霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 (れい)とパン〔八五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第4篇 修理固成 よみ(新仮名遣い):しゅうりこせい
章:第14章 霊とパン よみ(新仮名遣い):れいとぱん 通し章番号:856
口述日:1922(大正11)年08月15日(旧06月23日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
言依別命と国依別は、テルの港から北へ進んで、御倉山という高山に到着した。竜世姫命を奉斎した立派な社が建っている。二人はここに参拝した。
谷川には御倉魚という美しい魚が棲んでいたが、国人たちはこれを神の使いと信じ、食べるとたちまち口がきけなくなり斑紋が体に現れると恐れて、口にするものはなかった。
この地方はこのごろ、飢饉に襲われて、人々が祈願をしに社に集まってきていた。言依別命は国依別とともにこの有様を見て、人々を救おうと思案にくれていた。谷底には白衣を着たウラル教の宣伝使が人々に向かって説教をしている。
なぜこのような苦しみを受けなければならないのか、と問う人々に対して、ウラル教の宣伝使は苦しみの世界である現世を離れよ、と説いていた。飢饉の苦しみを訴える人々に対して、ただ殺生を禁じ、神を称えることのみを説いていた。
言依別命は宣伝歌を歌いながら谷底に下りてきた。その歌には、御倉魚を人々に与えて飢饉を救ってやろうと歌われていた。
ウラル教の宣伝使ブールは二人のところにやってきて、神の御使いの魚を取って喰わせようという言依別命に抗議した。言依別命は人の命と魚の命とどちらが大切か、と問いかける。ウラル教の宣伝使はあくまで人は罪の子であり、贖罪のために苦しみを受けるべきだと主張する。
国依別は売り言葉に買い言葉で、皆の目の前で御倉魚を実地に食べて、神の祟りがあるかどうか確かめることになった。国依別が谷川に下りて、たくさん泳いでいる御倉魚を掴み取ってむしゃむしゃ食べるのを目にして、人々は安心して国依別に続いた。
ウラル教の宣伝使たちはこそこそと姿を消してしまった。これより、この国のひとたちはウラル教に愛想をつかし、三五教を奉じることになった。
言依別命はテルの国を越えてウヅの国に行くこととなった。国依別は言依別命の命を奉じてしばらくここに留まり、ヒルの都からハルの国を廻ってからウヅの国に合流することになった。
国依別の布教によって、三五教は非常な勢いを得ることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-06-10 17:28:26 OBC :rm3014
愛善世界社版:165頁 八幡書店版:第5輯 630頁 修補版: 校定版:177頁 普及版:64頁 初版: ページ備考:
001 テルの(みなと)安着(あんちやく)した高島丸(たかしままる)(のり)すてて、002言依別(ことよりわけの)(かみ)003国依別(くによりわけ)(きた)(きた)へと(すす)()く。004此処(ここ)には御倉山(みくらやま)()高山(かうざん)があり、005国人(くにびと)信仰(しんかう)()りて、006竜世姫(たつよひめの)(みこと)奉斎(ほうさい)したる()なり立派(りつぱ)(やしろ)()つてゐる。007(これ)御倉(みくら)(やしろ)()ふ。008テルとヒルとの国境(くにざかひ)秀立(しうりつ)せる大山脈(だいさんみやく)(もつと)もすぐれて(たか)(みね)である。009(ほこら)御倉山(みくらやま)(ふもと)にあつた。010さうして(きよ)(ひろ)谷川(たにがは)飛沫(ひまつ)()ばして(うな)りを()てて()る。011言依別(ことよりわけの)(みこと)国依別(くによりわけ)(とも)に、012()第一(だいいち)此処(ここ)参詣(さんけい)した。
