霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
URL:
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
行間
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。

第四章 懐旧(くわいきう)の歌(うた)〔八四六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第1篇 高砂の松 よみ(新仮名遣い):たかさごのまつ
章:第4章 懐旧の歌 よみ(新仮名遣い):かいきゅうのうた 通し章番号:846
口述日:1922(大正11)年08月14日(旧06月22日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]:
末子姫は、帰順したバラモン教の石熊を連れて、捨子姫、カールと合わせて四人連れでテル山峠の頂上に着いた。
石熊は、はるか昔に松竹梅の宣伝使が黄泉比良坂の戦いに際して、蚊々虎に導かれて珍の都の両親に別れを告げた場所であることを説明した。カールは末子姫に歌を所望した。
末子姫は、かつてのエルサレムの天使長・桃上彦が、都を追われて底の竜宮で正鹿山津見と名前を変えてさまざまな艱難苦労を経験したところから歌い始めた。そして正鹿山津見の三人の娘・松竹梅が別れの歌を歌った場所に引き合わせて、自らの境遇を歌った。
歌い終わって末子姫は傍らの石に腰を下ろした。続いて捨子姫が歌った。捨子姫は、末子姫に付いて世界を廻る自らの境遇とこれまでの足跡を述懐し、神素盞嗚尊、日の出神、言依別、八人乙女らの行方を想い、歌を終えた。
一行は峠を東に下って珍の都を目指した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-01-13 17:48:44 文字数:3305 OBC :rm3004
愛善世界社版:41頁 八幡書店版:第5輯 587頁 修補版: 校定版:44頁 普及版:16頁 初版: ページ備考:
001 末子姫(すゑこひめ)は新(あらた)にバラモン教(けう)の石熊(いしくま)の帰順(きじゆん)を許(ゆる)し、002捨子姫(すてこひめ)、003カールの四人(よにん)連(づ)れ、004漸(やうや)くにしてテル山峠(やまたうげ)の頂上(ちやうじやう)に辿(たど)り着(つ)いた。
005石熊(いしくま)『サア此処(ここ)が有名(いうめい)なテル山峠(やまたうげ)の頂上(ちやうじやう)で御座(ござ)います。006黄泉(よもつ)比良坂(ひらさか)の大戦(たいせん)以前(いぜん)に、007珍(うづ)の都(みやこ)の正鹿山津見(まさかやまづみ)の神(かみ)様(さま)の御(おん)娘(むすめ)、008松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)が始(はじ)めて宣伝(せんでん)の初陣(ういぢん)に此処(ここ)を、009蚊々虎(かがとら)と云(い)ふ天教山(てんけうざん)の木(こ)の花姫(はなひめ)の神(かみ)様(さま)の化神(けしん)に導(みちび)かれて、010お通(とほ)り遊(あそ)ばし、011松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)は遥々(はるばる)と珍(うづ)の都(みやこ)を振返(ふりかへ)り、012両親(りやうしん)に訣別(けつべつ)の歌(うた)を歌(うた)はれた所(ところ)です[※第9巻第13章「訣別の歌」参照]。013随分(ずゐぶん)連山(れんざん)重畳(ちようぜう)として四方(よも)に拡(ひろ)がり、014大西洋(たいせいやう)の波(なみ)は霞(かすみ)の如(ごと)く棚引(たなび)き、015何(なん)とも云(い)へぬ絶景(ぜつけい)の地点(ちてん)で御座(ござ)います。016茲(ここ)で一(ひと)つ汗(あせ)を入(い)れて、017ボツボツ降(くだ)る事(こと)に致(いた)しませうか』
