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幼ながたり
まえがき
幼ながたり
01 父のこと
02 母の生いたち
03 因果応報ばなし
04 石臼と粉引きの意味
05 父の死
06 わたしのこと
07 奉公
08 幼なき姉妹
09 母は栗柄へ
10 母の背
11 屑紙集めと紙漉きのこと
12 清吉兄さん
13 蘿竜の話
14 およね姉さん
15 ひさ子姉さん
16 不思議な道づれ
17 仕組まれている
18 おこと姉さんの幼時
19 王子のくらし
20 ご開祖の帰神
21 霊夢
22 教祖と大槻鹿造
23 牛飼い
24 ねぐら
25 不思議な人
思い出の記
1 料亭づとめ
2 神火
3 天眼通
4 直日のこと
5 夫婦らしい暮しの日
6 尉と姥
獄中記
監房へ
一ぱいの水
青い囚人服
一本の桐の木と蝉
風の中の雀
ぼっかぶりの夫婦
オツルさん
孫の絵便り
獄中の歌
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一一 屑紙集めと紙漉きのこと
インフォメーション
題名:
11 屑紙集めと紙漉きのこと
著者:
出口澄子
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B124900c13
001
教祖さまが、
002
世間で言いますと身を落として、
003
紙屑買いをされましたと言うことも、
004
これはただの暮し向きのためというのでなく、
005
神界からさせられていなさったので、
006
こういうわけが分からなければ、
007
本当にものははっきりとせんのであります。
008
教祖さまの実家が桐村家というのは、
009
もと
園部
(
そのべ
)
の
桐
(
きり
)
の
庄
(
しょう
)
に住んでおられましたからと聞いております。
010
この桐村の祖先もこの国での最も由緒のある
血統
(
ちすじ
)
の家柄でありましたが、
011
ずっと大昔に
戦
(
いくさ
)
に
敗
(
やぶ
)
れ丹波に逃れてきて、
012
桐の庄で
野鍛治
(
のかじ
)
をして過ごされたと言うことであります。
013
それから丹後に移られ、
014
後に福知山に出られたので、
015
そんな具合で桐村家には丹後に親戚がありまして、
016
わたしの子供のころシゲスケという親類の人が刀をさしてやってきたことを覚えております。
017
昔の本当の歴史は、
018
古い書きものや、
019
証拠がだんだんとなくなり、
020
書きかえた時代もあるそうですが、
021
昔の本当の
血統
(
けっとう
)
のことを書いたものがまだ日本のどこかには残っていると思います。
022
教祖様の
屑紙
(
くずかみ
)
集めは、
023
艮の金神様のご因縁にそのもとのわけがあるのであります。
024
艮の金神様はきびしい
善一筋
(
ぜんひとすじ
)
の正しい神様でありましたが、
025
それが世に伝わっているように
悪神
(
あくがみ
)
、
026
たたり神として押込められなさるまでになったのであります。
027
そうして金神様のけいとうの神々も
悪神
(
あくがみ
)
として追いまくられて、
028
ちりぢりばらばらになって世におちなされたのであります。
029
そうして永いながい時節がながれました。
030
そのあいだに地の上は乱れきってどうにも仕様がなくなり、
031
このままにほっておいては、
032
地球が泥海になるより仕様がないので、
033
このうえ
悪神
(
わるがみ
)
に世をもちきりにさしておけんので、
034
艮の金神様がおもてに再びお現われになりまして、
035
もとの神の世にかえされることになりました。
036
そこで先ず、
037
世におちている神々をおもてに出して三千年余りてのお仕組みどおりになされることになって、
038
そのお仕組みの大切な
原型
(
もとのかた
)
として神界からのご命令で教祖様に紙屑買いをさせられたのであります。
039
この型を
種
(
たね
)
として世におちている金神、
040
八百八光
(
はっぴゃくやこう
)
の金神をあげて、
