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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第11巻(戌の巻)
言霊反
凡例
信天翁(二)
総説歌
第1篇 長駆進撃
第1章 クス野ケ原
第2章 一目お化
第3章 死生観
第4章 梅の花
第5章 大風呂敷
第6章 奇の都
第7章 露の宿
第2篇 意気揚々
第8章 明志丸
第9章 虎猫
第10章 立聞
第11章 表教
第12章 松と梅
第13章 転腹
第14章 鏡丸
第3篇 言霊解
第15章 大気津姫の段(一)
第16章 大気津姫の段(二)
第17章 大気津姫の段(三)
第4篇 満目荒寥
第18章 琵琶の湖
第19章 汐干丸
第20章 醜の窟
第21章 俄改心
第22章 征矢の雨
第23章 保食神
第5篇 乾坤清明
第24章 顕国宮
第25章 巫の舞
第26章 橘の舞
第27章 太玉松
第28章 二夫婦
第29章 千秋楽
余白歌
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第11巻(戌の巻)
> 第2篇 意気揚々 > 第10章 立聞
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(B)
(N)
表教 >>>
第一〇章
立聞
(
たちぎき
)
〔四七七〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
篇:
第2篇 意気揚々
よみ(新仮名遣い):
いきようよう
章:
第10章 立聞
よみ(新仮名遣い):
たちぎき
通し章番号:
477
口述日:
1922(大正11)年03月01日(旧02月03日)
口述場所:
筆録者:
藤津久子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
船を降りた一行は、寒風吹きすさぶ荒野を進んで行く。勝公は、この先に黒野ケ原というところがあり、そこには孔雀姫という美しい女の姿をした化け物がおり、人を捕えて食らうのだ、と話し出した。
その話を肴に、時公と勝公は馬鹿話をやっている。一行は孔雀姫の館を訪ねて、言向け和そうとやってきた。
梅ケ香姫が孔雀姫の館の門に耳を当てて中の様子を探っていると、ウラル教の宣伝歌を歌っているようである。時公、勝公、八公、鴨公は門外で馬鹿話を始めている。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm1110
愛善世界社版:
95頁
八幡書店版:
第2輯 547頁
修補版:
校定版:
95頁
普及版:
40頁
初版:
ページ備考:
001
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
時公
(
ときこう
)
に
送
(
おく
)
られて、
002
寒風
(
かんぷう
)
荒
(
すさ
)
ぶ
荒野
(
あれの
)
ケ
原
(
はら
)
を
勇
(
いさ
)
んで
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
003
勝公
(
かつこう
)
以下
(
いか
)
四五
(
しご
)
の
連中
(
れんちう
)
もゴロゴロと
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて
来
(
く
)
る。
004
傍
(
かたはら
)
の
猪小屋
(
ししごや
)
を
見
(
み
)
つけ
一同
(
いちどう
)
は
此処
(
ここ
)
に
休息
(
きうそく
)
する
事
(
こと
)
とはなりぬ。
005
勝公
(
かつこう
)
『
酒
(
さけ
)
の
気
(
け
)
もなくて
何
(
なん
)
となくさむしくなつて
来
(
き
)
た。
006
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
青
(
あを
)
い
物
(
もの
)
と
云
(
い
)
つたら
一
(
ひと
)
つもなし、
007
天
(
てん
)
も
地
(
ち
)
も
綿
(
わた
)
を
敷
(
し
)
きつめた
様
(
やう
)
な
真白
(
まつしろ
)
な
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だ、
008
斯
(
か
)
うして
見
(
み
)
ると
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
に
黒
(
くろ
)
い
物
(
もの
)
と
云
(
い
)
つたら、
009
八公
(
やつこう
)
と
鴨公
(
かもこう
)
の
