霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二四章 陥穽(おとしあな)〔八六六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第5篇 山河動乱 よみ(新仮名遣い):さんかどうらん
章:第24章 陥穽 よみ(新仮名遣い):おとしあな 通し章番号:866
口述日:1922(大正11)年08月16日(旧06月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
アナンとユーズは酔ってへべれけになった人数を引き連れて岩窟の入口にやってきたが、キジとマチに向かって、中に入って仲良く一杯やろうと声をかけるのみであった。キジとマチは、ただエスを渡せと言い、ウラル教徒たちを押し分けて岩窟内に入った。
ユズとキジは教主室に入ると、震えているブールのそっ首を捕まえて、エスを引き渡すようにと迫った。ブールは震えながら、岩窟内をキジとマチの先に立って案内する。
向こう側から酔ったアナンとユーズがやってきたが、油断していたキジとマチに千鳥足を装ってぶつかった。するとキジとマチは落とし穴に突き落とされてしまった。
陥穽に落ち込んで、しまったと思うキジとマチの上から、ブール、アナン、ユーズは嘲笑している。キジ、マチ、そしてエスの運命は如何になるだろうか。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-02-22 18:36:40 文字数:2066 OBC :rm3024
愛善世界社版:274頁 八幡書店版:第5輯 669頁 修補版: 校定版:291頁 普及版:112頁 初版: ページ備考:
001 アナン、002ユーズの領袖(りやうしう)連(れん)はヘベレケに酔(ゑ)ひ、003足(あし)も碌(ろく)に立(た)たず、004舌(した)もまはらぬ連中(れんちう)を数多(あまた)引率(いんそつ)し、005石門(いしもん)のふちに現(あら)はれ、
006アナン『其(その)方(はう)は昨夜(さくや)、007丸木橋(まるきばし)の畔(ほとり)に於(おい)て吾々(われわれ)に抵抗(ていかう)至(いた)した三五教(あななひけう)の奴(やつ)だらう。008サア、009良(い)い所(ところ)へ来(き)やがつた。010今(いま)貴様(きさま)と戦争(せんそう)したおかげで凱旋(がいせん)祝(いはひ)の酒宴(しゆえん)を催(もよほ)うし、011俺(おれ)達(たち)は酔(ゑい)が廻(まは)つて気分(きぶん)が好(よ)い最中(さいちう)だ。012何用(なによう)があつて来(き)たのか知(し)らぬが、013そんなむづかしい顔(かほ)をしないで、014酒(さけ)でもくらつてゆつくりと談判(だんぱん)をせうぢやないか? 固苦(かたくる)しいこと許(ばか)り言(い)つてると命(いのち)が縮(ちぢ)まるワ。015たまには命(いのち)の洗濯(せんたく)や睾玉(きんたま)の皺伸(しわの)ばしをやらないと、016人間(にんげん)の様(やう)な気持(きもち)がせぬワイ。017そんな野暮(やぼ)な顔(かほ)しないで、018トツトと中(なか)へ這入(はい)つて機嫌(きげん)よく一杯(いつぱい)やらぬかい』
019キジ『昨夜(さくや)は脆(もろ)くも泡(あわ)を食(く)つて逃(に)げ失(う)せ、020到底(たうてい)正面(しやうめん)の戦(たたか)ひにては、021われわれを如何(いかん)ともすることが出来(でき)ないと思(おも)ひ、022毒酒(どくしゆ)を呑(の)まして俺(おれ)達(たち)をよわらせる猾(ずる)き考(かんが)へだらう。023そんな策(て)に乗(の)る此(この)方(はう)ぢやないぞ。024ゴテゴテ吐(ぬ)かさずに、025其方(そのはう)等(ら)が押込(おしこ)めて居(を)る宣伝使(せんでんし)のエスを牢獄(らうごく)から出(だ)して、026俺(おれ)たちに渡(わた)せ! グヅグヅ吐(ぬ)かすと、027岩屋(いはや)退治(たいぢ)を始(はじ)めようか』
028マチ『サア、029アナン、030ユーズ其(その)他(た)の奴原(やつばら)、031早(はや)くエスを此処(ここ)へ連(つ)れて来(こ)い!』
