霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二三章 保食神(うけもちのかみ)〔四九〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻 篇:第4篇 満目荒寥 よみ(新仮名遣い):まんもくこうりょう
章:第23章 保食神 よみ(新仮名遣い):うけもちのかみ 通し章番号:490
口述日:1922(大正11)年03月03日(旧02月05日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
黄泉比良坂の戦いで、大自在天陣営は日の出神に言向け和されて、御神業に使えることとなった。
そのため、悪鬼邪神たちは集結してウラル彦一派にますます憑依した。ウラル山、コーカス山、アーメニヤに根拠を構えて体主霊従の限りを尽くした。体主霊従人種のことを、大気津姫というのである。
ウラル彦一派は、コーカス山に荘厳な宮殿を建設した。これを顕国の宮という。
その落成に際して、さすがのウラル彦も天地の神明を恐れ、大地の霊魂である金勝要神、大地の霊力である国治立命、大地の霊体である素盞嗚命の神霊を祭ることになった。
三日三晩もの祭典が始まり、八王、ヒッコス、クスの神らは酒におぼれて歌い踊り狂った。宮や踏み荒らされてしまったが、邪神に惑わされた神人らはまったく気がつかなかった。
祭典が始まると、顕国の宮は恐ろしい大音響をたてて鳴動を始めた。ウラル姫は神が喜んでいるものとして、泥まみれのまま神殿に拝し、祝詞を上げた。
数千の群集は酒を飲んで酔いつぶれ、そこらじゅうを騒ぎまわっている。
そこに、悠然として現れた三五教の松竹梅の宣伝使、石凝姥神、天之目一箇神、於縢山津見神、時置師神、八彦神、鴨彦神らは口をそろえて一同に改心を促す宣伝歌を歌った。すると、神殿の鳴動はぴたりと止んだ。
ウラル姫はたちまち鬼女と化し、部下を引き連れて鳥船に乗り、アーメニヤを指して逃げていった。
一同は改めて神殿に拝して感謝を捧げると、鬼武彦を始めとする五柱の白狐神らが現れた。石凝姥神、天之目一箇神、天之児屋根神は、神殿に捧げてあった五穀を白狐にくわえさせ、世界の各地に種を蒔かしめた。
この神殿に国治立命、素盞嗚命、金勝要神を祭り、飯成(いひなり)の宮と称えることになった。
神殿が鳴動したのは、邪神の供物に神が怒りを表したのであった。
白狐が世界各地に蒔いた種は、これまでの穀物よりも優れたものになった。これ以降、白狐を稲荷の神と称えるようになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-08-11 19:53:49 文字数:3783 OBC :rm1123
愛善世界社版:219頁 八幡書店版:第2輯 592頁 修補版: 校定版:223頁 普及版:96頁 初版: ページ備考:
001 黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の戦(たたかひ)に、002常世(とこよ)の国(くに)の総大将(そうだいしやう)大国彦(おほくにひこの)命(みこと)、003大国姫(おほくにひめの)命(みこと)その他(た)の神々(かみがみ)は残(のこ)らず日(ひ)の出神(でのかみ)の神言(みこと)に言向(ことむけ)和(やは)され、004悔(く)い改(あらた)めて神(かみ)の御業(みわざ)に仕(つか)へ奉(まつ)ることとなつた。