霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第30巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 高砂の松
第1章 主従二人
第2章 乾の滝
第3章 清めの滝
第4章 懐旧の歌
第2篇 珍野瞰下
第5章 下坂の歌
第6章 樹下の一宿
第7章 提燈の光
第8章 露の道
第3篇 神縁微妙
第9章 醜の言霊
第10章 妖雲晴
第11章 言霊の妙
第12章 マラソン競争
第13章 都入
第4篇 修理固成
第14章 霊とパン
第15章 花に嵐
第16章 荒しの森
第17章 出陣
第18章 日暮シの河
第19章 蜘蛛の児
第20章 雉と町
第5篇 山河動乱
第21章 神王の祠
第22章 大蜈蚣
第23章 ブール酒
第24章 陥穽
附記 湯ケ島温泉
附記 天津祝詞解
附記 デモ国民歌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第30巻(巳の巻)
> 後付 > 附記 湯ケ島温泉
<<< 陥穽
(B)
(N)
附記 天津祝詞解 >>>
附記
(
ふき
)
湯
(
ゆ
)
ケ
島
(
しま
)
温泉
(
をんせん
)
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
篇:
後付
よみ(新仮名遣い):
章:
附記 湯ケ島温泉
よみ(新仮名遣い):
ゆがしまおんせん
通し章番号:
口述日:
1922(大正11)年08月15日(旧06月23日)
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
暑い夏の季節に、四週間にわたって天城山麓の景勝地である湯ケ島温泉で松村真澄・出口宇知麿の二人と霊界物語を口述したのは、実に爽快であった。
宿の主人や四五人の信徒とともに吊り橋を渡り、山田峠の畷に登っていった。下田街道に出て、日光の届かぬ山路をさらに登っていく。
新道から旧道に外れる松が二三本生えたところを登っていくと、一面の原野に細い道が通っており、それを登ると清滝近道の石碑が立っている。草原を四五町右に取って行くと、ダラダラくだりとなり、次第に谷川へ降りていく。そこは狩野川上流の滝である。
休息の後、元来た道を旧道へ戻り、山へ登っていく。次第に山の頂上から雨雲が出てきて、ぽつりぽつりと雨が落ちてきた。右滑沢道という木標の方へ行くと、水車小屋のある谷川を俯瞰できた。
二三町行くと、大川端というところに着く。ここからは天城山中のもっとも険しいところである。檜の暗く茂った谷間に踏み入れると、樹木は苔厚くむしている。左右を絶壁に挟まれた谷底に出た。
丸木橋を渡って絶壁を登り切ると、天城山随道の北に近い。北口の茶屋で一服してから湯ケ島に戻ろうとしていたとき、右も左も一面の霧で、四五間先の木立でさえもぼんやりとして茫漠たる霧の海を夢路のように迷うのであった。
一行は一日の光陰を有意義に費やして、夕方に湯本館の大本臨時教主殿に戻ってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-02-22 19:06:21
OBC :
rm309901
愛善世界社版:
280頁
八幡書店版:
第5輯 673頁
修補版:
校定版:
297頁
普及版:
118頁
初版:
ページ備考:
001
三伏
(
さんぷく
)
の
暑
(
あつ
)
き
夏
(
なつ
)
の
朝
(
あさ
)
、
002
河辺
(
かはべ
)
に
立
(
た
)
ちて
水流
(
すゐりう
)
を
打見
(
うちみ
)
やれば
心
(
こころ
)
涼
(
すず
)
し。
003
霧
(
きり
)
は
未
(
ま
)
だ
谷川
(
たにがは
)
の
両岸
(
りやうがん
)
に
立
(
た
)
ち
並
(
なら
)
ぶ
種々
(
しゆじゆ
)
の
木立
(
こだち
)
を
霞
(
かす
)
ませて、
004
朧
(
おぼろ
)
なる
向山
(
むかふやま
)
の
姿
(
すがた
)
は、
005
松
(
まつ
)
や
杉
(
すぎ
)
や
楓
(
かへで
)
雑木
(
ざふき
)
の
青葉
(
あをば
)
と
入
(
い
)
り
交
(
まじ
)
はり、
006
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれぬ
幻
(
まぼろし
)
の
様
(
やう
)
な
