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第一〇章 妖雲晴(えううんばれ)〔八五二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第30巻 海洋万里 巳の巻 篇:第3篇 神縁微妙 よみ(新仮名遣い):しんえんびみょう
章:第10章 妖雲晴 よみ(新仮名遣い):よううんばれ 通し章番号:852
口述日:1922(大正11)年08月15日(旧06月23日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年9月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
石熊は、得意のときには滅茶苦茶に威張るが、弱り目になってくると顔色を真っ青にしてしまう。精神がまだ定まっていない男であった。末子姫に宣り直しを命じられ、カールの忠言を気にしながらまたしても歌い始めたが、その歌には悲哀の情が表されていた。
前の歌よりも、大蛇に語りかけて改心を願う善言美詞的な歌であったが、やはり効果を表さなかった。末子姫になぜ効果が現れないかと問われて石熊は、自分の過去の罪が深いことを大蛇に見透かされており、言霊を聞いてくれないのだと答えた。
末子姫はその心を忘れないようにと石熊を諭し、決して何々教だとか区別を言わずに大慈大悲の大神の御心を汲むことに専心し神様の御為に尽くすことが、神の道の真相であると告げた。
石熊は涙を流して今までの小さき心を捨てて精進することを末子姫に誓った。
末子姫は、石熊の後詰めとして捨子姫を指名し、大蛇に言霊戦を挑むようにと任じた。捨子姫は水面に向かって言葉涼しく言霊歌を宣りはじめた。その歌は、神から生き物が等しく受けた魂を思い、自らも神の御子であることを悟って改心するよう心から述べ奉るというものであった。
捨子姫の言霊はごく簡単なものであったが、天授の精魂清らかにして汚点も曇りもなく、真如の月が心の海に照り輝いていた。その言霊の効用は著しく現れ、荒波はやみ黒雲は晴れ渡って太陽が輝きだした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-01-24 18:18:06 OBC :rm3010
愛善世界社版:120頁 八幡書店版:第5輯 615頁 修補版: 校定版:129頁 普及版:47頁 初版: ページ備考:
001 石熊(いしくま)(あらた)めて姿勢(しせい)(ただ)し、002(ふたた)水面(すゐめん)(むか)つて、003言霊(ことたま)発射(はつしや)(はじ)めた。004(この)(をとこ)得意(とくい)(とき)には無茶(むちや)苦茶(くちや)威張(ゐば)るなり、005(すこ)(よわ)()になつて()ると、006顔色(かほいろ)(まで)真青(まつさを)にかへる、007精神(せいしん)(いま)安定(あんてい)しない(をとこ)であつた。008末子姫(すゑこひめ)(ふたた)()(なほ)しを(めい)ぜられ、009(かつ)(また)カールの忠言(ちうげん)(いた)()にして(こころ)(いた)(なが)ら、010()くに()かれぬ因果腰(いんぐわごし)(さだ)めて(また)もや(うた)(はじ)めた。011されど何処(どこ)ともなしにハーモニーを()いた悲哀(ひあい)(じやう)遺憾(ゐかん)なく(あら)はして()た。012(その)(うた)
013石熊(あふ)げば(たか)久方(ひさかた)
014高天原(たかあまはら)()れませる
015(すめ)大神(おほかみ)御言(みこと)もて
016豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほくに)
017(つく)(かた)(たま)ひつつ
018世人(よびと)(ため)御心(みこころ)
019(くば)らせ(たま)ひし国治立(くにはるたち)
020(かみ)(みこと)(おん)仕組(しぐみ)
021(あまね)世人(よびと)(たす)けむと
022三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
023野立(のだち)(かみ)()れまして