顔
(
かほ
)
だけ
位
(
ぐらゐ
)
のものだ』
010
八公
(
やつこう
)
『お
前
(
まへ
)
の
顔
(
かほ
)
は
白
(
しろ
)
いからなア』
011
勝公
(
かつこう
)
『
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
だい、
012
まだ
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
素人
(
しろうと
)
だもの
白
(
しろ
)
いのは
当然
(
あたりまへ
)
だ』
013
鴨公
(
かもこう
)
『
知
(
し
)
らぬ
者
(
もの
)
の
半分
(
はんぶん
)
も
知
(
し
)
らずに
俄
(
にはか
)
に
白
(
しら
)
を
切
(
き
)
りやがつて、
014
白々
(
しらじら
)
しい
白鷺
(
しらさぎ
)
が
孔雀
(
くじやく
)
の
真似
(
まね
)
したつて
遽
(
にはか
)
に
玉
(
たま
)
は
出来
(
でき
)
はせぬぞ』
015
勝公
(
かつこう
)
『ヤア
其
(
その
)
孔雀
(
くじやく
)
で
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したが、
016
これから
少
(
すこ
)
し
向
(
むか
)
ふに
行
(
ゆ
)
くと、
017
黒野
(
くろの
)
ケ
原
(
はら
)
といふ
処
(
ところ
)
がある。
018
今
(
いま
)
は
雪
(
ゆき
)
で
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
白野
(
しろの
)
ケ
原
(
はら
)
ぢやが、
019
其処
(
そこ
)
には
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
といふド
偉
(
えら
)
い
化物
(
ばけもの
)
が
居
(
を
)
つて、
020
其処
(
そこ
)
を
通
(
とほ
)
ると
誰
(
たれ
)
も
彼
(
かれ
)
も
皆
(
みな
)
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれて
了
(
しま
)
ふと
云
(
い
)
ふ
評判
(
ひやうばん
)
だ。
021
ウラル
教
(
けう
)
の
奴
(
やつ
)
でも
三五教
(
あななひけう
)
の
奴
(
やつ
)
でも
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
に
一寸
(
ちよつと
)
睨
(
にら
)
まれたが
最後
(
さいご
)
、
022
皆
(
みんな
)
誑
(
ばか
)
されて
一人
(
ひとり
)
も
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
る
者
(
もの
)
がないと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ』
023
時公
(
ときこう
)
『ヤアそれは
本当
(
ほんたう
)
か、
024
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
といふからには、
025
随分
(
ずゐぶん
)
綺麗
(
きれい
)
な
女
(
をんな
)
だらう。
026
一体
(
いつたい
)
何
(
なに
)
を
食
(
くら
)
ふのだ』
027
勝公
(
かつこう
)
『それや
定
(
きま
)
つた
事
(
こと
)
よ。
028
人間
(
にんげん
)
を
喰
(
くら
)
ふのだ。
029
俺
(
おれ
)
の
様
(
やう
)
な
黒
(
くろ
)
い
人間
(
にんげん
)
でも
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
にかかつたら
皆
(
みんな
)
喰
(
く
)
はれると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
だ』
030
時公
(
ときこう
)
『そいつは
面白
(
おもしろ
)
い、
031
綺麗
(
きれい
)
な
顔
(
かほ
)
をしやがつて
人間
(
にんげん
)
を
喰
(
く
)
ふなぞと
鬼娘
(
おにむすめ
)
かも
知
(
し
)
れないよ。
032
「
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
で
蜥蜴
(
とかげ
)
食
(
く
)
ふかや
時鳥
(
ほととぎす
)
」だ。
033
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
