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第71巻(戌の巻)
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天祥地瑞
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第75巻(寅の巻)
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第30巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 高砂の松
01 主従二人
〔843〕
02 乾の滝
〔844〕
03 清めの滝
〔845〕
04 懐旧の歌
〔846〕
第2篇 珍野瞰下
05 下坂の歌
〔847〕
06 樹下の一宿
〔848〕
07 提燈の光
〔849〕
08 露の道
〔850〕
第3篇 神縁微妙
09 醜の言霊
〔851〕
10 妖雲晴
〔852〕
11 言霊の妙
〔853〕
12 マラソン競争
〔854〕
13 都入
〔855〕
第4篇 修理固成
14 霊とパン
〔856〕
15 花に嵐
〔857〕
16 荒しの森
〔858〕
17 出陣
〔859〕
18 日暮シの河
〔860〕
19 蜘蛛の児
〔861〕
20 雉と町
〔862〕
第5篇 山河動乱
21 神王の祠
〔863〕
22 大蜈蚣
〔864〕
23 ブール酒
〔865〕
24 陥穽
〔866〕
附記 湯ケ島温泉
附記 天津祝詞解
附記 デモ国民歌
余白歌
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第30巻
> 第1篇 高砂の松 > 第2章 乾の滝
<<< 主従二人
(B)
(N)
清めの滝 >>>
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第二章
乾
(
いぬゐ
)
の
滝
(
たき
)
〔八四四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
篇:
第1篇 高砂の松
よみ(新仮名遣い):
たかさごのまつ
章:
第2章 乾の滝
よみ(新仮名遣い):
いぬいのたき
通し章番号:
844
口述日:
1922(大正11)年08月14日(旧06月22日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
男たちの話を寝ながら聞いていた末子姫と捨子姫は、彼らが自分たちを捕らえに来たバラモン教徒であることを知り、追い払おうと幽霊の真似をして脅かしに出た。
シーナは驚いて仲間を揺り起こした。二人の姿に驚いたイサク、チール、シーナの三人はいずこへともなく逃げ去ってしまった。
しかし残ったカールとネロは少しも驚かず、末子姫と捨子姫に向かって呼びかけた。そして、自分たちは実は珍の都の松若彦に仕える三五教徒だと明かした。二人は松若彦の内命を奉じて、バラモン教の中に入り込んで内偵をしているのだと語った。
ネロは残りの任務を果たすべく、その場を立ち去った。カールは二人を珍の都に案内することになった。途中、大瀑布の音が聞こえて来た。カールは乾の滝があるという。末子姫は禊を提案した。
カールは乾の滝には大蛇が棲んでいて、そこへ禊に行くのはバラモン教のこの地の教主・石熊だけだと止めた。しかし末子姫は、あの滝の音を聞いてどうしても行きたくなったと言い、カールも案内することになった。
果たして、滝にはすでに石熊が禊に来ていたが、滝の大蛇に魅入られて動けなくなり、正に呑まんとされるところであった。末子姫は大蛇に向かって、大蛇の身魂を慰撫する宣伝歌を歌いだした。
この宣伝歌を聴いた大蛇は涙を流し、末子姫に幾度となく頭を下げると、滝の中に姿を隠した。石熊は身体の自由を取り戻し、三人に対して命を救ってくれた大恩を感謝した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-01-11 19:47:50
OBC :
rm3002
愛善世界社版:
19頁
八幡書店版:
第5輯 579頁
修補版:
校定版:
20頁
普及版:
7頁
初版:
ページ備考:
001
シーナは
何
(
なん
)
となく
恐怖心
(
きようふしん
)
に
駆
(
か
)
られて、
002
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
003
最前
(
さいぜん
)
から
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
話
(
はなし
)
を
寝乍
(
ねなが
)
ら
私
(
ひそ
)
かに
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た
末子姫
(
すゑこひめ
)
、
004
捨子姫
(
すてこひめ
)
は、
005
バラモン
教
(
けう
)
の
石熊
(
いしくま
)
の
部下
(
ぶか
)
、
006
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
を
捉
(
とら
)
へむとしてここに
来
(
きた
)
りし
者
(
もの
)
なる
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
り、
007
上衣
(
うはぎ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ、
008
両人
(
りやうにん
)
はひそかに
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せて
白衣
(
びやくい
)
となり、
009
髪
(
かみ
)
をおどろに
乱
(
みだ
)
して、
010
ダラリと
下
(
さ
)
げ
乍
(
なが
)
ら、
011
二人
(
ふたり
)
一度
(
いちど
)
に
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
を
前
(
まへ
)
に
出
(
だ
)
し、
012
末子姫、捨子姫
『
恨
(
うら
)
めしやなア、
013
高照山
(
たかてるやま
)
の
谷間
(
たにあひ
)
に
於
(
おい
)
て……』
014
と
細
(
ほそ
)
い
悲
(
かな
)
しい
声
(
こゑ
)
でやりかけた。
015
シーナは
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
をチラリと
見
(
み
)
て、
016
イサクを
揺
(
ゆす
)
り
起
(
おこ
)
し、
017
シーナ『オイオイ……イサク
起
(
お
)
きてくれ……
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
018
タツタツ
大変
(
たいへん
)
だー、
019
出
(
で
)
た
出
(
で
)
た、
020
出
(
で
)
たワイのう』
021
と
慄
(
ふる
)
ひおののいて
居
(
ゐ
)
る。
022
チールは