005其(その)為(た)め八岐(やまた)の大蛇(をろち)や、006金毛(きんまう)九尾(きうび)の悪狐(あくこ)、007邪鬼(じやき)、008醜女(しこめ)、009探女(さぐめ)の曲神(まがかみ)は暴威(ばうゐ)を逞(たくま)しうする根拠地(こんきよち)なるウラル山(さん)に駆(か)け集(あつ)まり、010ウラル彦(ひこ)、011ウラル姫(ひめ)を始(はじ)め、012部下(ぶか)に憑依(ひようい)して其(その)心魂(しんこん)を益々(ますます)悪化(あくくわ)混濁(こんだく)せしめ体主(たいしゆ)霊従(れいじう)、013我利(がり)一遍(いつぺん)の行動(かうどう)を益々(ますます)盛(さか)んに行(おこな)はしめつつあつたのである。014悪蛇(あくだ)、015悪鬼(あくき)、016悪狐(あくこ)等(とう)の曲津(まがつ)神(かみ)はウラル山(さん)、017コーカス山(ざん)、018アーメニヤの三ケ所(さんかしよ)に本城(ほんじやう)を構(かま)へ、019殊(こと)にコーカス山(ざん)には荘厳(さうごん)美麗(びれい)なる金殿(きんでん)玉楼(ぎよくろう)を数多(あまた)建(た)て列(なら)べ、020ウラル彦(ひこ)の幕下(ばくか)の神々(かみがみ)は、021茲(ここ)に各(おのおの)根拠(こんきよ)を造(つく)り、022酒池(しゆち)肉林(にくりん)の快楽(くわいらく)に耽(ふけ)り、023贅沢(ぜいたく)の限(かぎ)りを尽(つく)し、024天下(てんか)を我物顔(わがものがほ)に振舞(ふるま)ふ我利(がり)々々(がり)亡者(まうぢや)の隠処(かくれが)となつてしまつた。025かかる衣食住(いしよくぢう)に贅(ぜい)を尽(つく)す体主(たいしゆ)霊従(れいじう)人種(じんしゆ)を称(しよう)して、026大気津(おほげつ)姫(ひめの)命(みこと)と云(い)ふなり。
027 大気津(おほげつ)姫(ひめ)の一隊(いつたい)は、028山中(さんちゆう)の最(もつと)も風景(ふうけい)佳(よ)き地点(ちてん)を選(えら)み、029荘厳(さうごん)なる宮殿(きうでん)を建設(けんせつ)する為(た)め、030数多(あまた)の大工(だいく)を集(あつ)め、031昼夜(ちうや)全力(ぜんりよく)を尽(つく)して、032宮殿(きうでん)の造営(ざうえい)に掛(かか)り、033漸(やうや)く立派(りつぱ)なる神殿(しんでん)を落成(らくせい)し、034愈(いよいよ)神霊(しんれい)を鎮祭(ちんさい)する事(こと)となりぬ。035流石(さすが)のウラル彦(ひこ)夫婦(ふうふ)も、036天地(てんち)の神明(しんめい)を恐(おそ)れてや先(ま)づ第一(だいいち)に国魂(くにたま)の神(かみ)として、037大地(だいち)の霊魂(れいこん)なる金勝要(きんかつかねの)大神(おほかみ)を始(はじ)め、038大地(だいち)の霊力(れいりよく)なる国治立(くにはるたちの)命(みこと)及(およ)び大地(だいち)の霊体(れいたい)なる素盞嗚(すさのをの)命(みこと)の神霊(しんれい)を鎮祭(ちんさい)する事(こと)となつたのである。039数多(あまた)の八王神(やつこすがみ)は競(きそ)うて稲(いね)、040麦(むぎ)、041豆(まめ)、042粟(あは)、043黍(きび)を始(はじ)め非時(ときじく)の木(こ)の実(み)、044其(その)他(た)の果物(くだもの)、045毛(け)の粗(あら)きもの、046柔(にご)きもの、047鰭広物(はたのひろもの)、048鰭狭物(はたのさもの)、049沖津(おきつ)藻菜(もは)、050辺津(へつ)藻菜(もは)、051甘菜(あまな)、052辛菜(からな)に至(いた)るまで、053人(ひと)を派(は)して求(もと)めしめ、054各自(てんで)に大宮(おほみや)の前(まへ)に供(そな)へ奉(たてまつ)る事(こと)とした。055此(この)宮(みや)を顕国(うつしくに)の宮(みや)と云(い)ふ。056此(この)祭典(さいてん)は三日(みつか)三夜(みよさ)に渉(わた)り力行(りきかう)された。057数多(あまた)の八王神(やつこすがみ)、058ヒツコス、059クスの神(かみ)達(たち)は、060祝意(しゆくい)を表(へう)する為(た)め、061酒(さけ)に溺(おぼ)れ、062或(あるひ)は歌(うた)ひ、063或(あるひ)は踊(をど)り舞(ま)ひ狂(くる)ふ様(さま)、064恰(あたか)も狂人(きやうじん)の集(あつ)まりの如(ごと)き状態(じやうたい)なりき。