018末子(すゑこ)『何(なん)とも云(い)へぬ涼(すず)しい風(かぜ)が御座(ござ)いますなア。019勿体(もつたい)ない事(こと)乍(なが)ら、020此処(ここ)で少時(しばらく)休息(きうそく)して参(まゐ)る事(こと)に致(いた)しませう。021どうせ二日(ふつか)や三日(みつか)歩(ある)いたつて珍(うづ)の都(みやこ)へは容易(ようい)に行(ゆ)けませぬから……』
022捨子(すてこ)『つい目(め)の下(した)に見(み)えて居(ゐ)るようですが、023随分(ずゐぶん)里程(みちのり)があると見(み)えますなア』
024カール『モシ、025末子姫(すゑこひめ)様(さま)、026松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の宣伝使(せんでんし)がここで懐郷(くわいきやう)の念(ねん)に駆(か)られて訣別(けつべつ)の歌(うた)をよまれた旧蹟(きうせき)ですから、027貴女(あなた)も一(ひと)つテルの国(くに)を別(わか)れるに臨(のぞ)み、028得意(とくい)の御(おん)言霊(ことたま)を以(もつ)てお歌(うた)ひ下(くだ)さつては如何(どう)でせう』
029末子(すゑこ)『オホヽヽヽ、030お恥(はづ)かしい事(こと)ですが、031左様(さやう)な結構(けつこう)な宣伝使(せんでんし)の御(お)歌(うた)ひになつた由緒(ゆいしよ)ある地点(ちてん)と聞(き)けば、032歌(うた)はずには居(を)られますまい。033……捨子姫(すてこひめ)さま、034あなたも一(ひと)つ御(お)歌(うた)ひになつたら如何(どう)でせう』
035捨子(すてこ)『先(ま)づ貴女(あなた)から先(さき)にお口(くち)を切(き)つて下(くだ)さいませ。036私(わたし)も驥尾(きび)に附(ふ)して蛇足(だそく)を添(そ)へますから……』
037 末子姫(すゑこひめ)は山上(さんじやう)の涼(すず)しき風(かぜ)に吹(ふ)かれつつ、038声調(せいてう)ゆるやかに歌(うた)ひ始(はじ)めたり。
039末子姫『神(かみ)の都(みやこ)のエルサレム
040天使(てんし)の長(をさ)と現(あ)れませる
041桃上彦(ももがみひこ)の大神(おほかみ)は
042松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の三柱(みはしら)の
043いたいけ盛(ざかり)の娘子(むすめご)を
044珍(うづ)の館(やかた)に残(のこ)しおき
045聖地(せいち)の混乱(こんらん)後(あと)にして
046見(み)るもいぶせき船(ふね)に乗(の)り
047命(いのち)からがら和田(わだ)の原(はら)
048漕(こ)ぎ出(い)で玉(たま)ふ折柄(をりから)に
049尊(たふと)き神(かみ)の御恵(みめぐみ)に
050一度(いちど)は竜宮(りうぐう)の金門守(かなども)り
051乙米姫(おとよねひめ)に助(たす)けられ
052悲(かな)しき月日(つきひ)を送(おく)る折(をり)
053天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる
054神(かむ)伊邪諾(いざなぎの)大神(おほかみ)の
055珍(うづ)の御(おん)子(こ)と現(あ)れませる
056日(ひ)の出神(でのかみ)に助(たす)けられ
057琴平別(ことひらわけ)の亀(かめ)に乗(の)り
058淤縢山津見(おどやまづみ)と諸共(もろとも)に
059此(この)高砂(たかさご)に安着(あんちやく)し
060珍(うづ)の都(みやこ)に出(い)でまして
061三五教(あななひけう)を広(ひろ)めまし
062珍山峠(うづやまたうげ)を乗越(のりこ)えて