013 (この)谷川(たにがは)(かぎ)つて、014御倉魚(みくらうを)(しよう)する、015(なが)五六(ごろく)(しやく)のいろいろ雑多(ざつた)斑紋(はんもん)ある(うつく)しき(うを)沢山(たくさん)()んで()る。016されど国人(くにびと)はこれ(まつた)御倉(みくら)(やしろ)(おん)使(つかひ)(しん)じて、017(これ)捕獲(ほくわく)せむとする(もの)一人(ひとり)もなかつた。018もしも(この)(うを)()(くら)(もの)ある(とき)は、019(たちま)(くち)(ゆが)み、020(おし)となり、021顔面(がんめん)全部(ぜんぶ)(あを)(あか)(しろ)()(むらさき)萌黄(もえぎ)などの斑紋(はんもん)(あら)はれるので、022(たれ)(これ)捕獲(ほくわく)する(もの)なきのみならず、023(この)(うを)()れば(かみ)(ごと)くに尊敬(そんけい)し、024()(あは)せて(わが)願望(ぐわんもう)祈願(きぐわん)するを(つね)としてゐた。
025 (この)(ころ)ヒルとテルとの国境(くにざかひ)()ける(ほと)んど五十(ごじふ)()四方(しはう)地域(ちゐき)連日(れんじつ)(あめ)()らず、026草木(さうもく)(ほと)んど枯葉(かれは)(ごと)く、027果物(くだもの)()()らず、028五穀(ごこく)(また)一粒(ひとつぶ)()れなかつた。029()れが(ため)路傍(ろばう)餓孚(がへう)()ち、030(その)惨状(さんじやう)()()てられない(ばか)りであつた。031数多(あまた)国人(くにびと)御倉山(みくらやま)山麓(さんろく)(あつ)まり、032(この)御倉魚(みくらうを)(むか)つて、033饑饉(ききん)(のが)れむことを祈願(きぐわん)する(もの)()きも()らず、034(この)谷間(たにま)(ほとん)(ひと)(もつ)(うづ)もれてゐた。
035 言依別(ことよりわけの)(みこと)国依別(くによりわけ)(とも)(この)有様(ありさま)(なが)憐愍(れんびん)(じやう)()へかね、036如何(いか)にもして(かれ)()(うゑ)(すく)ひ、037大切(たいせつ)なる生命(いのち)(たも)たしめむと、038(くび)(かたむ)けて思案(しあん)(くれ)()る。039谷底(たにそこ)(ふか)見渡(みわた)せば、040白衣(びやくい)()たるウラル(けう)宣伝使(せんでんし)四五(しご)(にん)(あら)はれて、041(しき)りに天国(てんごく)福音(ふくいん)()(さと)して()る。042人々(ひとびと)宣伝使(せんでんし)(まへ)蝟集(ゐしふ)し、043空腹(くうふく)(かか)へて、044いろいろと質問(しつもん)(こころ)みてゐた。
045 (かふ)046(ほそ)(こゑ)にて、
047甲『宣伝使(せんでんし)(さま)048どうして(この)(やう)饑饉(ききん)(まゐ)つたので御座(ござ)いませう? 吾々(われわれ)(たち)最早(もはや)生命(いのち)旦夕(たんせき)(せま)り、049()()つより(みち)なき(もの)050両親(りやうしん)四五(しご)(にち)(まへ)餓死(がし)(つま)乳児(ちのみご)()いたまま、051()(また)餓死(がし)し、052(あと)(わたし)一人(ひとり)取残(とりのこ)されましたが、053最早(もはや)三日(みつか)寿命(じゆみやう)もむづかしくなつて()ました。054(この)()(すく)(たま)(かみ)(さま)055(まこと)におはしますならば、056なぜ斯様(かやう)(つみ)のない子供(こども)までが、057饑餓(きが)(くるし)みを()けて()るのに、058どうもして(くだ)さらないのでせうか? (わたくし)()今日(こんにち)(いた)つて、059(かみ)(さま)存在(そんざい)(うたが)はねばならなくなりました。060(わたし)(むら)最早(もはや)七八分(しちはちぶ)まで、061ウラル(けう)(しん)じて居乍(ゐなが)ら、062餓死(がし)して(しま)ひました。063()うやつて此処(ここ)(まゐ)つて()人々(ひとびと)は、064御存(ごぞん)じの(とほ)()(おとろ)へ、065何程(なにほど)達者(たつしや)(もの)でも、066ここ十日(とをか)(あひだ)には一人(ひとり)(のこ)らず餓死(がし)をせなくてはならぬ運命(うんめい)におかれてる(もの)(ばか)りです。067どうか(この)(くるし)みをお(たす)(くだ)さる(わけ)には(まゐ)らぬものでせうか?』