065 顕国(うつしくに)の宮(みや)は祭典(さいてん)始(はじ)まると共(とも)に、066得(え)も言(い)はれぬ恐(おそ)ろしき音響(おんきやう)を立(た)てて唸(うな)り始(はじ)めたり。067ウラル姫(ひめ)は全(まつた)く神(かみ)の御(お)喜(よろこ)びとして勇(いさ)み、068酒宴(しゆえん)に耽(ふけ)りつつあつた。069八百(はつぴやく)有余(いうよ)の八王神(やつこすがみ)を始(はじ)め、070幾千万(いくせんまん)のヒツコス、071クスの神(かみ)は、
072『サアサアヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
073酔(よ)うてもヨイヂヤナイカ
074泣(な)いてもヨイヂヤナイカ
075笑(わら)つてもヨイヂヤナイカ
076怒(おこ)つてもヨイヂヤナイカ
077死(し)んでもヨイヂヤナイカ
078倒(こ)けてもヨイヂヤナイカ
079お宮(みや)が唸(うな)つてもヨイヂヤナイカ
080天地(てんち)が覆(かへ)つてもヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
081山(やま)が割(わ)れてもヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
082三五教(あななひけう)でもヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
083ウラル教(けう)でもヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
084勝(かつ)てもヨイヂヤナイカ
085負(ま)けてもヨイヂヤナイカ
086何(なん)でもヨイヂヤナイカ
087三日(みつか)のお祭(まつ)り四日(よつか)でも、五日(いつか)でも
088十日(とをか)でもヨイヂヤナイカ
089人(ひと)はどうでもヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
090自分(じぶん)丈(だ)けよければヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
091ウラルの教(をしへ)が三千(さんぜん)世界(せかい)で
092一番(いちばん)ヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
093ヨイヤサのヨイトサツサ
094飲(の)めよ騒(さわ)げよ一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ
095暗(やみ)の後(あと)には月(つき)が出(で)る
096月(つき)はつきぢやが運(うん)の尽(つ)き
097尽(つ)きてもヨイヂヤナイカ
098亡(ほろ)んでもヨイヂヤナイカ
099倒(たふ)せばヨイヂヤナイカ
100三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)』
