんがんつう)(りき)調(しら)べてあるのだ。113八耳(やつみみ)(やつ)さまと()へば(おれ)(こと)だ。114この(やつ)さまにはどんな(やつ)でも()()くのだぞ』
115時公(ときこう)(やつ)やつだが、116負惜(まけをし)みの(つよ)(やつ)117(わる)(やつ)118法螺(ほら)()(やつ)119(こま)つた(やつ)
120八公(やつこう)『コラコラ(とき)さま、121そらまだ(やつ)だない()つだ、122(やつ)()ツより()いぢやないか』
123時公(ときこう)(やつ)つ、()つと貴様(きさま)身魂(みたま)()(あし)だからそれで(あは)して(やつ)ツになるのだ。124(わか)らぬ(やつ)だなア』
125鴨公(かもこう)『アハヽヽヽ、126コイツ気味(きみ)()い。127(むね)がスツとした。128(なん)でもかでも、129(やつ)かましうする(やつ)だから、130(むら)(もの)愛想(あいさう)()かして、131厄介者(やつかいもの)(あつか)ひにしとる(くらゐ)だから、132コイツ余程(よつぽど)(ひど)(やつ)だ』
133牛公(うしこう)『オイ、134(やつ)さま、135ギユウ(ぎう)()はされて()るな』
136馬公(うまこう)馬鹿(ばか)野郎(やらう)137状態(ざま)()やがれ』
138鹿公(しかこう)シカられ(とほ)しにして()やがる』
139虎公(とらこう)トラれてばつかり()やがる、140()(あし)(あぶら)を』
141時公(ときこう)(とき)にとつての()愛嬌(あいけう)だ』
142 かく雑談(ざつだん)(ふけ)(をり)しも(ふね)(きし)()いた。143船客(せんきやく)一同(いちどう)(ふね)見捨(みす)てて(おも)(おも)ひに(ゆき)(みち)(すす)()く。144松代姫(まつよひめ)一行(いつかう)()(にん)(うし)145(うま)146鹿(しか)147(とら)(くは)へて()(にん)()れ、148宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)らコーカス(ざん)目蒐(めが)け、149(ひと)往来(ゆきき)足跡(あしあと)をたよりに、150谷間(たにま)()して(すす)()くのであつた。
151 満山(まんざん)一面(いちめん)大雪(おほゆき)にて、152彼方(あちら)(たに)にも此方(こちら)(たに)にも(ゆき)(おも)さにポンポンと樹木(じゆもく)()れる(おと)頻々(ひんぴん)(きこ)えて()る。
153鴨公(かもこう)『ヤア、154モーそろそろ()(くれ)時分(じぶん)だ。155そこら一面(いちめん)(ゆき)(あか)くなりやがつて、156(ひる)だと(おも)つて()(うち)に、157(よる)になつて仕舞(しま)ふのは(ゆき)(みち)だ。158何処(どこ)ぞこの(へん)猪小屋(ししごや)でもあつたら一服(いつぷく)して、159都合(つがふ)がよければ一泊(いつぱく)やらうかい』
160八公(やつこう)『さうだ、161(おれ)最前(さいぜん)から宿屋(やどや)(さが)して()るのだが、162(これ)から(いち)()(ばか)(おく)()けば、163何百軒(なんびやくけん)とも()れぬ、164立派(りつぱ)(いへ)()つて()るのだから、165そこ(まで)無理(むり)()(こと)にしよう』
166時公(ときこう)『ヤア、167()()て、168其処(そこ)まで()つたら最早(もはや)(てき)縄張(なはば)りだ。169それ(まで)一夜(いちや)(あか)し、170草臥(くたびれ)(やす)めて、171明日(あす)元気(げんき)(やしな)ふのだ』
172牛公(うしこう)(わたし)何時(いつ)もこの(へん)往来(わうらい)する(もの)です。173(やま)勝手(かつて)()()つて()ますが、174(この)(たに)(すこ)しく(みぎ)()りると岩窟(いはあな)がある。175其処(そこ)一夜(いちや)(あか)(こと)にしませうか』
176時公(ときこう)『どうです松代姫(まつよひめ)さま』
177松代姫(まつよひめ)『ハイ、178宜敷(よろし)からう、179今晩(こんばん)(ひさ)(ぶり)岩窟(いはあな)逗留(とうりう)さして(もら)ひませうか』
180衆議(しうぎ)一決(いつけつ)して、181牛公(うしこう)案内(あんない)につれ、182(ちひ)さい(たに)()あてに(すす)()く。183牛公(うしこう)()つた(とほ)二三十(にさんじふ)(にん)気楽(きらく)()られる、184立派(りつぱ)岩窟(がんくつ)があつた。185ここに一行(いつかう)(みの)()き、186(たづさ)()てる無花果(いちじゆく)()つて、187逗留(とうりう)する(こと)になつた。
188梅ケ香姫(うめがかひめ)『アヽ都合(つがふ)のよい岩窟(いはや)ですなア。189(この)岩窟(いはや)()るにつけ、190(おも)()すのは姉様(ねえさん)(こと)191姉様(ねえさん)()()められて()岩窟(いはや)()つたら、192こンなものでせうか』
