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霊界物語
海洋万里(第25~36巻)
第30巻(巳の巻)
序
凡例
総説
第1篇 高砂の松
第1章 主従二人
第2章 乾の滝
第3章 清めの滝
第4章 懐旧の歌
第2篇 珍野瞰下
第5章 下坂の歌
第6章 樹下の一宿
第7章 提燈の光
第8章 露の道
第3篇 神縁微妙
第9章 醜の言霊
第10章 妖雲晴
第11章 言霊の妙
第12章 マラソン競争
第13章 都入
第4篇 修理固成
第14章 霊とパン
第15章 花に嵐
第16章 荒しの森
第17章 出陣
第18章 日暮シの河
第19章 蜘蛛の児
第20章 雉と町
第5篇 山河動乱
第21章 神王の祠
第22章 大蜈蚣
第23章 ブール酒
第24章 陥穽
附記 湯ケ島温泉
附記 天津祝詞解
附記 デモ国民歌
余白歌
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(B)
(N)
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第一三章
都入
(
みやこいり
)
〔八五五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻
篇:
第3篇 神縁微妙
よみ(新仮名遣い):
しんえんびみょう
章:
第13章 都入
よみ(新仮名遣い):
みやこいり
通し章番号:
855
口述日:
1922(大正11)年08月15日(旧06月23日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年9月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
珍の館の神司・松若彦は、数多の国人を引き連れて、二挺の輿を用意し、都のはずれのカリナの里に陣を張り、末子姫一行の到着を待っていた。
松若彦は馬を下りて姫の前に罷り出で、ご来臨への感謝を慇懃に述べ立てた。末子姫は、テル山の麓まではるばる使いの者を迎えに寄越してくれたことに感謝の意を表した。互いに挨拶を終えると、麗しい森陰に立ち入って、しばし休息した。
松若彦は、末子姫に輿に乗っての入城を懇願したが、末子姫は神様から賜った足にて歩きたいと拒んだ。松若彦は、国人が至誠を込めて姫の降臨を祝って作った御輿にぜひ乗って欲しいと頼み込んだ。
松若彦は、末子姫の来臨は、珍の国の最初の国司・正鹿山津見神が、松若彦の父・国彦に予言したことであり、それは神素盞嗚大神の御子がこの国を治めるということに他ならないという謂れを明かして説いた。
末子姫も、実は珍の国の国司を継ぐという自分の使命について、父神から聞かされていたと明かした。松若彦は、女王が御輿に乗るのは決して贅沢のためではなく、人民に代わって大地に足を踏まないようにして神祇に敬意を払うお役目なのだと諭した。
これを聞いて末子姫は、捨子姫ともども御輿に乗ることを了承した。末子姫の言葉はなんとなく威厳を帯びてきた。
末子姫は、御輿にかつがれてウヅの国の立派な城門をくぐり、本城指して進み入った。道の左右には数多の国人が、救世主の降臨と涙を流して歓喜に暮れている。カールは石熊とともに、白砂を敷き詰めた道を、息せき切って城内に進み入った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-01-30 19:24:11
OBC :
rm3013
愛善世界社版:
152頁
八幡書店版:
第5輯 626頁
修補版:
校定版:
163頁
普及版:
59頁
初版:
ページ備考:
001
巽
(
たつみ
)
の
池
(
いけ
)
の
曲神
(
まがかみ
)
を
002
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
003
言向
(
ことむ
)
け
和
(
やは
)
し
末子姫
(
すゑこひめ
)
004
捨子
(
すてこ
)
の
姫
(
ひめ
)
を
従
(
したが
)
ひて
005
焼
(
や
)
きつく
如
(
ごと
)
き
炎天
(
えんてん
)
を
006
かよわき
足
(
あし
)
を
運
(
はこ
)
びつつ
007
春
(
はる
)
、
幾
(
いく
)
、
鷹
(
たか
)
に
送
(
おく
)
られて
008
草野
(
くさの
)
をわたり
河
(
かは
)
をこえ
009
再
(
ふたた
)
び
山
(
やま
)
を
乗越
(
のりこ
)
えて
010
又
(
また
)
もや
谷間
(
たにま
)
を
辿
(
たど
)
りつつ
011
旅
(
たび
)
の
枕
(
まくら
)
も
数
(
かず
)
重
(
かさ
)
ね
012
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
鎮
(
しづ
)
まりし
013
三五教
(
あななひけう
)
の
神館
(
かむやかた
)
014
ウヅの
聖地
(
せいち
)
の
間近
(
まぢか
)
まで
015
漸
(
やうや
)
く
進
(
すす
)
み
来
(
きた
)
りける。
016