101と無我(むが)夢中(むちう)になつて、102昼夜(ちうや)の別(べつ)なく数多(あまた)の八王神(やつこすがみ)、103ヒツコスやクスの神(かみ)等(ら)に、104数多(あまた)の邪神(じやしん)が憑(うつ)つて叫(さけ)び廻(まは)る。105八王神(やつこすがみ)の綺麗(きれい)な館(やかた)も、106数多(あまた)のヒツコスに土足(どそく)の儘(まま)踏(ふ)みにじられて踊(をど)り狂(くる)はれ、107襖(ふすま)は倒(たふ)れ、108障子(しやうじ)は破(やぶ)れ、109戸(と)は壊(こは)れ、110床(ゆか)は落(おと)され、111敷物(しきもの)は泥(どろ)まぶれ、112着物(きもの)は勝手(かつて)気儘(きまま)に取出(とりだ)され、113着(き)潰(つぶ)され、114雪解(ゆきとけ)の泥中(どろなか)に着(き)た儘(まま)酔(よ)つて転(ころ)げられ、115食(く)ひ物(もの)は食(く)ひ荒(あら)され、116宝(たから)は踏(ふ)みにじられ、117大(だい)乱痴気(らんちき)騒(さわ)ぎが始(はじ)まつた、118されどもウラル姫(ひめ)を始(はじ)め数多(あまた)の八王神(やつこすがみ)は、119何(いづ)れも悪魔(あくま)に精神(せいしん)を左右(さいう)せられて居(を)るから、120皆(みんな)好(よ)い気(き)になつてヒツコス、121クスの神(かみ)と共(とも)に手(て)をつなぎ踊(をど)り狂(くる)ふ。122顔(かほ)も着物(きもの)も泥(どろ)まぶれになつて居(ゐ)る。123顕国(うつしくに)の宮(みや)は刻々(こくこく)に鳴動(めいどう)が激(はげ)しくなつて来(き)た。124ウラル姫(ひめ)は泥(どろ)まぶれの体躯(からだ)に気(き)が付(つ)かず、125忽(たちま)ち顕国(うつしくに)の宮(みや)の前(まへ)に進(すす)み、
126ウラル姫(ひめ)『コーカス山(ざん)に千木(ちぎ)高(たか)く
127大宮柱(おほみやばしら)太(ふと)しりて
128仕(つか)へ奉(まつ)れる神(かみ)の宮(みや)
129顕(うつ)しき国(くに)の御霊(みたま)たる
130速(はや)須佐之男(すさのを)の大御神(おほみかみ)
131国治立(くにはるたち)の大御神(おほみかみ)
132金勝要(きんかつかね)の大神(おほかみ)の
133三魂(みたま)の永遠(とは)に鎮(しづ)まりて
134神(かみ)の稜威(みいづ)のアーメニヤ
135コーカス山(ざん)やウラル山(さん)
136ウラルの彦(ひこ)の御教(みをしへ)を
137天地(あめつち)四方(よも)に輝(かがや)かし
138我(わが)世(よ)を守(まも)れ何時迄(いつまで)も
139此(この)世(よ)を守(まも)れ何時迄(いつまで)も
140顕(うつ)しの宮(みや)の唸(うな)り声(ごゑ)
141定(さだ)めし神(かみ)の御心(みこころ)に
142叶(かな)ひ給(たま)ひし御(み)しるしか
143日々(ひび)に弥(いや)増(ま)す唸(うな)り声(ごゑ)
144ウラルの姫(ひめ)の功績(いさをし)の
145天地(てんち)に輝(かがや)く祥兆(しやうてう)や
146嗚呼(ああ)有難(ありがた)や有難(ありがた)や
147天教山(てんけうざん)や地教山(ちけうざん)
148黄金山(わうごんざん)や万寿山(まんじゆざん)
149是(こ)れに集(つど)へる曲神(まがかみ)の
150曲(まが)の身魂(みたま)を平(たひら)げて
151ウラルの神(かみ)の御教(みをしへ)に
152心(こころ)の底(そこ)よりまつろはせ
153天(あま)の下(した)をば穏(おだや)かに
154守(まも)らせ給(たま)へ三柱(みはしら)の
155吾(あが)大神(おほかみ)よ皇神(すめかみ)よ
156神(かみ)の稜威(みいづ)の幸(さち)はひて
157遠(とほ)き神世(かみよ)の昔(むかし)より
158例(ためし)もあらぬコーカスの
159山(やま)に輝(かがや)く珍(うづ)の宮(みや)
160神酒(みき)は甕(みかのへ)高(たか)しりて
161甕(みか)の腹(はら)をば満(み)て並(なら)べ
162荒稲(あらしね)和稲(にぎしね)麦(むぎ)に豆(まめ)
163稗(ひえ)黍(きび)蕎麦(そば)や種々(くさぐさ)の
164甘菜(あまな)辛菜(からな)や無花果(いちじゆく)の