色彩
(
しきさい
)
を
浮
(
うか
)
べて
谷
(
たに
)
から
谷
(
たに
)
へと
動
(
うご
)
いて
行
(
ゆ
)
く。
007
湯本館
(
ゆもとくわん
)
の
湯煙
(
ゆけむ
)
りは
谷川
(
たにがは
)
の
上
(
うへ
)
を
静
(
しづ
)
かに
静
(
しづ
)
かに
渡
(
わた
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
008
猫児川
(
ねつこがは
)
と
狩野川
(
かのがは
)
との
出会
(
であ
)
つた
景勝
(
けいしよう
)
の
地点
(
ちてん
)
に、
009
一廓
(
いつくわく
)
を
作
(
つく
)
つて
居
(
を
)
る
天城山
(
あまぎさん
)
麓
(
ろく
)
の
温泉場
(
おんせんば
)
湯ケ島
(
ゆがしま
)
で、
010
四
(
よん
)
週間
(
しうかん
)
を
松村
(
まつむら
)
真澄
(
まさずみ
)
氏
(
し
)
、
011
出口
(
でぐち
)
宇知丸
(
うちまる
)
と
倶
(
とも
)
に
霊界
(
れいかい
)
物語
(
ものがたり
)
を
口述
(
こうじゆつ
)
筆記
(
ひつき
)
しながら
過
(
すご
)
したのは
実
(
じつ
)
に
壮快
(
さうくわい
)
であつた。
012
見上
(
みあ
)
ぐる
猫児峠
(
ねつこたうげ
)
の
頂
(
いただ
)
きは
今
(
いま
)
朝日
(
あさひ
)
が
射
(
さ
)
し
初
(
はじ
)
めた
時
(
とき
)
で、
013
大空
(
おほぞら
)
には
紺碧
(
こんぺき
)
の
絵衣
(
ゑぎぬ
)
を
拡
(
ひろ
)
げて
五色
(
ごしき
)
の
光彩
(
くわうさい
)
を
照
(
てら
)
し、
014
天城
(
あまぎ
)
連峰
(
れんぽう
)
の
大
(
おほ
)
きなうねりの
太陽
(
たいやう
)
を
背
(
せ
)
にしてコバルト
色
(
いろ
)
に
長
(
なが
)
く
続
(
つづ
)
いて
居
(
ゐ
)
るのが
楼上
(
ろうじやう
)
から
見
(
み
)
えて、
015
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
に
激
(
げき
)
する
水音
(
みなおと
)
と
峠
(
たうげ
)
を
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
が
耳
(
みみ
)
につく。
016
宿
(
やど
)
の
主人
(
しゆじん
)
や
四五
(
しご
)
の
信徒
(
しんと
)
に
伴
(
ともな
)
はれて
朝
(
あさ
)
早
(
はや
)
くより
危
(
あやふ
)
い
釣橋
(
つりばし
)
を
渡
(
わた
)
ると
直
(
ただち
)
に
山田
(
やまだ
)
の
畔
(
なはて
)
を
昇
(
のぼ
)
る。
017
柿
(
かき
)
栗
(
くり
)
の
葉
(
は
)
は
青々
(
あをあを
)
と
繁
(
しげ
)
り、
018
未熟
(
みじゆく
)
の
果
(
くだもの
)
が
秋
(
あき
)
待
(
ま
)
ち
顔
(
がほ
)
に
蒼
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
を
曝
(
さら
)
して
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
を
目送
(
もくそう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
019
少
(
すこ
)
し
登
(
のぼ
)
つて
下田
(
しもだ
)
街道
(
かいだう
)
に
出
(
で
)
た。
020
朝
(
あさ
)
の
風
(
かぜ
)
は
何
(
なん
)
となく
気分
(
きぶん
)
良
(
よ
)
く
涼
(
すず
)
しい
風
(
かぜ
)
は
谷底
(
たにそこ
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
き
)
たり、
021
日光
(
につくわう
)
の
届
(
とど
)
かぬ
山路
(
やまみち
)
を
辿
(
たど
)
る
身
(
み
)
は、
022
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