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
り
017
御輿
(
みこし
)
二挺
(
にちやう
)
を
舁
(
か
)
つがせつ
018
数多
(
あまた
)
の
国人
(
くにびと
)
引率
(
いんそつ
)
し
019
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
020
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
なる
末子姫
(
すゑこひめ
)
021
捨子
(
すてこ
)
の
姫
(
ひめ
)
を
迎
(
むか
)
へむと
022
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
ただ
)
して
白旗
(
しらはた
)
に
023
赤
(
あか
)
き
十曜
(
とえう
)
の
紋
(
もん
)
を
染
(
そ
)
め
024
風
(
かぜ
)
に
靡
(
なび
)
かせ
堂々
(
だうだう
)
と
025
長蛇
(
ちやうだ
)
の
陣
(
ぢん
)
を
張
(
は
)
り
乍
(
なが
)
ら
026
ウヅの
都
(
みやこ
)
の
町外
(
まちはづ
)
れ
027
カリナの
里
(
さと
)
に
現
(
あら
)
はれぬ
028
松若彦
(
まつわかひこ
)
の
一行
(
いつかう
)
は
029
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
と
030
カリナの
里
(
さと
)
に
出会
(
しゆつくわい
)
し
031
忽
(
たちま
)
ち
馬
(
うま
)
を
飛
(
と
)
び
下
(
お
)
りて
032
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
前
(
まへ
)
に
寄
(
よ
)
り
033
松若彦
(
まつわかひこ
)
『
珍
(
うづ
)
の
都
(
みやこ
)
の
国彦
(
くにひこ
)
が
034
御子
(
みこ
)
と
生
(
うま
)
れし
神司
(
かむづかさ
)
035
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
今
(
いま
)
茲
(
ここ
)
に
036
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
末
(
すゑ
)
の
御子
(
みこ
)
037
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
や
捨子姫
(
すてこひめ
)
038
御
(
おん
)
二方
(
ふたかた
)
の
御
(
お
)
出
(
で
)
ましを
039
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
告
(
つげ
)
に
知
(
し
)
らされて
040
新
(
あらた
)
に
御輿
(
みこし
)
を
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げ
041
茲
(
ここ
)
にお
迎
(
むか
)
へ
申
(
まを
)
したり
042
殊更
(
ことさら
)
暑
(
あつ
)
きウヅの
国
(
くに
)
043
尊
(
たふと
)
き
御
(
おん
)
身
(
み
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
044
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
045
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
046
よくも
御
(
お
)
出
(
で
)
まし
下
(
くだ
)
さつた
047
指
(
ゆび
)
折
(
を
)
り
数
(
かぞ
)
へて
国人
(
くにびと
)
が
048
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
049
今
(
いま
)
か
今
(
いま
)
かと
待佗
(
まちわび
)
て
050
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
んで
居
(
を
)
りまする
051
尊
(
たふと
)
き
珍
(
うづ
)
の
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
よ
052
従
(
したが
)
ひませる
捨子
(
すてこ
)
様
(
さま
)
053
茲
(
ここ
)
にてお
休
(
やす
)
み
願
(
ねが
)
ひます』
054
いと
慇懃
(
いんぎん
)
に
宣
(
の
)
りつれば
055
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
も
会釈
(
ゑしやく
)
して
056
末子姫
(
すゑこひめ
)
『