が
斯
(
こ
)
う
物騒
(
ぶつそう
)
になつて
来
(
く
)
ると、
034
彼方
(
あつち
)
にも
此方
(
こつち
)
にも
金毛
(
きんまう
)
九尾
(
きうび
)
の
狐
(
きつね
)
や
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
がはばりやがつて、
035
何処
(
どこ
)
にも
此処
(
ここ
)
にもさういう
鬼
(
おに
)
が
現
(
あら
)
はれて
来
(
く
)
るもんだ。
036
俺
(
おれ
)
の
様
(
やう
)
に、
037
人
(
ひと
)
でも
取
(
と
)
つて
喰
(
く
)
ひさうな
怖
(
こは
)
い
顔
(
かほ
)
した
奴
(
やつ
)
には
本当
(
ほんたう
)
の
悪
(
あく
)
はないもんだ。
038
美
(
うつく
)
しい
顔
(
かほ
)
した
奴
(
やつ
)
に
人殺
(
ひとごろ
)
しをしたり
人
(
ひと
)
を
欺
(
あざむ
)
いたりする
奴
(
やつ
)
が
却
(
かへつ
)
て
多
(
おほ
)
い、
039
約
(
つま
)
り
悪魔
(
あくま
)
は
善
(
ぜん
)
の
仮面
(
かめん
)
をかぶつて
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
を
乱
(
みだ
)
すものだからな』
040
勝公
(
かつこう
)
『
時
(
とき
)
さま、
041
一
(
ひと
)
ツ
肝玉
(
きもたま
)
をおつ
放
(
ぽり
)
出
(
だ
)
して、
042
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
の
正体
(
しやうたい
)
を
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
やうか。
043
何
(
なに
)
が
化
(
ば
)
けて
居
(
を
)
るのか
知
(
し
)
れやせぬぜ』
044
時公
(
ときこう
)
『お
前
(
まへ
)
は
雪隠
(
せんち
)
の
端
(
はた
)
の
猿
(
さる
)
食
(
く
)
はずと
云
(
い
)
ふ
柿
(
かき
)
の
様
(
やう
)
な
男
(
をとこ
)
だから、
045
滅多
(
めつた
)
に
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
だつて
味
(
あぢ
)
が
悪
(
わる
)
いから
食
(
く
)
ふ
気遣
(
きづか
)
ひはないわ。
046
猿
(
さる
)
食
(
く
)
はずといふ
柿
(
かき
)
は
渋
(
しぶ
)
くて
汚
(
きたな
)
くて
細
(
こま
)
かくて
食
(
く
)
へぬ
奴
(
やつ
)
だからな』
047
勝公
(
かつこう
)
『コレコレ
時
(
とき
)
さま、
048
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しなさい』
049
時公
(
ときこう
)
『また
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
へ
行
(
い
)
つて、
050
綺麗
(
きれい
)
な
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
直
(
なほ
)
さうかい、
051
俺
(
おれ
)
の
様
(
やう
)
な
味
(
あぢ
)
のある
男
(
をとこ
)
は、
052
一寸
(
ちよつと
)
険難
(
けんのん
)
だ。
053
ナア
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
さま、
054
あなたクス
野ケ原
(
のがはら
)
で
高彦
(
たかひこ
)
さまを
食
(
く
)
つて
下
(
くだ
)
さいと
云
(
い
)
つたら、
055
イヤイヤ
時
(
とき
)
さんの
方
(
はう
)
が
男
(
をとこ
)
らしくて
色
(
いろ
)
がコツクリ
黒
(
くろ
)
くて
肉
(
にく
)
がボテボテして
甘
(
うま
)
さうだから、
056
時
(
とき
)
さんを
食
(
た
)
べさして
頂戴
(
ちやうだい
)
なんて
仰有
(
おつしや
)
つた、
057
本当
(
ほんたう
)
に
梅ケ香
(
うめがか
)
さんに
食
(
く
)
つて
欲
(
ほ
)
しいわ』
058
勝公
(
かつこう
)
『こんな
所
(
ところ
)
で
惚
(
のろ
)
けない。
059
余
(
あま
)
り
惚
(
のろ