032アナン『ヤイヤイ喧(や)かましう言(い)ふない。033そんなことどこかい。034今日(けふ)は貴様(きさま)に負(まけ)たおかげで、035結構(けつこう)な酒(さけ)を鱈腹(たらふく)のんで、036精神(せいしん)恍惚(くわうこつ)とし、037何(な)にもかも忘(わす)れて了(しま)つて、038極(ごく)愉快(ゆくわい)になつてる所(ところ)だ。039天(あめ)が下(した)に酒(さけ)さへあれば、040別(べつ)に敵(てき)だの味方(みかた)だのと、041せせこましいことは要(い)らない。042酒(さけ)程(ほど)親密(しんみつ)なものはない。043マア一杯(いつぱい)這入(はい)つてやらぬかい。044どんなエライ喧嘩(けんくわ)でも和睦(なかなほり)には酒(さけ)だい。045人(ひと)と交際(かうさい)するのに小(こ)むつかしい牆壁(せうへき)を設(まう)けるものぢやない。046世界(せかい)同胞(どうはう)主義(しゆぎ)を盛(さかん)に称(とな)へられる今日(こんにち)だ。047マア、048エスはエスでエスとしておいて、049奥(おく)へトツトと通(とほ)つて呉(く)れ』
050キジ『貴様(きさま)はどこまでもヅーヅーしい奴(やつ)だなア。051余程(よほど)俺(おれ)達(たち)二人(ふたり)が恐(おそ)ろしいと見(み)えるな』
052アナン『そりやヅイ分(ぶん)恐(おそ)ろしいよ。053閻魔(えんま)が亡者(もうじや)の帳面(ちやうめん)を繰(く)るよな面付(つらつき)をして、054やつて来(く)るのだからなア。055オイ、056キジ公(こう)とやら、057何(なん)と云(い)ふ七六(しちむ)つかしいシヤツ面(つら)をして居(ゐ)るのだ。058今(いま)の内(うち)に美顔術(びがんじゆつ)でも施(ほどこ)しておかぬと、059年(とし)が老(と)つて皮(かは)が固(かた)くなり、060皺(しわ)が深(ふか)くなつてからは駄目(だめ)だぞ』
061キジ『エヽ、062要(い)らぬことを云(い)ふな。063これから俺(おれ)が岩窟内(がんくつない)へふみ込(こ)んで直接(ちよくせつ)にエスの所在(ありか)を調(しら)べてやらう。064邪魔(じやま)いたすと為(ため)にならぬぞ。065サア来(こ)い、066マチ公(こう)!』
067と云(い)ひ乍(なが)ら、068アナン、069ユーズを始(はじ)め、070其(その)他(た)の者共(ものども)を押分(おしわ)け、071突倒(つきたふ)し、072窟内(くつない)深(ふか)く進(すす)み入(い)り、073遂(つひ)には教主(けうしゆ)ブールの居間(ゐま)に侵入(しんにふ)し、074ブルブル慄(ふる)ひて居(ゐ)るブールの素首(そつくび)をグツと握(にぎ)り、
075キジ『サア、076モウ斯(こ)うなつては駄目(だめ)だ。077何(なに)をブールブール慄(ふる)うてゐるのだ。078早(はや)く宣伝使(せんでんし)のエスをここへ出(だ)さぬか』
079マチ『ウラル教(けう)の親方(おやかた)、080グヅグヅして居(を)ると生首(なまくび)を引抜(ひきぬ)かれて了(しま)うぞ。081お前(まへ)は何時(いつ)も此(この)娑婆(しやば)を穢土(ゑど)だと云(い)ひ、082霊(みたま)の国(くに)を天国(てんごく)浄土(じやうど)と云(い)つて、083憧憬(どうけい)してゐるのだから、084今(いま)首(くび)を引抜(ひきぬ)かれて霊(れい)になり、085天国(てんごく)へ行(ゆ)くのは満足(まんぞく)だらうが、086何程(なにほど)天国(てんごく)でも、087首(くび)がなくては駄目(だめ)だ。088サア早(はや)くエスの所在(ありか)を白状(はくじやう)せぬか』
089 ブールは慄(ふる)ひ乍(なが)ら、
090ブール『ハイ今(いま)出(だ)させますから、091一寸(ちよつと)待(ま)つて下(くだ)さい』