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
きウヅ
館
(
やかた
)
057
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
汝
(
な
)
が
事
(
こと
)
か
058
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
を
親切
(
しんせつ
)
に
059
テル
山峠
(
やまたうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
060
春
(
はる
)
、
幾
(
いく
)
、
鷹
(
たか
)
の
御
(
お
)
三方
(
さんかた
)
061
迎
(
むか
)
への
為
(
ため
)
に
遥々
(
はるばる
)
と
062
よくも
遣
(
つか
)
はし
玉
(
たま
)
ひしぞ
063
おかげで
道中
(
だうちう
)
恙
(
つつが
)
なく
064
いよいよ
此処
(
ここ
)
へ
着
(
つ
)
きました
065
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
066
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
引合
(
ひきあは
)
せ
067
はてしも
知
(
し
)
らぬ
白雲
(
しらくも
)
の
068
メソポタミヤを
立出
(
たちい
)
でて
069
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
折柄
(
をりから
)
に
070
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
姉妹
(
けうだい
)
主従
(
しゆじゆう
)
は
071
バラモン
教
(
けう
)
の
司
(
つかさ
)
等
(
ら
)
に
[
※
御校正本・愛世版では「メソポタミヤを立出でて
バラモン教の司等に
教を開く折柄に 吾等が姉妹主従は 虐げられて棚無しの」だが、それでは「末子姫がバラモン教の司らに対して三五教を開いた」と読めてしまう。校定版・八幡版では「バラモン教の司等に」の位置が変更され、「メソポタミヤを立ち出でて 教を開くをりからに 吾らが姉妹主従は
バラモン教の司らに
虐げられて棚無しの」になっている。霊界物語ネットでも読者の混乱を避けるため校定版と同様に「バラモン教の司等に」の位置を変えた。
]
072
虐
(
しへた
)
げられて
棚無
(
たなな
)
しの
073
寄
(
よ
)
るべなぎさの
捨小舟
(
すてをぶね
)
074
さも
恐
(
おそ
)
ろしき
荒波
(
あらなみ
)
に
075
つき
放
(
はな
)
されし
苦
(
くる
)
しさよ
076
妾
(
わらは
)
は
幸
(
さいは
)
ひ
天地
(
あめつち
)
の
077
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
蒙
(
かか
)
ぶりて
078
捨子
(
すてこ
)
の
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
079
ハラの
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
080
テル
山峠
(
やまたうげ
)
を
乗越
(
のりこ
)
えて
081
巽
(
たつみ
)
の
池
(
いけ
)
に
潜
(
ひそ
)
みたる
082
大蛇
(
をろち
)
の
神
(
かみ
)
を
服従
(
まつろ
)
はせ
083
心
(
こころ
)
も
勇
(
いさ
)
み
身
(
み
)
も
勇
(
いさ
)
み
084
松若彦
(
まつわかひこ
)
の
現
(
あ
)
れませる
085
ウヅの
都
(
みやこ
)
を
当途
(
あてど
)
とし
086
いよいよ
此処
(
ここ
)
に
現
(
あら
)
はれぬ
087
松若彦
(
まつわかひこ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
088
妾
(
わらは
)
は
未
(
いま
)
だ
手弱女
(
たをやめ
)
の
089
力
(
ちから
)
少
(
すく
)
なきまな
娘
(
むすめ
)
090
何卒
(
なにとぞ
)
宜
(
よろ
)
しく
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る
091
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
092
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
に
服従
(
まつろ
)
へる
093
教司
(
をしへつかさ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
094
始
(
はじ
)
めて
述
(
の
)
ぶる
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