041
正しいもとの神の世につくりかえられるご経綸であります。
042
教祖様の紙屑買いは
悪神
(
あくがみ
)
としてすてられ、
043
押し込められ、
044
追いまくられたもとの正しい金神様たち即ち神様、
045
ちり紙のように世にすてられたカミをひろい集め、
046
すなわちお救い申し上げて世におだし申す御用の型であります。
047
世には教祖様が貧苦におちて紙屑買いをはじめなされたと思い、
048
また神様が教祖様のみたまを磨くためにどん
底
(
ぞこ
)
の
行
(
ぎょう
)
をさせられたと思っている方がありますが、
049
教祖様はそんなチョロコイ紙屑買いではありませんから、
050
そんな考えではこの世の本当の姿は分からないものであります。
051
教祖様は紙屑買いに出られます時には格別に折り目正しい着物をき、
052
髪もきちんと
結
(
ゆ
)
われて出掛けられたので、
053
世間では紙屑買いにはうつらんと噂したくらいで、
054
まことに
潔
(
きよ
)
らかなお姿でありました。
055
また単なる紙屑買いでなかったことは、
056
買ってこられた屑紙を丁寧に
篭
(
かご
)
にわけられて、
057
サネカズラやコウゾの紙の原料と一緒にして
蔵
(
しま
)
われたことであります。
058
こういうわけで、
059
神界からのお仕組みで教祖に屑紙集めをさせられたのでありますが、
060
この教祖様の神業を救けられたのが清吉兄さんの
紙漉業
(
かみすきぎょう
)
であります。
061
私には、
062
およねさん、
063
おことさん、
064
おひささん、
065
おりょうさんの四人の姉さんと、
066
竹蔵さん、
067
清吉さん、
068
伝吉さんの三人の兄さんがありました。
069
そのうち清吉兄さんは大本のお筆先で日の出の神の御守護となっている方であります。
070
たいへん美男子であって
侠客肌
(
きょうかくはだ
)
の男でありました。
071
この清吉兄さんが早くから
綾部町
(
あやべちょう
)
上野
(
うえの
)
の
家中
(
かちゅう
)
の寅さんの所へ紙漉きの稽古に行っていました。
072
私の四つの時でありました。
073
お父さんが
一本木
(
いっぽんぎ
)
の
喜平
(
きへい
)
さんの家の
建前
(
たてまえ
)
を手伝いにゆかれて、
074
庇
(
ひさし
)
から落ちたのが
因
(
もと
)
となり
中風
(
ちゅうぷう
)
がおき半身不随になられた上、
075
その時に兄の竹蔵さんは
興村
(
おきむら
)
の
吉蔵
(
きちぞう
)
さんの所へ大工の見習い奉公に行っておりましたが、
076
職人になることが
厭
(
いや
)
で自殺をはかられ重傷というので、
077
教祖様はあわてて
興村
(
おきむら
)
に行き竹蔵さんを
戸板
(
といた
)
に乗せ、
078
つれて帰られました。
079
それでお父さんの実家に奉公していたひさ子姉さんを呼び戻しお父さんの看病を手伝わせ、
080
おりょうさんや私の
守
(
も
)
りをさせられましたことは前に書いた通りでありますが、
081
この時、
082
教祖様の紙屑買いのお仕事が始まったのであります。
083
それで清吉さんを家に呼びもどして、
084
教祖様の集められた紙屑を新らしく清吉さんに
漉
(
す
)
きあげさせられたのであります。
085
私はお父さんの病気は影法師くらいにしかおぼえておりませんが、
086
清吉兄さんの紙漉きは今もありやかに思い出すことが出来ます。
087
清吉兄さんは紙漉きの原料としてコウゾやサネカズラの植物を集めたりしていました。
088
それを教祖様の集められた紙屑に足して新らしい紙に漉き直していました、
089
その新らしい紙をまた教祖様は屑紙とかえて歩かれました。
090
このように教祖さまは屑カミをひろいあげて新らしい紙に漉きあげ、
091
その新らしいカミをまくばられる型をなされたのであります。
092
これは諸国に新らしく神々をまくばられる型をなされたのであります。
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