092マチ『早(はや)く出(だ)せ、093出(だ)し次第(しだい)天国(てんごく)へ褒美(ほうび)として、094昇(のぼ)れる様(やう)にしてやらう。095どうだ首(くび)を持(も)つたなり、096天国(てんごく)へ死(し)んで行(ゆ)くのは嬉(うれ)しかろ、097アハヽヽヽ。098何(なん)と妙(めう)な教(をしへ)だなア。099人(ひと)には死(し)んでからの世界(せかい)が結構(けつこう)だと云(い)ひ乍(なが)ら、100サア自分(じぶん)が死(し)ぬと云(い)ふ段取(だんどり)りになると、101ヤツパリ厭(いや)だと見(み)えて、102ビリビリ慄(ふる)うて厶(ござ)るワイ。103さうすりやヤツパリ、104口(くち)と心(こころ)と裏表(うらおもて)のことを言(い)つてゐるんだなア。105俺(おれ)達(たち)も今迄(いままで)はウラル教(けう)の熱心(ねつしん)な信者(しんじや)であり、106二度(にど)もここへ参(まゐ)り、107お前(まへ)をこんな腰抜(こしぬけ)とは知(し)らずに、108活神(いきがみ)さまだと思(おも)つて跪(ひざまづ)き拝(をが)んで居(を)つたかと思(おも)へば、109馬鹿(ばか)らしうなつて来(き)た。110サア俺(おれ)達(たち)の案内(あんない)をしてエスの所在(ありか)を知(し)らせ。111隠(かく)し立(だ)てをすると最早(もはや)了見(れうけん)はならぬぞ。112俺(おれ)達(たち)二人(ふたり)に夜前(やぜん)の様(やう)に数百(すうひやく)人(にん)もやつて来(き)て泡(あわ)を吹(ふ)き逃(に)げ散(ち)る様(やう)な弱虫(よわむし)計(ばか)り、113幾万(いくまん)人(にん)連(つ)れて居(を)つたつて、114何(なに)なるか。115どれもこれも酒(さけ)にヘベレケに酔(よ)ひ、116今(いま)のザマは何(なん)だ。117肝腎(かんじん)のアナンやユーズ迄(まで)が碌(ろく)に舌(した)も廻(まは)らず、118腰(こし)はフラフラになつて、119ひよろついてるぢやないか。120こんな事(こと)で、121三五教(あななひけう)の吾々(われわれ)に対(たい)し、122挑戦(てうせん)するとは片腹(かたはら)痛(いた)い』
123ブール『仕方(しかた)がありませぬ。124吾々(われわれ)の命(いのち)さへ助(たす)けて下(くだ)さらば、125エスを渡(わた)しませう』
126と先(さき)に立(た)つて行(ゆ)く。127二人(ふたり)はブールを見失(みうしな)はじと飛耳(ひじ)張目(ちやうもく)十二分(じふにぶん)の注意(ちうい)を払(はら)つて岩窟内(がんくつない)を進(すす)んで行(ゆ)く。128向(むか)うよりアナン、129ユーズの両人(りやうにん)はヒヨロヒヨロし乍(なが)ら巻舌(まきじた)になり、130アナンはキジ公(こう)に、131ユーズはマチ公(こう)にワザとにぶつかつた。132其(その)途端(とたん)に、133二足(ふたあし)三足(みあし)ヒヨロヒヨロとひよろつき、134深(ふか)き企(たく)みの陥穽(おとしあな)に脆(もろ)くも落込(おちこ)んで了(しま)つた。
135 『サア失敗(しま)つた!』とキジ、136マチの二人(ふたり)は陥穽(おとしあな)の中(なか)で無念(むねん)の歯(は)がみをなし、137一生(いつしやう)懸命(けんめい)に神言(かみごと)を唱(とな)へて居(ゐ)る。138ブールは陥穽(おとしあな)を覗(のぞ)き込(こ)み、139さも愉快(ゆくわい)げに、
140ブール『アハヽヽヽ、141気(き)の毒(どく)乍(なが)ら、142万劫(まんがふ)末代(まつだい)、143穴(あな)の底(そこ)で木乃伊(みいら)になる所(とこ)まで辛抱(しんばう)したがよからう』
144 アナン、145ユーズの両人(りやうにん)は二人(ふたり)の落(お)ちた穴(あな)を互(たがひ)に覗(のぞ)き込(こ)み、
146アナン、ユーズ『ワハヽヽヽ、147ても心地(ここち)よいことだなア』
148と罵詈(ばり)嘲笑(てうせう)を逞(たくま)しくして居(ゐ)る。149エスを始(はじ)めキジ、150マチの三(さん)人(にん)の運命(うんめい)は果(はた)して如何(いかが)なり行(ゆ)くならむか。
151(大正一一・八・一六 旧六・二四 松村真澄録)
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