)
けるとソレ
又
(
また
)
大蛇
(
をろち
)
の
先生
(
せんせい
)
がノコノコとやつて
来
(
く
)
るぞ』
060
時公
(
ときこう
)
『
大蛇姫
(
をろちひめ
)
でも
明志丸
(
あかしまる
)
でも
何
(
なん
)
でも
構
(
かま
)
はん、
061
ノロリノロリと
考
(
かんが
)
へてゐる
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のない
兄
(
あに
)
さまだ。
062
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
野呂間
(
のろま
)
とは、
063
ちつとは
違
(
ちが
)
ふぞ』
064
勝公
(
かつこう
)
『
野呂間
(
のろま
)
とは
何
(
なん
)
だ、
065
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ。
066
人
(
ひと
)
をノロはば
穴
(
あな
)
二
(
ふた
)
つだ』
067
時公
(
ときこう
)
『
二
(
ふた
)
つも
一
(
ひと
)
つも
穴
(
あな
)
があつて
堪
(
たま
)
らうか、
068
あな
有難
(
ありがた
)
き
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
だ』
069
一同
(
いちどう
)
『アハヽヽヽヽ』
070
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『
皆
(
みな
)
さまは
気楽
(
きらく
)
な
方
(
かた
)
ですねえ。
071
貴方
(
あなた
)
方
(
がた
)
と
一緒
(
いつしよ
)
に
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
ると、
072
マルデ
天国
(
てんごく
)
の
旅行
(
りよかう
)
見
(
み
)
たいだわ』
073
鴨公
(
かもこう
)
『さうでせう。
074
私
(
わたくし
)
の
様
(
やう
)
な
抜
(
ぬ
)
け
目
(
め
)
のない、
075
程
(
ほど
)
の
宜
(
よ
)
い、
076
痒
(
かゆ
)
い
処
(
ところ
)
に
手
(
て
)
の
届
(
とど
)
く
男
(
をとこ
)
が
加
(
くは
)
はつて
居
(
ゐ
)
るのですから
満雪途上
(
まんせつとじやう
)
黒一点
(
こくいつてん
)
だからねえ』
077
時公
(
ときこう
)
『アハヽヽヽ
笑
(
わら
)
はしやがる。
078
万緑
(
まんりよく
)
叢中
(
そうちゆう
)
紅一点
(
こういつてん
)
の
梅ケ香
(
うめがか
)
様
(
さま
)
がござると
思
(
おも
)
つて、
079
此奴
(
こいつ
)
顔
(
かほ
)
の
皺
(
しわ
)
を
伸
(
の
)
ばしやがつて、
080
はしやいで
居
(
を
)
るな』
081
勝公
(
かつこう
)
『そんな
雑談
(
ざつだん
)
は
一切
(
ひとき
)
りにして
行
(
ゆ
)
かうかい。
082
これから
梅ケ香
(
うめがか
)
さまに
幾層倍
(
いくそうばい
)
とも
知
(
し
)
れぬ
美
(
うつく
)
しい
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
のお
顔
(
かほ
)
拝見
(
はいけん
)
だ。
083
こんなくだらぬ
話
(
はなし
)
をしやべつて
居
(
を
)
ると、
084
又
(
また
)
ノロノロがやつて
来
(
く
)
るぞ。
085
此
(
この
)
世
(
よ
)
でさへも
限換
(
きりかへ
)
るとか、
086
立替
(
たてかへ
)
とかがあるさうだのに
限
(
き
)
りのない
話
(
はなし
)
を
止
(
や
)
めて
愈
(
いよいよ
)
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しだ。
087
サア
進
(
すす
)
め
進
(
すす
)
め。
088
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
も
大雪
(
おほゆき
)
で、
089
ゆきつまりだ、
090
詰
(
つま
)
りて
詰
(
つま
)
らんのは
俺
(
おれ
)
の
所
(
ところ
)
計
(
ばか
)
りではない。
091
節季
(
せつき
)
になると
俺
(
おれ
)
の
処
(
ところ
)
の
様
(
やう
)
なつまらぬ
家
(
いへ
)
に
詰
(
つま
)
つてるのは、
092
掛取
(
かけと