068宣伝使(せんでんし)(まよ)へる(もの)よ! (なんぢ)()ウラル(けう)(かみ)福音(ふくいん)()け! (ひと)斯世(このよ)(うま)(きた)るや、069幽窮(いうきう)無限(むげん)天地(てんち)(くら)ぶれば、070(あした)(つゆ)(みじか)(いのち)のみ。071現世(げんせ)(かり)浮世(うきよ)なるぞ、072(くるし)みの(いへ)なるぞ、073火宅(くわたく)なるぞ。074(なに)(くるし)んで現世(げんせ)にあこがれ、075(くるし)みを(もと)めむとするか。076(とき)(ちか)づきたり、077審判(さばき)(とき)は……(なんぢ)()078わが(まへ)()(あらた)め、079盤古(ばんこ)大神(だいじん)(まへ)今迄(いままで)(おも)(つみ)(しや)せよ。080(しか)らば(なんぢ)生命(せいめい)仮令(たとへ)()()にする(とも)081(その)霊魂(れいこん)永遠(ゑいゑん)(はな)()きみのる天国(てんごく)(すく)はれ、082無限(むげん)栄楽(ゑいらく)()け、083常世(とこよ)(はる)(たのし)(こと)()む。084()(あらた)むるは(いま)なるぞ。085あゝ(おろか)なる(もの)よ、086(なんぢ)()(かみ)(くに)(たふと)きことを()らず、087物質(ぶつしつ)(じやう)(よく)(とら)はれて、088焦熱(せうねつ)地獄(ぢごく)()えぬ()()かれて、089()(くるし)まむとするか。090天国(てんごく)(ちか)づけり、091()(あらた)めて、092救世(きうせい)福音(ふくいん)をきけ! (かみ)(なんぢ)(とも)にあり、093(なんぢ)(きよ)(かみ)(しもべ)として、094日夜(にちや)(かみ)をほめ(たた)へよ!』
095諄々(じゆんじゆん)として()いてゐる。
096乙『宣伝使(せんでんし)(さま)097あなたの()(はなし)(まこと)結構(けつこう)御座(ござ)いますが、098吾々(われわれ)()(にん)(いま)瀕死(ひんし)(さかひ)(おちい)(げん)地獄(ぢごく)(くるし)みを()けてをります。099現在(げんざい)()(まへ)(こひ)しき(ちち)(うゑ)(たふ)れ、100(つま)(また)(たふ)れ、101兄弟(けうだい)姉妹(しまい)幼児(ようじ)(いた)(まで)102飢饉(ききん)(ため)(たほ)(ほろ)()(この)有様(ありさま)103天国(てんごく)(すく)(たま)ふは有難(ありがた)しとは(おも)(ども)104パンを(あた)(たま)はずば、105(われ)()()くるを()ず、106如何(いか)なれば(この)惨状(さんじやう)(かみ)(すく)(たま)はざるか!』
107宣伝使(せんでんし)()れは天国(てんごく)福音(ふくいん)(なんぢ)()(つた)ふる聖職(せいしよく)なり。108(けが)れ、109(にご)()つたる(この)現世(げんせ)執着(しふちやく)せず、110(かみ)()()しの()()かれて、111現世(げんせ)(あと)天国(てんごく)(いた)るこそ、112最上(さいじやう)至極(しごく)(たのし)みならむ。113(なんぢ)()(かみ)(くに)真相(しんさう)(さと)らば、114現世(げんせ)(いと)ひて、115(ただち)()()ること、116(ねむ)るが(ごと)()甘露(かんろ)()むるが(ごと)法悦(はふえつ)(よろこ)びに()たされむ。117信仰(しんかう)(あさ)(もの)よ! (なんぢ)()(かみ)(きた)りて(かみ)(たた)へよ、118(かみ)(なんぢ)(とも)にましますぞ、119(かみ)御手(みて)にひかれて天国(てんごく)浄土(じやうど)(いた)るはこれ人生(じんせい)最大(さいだい)目的(もくてき)遂行(すゐかう)であるぞよ』
120乙『何卒(どうぞ)一塊(いつくわい)食物(しよくもつ)(あた)へて(くだ)さることは出来(でき)ますまいか? あなたは(かみ)福音(ふくいん)(つた)(たま)宣伝使(せんでんし)ならば、121現在(げんざい)(われ)()(すく)ひ、122(われ)()をして()(なが)天国(てんごく)福音(ふくいん)(さと)り、123神業(しんげふ)参加(さんか)せしめ(たま)はずや。124(いま)吾々(われわれ)如何(いか)有難(ありがた)福音(ふくいん)なればとて、125(うゑ)(せま)りし(くる)しき()(うへ)126現世(げんせ)(おい)(すく)はれず(かく)(ごと)悲惨(ひさん)境遇(きやうぐう)にある(もの)127いかでか天国(てんごく)(はる)(たのし)むことを()む、128……宣伝使(せんでんし)(さま)! (かく)(ごと)(この)谷間(たにあひ)には御倉魚(みくらうを)沢山(たくさん)()りますが、129(これ)(いただ)いて食物(しよくもつ)となし、130(うゑ)(しの)ぐことは(ゆる)されぬでせうか?』
