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一三 蘿竜の話

インフォメーション
題名:13 蘿竜の話 著者:出口澄子
ページ: 目次メモ:
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :B124900c15
001 先生は蒙古で清吉(せいきち)兄さんの娘であるという蘿竜(らりょう)という人に会われたというのです。
002 お筆先では、003清吉兄さんは死んでいないと言うことになってましたので、004これは死んでしまってもう居ないということであると言う人と、005まだ死んではいない、006生きていると言うことであると言う人もありましたが、007私は清吉兄さんはお筆先で、008日の出のご守護となっていましたから、009なにか深いご守護のもとに、010仕組(しぐみ)のことで支那に渡られたように思えてならなかったので、011私は先生からラリョウの話を聞いたとき、012人とは別な気持ちで驚かされたのであります。
013 先生の蒙古入りのことは、014ずっとあとで詳しく述べますが、015大へん深いお仕組(しぐみ)でまだ先でないと、016このことを言うても、017たれにも通じないことでありまして、018やがてこのお仕組(しぐみ)が実地にまわってくるのであります。
019 先生が入蒙(にゅうもう)されたときは、020方々(ほうぼう)から馬賊(ばぞく)と言われておるものが、021先生の徳を慕うて集ってきたのであります。022馬賊と言いましても、023あの時に先生を一番(たす)けてくれた慮占魁(ろせんかい)にしても、024みな馬賊といわれておりますが、025あの人も立派な方でして、026あの時分の満洲としてはああいう形で働いていたので、027慮占魁も馬賊と言われることを残念がっていたそうです。
028 そういう人びとが集ってきた中に蘿竜(らりょう)という女馬賊の頭目(とうもく)がおりまして、029それは蒙古のようにまだ開けておらないところにおいておくのは勿体ないほどの美しい人であったそうです。030そのラリョウが先生を一目みるなり、031なんとなく先生を慕うてきまして、032先生の理想(はなし)を聞くと、033大へん喜びまして、034先生のために三千の部下をつれて生命(いのち)がけで尽くしたいと言ってきたのであります。035それが上手な日本語で話してきましたので先生も不思議に思われたと言うことです。
036 それから夜になってラリョウが先生と二人きりで話しをしたいと言うので、037テントの中のラリョウの部屋に行かれましたとき、038初めてラリョウの身の上ばなしを聞かれたのであります。
039 ラリョウの父は王文泰(おうぶんたい)という名でした。
040 王文泰(おうぶんたい)という人は北清(ほくしん)事変の時に日本の新聞にも載った人で、041先生もその時の新聞で王文泰(おうぶんたい)のことを読まれたときハッと感じておられたそうです。042それで先生が蒙古に行かれた時、043日本人であることを(かく)すため、044王文泰(おうぶんたい)と名乗られたのであります。045まずラリョウが驚いたのは自分の父の名と同じ名の人が出てきたことでありました。046そのことをラリョウが先生に言いましたところ、047先生が、048私は本当は日本人でデグチ・オニサブロウというものだと言われたので、049ラリョウは更にびっくりして私の母は蒙古人でしたが、050父は日本人でデグチと申しておりました。051父は初め台湾にいたことがあったようです。052蒙古ではラシンキチ(()清吉(しんきち))と名のっておりました、053と打明けたと言うのです。
054 デグチ、055ラ・シンキチ、056タイワン
057 不思議ですなア、058先生が北清(ほくしん)事変のころに王文泰(おうぶんたい)という名を新聞で見て感じておられたことが本当であったのであります。
059 先生は蒙古で清吉兄さんの娘さんに会われたのであります。060ちょうどその晩はよい月夜でありましたそうで、061ラリョウはコキュウというものを弾いて先生にきかせたそうです。
062 清吉兄さんは台湾から上海(シャンハイ)の方にわたり、063それから北京(ペキン)の方でも仕事をされ、064蒙古で先生の考えておられたと同じようなことを目的にして仕事をされていたそうです。065蒙古というところは、066神界からは(わけ)のあるところでありまして、067大本にあることは不思議なことばっかりであります。068先生が蒙古にわたられました三年ほどまえに、069()清吉(しんきち)と言うておられた清吉(せいきち)兄さんは(ちょう)作霖(さくりん)の軍隊にとらえられ、070そうしてそのまま帰ってこられなかったと言うことです。071そのあとラリョウも先生のパインタラの御難(ごなん)のとき盧占魁という方といっしょに、072可哀(かわい)そうなことになったのであります。
073 この清吉兄さんと同じように、074私たちのきょうだいは、075教祖さまの子と生まれ、076それぞれにみな神様のお仕組(しぐ)みでいろいろのことをさせられています。077私の兄姉(きょうだい)にあらわれていることの中には、078世間ではいみきらわれていることがでてきますが、079これはみんな神様から世界の型をさせられていたので、080その一つ一つに(わけ)があるのであります。081神様は()の人にはさせられない一ばんいやな悪の型を、082教祖さまの子にそれぞれ負わせられたのであります。083このことは教祖さまの筆先にも、084
085誠善(まこと)一つの御道(おみち)は、086(ひと)にキズは附けられんから、087わが血統(ひっぽう)(いや)なことはさしてありたぞよ。088(いま)だに出口なおのひっぽうにさせてあるから、089何事もよく出口なおの血筋の所作(しょさ)がらを見ておいて改心をいたさんとわれ()しの()(かた)では……これまでは好きなようにして()けたなれど、090二度目の世の立替えをいたしたら、091全部(さっぱり)行り方を代えてしまうから、092云々」
093とあるとおりであります。094こういうことの小さな型は世の中で悪人と言われている人のなかにもあることで、095人としては()い人でも悪の(ぎょう)を負わせられ、096させられているという人もありましょう。097(いち)がいに人を頭から悪人じゃときめることができない(わけ)もここにあると思われます。098しかしこれは身魂の因縁というてなかなか難しいことであります。
099 私の兄や姉にでてきますことは、100()りくんでいますが、101まことにあらましのことだけを書きわけておきます。
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