024数多(あまた)(かみ)()びつどひ
025(ひら)(たま)ひし(たふと)さよ
026天照(あまてら)します大神(おほかみ)
027弟神(おとうとがみ)()れませる
028(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
029仁慈(じんじ)無限(むげん)瑞御霊(みづみたま)
030(おに)大蛇(をろち)曲神(まがかみ)
031日々(ひび)(なや)める(くるし)みを
032生言霊(いくことたま)(さち)はひに
033(きよ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
034()(なほ)さむと八洲国(やしまくに)
035(あめ)(あした)(かぜ)(よひ)
036(ゆき)()野辺(のべ)(いと)ひなく
037(とほ)山河(やまかは)(うち)わたり
038大海原(おほうなばら)()えまして
039森羅(しんら)万象(ばんしやう)(ことごと)
040(たす)(たま)へる有難(ありがた)
041(すめ)大神(おほかみ)(うづ)()
042(あら)はれませる末子姫(すゑこひめ)
043(いぬゐ)(たき)()れまして
044バラモン(けう)石熊(いしくま)
045大蛇(をろち)(かみ)(ねら)はれて
046(いのち)(あやふ)折柄(をりから)
047三五教(あななひけう)御心(みこころ)
048完美(うまら)委曲(つばら)(あら)はして
049大蛇(をろち)(かみ)()ふも(さら)
050(この)石熊(いしくま)身魂(みたま)まで
051(あは)せて(すく)(たま)ひけり
052()れは(いや)しき(ひと)()
053天地(てんち)()ぢず暗雲(やみくも)
054高照山(たかてるやま)聖域(せいゐき)
055(やかた)(かま)へて()(ひと)
056(かみ)使(つかひ)(ほこ)りつつ
057(にご)(けが)れし言霊(ことたま)
058打出(うちだ)(みだ)四方(よも)(くに)
059()らず()らずに悪神(あくがみ)
060(しこ)(とりこ)となりにける
061あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
062御霊(みたま)(さち)(かうむ)りて
063天地(てんち)()ちし罪穢(つみけが)
064末子(すゑこ)(ひめ)言霊(ことたま)
065伊吹(いぶき)(はら)はれ(すく)はれて
066(いま)(まつた)三五(あななひ)
067(かみ)(しもべ)となりにけり
068(たつみ)(いけ)(そこ)(ふか)
069堅磐(かきは)常磐(ときは)(しづ)まれる
070大蛇(をろち)(かみ)(おん)(まへ)
071()れは(つつし)(かしこ)みて
072生言霊(いくことたま)()りまつる
073大蛇(をろち)(かみ)生神(いきがみ)
074(なんぢ)天地(てんち)皇神(すめかみ)
075御水火(みいき)()れし(かみ)御子(みこ)
076仮令(たとへ)姿(すがた)(かは)(とも)
077(たふと)(かみ)御心(みこころ)
078(きよ)(おん)()()らしなば
079いかで差別(けじめ)のあるべきや
080(なれ)(かみ)()(かみ)(みや)
081()れも(かみ)()(かみ)(みや)
082(たがひ)(むつ)(した)しみて
083天地(てんち)(のり)(つた)へたる
084三五教(あななひけう)(かみ)(みち)
085(ひら)(たま)ひし言霊(ことたま)
086(うづ)(ちから)(あぢ)はひて
087一日(ひとひ)(はや)村肝(むらきも)
088(こころ)岩戸(いはと)(ひら)きつつ
089月日(つきひ)(かげ)(うる)はしく
090(なれ)(こころ)()らせかし
091()れは(いや)しき(ひと)()
092(なれ)(たふと)(かみ)御子(みこ)
093(なれ)(むか)つて言霊(ことたま)
094()(つた)ふべき(ちから)なし
095さは()(なが)()れも(また)
096(たふと)(かみ)御守(みまも)りに
097(うづ)(はしら)(えら)ばれて
098(なれ)(みたま)(すく)はむと
099遥々(はるばる)(たづ)ねて(きた)りけり
100大蛇(をろち)(かみ)生神(いきがみ)