165木(こ)の実(み)や百(もも)の果物(くだもの)や
166猪(しし)や羊(ひつじ)や山(やま)の鳥(とり)
167雉(きじ)や鵯(ひよどり)鳩(はと)雀(すずめ)
168沖津(おきつ)百(もも)の菜(は)辺津(へつ)藻菜(もは)や
169種々(くさぐさ)供(そな)へし供(そな)へ物(もの)
170心(こころ)平(たひ)らに安(やす)らかに
171赤丹(あかに)の穂(ほ)にと聞(きこ)し召(め)せ
172神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
173ウラルの神(かみ)の御教(みをしへ)を
174堅磐(かきは)常盤(ときは)に守(まも)れかし
175善(ぜん)と悪(あく)とを立別(たてわけ)て
176此(この)世(よ)を造(つく)りし国(くに)の祖(おや)
177国治立(くにはるたち)の大神(おほかみ)の
178神(かみ)の御前(みまへ)に四方(よも)の国(くに)
179百(もも)の民草(たみぐさ)悉(ことごと)く
180コーカス山(ざん)に参(ま)ゐ詣(もう)で
181ウラルの神(かみ)の御教(みをしへ)に
182潮(うしほ)の如(ごと)く集(つど)ひ来(き)て
183我(わが)世(よ)の幸(さち)を守(まも)れかし
184アヽ三柱(みはしら)の大神(おほかみ)よ
185アヽ三柱(みはしら)の皇神(すめかみ)よ
186心(こころ)許(ばか)りの御幣帛(みてぐら)を
187捧(ささ)げて祭(まつ)るウラル彦(ひこ)
188ウラルの姫(ひめ)の真心(まごころ)を
189良(よ)きに受(う)けさせ賜(たま)へかし
190良(よ)きに受(う)けさせ賜(たま)へかし』
191と一生(いつしやう)懸命(けんめい)神前(しんぜん)に拝跪(はいき)して祈(いの)つて居(ゐ)る。192此(この)時(とき)数多(あまた)の八王神(やつこすがみ)、193ヒツコス、194クスの神(かみ)は神殿(しんでん)に潮(うしほ)の如(ごと)く集(あつ)まり来(きた)り、195又(また)もや、
196『ヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ
197お宮(みや)はどうでもヨイヂヤナイカ
198酒(さけ)さへ飲(の)んだらヨイヂヤナイカ
199飲(の)めよ飲(の)め飲(の)め一寸先(いつすんさき)や暗(やみ)よ
200後(あと)はどうでもヨイヂヤナイカ
201暗(やみ)の後(あと)には月(つき)が出(で)る
202運(うん)の尽(つき)でもヨイヂヤナイカ
203この世(よ)の尽(つき)でもヨイヂヤナイカ
204ウラルの姫(ひめ)の泥(どろ)まぶれ
205笑(わら)うて見(み)るのもヨイヂヤナイカ
206上(うへ)でも下(した)でもヨイヂヤナイカ
207八王(やつこす)でもビツコスでもヨイヂヤナイカ
208三五教(あななひけう)でもヨイヂヤナイカ
209ウラル教(けう)捨(す)ててもヨイヂヤナイカ
210お宮(みや)が唸(うな)つてもヨイヂヤナイカ
211潰(つぶ)れた所(ところ)でヨイヂヤナイカ
212お酒(さけ)が一番(いちばん)ヨイヂヤナイカ
213ヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカヨイヂヤナイカ』
214と数千(すうせん)の群衆(ぐんしう)は口々(くちぐち)に酔(ゑ)ひ潰(つぶ)れ、215泥(どろ)にまぶれ、216上下(じやうげ)の区別(くべつ)なく飛廻(とびまは)り跳狂(はねくる)ひ踊(をど)り騒(さわ)いで居(ゐ)る。217かかる所(ところ)に神殿(しんでん)さして悠然(いうぜん)と現(あら)はれ出(い)でたる三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)、218松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)を始(はじ)めとし、219石凝姥(いしこりどめの)神(かみ)、220天之(あめの)目一箇(まひとつの)神(かみ)、221淤縢山(おどやま)津見(づみの)神(かみ)、222時置師(ときおかしの)神(かみ)、223八彦(やつひこの)神(かみ)、224鴨彦(かもひこの)神(かみ)は口(くち)を揃(そろ)へて、
