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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第11巻(戌の巻)
言霊反
凡例
信天翁(二)
総説歌
第1篇 長駆進撃
第1章 クス野ケ原
第2章 一目お化
第3章 死生観
第4章 梅の花
第5章 大風呂敷
第6章 奇の都
第7章 露の宿
第2篇 意気揚々
第8章 明志丸
第9章 虎猫
第10章 立聞
第11章 表教
第12章 松と梅
第13章 転腹
第14章 鏡丸
第3篇 言霊解
第15章 大気津姫の段(一)
第16章 大気津姫の段(二)
第17章 大気津姫の段(三)
第4篇 満目荒寥
第18章 琵琶の湖
第19章 汐干丸
第20章 醜の窟
第21章 俄改心
第22章 征矢の雨
第23章 保食神
第5篇 乾坤清明
第24章 顕国宮
第25章 巫の舞
第26章 橘の舞
第27章 太玉松
第28章 二夫婦
第29章 千秋楽
余白歌
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霊界物語
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霊主体従(第1~12巻)
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第11巻(戌の巻)
> 第5篇 乾坤清明 > 第29章 千秋楽
<<< 二夫婦
(B)
(N)
余白歌 >>>
第二九章
千秋楽
(
せんしうらく
)
〔四九六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
篇:
第5篇 乾坤清明
よみ(新仮名遣い):
けんこんせいめい
章:
第29章 千秋楽
よみ(新仮名遣い):
せんしゅうらく
通し章番号:
496
口述日:
1922(大正11)年03月04日(旧02月06日)
口述場所:
筆録者:
松村仙造
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年9月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
石凝姥神は、これまでの旅路を歌に歌い、めでたい結末に終わった結婚式への祝歌を歌った。
鉄谷村の時公は、時置師神の化身であった(後の杢助)。時置師神は、立って祝いの歌を歌った。歌も踊りも滑稽な様に、一同は笑い転げた。
続いて秋月姫、深雪姫、橘姫も再度祝歌を歌った。
時公は八公、鴨公にも歌を所望した。八公、鴨公は滑稽な祝歌を歌って場をにぎわした。コーカス山の婚礼は、ここにめでたく千秋楽を迎えることになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-08-11 19:59:28
OBC :
rm1129
愛善世界社版:
275頁
八幡書店版:
第2輯 611頁
修補版:
校定版:
282頁
普及版:
115頁
初版:
ページ備考:
001
顕国玉
(
うつしくにたま
)
の
宮
(
みや
)
の
祭典
(
さいてん
)
は、
002
恙
(
つつが
)
なく
神霊
(
しんれい
)
鎮座
(
ちんざ
)
せられ、
003
次
(
つい
)
で
男女
(
だんぢよ
)
三組
(
みくみ
)
の
結婚式
(
けつこんしき
)
は
行
(
おこな
)
はれた。
004
石凝姥
(
いしこりどめの
)
神
(
かみ
)
は
此
(
この
)
祭典
(
さいてん
)
慶事
(
けいじ
)
を
祝
(
しゆく
)
すべく
立
(
た
)
つて
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
005
石凝姥
(
いしこりどめの
)
神
(
かみ
)
『
東雲
(
しののめ
)
の
空
(
そら
)
別
(
わけ
)
昇
(
のぼ
)
る
朝日子
(
あさひこ
)
の
006
光
(
ひかり
)
眩
(
まば
)
ゆき
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
007
西
(
にし
)
北
(
きた
)
南
(
みなみ
)
東彦
(
あづまひこ
)
008
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
009
黄金山
(
わうごんざん
)
を
立出
(
たちい
)
でて
010
栗毛
(
くりげ
)
の
駒
(
こま
)
にウチの
河
(
かは
)
011
鞭
(
むちう
)
ち
渡
(
わた
)
る
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
012
クス
野ケ原
(
のがはら
)
や
明志湖
(
あかしうみ
)
013
雪
(
ゆき
)
積
(
つ
)
む
野辺
(
のべ
)
を
踏
(
ふ
)
みさくみ
014
言霊
(
ことたま
)
清
(
きよ
)
き
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
015
渡
(
わた
)
りて
此処
(
ここ
)
に
梅ケ香
(
うめがか
)
の
016
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
や
説明可笑
(
ときをかし
)
017
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
018
雲
(
くも
)
に
抜
(
ぬ
)
き
出
(
で
)
たコーカスの
019
山
(
やま
)
の
砦
(
とりで
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
020
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
と
現
(
あ
)
れませる
021
喰物
(
をしもの
)
着物
(
きもの
)
住
(
す
)
む
家
(
いへ
)
に
022
奢
(
おご
)
り
極
(
きは
)
めし
此
(
この
)
深山
(
みやま
)
023
ウラルの
姫
(
ひめ
)
に
服従
(
まつろ
)
ひし
024
百
(
もも
)
の
八王
(
やつこす
)
ヒツコスや
025
酒
(
くす
)
の
神
(
かみ
)
まで
寄
(
よ
)
り
集
(
つど
)
ひ
026
顕
(
うつし
)
の
国
(
くに
)
の
宮
(
みや
)
の
前
(
まへ
)
027
三柱神
(
みはしらがみ
)
を
斎
(
いは
)
ひつつ
028
饗宴
(
うたげ
)
の
酒
(
さけ
)
に
酔痴
(
ゑひし
)
れて
029
節
(
ふし
)
も
乱
(
みだ
)
れし
酒歌
(
さかうた
)
を
030
唄
(
うた
)
ひ
狂
(
くる
)
へる
折柄
(
をりから
)
に
031
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
032
天之
(
あめの
)
児屋根
(
こやね
)
や
太玉
(
ふとたま
)
の
033
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
を
始
(
はじ
)
めとし
034
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
や
目一箇
(
まひとつ
)
の
035
神
(
かみ
)
諸共
(
もろとも
)
に
宮
(
みや
)
の
前
(
まへ
)
036
来
(
きた
)
りて
詔
(
の
)
れる
言霊
(
ことたま
)
に
037
ウラルの
姫
(
ひめ
)
は
雲
(
くも
)
霞
(
かすみ
)
038
後
(
あと
)
を
暗
(
くら
)
ましアーメニヤ
039
大空
(
おほぞら
)
高
(
たか
)
く
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
040
此処
(
ここ
)
に
再
(
ふたた
)
び
大宮
(
おほみや
)
の
041
庭
(
には
)
を
清
(
きよ
)
めて
厳
(
おごそ
)
かに
042
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
祭典
(
まつりごと
)
043
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
太祝詞
(
ふとのりと
)
044
称
(
たた
)
へ
奉
(
まつ
)
りて
頼母
(
たのも
)
しく
045
直会
(
なほらひ
)
神酒
(
みき
)
に
村肝
(
むらきも
)
の
046
心
(
こころ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
清
(
きよ
)
めつつ
047
歓
(
よろこ
)
び
尽
(
つく
)
す
折柄
(
をりから
)
に
048
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
049
許
(
ゆる
)
しの
儘
(
まま
)
に
松竹
(
まつたけ
)
の
050
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
おん
)
慶事
(
けいじ
)
051
天之
(
あめの
)
児屋根
(
こやね
)
や
太玉
(
ふとたま
)
