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幼ながたり
まえがき
幼ながたり
01 父のこと
02 母の生いたち
03 因果応報ばなし
04 石臼と粉引きの意味
05 父の死
06 わたしのこと
07 奉公
08 幼なき姉妹
09 母は栗柄へ
10 母の背
11 屑紙集めと紙漉きのこと
12 清吉兄さん
13 蘿竜の話
14 およね姉さん
15 ひさ子姉さん
16 不思議な道づれ
17 仕組まれている
18 おこと姉さんの幼時
19 王子のくらし
20 ご開祖の帰神
21 霊夢
22 教祖と大槻鹿造
23 牛飼い
24 ねぐら
25 不思議な人
思い出の記
1 料亭づとめ
2 神火
3 天眼通
4 直日のこと
5 夫婦らしい暮しの日
6 尉と姥
獄中記
監房へ
一ぱいの水
青い囚人服
一本の桐の木と蝉
風の中の雀
ぼっかぶりの夫婦
オツルさん
孫の絵便り
獄中の歌
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サブスク
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> 3 天眼通
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(B)
(N)
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三 天眼通
インフォメーション
題名:
3 天眼通
著者:
出口澄子
ページ:
目次メモ:
概要:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
B124900c31
001
先生が、
002
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいぞう
)
さんに迎えられて、
003
裏町
(
うらまち
)
の教祖さまの
許
(
もと
)
に来られたのは、
004
明治三十二年の旧五月二十六日だということでありますが、
005
私は大原のお茶よりの手伝いから帰って、
006
初めて先生が来ていられるのを知ったのでありまして、
007
初夏の頃という記憶しかありません。
008
先生が綾部に来られますと、
009
かねて教祖さまの筆先で、
010
「教祖さまの神様を見分ける方である」と知らされていた信者さん達が、
011
先生の来られたことを聞き伝えて、
012
次々と集って来るようになりました。
013
それに
平蔵
(
へいぞう
)
さんが、
014
先生のすぐれた霊覚を
目
(
ま
)
のあたり見せられて驚嘆した話が拡がって、
015
話を聞きに来る人がにわかに殖えて来ました。
016
先生が大した霊覚者だという話は私も、
017
当時
平蔵
(
へいぞう
)
さんから何度も聞かされました。
018
その話というのは、
019
平蔵
(
へいぞう
)
さんが、
020
先生を綾部に案内して来る途中、
021
檜山
(
ひのきやま
)
にさしかかりますと、
022
にわかに大雨になりましたので、
023
樽屋
(
たるや
)
という宿屋で一泊することになりました。
024
翌日眼が醒めますと、
025
雨はなお降りしきって、
026
雷鳴さえも加わっております。
027
平蔵
(
へいぞう
)
さんが、
028
029
「これでは
発
(
た
)
てますまい」
030
とつぶやくと、
031
先生はちょっと神様に伺われている様子でしたが、
032
033
「九時までには
霽
(
は
)
れるから、
034
大丈夫出発できる」
035
と断言され、
036
なお、
037
平蔵
(
へいぞう
)
さんに向かって、
038
039
「あんたは綾部だというておいでだが、
040
あんたの家の
在
(
あ
)
るところは大変な
山家
(
やまが
)
で、
041
家の裏に綺麗な水が湧いている
溜池
(
ためいけ
)
がありますわ。
042
池の
辺
(
ほと
)
りは
枝振
(
えだぶ
)
りの面白い小さな松の木があり、
043
そうして少し右前の方の街道に沿うて小屋のようなものが見えて、
044
そこには駄菓子の店が出してあって、
045
六十ぐらいのお婆さんが店番をしているようじゃ」
046
と
鷹
(
たか
)
ノ
栖
(
す
)
村の
平蔵
(
へいぞう
)
さんの家を、
047
目の前に見ているように
視透
(
みとお
)
して話されるのでした。
048
平蔵
(
へいぞう
)
さんはびっくりしてしまいましたが、
049
教祖さまが、
050
かねがね稲荷使いというようなことを極端に嫌っておられることを思い出し、
051
052
「あなたは稲荷さんを使われるのではありませんか。
053
教祖さまは稲荷さんは大嫌いでありますから、
054
万一そんなことが判ったら、
055
とんでもないことになりますゆえ、
056
どうかその魔法見たいなものだけは使わぬようにして下さい」
057
と申しますと、
058
先生は、
059
060
「決して稲荷を使ったりするのではない。
061
これは
天眼通
(
てんがんつう
)
といって、
062
霊学の一部である。
063
あんたにこれくらいのことが分からぬでは困る」と言われ、
064
065
「あんたにも一ペん見せて上げる」
066
と言われるので、
067
平蔵
(
へいぞう
)
さんは言われるまま、
068
キチンと端座して両手を組み、
069
目をふさいでいますと、
070
先生が霊を送って、
071
072
「それ見なさい」といわれると、
073
不思議にふさいだままの
平蔵
(
へいぞう
)
さんの目に、
074
一軒の古い
藁屋
(
わらや
)
が見え、
075
更に
前横
(
まえよこ
)
の方にまた汚い家が一軒見えて、
076
そこに美しい水の湧き出る池が見えます。
077
家の裏には
榧
(
かや
)
の木や
椋
(
むく
)
の木の大木があり、
078
細い綺麗な小川が道のそばをチョロチョロと流れているのが見えるのです。
079
平蔵
(
へいぞう
)
さんは、
080
ますます驚いて
霊眼
(
れいがん
)
に見えた通りを話しますと、
081
082
「今のは穴太の私の家です。
083
きれいな水の湧いている池は
久兵衛池
(
きゅうべえいけ
)
といって、
084
私の家に祖先からずっと伝わっている池どす」と説明されるのでした。
085
平蔵
(
へいぞう
)
さんは、
086
すっかり感心してしまっていると、
087
さすがの
大雷雨
(
だいらいう
)
が、
088
先生の言われた通り九時になると
からり
と晴れてしまいました。
089
平蔵
(
へいぞう
)
さんはすっかり
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたまま
樽屋
(
たるや
)
を出発したと言うことであります。
090
こんな話を聞くと、
091
ちょっと
見
(
み
)
には
阿呆
(
あほう
)
か
利巧
(
りこう
)
か見当の取れんような先生が、
092
大変偉く見えて来るのでした。
093
そんな具合で、
094
先生が来られて、
095
教
(
おしえ
)
を乞いに来る者、
096
色んなことを
伺
(
うかが
)
いに来る者で、
097
今までの
裏町
(
うらまち
)
の
伊助
(
いすけ
)
さんの土蔵では全く
手狭
(
てぜま
)
で、
098
どうしようにも出来ぬような状態になって来ました。
099
そこで教祖さまと、
100
先生は相談の上、
101
これまで先生のやっておられました稲荷講社の
霊学会
(
れいがくかい
)
と、
102
教祖さまを中心に出来ておりました
金明会
(
きんめいかい
)
とを合併して、
103
稲荷講社の分会として
金明霊学会
(
きんめいれいがくかい
)
が出来たのであります。
104
そして
広前
(
ひろまえ
)
(神様の
御広間
(
おひろま
)
の意)を、
105
本町
(
ほんまち
)
の中村竹蔵さんの家に移転することになったのであります。
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飯塚弘明著『
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霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
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