225『神(かみ)が表(おもて)に現(あら)はれて
226善(ぜん)と悪(あく)とを立別(たてわ)ける
227此(この)世(よ)を造(つく)りし神直日(かむなほひ)
228心(こころ)も広(ひろ)き大直日(おほなほひ)
229只(ただ)何事(なにごと)も人(ひと)の世(よ)は
230直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞直(ききなほ)せ
231コーカス山(ざん)に集(あつ)まりし
232ウラルの姫(ひめ)を始(はじ)めとし
233百(もも)の八王神(やつこす)、ヒツコスや
234クスの神(かみ)まで皇神(すめかみ)の
235御水火(みいき)に早(はや)く甦(よみがへ)り
236醜(しこ)の身魂(みたま)を立替(たてか)へて
237大気津(おほげつ)姫(ひめ)の曲業(まがわざ)を
238直日(なほひ)に見直(みなほ)せ宣(の)り直(なほ)せ
239神(かみ)は我(われ)等(ら)と倶(とも)に在(あ)り
240醜(しこ)の曲津(まがつ)の亡(ほろ)ぶ時(とき)
241八十(やそ)の醜女(しこめ)の亡(ほろ)ぶ時(とき)
242八岐(やまた)大蛇(をろち)や曲鬼(まがおに)や
243醜(しこ)の狐(きつね)や千万(ちよろづ)の
244曲(まが)の身魂(みたま)を皇神(すめかみ)の
245神(かみ)の御前(みまへ)に追(お)ひ出(いだ)し
246眼(まなこ)を醒(さま)せ目(め)を開(ひら)け
247顕(うつ)しの国(くに)の大宮(おほみや)に
248鎮(しづ)まり給(たま)ふ三柱(みはしら)の
249神(かみ)の怒(いか)りは目(ま)の当(あた)り
250天地(てんち)に響(ひび)く唸(うな)り声(ごゑ)
251酔(ゑひ)を醒(さま)せや目(め)を覚(さ)ませ
252胸(むね)の帳(とばり)を押開(おしあ)けて
253空(そら)に輝(かがや)く朝日子(あさひこ)の
254日(ひ)の出神(でのかみ)の真心(まごころ)に
255復(かへ)れよ帰(かへ)れ諸人(もろびと)よ
256ウラルの彦(ひこ)よウラル姫(ひめ)
257神(かみ)は汝(なんぢ)を救(すく)はむと
258千々(ちぢ)に心(こころ)を砕(くだ)かせつ
259我(われ)等(ら)を遣(つか)はし給(たま)ふなり
260我(われ)等(ら)は神(かみ)の御(おん)使(つかひ)
261三五教(あななひけう)の宣伝使(せんでんし)
262宣伝(せんでん)万歌(ばんか)の言霊(ことたま)に
263霊(たま)の真柱(まはしら)立直(たてなほ)し
264一(いち)時(じ)も早(はや)く立替(たてか)へよ
265身魂(みたま)の立替(たてか)へ立直(たてなほ)し
266体主(たいしゆ)霊従(れいじう)の立直(たてなほ)し
267大気津(おほげつ)姫(ひめ)の行(おこな)ひを
268今日(けふ)を限(かぎ)りに立直(たてなほ)せ
269天(てん)は震(ふる)ひ地(ち)は揺(ゆる)ぐ
270山(やま)は火(ひ)を噴(ふ)き割(わ)るるとも
271誠(まこと)の神(かみ)は誠(まこと)ある
272汝(なれ)が身魂(みたま)を救(すく)ふらむ
273一日(ひとひ)も早(はや)く改(あらた)めよ
274一日(ひとひ)も早(はや)く詔(の)り直(なほ)せ』