193牛公(うしこう)滅相(めつさう)もない。194コンナ結構(けつこう)(とこ)ですか、195この山奥(やまおく)には七穴(しちあな)()つて、196(なな)ツの岩穴(いはあな)がある。197さうしてその(あな)(なか)は、198こンな平坦(へいたん)座敷(ざしき)(やう)(とこ)ぢやない。199(わし)(いつ)ぺん這入(はい)つて()(こと)があるが、200(あな)(なか)真暗(まつくら)がりで、201(そこ)(ふか)くて、202なんでも竜宮(りうぐう)(まで)(つづ)いて()ると()(こと)で、203あんな(とこ)()れられようものなら、204ゆつくり(こし)(かけ)(こと)出来(でき)やしない。205両方(りやうはう)岩壁(いはかべ)になつて()る。206そこへ(いは)(とんがり)(あし)()けて、207(ほそ)(あな)(また)(ひろ)げて()()るのだ。208一寸(ちよつと)居眠(ゐねむ)りでもしたが最後(さいご)209(そこ)なき(あな)落込(おちこ)んで仕舞(しま)ふのだ』
210時公(ときこう)『そんな(あな)(なな)つもあるのか』
211牛公(うしこう)『さうです。212(この)(あひだ)()ンでも淤縢山津見(おどやまづみ)とか()(つよ)(やつ)()()て、213大気津(おほげつ)(ひめ)帰順(きじゆん)さすとか()つて(のぼ)つて()たところ、214大勢(おほぜい)(もの)()つてたかつて()めかけたら、215(やつこ)さま(その)(あな)(なか)(かく)れよつた。216そこで大勢(おほぜい)(もの)()つてたかつて岩蓋(いはぶた)をピシヤーンとしめて、217(そと)から(かぎ)()けた。218それつきり(ひやく)(にち)(ばか)りになるのに(なん)音沙汰(おとさた)()い。219大方(おほかた)(あな)(そこ)()つこつて()んで仕舞(しま)つたやらうとの(うはさ)だ。220それから(しばら)くすると、221()のスラリと(たか)竹野姫(たけのひめ)とか()(せう)便使(べんしい)が、222(せう)便歌(べんか)(うた)つてやつて()た。223そいつは()(くれ)(とま)るところがないものだから、224自分(じぶん)から(あな)(なか)へコソコソとはいつて()きよつた。225馬鹿(ばか)(やつ)もありや()るもんだなア』
226馬公(うまこう)『オイオイ、227さう口穢(くちぎたな)()ふな。228()姉妹(きやうだい)()られるぞ』
229牛公(うしこう)『アヽさうだつたなア。230その竹野姫(たけのひめ)()(せう)便使(べんし)(さま)が、231(ゆき)()つてお(こま)りと()えて、232(あな)(なか)へコツソリとお這入(はいり)(あそ)ばした。233さうすると大気津(おほげつ)(ひめ)(さま)手下(てした)悪神(あくがみ)(さま)が、234「サア()(いで)なさつた」と()(かま)へて()らつしやつて、235(そと)からピシヤリと()()しめ(あそ)ばした。236竹野姫(たけのひめ)さまは(なか)から金切声(かなきりごゑ)()ててキヤーキヤー()ぬかし(あそ)ばした。237(そと)からは悪神(わるがみ)(さま)が「サア()うなつたら百年目(ひやくねんめ)だ、238(そこ)()(あな)()つこちて、239クタバリ(あそ)ばすか、240(かつ)ゑて()()(あそ)ばすか、241(ふた)つに(ひと)つだ。242(これ)吾々(われわれ)()心配(しんぱい)もとれて、243マアマア()安心(あんしん)だ」と仰有(おつしや)つて………』
244馬公(うまこう)『コラコラ、245叮嚀(ていねい)()ふもよいが、246(あんま)叮嚀(ていねい)()ぎるぢやないか。247竹野姫(たけのひめ)(さま)(こと)()叮嚀(ていねい)()(はなし)してもよいが、248悪神(あくがみ)(はう)()加減(かげん)区別(くべつ)せぬかい』
249牛公(うしこう)『そンな融通(ゆうづう)()(くらゐ)ならカチ()大工(だいく)をやつたり、250ウラル(けう)目付役(めつけやく)をしとるものかい』
251時公(ときこう)(うし)さん随分(ずゐぶん)現金(げんきん)(をとこ)だなア』
252牛公(うしこう)(なが)(もの)には()かれ、253(つよ)いものには(したが)ひ、254(あま)(しる)()へ、255(にが)(しる)()かせと()()(なか)256人間(にんげん)時世(ときよ)時節(じせつ)(したが)ふのが(とく)だからなア』
257時公(ときこう)『お(まへ)()(いま)(はじ)めて()いたが、258ウラル(けう)目付役(めつけやく)だと()つたね』
259牛公(うしこう)『イーエ、260ソラ(ちが)ひます。261ホンの一寸(ちよつと)(くち)(すべ)つたのでモー牛上(うしあげ)ました』
262時公(ときこう)『イヤ、263さうだなからう』
264牛公(うしこう)左様(さやう)々々(さやう)265さうだなからう』