095
完美
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ』
096
言葉
(
ことば
)
静
(
しづ
)
かに
宣
(
の
)
りつれば
097
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
腰
(
こし
)
屈
(
かが
)
め
098
揉手
(
もみで
)
し
乍
(
なが
)
ら
喜
(
よろこ
)
んで
099
末子
(
すゑこ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
御手
(
みて
)
を
取
(
と
)
り
100
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
握
(
にぎ
)
りしめ
101
松若彦
(
まつわかひこ
)
『あゝ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
よ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
よ
102
いよいよ
是
(
これ
)
よりウヅの
国
(
くに
)
103
汝
(
なれ
)
が
命
(
みこと
)
の
降臨
(
かうりん
)
に
104
いと
平
(
たひら
)
けく
安
(
やす
)
らけく
105
戸
(
と
)
ざさぬ
御世
(
みよ
)
と
治
(
をさ
)
まりて
106
鬼
(
おに
)
も
大蛇
(
をろち
)
も
荒風
(
あらかぜ
)
に
107
吹
(
ふ
)
かれて
散
(
ち
)
りて
影
(
かげ
)
もなく
108
神
(
かみ
)
の
御稜威
(
みいづ
)
はいやちこに
109
輝
(
かがや
)
き
渡
(
わた
)
り
玉
(
たま
)
ふべし
110
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
111
神
(
かみ
)
の
御末
(
みすゑ
)
の
末子姫
(
すゑこひめ
)
112
珍
(
うづ
)
の
身魂
(
みたま
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
113
松若彦
(
まつわかひこ
)
が
赤誠
(
せきせい
)
を
114
捧
(
ささ
)
げて
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る』
115
と
互
(
たがひ
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
を
終
(
をは
)
り、
116
麗
(
うるは
)
しき
森蔭
(
もりかげ
)
に
立入
(
たちい
)
りて、
117
少時
(
しばし
)
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
むる
事
(
こと
)
となつた。
118
松若彦
(
まつわかひこ
)
は
詞
(
ことば
)
丁寧
(
ていねい
)
に、
119
末子姫
(
すゑこひめ
)
、
120
捨子姫
(
すてこひめ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
121
腰
(
こし
)
を
屈
(
かが
)
め
乍
(
なが
)
ら、
122
松若
(
まつわか
)
『
噂
(
うはさ
)
に
高
(
たか
)
き
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
、
123
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
と
現
(
あらは
)
れませる
末子姫
(
すゑこひめ
)
様
(
さま
)
、
124
並
(
ならび
)
にお
付添
(
つきそ
)
ひの
捨子姫
(
すてこひめ
)
様
(
さま
)
、
125
よくマア
遥々
(
はるばる
)
と
此
(
この
)
熱国
(
ねつこく
)
へ
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
下
(
くだ
)
さいました。
126
私
(
わたし
)
は
申
(
まを
)
すに
及
(
およ
)
ばず、
127
ウヅの
都
(
みやこ
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
仕
(
つか
)
へ
奉
(
まつ
)
る
神司
(
かむづかさ
)
を
始
(
はじ
)
め、
128
数多
(
あまた
)
の
国人
(
くにびと
)
はどんなに
喜
(
よろこ
)
ぶことで
御座
(
ござ
)
いませう。
129
全
(
まつた
)
く
私
(
わたし
)
は
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
と
欣喜
(
きんき
)
雀躍
(
じやくやく
)
の
余
(
あま
)
り、
130