063心(こころ)の空(そら)もハルの国(くに)
064鷹取別(たかとりわけ)の守(まも)りたる
065ハルの城下(じやうか)に出(い)でまして
066数多(あまた)の敵(てき)に取巻(とりま)かれ
067所(ところ)構(かま)はず突(つ)き刺(さ)され
068沙漠(さばく)の中(なか)に埋(うづ)められ
069命(いのち)カラガラハルの国(くに)
070逃(に)げ出(い)でまして珍山(うづやま)の
071谷間(たにま)に湧(わ)き出(で)る温泉(おんせん)に
072病(やまひ)を養(やしな)ひゐます折(をり)
073淤縢山津見(おどやまづみ)や蚊々虎(かがとら)の
074神(かみ)の司(つかさ)に巡(めぐ)り会(あ)ひ
075駒山彦(こまやまひこ)や五月姫(さつきひめ)
076一行(いつかう)五(ご)人(にん)は天雲(あまくも)の
077山(やま)の尾(を)の上(へ)を打渉(うちわた)り
078大蛇(をろち)の船(ふね)に乗(の)せられて
079やうやうウヅの都(みやこ)まで
080帰(かへ)らせ玉(たま)ひて五月姫(さつきひめ)
081珍山彦(うづやまひこ)の媒酌(なかだち)に
082鴛鴦(をし)の衾(ふすま)の契(ちぎり)をば
083結(むす)び玉(たま)ひし芽出(めで)たさよ
084五月(ごがつ)五日(いつか)の夕間暮(ゆふまぐれ)
085聖地(せいち)を後(あと)に三(さん)人(にん)の
086松(まつ)竹(たけ)梅(うめ)の愛娘(まなむすめ)
087訪(たづ)ね来(きた)りて親(おや)と子(こ)の
088嬉(うれ)しき対面(たいめん)遊(あそ)ばせし
089珍(うづ)の都(みやこ)は白雲(しらくも)の
090彼方(あなた)に幽(かす)かに見(み)えにけり
091茲(ここ)に三人(みたり)の姉妹(おとどい)は
092神(かみ)の教(をしへ)を伝(つた)へむと
093草鞋(わらぢ)脚絆(きやはん)に身(み)をかため
094父(ちち)の命(みこと)や母(はは)命(みこと)
095二人(ふたり)に暇(いとま)を告(つ)げ乍(なが)ら
096三人(みたり)の司(つかさ)に伴(ともな)はれ
097此(こ)れの峠(たうげ)に登(のぼ)りまし
098父(ちち)と母(はは)とに訣別(けつべつ)の
099名残(なごり)を惜(を)しみ玉(たま)ひたる
100心(こころ)の色(いろ)もテル山(やま)の
101昔(むかし)思(おも)へばなつかしや
102妾(わらは)も同(おな)じ八乙女(やをとめ)の
103か弱(よわ)き身(み)にて斎苑(いそ)館(やかた)
104鎮(しづ)まりゐます父上(ちちうへ)の
105膝元(ひざもと)離(はな)れて遥々(はるばる)と
106メソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)
107それより進(すす)んで波斯(フサ)の国(くに)
108教(をしへ)を開(ひら)く折柄(をりから)に
109バラモン教(けう)の人々(ひとびと)に
110捉(とら)まへられて和田(わだ)の原(はら)
111便(たよ)り渚(なぎさ)の捨小舟(すてをぶね)
112八人(やたり)乙女(をとめ)はちりぢりに
113神(かみ)の仕組(しぐみ)か白波(しらなみ)の
114上漕(うへこ)ぎ渡(わた)る悲(かな)しさよ
115神(かみ)の恵(めぐみ)の幸(さち)はひて
116汐(しほ)の八百路(やほぢ)も恙(つつが)なく
117魔神(まがみ)を払(はら)ふハラ港(みなと)
118テルの国(くに)をばスタスタと
119東(ひがし)を指(さ)して進(すす)み来(く)る
120テル山峠(やまたうげ)の山麓(さんろく)に
121三五教(あななひけう)の神司(かむづかさ)
122罪(つみ)もカールの神人(しんじん)に
123思(おも)ひ掛(が)けなく巡(めぐ)り合(あ)ひ
124乾(いぬゐ)の滝(たき)に立寄(たちよ)りて