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き、
023
あたりを
見
(
み
)
れば、
024
木
(
き
)
の
茂
(
しげ
)
みの
中
(
なか
)
よりいやらしき
姿
(
すがた
)
の
白衣
(
びやくい
)
を
着
(
つ
)
けた
幽霊
(
いうれい
)
、
025
ボーツと
浮
(
う
)
いた
様
(
やう
)
に
現
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
る。
026
チール『ヤア
此奴
(
こやつ
)
ア
大変
(
たいへん
)
だー。
027
逃
(
に
)
げろ
逃
(
に
)
げろ』
028
と
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひ、
029
イサク、
030
シーナ、
031
チールの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
転
(
こ
)
けつ、
032
まろびつ、
033
命
(
いのち
)
カラガラ
何処
(
いづこ
)
ともなく
逃
(
に
)
げ
散
(
ち
)
つて
了
(
しま
)
つた。
034
カール、
035
ネロの
両人
(
りやうにん
)
は
少
(
すこ
)
しも
騒
(
さわ
)
がず
泰然
(
たいぜん
)
として、
036
二
(
ふた
)
つの
怪
(
あや
)
しき
姿
(
すがた
)
を
暫
(
しばら
)
く
見守
(
みまも
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
037
カール『
失礼
(
しつれい
)
乍
(
なが
)
ら……
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
顕恩城
(
けんおんじやう
)
を
立出
(
たちいで
)
て、
038
固彦
(
かたひこ
)
の
為
(
ため
)
に
捉
(
とら
)
へられ、
039
ここへ
漂着
(
へうちやく
)
遊
(
あそ
)
ばした、
040
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
末子
(
ばつし
)
、
041
末子姫
(
すゑこひめ
)
様
(
さま
)
、
042
侍女
(
じぢよ
)
の
捨子姫
(
すてこひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
両所
(
りやうしよ
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬか?
私
(
わたし
)
は
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
松若彦
(
まつわかひこ
)
様
(
さま
)
に
仕
(
つか
)
へて
居
(
を
)
ります
三五教
(
あななひけう
)
のプロパガンデイースト(
宣伝使
(
せんでんし
)
)で
御座
(
ござ
)
います、
043
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
はネロと
申
(
まを
)
しまして、
044
これもヤツパリ
三五
(
あななひ
)
の
道
(
みち
)
の
信者
(
しんじや
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
045
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
高照山
(
たかてるやま
)
にバラモン
教
(
けう
)
の
一派
(
いつぱ
)
石熊
(
いしくま
)
なる
者
(
もの
)
現
(
あら
)
はれ、
046
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へいろいろと
間者
(
かんじや
)
を
入
(
い
)
り
込
(
こ
)
ませ、
047
転覆
(
てんぷく
)
の
計画
(
けいくわく
)
をめぐらして
居
(
を
)
りますれば、
048
吾々
(
われわれ
)
は
教主
(
けうしゆ
)
松若彦
(
まつわかひこ
)
様
(
さま
)
の
内命
(
ないめい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
049
バラモン
教
(
けう
)
の
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
るべく、
050
バラモンの
信者
(
しんじや
)
となつて、
051
今日迄
(
けふまで
)
暮
(
く
)
れて
来
(
き
)
ました。
052
然
(
しか
)
るに
石熊
(
いしくま
)
の
大将
(
たいしやう
)
の
言葉
(
ことば
)
に、
053
貴女
(
あなた
)
方
(
がた
)
が
今明日
(
こんみやうにち
)
の
内
(
うち
)
に、
054
海原
(
うなばら
)
を
渡
(
わた
)
りハラの
港
(
みなと
)
へ
御
(
ご
)
上陸
(
じやうりく
)
遊
(
あそ
)
ばし、
055
珍
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
へお
越
(
こ
)
しになるに
相違
(
さうゐ
)
ない。
056
もしも
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へ
両人
(
りやうにん
)
が
乗込
(
のりこ
)
んだが
最後
(
さいご
)
バラモン
教
(
けう
)
に
対
(
たい
)
し、
057
大変
(
たいへん
)
なる
強敵
(
きやうてき
)
が
出来
(
でき
)
るやうなものだから、
058
テル
山峠
(
やまたうげ
)
に
見張
(
みは
)
りをして、
059
両人
(
りやうにん
)
を
引捉
(
ひつとら
)
へ、
060
高照山
(
たかてるやま
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
れとの
命令
(
めいれい
)
、
061
日頃
(
ひごろ
)
の
吾々
(
われわれ
)
両人
(
りやうにん
)
が
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
するのは、
062
今此時
(
いまこのとき
)
と
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで、
063
一行
(
いつかう
)
の
中
(
なか
)
に
加
(
くは
)
はり
此処迄
(
ここまで
)
やつて
来
(
き
)
ました
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います』
064
ネロ『
私
(
わたし
)
も
貴女
(
あなた
)
方
(
がた
)
御
(
ご
)
一行
(
いつかう
)
の
此処
(
ここ
)
にお
休
(
やす
)
みと
云
(
い
)
ふことを、
065
ゆくりなくも
月
(
つき
)
にてらして
悟
(
さと
)
りました
故
(
ゆゑ
)
、
066
ワザとシーナの
旧悪
(
きうあく
)
を
知悉
(
ちしつ
)
してゐるのを
幸
(
さいは
)
ひ、
067
おどして
逃
(
に
)
がさむかと
考
(
かんが
)
へ、
068
いろいろの
話
(
はなし
)
を
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
聞
(
きこ
)
えよがしに
申上
(
まをしあ
)
げました。
069
早速
(
さつそく
)
の
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
の
頓智
(
とんち
)
によりて、
070
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
者共
(
ものども
)
は、
071
あの
通
(
とほ
)
り
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せまして
御座
(
ござ
)
います。
072
最早
(
もはや
)
一安心
(
ひとあんしん
)
で
御座
(
ござ
)
います。
073
サア
是
(
これ
)
からカールさまと
此
(
この
)
峠
(
たうげ
)
を
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
に、
074
お
疲労
(
くたびれ
)
でせうが、
075
仮令
(
たとへ
)
少
(
すこ
)
しでも
構
(
かま
)
ひませぬから、
076
御
(
お
)
登
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
さいませ。
077
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
つた
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
が、
078
もしや
後返
(
あとがへ
)
りをして
来
(
き
)
ましては、
079
都合
(
つがふ
)
が
悪
(
わる
)
う
御座
(
ござ
)
いますから、
080
是
(
これ
)
から
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ、
081
無事
(
ぶじ
)
にお
二人
(
ふたり
)
様
(
さま
)
が
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
へ
御
(
ご
)
到着
(
たうちやく
)
遊
(
あそ
)
ばす
様
(
やう
)
に、
082
牽制
(
けんせい
)
運動
(
うんどう
)
を
致
(
いた
)
しませう』
083
末子
(
すゑこ
)
『あゝ、
084
あなたは
三五教
(
あななひけう
)
の
御
(
お
)
方
(
かた
)
で
御座
(
ござ
)
いますか?
能
(
よ
)
うマア
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
有難
(
ありがた
)
う
御座
(
ござ
)
います。
085
仮令
(
たとへ
)
十
(
じふ
)
人
(
にん
)
や
二十
(
にじふ
)
人
(
にん
)
、
086
押寄
(
おしよ
)
せ
来
(
きた
)
る
共
(
とも
)
、
087
妾
(
わたし
)
に
於
(
おい
)
ては
別
(
べつ
)
に
心配
(
しんぱい
)
でも
御座
(
ござ
)
いませぬが、
088
いらぬ
殺生
(
せつしやう
)
を
致
(
いた
)
すよりも、
089
無事
(
ぶじ
)
に
目的地
(
もくてきち
)
へ
参
(
まゐ
)
れましたならば
自他
(
じた
)
共
(
とも
)
に
是程
(
これほど
)
結構
(
けつこう
)
な
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ』
090
捨子『
私
(
わたし
)
は
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
侍女
(
じぢよ
)
捨子姫
(
すてこひめ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
091
何分
(
なにぶん
)
不束
(
ふつつか
)
な
者
(
もの
)
故
(
ゆゑ
)
、
092
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
を
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
します』
093
ネロ『
左様
(
さやう
)
ならばこれで
暫
(
しばら
)
く
御
(
お
)
別
(
わか
)
れ
致
(
いた
)
し、
094
後日
(
ごじつ
)
改
(
あらた
)
めて
御
(
お
)
目
(
め
)
にかかりませう』
095
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
つた。
096
カール『お
二方
(
ふたかた
)
様
(
さま
)
、
097
モウ
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
です。
098
サア
私
(
わたし
)
が
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
を
致
(
いた
)
しませう』
099
二女
(
にじよ
)
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う』
100
と
茲
(
ここ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めて、
101
夜露
(
よつゆ
)
したたるテル
山峠
(
やまたうげ
)
を、
102
足
(
あし
)
に
任
(
まか
)
せて
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
103
登
(
のぼ
)
り
八
(
はち
)
里
(
り
)
、
104
降
(
くだ
)
り
八
(
はち
)
里
(
り
)
のテル
山峠
(
やまたうげ
)
の
中央
(
ちうおう
)
にまで
登
(
のぼ
)
り
着
(
つ
)
いた。
105
夜
(
よ
)
は
漸
(
やうや
)
く
明
(
あ
)
け
放
(
はな
)
れたと
見
(
み
)
え、
106
小鳥
(
ことり
)
の
声
(
こゑ
)
盛
(
さかん
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
る。
107
太陽
(
たいやう
)
はすでに
地平線
(
ちへいせん
)
下
(
か
)
を
出
(
い
)
でて、
108
稍
(
やや
)
高
(
たか
)
く
昇
(
のぼ