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
以前
(
いぜん
)
から、
131
余
(
あま
)
りの
嬉
(
うれ
)
しさに
夜
(
よる
)
も
碌々
(
ろくろく
)
に
休
(
やす
)
むことも
出来
(
でき
)
ませなんだ。
132
余
(
あま
)
り
俄
(
にはか
)
に
拵
(
こしら
)
へました
此
(
この
)
御輿
(
みこし
)
、
133
お
粗末
(
そまつ
)
では
御座
(
ござ
)
いますが、
134
どうぞ
是
(
これ
)
から、
135
これにお
乗
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さいまして、
136
御
(
ご
)
入城
(
にふじやう
)
の
程
(
ほど
)
偏
(
ひとへ
)
に
希
(
こひねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
ります』
137
と
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る。
138
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
首
(
かうべ
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り、
139
末子
(
すゑこ
)
『
折角
(
せつかく
)
の
思召
(
おぼしめし
)
、
140
無
(
む
)
に
致
(
いた
)
すは
誠
(
まこと
)
に
済
(
す
)
まない
訳
(
わけ
)
で
御座
(
ござ
)
いますが、
141
勿体
(
もつたい
)
ない、
142
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
より、
143
足
(
あし
)
を
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
し
乍
(
なが
)
ら、
144
どうして
輿
(
こし
)
なんかに
乗
(
の
)
ることが
出来
(
でき
)
ませう。
145
折角
(
せつかく
)
乍
(
なが
)
ら
是
(
これ
)
計
(
ばか
)
りはお
許
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さいませ』
146
捨子
(
すてこ
)
『
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
もあの
様
(
やう
)
に
仰
(
あふ
)
せられまするから、
147
どうぞ
是
(
これ
)
計
(
ばか
)
りは
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
にして
下
(
くだ
)
さいませ。
148
又
(
また
)
妾
(
わたし
)
は
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
の
侍女
(
じぢよ
)
として、
149
お
側近
(
そばちか
)
く、
150
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
御
(
ご
)
奉公
(
ほうこう
)
致
(
いた
)
す
婢女
(
はしため
)
なれば、
151
仮令
(
たとへ
)
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
が
御
(
お
)
召
(
め
)
しになつても、
152
妾
(
わたし
)
は
左様
(
さやう
)
な
勿体
(
もつたい
)
ないことは、
153
到底
(
たうてい
)
出来
(
でき
)
ませぬから、
154
悪
(
あ
)
しからず
御
(
お
)
収
(
をさ
)
め
下
(
くだ
)
さいませ』
155
松若
(
まつわか
)
『
左様
(
さやう
)
では
御座
(
ござ
)
いませうが、
156
あなた
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
降臨
(
かうりん
)
を
国人
(
くにびと
)
が
喜
(
よろこ
)
び、
157
寄
(
よ
)
つて
集
(
たか
)
つて
昼夜
(
ちうや
)
の
別
(
べつ
)
なく
作
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げた
御輿
(
みこし
)
で
御座
(
ござ
)
いますれば、
158
どうぞ
国人
(
くにびと
)
の
至誠
(
しせい
)
に
免
(
めん
)
じ
御
(
お
)
乗用
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さいます
様
(
やう
)
、
159
一同
(
いちどう
)
に
代
(
かは
)
り、
160
たつて
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申上