266松代姫(まつよひめ)(みな)さま、267モウ()ませうか、268サア、269(これ)から神言(かみごと)奏上(そうじやう)して、270宣伝歌(せんでんか)一同(いちどう)(そろ)つて()げませう』
271時公(ときこう)『それは宜敷(よろし)からう。272(しか)今日(けふ)(わたし)(かんが)へがありますから、273籤引(くじびき)をして(いち)(あた)つた(もの)から、274発声(はつせい)する(こと)にさして(くだ)さい』
275松代姫(まつよひめ)(とき)さまの()随意(ずゐい)に……』
276時公(ときこう)『サアサア、277これから籤引(くじびき)だ。278()婦人(ふじん)(がた)免除(めんぢよ)だ。279(をとこ)(しち)(にん)籤引(くじびき)だ。280一番(いちばん)(なが)(やつ)()いた(もの)発声(はつせい)するのだ』
281()ひながら草蓑(くさみの)(はし)千切(ちぎ)つて長短(ちやうたん)をこしらへ、
282時公(ときこう)『サア、283()いたり()いたり』
284(ろく)(にん)(まへ)()()した。285(ろく)(にん)(あらそ)つて(これ)()いた。
286時公(ときこう)『ヤア、287牛公(うしこう)一番(いちばん)(なが)いのを()いたぞ。288サア牛公(うしこう)289(まへ)から宣伝歌(せんでんか)発声(はつせい)だ。290アレ()(ふね)(なか)でも(をし)へてあるなり、291途々(みちみち)()かしてあるから()へるだらう』
292牛公(うしこう)『ハイハイ、293(たしか)()へます。294一遍(いつぺん)()いたら(わす)れぬと()地獄耳(ぢごくみみ)だから、295(なん)でもかでも(みな)(おぼ)えて()る。296ソンナラ皆様(みなさま)今日(けふ)(わたくし)導師(だうし)だ。297(あと)から()いて()るのだよ』
298()(なが)牛公(うしこう)宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めた。
299牛公(うしこう)(かみ)(おもて)(あら)はれて
300(ぜん)茶碗(ちやわん)()()ける
301この()(うま)いは燗酒(かんざけ)ぢや
302心持(こころもち)よき大御酒(おほみき)ぢや
303(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
304(さけ)(をんな)()ツちよい
305()めよ(さわ)げや一寸先(いつすんさき)(やみ)
306(やみ)(あと)には(つき)()る』
307一同(いちどう)『アハヽヽヽヽ』
308鴨公(かもこう)『コラ牛公(うしこう)309貴様(きさま)矢張(やつぱり)ウラル(けう)だ。310一寸先(いつすんさき)(やみ)だなんて(ほざ)きやがつて、311()(なほ)せ。312(ぜん)(わん)とを()()けるとは(なん)だ。313法螺事(ほらごと)ばつかり()ひやがつて』
314牛公(うしこう)(きま)つた(こと)よ、315大気津(おほげつ)(ひめ)家来(けらい)だもの、316()(こと)と、317()(こと)と、318()(こと)より(ほか)には(なに)もないのだ。319その(くせ)()つたり()んだりする(くち)から()るのだもの、320()(こと)()(こと)()ふのは(あた)(まへ)だ。321サア、322(かも)とやら、323もう一口(ひとくち)()ふなら()つて()い。324徳利(とくり)(くち)ぢや、325一口(ひとくち)にやられるぞ。326土瓶(どびん)(くち)ぢや、327二口(ふたくち)()ふなら()つて()い』
328時公(ときこう)『エー、329仕様(しやう)のない(やつ)だ。330こんな(ところ)洒落(しやれ)どころか、331仕様(しやう)がない、332発起人(ほつきにん)(おれ)導師(だうし)になつて、333宣伝歌(せんでんか)(とな)へるから、334(まへ)(たち)()いて()るのだ』
335()ひつつ宣伝歌(せんでんか)(うた)(はじ)めた。336一同(いちどう)(その)あとに()いて(うた)つて()る。337この(とき)幾百(いくひやく)(にん)とも()れぬ足音(あしおと)岩窟(いはや)(そと)(きこ)えて()た。338牛公(うしこう)岩戸(いはと)隙間(すきま)より一寸(ちよつと)(のぞ)いて、
339牛公(うしこう)『ヤア、340()(いで)た、341()(いで)た、342()(だけ)味方(みかた)があれば何程(なにほど)時公(ときこう)(つよ)うても大丈夫(だいぢやうぶ)だ』
343口走(くちばし)つた。344時公(ときこう)は、
345時公(ときこう)『これは大変(たいへん)
346牛公(うしこう)()()(くら)はした。347(うし)はウンとその()(たふ)れた。348足音(あしおと)次第(しだい)々々(しだい)(とほ)ざかり()くのであつた。
349大正一一・三・三 旧二・五 岩田久太郎録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki