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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第30巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 高砂の松
第1章 主従二人
第2章 乾の滝
第3章 清めの滝
第4章 懐旧の歌
第2篇 珍野瞰下
第5章 下坂の歌
第6章 樹下の一宿
第7章 提燈の光
第8章 露の道
第3篇 神縁微妙
第9章 醜の言霊
第10章 妖雲晴
第11章 言霊の妙
第12章 マラソン競争
第13章 都入
第4篇 修理固成
第14章 霊とパン
第15章 花に嵐
第16章 荒しの森
第17章 出陣
第18章 日暮シの河
第19章 蜘蛛の児
第20章 雉と町
第5篇 山河動乱
第21章 神王の祠
第22章 大蜈蚣
第23章 ブール酒
第24章 陥穽
附記 湯ケ島温泉
附記 天津祝詞解
附記 デモ国民歌
余白歌
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霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
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第30巻(巳の巻)
> 第3篇 神縁微妙 > 第9章 醜の言霊
<<< 露の道
(B)
(N)
妖雲晴 >>>
第九章
醜
(
しこ
)
の
言霊
(
ことたま
)
〔八五一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
篇:
第3篇 神縁微妙
よみ(新仮名遣い):
しんえんびみょう
章:
第9章 醜の言霊
よみ(新仮名遣い):
しこのことたま
通し章番号:
851
口述日:
1922(大正11)年08月15日(旧06月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
テル高山の幾百千の谷から流れてくる水が集まる巽の池は、底知らずの池と唱えられ、ときどき風もないのに池のここかしこに波が逆巻き水煙が天に沖するという尋常ならざる場所であった。
一行が池に近づくと、にわかに天はかき曇り、波の音は轟然として身の毛もよだつばかりとなってきた。末子姫は石熊に向かい、ここに来るまでにカールから周到な注意があったが、いったん許した限りは大蛇退治の大役を取り消すわけにはいかないと、言霊戦の開始を促した。
石熊は真っ青になり、唇を震わせて弱音を吐き、辞退を申し出た。末子姫は姿勢をただし、荘重な口調にて石熊を叱り活を入れた。石熊はぜひなく頭を掻いて大役を了承した。カールは石熊をからかうが、末子姫に一喝されて口を閉じた。
石熊は池の面をじっと見つめると、大蛇を帰順させるための言霊歌を歌い始めた。石熊の歌は自分の強さや偉大さを前面に押し出し、自らの言霊に大蛇をまつろわせようとするものであった。
しかし雲はますます舞い下がり、水面は波高く、雨はつぶてのように池の面に降り注いでいた。カールは石熊の言霊が威力を表さないことをからかった。石熊は心中不安に思いながら、空元気をつけている。
末子姫は石熊に、宣り直しを促した。石熊は早くも末子姫に助けを求めている。末子姫とカールに活を入れられて、石熊は再び言霊を宣りはじめたが、池の波はますます激しく、筆舌に尽くしがたいほどになってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-01-21 18:12:06
OBC :
rm3009
愛善世界社版:
109頁
八幡書店版:
第5輯 611頁
修補版:
校定版:
117頁
普及版:
42頁
初版:
ページ備考:
001
テル
高山
(
かうざん
)
の
百谷
(
ももたに
)
千谷
(
ちたに
)
より
流
(
なが
)
れ
集
(
あつ
)
まる
巽
(
たつみ
)
の
大池
(
おほいけ
)
は、
002
紺碧
(
こんぺき
)
の
波
(
なみ
)
を
湛
(
たた
)
へ、
003
底
(
そこ
)
知
(
し
)
らずの
池
(
いけ
)
と
称
(
とな
)
へられ、
004
時々
(
ときどき
)
風
(
かぜ
)
もなきに、
005
池中
(
ちちう
)
の
此処
(
ここ
)
彼処
(
かしこ
)
に、
006
波
(
なみ
)
の
円
(
ゑん
)
を
画
(
えが
)
き、
007
鯨
(
くぢら
)
が
潮
(
うしほ
)
を
吐
(
は
)
く
如
(
ごと
)
き
水煙
(
みづけぶり
)
、
008
天
(
てん
)
に
沖
(
ちう
)
する
凄
(
すさま
)
じさ、
009
普通
(
ふつう
)
の
池
(
いけ
)
にあらざる
事
(
こと
)
は
之
(
これ
)
を
見
(
み
)
ても
知
(
し
)
らるるのである。
010
末子姫
(
すゑこひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
漸
(
やうや
)
くにして、
011
少
(
すこ
)
しく
街道
(
かいだう
)
を
右
(
みぎ
)
に
取
(
と
)
り
問題
(
もんだい
)
の
巽
(
たつみ
)
の
池
(
いけ
)
の
畔
(
ほとり
)
に
着
(
つ
)
いた。
012
今迄
(
いままで
)
晃々
(
くわうくわう
)
と
輝
(
かがや
)
き
玉
(
たま
)
ひし
天津
(
あまつ
)
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
は
黒雲
(
くろくも
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
013
雲
(
くも
)
は
次第
(
しだい
)
に
濃厚
(
のうこう
)
の
度
(
ど
)
を
増
(
ま
)
し、
014
追々
(
おひおひ
)
低下
(
ていか
)
して
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
は
池
(
いけ
)
の
近辺
(
きんぺん
)
に
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
た。
015
形勢
(
けいせい
)
容易
(
ようい
)
ならざる
恐怖
(
きようふ
)
と
暗澹
(
あんたん
)
の
幕
(
まく
)
は
下
(
お
)
りた。
016
波
(
なみ
)
の
音
(
おと
)
は
轟然
(
ぐわうぜん
)
として、
017
百雷
(
ひやくらい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
轟
(
とどろ
)
く
如
(
ごと
)
く、
018
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
もよだつ
計
(
ばか
)
りである。
019
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
石熊
(
いしくま
)
に
向
(
むか
)
ひ、
020
末子
(
すゑこ
)
『
石熊
(
いしくま
)
さま、
021
ここへ
参
(
まゐ
)
る
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
て、
022
カールさまの
周到
(
しうたう
)
なる
御
(
ご
)
注意
(
ちうい
)
が
御座
(
ござ
)
いました。
023
されど
妾
(
わらは
)
が
口
(
くち
)
より
一旦
(
いつたん
)
許
(
ゆる
)
した
以上
(
いじやう
)
は
取消
(
とりけ
)
す
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませぬ。
024
又
(
また
)
あなたも
折角
(
せつかく
)
の
希望
(
きばう
)
を
中途
(
ちうと
)
に
放棄
(
はうき
)
遊
(
あそ
)
ばすのも、
025
御
(
ご
)
無念
(
むねん
)
でせう。
026
サアどうぞあなた、
027
先陣
(
せんぢん
)
を
勤
(
つと
)
めて
下
(
くだ
)
さいませ』
028
石熊
(
いしくま
)
は
真青
(
まつさを
)
になり、
029
唇
(
くちびる
)
をビリビリ
慄
(
ふる
)
はせ、
030
歯
(
は
)
をガチガチと
鳴
(
な
)
らせ
乍
(
なが
)
ら、
031
石熊
(
いしくま
)
『ハイ、
032
アヽ
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます。
033
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
はさう
思
(
おも
)
ひましたけれど、
034
途中
(
とちう
)
に
於
(
おい
)
てカールさまの
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
を
承
(
うけたま
)
はり、
035
如何
(
いか
)
にもまだ
身魂
(
みたま
)
の
研
(
みが
)
けない
吾々
(
われわれ
)
、
036
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
さまを
差
(
さし
)
おき、
037
先陣
(
せんぢん
)
の
功
(
こう
)
を
贏
(
か
)
ち
得
(
え
)
ようなどとは、
038
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
不心得
(
ふこころえ
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
039
どうぞ
是
(
これ
)
計
(
ばか
)
りは
御
(
お
)
取消
(
とりけ
)
しを
御
(
お
)
願
(
ねが
)
ひ
申
(
まを
)
します』
040
と
半泣
(
はんな
)
きになつて
断
(
ことわ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
041
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
可笑
(
をか
)
しさを
怺
(
こら
)
へ、
042
ワザと
姿勢
(
しせい
)
を
正
(
ただ
)
し、
043
言葉
(
ことば
)
も
荘重
(
さうちよう
)
に、
044
末子
(
すゑこ
)
『
石熊
(
いしくま
)
さま!
宣伝使
(
せんでんし
)
の
言葉
(
ことば
)
に
取消
(
とりけし
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
045
三五教
(
あななひけう
)
には
難
(
なん
)
を
見
(
み
)
て
退却
(
たいきやく
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
046
又
(
また
)
初一念
(
しよいちねん
)
を
貫徹
(
くわんてつ
)
するのは、
047
男子
(
だんし
)
たる
者
(
もの
)
の
本分
(
ほんぶん
)
で
御座
(
ござ
)
いませう』
048
とまだ
歳若
(
としわか
)
き、
049
花
(
はな
)
なれば
莟
(
つぼみ
)
の
末子姫
(
すゑこひめ
)
にきめつけられ、
050
返
(
かへ
)
す
言葉
(
ことば
)
もなく、
051
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
き
乍
(
なが
)
ら、
052
石熊
(
いしくま
)
『ハイ……
左様
(
さやう
)
ならば
仰
(
あふ
)
せに
従
(
したが
)
ひ、
053
言霊
(
ことたま
)
を……ハヽ
発射
(
はつしや
)
致
(
いた
)
しませう』
054
カール『アハヽヽヽ、
055
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い、
056
石熊
(
いしくま
)
さまの
抜群
(
ばつぐん
)
の
功名
(
かうみやう
)
、
057
ドレ
中立
(
ちうりつ
)
地帯
(
ちたい
)
に
身
(
み
)
を
置
(
お
)
いて、
058
今日
(
けふ
)
の
戦闘
(
せんとう
)
を
観戦
(
くわんせん
)
致
(
いた
)
しませう……
石熊
(
いしくま
)
さま!シツカリ
頼
(
たの
)
みますよ。
059
胴
(
どう
)
を
据
(
す
)
えてお
掛
(
かか
)
りなさい、
060
腹帯
(
はらおび
)
もシツカリ
締
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
なさらぬと、
061
産後
(
さんご
)
は
逆上
(
ぎやくじやう
)
の
虞
(
おそれ
)
がありますから、
062
取上
(
とりあ
)
げ
婆
(
ばば
)
アでも
呼
(
よ
)
んで
来
(
き
)
ませうか、
063
モルヒネ
注射
(
ちうしや
)
の
用意
(
ようい
)
でもしておきませうかなア アハヽヽヽ』
064
末子
(
すゑこ
)
『コレ、
065
カールさま!
暫
(
しばら
)
く
御
(
お
)
控
(
ひか
)
えなされませ』
066
カール『ハイ、
067
キツと
謹慎
(
きんしん
)
致
(
いた
)
します』
068
捨子
(
すてこ
)
『
大分
(
だいぶん
)
に
大蛇
(
をろち
)
の
方
(
はう
)
も
戦闘
(
せんとう
)
準備
(
じゆんび
)
が
調
(
ととの
)
ふたと
見
(
み
)
えまして、
069
黒雲
(
くろくも
)
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
み、
070
荒波
(
あらなみ
)
立
(
たち
)
さわぎ、
071
大粒
(
おほつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
はパラパラやつて
来
(
き
)
ました。
072
第一
(
だいいち
)
此
(
この
)
雲
(
くも
)
を
打払
(
うちはら
)
ひ、
073
言霊
(
ことたま
)
によつて
雨
(
あめ
)
を
止
(
とど
)
め
次
(
つい
)
で
大蛇
(
をろち
)
の
帰順
(
きじゆん
)
と
云
(
い
)
ふ
段取
(
だんどり
)
に
願
(
ねが
)
ひます』
074
石熊
(
いしくま
)
『ハイ、
075
そんなら
取
(
と
)
つときの
勇気
(
ゆうき
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して、
076
一
(
ひと
)
つ
奮戦
(
ふんせん
)
激闘
(
げきとう
)
致
(
いた
)
して
見
(
み
)
ませう』
077
と
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
をジツと
鎮
(
しづ
)
め、
078
大蛇
(
をろち
)
の
帰順歌
(
きじゆんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めたり。
079
石熊
『
巽
(
たつみ
)
の
池
(
いけ
)
に
潜
(
ひそ
)
みたる
080
醜
(
しこ
)
の
大蛇
(
をろち
)
よ
能
(
よ
)
つく
聞
(
き
)
け
081
今
(
いま
)
は
昨日
(
きのふ
)
の
俺
(
おれ
)
でない
082
乾
(
いぬゐ
)
の
池
(
いけ
)
に
巣
(
す
)
を
構
(
かま
)
へ
083
貴様
(
きさま
)
の
牡
(
おす
)
が
滝
(
たき
)
の
上
(
うへ
)
084
俺
(
おれ
)
の
水行
(
みづげう
)
を
睨
(
ね
)
めつけて
085
野心
(
やしん
)
を
企
(
たく
)
んで
居
(
を
)
りよつた
086
バラモン
教
(
けう
)
の
神司
(
かむづかさ
)
087
心
(
こころ
)
も
固
(
かた
)
き
石熊
(
いしくま
)
は
088
腕節
(
うでふし
)
までも
固
(
かた
)
いぞよ
089
大蛇
(
をろち
)
の
奴
(
やつ
)
が
口
(
くち
)
あけて
090
でかい
目玉
(
めだま
)
を
剥
(
む
)
き
乍
(
なが
)
ら
091
猪口才
(
ちよこざい
)
千万
(
せんばん
)
一呑
(
ひとの
)
みと
092
狙
(
ねら
)
つてゐよる
可笑
(
をか
)
しさよ
093
直立
(
ちよくりつ
)
不動
(
ふどう
)
の
姿勢
(
しせい
)
にて
094
大蛇
(
をろち
)
も
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い
鬼
(
おに
)
も
来
(
こ
)
い
095
仮令
(
たとへ
)
千匹
(
せんびき
)
万匹
(
まんびき
)
一度
(
いちど
)
に
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り
096
俺
(
おれ
)
に
向
(
むか
)
つて
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
共
(
とも
)
097
何
(
なに
)
をか
恐
(
をそ
)
れむ
高照山
(
たかてるやま
)
の
098
流
(
なが
)
れも
清
(
きよ
)
き
谷
(
たに
)
あひに
099
教
(
をしへ
)
の
館
(
やかた
)
を
広
(
ひろ
)
く
建
(
た
)
て
100
教主
(
けうしゆ
)
の
君
(
きみ
)
と
仰
(
あふ
)
がれた
101
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
の
豪傑
(
がうけつ
)
ぞ
102
バラモン
教
(
けう
)
の
司
(
つかさ
)
さへ
103
是丈
(
これだけ
)
勇気
(
ゆうき
)
が
有
(
あ
)
るものを
104
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めたる
105
三五教
(
あななひけう
)
の
主宰神
(
しゆさいしん
)
106
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
107
珍
(
うづ
)
の
御弟子
(
みでし
)
となつた
俺
(
おれ
)
108
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
あ
)
れませる
109
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
110
珍
(
うづ
)
の
御
(
おん
)
子
(
こ
)
の
末子姫
(
すゑこひめ
)
111
言霊
(
ことたま
)
すぐれさせ
玉
(
たま
)
ふ
112
貴
(
たふと
)
きお
方
(
かた
)
の
弟子
(
でし
)
となり
113
只今
(
ただいま
)
茲
(
ここ
)
に
向
(
むか
)
うたり
114
昨日
(
きのふ
)
も
強
(
つよ
)
く
出
(
で
)
たけれど
115
今日
(
けふ
)
は
一層
(
いつそう
)
強
(
つよ
)
いぞや
116
神力
(
しんりき
)
無双
(
むさう
)
の
石熊
(
いしくま
)
が
117
天
(
あま
)
の
沼矛
(
ぬほこ
)
を
振
(
ふ
)
りまはし
118
宣
(
の
)
る
言霊
(
ことたま
)
を
味
(
あぢ
)
はひて
119
早
(
はや
)
く
兜
(
かぶと
)
を
脱
(
ぬ
)
ぐがよい
120
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
121
善神
(
ぜんしん
)
邪神
(
じやしん
)
を
立
(
たて
)
わける
122
悪
(
あく
)
の
企
(
たく
)
みは
何時
(
いつ
)
までも
123
続
(
つづ
)
きはせないと
心得
(
こころえ
)
て
124
お
前
(
まへ
)
も
心
(
こころ
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
125
早
(
はや
)
く
解脱
(
げだつ
)
をするがよい
126
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
127
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
128
大蛇
(
をろち
)
の
魔術
(
まじゆつ
)
に
包
(
つつ
)
みたる
129
八重
(
やへ
)
の
黒雲
(
くろくも
)
打払
(
うちはら
)
ひ
130
礫
(
つぶて
)
の
様
(
やう
)
な
此
(
この
)
雨
(
あめ
)
を
131
早
(
はや
)
く
晴
(
は
)
らさせ
玉
(
たま
)
へかし
132
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
133
心
(
こころ
)
も
体
(
からだ
)
も
石熊
(
いしくま
)
が
134
鉄石心
(
てつせきしん
)
を
発揮
(
はつき
)
して
135
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
136
恵
(
めぐみ
)
に
救
(
すく
)
ひ
与
(
あた
)
へむと
137
いよいよ
此処
(
ここ
)
に
向
(
むか
)
うたり
138
お
前
(
まへ
)
は
大蛇
(
をろち
)
の
牝
(
めす
)
だらう
139
牡
(
おす
)
の
大蛇
(
をろち
)
は
末子姫
(
すゑこひめ
)
140
宣
(
の
)
らせ
玉
(
たま
)
ひし
言霊
(
ことたま
)
に
141
嬉
(
うれ
)
し
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
しつつ
142
畜生
(
ちくしやう
)
仲間
(
なかま
)
を
解脱
(
げだつ
)
して
143
天
(
てん
)
にいそいそ
昇
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
144
さぞ
今頃
(
いまごろ
)
は
天上
(
てんじやう
)
の
145
神
(
かみ
)
の
御許
(
みもと
)
に
参上
(
まゐのぼ
)
り
146
高天
(
たかま
)
の
原
(
はら
)
に
安々
(
やすやす
)
と
147
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
右
(
みぎ
)
に
座
(
ざ
)
し
148
下界
(
げかい
)
を
覗
(
のぞ
)
き
居
(
ゐ
)
るであらう
149
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
150
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
151
言霊戦
(
ことたません
)
を
開始
(
かいし
)
する
152
俺
(
おれ
)
の
言葉
(
ことば
)
が
分
(
わか
)
らねば
153
お
前
(
まへ
)
の
勝手
(
かつて
)
にするがよい
154
心
(
こころ
)
一
(
ひと
)
つの
持様
(
もちやう
)
で
155
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
苦
(
くる
)
しう
暮
(
くら
)
さうと
156
勇
(
いさ
)
んで
楽
(
らく
)
に
暮
(
くら
)
さうと
157
天
(
てん
)
に
昇
(
のぼ
)
つて
神
(
かみ
)
となり
158
世
(
よ
)
を
安々
(
やすやす
)
と
渡
(
わた
)
らうと
159
何時
(
いつ
)
まで
池
(
いけ
)
の
底
(
そこ
)
に
棲
(
す
)
み
160
日
(
ひ
)
に
三熱
(
さんねつ
)
と
三寒
(
さんかん
)
の
161
悩
(
なや
)
みを
受
(
う
)
けて
何時迄
(
いつまで
)
も
162
悩
(
なや
)
み
暮
(
くら
)
さうとお
前
(
まへ
)
の
心
(
こころ
)
の
胸
(
むね
)
一
(
ひと
)
つ
163
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
するがよい
164
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
165
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
166
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
167
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
168
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
169
青人草
(
あをひとぐさ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
170
大蛇
(
をろち
)
や
鬼
(
おに
)
の
霊
(
みたま
)
まで
171
安
(
やす
)
きに
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けます
172
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
喜
(
よろこ
)
んで
173
吾
(
わが
)
言霊
(
ことたま
)
に
服従
(
まつろ
)
へよ
174
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
175
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
176
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
177
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
言霊
(
ことたま
)
で
178
生命
(
いのち
)
の
続
(
つづ
)
く
其
(
その
)
限
(
かぎ
)
り
179
俺
(
おれ
)
はお
前
(
まへ
)
を
助
(
たす
)
けにやおかぬ
180
俺
(
おれ
)
の
尊
(
たふと
)
い
真心
(
まごころ
)
を
181
よく
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
つて
逸早
(
いちはや
)
く
182
天
(
あめ
)
の
八重雲
(
やへくも
)
吹
(
ふ
)
きはらし
183
怪
(
あや
)
しき
雨
(
あめ
)
を
降
(
ふ
)
り
止
(
や
)
めて
184
再
(
ふたた
)
び
天津
(
あまつ
)
御光
(
みひか
)
りを
185
現
(
あら
)
はし
奉
(
まつ
)
れ
醜大蛇
(
しこをろち
)
186
お
前
(
まへ
)
を
救
(
すく
)
ふ
真心
(
まごころ
)
の
187
あふれて
茲
(
ここ
)
に
池
(
いけ
)
の
水
(
みづ
)
188
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐみ
)
を
汲
(
く
)
み
取
(
と
)
れよ
189
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
190
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
191
と
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
つた。
192
何故
(
なにゆゑ
)
か
雲
(
くも
)
は
益々
(
ますます
)
舞
(
ま
)
ひさがり
水面
(
すゐめん
)
はいよいよ
波
(
なみ
)
高
(
たか
)
く、
193
雨
(
あめ
)
は
礫
(
つぶて
)
の
如
(
ごと
)
くポツリポツリと
所
(
ところ
)
まんだらに、
194
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
に
小石
(
こいし
)
を
投
(
な
)
げたやうな
波紋
(
はもん
)
を
印
(
いん
)
して
降
(
ふ
)
り
注
(
そそ
)
いでゐる。
195
されど
不思議
(
ふしぎ
)
にも、
196
一行
(
いつかう
)
七
(
しち
)
人
(
にん
)
の
肉体
(
にくたい
)
には
一粒
(
ひとつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
もかからなかつた。
197
カール『アハヽヽヽ、
198
なんとマアよう
利
(
き
)
く
言霊
(
ことたま
)
ですなア。
199
お
前
(
まへ
)
さまが
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
する
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に
戦
(
たたか
)
ひ
益々
(
ますます
)
酣
(
たけなは
)
なりといふ
調子
(
てうし
)
で、
200
波
(
なみ
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
高
(
たか
)
まつて
来
(
く
)
る、
201
雲
(
くも
)
は
追々
(
おひおひ
)
濃厚
(
のうこう
)
となる、
202
大粒
(
おほつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は
刻々
(
こくこく
)
に
繁
(
しげ
)
く
降
(
ふ
)
つて
来
(
く
)
る、
203
何
(
なん
)
と
言霊
(
ことたま
)
も
使
(
つか
)
ひ
手
(
て
)
に
依
(
よ
)
つては、
204
どうでもなるものだなア! こんな
男
(
をとこ
)
に
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
させるのは、
205
丁度
(
ちやうど
)
気違
(
きちがひ
)
に
松明
(
たいまつ
)
を
持
(
も
)
たして、
206
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
した
様
(
やう
)
なものだ、
207
危険
(
きけん
)
至極
(
しごく
)
で
見
(
み
)
て
居
(
を
)
られない。
208
それだから
俺
(
おれ
)
が
道々
(
みちみち
)
御
(
ご
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
したら
宜
(
よ
)
からうと、
209
忠告
(
ちうこく
)
を
与
(
あた
)
へてやつたのだ、
210
いらぬチヨツカイを
出
(
だ
)
して、
211
いい
恥
(
はぢ
)
をかいたものだなア。
212
俺
(
おれ
)
はどうかしてお
前
(
まへ
)
に
失敗
(
しつぱい
)
をさせともないと
思
(
おも
)
つて、
213
止
(
と
)
めたのだよ。
214
要
(
えう
)
するに
抜
(
ぬ
)
かぬ
太刀
(
たち
)
の
功名
(
こうみやう
)
をさせてやりたかつたばかりだ。
215
世界一
(
せかいいち
)
の
力
(
ちから
)
の
強
(
つよ
)
い
角力
(
すまう
)
の
神
(
かみ
)
さま、
216
摩利支
(
まりし
)
天
(
てん
)
にだつて、
217
一度
(
いちど
)
も
負
(
まけ
)
た
事
(
こと
)
のない、
218
此
(
こ
)
のカールの
忠告
(
ちうこく
)
、
219
なぜ
聞
(
き
)
かなかつたのだ。
220
仮令
(
たとへ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
がお
勧
(
すす
)
めなさつても、
221
遠慮
(
ゑんりよ
)
をするのが
道
(
みち
)
ではないか』
222
石熊
(
いしくま
)
『さう
責
(
せ
)
めて
呉
(
く
)
れない。
223
今
(
いま
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
効用
(
かうよう
)
が
現
(
あら
)
はれるだらうから、
224
暫
(
しばら
)
く
時間
(
じかん
)
を
与
(
あた
)
へて、
225
俺
(
おれ
)
の
腕前
(
うでまへ
)
を
拝観
(
はいくわん
)
するが
良
(
い
)
いワ。
226
さうして、
227
今
(
いま
)
御
(
お
)
前
(
まへ
)
はあの
摩利支天
(
まりしてん
)
様
(
さま
)
にも
負
(
まけ
)
たことがないと
云
(
い
)
つたが、
228
どこで
何時
(
いつ
)
角力
(
すまう
)
を
取
(
と
)
つたのだ』
229
カール『
世界一
(
せかいいち
)
の
力強
(
ちからづよ
)
の
角力
(
すまう
)
の
神
(
かみ
)
でも、
230
組合
(
くみあ
)
ひせなかつたら、
231
負
(
まけ
)
る
例
(
ため
)
しはないぢやないか。
232
それだからお
前
(
まへ
)
も
沈黙
(
ちんもく
)
して、
233
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
にお
任
(
まか
)
せしておけば、
234
大蛇
(
をろち
)
に
負
(
まけ
)
たと
言
(
い
)
はれて、
235
末代
(
まつだい
)
の
恥
(
はぢ
)
をさらすにも
及
(
およ
)
ぶまいと
思
(
おも
)
つたから、
236
親切
(
しんせつ
)
に
云
(
い
)
つてやつたのだ。
237
良薬
(
りやうやく
)
は
口
(
くち
)
に
苦
(
にが
)
く、
238
諫言
(
かんげん
)
は
耳
(
みみ
)
に
逆
(
さか
)
らうと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
があるから、
239
俺
(
おれ
)
の
露骨
(
ろこつ
)
な
忠告
(
ちうこく
)
は、
240
キツとお
前
(
まへ
)
に
喜
(
よろこ
)
ばれさうな
筈
(
はず
)
はない。
241
けれ
共
(
ども
)
俺
(
おれ
)
は
阿諛
(
あゆ
)
諂佞
(
てんねい
)
の
徒
(
と
)
ではないから、
242
正々
(
せいせい
)
堂々
(
だうだう
)
と
至誠
(
しせい
)
を
吐露
(
とろ
)
して
注意
(
ちうい
)
したのだ。
243
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らモウ
斯
(
こ
)
うなつては
取返
(
とりかへ
)
しはつかない。
244
あゝ
困
(
こま
)
つたものだ、
245
……それ
見
(
み
)
よ! ますます
波
(
なみ
)
は
高
(
たか
)
く
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ひ
出
(
だ
)
したぢやないか!』
246
石熊
(
いしくま
)
『
大方
(
おほかた
)
俺
(
おれ
)
の
言霊
(
ことたま
)
の
威力
(
ゐりよく
)
に
打
(
う
)
たれて、
247
大蛇
(
をろち
)
の
奴
(
やつ
)
、
248
地底
(
ちてい
)
に
苦悶
(
くもん
)
して、
249
のた
打
(
うち
)
廻
(
まは
)
つて
荒
(
あ
)
れてゐるのだらう。
250
さうでなくば、
251
あれ
丈
(
だけ
)
浪
(
なみ
)
が
立
(
たち
)
さわぐ
道理
(
だうり
)
がないぢやないか。
252
細工
(
さいく
)
は
流々
(
りうりう
)
マア
仕上
(
しあ
)
げを
見
(
み
)
てゐて
下
(
くだ
)
されよだ、
253
アハヽヽヽ』
254
と
空元気
(
からげんき
)
を
付
(
つ
)
け
乍
(
なが
)
ら、
255
心中
(
しんちう
)
不安
(
ふあん
)
の
念
(
ねん
)
に
駆
(
か
)
られて
居
(
ゐ
)
る。
256
末子
(
すゑこ
)
『
石熊
(
いしくま
)
さま、
257
どうもあなたの
言霊
(
ことたま
)
は
少
(
すこ
)
し
不結果
(
ふけつくわ
)
でした。
258
マ
一度
(
いちど
)
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
しなさいませ』
259
石熊
(
いしくま
)
『ハイ、
260
最早
(
もはや
)
言霊
(
ことたま
)
の
材料
(
ざいれう
)
欠乏
(
けつぼう
)
致
(
いた
)
しまして、
261
何
(
なん
)
とも
仕方
(
しかた
)
が
御座
(
ござ
)
いませぬ。
262
どうぞ
少
(
すこ
)
し
資本
(
しほん
)
を
御
(
お
)
貸
(
か
)
し
下
(
くだ
)
さいませぬか』
263
末子
(
すゑこ
)
『ホヽヽヽヽ、
264
あのマア
気楽
(
きらく
)
なこと
仰有
(
おつしや
)
つて、
265
早
(
はや
)
くなさらないと、
266
大変
(
たいへん
)
なことが
出来
(
しゆつたい
)
致
(
いた
)
しますよ。
267
あなたが
起
(
おこ
)
した
事
(
こと
)
は、
268
あなたが
結末
(
けつまつ
)
をつけなくては、
269
外
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
が
如何
(
どう
)
ともする
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませぬ。
270
サア
茲
(
ここ
)
で
早
(
はや
)
く
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
271
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
上
(
あ
)
げ、
272
更
(
あらた
)
めて、
273
心
(
こころ
)
を
清
(
きよ
)
め、
274
再
(
ふたた
)
び
大蛇
(
をろち
)
に
向
(
むか
)
つて、
275
言霊
(
ことたま
)
を
御
(
お
)
発
(
はつ
)
しなさいませ』
276
カール『それ
見
(
み
)
よ……それだから、
277
初
(
はじめ
)
から
手出
(
てだ
)
しをすなと
云
(
い
)
うたぢやないか。
278
二進
(
につち
)
も
三進
(
さつち
)
もならぬとは
此
(
この
)
事
(
こと
)
だ。
279
丸
(
まる
)
でとりもち
桶
(
をけ
)
へ
足
(
あし
)
をふんごんだ
様
(
やう
)
な
破目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
つたぢやないか。
280
サアお
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
仰
(
あふ
)
せの
通
(
とほ
)
り、
281
シツカリ
胴
(
どう
)
を
据
(
す
)
えて、
282
ウンと
息
(
いき
)
を
臍下
(
さいか
)
丹田
(
たんでん
)
に
詰
(
つ
)
め、
283
円満
(
ゑんまん
)
晴朗
(
せいらう
)
な
言霊
(
ことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
せよ。
284
そして
大蛇
(
をろち
)
に
対
(
たい
)
し、
285
余
(
あま
)
り
軽蔑
(
けいべつ
)
的
(
てき
)
言辞
(
げんじ
)
を
用
(
もち
)
ゐてはならないぞ。
286
善言美詞
(
みやび
)
の
神嘉言
(
かむよごと
)
を
以
(
もつ
)
て、
287
万有
(
ばんいう
)
を
帰順
(
きじゆん
)
せしむるのが
神事
(
しんじ
)
の
兵法
(
へいはふ
)
だ。
288
サア
早
(
はや
)
く、
289
心
(
こころ
)
の
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
しをして、
290
臍下丹田
(
あまのいはと
)
を
押開
(
おしひら
)
き、
291
生言霊
(
いくことたま
)
を
発射
(
はつしや
)
せよ』
292
石熊
(
いしくま
)
は
是非
(
ぜひ
)
なく、
293
又
(
また
)
もや
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
に
向
(
むか
)
つて
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
言霊
(
ことたま
)
を
宣
(
の
)
り
始
(
はじ
)
めた。
294
池
(
いけ
)
の
波
(
なみ
)
は
時々
(
じじ
)
刻々
(
こくこく
)
に
高
(
たか
)
まり、
295
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
くになつて
来
(
き
)
た。
296
其
(
その
)
光景
(
くわうけい
)
の
凄
(
すさま
)
じさ、
297
到底
(
たうてい
)
筆舌
(
ひつぜつ
)
の
尽
(
つく
)
す
限
(
かぎ
)
りではなかつた。
298
(
大正一一・八・一五
旧六・二三
松村真澄
録)
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【第9章 醜の言霊|第30巻|海洋万里|霊界物語|/rm3009】
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