(
まをしあ
)
げます』
161
末子
(
すゑこ
)
『
頑固
(
ぐわんこ
)
のようで
御座
(
ござ
)
いますが、
162
妾
(
わたし
)
の
様
(
やう
)
な
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
、
163
神徳
(
しんとく
)
もない
者
(
もの
)
が、
164
如何
(
どう
)
して
此
(
この
)
様
(
やう
)
な
立派
(
りつぱ
)
な、
165
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
召
(
め
)
し
遊
(
あそ
)
ばす
御輿
(
みこし
)
に
乗
(
の
)
せて
頂
(
いただ
)
くことが
出来
(
でき
)
ませうか』
166
松若
(
まつわか
)
『
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
に
依
(
よ
)
つて、
167
ウヅの
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
として
御
(
お
)
出
(
い
)
で
遊
(
あそ
)
ばしたので
御座
(
ござ
)
いませう。
168
貴女
(
あなた
)
様
(
さま
)
に
取
(
と
)
つては
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
は
御
(
お
)
考
(
かんが
)
へ
遊
(
あそ
)
ばさないでせうが、
169
正鹿山津見
(
まさかやまづみ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が、
170
黄泉
(
よもつ
)
比良坂
(
ひらさか
)
の
戦
(
たたか
)
ひに、
171
御
(
ご
)
出陣
(
しゆつぢん
)
の
際
(
さい
)
、
172
私
(
わたし
)
の
父
(
ちち
)
の
国彦
(
くにひこ
)
に
向
(
むか
)
つて
仰
(
あふ
)
せらるる
様
(
やう
)
……
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
姫御子
(
ひめみこ
)
が
此
(
この
)
国
(
くに
)
へ
降臨
(
かうりん
)
遊
(
あそ
)
ばして、
173
宇都
(
うづ
)
の
国
(
くに
)
一
(
いち
)
円
(
ゑん
)
をお
治
(
をさ
)
め
遊
(
あそ
)
ばす
時
(
とき
)
が
来
(
く
)
るから、
174
それ
迄
(
まで
)
は
汝
(
なんぢ
)
国彦
(
くにひこ
)
、
175
吾
(
わが
)
館
(
やかた
)
を
預
(
あづか
)
り
能
(
よ
)
く
守
(
まも
)
り
居
(
を
)
れよ、
176
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
降臨
(
かうりん
)
の
時
(
とき
)
は、
177
是
(
これ
)
を
奉
(
ほう
)
じて
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
となし、
178
汝
(
なんぢ
)
は
左守
(
さもり
)
右守
(
うもり
)
の
神
(
かみ
)
となつて、
179
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
せよ……との
御
(
ご
)
教示
(
けうじ
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
180
吾
(
わが
)
父
(
ちち
)
は
最早
(
もはや
)
国替
(
くにがへ
)
を
致
(
いた
)
しましたが、
181
其
(
その
)
後
(
あと
)
を
継
(
つ
)
いだ
此
(
この
)
松若彦
(
まつわかひこ
)
、
182
父
(
ちち
)
の
言葉
(
ことば
)
を
無寐
(
むび
)
にも
忘
(
わす
)
れず、
183
珍
(
うづ
)
の
御子
(
みこ
)
の
降臨
(
かうりん
)
あるまでは、
184
大切
(
たいせつ
)
に
守
(
まも
)
らねばならぬと、
185
今日
(
けふ
)
まで
力
(
ちから
)
の
及
(
およ
)
ぶ
限
(
かぎ
)
り
守
(
まも
)
つて
参
(
まゐ
)
りました。
186
貴女
(
あなた
)
はいよいよ
此
(
この
)
国
(
くに
)
の
女王
(
ぢよわう
)
となつて、
187
国民
(
こくみん
)
を
治
(
をさ
)
め、
188
又
(
また
)
教主
(
けうしゆ
)
となつて
国人
(
くにびと
)
を
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
道
(
みち
)
に
教
(
をし
)
へ
導
(
みちび
)
き
下
(
くだ
)
さらねばならぬ
御
(
お
)
役目
(
やくめ
)
で
御座
(
ござ
)
