霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 (みち)すがら〔一〇三八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第1篇 千万無量 よみ(新仮名遣い):せんまんむりょう
章:第1章 道すがら よみ(新仮名遣い):みちすがら 通し章番号:1038
口述日:1922(大正11)年10月14日(旧08月24日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
『天帝一物を創造す。悉く力徳による。故に善悪相混じ美醜互に相交はる』とは、道の大原の最初に示された聖句である。
全知全能の神が創造した世界になにゆえ、美醜善悪の違いがあるのかについては、いろいろと理屈をこねる人もある。しかしながらこれは全く力徳の塩梅によるものと断定を下してあるのは、万古不易の真理なのである。
力徳は一朝一夕に説き明かすことはできないが、つづめて言えば、動、静、解、凝、引、弛、合、分の八力の活動がどうなるかによって、善悪・美醜・大小・強弱が分かれるのである。
大本では、人は万物の霊長であるのみならず、『神は万物普遍の霊にして人は天地経綸の司宰者なり』と断定しているのである。これも出口教祖の二十七年間の筆先の大精神を通観して得たところの断案である。
天地経綸の司宰者である人間にも、また善悪・美醜・大小・強弱の区別があって、中には経綸の妨害をなす人間もたくさんに出来ているのである。この大原因は天賦の力徳の過不及による結果であり、いわゆる身魂の因縁性来によるものである。
しかし人は神様に次いで尊きものであるから、世界を善に進め美に開くべき天職を、天賦的に持っているものである。人間は小なる神、神の生き宮としてこの世に生れ出たのである。
そうである以上、終生神の御旨を奉戴して天地の御用を助け奉ることが、人として生まれ出た本文を尽くすことになるのである。
人間は裸で生まれてきたから裸で死ねばよいという捨て鉢根性では、人生天賦の職責は遂げられない。それどころか、神界より選ばれて生まれさせていただいた大神の御聖旨に背く罪人となってしまうのである。
天地神明の大業に奉仕し、政治を進め、産業を拓き、真の宗教を宣伝し、道義心の発達を助けて世界の醜悪を駆追し、真善美の天地に進めて行かねばならない。
皇祖天照大神様の建国の御主旨は政教慣造の四大主義の実行である。政は万世一系、教は天授の真理、慣は天人道の常、造は適宜の事務。この四大主義を実践するのが人生の本分である。ただ天下公共のために自分としての転職を尽くし得ることが肝心である。
役員や信者の中には、出口教祖のお筆先によって、私に対して空想を描いている人が多い。またなにほど筆先の精神を縦横無尽に説いても、それは教祖の筆先に出ていないと言って十分に感得させることができないことは、実に遺憾である。
自分の肉体に対して好意を表してくれてはいるが、肝心要の真実の精神を汲み取ってくれるものが少ないのは、自分にとって最大の苦痛である。
役員や信者の迷信を利用して猫をかぶっていたなら、物質的方面のことはどんなことでもできたであろう。しかしながら、自分の天授の良心が、どうしてもそんなことは許さない。神の道は方便や手段では行かない。
至誠至直の神に仕える身分としては、神の大道より他の道を歩むことはできない。今日の場合にはいかにしても社会一般の誤解を正し、大本を正しく理解させることが必要であると感じたから、神様に一身をささげて口を提供し、物語を発表することとなったのである。
混濁せる社会に対して一身をささげて五六七の御代に奉仕しようという誠の人は、一日も早くこの物語の精神に目をさまし、天下万民のために誠を尽くしていただきたいものである。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-29 14:55:10 OBC :rm3801
愛善世界社版:7頁 八幡書店版:第7輯 159頁 修補版: 校定版:7頁 普及版:2頁 初版: ページ備考:
派生[?]この文献を底本として書かれたと思われる文献です。[×閉じる]出口王仁三郎著作集 > 第一巻 神と人間 > 『霊界物語』 抄 > 道すがら