125其(その)壮大(さうだい)を賞(ほ)めゐたる
126時(とき)しもあれや滝(たき)の上(へ)に
127さも凄(すさま)じき目(め)を見(み)はり
128大口(おほぐち)開(あ)けて睨(にら)み居(ゐ)る
129醜(しこ)の大蛇(をろち)に魅(み)せられて
130巌(いはほ)の片方(かたへ)に石熊(いしくま)の
131神(かみ)の司(つかさ)が直立(ちよくりつ)し
132苦(くるし)み玉(たま)ふ憐(あは)れさよ
133直日(なほひ)に見直(みなほ)し聞(き)き直(なほ)す
134神(かみ)の御前(みまへ)に村肝(むらきも)の
135心(こころ)を捧(ささ)げて願(ね)ぎ奉(まつ)る
136吾(わが)言霊(ことたま)は天地(あめつち)に
137忽(たちま)ち通(かよ)ひて石熊(いしくま)の
138神(かみ)の宮居(みやゐ)は自由(じいう)自在(じざい)
139大蛇(をろち)は直(ただち)に解脱(げだつ)して
140雲(くも)を霞(かすみ)と消(き)え失(う)せぬ
141心(こころ)も固(かた)き石熊(いしくま)が
142赤(あか)き心(こころ)を推(お)し測(はか)り
143神(かみ)の大道(おほぢ)を共々(ともども)に
144伝(つた)へ行(ゆ)かむと宣伝歌(せんでんか)
145歌(うた)ひて漸(やうや)く山頂(さんちやう)に
146登(のぼ)りて後(あと)を眺(なが)むれば
147山河(さんか)草木(さうもく)麗(うるは)しく
148神(かみ)の恵(めぐみ)の充(み)ち足(た)らひ
149天国(てんごく)浄土(じやうど)の有様(ありさま)を
150隈(くま)なく現(あらは)し玉(たま)ひける
151あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
152神(かみ)の恵(めぐみ)の著(いち)じるく
153教(をしへ)の花(はな)のいと清(きよ)く
154吾(われ)等(ら)は茲(ここ)にやすやすと
155珍(うづ)とテルとの国境(くにざかゐ)
156四方(よも)を見(み)おろす雲(くも)の上(へ)に
157立(た)ちしは神(かみ)の御恵(みめぐ)みぞ
158さは去(さ)り乍(なが)ら吾(わが)父(ちち)の
159神(かみ)の尊(みこと)は今(いま)何処(いづこ)
160あが姉妹(おとどい)の五十子(いそこ)姫(ひめ)
161愛子(あいこ)の姫(ひめ)を始(はじ)めとし
162五(ご)人(にん)の姉(あね)は如何(いか)にして
163此(この)世(よ)を過(す)ぐさせ玉(たま)ふらむ
164行方(ゆくへ)も知(し)らぬ波(なみ)の上(うへ)
165雲(くも)の彼方(かなた)を打眺(うちなが)め
166朝(あさ)な夕(ゆふ)なにあが父(ちち)や
167姉(あね)の命(みこと)の消息(せうそく)を
168思(おも)ひ煩(わづら)ふあが心(こころ)
169いつしか晴(は)れむ常暗(とこやみ)の
170帳(とばり)は開(あ)けて天津空(あまつそら)
171月日(つきひ)も清(きよ)くテル山(やま)の
172山(やま)の尾(を)の上(へ)の風(かぜ)清(きよ)く
173心(こころ)楽(たのし)き松(まつ)の世(よ)の
174親子(おやこ)姉妹(けうだい)一時(いつとき)に
175嬉(うれ)しき顔(かほ)を五六七(みろく)の世(よ)
176神(かみ)のまにまに高砂(たかさご)の
177此(この)神島(かみしま)に身(み)を忍(しの)び
178神(かみ)の教(をしへ)に仕(つか)へなむ
179あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
180御霊(みたま)幸(さち)はひましませよ』