)
り
計
(
ばか
)
りだ。
093
サアサア、
094
駈
(
か
)
け
足
(
あし
)
駆
(
か
)
け
足
(
あし
)
。
095
節季
(
せつき
)
になつても
払
(
はら
)
ふものがないから
雪
(
ゆき
)
でも
払
(
はら
)
つて
行
(
ゆ
)
かうかい』
096
勝公
(
かつこう
)
は
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
道
(
みち
)
あけをする。
097
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
雪道
(
ゆきみち
)
を
踏
(
ふ
)
みしめながら、
098
転
(
こ
)
けつ
輾
(
まろ
)
びつ
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
の
隠家
(
かくれが
)
の
前
(
まへ
)
に
近寄
(
ちかよ
)
つた。
099
時公
(
ときこう
)
『オイ
勝公
(
かつこう
)
、
100
サアサアこれからが
戦場
(
せんぢやう
)
だ。
101
貴様
(
きさま
)
先陣
(
せんぢん
)
を
承
(
うけたま
)
はつて
先
(
ま
)
ず
第一
(
だいいち
)
に
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
に
食
(
く
)
はれるのだ』
102
勝公
(
かつこう
)
『ヤア
俺
(
おれ
)
は
雪隠
(
せつちん
)
の
端
(
はた
)
の
猿
(
さる
)
食
(
く
)
はず、
103
俺
(
おれ
)
の
様
(
やう
)
な
者
(
もの
)
が
行
(
い
)
つたつて
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
は
肘鉄砲
(
ひぢてつぱう
)
だ。
104
太鼓
(
たいこ
)
の
様
(
やう
)
な
印
(
しるし
)
を
捺
(
お
)
した
様
(
やう
)
なものだ。
105
それよりも
時
(
とき
)
さま、
106
梅ケ香
(
うめがか
)
さまなら
食
(
く
)
つて
欲
(
ほ
)
しいと
云
(
い
)
つたでないか。
107
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
に
食
(
く
)
はれるのも
光栄
(
くわうえい
)
だぜ』
108
時公
(
ときこう
)
『
何
(
なに
)
が
光栄
(
くわうえい
)
だ。
109
貴様
(
きさま
)
の
方
(
はう
)
が
良
(
よ
)
く
肥
(
こ
)
えてるわ、
110
斯
(
こ
)
ういふ
時
(
とき
)
には
製糞器
(
せいふんき
)
が
調法
(
てうはふ
)
だ。
111
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
雪
(
ゆき
)
が
降
(
ふ
)
るので
人通
(
ひとどほ
)
りが
尠
(
すくな
)
いから
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
も
飢
(
かつ
)
ゑて
かつ
かつとして
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
112
誂
(
あつら
)
へ
向
(
むき
)
だ。
113
其処
(
そこ
)
へ
勝公
(
かつこう
)
がやつて
行
(
ゆ
)
けば、
114
カツしては
盗泉
(
たうせん
)
の
水
(
みづ
)
を
飲
(
の
)
むのだ。
115
イヤ
茲
(
ここ
)
で
一
(
ひと
)
つ
梅ケ香
(
うめがか
)
さまは
除外例
(
ぢよがいれい
)
として
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
其
(
その
)
犠牲者
(
ぎせいしや
)
の
選挙
(
せんきよ
)
をやらうかい。
116
当選
(
たうせん
)
した
奴
(
やつ
)
が
犠牲
(
ぎせい
)
になるのだ』
117
鴨公
(
かもこう
)
『
一騎
(
いつき
)
当千
(
たうせん
)
の
勝
(
かつ
)
さんに、
118
行
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はう。
119
人
(
ひと
)
の
選挙
(
せんきよ
)
を
頭痛
(
づつう
)
に
病
(
や
)
んでも
仕方
(
しかた
)
がないからなあ』
120
かく
無駄口
(
むだぐち
)
を
言
(
い
)
ひながら、
121