131宣伝使(せんでんし)(せい)ある(もの)(ころ)(なか)れ、132(なんぢ)(また)(ころ)されむ!』
133丙『あーあ、134サツパリモウ駄目(だめ)だ、135何程(なにほど)有難(ありがた)(こと)()かして(もら)うても、136吾々(われわれ)(すく)(もの)は、137食物(しよくもつ)より(ほか)にはないと(おも)ふ。138(この)(とほ)沢山(たくさん)(うを)(およ)()るを見乍(みなが)ら、139(とら)へて()ふことを(ゆる)されず、140もし(くら)はば(たちま)神罰(しんばつ)にふれ、141()(くら)み、142(くち)(まが)り、143(かほ)には斑紋(はんもん)(しやう)じ、144(たちま)吾身(わがみ)(わが)姿(すがた)(おそ)るる(ごと)形相(ぎやうさう)になつて(しま)ふ……あゝ、145如何(どう)したらよからうかなア』
146数多(あまた)飢人(うゑびと)吐息(といき)をもらし、147溌溂(はつらつ)たる谷川(たにがは)(うを)(なが)めつつあつた。
148 言依別(ことよりわけの)(みこと)国依別(くによりわけ)(とも)に、149宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、150国魂(くにたま)(かみ)(まつ)りたる御倉(みくら)(やしろ)参拝(さんぱい)し、151(こゑ)(すず)しく天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(あま)数歌(かずうた)(うた)(をは)り、152ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)数多(あまた)信徒(しんと)(むか)ひ、153天国(てんごく)福音(ふくいん)()(つた)()たる(まへ)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(すす)()く。
154言依別(ことよりわけ)(かみ)(おもて)(あら)はれて
155(ぜん)(あく)とを(たて)わける
156(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
157(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
158(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
159直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
160(あやま)ちあれば()(なほ)
161仁慈(じんじ)無限(むげん)三五(あななひ)
162(をしへ)(まも)らす(もも)(かみ)
163(この)国人(くにびと)惨状(さんじやう)
164完美(うまら)委曲(つばら)()そなはし
165(うゑ)(なや)める民草(たみくさ)
166生命(いのち)(たす)(たま)へかし
167(その)生魂(いくたま)天国(てんごく)
168(めぐみ)如何(いか)()くる(とも)
169(いま)()のあたり身体(からたま)
170(なや)みを(すく)(あた)へずば
171(こころ)(ねぢ)(たま)くもり
172(かみ)御国(みくに)(のぼ)るべき
173(うづ)身魂(みたま)(たちま)ちに
174根底(ねそこ)(くに)(おちい)らむ
175(この)谷川(たにがは)()わたせば
176所狭(ところせ)(まで)(およ)()
177げに(うる)はしき御倉魚(みくらうを)
178(かれ)()(あた)(たま)へかし
179(かみ)霊界(れいかい)のみならず