001 『天帝(てんてい)一物(いちぶつ)創造(さうざう)す。002(ことごと)力徳(りきとく)による。003(ゆゑ)善悪(ぜんあく)相混(あひこん)美醜(びしう)(たがひ)相交(あひまじ)はる』
004 これ(みち)大原(たいげん)初発(しよつぱつ)(しめ)されたる聖句(せいく)である。005つらつら(かんが)ふるに、006蒼空(さうくう)仰望(ぎやうばう)しても海原(うなばら)()ても、007山川(さんせん)虫魚(ちうぎよ)()ても、008(ことごと)善悪(ぜんあく)美醜(びしう)区別(くべつ)様々(さまざま)あつて、009(この)世界(せかい)至善(しぜん)至美(しび)(かみ)(さま)がお(つく)りになつた以上(いじやう)は、010(あく)といふ(こと)微塵(みじん)もなく、011至善(しぜん)至美(しび)(もの)ばかりであらねばならぬ』と()(ひと)がありますが、012(けつ)してさうはゆきませぬ。013(ある)(ひと)が、014喜楽(きらく)(むか)つて詰問(きつもん)して(いは)く、
015天帝(てんてい)(はた)して全智(ぜんち)全能(ぜんのう)にして、016万物(ばんぶつ)(つく)りかつ真善美(しんぜんび)(この)むものならば、017何故(なにゆゑ)(その)全智(ぜんち)全能(ぜんのう)神徳(しんとく)によつて、018()なるもの(ぜん)なるもののみを(こしら)へて、019醜悪(しうあく)なるものを(こしら)へぬ(はず)である。020(かみ)意志(いし)(はた)して真善美(しんぜんび)(あい)するならば、021(もと)より(ぜん)ばかりを(こしら)へて()けば、022(べつ)(あく)(つく)つておいて(あく)(あらた)めしめむとて宣伝(せんでん)努力(どりよく)するの必要(ひつえう)()いではないか。023(えう)するに天帝(てんてい)自分(じぶん)から醜悪(しうあく)なるものを(つく)り、024(その)醜悪(しうあく)(きら)ふと()ふのは自家(じか)撞着(どうちやく)(はなは)だしい矛盾(むじゆん)である。025(われ)()はここに(いた)つて全智(ぜんち)全能(ぜんのう)(かみ)(うたが)はざるを()ず』
026()つた(ひと)沢山(たくさん)にあつた。027(しか)(なが)何人(なんぴと)(いへど)今日(こんにち)(まで)諸々(もろもろ)宗教(しうけう)028倫理(りんり)029道徳説(だうとくせつ)貧弱(ひんじやく)なる頭悩(づなう)()()んで()(ひと)(かんが)へから()れば、030(じつ)(もつと)至極(しごく)疑問(ぎもん)である。031喜楽(きらく)()少年(せうねん)(ころ)から(この)問題(もんだい)には大変(たいへん)(こころ)(くだ)いて()たものである。032(とき)古今(ここん)()はず、033(やう)東西(とうざい)(ろん)ぜず、034(すべ)ての哲学者(てつがくしや)035宗教家(しうけうか)(この)問題(もんだい)については(しき)りに研究(けんきう)をして()(やう)である。036世界(せかい)皆善論(かいぜんろん)(とな)へるものもあれば、037世界(せかい)皆悪論(かいあくろん)(とな)へるものも(あら)はれて()る。038(また)(この)()(ゆめ)浮世(うきよ)ぢや』と()つて厭離(えんり)穢土(ゑど)(しよう)し、039未来(みらい)天国(てんごく)浄土(じやうど)(たの)しむのが人生(じんせい)大目(だいもく)(てき)だ』などと区々(まちまち)(せつ)()て、040所説(しよせつ)紛々(ふんぷん)として落着(おちつ)(ところ)()らず、041(ちう)(まよ)ふて()姿(すがた)である。042古今(ここん)学者(がくしや)一人(ひとり)として今日(こんにち)(いた)(まで)043大宇宙(だいうちう)本体(ほんたい)(とら)え、044人生(じんせい)真目(しんもく)(てき)諒解(りやうかい)したる(もの)()(やう)である。045仏教(ぶつけう)にしても儒教(じゆけう)にしても、046現代(げんだい)(わが)(くに)十三派(じふさんぱ)神道(しんだう)宗教(しうけう)にしても、047(その)()種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)宗教(しうけう)にしても、048(けつ)して宇宙(うちう)真相(しんさう)解決(かいけつ)()(もの)()い。