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
の
館
(
やかた
)
の
前
(
まへ
)
にピタリと
行
(
ゆ
)
き
着
(
つ
)
いた。
122
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
は
手真似
(
てまね
)
で
一同
(
いちどう
)
を
制
(
せい
)
し、
123
門
(
もん
)
の
戸
(
と
)
に
耳
(
みみ
)
を
当
(
あ
)
てて
中
(
なか
)
より
洩
(
も
)
れ
来
(
きた
)
る
微
(
かすか
)
な
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
き
不審
(
ふしん
)
さうに
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
124
勝公
(
かつこう
)
『モシモシ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
125
何
(
なに
)
を
思案
(
しあん
)
して
御座
(
ござ
)
る。
126
何
(
なん
)
ぞ
人
(
ひと
)
の
骨
(
ほね
)
でも
囓
(
かじ
)
る
音
(
おと
)
がいたしますかな』
127
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
『サア
一寸
(
ちよつと
)
合点
(
がつてん
)
がゆきませぬ、
128
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
のある
様
(
やう
)
な
声
(
こゑ
)
でウラル
教
(
けう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
つて
居
(
を
)
る
様
(
やう
)
です』
129
勝公
(
かつこう
)
『ヤア
夫
(
そ
)
れは
妙
(
めう
)
だ。
130
矢張
(
やつぱ
)
りウラル
彦
(
ひこ
)
の
手下
(
てした
)
の
曲神
(
まがかみ
)
だな、
131
ドレドレ
勝
(
かつ
)
さまが
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
ませう。
132
梅ケ香
(
うめがか
)
さま
一寸
(
ちよつと
)
退
(
の
)
いて
下
(
くだ
)
さい』
133
と
云
(
い
)
いながら
門
(
もん
)
の
節穴
(
ふしあな
)
に
耳
(
みみ
)
を
当
(
あ
)
てて、
134
勝公
(
かつこう
)
『アヽ
聞
(
きこ
)
えた
聞
(
きこ
)
えた、
135
オイ、
136
八公
(
やつこう
)
、
137
鴨公
(
かもこう
)
、
138
偉
(
えら
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
るぞ。
139
曲神
(
まがかみ
)
といふ
奴
(
やつ
)
はエライものだ。
140
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
ちやん
と
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
やがる』
141
鴨公
(
かもこう
)
『どんなことを
云
(
い
)
つて
居
(
を
)
るのだ。
142
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
かして
呉
(
く
)
れ』
143
勝公
(
かつこう
)
『
聞
(
き
)
かすも
聞
(
き
)
かさぬもあつたものかい。
144
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
の
奴
(
やつ
)
が
尖
(
とが
)
つた
嘴
(
くちばし
)
をしやがつて、
145
羽
(
はね
)
をパアと
拡
(
ひろ
)
げて、
146
カカカモヽヽ、
147
カモコカモコ、
148
イヤイヤ ヤツヤツ
八公
(
やつこう
)
カモカ、
149
八
(
や
)
ツ
下
(
さが
)
つて
腰
(
こし
)
が
空
(
から
)
だ。
150
カモト
八
(
やつ
)
とを
一緒
(
いつしよ
)
に
食
(
く
)
はうかククヽヽヽなんて、
151
ほざいて
居
(
ゐ
)
やがるのだ。
152
タツタ
今
(
いま
)
門
(
もん
)
がギーと
開
(
あ
)
いたが
最後
(
さいご
)
、
153
貴様
(
きさま
)
二人
(
ふたり
)
は
苦
(
く
)