180(この)()()める人々(ひとびと)
181一人(ひとり)(のこ)さず御恵(みめぐみ)
182(つゆ)にうるはせ永久(とこしへ)
183(いのち)(まも)らせ(たま)ふなり
184三五教(あななひけう)神司(かむづかさ)
185言依別(ことよりわけ)国依別(くによりわけ)
186教司(をしへつかさ)(いま)ここに
187国魂神(くにたまがみ)(まう)()
188これの谷間(たにま)()(きた)
189(うゑ)になやめる人々(ひとびと)
190()るに(しの)びず天地(あめつち)
191(かみ)御前(みまへ)()ひまつる
192(かみ)使(つかひ)(うを)ならば
193世人(よびと)(いのち)(たも)(ため)
194(かみ)よ! (われ)()(たま)へかし
195()れはこれより諸人(もろびと)
196谷間(たにま)(うを)生捕(いけど)らせ
197(いのち)(たす)(あた)へなむ
198あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
199御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
200(うた)(なが)(すす)(きた)る。201(この)宣伝歌(せんでんか)()いて、202ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)()()りあげ、203言依別(ことよりわけ)(まへ)にツカツカと(すす)()り、
204宣伝使(せんでんし)(わたし)はウラル(けう)宣伝使(せんでんし)ブールと(まを)(もの)205只今(ただいま)あなたの宣伝歌(せんでんか)(うけたま)はらば、206(じつ)()しからぬことを(あふ)せらるる(やう)御座(ござ)る。207(かみ)一切(いつさい)生物(せいぶつ)(ころ)(なか)れと(さと)させ(たま)ふ。208(しか)るに(かみ)使(つか)はせ(たま)谷間(たにま)(うを)生捕(いけど)り、209数多(あまた)人々(ひとびと)()はしめ、210(いのち)(たす)けやらむとの()言葉(ことば)……天則(てんそく)違反(ゐはん)(じつ)(はなはだ)しと(まを)さねばなりますまい。211それだから三五教(あななひけう)(をしへ)はいつ(まで)()暗黒(あんこく)(みちび)くもので御座(ござ)る。212(すみやか)(かみ)(むか)つて()(なほ)しをなさるが()からう。213吾々(われわれ)(その)言葉(ことば)()いては聞捨(ききずて)なりませぬ。214サア返答(へんたふ)(うけたまは)りませう』
215言依別(ことよりわけ)成程(なるほど)(かみ)至仁(しじん)至愛(しあい)にましませば、216(その)御心(みこころ)より生物(せいぶつ)(いのち)()ることを(きら)はせ(たま)ふは、217当然(たうぜん)()御座(ござ)る。218さり(なが)(ひと)生命(いのち)大切(たいせつ)か、219(うを)(いのち)大切(たいせつ)御座(ござ)るか? ()()(かんが)へになれば(わか)るでせう』
220ブール『人間(にんげん)(つみ)(かたまり)なれば、221()(なが)ら、222地獄(ぢごく)(くるし)みを()くるは当然(たうぜん)御座(ござ)る。223()(ゆゑ)無限(むげん)絶対力(ぜつたいりよく)のおはします世界(せかい)(つく)(ぬし)盤古(ばんこ)神王(しんわう)御徳(みとく)賛美(さんび)し、224(くる)しみ、225(なや)(わざはひ)(おほ)(うつ)()()てて、226(いち)()(はや)天国(てんごく)(のぼ)るを(もつ)て、227人生(じんせい)本領(ほんりやう)(いた)すでは御座(ござ)らぬか? (つみ)もなき(かみ)(おん)使(つかひ)御倉魚(みくらうを)()(くら)ひ、228(けが)れたる人間(にんげん)(はら)(はうむ)らむか、229神罰(しんばつ)立所(たちどころ)(いた)り、230永遠(えいゑん)地獄(ぢごく)(くるし)みを()くるは、231神教(しんけう)のきめさせ(たま)(ところ)御座(ござ)る。