)
り
玉
(
たま
)
へ
共
(
ども
)
、
109
東
(
ひがし
)
にテル
山
(
やま
)
の
峰
(
みね
)
を
控
(
ひか
)
へたることとて、
110
其
(
その
)
円満
(
ゑんまん
)
な
御
(
おん
)
姿
(
すがた
)
を
拝
(
をが
)
むことは
出来
(
でき
)
なかつた。
111
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
きまはしに
依
(
よ
)
つて、
112
轟々
(
ぐわうぐわう
)
と
響
(
ひび
)
き
来
(
きた
)
る
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
に、
113
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
耳
(
みみ
)
を
欹
(
そばだ
)
て、
114
末子
(
すゑこ
)
『カールさま、
115
大変
(
たいへん
)
な
涼
(
すず
)
し
相
(
さう
)
な
音
(
おと
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
たぢやありませぬか? どこぞ
此
(
この
)
近
(
ちか
)
くに
瀑布
(
たき
)
でも
懸
(
かか
)
つて
居
(
ゐ
)
るのではありますまいか』
116
カール『ハイ、
117
二三丁
(
にさんちやう
)
計
(
ばか
)
り
北
(
きた
)
へ
寄
(
よ
)
りますと、
118
乾
(
いぬゐ
)
の
滝
(
たき
)
と
云
(
い
)
つて、
119
テル
山
(
やま
)
の
谷々
(
たにだに
)
から
集
(
あつ
)
まる、
120
大
(
だい
)
なる
池
(
いけ
)
が
山
(
やま
)
の
中央
(
ちうおう
)
に
在
(
あ
)
り、
121
其
(
その
)
滝
(
たき
)
から
落下
(
らくか
)
する
大瀑布
(
だいばくふ
)
が
布
(
ぬの
)
を
曬
(
さら
)
したる
如
(
ごと
)
くに
懸
(
かか
)
つて
居
(
を
)
ります』
122
末子
(
すゑこ
)
『ズイ
分
(
ぶん
)
長
(
なが
)
らく
潮風
(
しほかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれ、
123
又
(
また
)
大変
(
たいへん
)
な
汗
(
あせ
)
を
掻
(
か
)
きましたから、
124
一
(
ひと
)
つ
道寄
(
みちより
)
をして、
125
お
瀑
(
たき
)
にかかつて
見
(
み
)
たら
如何
(
いかが
)
でせう? なア
捨子姫
(
すてこひめ
)
さま』
126
捨子
(
すてこ
)
『サ、
127
それは
願
(
ねが
)
うてもない
事
(
こと
)
で
御座
(
ござ
)
います。
128
カール
様
(
さま
)
に
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
を
願
(
ねが
)
ひませうか』
129
カール『サア……
一寸
(
ちよつと
)
考
(
かんが
)
へ
物
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
いますなア。
130
あの
乾
(
いぬゐ
)
の
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
の
戌亥
(
いぬゐ
)
の
池
(
いけ
)
には、
131
大変
(
たいへん
)
な
大蛇
(
だいじや
)
が
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
を
)
ります。
132
さうして
大蛇
(
だいじや
)
の
子
(
こ
)
が
始終
(
しじう
)
滝
(
たき
)
の
辺
(
あた
)
りに
徘徊
(
はいくわい
)
を
致
(
いた
)
し、
133
人
(
ひと
)
に
憑
(
つ
)
いたり、
134
或
(
あるひ
)
は
咬付
(
かみつ
)
いたり
致
(
いた
)
しますので、
135
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
は、
136
彼処
(
あこ
)
を
魔神
(
まがみ
)
の
滝
(
たき
)
と
申
(
まを
)
し、
137
誰
(
たれ
)
も
立寄
(
たちよ
)
つた
者
(
もの
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
138
時々
(
ときどき
)
バラモン
教
(
けう
)
の
教主
(
けうしゆ
)
石熊
(
いしくま
)
宣伝使
(
せんでんし
)
が
私
(
ひそ
)
かに
一人
(
ひとり
)
、
139
伴
(
とも
)
をも
連
(
つ
)
れず、
140
滝
(
たき
)
にかかりに
行
(
ゆ
)
かれると
云
(
い
)
ふ
大評判
(
だいへうばん
)
で
御座
(
ござ
)
います。
141
バラモン
教
(
けう
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
、
142
火
(
ひ
)
の
消
(
き
)
えた
様
(
やう
)
な
寂寥
(
せきれう
)
を
来
(
きた
)
して
居
(
を
)
りましたが、
143
石熊
(
いしくま
)
の
教主
(
けうしゆ
)
が
時々
(
ときどき
)
乾
(
いぬゐ
)
の
滝
(
たき
)
に
御
(
ご
)
修行
(
しうげふ
)
にお
出
(
い
)
でになると
云
(
い
)
ふのが
呼物
(
よびもの
)
になつて、
144
数多
(
あまた
)
の
人々
(
ひとびと
)
が
其
(
その
)
神徳
(
しんとく
)
に
感
(
かん
)
じ、
145
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
余程
(
よほど
)
勢力
(
せいりよく
)
を
盛
(
も
)
り
返
(
かへ
)
し、
146
進
(
すす
)
んで
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
近
(
ちか
)
く
迄
(
まで
)
、
147
教館
(
をしへやかた
)
を
張
(
は
)
り、
148
数多
(
あまた
)
の
間者
(
かんじや
)
を
都
(
みやこ
)
に
入
(
い
)
れ、
149
珍
(
うづ
)
の
館
(
やかた
)
の
松若彦
(
まつわかひこ
)
様
(
さま
)
を
往生
(
わうじやう
)
させ、
150
自教
(
じけう
)
の
勢力
(
せいりよく
)
範囲
(
はんゐ
)
に
入
(
い
)
れようとして、
151
いろいろの
計画
(
けいくわく
)
をして
居
(
ゐ
)
るので
御座
(
ござ
)
いますから、
152
もしや
石熊
(
いしくま
)
の
大将
(
たいしやう
)
が
滝
(
たき
)
に
浸
(
ひた
)
るべく
来
(
き
)