101(こころ)(たひ)らに(やす)らかに
102(いや)しき(もの)言霊(ことたま)
103さげすみ(たま)はず御心(みこころ)
104(しづ)めて(ふか)()(たま)
105これの天地(てんち)はいと(ひろ)
106いかに御池(みいけ)(ひろ)くとも
107いかに水底(みなそこ)(ふか)くとも
108(かぎ)りも()らぬ大空(おほぞら)
109(くら)べて()れば(この)(いけ)
110(もの)(かず)這入(はい)らない
111()かる(ところ)(ひそ)むより
112天地(てんち)()てる言霊(ことたま)
113(ちから)(こころ)(きよ)めまし
114大空(たいくう)(たか)翔登(かけのぼ)
115(たふと)(かみ)(みぎ)()
116(あめ)をば()らせ(かぜ)()かせ
117青人艸(あをひとぐさ)(うるほ)ひを
118(あた)へて(かみ)経綸(けいりん)
119(つか)ふる(かみ)となりませよ
120(さいは)(なれ)身体(からたま)
121(とき)()ずして池底(いけそこ)
122()(ひそ)(とも)時津風(ときつかぜ)
123(ふき)()(かぜ)(たちま)ちに
124天地(てんち)(あひだ)(わだか)まり
125風雨(ふうう)電雷(でんらい)叱咤(しつた)して
126神政(しんせい)成就(じやうじゆ)(まも)ります
127素質(そしつ)のゐます生神(いきがみ)
128あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
129(かみ)(こころ)()(はか)
130(わが)言霊(ことたま)詳細(まつぶさ)
131(きこ)()しませ惟神(かむながら)
132大蛇(をろち)(かみ)(おん)(まへ)
133三五教(あななひけう)(つか)へたる
134(かみ)(しもべ)石熊(いしくま)
135(つつし)(うやま)八平手(やひらで)
136()ちて勧告(くわんこく)(つかまつ)
137あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
138御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
139 今度(こんど)(もつと)叮嚀(ていねい)善言(ぜんげん)美詞(びし)(てき)言霊(ことたま)()()げた。140され(ども)水面(すゐめん)光景(くわうけい)依然(いぜん)として(もと)(ごと)くであつた。
141末子姫(すゑこひめ)今度(こんど)のあなたの言霊(ことたま)(じつ)(しん)()り、142(めう)(たつ)したと()つても(よろ)しい。143(しか)(なが)ら、144(その)効果(かうくわ)(あら)はれないのは、145あなた如何(どう)()(かんが)へなさいますか』
146石熊(いしくま)『ハイ、147(なん)()うても過去(くわこ)(つみ)(ふか)いもので御座(ござ)いますから、148大蛇(をろち)(かみ)(さま)馬鹿(ばか)にして、149あの(けが)らはしい小僧(こぞう)()150(なに)猪口才(ちよこざい)な、151殊勝(しゆしよう)らし(こと)()ひよるのだ!……と()(やう)なお心持(こころもち)()いて(くだ)さらないのでせう。152(じつ)にお(はづ)かしう御座(ござ)います』
153末子(すゑこ)『あゝさう()(かんが)へになりましたか、154それは(じつ)()()(かんが)へで御座(ござ)います。155どうぞ(その)(こころ)(わす)れない(やう)にして(くだ)さい。156さうしてあなたは(べつ)三五教(あななひけう)にお這入(はい)りにならなくても(よろ)しい。157(また)高照山(たかてるやま)とかの立派(りつぱ)(やかた)三五教(あななひけう)(たてまつ)るとか仰有(おつしや)つたように記憶(きおく)して()りますが、158(けつ)してそんな()心配(しんぱい)()りませぬ。159(かみ)さまの(まこと)御教(みをしへ)左様(さやう)(ちい)さい区別(くべつ)されたものでは御座(ござ)いませぬ。