232あなたは(あめ)(した)人民(じんみん)(しん)(あい)(たま)ふにあらず、233(かみ)(こころ)(そむ)かせ、234永遠(えいゑん)地獄(ぢごく)(くる)しみを()けさせむとし(たま)無慈悲(むじひ)(おん)仕打(しうち)235吾々(われわれ)天下(てんか)万民(ばんみん)(ため)236()(まで)もあなたと主義(しゆぎ)(ため)(たたか)はねばなりませぬ。237(ろん)より証拠(しようこ)238(この)谷川(たにがは)(うを)取食(とりくら)(もの)たまたまある(とき)は、239(かみ)(いか)りにふれて、240天罰(てんばつ)立所(たちどころ)(いた)るは国人(くにびと)(すで)(すで)知悉(ちしつ)する(ところ)241あなたは(この)(くに)風習(ふうしふ)をも()らず、242(また)(かみ)(をきて)をも(わきま)へず、243左様(さやう)乱暴(らんばう)(こと)(あふ)せらるるは、244(はなはだ)(もつ)悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)()精神(せいしん)(まを)さねばなりますまい』
245言依別(ことよりわけ)今日(こんにち)人民(じんみん)(まさ)餓死(がし)せむとする危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)なれば、246如何(いか)(かみ)御使(みつかい)なればとて、247仁慈(じんじ)無限(むげん)(かみ)(これ)(ゆる)させ(たま)はざる道理(だうり)がありませうか? モシ左様(さやう)(かみ)ありとせば、248()りも(なほ)さず八岐(やまた)大蛇(をろち)醜神(しこがみ)か、249(あるひ)金毛(きんまう)九尾(きうび)悪狐(あくこ)か、250(また)曲鬼(まがおに)所為(しよゐ)(ござ)らう。251吾々(われわれ)はあなたの()言葉(ことば)こそ、252(かみ)御子(みこ)たる人間(にんげん)魔道(まだう)(みちび)(くるし)むる、253悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)行方(やりかた)(おも)はねばならなくなりました。254(けつ)して(けつ)して(この)(うを)()(くら)へばとて、255神罰(しんばつ)(あた)るべき理由(りいう)毛頭(まうとう)ありませぬ。256(わたし)断言(だんげん)(いた)しますよ』
257ブール『三五教(あななひけう)(をしへ)(じつ)無道(ぶだう)(きは)まる無慈悲(むじひ)(をしへ)では御座(ござ)らぬか。258(しか)らばあなた(こころ)みに、259(かく)(ごと)沢山(たくさん)(うを)(うち)260仮令(たとへ)小魚(こうを)一匹(いつぴき)でも(わが)()(まへ)にて(とら)()つて御覧(ごらん)なさい。261(たちま)神罰(しんばつ)(いた)ることは()()るよりも(あき)らかな事実(じじつ)御座(ござ)る。262何程(なにほど)理窟(りくつ)立派(りつぱ)()つても、263事実(じじつ)(その)(もの)には()つことは出来(でき)ますまい……サアこれでもお(あが)りになる勇気(ゆうき)がありますか?』
264国依別(くによりわけ)『ウラル(けう)のブールさまとやら、265(なん)とあなたは、266(わけ)のわからぬことを()ひますなア。267ウラル(けう)はそんな狭義(けふぎ)(をしへ)御座(ござ)いますか? それでは(まこと)(かみ)(さま)とは(まを)されますまい。268(ろん)より証拠(しようこ)269(わたくし)(いま)270()(まへ)にて、271(かみ)使(つかひ)(しよう)する御倉魚(みくらうを)(とら)へ、272(ここ)にて(つく)()(いた)し、273()つてお()にかけませう。274(その)(かは)万々一(まんまんいち)275(わたくし)()(うへ)(たい)し、276(この)()(おい)神罰(しんばつ)(いた)ることあらば三五教(あななひけう)全部(ぜんぶ)()げてウラル(けう)軍門(ぐんもん)(かぶと)()ぎませう。277()れに(はん)して、278(わたくし)(この)(うを)()(くら)(なに)反応(はんのう)もなしとせば、279あなたは如何(どう)して(くだ)さる(かんが)へですか? ()づこれから第一(だいいち)にお約束(やくそく)をして()かねばなりますまい。280()返答(へんたふ)如何(いかが)御座(ござ)いますか?』