て
居
(
を
)
つたならば、
153
却
(
かへつ
)
て
面倒
(
めんだふ
)
が
起
(
おこ
)
りますから、
154
今度
(
こんど
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
此
(
この
)
儘
(
まま
)
道寄
(
みちより
)
りをせず、
155
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
迄
(
まで
)
直行
(
ちよくかう
)
なさつたら、
156
どんなもので
御座
(
ござ
)
いませう。
157
それの
方
(
はう
)
が
第一
(
だいいち
)
に
安全
(
あんぜん
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
158
末子
(
すゑこ
)
『それもさうで
御座
(
ござ
)
いませうが、
159
妾
(
わらは
)
は
何
(
なん
)
となくあの
滝
(
たき
)
の
音
(
おと
)
が
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
つてから、
160
どうしても
一度
(
いちど
)
滝
(
たき
)
が
見
(
み
)
たくなつてたまりませぬ。
161
一寸
(
ちよつと
)
見
(
み
)
る
丈
(
だけ
)
でも
宜
(
よろ
)
しいから、
162
立寄
(
たちよ
)
らうぢやありませぬか』
163
捨子
(
すてこ
)
『カール
様
(
さま
)
、
164
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
おん
)
血
(
ち
)
の
流
(
なが
)
れの
末子姫
(
すゑこひめ
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
ですから、
165
決
(
けつ
)
して
御
(
お
)
案
(
あん
)
じには
及
(
およ
)
びますまい。
166
どうぞ
案内
(
あんない
)
して
下
(
くだ
)
さいませぬか』
167
カール『さう
強
(
た
)
つて
仰有
(
おつしや
)
るならば、
168
これも
惟神
(
かむながら
)
でせう。
169
……サア
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
申
(
まを
)
します』
170
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
171
大木
(
たいぼく
)
の
茂
(
しげ
)
る
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
を
斜
(
ななめ
)
に
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
172
見
(
み
)
れば
幾十丈
(
いくじふぢやう
)
とも
知
(
し
)
れぬ
大岩石
(
だいがんせき
)
の
中央
(
ちうあう
)
を
銀河
(
ぎんが
)
を
縦
(
たて
)
にした
様
(
やう
)
な
大瀑布
(
だいばくふ
)
が
真直
(
まつすぐ
)
に
懸
(
かか
)
り、
173
青
(
あを
)
み
立
(
だ
)
つた
滝壺
(
たきつぼ
)
には
白
(
しろ
)
い
泡
(
あわ
)
が
濛々
(
もうもう
)
として
浮
(
う
)
き
立
(
た
)
ち、
174
実
(
じつ
)
に
涼味
(
りやうみ
)
津々
(
しんしん
)
として
夏
(
なつ
)
の
暑
(
あつ
)
さはどこへやら、
175
俄
(
にはか
)
に
身体
(
しんたい
)
緊張
(
きんちやう
)
し
爽快
(
さうくわい
)
の
思
(
おも
)
ひに
充
(
み
)
たされた。
176
能
(
よ
)
く
能
(
よ
)
く
見
(
み
)
れば、
177
滝
(
たき
)
の
傍
(
かたはら
)
に
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
只一人
(
ただひとり
)
、
178
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せた
儘
(
まま
)
、
179
顔
(
かほ
)
は
真青
(
まつさを
)
になり、
180
唇
(
くちびる
)
は
紫色
(
むらさきいろ
)
に
変
(
かは
)
り、
181
目
(
め
)
計
(
ばか
)
りキヨロつかせ、
182
直立
(
ちよくりつ
)
不動
(
ふどう
)
の
姿勢
(
しせい
)
を
執
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
183
カールは
目敏
(
めざと
)
くも
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
て、
184
『アツ』と
計
(
ばか
)
りに
驚
(
おどろ
)
いたが、
185
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
を
自
(
みづか
)
ら
抑
(
おさ
)
へ、
186
末子姫
(
すゑこひめ
)
の
耳
(
みみ
)
に
口
(
くち
)
を
寄
(
よ
)
せ、
187
カール『モシ、
188
あれを
御覧
(
ごらん
)
なさいませ。
189
あそこに
直立
(
ちよくりつ
)
不動
(
ふどう
)
の
姿勢
(
しせい
)
をとつてる
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
が
居
(
を
)
りませう。
190
あれが
最前
(
さいぜん
)
申
(
まを
)
した、
191
高照山
(
たかてるやま
)
のバラモンの
教主
(
けうしゆ
)
、
192
石熊
(
いしくま
)
の
大将
(
たいしやう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
193
あの
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
から
瞰下
(
かんか
)
してゐる
大蛇
(
をろち
)
の
恐
(
おそ
)
ろしい
眼
(
め
)
……キツと
大蛇
(
をろち
)
に
魅入
(
みい
)
れられ、
194
身体
(
からだ
)
が
動
(
うご
)
けなくなつて
居
(
ゐ
)
るのでせう。
195
こんな
所
(
とこ
)
に
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れです。
196
吾々
(
われわれ
)
もあのやうな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされては
大変
(
たいへん
)
ですから、
197
足許
(
あしもと
)
の
明
(
あか
)
るい
内
(
うち
)
にここを
立去
(
たちさ
)
らうぢやありませぬか?