や
052
天之
(
あめの
)
目一箇
(
まひとつ
)
神司
(
かむづかさ
)
053
永遠
(
とは
)
に
結
(
むす
)
びし
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
054
珍
(
うづ
)
の
御儀式
(
みのり
)
ぞ
畏
(
かしこ
)
けれ
055
アヽ
三夫婦
(
みめをと
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
よ
056
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みをコーカスの
057
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
く
琵琶
(
びは
)
明志
(
あかし
)
058
湖
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
より
猶
(
なほ
)
深
(
ふか
)
く
059
授
(
さづ
)
かりまして
幾千代
(
いくちよ
)
も
060
色
(
いろ
)
は
褪
(
あ
)
せざれ
万代
(
よろづよ
)
も
061
色
(
いろ
)
はさめざれ
押並
(
おしな
)
べて
062
五六七
(
みろく
)
の
御代
(
みよ
)
の
楽
(
たの
)
しさを
063
三夫婦
(
みめをと
)
共
(
とも
)
に
松代姫
(
まつよひめ
)
064
心
(
こころ
)
も
開
(
ひら
)
く
梅ケ香
(
うめがか
)
の
065
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
や
世
(
よ
)
に
猛
(
たけ
)
き
066
曲
(
まが
)
言向
(
ことむ
)
けし
竹野姫
(
たけのひめ
)
067
北光
(
きたてる
)
神
(
かみ
)
や
高彦
(
たかひこ
)
の
068
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
を
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
069
四方
(
よも
)
に
広道別
(
ひろみちわけ
)
の
神
(
かみ
)
070
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
包
(
つつ
)
む
烏羽玉
(
うばたま
)
の
071
雲霧
(
くもきり
)
四方
(
よも
)
に
掻分
(
かきわ
)
けて
072
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
中津国
(
なかつくに
)
073
海
(
うみ
)
の
内外
(
うちと
)
に
弘
(
ひろ
)
めかし
074
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
075
須弥仙
(
しゆみせん
)
山
(
ざん
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
け
076
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
守
(
まも
)
り
給
(
たま
)
ふごと
077
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
の
手綱
(
たづな
)
執
(
と
)
り
078
神
(
かみ
)
の
御教
(
みのり
)
を
過
(
あやま
)
たず
079
安
(
やす
)
の
河原
(
かはら
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
080
流
(
なが
)
れて
清
(
きよ
)
き
玉
(
たま
)
の
湖
(
うみ
)
081
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
父母
(
たらちね
)
の
082
恵
(
めぐ
)
みに
勝
(
まさ
)
る
神
(
かみ
)
の
恩
(
おん
)
083
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
き
神
(
かみ
)
の
稜威
(
いづ
)
084
コーカス
山
(
ざん
)
はまだ
愚
(
おろか
)
085
天教
(
てんけう
)
地教
(
ちけう
)
の
山
(
やま
)
よりも
086
功績
(
いさを
)
を
高
(
たか
)
く
現
(
あら
)
はして
087
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
の
太柱
(
ふとばしら
)
088
千木高
(
ちぎたか
)
知
(
し
)
りて
仕
(
つか
)
へませ
089
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
る
光
(
ひか
)
る
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
090
みづの
身魂
(
みたま
)
の
三巴
(
みつどもゑ
)
091
甍
(
いらか
)
も
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
る
如
(
ごと
)
く
092
遠
(
とほ
)
き
近
(
ちか
)
きの
国原
(
くにばら
)
を
093
救
(
すく
)
うて
通
(
とほ
)
れ
汝
(
な
)
が
命
(
みこと
)
094
我
(
わ
)
れは
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
神
(
かみ
)
095
堅磐
(
かきは
)
常盤
(
ときは
)
に
村肝
(
むらきも
)
の
096
心
(
こころ
)
固
(
かた
)
めて
皇神
(
すめかみ
)
の
097
御稜威
(
みいづ
)
を
広
(
ひろ
)
く
増鏡
(
ますかがみ
)
098
鏡
(
かがみ
)
の
面
(
おも
)
を
見
(
み
)
はるかし
099
三人
(
みたり
)
夫婦
(
めをと
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
を
100
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
へ
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
101
心
(
こころ
)
尽
(
つく
)
しの
有丈
(
ありたけ
)
を
102
傾
(
かたむ
)
け
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
103
百代
(
ももよ
)
も
千代
(
ちよ
)
も
万代
(
よろづよ
)
も
104
松
(
まつ
)
の
操
(
みさを
)
の
色
(
いろ
)
褪
(
あ
)
せず
105
枯
(
か
)
れて
松葉
(
まつば
)
の
二人
(
ふたり
)
連
(
づれ
)
106
力
(
ちから
)
をあはせ
村肝
(
むらきも
)
の
107
心
(
こころ
)
を
神
(
かみ
)
に
任
(
まか
)
せつつ
108
仮令
(
たとへ
)
山川
(
やまかは
)
どよむとも
109
天津
(
あまつ
)
国土
(
くにつち
)
揺
(
ゆら
)
ぐとも
110
青山
(
あをやま
)
萎
(
しを
)
れ
海河
(
うみかは
)
は
111
涸
(
か
)
れ
干
(
ほ
)
す
事
(
こと
)
のあるとても
112
永遠
(
とは
)
に
変
(
かは
)
るな
妹
(
いも
)
と
脊
(
せ
)
の
113
産霊
(
むすび
)
の
道
(
みち
)
の
何時
(
いつ
)
までも
114
鴛鴦
(
をし
)
の
契
(
ちぎり
)
の
何処
(
どこ
)
までも
115
百年
(
ももとせ
)
千年
(
ちとせ
)
万歳
(
よろづとせ
)
116
万
(
よろづ
)
の
花
(
はな
)
に
魁
(
さきが
)
けて
117
薫
(
かを
)
る
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
の
如
(
ごと
)
118
色香
(
いろか
)
ゆかしく
語
(
かた
)
りませ
119
色香
(
いろか
)
ゆかしく
渡
(
わた
)
りませ
120
恋
(
こひ
)
しき
妻
(
つま
)
に
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
かれ
121
黄金
(
こがね
)
の
橋
(
はし
)
を
渡会
(
わたらひ
)
の
122
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
姉妹
(
おとどひ
)
が
123
揃
(
そろ
)
ひも
揃
(
そろ
)
ふ
今日
(
けふ
)
の
宵
(
よひ
)
124
宵
(
よひ
)
に
結
(
むすび
)
し
喜悦
(
よろこび
)
は
125
神
(
かみ
)
の
守護
(
まもり
)
の
弥
(
いや
)
深
(
ふか
)
き
126
千尋
(
ちひろ
)
の
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