281ブール『それは面白(おもしろ)御座(ござ)らう。282サア美事(みごと)283(かみ)使(つかひ)御倉魚(みくらうを)284(わたし)()(まへ)捕獲(ほくわく)して()(くら)つて御覧(ごらん)なさい。285(なん)反応(はんのう)もなければ、286吾々(われわれ)はウラル(けう)全部(ぜんぶ)引率(いんそつ)して、287貴教(きけう)軍門(ぐんもん)(かぶと)()ぎませう』
288国依別(くによりわけ)(たし)かですか? キツト間違(まちがひ)はありますまいなア』
289ブール『(いやし)くも宣伝使(せんでんし)言葉(ことば)二言(にごん)があつて(たま)らうか。290サア(はや)()決行(けつかう)なされよ』
291国依別(くによりわけ)『ヤア有難(ありがた)い! (おな)(こと)なら(ひと)つ、292一番(いちばん)(おほ)きさうな(やつ)から()つて、293舌鼓(したつづみ)()たうかなア。294ズイ(ぶん)(うま)さうな(さかな)だ。295(なに)()つてゐるのか()らぬが()くマア肥太(こえふと)つてゐよるワイ。296……モシモシ教主(けうしゆ)(さま)297面白(おもしろ)(こと)になつて()ました。298あなた()くブール宣伝使(せんでんし)言葉(ことば)(はら)()れておいて(くだ)さいませや。299あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)い!』
300()(なが)国依別(くによりわけ)は、301谷川(たにがは)()()ち、302(みづ)(うを)(ほとん)等分(とうぶん)になつて()数多(あまた)(うを)(むれ)()んで()り、303三尺(さんじやく)(ばか)りの溌溂(はつらつ)たる斑紋(はんもん)(うる)はしき御倉魚(みくらうを)一尾(いちび)(かか)えて、304ブールの(まへ)(あら)はれ(きた)り、
305国依別(くによりわけ)『どうも此奴(こいつ)(もつと)尤物(いうぶつ)()えます。306(おな)(かみ)のお使(つかひ)でも、307一寸(ちよつと)師団長(しだんちやう)(かく)()代物(しろもの)ですから、308(おな)(ころ)して()つて神罰(しんばつ)(あた)るのなら、309(おほ)きな(うま)さうな(やつ)(たひら)げる(はう)利益(りえき)ですからなア。310何程(なにほど)霊主(れいしゆ)体従(たいじう)だと()つても、311肉体(にくたい)のある(かぎ)り、312()()(むし)食物(しよくもつ)請求(せいきう)する。313ジツとして(こら)()れるものではない。314……サア、315ブールさま(はじ)めそこに居並(ゐなら)数多(あまた)人々(ひとびと)316(いま)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)国依別(くによりわけ)が、317(かみ)さまの(きん)(たま)うたと()(この)(うを)(たた)(ころ)して(つく)りとなし、318(みな)さまの目前(もくぜん)(おい)て、319ムシヤ ムシヤ ムシヤとやつて()ませう。320(わたくし)()つて神罰(しんばつ)(あた)らなければ、321(みな)さまにもキツと神罰(しんばつ)(あた)るものでない。322(ひと)はパンのみにて()くる(もの)(あら)ずとか()つて威張(ゐば)つて()るどこやらの宣伝使(せんでんし)(やう)に、323(わたくし)はそんな気楽(きらく)なことは出来(でき)ませぬよ。324(ひと)(れい)のみにて()くる(もの)(あら)ずと、325反対(はんたい)()ひたくなつて()るのです。326……パンなくて(なん)のおのれが人間(にんげん)かな……だ』
327()(なが)ら、328短刀(たんたう)取出(とりだ)し、329溌溂(はつらつ)たる(この)大魚(たいぎよ)を、330(のど)のあたりをグサと()し、331一思(ひとおも)ひに(ころ)し、332手早(てばや)肉片(にくへん)()つては頬張(ほうば)頬張(ほうば)り、