又
(
また
)
魅入
(
みい
)
れられたら
大変
(
たいへん
)
ですよ!』
198
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
頭
(
かしら
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
199
末子
(
すゑこ
)
『イエイエ、
200
妾
(
わらは
)
も
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
の
娘
(
むすめ
)
、
201
敵
(
てき
)
を
見
(
み
)
て
退却
(
たいきやく
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
到底
(
たうてい
)
忍
(
しの
)
びませぬ。
202
最早
(
もはや
)
乗
(
のり
)
かけた
船
(
ふね
)
、
203
大蛇
(
をろち
)
を
言向
(
ことむけ
)
和
(
やは
)
し、
204
石熊
(
いしくま
)
さまとやらを
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げたら、
205
如何
(
いかが
)
でせう。
206
是
(
これ
)
が
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
職務
(
しよくむ
)
だと
思
(
おも
)
ひます』
207
捨子
(
すてこ
)
『
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
は
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
退治
(
たいぢ
)
の
為
(
ため
)
、
208
世界中
(
せかいぢう
)
を
御
(
お
)
廻
(
まは
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
神務
(
しんむ
)
、
209
就
(
つ
)
いてはお
一人
(
ひとり
)
にては
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
、
210
お
手
(
て
)
が
廻
(
まは
)
らないから、
211
自分
(
じぶん
)
のいたいけな
御
(
お
)
娘子
(
むすめご
)
を、
212
世界
(
せかい
)
へお
遣
(
つか
)
はし
遊
(
あそ
)
ばす
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
を
惟神
(
かむながら
)
的
(
てき
)
に
御
(
お
)
始
(
はじ
)
めなさつて
居
(
を
)
られるのですから、
213
たかが
知
(
し
)
れたあれ
位
(
くらゐ
)
の
大蛇
(
をろち
)
を
恐
(
おそ
)
れるやうな
事
(
こと
)
では、
214
到底
(
たうてい
)
アマゾン
河
(
がは
)
のモールバンドや、
215
醜大蛇
(
しこをろち
)
を
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
退治
(
たいぢ
)
することは
出来
(
でき
)
ますまい。
216
斯様
(
かやう
)
な
所
(
ところ
)
へ
吾々
(
われわれ
)
がお
伴
(
とも
)
をして
参
(
まゐ
)
つたのも、
217
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
引合
(
ひきあは
)
せ……
三五教
(
あななひけう
)
には
敵
(
てき
)
を
見
(
み
)
て、
218
退却
(
たいきやく
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
許
(
ゆる
)
されませぬ。
219
ひとつ
誠一
(
まことひと
)
つの
言霊
(
ことたま
)
を
以
(
もつ
)
て
戦
(
たたか
)
つて
見
(
み
)
やうぢやありませぬか』
220
カール『ぢやと
申
(
まを
)
してそれは
余
(
あんま
)
り
無謀
(
むぼう
)
では
御座
(
ござ
)
いますまいか?