います』
189
末子
(
すゑこ
)
『
及
(
およ
)
ばぬ
乍
(
なが
)
ら、
190
其
(
その
)
使命
(
しめい
)
は
妾
(
わらは
)
も
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
より
承
(
うけたま
)
はつて
居
(
を
)
りました。
191
何卒
(
どうぞ
)
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
輔導
(
ほだう
)
の
程
(
ほど
)
を
御
(
お
)
頼
(
たの
)
み
申
(
まを
)
します』
192
松若
(
まつわか
)
『
御
(
ご
)
勿体
(
もつたい
)
ない
其
(
その
)
お
言葉
(
ことば
)
……
松若彦
(
まつわかひこ
)
身
(
み
)
に
取
(
と
)
り、
193
実
(
じつ
)
に
無上
(
むじやう
)
の
光栄
(
くわうえい
)
に
存
(
ぞん
)
じます。
194
至
(
いた
)
らぬ
愚者
(
おろかもの
)
なれ
共
(
ども
)
、
195
宜
(
よろ
)
しく
御
(
ご
)
指導
(
しだう
)
下
(
くだ
)
さいまして、
196
永
(
なが
)
くお
使
(
つか
)
ひ
下
(
くだ
)
さりませ。
197
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねがひ
)
奉
(
たてまつ
)
ります』
198
末子
(
すゑこ
)
『
御
(
お
)
互
(
たがひ
)
様
(
さま
)
に
宜
(
よろ
)
しく
願
(
ねが
)
ひます』
199
松若
(
まつわか
)
『あなた
様
(
さま
)
は
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
より、
200
此
(
この
)
国
(
くに
)
の
女王
(
ぢよわう
)
とならせ
玉
(
たま
)
ふことを
御存
(
ごぞん
)
じとあらば
猶更
(
なほさら
)
の
事
(
こと
)
此
(
この
)
御輿
(
みこし
)
に
御
(
お
)
乗
(
め
)
し
下
(
くだ
)
さらねばなりますまい。
201
決
(
けつ
)
して
御輿
(
みこし
)
にお
召
(
め
)
し
遊
(
あそ
)
ばすのは
贅沢
(
ぜいたく
)
の
為
(
ため
)
でも、
202
又
(
また
)
は
楽
(
らく
)
に
道中
(
だうちう
)
を
遊
(
あそ
)
ばす
為
(
ため
)
でも
御座
(
ござ
)
いませぬ。
203
此
(
この
)
世界
(
せかい
)
は
天地
(
てんち
)
の
御恩
(
ごおん
)
に
依
(
よ
)
つて
造
(
つく
)
られた
以上
(
いじやう
)
は、
204
天
(
てん
)
はさて
置
(
お
)
き、
205
地
(
ち
)
には
至
(
いた
)
る
所
(
ところ
)
に
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
神霊
(
しんれい
)
宿
(
やど
)
らせ
玉
(
たま
)
へば、
206
大地
(
だいち
)
の
上
(
うへ
)
を
踏
(
ふ
)
み
歩
(
ある
)
くも、
207
吾々
(
われわれ
)
人民
(
じんみん
)
は
恐
(
おそ
)
れ
多
(
おほ
)
い
次第
(
しだい
)
で
御座
(
ござ
)
います。
208
ぢやと
申
(
まを
)
して、
209
国人
(
くにびと
)
一般
(
いつぱん
)
が
大地
(
だいち
)
を
踏
(
ふ
)
むことを
恐
(
おそ
)
れて
居
(
を
)
りましては、
210
道
(
みち
)
行
(
ゆ
)
くことも
出来
(
でき
)
ず、
211
耕
(
たがや
)
し
一
(
ひと
)
つすることも
出来
(
でき
)
ませぬ
道理
(
だうり
)
、
212
そこで
国
(
くに
)
の
司
(
つかさ
)
と
現
(
あら
)
はれます
女王
(
ぢよわう
)
様
(
さま
)
は、
213
万民
(
ばんみん
)
に
代
(
かは
)
り、
214
天
(
てん
)
に
跼
(
せぐく
)
まり、
215
地
(
ち
)
に
蹐
(
ぬきあし
)
して、
216
神祇
(
しんぎ
)
を
尊敬
(
そんけい
)
遊
(
あそ
)
ばし、
217
国民
(
くにたみ
)
の
代表
(
だいへう
)
となつて、
218
お
土
(
つち
)
を
御
(
お
)
踏
(
ふ
)
み
遊
(
あそ
)
ばさないのが
御
(
ご
)
天職
(
てんしよく
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
219
どうぞ
此処
(
ここ
)
の
道理
(
だうり
)
を
聞分
(
ききわ
)
け
下
(
くだ
)
さいまして、
220
これより
先
(
さき
)
は
城下
(
じやうか
)
で
御座
(
ござ
)
いますれば、
221
せめて
城下
(
じやうか
)
丈
(
だけ
)
なりと、
222