333国依別(くによりわけ)『アハヽヽヽ、334(なん)とも()へぬ(うま)(あぢ)(いた)すワイ。335これ(だけ)(うを)無尽蔵(むじんざう)()以上(いじやう)は、336五十万(ごじふまん)百万(ひやくまん)人間(にんげん)(やしな)ふのは(やす)いことだ。337あゝ(はや)(くち)(ゆが)まぬかいなア、338(もの)()へぬようにならぬかいなア、339()がつぶれさうなものだ、340(かほ)一面(いちめん)斑紋(はんもん)がなぜ出来(でき)てくれぬのだ。341出来(でき)(はず)だよ、342(かみ)(さま)人間(にんげん)(あた)へて生命(いのち)をつながさうと思召(おぼしめ)し、343(この)(くに)(かぎ)つて(この)(うを)をお(つく)(あそ)ばしたのだ。344()()饑饉(ききん)()(とき)用意(ようい)に、345(かみ)(さま)()つてはならないと()つて、346平素(ふだん)はワザとお差止(さしと)めになり、347(たくは)へておいて(くだ)さつたのだ。348……モシ、349ブールさま、350どうで御座(ござ)います。351()(どく)(なが)ら、352ウラル(けう)三五教(あななひけう)軍門(ぐんもん)降服(かうふく)をなさらにやなりますまい……ヤアヤア(みな)方々(かたがた)353(けつ)して(けつ)して(おどろ)くには(およ)びませぬ。354(この)(とほ)(わたくし)がお手本(てほん)(しめ)しました。355(かみ)(さま)(あた)へて(くだ)さつた、356(この)()さを(いただ)きもせずに、357(かつ)ゑて()ぬとは(なん)(こと)でせう。358サア(はや)くお(あが)りなさい』
359 (この)(こゑ)数多(あまた)人々(ひとびと)はヤツと安心(あんしん)したものの(ごと)く、360矢庭(やには)(かは)()()み、361手頃(てごろ)(うを)(いだ)()げ、362(その)()(うれ)しさうに舌鼓(したつづみ)をうつて()つてゐる。363ウラル(けう)のブール(はじ)四五(しご)宣伝使(せんでんし)何時(いつ)()にか、364コソコソと(この)()より姿(すがた)(かく)して(しま)つた。
365 これより、366(この)国人(くにびと)はウラル(けう)愛想(あいさう)()かし、367国魂(くにたま)(かみ)(やしろ)日夜(にちや)崇敬(すうけい)し、368()三五教(あななひけう)(かた)信者(しんじや)となつて(しま)つた。
369 言依別(ことよりわけの)(みこと)国依別(くによりわけ)(むか)ひ、
370言依別(わたし)(これ)からテルの(くに)()え、371(ただ)ちにウヅの(みやこ)直行(ちよくかう)(いた)しますから、372あなたは此処(ここ)(しばら)(とどま)つて、373国人(くにびと)(をしへ)()(つた)へ、374それよりヒルの(みやこ)(わた)りハルの(くに)一巡(ひとめぐ)りしてウヅへ(まは)つて(くだ)さい。375(その)(うへ)でゆつくり、376(あらた)めて()相談(さうだん)(いた)しませう』
377国依別(くによりわけ)委細(ゐさい)承知(しようち)(つかまつ)りました。378左様(さやう)ならば、379是非(ぜひ)(およ)びませぬ。380ここでお(わか)(いた)します。381どうぞ()健勝(けんしやう)にて()神務(しんむ)()奉仕(ほうし)(あそ)ばします(やう)(いの)ります』
382言依別(ことよりわけ)『ハイ有難(ありがた)う』
383宣伝歌(せんでんか)(たに)(こだま)(ひびき)かせつつ、384ウヅの(くに)目当(めあ)てに(すす)()く。
385 国依別(くによりわけ)御倉(みくら)(やしろ)(しばら)(あし)(とど)め、386(まゐ)()国人(くにびと)(をしへ)(つた)洗礼(せんれい)(ほどこ)した。387(これ)より三五教(あななひけう)(をしへ)旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)(いきほ)ひとなりける。
388大正一一・八・一五 旧六・二三 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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