何程
(
なにほど
)
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
があればとて、
221
こちらは
人間
(
にんげん
)
の
身体
(
からだ
)
……
向
(
むか
)
うは
畜生
(
ちくしやう
)
、
222
人間
(
にんげん
)
の
言葉
(
ことば
)
が
分
(
わか
)
る
道理
(
だうり
)
もありますまい。
223
又
(
また
)
外
(
ほか
)
の
人
(
ひと
)
ならば
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
224
極悪
(
ごくあく
)
無道
(
ぶだう
)
のバラモン
教
(
けう
)
の
石熊
(
いしくま
)
の
如
(
ごと
)
き
者
(
もの
)
をお
助
(
たす
)
けになつた
所
(
ところ
)
で
何
(
なん
)
の
功能
(
こうのう
)
もありますまい。
225
天下
(
てんか
)
に
害毒
(
がいどく
)
を
流
(
なが
)
し、
226
人民
(
じんみん
)
を
虐
(
しひた
)
げる
悪人
(
あくにん
)
を
助
(
たす
)
けようものなら、
227
それこそ
天下
(
てんか
)
は
紛乱
(
ふんらん
)
の
止
(
や
)
む
時
(
とき
)
なく、
228
遂
(
つひ
)
には
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
まで
蹂躙
(
じうりん
)
し、
229
良民
(
りやうみん
)
を
虐
(
しへた
)
げ
苦
(
くる
)
しむるは
目
(
ま
)
のあたり、
230
今
(
いま
)
大蛇
(
をろち
)
に
魅
(
み
)
せられて、
231
あの
通
(
とほ
)
り
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
し、
232
今
(
いま
)
や
蛇腹
(
じやふく
)
に
葬
(
ほうむ
)
られむとしてゐるのも
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
で
御座
(
ござ
)
いませう。
233
サアサア、
234
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
らうぢやありませぬか?』
235
末子
(
すゑこ
)
『
如何
(
いか
)
なる
悪人
(
あくにん
)
と
雖
(
いへど
)
も
元
(
もと
)
は
同
(
おな
)
じ
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
分心
(
ぶんしん
)
分体
(
ぶんたい
)
、
236
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
に
敵
(
てき
)
もなければ、
237
吾々
(
われわれ
)
は
仇
(
あだ
)
もないと
深
(
ふか
)
く
存
(
ぞん
)
じて
居
(
を
)
ります。
238
此
(
この
)
惨状
(
さんじやう
)
を
見棄
(
みす
)
てて、
239
如何
(
どう
)
して
吾々
(
われわれ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
が
帰
(
かへ
)
ることが
出来
(
でき
)
ませう。
240
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
に
対
(
たい
)
しても
恥
(
はづ
)
かしくてなりませぬ。
241
是
(
これ
)
より
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
し、
242
大蛇
(
をろち
)
を
帰順
(
きじゆん
)
させ、
243
石熊
(
いしくま
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてやつたら、
244
キツと
善道
(
ぜんだう
)
に
立返
(
たちかへ
)
るでせう。
245
情
(
なさけ
)
は
人
(
ひと
)
の
為
(
ため
)
ならずとか
申
(
まを
)
しまして、
246
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
けておけば、
247
又
(
また
)
自分
(
じぶん
)
も
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
に
依
(
よ
)
つて、
248
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
249
誰
(
たれ
)
かの
手
(
て
)
を
通
(
とほ
)
して
助
(
たす
)
けられるものです。
250
吾々
(
われわれ
)
が
幸
(
さいは
)
ひ、
251
此処
(
ここ
)
に
立現
(
たちあら
)
はれたのも
全
(
まつた
)
く
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
摂理
(
せつり
)
でせう』
252
捨子
(
すてこ
)
『
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
仰
(
あふ
)
せ
御尤
(
ごもつと
)
も……カールさま!
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
りませぬ。
253
キツと
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
させますから、
254
此
(
この
)
場
(
ば
)
は
妾
(
わたし
)
等
(
ら
)
にお
任
(
まか
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
255
カール『
左様
(
さやう
)
なればお
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ひませう』
256
茲
(
ここ
)
に
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
滝
(
たき
)
に
横
(
よこ
)
たはつて、
257
崖下
(
がいか
)
の
石熊
(
いしくま
)
の
身体
(
からだ
)
を
睨
(
にら
)
みつめ、
258
今
(
いま
)
や
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
一呑
(
ひとの
)
みにせむとする
勢
(
いきほひ
)
を
示
(
しめ
)
してゐる
大蛇
(
をろち
)
に
向
(
むか
)
つて、
259
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
聞
(
き
)
かした。
260
末子姫
(
すゑこひめ
)
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
261
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立分
(
たてわ
)
ける
262
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
263
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
264
只
(
ただ
)
何物
(
なにもの
)
も
天地
(
あめつち
)
の
265
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
御水火
(
みいき
)
より
266
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でし
者
(
もの
)
なれば
267
四方
(
よも
)
の
神人
(
しんじん
)
始
(
はじ
)
めとし
268
山河
(
さんか
)
草木
(
さうもく
)
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
269
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
に
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
270
切
(
き
)
つても
切
(
き
)
れぬ
同胞
(
はらから
)
よ
271
数多
(
あまた
)
同胞
(
はらから
)
ある
中
(
なか
)
に
272
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
273
受
(
う
)
けて
生
(
うま
)
れし
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
274
秀
(
すぐ
)
れて
尊
(
たふと
)
きものぞかし
275
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
276
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
277
乾
(
いぬゐ
)
の
池
(
いけ
)
に
潜
(
ひそ
)
むなる
278
これの
大蛇
(
をろち
)
の
魂
(
たましひ
)
に
279
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
をば
280
かけさせ
玉
(
たま
)
ひて
天地
(
あめつち
)
の
281
守
(
まも
)
りの
神
(
かみ
)
と
逸早
(
いちはや
)
く
282
神徳
(
しんとく
)
充
(
み
)
たせ
玉
(
たま
)
はれよ