181と述懐(じゆつくわい)の歌(うた)を歌(うた)ひ、182恰好(かつかう)な腰掛岩(こしかけいは)の上(うへ)に身(み)を托(たく)し、183汗(あせ)を拭(ぬぐ)ふ。184捨子姫(すてこひめ)は風(かぜ)に面(おもて)を吹(ふ)かれつつ、185さも愉快(ゆくわい)げに四方(しはう)を見晴(みは)らし乍(なが)ら、186体(からだ)を東西(とうざい)南北(なんぽく)に回転(くわいてん)しつつ、187歌(うた)ひ始(はじ)めたり。
188捨子姫『東(ひがし)や西(にし)や北(きた)南(みなみ)
189四方(よも)の国型(くにがた)眺(なが)むれば
190大海原(おほうなばら)に浮(うか)びたる
191高砂島(たかさごじま)の名(な)に恥(は)ぢず
192太平松(たいへいまつ)や楠堅木(くすかたぎ)
193槻(つき)の大木(おほき)は青々(あをあを)と
194見(み)わたす限(かぎ)り山々(やまやま)に
195茂(しげ)り合(あ)ひたる麗(うるは)しさ
196天国(てんごく)浄土(じやうど)も目(ま)のあたり
197眺(なが)めて暮(くら)す心地(ここち)して
198旅(たび)のうさをも打忘(うちわす)れ
199神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)の
200珍(うづ)の御(おん)子(こ)と現(あ)れませる
201姿(すがた)優(やさ)しき末子姫(すゑこひめ)
202主人(あるじ)の君(きみ)と仰(あふ)ぎつつ
203何(いづ)れの里(さと)か白雲(しらくも)の
204空(そら)を眺(なが)めて海(うみ)の上(うへ)
205やうやうここに渡(わた)り来(き)て
206月日(つきひ)も清(きよ)くテル山(やま)の
207尾(お)の上(え)に登(のぼ)りて眺(なが)むれば
208吹来(ふきく)る風(かぜ)も芳(かん)ばしく
209木々(きぎ)の梢(こずゑ)は花盛(はなざか)り
210味(あぢ)よき木実(このみ)は限(かぎ)りなく
211枝(えだ)もたわわに充(み)ち足(た)らひ
212飢(う)ゆる事(こと)なく吾々(われわれ)は
213喉(のど)も乾(かわ)かず楽(たのし)みて
214常世(とこよ)の春(はる)に会(あ)ふ心地(ここち)
215天地(てんち)を造(つく)り玉(たま)ひたる
216元(もと)つ御祖(みおや)の大神(おほかみ)の
217開(ひら)き玉(たま)ひし三五(あななひ)の
218教(をしへ)の司(つかさ)と任(ま)けられて
219何処(いづこ)を果(は)てとも長(なが)の旅(たび)
220進(すす)み来(きた)るぞ楽(たのし)けれ
221あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
222神(かみ)の御霊(みたま)の幸(さち)はひて
223世人(よびと)の為(ため)に玉(たま)の緒(を)の
224生命(いのち)を捨子(すてこ)の神司(かむづかさ)
225末子(すゑこ)の姫(ひめ)の側近(そばちか)く
226仕(つか)へ奉(まつ)りて永久(とこしへ)に
227太(ふと)き功績(いさを)を立(た)てまつり
228神(かみ)の御(おん)子(こ)と生(うま)れたる
229あが天職(てんしよく)をまつぶさに
230尽(つく)させ玉(たま)へ天津(あまつ)神(かみ)
231国津(くにつ)神(かみ)たち八百万(やほよろづ)
232殊(こと)に尊(たふと)き国治立(くにはるたち)の
233厳(いづ)の尊(みこと)や豊国姫(とよくにひめ)の
234瑞(みづ)の尊(みこと)の御(おん)前(まへ)に
235誠(まこと)をこめて願(ね)ぎまつる
236あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
237神(かみ)の御霊(みたま)の幸(さち)はひて
238天教山(てんけうざん)に現(あ)れませる
239天照(あまてら)します大神(おほかみ)の
240珍(うづ)の御前(みまへ)に逸早(いちはや)く
241八岐(やまた)大蛇(をろち)を言向(ことむ)けて