お
土
(
つち
)
をふまない
様
(
やう
)
に、
223
吾々
(
われわれ
)
に
代
(
かは
)
つて
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
に
預
(
あづか
)
りたう
存
(
ぞん
)
じます。
224
又
(
また
)
捨子姫
(
すてこひめ
)
様
(
さま
)
も
御
(
ご
)
近侍
(
きんじ
)
の
役
(
やく
)
、
225
どうぞ
姫
(
ひめ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
伴
(
とも
)
遊
(
あそ
)
ばすので
御座
(
ござ
)
いますれば、
226
此
(
この
)
御輿
(
みこし
)
に
是非
(
ぜひ
)
是非
(
ぜひ
)
御
(
お
)
乗
(
め
)
しを
願
(
ねが
)
はねばなりませぬ。
227
此
(
この
)
儀
(
ぎ
)
偏
(
ひとへ
)
に
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げます』
228
末子
(
すゑこ
)
『さう
承
(
うけたま
)
はらば、
229
否
(
いな
)
むに
由
(
よし
)
なきことで
御座
(
ござ
)
います。
230
左様
(
さやう
)
ならば
仰
(
あふ
)
せの
通
(
とほ
)
り、
231
御
(
お
)
世話
(
せわ
)
になりませう。
232
……
捨子姫
(
すてこひめ
)
殿
(
どの
)
、
233
妾
(
わらは
)
が
許
(
ゆる
)
します、
234
否
(
いな
)
命令
(
めいれい
)
します、
235
あの
輿
(
こし
)
に
乗
(
の
)
つて
妾
(
わらは
)
が
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
来
(
こ
)
られよ』
236
と
漸
(
やうや
)
く
末子姫
(
すゑこひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
は
何処
(
どこ
)
となく
権威
(
けんゐ
)
を
帯
(
お
)
びて
来
(
き
)
た。
237
捨子姫
(
すてこひめ
)
は
否
(
いな
)
むに
由
(
よし
)
なく、
238
素直
(
すなほ
)
に『ハイ』と
答
(
こた
)
へて、
239
末子姫
(
すゑこひめ
)
の
輿
(
こし
)
の
後
(
うしろ
)
より
外
(
ほか
)
の
輿
(
こし
)
に
乗
(
の
)
せられ、
240
数多
(
あまた
)
の
国人
(
くにびと
)
の
歓呼
(
くわんこ
)
の
声
(
こゑ
)
に
送
(
おく
)
られ、
241
賑々
(
にぎにぎ
)
しく
入城
(
にふじやう
)
することとなつた。
242
ウヅの
都
(
みやこ
)
の
入口
(
いりぐち
)
には
非常
(
ひじやう
)
な
立派
(
りつぱ
)
な
門
(
もん
)
が
建
(
た
)
てられてある。
243
末子姫
(
すゑこひめ
)
は
此
(
この
)
表門
(
おもてもん
)
より
輿
(
こし
)
に
舁
(
か
)
つがれ、
244
行列
(
げうれつ
)
勇
(
いさ
)
ましく
本城
(
ほんじやう
)
さして
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
245
通路
(
つうろ
)
は
白砂
(
はくしや
)
を
布
(
し
)
き
詰
(
つ
)
め、
246
道
(
みち
)
の
左右
(
さいう
)
には
数多
(
あまた
)
の
国人
(
くにびと
)
、
247
地上
(
ちじやう
)
に
跪
(
ひざまづ
)
き、
248
救世主
(
きうせいしゆ
)
の
降臨
(
かうりん
)
と
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
し、
249
感喜
(
かんき
)
の
真情
(
しんじやう
)
に
暮
(
く
)
れてゐる。
250
いろいろの
音楽
(
おんがく
)
の
音
(
ね
)
に
送
(
おく
)
られ
黄昏前
(
たそがれまへ
)
、
251
奥殿
(
おくでん
)
に
安着
(
あんちやく
)
した。
252
カールは
途中
(
とちう
)
に
石熊
(
いしくま
)
に
追
(
お
)
つ
付
(
つ
)
かれ、
253
茲
(
ここ
)
に
両人
(
りやうにん
)
は
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
254
白砂
(
はくしや
)
の
布
(
し
)
きつめたる
道
(
みち
)
を、
255
息
(
いき
)
もせきせき
城内
(
じやうない
)
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
256
(
大正一一・八・一五
旧六・二三
松村真澄
録)
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