までも
127
届
(
とど
)
かざらめや
何処
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
128
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
尊
(
たふと
)
けれ
129
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
尊
(
たふと
)
けれ』
130
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
つて
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
に
就
(
つ
)
きぬ。
131
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
と
現
(
あらは
)
れたる
鉄谷村
(
かなたにむら
)
の
時公
(
ときこう
)
[
※
後の杢助。第26巻第8章参照
]
は、
132
又
(
また
)
もや
立
(
た
)
つて
祝
(
いは
)
ひの
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
み
始
(
はじ
)
めたり。
133
その
歌
(
うた
)
、
134
時公
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
135
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
三柱
(
みはしら
)
は
136
花
(
はな
)
の
春
(
はる
)
をば
仇
(
あだ
)
に
越
(
こ
)
え
137
夏
(
なつ
)
の
真中
(
まなか
)
となりし
身
(
み
)
の
138
花
(
はな
)
は
散
(
ち
)
れども
遅桜
(
おそざくら
)
139
山
(
やま
)
は
青々
(
あをあを
)
葉桜
(
はざくら
)
の
140
いよいよ
開
(
ひら
)
く
返
(
かへ
)
り
咲
(
ざき
)
141
三五教
(
あななひけう
)
と
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
142
縁
(
えん
)
の
遅
(
おそ
)
いは
当然
(
あたりまへ
)
143
嫁
(
とつ
)
ぎの
道
(
みち
)
は
何時迄
(
いつまで
)
も
144
なさらぬ
方
(
かた
)
と
思
(
おも
)
て
居
(
ゐ
)
た
145
人
(
ひと
)
は
見
(
み
)
かけに
依
(
よ
)
らぬもの
146
色
(
いろ
)
よき
夫
(
をつと
)
を
松代姫
(
まつよひめ
)
147
永
(
なが
)
き
月日
(
つきひ
)
の
浮節
(
うきふし
)
に
148
待
(
ま
)
ちに
待
(
ま
)
つたる
縁
(
えん
)
の
糸
(
いと
)
149
今日
(
けふ
)
は
愈
(
いよいよ
)
結
(
むす
)
び
昆布
(
こぶ
)
150
摘
(
つま
)
み
肴
(
さかな
)
の
切
(
きり
)
鯣
(
するめ
)
151
名
(
な
)
さへ
粋
(
すゐ
)
なる
梅ケ香
(
うめがか
)
の
152
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
肝玉
(
きもだま
)
は
153
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれ
高彦
(
たかひこ
)
の
154
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
妻
(
つま
)
となり
155
いよいよ
三人
(
みたり
)
の
姉妹
(
おとどひ
)
は
156
神
(
かみ
)
に
貰
(
もら
)
うた
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れ
157
水
(
みづ
)
も
漏
(
もら
)
さぬ
蒸衾
(
むしぶすま
)
158
小夜具
(
さよぐ
)
が
下
(
した
)
にたくづぬの
159
白
(
しろ
)
きただむき
玉
(
たま
)
の
手
(
て
)
を
160
互
(
たがひ
)
に
抱
(
いだ
)
きさし
巻
(
ま
)
きて
161
いをしましませ
腿長
(
ももなが
)
に
162
豊
(
とよ
)
の
神酒
(
みき
)
をばきこし
召
(
め
)
し
163
いよいよ
今日
(
けふ
)
から
二柱
(
ふたはしら
)
164
神
(
かみ
)
の
祝
(
いはひ
)
の
餅
(
もち
)
搗
(
つ
)
いて
165
子餅
(
こもち
)
もたんと
拵
(
こしら
)
へて
166
天
(
あま
)
つ
国土
(
くにつち
)
轟
(
とどろ
)
かし
167
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
星
(
ほし
)
の
如
(
ごと
)
168
浜
(
はま
)
の
真砂
(
まさご
)
の
数
(
かず
)
多
(
おほ
)
く
169
青人草
(
あをひとぐさ
)
の
種
(
たね
)
をまけ
170
三夫婦
(
みめをと
)
揃
(
そろ
)
うた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
171
東雲別
(
しののめわけ
)
の
東彦
(
あづまひこ
)
172
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
173
時公
(
ときこう
)
さまや
八彦
(
やつひこ
)
や
174
鴨彦
(
かもひこ
)
さまの
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
175
峠
(
たうげ
)
の
下
(
した
)
の
小僧
(
こぞう
)
の
様
(
よ
)
に
176
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
りの
客人
(
きやくびと
)
の
177
姿
(
すがた
)
眺
(
なが
)
めて
指
(
ゆび
)
噛
(
か
)
むで
178
蜥蜴
(
とかげ
)
の
様
(
やう
)
な
面
(
つら
)
をして
179
恨
(
うら
)
めし
相
(
さう
)
に
眺
(
なが
)
めいる
180
ホンに
芽出
(
めで
)
たいお
目出度
(
めでた
)
い
181
心
(
こころ
)
をかがみの
時
(
とき
)
さまは
182
鏡餅
(
かがみもち
)
ではなけれども
183
滅多
(
めつた
)
に
妬
(
や
)
きはせぬ
程
(
ほど
)
に
184
必
(
かなら
)
ず
案
(
あん
)
じて
下
(
くだ
)
さるな
185
牛
(
うし
)
は
牛
(
うし
)
連
(
づ
)
れ
馬
(
うま
)
は
馬
(
うま
)
186
八公
(
やつこう
)
は
八公
(
やつこう
)
鴨
(
かも
)
は
鴨
(
かも
)
187
八
(
や
)
つの
足
(
あし
)
をばさし
巻
(
ま
)
いて
188
キウと
吸
(
す
)
いつく
蛸坊主
(
たこばうず
)
189
チンチン
鴨
(
かも
)
の
神楽舞
(
かぐらまひ
)
190
上
(
うへ
)
を
下
(
した
)
へと
戦
(
いくさ
)
して
191
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
ふる
時
(
とき
)
も
来
(
く
)
る
192
アヽ
三柱
(
みはしら
)
の
夫婦神
(
めをとがみ
)
193
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
石
(
いし
)
の
如
(
ごと
)
194
堅
(
かた
)
く
誓
(
ちか
)
ひて
離
(
はな
)
れざれ
195
時公
(
ときこう
)
八公
(
やつこう
)
鴨公
(
かもこう
)
の
196
真心
(
まごころ
)
籠
(
こ
)
めて
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
197
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る
198
偏
(
ひとへ
)
に
祈
(
いの
)
り
奉
(
たてまつ
)
る』
199
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り、
200
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
201
時公
『アツハヽヽヽヽ』
202
と
笑
(
わら
)
ひ
転
(
こ
)
ける。
203
一同
(
いちどう
)
は
時置師
(
ときおかしの
)
神
(
かみ
)
の
手
(
て
)
つき
身振
(
みぶり
)
の
可笑
(
をか
)
しさに、
204
天地
(
てんち
)
も
揺
(
ゆる
)
ぐ
許
(
ばか
)
り
笑
(
わら
)
ひ
崩
(
くづ
)
れけり。
205
秋月姫
(
あきづきひめ
)
はスツクと
立
(
た
)
つて、
206
長袖
(
ちやうしう
)
しとやかに
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