242神(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)が
243一日(ひとひ)も早(はや)く功績(いさをし)を
244高天原(たかあまはら)に参上(まゐの)ぼり
245大蛇(をろち)の呑(の)みたる村雲(むらくも)の
246剣(つるぎ)を手早(てばや)く大神(おほかみ)の
247御前(みまへ)に奉(まつ)らせ玉(たま)へかし
248瑞(みづ)の御霊(みたま)の大神(おほかみ)の
249八人(やたり)乙女(をとめ)の末(すゑ)の子(こ)と
250現(あ)れ出(い)でませる末子姫(すゑこひめ)
251かしづき奉(まつ)る捨子姫(すてこひめ)
252新(あらた)に仕(つか)へし石熊(いしくま)の
253神(かみ)の司(つかさ)や三五(あななひ)の
254道(みち)を歩(あゆ)めるカール迄(まで)
255厚(あつ)く守(まも)らせ玉(たま)ひつつ
256五六七(みろく)の御世(みよ)の神政(しんせい)に
257清(きよ)く使(つか)はせ玉(たま)へかし
258神(かみ)は吾(われ)等(ら)と倶(とも)にます
259吾(われ)等(ら)は神(かみ)の子(こ)神(かみ)の宮(みや)
260雲井(くもゐ)の上(うへ)に千木(ちぎ)高(たか)く
261仕(つか)へまつりて宮柱(みやばしら)
262太(ふと)しく立(た)てて大神(おほかみ)の
263御前(みまへ)に清(きよ)く復(かへ)り言(ごと)
264詳(つぶ)さに申(まを)させ玉(たま)へかし
265旭(あさひ)は照(て)るとも曇(くも)るとも
266月(つき)は盈(み)つとも虧(か)くるとも
267高砂島(たかさごじま)は沈(しづ)むとも
268曲津(まがつ)は猛(たけ)く攻(せ)め来(く)とも
269神(かみ)に仕(つか)へし吾(わが)身魂(みたま)
270五六七(みろく)の御世(みよ)の末(すゑ)迄(まで)も
271変(かは)らざらまし神(かみ)の前(まへ)
272慎(つつし)み誓(ちか)ひ奉(たてまつ)る
273さはさり乍(なが)らコーカスの
274山(やま)にゐませし素盞嗚(すさのを)の
275神(かみ)の尊(みこと)は今(いま)何処(いづこ)
276日(ひ)の出別(でのわけ)や言依別(ことよりわけ)の
277神(かみ)の命(みこと)は如何(いか)にして
278道(みち)に尽(つく)させ玉(たま)ふらむ
279五十子(いそこ)の姫(ひめ)や愛子姫(あいこひめ)
280英子(ひでこ)の姫(ひめ)は今(いま)何処(いづこ)
281別(わか)れて程経(ほどへ)し吾々(われわれ)は
282音(おと)づる由(よし)も波(なみ)の上(うへ)
283清(きよ)く泛(うか)べる高砂(たかさご)の
284テル山峠(やまたうげ)の頂上(ちやうじやう)に
285後(あと)振返(ふりかへ)り振返(ふりかへ)り
286哀別(あいべつ)離苦(りく)の感(かん)深(ふか)し
287あゝ皇神(すめかみ)よ皇神(すめかみ)よ
288御霊(みたま)のふゆを幸(さち)はひて
289一日(ひとひ)も早(はや)く大神(おほかみ)に
290吾(われ)等(ら)を会(あ)はせ玉(たま)へかし
291女心(をんなごころ)の一筋(ひとすぢ)に
292遥(はるか)に拝(をが)み奉(たてまつ)る
293あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
294御霊(みたま)幸(さち)はひましせよ』
295と歌(うた)ひ終(をは)り、296これより末子姫(すゑこひめ)を先頭(せんとう)に一行(いつかう)四(よ)人(にん)はテル山峠(やまたうげ)を東(ひがし)に降(くだ)り行(ゆ)く。
297(大正一一・八・一四 旧六・二二 松村真澄録)
298(昭和一〇・六・九 王仁校正)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス】
合言葉「みろく」を入力して下さい→