275と言葉(ことば)爽(さはや)かに歌(うた)ひ終(をは)つた。276神殿(しんでん)の鳴動(めいどう)は此(この)宣伝歌(せんでんか)と共(とも)にピタリと止(や)んだ。277ウラル姫(ひめ)の神(かみ)は忽(たちま)ち鬼女(きぢよ)と変(へん)じ、278雲(くも)を呼(よ)び、279風(かぜ)を起(おこ)し、280雨(あめ)を降(ふ)らし四辺(しへん)を暗(やみ)に包(つつ)み、281八王神(やつこす)、282ヒツコス引連(ひきつ)れて、283天(あめ)の磐船(いはふね)、284鳥船(とりふね)に其(その)身(み)を任(まか)せ、285アーメニヤ、286ウラルの山(やま)を指(さ)して雲(くも)を霞(かすみ)と逃(に)げ散(ち)りたり。287松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)を始(はじ)め宣伝使(せんでんし)一同(いちどう)は、288改(あらた)めて神殿(しんでん)に祝詞(のりと)を奏上(そうじやう)し、289神徳(しんとく)を感謝(かんしや)する折(をり)しも此(この)場(ば)に現(あら)はれた五柱(いつはしら)の神(かみ)がある。290見(み)れば鬼武彦(おにたけひこ)、291勝彦(かつひこ)、292秋月姫(あきづきひめ)、293深雪姫(みゆきひめ)、294橘姫(たちばなひめ)であつた。295何(いづ)れも皆(みな)鬼武彦(おにたけひこ)が率(ひき)ゐる白狐(びやくこ)の化身(けしん)である。296流石(さすが)奸智(かんち)に長(た)けたる金毛(きんまう)九尾(きうび)の悪狐(あくこ)も、297白狐(びやくこ)の鬼武彦(おにたけひこ)、298旭(あさひ)、299高倉(たかくら)、300月日(つきひ)の神力(しんりき)には敵(かな)はず、301ウラル姫(ひめ)と共(とも)に此(この)場(ば)を捨(す)てて逃(に)げ去(さ)つてしまつたのである。
302 茲(ここ)に石凝姥(いしこりどめの)神(かみ)、303天之(あめの)目一箇(まひとつの)神(かみ)、304天之(あめの)児屋根(こやねの)神(かみ)は、305高倉(たかくら)以下(いか)の白狐(びやくこ)に向(むか)ひ顕国(うつしくに)の宮(みや)に捧(ささ)げ奉(まつ)れる稲(いね)、306麦(むぎ)、307豆(まめ)、308黍(きび)、309粟(あは)の穂(ほ)を銜(くは)へしめ、310世界(せかい)の各地(かくち)に播種(はんしゆ)せしめたり。
311 国治立(くにはるたちの)命(みこと)、312神(かむ)素盞嗚(すさのをの)命(みこと)、313金勝要(きんかつかね)の三柱(みはしら)を祭(まつ)り、314顕国(うつしくに)の宮(みや)を改(あらた)めて飯成(いひなり)の宮(みや)と称(とな)へたり。315宮(みや)の鳴動(めいどう)したる理由(りいう)は、316何(いづ)れも体主(たいしゆ)霊従(れいじう)の穢(けが)れたる八王神(やつこす)の供物(くもつ)なれば、317神(かみ)は怒(いか)りて之(これ)を受(う)けさせ給(たま)はざりし為(た)めなり。
318 白狐(びやくこ)は五穀(ごこく)の穂(ほ)を四方(しはう)に配(くば)り、319世界(せかい)に五穀(ごこく)の種子(しゆし)を播布(はんぷ)したり。320これより以前(いぜん)にも五穀(ごこく)は各地(かくち)に稔(みの)れども、321今(いま)此処(ここ)に供(そな)へられたる五穀(ごこく)の種子(しゆし)は勝(すぐ)れて良(よ)き物(もの)なりし故(ゆゑ)なり。
322 今(いま)の世(よ)に至(いた)るまで白狐(びやくこ)を稲荷(いなり)の神(かみ)と云(い)ふは此(この)理(り)に基(もとづ)くものと知(し)るべし。
323(大正一一・三・三 旧二・五 谷村真友録)
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