舞
(
ま
)
ふ。
207
秋月姫
『
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
とに
三五
(
あななひ
)
の
208
道
(
みち
)
を
教
(
をし
)
ふる
宣伝使
(
せんでんし
)
209
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
る
210
秋月姫
(
あきづきひめ
)
の
空
(
そら
)
清
(
きよ
)
く
211
今日
(
けふ
)
の
喜
(
よろこ
)
び
幾千代
(
いくちよ
)
も
212
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
何時
(
いつ
)
までも
213
心
(
こころ
)
に
掛
(
か
)
けて
忘
(
わす
)
れまじ
214
松
(
まつ
)
は
千歳
(
ちとせ
)
の
色
(
いろ
)
深
(
ふか
)
く
215
竹
(
たけ
)
の
姿
(
すがた
)
の
末
(
すゑ
)
永
(
なが
)
く
216
梅
(
うめ
)
の
莟
(
つぼみ
)
の
香
(
かんば
)
しく
217
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
神
(
かみ
)
の
舞
(
まひ
)
218
鶴
(
つる
)
は
千歳
(
ちとせ
)
と
舞納
(
まひをさ
)
め
219
亀
(
かめ
)
は
万代
(
よろづよ
)
歌
(
うた
)
ふなり
220
千歳
(
ちとせ
)
の
鶴
(
つる
)
や
万代
(
よろづよ
)
の
221
亀
(
かめ
)
の
齢
(
よはひ
)
を
保
(
たも
)
ちつつ
222
天地
(
てんち
)
と
共
(
とも
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
223
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
限
(
かぎ
)
りなく
224
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
続
(
つづ
)
く
其
(
その
)
限
(
かぎ
)
り
225
夫婦
(
めをと
)
の
中
(
なか
)
は
睦
(
むつま
)
じく
226
心
(
こころ
)
を
協
(
あは
)
せ
神国
(
かみくに
)
に
227
尽
(
つく
)
させ
給
(
たま
)
へや
三柱
(
みはしら
)
の
228
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
夫婦
(
めをと
)
連
(
づれ
)
229
秋月姫
(
あきづきひめ
)
のいと
円
(
まる
)
く
230
家
(
いへ
)
も
治
(
をさ
)
まり
身
(
み
)
も
魂
(
たま
)
も
231
治
(
をさ
)
まり
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
り
232
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
を
受継
(
うけつ
)
ぎて
233
御子
(
みこ
)
沢々
(
さはさは
)
に
生
(
う
)
みなして
234
神
(
かみ
)
の
柱
(
はしら
)
を
経緯
(
たてよこ
)
の
235
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
の
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
236
宣
(
の
)
るも
涼
(
すず
)
しき
神嘉言
(
かむよごと
)
237
三柱
(
みはしら
)
神
(
かみ
)
の
大前
(
おほまへ
)
に
238
君
(
きみ
)
が
千歳
(
ちとせ
)
を
寿
(
ほ
)
ぎまつる
239
君
(
きみ
)
が
千
(
ち
)
とせを
寿
(
ほ
)
ぎまつる』
240
と
歌
(
うた
)
つて
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
に
就
(
つ
)
きぬ。
241
深雪姫
(
みゆきひめ
)
は
又
(
また
)
もや
立上
(
たちあが
)
り
長袖
(
ちやうしう
)
しとやかに
歌
(
うた
)
ひ
舞
(
ま
)
ふ。
242
深雪姫
『
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
三
(
み
)
つ
身魂
(
みたま
)
243
棟
(
むね
)
に
輝
(
かがや
)
く
三
(
み
)
つ
巴
(
どもゑ
)
244
三夫婦
(
みめをと
)
揃
(
そろ
)
ふ
今日
(
けふ
)
の
宵
(
よひ
)
245
見
(
み
)
ても
見飽
(
みあ
)
かぬ
妖艶姿
(
あだすがた
)
246
三葉
(
みつば
)
の
彦
(
ひこ
)
の
又
(
また
)
の
御名
(
みな
)
247
天
(
あめ
)
の
太玉
(
ふとたま
)
神司
(
かむづかさ
)
248
青雲別
(
あをくもわけ
)
の
高彦
(
たかひこ
)
が
249
天之
(
あめの
)
児屋根
(
こやね
)
と
現
(
あら
)
はれて
250
白雲
(
しらくも
)
別
(
わ
)
けて
北光
(
きたてる
)
の
251
天
(
あめ
)
の
目一箇
(
まひとつ
)
神司
(
かむづかさ
)
252
鴛鴦
(
をし
)
の
契
(
ちぎり
)
を
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
253
結
(
むすび
)
の
莚
(
むしろ
)
深雪姫
(
みゆきひめ
)
254
夫婦
(
めをと
)
の
仲
(
なか
)
も
睦
(
むつま
)
じく
255
互
(
たがひ
)
に
心
(
こころ
)
を
相生
(
あひおひ
)
の
256
松
(
まつ
)
も
深雪
(
みゆき
)
の
友白髪
(
ともしらが
)
257
尉
(
じやう
)
と
姥
(
うば
)
との
末
(
すゑ
)
永
(
なが
)
く
258
高砂島
(
たかさごじま
)
にあらねども
259
御稜威
(
みいづ
)
も
高
(
たか
)
きコーカスの
260
山
(
やま
)
に
鎮
(
しづ
)
まる
三柱
(
みはしら
)
の
261
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
262
契
(
ちぎり
)
を
結
(
むす
)
ぶ
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
263
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
幸
(
さち
)
はひて
264
撞
(
つき
)
の
御柱
(
みはしら
)
右
(
みぎ
)
左
(
ひだり
)
265
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
ひつつ
愛男
(
えーをのこ
)
266
愛女
(
えーをみな
)
よと
宣
(
の
)
らせつつ
267
鶺鴒
(
ほとり
)
の
教
(
をしへ
)
畏
(
かしこ
)
みて
268
学
(
まな
)
ばせ
給
(
たま
)
ふゆかしさよ
269
芽出度
(
めでたく
)
儀式
(
のり
)
を
深雪姫
(
みゆきひめ
)
270
黄金
(
わうごん
)
世界
(
せかい
)
銀世界
(
ぎんせかい
)
271
月日
(
つきひ
)
は
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
亘
(
わた
)
る
272
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
を
身
(
み
)
に
浴
(
あ
)
びて
273
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
栄
(
さか
)
えませ
274
幾千代
(
いくちよ
)
までも
松竹
(
まつたけ
)
の
275
色香
(
いろか
)
も
褪
(
あ
)
せず
咲匂
(
さきにほ
)
ふ
276
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
のあだ
姿
(
すがた
)
277
月
(
つき
)
の
鏡
(
かがみ
)
に
美
(
うる
)
はしく
278
尊
(
たふと
)
き
御子
(
みこ
)
を
望月
(
もちづき
)
の
279
百千万
(
ももちよろづ
)
に
生
(
う
)
みなして
280
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
の
神業
(
かむわざ
)
に
281
仕
(
つか
)
へましませ
三柱
(
みはしら
)
の
282
妹背
(
いもせ
)
の
仲
(
なか
)
は
吉野川
(
よしのがは
)
283
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
きみづ
身魂
(
みたま
)
284
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