を
忘
(
わす
)
るる
位
(
くらゐ
)
である。
023
杉
(
すぎ
)
の
木立
(
こだち
)
の
多
(
おほ
)
い
山
(
やま
)
に
添
(
そ
)
うて
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
024
谷川
(
たにかは
)
を
隔
(
へだ
)
てて
雑木
(
ざふき
)
の
青葉
(
あをば
)
が
色々
(
いろいろ
)
と
濃厚
(
のうこう
)
の
彩
(
いろ
)
を
見
(
み
)
せるばかりで、
025
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かるる
薄
(
すすき
)
の
刃
(
やいば
)
が、
026
さらさらと
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てて
波
(
なみ
)
の
打
(
う
)
つやうに
靡
(
なび
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
027
一面
(
いちめん
)
に
蒼黒
(
あをぐろ
)
い
草
(
くさ
)
の
色
(
いろ
)
がうねうねと
続
(
つづ
)
いて、
028
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
に
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
が
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
から
上
(
うへ
)
からと
頂
(
いただ
)
きを
現
(
あら
)
はして
来
(
く
)
ると、
029
真蒼
(
まつさを
)
に
晴
(
は
)
れた
空
(
そら
)
にふわりふわりと
白
(
しろ
)
い
煙
(
けぶり
)
のやうな
雲
(
くも
)
が
浮
(
うか
)
んで
来
(
く
)
る。
030
新道
(
しんだう
)
から
旧道
(
きうだう
)
へ
外
(
はづ
)
れる
松
(
まつ
)
の
二三本
(
にさんぼん
)
ある
処
(
ところ
)
を
上
(
のぼ
)
ると
一面
(
いちめん
)
の
原野
(
げんや
)
で、
031
萩
(
はぎ
)
や
薄
(
すすき
)
や
竜胆
(
りんだう
)
の
葉
(
は
)
が
元気
(
げんき
)
よく
風
(
かぜ
)
にひるがへつて
小
(
せう
)
ダンスを
始
(
はじ
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
032
中
(
なか
)
に
一筋
(
ひとすぢ
)
の
細
(
ほそ
)
い
小道
(
こみち
)
が
通
(
とほ
)
つて、
033
それを
四五町
(
しごちやう
)
許
(
ばか
)
り
登
(
のぼ
)
ると
清滝
(
きよたき
)
近道
(
ちかみち
)
の
石碑
(
せきひ
)
が
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
034
稍
(
やや
)
平坦
(
へいたん
)
な
草原
(
くさはら
)
続
(
つづ
)
きの
露
(
つゆ
)
を
分
(
わ
)
けて
又
(
また
)
もや
四五町
(
しごちやう
)
右
(
みぎ
)
に
取
(
と
)
つて
行
(
ゆ
)
くと、
035
ダラダラ
下
(
くだ
)
りになつた
坂道
(
さかみち
)
に
青々
(
あをあを
)
とした
くぬぎ
の
林
(
はやし
)
があつて、
036
其
(
その
)
下
(
した
)
は
深
(
ふか
)
い
谷川
(
たにがは
)
で
物凄
(
ものすさ
)
まじく
木魂
(
こだま
)
を
返
(
かへ
)
す
水
(
みづ
)
の
音
(
おと
)
が
山々
(
やまやま
)
に
広
(
ひろ
)
がつて
居
(
ゐ
)
る。
037
松
(
まつ
)
の
老樹
(
らうじゆ
)
が
危
(
あやふ
)
げに
谷
(
たに
)
に
倒
(
たふ
)
れかかつて
居
(
ゐ
)
るのを
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
えて
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