160三五教(あななひけう)だとか、161バラモン(けう)だとか、162ウラル(けう)だとか、163いろいろ(ちい)さき雅号(ががう)(こしら)へ、164各自(かくじ)(その)区劃(くくわく)(なか)()()まれて蝸牛角上(くわぎうかくじやう)(あらそ)ひをして()(やう)なことでは、165到底(たうてい)大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)()神慮(しんりよ)には(かな)ひませぬ。166(まこと)(みち)古今(ここん)(つう)じ、167東西(とうざい)(わた)り、168単一(たんいつ)無雑(むざつ)にして、169悠久(いうきう)()宏大(くわうだい)(もの)170(けつ)して教会(けうくわい)とか霊場(れいぢやう)とか、171左様(さやう)()(とら)はれて()(やう)なことでは、172(まこと)(かみ)御心(みこころ)(わか)るものでは御座(ござ)りませぬ。173あなたも三五教(あななひけう)(なか)(よろ)しい(てん)があるとお(みと)めになれば、174そこを()(もち)ゐになり、175バラモン(けう)(よろ)しいから、176(わる)いと()のついた(ところ)(けづ)り、177(また)()いことがあれば、178(たれ)()つた言葉(ことば)でも(すこ)しも(かま)ひませぬ。179(ちやう)()(たん)(おぎな)ひ、180完全(くわんぜん)無欠(むけつ)(かみ)(さま)御教(みをしへ)何卒(なにとぞ)天下(てんか)拡充(くわくじゆう)されむことを希望(きばう)(いた)します。181(わらは)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)なぞと()はれる(たび)(ごと)に、182(なん)だか狭苦(せまくる)しい(はこ)(なか)へでも押込(おしこ)められる(やう)心持(こころもち)(いた)しまして、183(じつ)(くる)しう御座(ござ)います。184すべて(かみ)(をしへ)自由(じいう)自在(じざい)解放(かいはう)されて、185(ひと)つの束縛(そくばく)もなく、186惟神(かむながら)(てき)でなくてはならないものですよ。187どうぞ(その)(つも)りで今後(こんご)世界(せかい)(ため)に、188(かみ)(さま)(おん)(ため)(ちから)一杯(いつぱい)(まこと)()(つく)(くだ)さいませ。189これが(この)()(つく)(たま)ひし元津(もとつ)御祖(みおや)大神(おほかみ)190国治立(くにはるたちの)(みこと)(さま)(その)(ほか)(たふと)神々(かみがみ)(さま)(たい)する三五(あななひ)(みち)真相(しんさう)御座(ござ)いますから……』
191 石熊(いしくま)(なみだ)をハラハラと(なが)し、
192石熊(いしくま)如何(いか)にも公平(こうへい)無私(むし)にして、193理義(りぎ)明白(めいはく)なる(ひめ)(さま)()教訓(けうくん)194いやモウ(じつ)今日(けふ)結構(けつこう)()神徳(しんとく)(いただ)きました。195今後(こんご)はキツと今迄(いままで)(やう)(ちい)さい(こころ)()たず、196(つと)めて大神(おほかみ)(さま)御心(みこころ)(かな)ひまつるべく、197努力(どりよく)する(かんが)へで御座(ござ)います。198何卒(なにとぞ)()見捨(みす)てなく、199愚者(おろかもの)(わたし)200()指導(しだう)(ほど)幾重(いくへ)にも(ねん)()(たてまつ)ります』
201合掌(がつしやう)し、202感謝(かんしや)(なみだ)(こゑ)さへかすんでゐた。
203末子(すゑこ)『モシ捨子姫(すてこひめ)(さま)! あなた()苦労(くらう)ですが、204大蛇(をろち)(かみ)(さま)言霊(ことたま)をお手向(たむ)(くだ)さいませぬか? 石熊(いしくま)(さま)があの(とほ)りの不結果(ふけつくわ)(をは)られましたから、205(その)補充(ほじゆう)として、206貴女(あなた)()奮戦(ふんせん)()(ねがひ)(いた)します』
207捨子(すてこ)左様(さやう)なれば、208(あふ)せに(したが)ひ、209言霊(ことたま)()らして(いただ)きませう』
210()(なが)ら、211山岳(さんがく)(ごと)く、212(なみ)()ちさわぐ水面(すゐめん)(むか)つて、213言葉(ことば)(すず)しく(きよ)言霊(ことたま)()(はじ)めたり。