285
恵
(
めぐ
)
みの
露
(
つゆ
)
にうるほひて
286
色
(
いろ
)
も
褪
(
あ
)
せざれ
変
(
かは
)
らざれ
287
たとへ
天地
(
てんち
)
は
変
(
かは
)
るとも
288
夫婦
(
めをと
)
の
仲
(
なか
)
は
何時迄
(
いつまで
)
も
289
弥
(
いや
)
次々
(
つぎつぎ
)
に
栂
(
つが
)
の
木
(
き
)
の
290
孫子
(
まごこ
)
の
世
(
よ
)
迄
(
まで
)
栄
(
さか
)
えませ
291
孫子
(
まごこ
)
の
世
(
よ
)
迄
(
まで
)
栄
(
さか
)
えませ
292
深雪
(
みゆき
)
の
姫
(
ひめ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
293
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
捧
(
ささ
)
げつつ
294
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
を
295
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
寿
(
ほ
)
ぎまつる
296
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
祝
(
ほ
)
ぎまつる』
297
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
に
就
(
つ
)
く。
298
橘姫
(
たちばなひめ
)
は
又
(
また
)
もや
立上
(
たちあが
)
り、
299
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
祝歌
(
しゆくか
)
を
歌
(
うた
)
ふ。
300
其
(
そ
)
の
歌
(
うた
)
、
301
橘姫
『
秋月姫
(
あきづきひめ
)
の
空
(
そら
)
晴
(
は
)
れて
302
深雪
(
みゆき
)
も
積
(
つも
)
る
銀世界
(
ぎんせかい
)
303
春山彦
(
はるやまひこ
)
の
珍
(
うづ
)
の
子
(
こ
)
と
304
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
姉妹
(
おとどひ
)
は
305
恋
(
こひ
)
しき
父
(
ちち
)
の
館
(
やかた
)
をば
306
橘姫
(
たちばなひめ
)
の
姉妹
(
おとどひ
)
が
307
三五教
(
あななひけう
)
を
開
(
ひら
)
かむと
308
神
(
かみ
)
のまにまに
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
309
雪
(
ゆき
)
積
(
つ
)
む
野辺
(
のべ
)
を
右左
(
みぎひだり
)
310
寒
(
さむ
)
けき
風
(
かぜ
)
に
梳
(
くしけづ
)
り
311
山河
(
やまかは
)
越
(
こ
)
えてコーカスの
312
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
313
橘姫
(
たちばなひめ
)
の
喜
(
よろこ
)
びは
314
色
(
いろ
)
も
目出度
(
めでた
)
き
松代姫
(
まつよひめ
)
315
薫
(
かをり
)
ゆかしき
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
の
316
貴
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
や
竹野姫
(
たけのひめ
)
317
神
(
かみ
)
の
詔勅
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
318
人目
(
ひとめ
)
の
関
(
せき
)
の
隔
(
へだ
)
てなく
319
妹背
(
いもせ
)
の
契
(
ちぎり
)
結
(
むす
)
びます
320
芽出度
(
めでた
)
き
今日
(
けふ
)
の
新莚
(
にひむしろ
)
321
神酒
(
みき
)
は
甕
(
みか
)
の
瓶
(
へ
)
高
(
たか
)
しりて
322
饗宴
(
うたげ
)
の
蓆
(
むしろ
)
賑
(
にぎは
)
しく
323
夜
(
よ
)
は
更
(
ふ
)
けわたる
戌
(
いぬ
)
の
刻
(
こく
)
324
亥
(
ゐ
)
の
刻
(
こく
)
過
(
すぎ
)
て
腿長
(
ももなが
)
に
325
各
(
おの
)
も
各
(
おの
)
もの
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
や
326
丑寅神
(
うしとらがみ
)
の
御
(
おん
)
守護
(
まもり
)
327
嬉
(
うれ
)
し
嬉
(
うれ
)
しの
花
(
はな
)
も
咲
(
さ
)
く
328
心
(
こころ
)
の
卯
(
う
)
さも
辰
(
たつ
)
の
刻
(
こく
)
329
巳
(
み
)
ぢかき
春
(
はる
)
の
夢
(
ゆめ
)
醒
(
さ
)
めて
330
午
(
うま
)
く
納
(
をさ
)
まる
此
(
この
)
縁
(
えにし
)
331
瑞
(
みづ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
未申
(
ひつじさる
)
332
互
(
たがひ
)
に
盃
(
さかづき
)
取
(
と
)
り
交
(
か
)
はし
333
悪魔
(
あくま
)
もいぬや
亥
(
ゐ
)
の
時刻
(
じこく
)
334
夜半
(
よは
)
の
嵐
(
あらし
)
も
収
(
をさ
)
まりて
335
宿世
(
すぐせ
)
行末
(
ゆくすゑ
)
物語
(
ものがた
)
り
336
睦
(
むつ
)
ばせ
給
(
たま
)
ふ
間
(
ま
)
もあらず
337
青垣山
(
あをがきやま
)
に
鳴
(
な
)
く
烏
(
からす
)
338
雉子
(
きぎす
)
は
動
(
ど
)
よむ
鶏
(
かけ
)
は
鳴
(
な
)
く
339
雉子
(
きぎす
)
どよむな
鶏
(
かけ
)
鳴
(
な
)
くな
340
今朝
(
けさ
)
は
烏
(
からす
)
も
唖
(
をし
)
となれ
341
鴛鴦
(
をし
)
の
衾
(
しとね
)
の
楽
(
たの
)
し
夜
(
よ
)
を
342
遮
(
さへぎ
)
る
勿
(
なか
)
れ
今日
(
けふ
)
の
朝
(
あさ
)
343
東
(
ひがし
)
の
山
(
やま
)
に
日
(
ひ
)
は
昇
(
のぼ
)
り
344
昼
(
ひる
)
より
明
(
あ
)
かくなるとても
345
今日
(
けふ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
は
烏羽玉
(
うばたま
)
の
346
闇
(
やみ
)
にてあれや
暗
(
やみ
)
となれ
347
暗
(
やみ
)
の
岩戸
(
いはと
)
を
押開
(
おしひら
)
き
348
互
(
たがひ
)
に
含笑
(
ほほゑ
)
む
顔
(
かほ
)
と
顔
(
かほ
)
349
岩戸
(
いはと
)
の
前
(
まへ
)
に
橘
(
たちばな
)
の
350
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
太祝詞
(
ふとのりと
)
351
聞
(
きこ
)
ゆる
迄
(
まで
)
は
三柱
(
みはしら
)
の
352
神
(
かみ
)
も
眠
(
ねむり
)
を
覚
(
さ
)
まさまじ
353
明
(
あ
)
けて
悔
(
くや
)
しき
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
は
354
竜
(
たつ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
姫神
(
ひめがみ
)
の
355
御手
(
みて
)
より
受
(
うけ
)
し
玉手箱
(
たまてばこ
)
356
アヽ
恨
(
うら
)
めしや
浦島
(
うらしま
)
の
357
年
(
とし
)
も
取
(
と
)
らずに
何時
(
いつ
)
までも
358
若
(
わか
)
やぐ
胸
(
むね
)
をすだ
抱
(
だ
)
きて
359
夫婦
(
めをと
)
の
中
(
なか
)
は
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
360
真玉手
(
またまで
)
玉手
(
たまで
)
携
(
たづさ
)
へて
361
神
(
かみ
)
の
御業
(
みわざ
)
を
務
(
つと
)
めよや
362
結
(
むす
)
びの
神
(
かみ
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
363
金勝要
(
きんかつかね
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
364
山河
(
やまかは
)
動
(
ど
)
よみ
国土
(
くぬち
)
揺
(
ゆ
)
り
365
海
(
うみ
)
は
涸
(
か
)
れ
干
(
ほ
)
す
世
(
よ
)
ありとも
366
夫婦
(
めをと
)
の
中
(
なか
)
は
何時
(
いつ
)
までも
367