くと、
038
僅
(
わづ
)
かに
脚
(
あし
)
を
入
(
い
)
れる
位
(
くらゐ
)
の
羊腸
(
やうちやう
)
の
小径
(
こみち
)
に
団子石
(
だんごいし
)
がゴロリゴロリと
転
(
ころ
)
がつて
居
(
ゐ
)
て、
039
歩
(
あゆ
)
む
度
(
たび
)
に
谷川
(
たにがは
)
へ
落
(
お
)
ちて
行
(
ゆ
)
く。
040
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
に
縋
(
すが
)
り
蔓
(
つる
)
を
伝
(
つた
)
ひ
下
(
した
)
へ
下
(
した
)
へと
二町
(
にちやう
)
計
(
ばか
)
りも
降
(
くだ
)
ると、
041
直
(
すぐ
)
に
狩野川
(
かのがは
)
の
上流
(
じやうりう
)
の
滝
(
たき
)
で、
042
一
(
いつ
)
尺
(
しやく
)
以上
(
いじやう
)
もあるヤマメの
集
(
あつ
)
まつて
居
(
ゐ
)
る
滝
(
たき
)
である。
043
安藤
(
あんどう
)
、
044
杉山
(
すぎやま
)
、
045
福井
(
ふくゐ
)
氏
(
し
)
等
(
ら
)
が
二三
(
にさん
)
日前
(
にちまへ
)
に
料理
(
れうり
)
して
差
(
さ
)
し
上
(
あ
)
げたのは
此
(
この
)
滝
(
たき
)
で
捕獲
(
ほくわく
)
したヤマメだと
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
話
(
はな
)
しつつ
行
(
ゆ
)
く。
046
此処
(
ここ
)
は
狩野川
(
かのがは
)
の
上流
(
じやうりう
)
の
滝
(
たき
)
で、
047
二十丈
(
にじふぢやう
)
に
余
(
あま
)
る
飛瀑
(
ひばく
)
は
薄曇
(
うすぐも
)
りになつた
大空
(
おほそら
)
の
反射
(
はんしや
)
を
受
(
う
)
けて
鼠色
(
ねずみいろ
)
に
崩
(
くづ
)
れ
落
(
お
)
ちる
勢
(
いきほひ
)
で
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
や
枝
(
えだ
)
が
夏
(
なつ
)
の
谷風
(
たにかぜ
)
にあほられてひるがへるのが、
048
如何
(
いか
)
にも
見事
(
みごと
)
である。
049
茲
(
ここ
)
でしばらく
休息
(
きうそく
)
して
再
(
ふたた
)
び
元
(
もと
)
来
(
き
)
し
道
(
みち
)
へ
帰
(
かへ
)
つて、
050
それから
又
(
また
)
旧道
(
きうだう
)
を
登
(
のぼ
)
る。
051
山道
(
やまみち
)
の
左右
(
さいう
)
に
雑草
(
ざつさう
)
が
茂
(
しげ
)
つて
風
(
かぜ
)
になびきつつ
一行
(
いつかう
)
を
招
(
まね
)
いて
居
(
ゐ
)
るやうな
心地
(
ここち
)
がする。
052
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に、
053
山
(
やま
)
の
頂上
(
ちやうじやう
)
から
雨雲
(
あまぐも
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た。
054
湯ケ嶋
(
ゆがしま
)
新田
(
しんでん
)
の
小村
(
こむら
)
はモウぽつりぽつりと
雨
(
あめ
)
が
落
(
お
)
ちて
居
(
ゐ
)
る。
055
委細
(
ゐさい
)
構
(
かま
)
はずどしどしと
山路
(
やまみち
)
を
登
(
のぼ
)
る。
056
松
(
まつ
)
や
樅
(
もみ
)
が
一面
(
いちめん
)
に
生茂
(
おひしげ
)
つた
山
(
やま
)
を
隔
(
へだ
)
てて
谷底
(
たにそこ
)
の
水音
(
みなおと
)
を
耳
(
みみ
)
にしながら
木小屋
(
きごや
)
を
一
(
ひと
)
つ
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
すと、
057
道
(
みち
)
は
真直
(
まつすぐ
)
に
果
(
は
)
ても
無
(
な
)
く
続