214捨子姫(たつみ)(いけ)永久(とこしへ)
215(しづ)まりゐます生神(いきがみ)
216いづの御前(みまへ)捨子姫(すてこひめ)
217(あめ)(つち)との神々(かみがみ)
218(さづ)(たま)ひし言霊(ことたま)
219(ここ)(つつし)()りまつる
220あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
221(かみ)(つく)りし(かみ)(くに)
222(かみ)(まも)りし(かみ)(くに)
223()()でませる人艸(ひとぐさ)
224森羅(しんら)万象(ばんしやう)(ことごと)
225(かみ)(かみ)との御恵(みめぐみ)
226()けざるものはあらざらむ
227大蛇(をろち)(かみ)生神(いきがみ)
228(かみ)より()けし(その)身魂(みたま)
229時世(ときよ)時節(じせつ)()(なが)
230(そこ)ひも()れぬ(この)(いけ)
231(しの)びゐますは何故(なにゆゑ)
232天津(あまつ)御空(みそら)もいや(たか)
233(かけ)りて(この)()(まも)るべき
234()()()にも皇神(すめかみ)
235(うづ)御楯(みたて)(えら)ばれし
236(たふと)身魂(みたま)にあらざるか
237森羅(しんら)万象(ばんしやう)(ことごと)
238永遠(えいゑん)無窮(むきう)生命(せいめい)
239(あた)(たす)くる言霊(ことたま)
240(かみ)御水火(みいき)(うべな)ひて
241一日(ひとひ)(はや)片時(かたとき)
242御池(みいけ)(なみ)()()けて
243天津(あまつ)御空(みそら)生神(いきがみ)
244(かへ)らせ(たま)三五(あななひ)
245(かみ)(をしへ)(つか)へたる
246捨子(すてこ)(ひめ)真心(まごころ)
247こめて(ひとへ)()ひまつる
248あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
249(かみ)御霊(みたま)()けまして
250(かぎり)()れぬ大空(おほそら)
251(たふと)(かみ)()れませよ
252(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
253(うづ)御子(みこ)なる末子姫(すゑこひめ)
254(その)言霊(ことたま)(かうむ)りて
255()()(すす)(たてまつ)
256()()(すす)(たてまつ)
257あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
258御霊(みたま)(さち)はひましまして
259捨子(すてこ)(ひめ)言霊(ことたま)
260(そら)()(かぜ)(かは)()
261(おと)見逃(みのが)(たま)ふまじ
262大蛇(をろち)(かみ)(おん)(まへ)
263(こころ)をこめて()べまつる
264(こころ)(たけ)()かしつる』
265(うた)(をは)つた。266捨子姫(すてこひめ)言霊(ことたま)(きは)めて、267簡単(かんたん)なれ(ども)268天授(てんじゆ)精魂(せいこん)(きよ)らかにして、269一点(いつてん)汚点(をてん)もなく、270暗雲(あんうん)もなく、271真如(しんによ)(つき)(こころ)(うみ)(かがみ)(ごと)()(かがや)()たれば、272(その)言霊(ことたま)効用(かうよう)(いちじる)しく(あら)はれて、273さしもに(たか)かりし荒波(あらなみ)次第(しだい)々々(しだい)(しづ)まり、274四辺(あたり)(つつ)みし黒雲(くろくも)(たちま)()れわたり、275マバラの(あめ)(にはか)()りやみ、276天津(あまつ)御空(みそら)には金色(きんしよく)太陽(たいやう)晃々(くわうくわう)(かがや)(はじ)(たま)うた。277あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
278大正一一・八・一五 旧六・二三 松村真澄録)
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