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
変
(
かは
)
らざれ
368
月日
(
つきひ
)
と
共
(
とも
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
369
栄
(
さか
)
えましませ
何時迄
(
いつまで
)
も
370
橘姫
(
たちばなひめ
)
が
真心
(
まごころ
)
を
371
こめて
御前
(
みまへ
)
に
鰭伏
(
ひれふ
)
しつ
372
畏
(
おそ
)
れ
慎
(
つつし
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
373
畏
(
おそ
)
れかしこみ
寿
(
ほ
)
ぎまつる』
374
と
歌
(
うた
)
つて
元
(
もと
)
の
座
(
ざ
)
に
就
(
つ
)
きぬ。
375
時公
(
ときこう
)
『サアサア、
376
芽出度
(
めでた
)
く
婚姻
(
こんいん
)
の
式
(
しき
)
も
済
(
す
)
み、
377
三夫婦
(
みふうふ
)
の
濃艶
(
のうえん
)
なる
宣詞
(
のりごと
)
も
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
つた。
378
加
(
くは
)
ふるに
月
(
つき
)
雪
(
ゆき
)
花
(
はな
)
の
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
祝
(
いは
)
ひの
詞
(
ことば
)
、
379
時
(
とき
)
さまも
一寸
(
ちよつと
)
仲間
(
なかま
)
入
(
い
)
りをさして
貰
(
もら
)
つた。
380
石凝姥
(
いしこりどめの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
祝歌
(
いはひうた
)
は
一寸
(
ちよつと
)
感心
(
かんしん
)
した。
381
サアサア
八
(
やつ
)
さま、
382
鴨
(
かも
)
さま、
383
神酒
(
おみき
)
ばつかり
頂
(
いただ
)
いて
居
(
ゐ
)
ても、
384
芸
(
げい
)
無
(
な
)
し
猿
(
さる
)
では
巾
(
はば
)
が
利
(
き
)
かない。
385
何
(
なん
)
でも
構
(
かま
)
はぬ、
386
芽出
(
めで
)
たい
事
(
こと
)
を
歌
(
うた
)
つたり
歌
(
うた
)
つたり』
387
八公
(
やつこう
)
『
時
(
とき
)
さま、
388
何
(
なん
)
でもええか』
389
時公
(
ときこう
)
『
芽出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
を
歌
(
うた
)
つたがよかろう』
390
八公
(
やつこう
)
『
笑
(
わら
)
うて
呉
(
く
)
れな、
391
わしの
歌
(
うた
)
は
拙劣
(
へた
)
だから』
392
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
393
ヌツと
立
(
た
)
つて
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
394
八公
(
やつこう
)
『
今日
(
けふ
)
は
如何
(
いか
)
なる
吉日
(
きちじつ
)
か
395
大気津
(
おほげつ
)
姫
(
ひめ
)
は
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
396
コーカス
山
(
ざん
)
の
貴
(
うづ
)
の
宮
(
みや
)
397
三柱神
(
みはしらがみ
)
のお
祭
(
まつり
)
に
398
みんな
揃
(
そろ
)
うて
酒
(
さけ
)
に
酔
(
ゑ
)
ひ
399
ヨイヨイヨイと
舞狂
(
まひくる
)
ふ
400
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
401
月雪花
(
つきゆきはな
)
の
乙女
(
をとめ
)
達
(
たち
)
402
北光
(
きたてる
)
神
(
かみ
)
や
高彦
(
たかひこ
)
や
403
心
(
こころ
)
の
太
(
ふと
)
い
太玉
(
ふとたま
)
の
404
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
がヒヨイと
来
(
き
)
て
405
夢
(
ゆめ
)
に
牡丹餅
(
ぼたもち
)
食
(
く
)
た
様
(
やう
)
に
406
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
407
女房
(
にようばう
)
に
持
(
も
)
つて
嬉
(
うれ
)
しかろ
408
この
八
(
やつ
)
さまも
嬉
(
うれ
)
しいぞ
409
ヤツトコドツコイ、ドツコイナ
410
それに
引替
(
ひきか
)
へ
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
411
石凝姥
(
いしこりどめ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
412
身体
(
からだ
)
の
大
(
おほ
)
きい
時
(
とき
)
さまは
413
ほつとけぼりを
喰
(
く
)
はされて
414
見
(
み
)
るも
憐
(
あは
)
れな
鰥鳥
(
やもめどり
)
415
とりつく
島
(
しま
)
もないじやくり
416
時
(
とき
)
さま
許
(
ばか
)
りか
八
(
やつ
)
さまも
417
鴨
(
かも
)
さままでが
指
(
ゆび
)
銜
(
くは
)
へ
418
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
して
淋
(
さび
)
しそに
419
こんな
馬鹿気
(
ばかげ
)
た
事
(
こと
)
はない
420
大勢
(
おほぜい
)
の
前
(
まへ
)
でてらされて
421
茹蛸
(
ゆでだこ
)
見
(
み
)
たよな
顔
(
かほ
)
をして
422
妬
(
や
)
きはせないが
日
(
ひ
)
に
焦
(
や
)
けた
423
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
してくすぶつて
424
勘定
(
かんぢやう
)
に
合
(
あ
)
はぬ
此
(
この
)
仕末
(
しまつ
)
425
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
ぢや
何時
(
いつ
)
か
又
(
また
)
426
綺麗
(
きれい
)
な
女房
(
にようばう
)
を
持
(
も
)
つてやる
427
其
(
その
)
ときや
皆
(
みな
)
さま
見
(
み
)
てお
呉
(
く
)
れ
428
小野
(
をの
)
の
小町
(
こまち
)
か
照手
(
てるて
)
の
姫
(
ひめ
)
か
429
天津
(
あまつ
)
乙女
(
おとめ
)
か
乙姫
(
をとひめ
)
さまが
430
跣
(
はだし
)
で
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
す
素的
(
すてき
)
な
奴
(
やつ
)
を
431
貰
(
もら
)
ふか
貰
(
もら
)
はぬかそら
知
(
し
)
らぬ
432
知
(
し
)
らぬが
仏
(
ほとけ
)
神心
(
かみごころ
)
433
何時
(
いつ
)
かはカミの
厄介
(
やくかい
)
に
434
なつて
喜
(
よろこ
)
ぶ
時
(
とき
)
も
来
(
く
)
る
435
オイ
時公
(
ときこう
)
よ
鴨公
(
かもこう
)
よ
436
俺
(
おれ
)
の
胸先
(
むねさき
)
トキトキと
437
何
(
なん
)
ぢや
知
(
し
)
らぬが
轟
(
とどろ
)
いた
438
足
(
あし
)
は
知
(
し
)
らぬに
鴨々
(
かもかも
)
と
439
震
(
ふる
)
ひあがつて
気
(
き
)
に
喰
(
く
)
はぬ
440
淡白
(
あつさり
)
焼
(
や
)
いた
蛤
(
はまぐり
)
の
441
美味
(
うま
)
い
汁
(
しる
)
吸
(
す
)
ふ
時
(
とき
)
は
何時
(
いつ
)
442
何時
(
いつ
)
か
何時
(
いつ
)
かと
松代姫
(
まつよひめ
)
443
松
(
まつ
)
かひあつて
太玉
(
ふとたま
)
の
444
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
妻
(
つま
)
となり
445
角
(
つの
)
を
隠
(
かく
)
した
綿帽子
(
わたばうし
)
446
姿
(
すがた
)
かくして
鳴
(
な
)
く
鳥
(
とり
)
は
447
山時鳥
(
やまほととぎす
)
丈
(
だけ
)
ぢやない
448
此処
(
ここ
)
にも
一人
(
ひとり
)
や
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
449
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
るかも
知
(
し
)
れはせぬ
450
千秋
(
せんしう