(
つづ
)
いて
雑木
(
ざふき
)
の
先
(
さき
)
は
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えしい
色
(
いろ
)
をして
居
(
ゐ
)
るのに、
058
平素
(
へいそ
)
から
蒼白
(
あをじろ
)
い
顔
(
かほ
)
の
宇知丸
(
うちまる
)
さまは
一層
(
いつそう
)
蒼
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る。
059
林
(
はやし
)
静子
(
しづこ
)
浪子
(
なみこ
)
の
紅裙隊
(
こうくんたい
)
も
今日
(
けふ
)
は
何
(
なん
)
となく
元気
(
げんき
)
が
薄
(
うす
)
いやうな
感
(
かん
)
じがした。
060
小禽
(
ことり
)
の
囀
(
さへづ
)
る
声
(
こゑ
)
に
送
(
おく
)
られて、
061
右滑
(
みぎなめ
)
沢道
(
ざはだう
)
と
書
(
か
)
いた
木標
(
もくへう
)
を
右
(
みぎ
)
へ
下
(
した
)
を
見下
(
みをろ
)
しながら
行
(
ゆ
)
くと、
062
粉
(
こな
)
の
様
(
やう
)
な
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
に
水車
(
みづぐるま
)
をかけて
木
(
き
)
を
挽
(
ひ
)
き
割
(
わ
)
る
小屋
(
こや
)
が
小
(
ちい
)
さく
霞
(
かす
)
んで、
063
筧
(
かけひ
)
や
水車
(
みづぐるま
)
や
谷川
(
たにがは
)
の
流
(
なが
)
れが
面白
(
おもしろ
)
い
俯瞰図
(
ふかんづ
)
を
描
(
ゑが
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
064
二三町
(
にさんちやう
)
行
(
ゆ
)
くと
出水
(
でみづ
)
の
山道
(
やまみち
)
に
出
(
で
)
る
所
(
ところ
)
を
通
(
とほ
)
ると
大川端
(
おほかはばた
)
と
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
に
着
(
つ
)
く。
065
これから
先
(
さき
)
は
天城山
(
あまぎさん
)
中
(
ちう
)
の
最
(
もつと
)
も
嶮
(
けは
)
しき
所
(
ところ
)
となる。
066
檜
(
ひのき
)
の
暗
(
くら
)
く
茂
(
しげ
)
つた
谷間
(
たにま
)
に
一歩
(
いつぽ
)
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
れると、
067
何
(
いづ
)
れの
樹木
(
じゆもく
)
も
皆
(
みな
)
苔
(
こけ
)
厚
(
あつ
)
く
蒸
(
む
)
して
木々
(
きぎ
)
の
雫
(
しづく
)
は
雨
(
あめ
)
よりも
多
(
おほ
)
く、
068
生々
(
なまなま
)
しい
草木
(
くさき
)
の
匂
(
にほ
)
ひが
湿
(
しめ
)
つぽく
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
いて
来
(
く
)
る。
069
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
見上
(
みあ
)
ぐる
許
(
ばか
)
りの
絶壁
(
ぜつぺき
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
070
曇
(
くも
)
つた
空
(
そら
)
の
雨雲
(
あまぐも
)
が
蔭
(
かげ
)
のやうに
頭上
(
づじやう
)
を
走
(
はし
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
071
道
(
みち
)
もロクに
無
(
な
)
い
中
(
なか
)
を
分
(
わ
)
けて
行
(
ゆ
)
くと
谷底
(
たにそこ
)
に
出
(
で
)
た。
072
此処
(
ここ
)
には
大
(
おほ
)
きな
岩
(
いは
)
と
岩
(
いは
)
とに
掛渡
(
かけわた
)
した
丸木橋
(
まるきばし
)
があつて、
073
それを