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
、
154
頓生
(
とんしやう
)
菩提
(
ぼだい
)
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なりける
次第
(
しだい
)
なり』
155
鴨
(
かも
)
、
156
八
(
はち
)
『アンアンアンアン、
157
オンオンオンオン』
158
勝公
(
かつこう
)
『
男
(
をとこ
)
らしくない、
159
何
(
なに
)
を
吠
(
ほえ
)
るのだ。
160
見
(
み
)
つともないぞ』
161
鴨公
(
かもこう
)
『
天
(
てん
)
にも
地
(
ち
)
にもたつた
一
(
ひと
)
つの
御
(
お
)
命
(
いのち
)
、
162
定
(
さだ
)
めなき
世
(
よ
)
と
云
(
い
)
ひながら
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
で
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
られると
思
(
おも
)
へば
之
(
これ
)
が
泣
(
な
)
かずに
居
(
を
)
られようか、
163
泣
(
な
)
いて
明志
(
あかし
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
取
(
と
)
りつく
島
(
しま
)
がないワイヤイ。
164
アンアンアンアンアン』
165
八公
(
やつこう
)
『オーンオーンオーンオーンオーン』
166
勝公
(
かつこう
)
『アハヽヽヽヽ
嘘
(
うそ
)
だ
嘘
(
うそ
)
だ、
167
鰹節
(
かつをぶし
)
が
食
(
く
)
ひたいと
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだ。
168
鰹節
(
かつをぶし
)
は、
169
即
(
すなは
)
ち
所謂
(
いはゆる
)
、
170
取
(
と
)
りもなほさず、
171
ヘン
此
(
この
)
勝
(
かつ
)
さんだ。
172
淡雪
(
あはゆき
)
の
様
(
やう
)
な
肌
(
はだ
)
でお
月様
(
つきさま
)
の
様
(
やう
)
な
眉
(
まゆ
)
で
緑
(
みどり
)
の
滴
(
したた
)
る
様
(
やう
)
な
目
(
め
)
でオチヨボ
口
(
ぐち
)
で
此
(
この
)
勝
(
かつ
)
さまを
食
(
く
)
ひたいと
仰有
(
おつしや
)
るんだい、
173
イヤもう
時節
(
じせつ
)
は
待
(
ま
)
たねばならぬものだ。
174
烏
(
からす
)
の
嫁
(
よめ
)
に
孔雀姫
(
くじやくひめ
)
だ、
175
アハヽヽヽ』
176
鴨公
(
かもこう
)
『
勝公
(
かつこう
)
の
奴
(
やつ
)
、
177
人
(
ひと
)
の
胆玉
(
きもたま
)
をデングリ
廻
(
まは
)
しやがつた。
178
よう
悪戯
(
いたづら
)
をする
奴
(
やつ
)
だ』
179
勝公
(
かつこう
)
『
俺
(
おれ
)
の
言霊
(
ことたま
)
は
偉
(
えら
)
いものだらう、
180
悉
(
ことごと
)
く
玉
(
たま
)
の
宿換
(
やどが
)
へをさす
天下
(
てんか
)
無比
(
むひ
)
の
言霊
(
ことたま
)
だよ』
181
時公
(
ときこう
)
『ドレ
俺
(
おれ
)
が
一
(
ひと
)
ツ
聞
(
き
)
いてやらう』
182
と
又
(
また
)
もや
門口
(
かどぐち
)
の
節穴
(
ふしあな
)
に
耳
(
みみ
)
を
当
(
あ
)
てた。
183
時公
(
ときこう
)
『ヤアこいつは
素的
(
すてき
)
だ。
184
鶯
(
うぐひす
)
の
様
(
やう
)
な
ハンナリ
とした
涼
(
すず
)
しさうな、
185
乱
(
みだ
)
れ
髪
(
がみ
)
ではないが、
186
云
(
い
)
ふに
云
(
い
)
はれぬ、
187
とくに
解
(
と
)
かれぬ
門内
(
もんない
)
の
光景
(
くわうけい
)
、
188
成
(
な
)
る
程
(
ほど
)
これでは
此
(
この
)
門前
(
もんぜん
)
を
通
(
とほ
)
つた
奴
(
やつ
)
は、
189
知
(
し
)
らず
識
(
し
)
らずに
酔
(
よ
)
はされて
吸
(
す
)
ひ
付
(
つ
)
けられるのは
当然
(
あたりまへ
)
だ』
190
(
大正一一・三・一
旧二・三
藤津久子
録)
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