)
万歳
(
ばんざい
)
末
(
すゑ
)
永
(
なが
)
う
451
松竹梅
(
まつたけうめ
)
のお
姫
(
ひめ
)
さま
452
夫婦
(
ふうふ
)
仲
(
なか
)
良
(
よ
)
く
暮
(
くら
)
しやんせ
453
心
(
こころ
)
の
堅
(
かた
)
き
宣伝使
(
せんでんし
)
454
夫
(
をつと
)
を
持
(
も
)
つて
忽
(
たちま
)
ちに
455
心
(
こころ
)
緩
(
ゆる
)
みて
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
456
必
(
かなら
)
ず
粗末
(
そまつ
)
にせぬがよい
457
それ
丈
(
だけ
)
わたしが
頼
(
たの
)
み
置
(
お
)
く
458
アヽ
三柱
(
みはしら
)
の
神
(
かみ
)
さまへ
459
此
(
この
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
夫婦仲
(
ふうふなか
)
460
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさず
末
(
すえ
)
永
(
なが
)
う
461
添
(
そ
)
はしてやつて
下
(
くだ
)
さンせ
462
これが
八公
(
やつこう
)
の
願
(
ねがひ
)
なり
463
これが
八公
(
やつこう
)
の
願
(
ねがひ
)
なり』
464
時公
(
ときこう
)
は
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて、
465
時公
『アハヽヽヽヽ』と、
466
又
(
また
)
もや
笑
(
わら
)
ひ
転
(
こ
)
けて
腹
(
はら
)
を
抱
(
かか
)
へる。
467
八公
(
やつこう
)
『オイ
時公
(
ときこう
)
、
468
何
(
なん
)
で
笑
(
わら
)
ふか、
469
人
(
ひと
)
をあまり
馬鹿
(
ばか
)
にしよまいぞ。
470
お
前
(
まへ
)
は
拙劣
(
へた
)
でもよいと
云
(
い
)
つただらう、
471
拙
(
へた
)
な
歌
(
うた
)
が
却
(
かへ
)
つて
面白
(
おもしろ
)
いのだ。
472
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らお
前
(
まへ
)
の
歌
(
うた
)
もあまり
立派
(
りつぱ
)
な
作
(
さく
)
ではなかつた。
473
担
(
にな
)
うたら
棒
(
ぼう
)
が
折
(
を
)
れる
様
(
やう
)
なものだ』
474
時公
(
ときこう
)
『コラコラ、
475
棒
(
ぼう
)
が
折
(
を
)
れるとは
何
(
なん
)
だ。
476
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
さぬか』
477
八公
(
やつこう
)
『それでも、
478
是丈
(
これだけ
)
歌
(
うた
)
ふのには
棒
(
ぼう
)
所
(
どころ
)
か、
479
随分
(
ずゐぶん
)
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れたのだよ。
480
アハヽヽヽ』
481
時公
(
ときこう
)
『サア
鴨公
(
かもこう
)
の
番
(
ばん
)
だ。
482
どうせ
碌
(
ろく
)
な
事
(
こと
)
は
云
(
い
)
やせまいが、
483
貴様
(
きさま
)
の
偽
(
いつは
)
らぬ
心
(
こころ
)
を
歌
(
うた
)
つて
見
(
み
)
よ』
484
鴨公
(
かもこう
)
『ヨシヨシ、
485
俺
(
おれ
)
も
男
(
をとこ
)
だ。
486
気張
(
きば
)
つてフーフーと
息
(
いき
)
継
(
つ
)
ぎ
乍
(
なが
)
らやつて
見
(
み
)
る。
487
良
(
よ
)
かつたら、
488
メヨト
喝采
(
かつさい
)
するのだぞ』
489
時公
(
ときこう
)
『ヨシヨシ、
490
よし
と
云
(
い
)
つても
養子婿
(
やうしむこ
)
ぢやないぞ』
491
鴨公
(
かもこう
)
の
歌
(
うた
)
、
492
鴨公
『
明志
(
あかし
)
の
湖
(
うみ
)
から
従
(
つ
)
いて
来
(
き
)
て
493
雪
(
ゆき
)
の
路
(
みち
)
をばザクザクと
494
黒野
(
くろの
)
ケ
原
(
はら
)
に
行
(
や
)
つて
来
(
き
)
た
495
孔雀
(
くじやく
)
の
姫
(
ひめ
)
が
人
(
ひと
)
喰
(
く
)
うと
496
聞
(
き
)
いてビツクリ
会
(
あ
)
うて
見
(
み
)
りや
497
十五
(
じふご
)
の
月
(
つき
)
の
様
(
やう
)
な
顔
(
かほ
)
498
案
(
あん
)
に
相違
(
さうゐ
)
の
松代姫
(
まつよひめ
)
499
ウラルの
教
(
をしへ
)
を
振棄
(
ふりす
)
てて
500
三五教
(
あななひけう
)
に
寝返
(
ねがへ
)
りを
501
打
(
う
)
つて
又
(
また
)
もや
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
502
烈
(
はげ
)
しき
風
(
かぜ
)
に
曝
(
さら
)
されて
503
汐干
(
しほひ
)
の
丸
(
まる
)
の
潮
(
しほ
)
を
浴
(
あ
)
び
504
牛
(
うし
)
馬
(
うま
)
鹿
(
しか
)
虎
(
とら
)
四人
(
よつたり
)
の
505
目附
(
めつけ
)
の
神
(
かみ
)
に
送
(
おく
)
られて
506
コーカス
山
(
ざん
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
507
思
(
おも
)
ひがけなき
神祭
(
かむまつり
)
508
八王
(
やつこす
)
ヒツコス
酒
(
くす
)
の
神
(
かみ
)
509
祝
(
いはひ
)
の
酒
(
さけ
)
に
酔潰
(
ゑひつぶ
)
れ
510
何処
(
どこ
)
も
彼処
(
かしこ
)
も
泥
(
どろ
)
まぶれ
511
ウラルの
姫
(
ひめ
)
も
泥
(
どろ
)
の
衣
(
きぬ
)
512
心
(
こころ
)
の
泥
(
どろ
)
を
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
して
513
うまい
事
(
こと
)
づくめに
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
514
ツベコベほざく
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
515
松竹梅
(
まつたけうめ
)
を
始
(
はじ
)
めとし
516
鴨彦
(
かもひこ
)
さまも
共々
(
ともども
)
に
517
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝歌
(
せんでんか
)
518
歌
(
うた
)
つて
見
(
み
)
ればアラ
不思議
(
ふしぎ
)
519
忽
(
たちま
)
ち
鬼女
(
きじよ
)
となり
変
(
かは
)
り
520
黒雲
(
くろくも
)
起
(
おこ
)
して
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つた
521
後
(
あと
)
に
尊
(
たふと
)
き
神祭
(
かむまつり
)
522
祝
(
いはひ
)
の
酒
(
さけ
)
をグツと
呑
(
の
)
み
523
酔
(
ゑひ
)
がまはつた
最中
(
さいちう
)
に
524
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
神勅
(
みことのり
)
525
松竹梅
(
まつたけうめ
)
の
三柱
(
みはしら
)
に
526
婿
(
むこ
)
を
貰
(
もら
)
へと
仰
(
あふ
)
せられ
527
開
(
あ
)
いたる
口
(
くち
)
に
牡丹餅
(
ぼたもち
)
を
528
詰
(
つ
)
めたる
様
(
やう
)
に
一口
(
ひとくち
)
に
529
ウンと
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
む
男
(
をとこ
)
方
(
がた
)
530
三
(
さん
)
人
(
にん
)
揃
(
そろ
)
うて
妹
(
いも
)
と
背
(
せ
)
の
531
芽出度
(
めでた
)
い
盃
(
さかづき
)
三々
(
さんさん
)
九度
(
くど
)
532
何方
(
どなた
)
も
此方
(
こなた
)
も
歌
(
うた
)
を
詠
(
よ
)
み
533
品姿
(
しな
)
能
(
よ
)
く
踊
(
をど
)
り
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ふ
534
我
(
わ
)
れは
素
(
もと
)
より
芸無
(
げな
)
し
猿
(
ざる
)
535
何
(
な
)
んにも
知
(
し
)
らぬヨウせぬと
536
断
(
ことわ
)
る
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かないで
537
猿
(