危
(
あやふ
)
く
渡
(
わた
)
ると
又
(
また
)
もや
這
(
は
)
ひ
上
(
あ
)
がるやうにして
絶壁
(
ぜつぺき
)
を
登
(
のぼ
)
らねばならぬ。
074
明治
(
めいじ
)
四十二
(
よんじふに
)
年
(
ねん
)
の
山崩
(
やまくづ
)
れに
押
(
お
)
し
倒
(
たふ
)
されたと
云
(
い
)
ふ
大木
(
たいぼく
)
が、
075
未
(
いま
)
だに
岩
(
いは
)
と
岩
(
いは
)
との
間
(
あひだ
)
に
挟
(
はさ
)
まつて
居
(
ゐ
)
るのを
伝
(
つた
)
つて、
076
僅
(
わづ
)
かに
岩
(
いは
)
の
上
(
うへ
)
に
這
(
は
)
ひ
上
(
のぼ
)
ると、
077
さつと
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
山風
(
やまかぜ
)
が
峰
(
みね
)
の
木々
(
きぎ
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
すので
自然
(
しぜん
)
の
舞踏
(
ぶたふ
)
が
演
(
えん
)
ぜられる。
078
此
(
この
)
山路
(
やまみち
)
を
登
(
のぼ
)
り
切
(
き
)
ると
天城山
(
あまぎさん
)
隧道
(
すゐだう
)
の
北
(
きた
)
に
近
(
ちか
)
いので、
079
早
(
はや
)
幾重
(
いくへ
)
にも
下
(
した
)
になつた
連山
(
れんざん
)
が
雨雲
(
あまぐも
)
の
動
(
うご
)
いて
行
(
ゆ
)
く
間
(
あひだ
)
から
頂上
(
ちやうじやう
)
だけを
出
(
だ
)
して
空
(
そら
)
の
灰色
(
はいいろ
)
と
雲
(
くも
)
の
灰色
(
はいいろ
)
と
山
(
やま
)
の
黒
(
くろ
)
ずんだ
色
(
いろ
)
とで
色
(
いろ
)
は
冴
(
さ
)
えて
居
(
ゐ
)
ても、
080
雨
(
あめ
)
に
霞
(
かす
)
んだ
夢
(
ゆめ
)
の
様
(
やう
)
な
木々
(
きぎ
)
の
色
(
いろ
)
が
絵
(
ゑ
)
に
描
(
ゑが
)
くには
極
(
きは
)
めて
面白
(
おもしろ
)
さうに
感
(
かん
)
じられた。
081
北口
(
きたぐち
)
の
茶屋
(
ちやや
)
で
一寸
(
ちよつと
)
休息
(
きうそく
)
の
後
(
のち
)
湯ケ嶋
(
ゆがしま
)
に
出立
(
しゆつたつ
)
しようとした
時
(
とき
)
、
082
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
一面
(
いちめん
)
の
霧
(
きり
)
で
四五間
(
しごけん
)
さきの
立木
(
たちき
)
でさへもぼんやりとして
谷
(
たに
)
は
勿論
(
もちろん
)
空
(
そら
)
と
山
(
やま
)
との
境
(
さかひ
)
さへ
見
(
み
)
えず、
083
只
(
ただ
)
茫々
(
ばうばう
)
漠々
(
ばくばく
)
たる
霧
(
きり
)
の
海
(
うみ
)
を
夢路
(
ゆめぢ
)
の
様
(
やう
)
に
迷
(
まよ
)
ふのであつた。
084
一行
(
いつかう
)
は
一
(
いち
)
日
(
にち
)
の
光陰
(
くわういん
)
を
有意義
(
いういぎ
)
に
費
(
つひ
)
やして、
085
夕方
(
ゆふがた
)
の
空
(
そら
)
に
湯本館
(
ゆもとくわん
)
側
(
がは
)
の
大本
(
おほもと
)
臨時
(
りんじ
)
教主殿
(
けうしゆでん
)
へと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
086
大正十一年八月十五日
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 陥穽
(B)
(N)
附記 天津祝詞解 >>>
霊界物語
>
海洋万里(第25~36巻)
>
第30巻(巳の巻)
> 後付 > 附記 湯ケ島温泉
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【附記 湯ケ島温泉|第30巻|海洋万里|霊界物語|/rm309901】
合言葉「みろく」を入力して下さい→