283
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
あ
)
れませる
284
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
は
285
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
国中
(
くになか
)
に
286
さやれる
八岐
(
やまた
)
の
大蛇
(
をろち
)
をば
287
誠
(
まこと
)
の
剣
(
つるぎ
)
抜
(
ぬ
)
き
持
(
も
)
たし
288
恵
(
めぐみ
)
の
玉
(
たま
)
を
光
(
ひか
)
らせて
289
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
を
悉
(
ことごと
)
く
290
服従
(
まつろ
)
ひ
和
(
やは
)
し
玉
(
たま
)
ふなり
291
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
末
(
すゑ
)
の
子
(
こ
)
と
292
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でたる
末子姫
(
すゑこひめ
)
293
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
を
立出
(
たちい
)
でて
294
大海原
(
おほうなばら
)
を
漕
(
こ
)
ぎ
渡
(
わた
)
り
295
漸
(
やうや
)
くここに
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
296
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
297
御稜威
(
みいづ
)
も
高
(
たか
)
き
高照
(
たかてる
)
の
298
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
宮柱
(
みやはしら
)
299
太
(
ふと
)
しく
立
(
た
)
てて
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
300
伝
(
つた
)
へ
玉
(
たま
)
へる
石熊
(
いしくま
)
の
301
尊
(
たふと
)
き
清
(
きよ
)
き
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
302
仮令
(
たとへ
)
教理
(
けうり
)
は
変
(
かは
)
る
共
(
とも
)
303
世人
(
よびと
)
を
思
(
おも
)
ふ
真心
(
まごころ
)
は
304
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
胸
(
むね
)
に
違
(
たが
)
ふまじ
305
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
る
共
(
とも
)
曇
(
くも
)
る
共
(
とも
)
306
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つ
共
(
とも
)
虧
(
か
)
くる
共
(
とも
)
307
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
む
共
(
とも
)
308
世界
(
せかい
)
を
思
(
おも
)
ふ
真心
(
まごころ
)
に
309
いかでか
差別
(
けじめ
)
あらざらむ
310
万
(
よろづ
)
の
物
(
もの
)
の
霊長
(
れいちやう
)
と
311
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
を
312
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
の
現
(
あら
)
はれて
313
呑
(
の
)
まむとするは
何事
(
なにごと
)
ぞ
314
森羅
(
しんら
)
万象
(
ばんしやう
)
悉
(
ことごと
)
く
315
完美
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
守
(
まも
)
ります
316
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
317
叶
(
かな
)
はぬ
汝
(
なんぢ
)
が
振舞
(
ふるまひ
)
を
318
わが
言霊
(
ことたま
)
を
聞分
(
ききわ
)
けて
319
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
改
(
あらた
)
めよ
320
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
身辺
(
しんぺん
)
を
321
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
守
(
まも
)
ります
322
其
(
その
)
神恩
(
しんおん
)
を
知
(
し
)
らずして
323
神
(
かみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
の
石熊
(
いしくま
)
を
324
只
(
ただ
)
一口
(
ひとくち
)
に
呑
(
の
)
まむとは
325
天地
(
てんち
)
許
(
ゆる
)
さぬ
醜業
(
しこわざ
)
ぞ
326
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
よ
長神
(
ながかみ
)
よ
327
今日
(
けふ
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
328
生命
(
いのち
)
の
亡
(
ほろ
)
ぶ
瀬戸際
(
せとぎは
)
ぞ
329
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
服従
(
まつろ
)
ひて
330
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を
正覚
(
しやうかく
)
し
331
醜
(
しこ
)
の
身体
(
からだ
)
を
脱出
(
だつしゆつ
)
し
332
うつしき
女神
(
めがみ
)
の
体
(
たい
)
となり
333
高天原
(
たかあまはら
)
に
昇
(
のぼ
)
りませ
334
吾
(
わ
)
れは
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
末子姫
(
すゑこひめ
)
335
天
(
てん
)
に
代
(
かは
)
りて
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
336
依
(
よ
)
さし
玉
(
たま
)
ひし
言霊
(
ことたま
)
を
337
汝
(
なんぢ
)
の
為
(
ため
)
に
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
338
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
339
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
340
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
れば、
341
今迄
(
いままで
)
形相
(
げうさう
)
凄
(
すさま
)
じく、
342
石熊
(
いしくま
)
を
一呑
(
ひとの
)
みにせむと
身構
(
みがま
)
へ
居
(
ゐ
)
たりし
大蛇
(
をろち
)
は、
343
両眼
(
りやうがん
)
より
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
き
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し、
344
幾度
(
いくど
)
となく
末子姫
(
すゑこひめ
)
に
向
(
むか
)
つて
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げ、
345
感謝
(
かんしや
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
しつつ、
346
巨大
(
きよだい
)
なる
姿
(
すがた
)
を
滝
(
たき
)
の
中
(
なか
)
に
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
347
今迄
(
いままで
)
大蛇
(
をろち
)
に
魅入
(
みい
)
れられ、
348
身体
(
しんたい
)
強直
(
きやうちよく
)
して
身動
(
みうご
)
きもならなかつた
石熊
(
いしくま
)
は
直
(
ただち
)
に
身体
(
しんたい
)
の
自由
(
じいう
)
を
得
(
え
)
、
349
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
両眼
(
りやうがん
)
に
垂
(
た
)
らしつつ、
350
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
手
(
て
)
をついて
救命
(
きうめい
)
の
大恩
(
たいおん
)
を
感謝
(
かんしや
)
するのであつた。
351
(
大正一一・八・一四
旧六・二二
松村真澄
録)
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