さる
)
の
人真似
(
ひとまね
)
やつて
見
(
み
)
よう
538
猿
(
さる
)
が
三疋
(
さんびき
)
飛
(
と
)
ンで
来
(
き
)
て
539
婚礼
(
こんれい
)
したのはサル
昔
(
むかし
)
540
昔々
(
むかしむかし
)
の
大昔
(
おほむかし
)
541
その
又
(
また
)
昔
(
むかし
)
の
昔
(
むかし
)
から
542
神
(
かみ
)
の
結
(
むす
)
ンだ
因縁
(
いんねん
)
で
543
夫婦
(
ふうふ
)
になつたに
違
(
ちがひ
)
ない
544
夫婦
(
ふうふ
)
は
天地
(
てんち
)
にたとへられ
545
山
(
やま
)
と
海
(
うみ
)
とに
比
(
くら
)
べられ
546
神
(
かみ
)
生
(
う
)
み
国
(
くに
)
生
(
う
)
み
島
(
しま
)
生
(
う
)
みの
547
道
(
みち
)
を
開
(
ひら
)
きし
伊弉諾
(
いざなぎ
)
の
548
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
初
(
はじ
)
めてし
549
美斗能
(
みとの
)
麻具波比
(
まぐはひ
)
妹背
(
いもとせ
)
の
550
今日
(
けふ
)
の
芽出度
(
めでた
)
い
此
(
この
)
祝
(
いは
)
ひ
551
此
(
この
)
喜
(
よろこ
)
びはここよりは
552
外
(
ほか
)
へはやらじ やらざれと
553
祈
(
いの
)
る
真心
(
まごころ
)
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
554
金勝要
(
きんかつかね
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
555
国治立
(
くにはるたち
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
556
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大御神
(
おほみかみ
)
557
三夫婦
(
みめをと
)
揃
(
そろ
)
うて
縁
(
えん
)
結
(
むす
)
ぶ
558
こんな
芽出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
はない
559
どうぞわたしも
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
560
早
(
はや
)
く
結
(
むす
)
ンで
下
(
くだ
)
さンせ
561
家
(
いへ
)
をば
治
(
をさ
)
め
国
(
くに
)
治
(
をさ
)
め
562
心
(
こころ
)
治
(
をさ
)
まる
夫婦中
(
ふうふなか
)
563
落
(
お
)
ちて
離
(
はな
)
れぬ
枯松葉
(
かれまつば
)
564
二人
(
ふたり
)
の
水火
(
いき
)
は
相生
(
あひおひ
)
の
565
待
(
ま
)
ちに
待
(
ま
)
つたる
嫁
(
よめ
)
貰
(
もら
)
ひ
566
貰
(
もら
)
ひ
喜
(
よろこ
)
び
貰
(
もら
)
ひ
泣
(
な
)
き
567
ないて
明志
(
あかし
)
や
琵琶
(
びは
)
の
湖
(
うみ
)
568
深
(
ふか
)
き
契
(
ちぎり
)
を
何時
(
いつ
)
までも
569
続
(
つづ
)
かせられよ
三柱
(
みはしら
)
の
570
聞
(
き
)
くも
芽出度
(
めでた
)
い
夫婦仲
(
ふうふなか
)
571
仲
(
なか
)
善
(
よ
)
く
暮
(
くら
)
せ
何時迄
(
いつまで
)
も
572
天
(
てん
)
に
輝
(
かがや
)
く
星
(
ほし
)
の
如
(
ごと
)
573
浜
(
はま
)
の
真砂
(
まさご
)
の
数
(
かず
)
多
(
おほ
)
く
574
御子
(
みこ
)
を
生
(
う
)
め
生
(
う
)
め
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
575
所
(
ところ
)
狭
(
せ
)
き
迄
(
まで
)
生
(
う
)
みおとせ
576
落
(
お
)
ちて
松葉
(
まつば
)
の
二人
(
ふたり
)
連
(
づ
)
れ
577
三人
(
みたり
)
四人
(
よつたり
)
夫婦仲
(
めをとなか
)
578
三人
(
みたり
)
四人
(
よつたり
)
鰥仲
(
やもめなか
)
579
盈
(
み
)
つれば
虧
(
か
)
くる
世
(
よ
)
の
慣
(
なら
)
ひ
580
御空
(
みそら
)
の
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
を
見
(
み
)
よ
581
何時
(
いつ
)
も
満月
(
まんげつ
)
キラキラと
582
明
(
あか
)
るく
暮
(
くら
)
せ
夫婦
(
めおと
)
連
(
づ
)
れ
583
連添
(
つれそ
)
ふ
妻
(
つま
)
を
振棄
(
ふりす
)
てな
584
妻
(
つま
)
も
夫
(
をつと
)
に
尻
(
しり
)
ふるな
585
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れ
586
何時
(
いつ
)
も
青々
(
あをあを
)
稚翠
(
わかみどり
)
587
若
(
わか
)
やぐ
姿
(
すがた
)
永久
(
とこしへ
)
に
588
年
(
とし
)
は
取
(
と
)
るなよ
皺
(
しわ
)
よせな
589
寄
(
よ
)
せては
返
(
かへ
)
す
荒浪
(
あらなみ
)
の
590
濤
(
なみ
)
も
凪
(
な
)
げ
凪
(
な
)
げ
春
(
はる
)
の
海
(
うみ
)
591
生
(
う
)
み
落
(
おと
)
したる
子宝
(
こだから
)
は
592
養
(
はぐく
)
み
育
(
そだ
)
て
天地
(
あめつち
)
の
593
神
(
かみ
)
の
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てて
呉
(
く
)
れ
594
くれぐれ
頼
(
たの
)
む
鴨公
(
かもこう
)
の
595
是
(
これ
)
が
一生
(
いつしやう
)
の
願
(
ねがひ
)
ぞやと
596
願掛巻
(
ねがひかけまく
)
神
(
かみ
)
の
前
(
まへ
)
597
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みの
幸
(
さち
)
はひて
598
夫婦
(
めをと
)
の
仲
(
なか
)
は
睦
(
むつま
)
じく
599
八千代
(
やちよ
)
の
春
(
はる
)
の
玉椿
(
たまつばき
)
600
栄
(
さか
)
えに
栄
(
さか
)
えよ
松代姫
(
まつよひめ
)
601
梅ケ香姫
(
うめがかひめ
)
よ
竹野姫
(
たけのひめ
)
602
天之
(
あめの
)
目一箇
(
まひとつ
)
太玉
(
ふとたま
)
や
603
天之
(
あめの
)
児屋根
(
こやね
)
の
神司
(
かむづかさ
)
604
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
太祝詞
(
ふとのりと
)
605
称
(
たた
)
へ
奉
(
まつ
)
るぞ
尊
(
たふと
)
けれ
606
称
(
たた
)
へ
奉
(
まつ
)
るぞ
畏
(
かしこ
)
けれ
607
畏
(
かしこ
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
608
夫婦
(
めをと
)
力
(
ちから
)
を
協
(
あは
)
せ
合
(
あ
)
ひ
609
海
(
うみ
)
の
内外
(
うちと
)
に
隈
(
くま
)
もなく
610
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
せ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
611
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
せ
神
(
かみ
)
の
教
(
のり
)
』
612
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
り
座
(
ざ
)
に
着
(
つ
)
きぬ。
613
コーカス
山
(
ざん
)
の
神祭
(
かむまつり
)
、
614
瑞
(
みづ
)
の
身魂
(
みたま
)
に
因縁
(
ゆかり
)
ある
三柱神
(
みはしらがみ
)
の
婚姻
(
こんいん
)
は
茲
(
ここ
)
に
芽出度
(
めでた
)
く
千秋楽
(
せんしうらく
)
を
告
(
つ
)
げにける。
615
(
大正一一・三・四
旧二・六
松村真澄
録)
616
(昭和一〇・二・一九 王仁校正)
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(B)
(N)
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霊界物語
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