049(しか)(なが)(たふと)(こと)には、050(わが)(くに)には皇祖(くわうそ)皇宗(くわうそう)()遺訓(ゐくん)なる古事記(こじき)051日本(にほん)書紀(しよき)(その)()古書(こしよ)(つた)はり、052言霊(ことたま)明鏡(めいきやう)歴然(れきぜん)として(かがや)き、053宇宙(うちう)真理(しんり)解決(かいけつ)すべき宝典(ほうてん)(とぼ)しくはなけれども、054闇黒(あんこく)なる今日(こんにち)思想界(しさうかい)(おい)ては、055(この)真理(しんり)諒解(りやうかい)する()けの偉人(ゐじん)賢哲(けんてつ)学者(がくしや)(あら)はれて()ないと()(こと)は、056国家(こくか)社会(しやくわい)()めに(じつ)慨嘆(がいたん)(いた)りである。
057 喜楽(きらく)幼時(えうじ)より(わが)国体(こくたい)淵源(えんげん)(きは)めむとし、058(かつ)明治(めいぢ)卅一(さんじふいち)(ねん)以後(いご)今日(こんにち)(いた)(まで)059(ほとん)廿五(にじふご)年間(ねんかん)060艱難(かんなん)辛苦(しんく)()神界(しんかい)真相(しんさう)一端(いつたん)(きは)めた結果(けつくわ)061宇宙(うちう)真理(しんり)一部(いちぶ)を『霊界(れいかい)物語(ものがたり)』として発表(はつぺう)する(こと)となつたのである。062(みち)大原(たいげん)聖句(せいく)にも、063天地間(てんちかん)万物(ばんぶつ)善悪(ぜんあく)美醜(びしう)混交(こんかう)せるは、064(まつた)力徳(りきとく)塩梅(あんばい)によるものと断定(だんてい)(くだ)してあるのは、065(じつ)万古(ばんこ)不易(ふえき)真理(しんり)である。
066 (さて)(この)力徳(りきとく)()(こと)は、067一朝(いつてう)一夕(いつせき)()(あか)(わけ)には()かぬ。068約言(やくげん)すれば、069(どう)070(せい)071(かい)072(ぎよう)073(いん)074()075(がふ)076(ぶん)八力(はちりき)活動(くわつどう)如何(いかん)によつて、077善悪(ぜんあく)美醜(びしう)大小(だいせう)強弱(きやうじやく)(わか)れるのである。078(ひと)天地(てんち)(はな)079万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)』と(とな)へられて()るが、080大本(おほもと)では一歩(いつぽ)(すす)んで、
081(かみ)万物(ばんぶつ)普遍(ふへん)(れい)にして(ひと)天地(てんち)経綸(けいりん)司宰者(しさいしや)なり』
082断定(だんてい)(くだ)して()るのである。083これも出口(でぐち)教祖(けうそ)廿七(にじふしち)年間(ねんかん)筆先(ふでさき)大精神(だいせいしん)通観(つうくわん)して()(ところ)断案(だんあん)である。084()くの(ごと)(たふと)天地(てんち)経綸(けいりん)司宰者(しさいしや)たる人間(にんげん)にも、085(また)善悪(ぜんあく)美醜(びしう)大小(だいせう)強弱(きやうじやく)区別(くべつ)があつて、086(なか)には天地(てんち)経綸(けいりん)司宰者(しさいしや)どころか、087(かへつ)天地(てんち)経綸(けいりん)妨害(ばうがい)をなす人間(にんげん)沢山(たくさん)出来(でき)()る。088()くの(ごと)人間(にんげん)(あら)はれて()るのは、089(えう)するに(ひと)つは教育(けういく)如何(いかん)にもよるのは無論(むろん)だが、090(しん)原因(げんいん)(けつ)してさうでは()い。091肝賢(かんじん)大原因(だいげんいん)天賦(てんぷ)力徳(りきとく)過不及(くわふきふ)による(ところ)結果(けつくわ)で、092筆先(ふでさき)所謂(いはゆる)身魂(みたま)因縁(いんねん)性来(しやうらい)によるものである。093(がい)して人間(にんげん)肉体(にくたい)善悪(ぜんあく)強弱(きやうじやく)は、094(すべ)力徳(りきとく)過不及(くわふきふ)により(しやう)ずる(ところ)結果(けつくわ)である。095(ひと)(こころ)善悪(ぜんあく)智愚(ちぐ)(もと)より教育(けういく)によつて(その)一部分(いちぶぶん)左右(さいう)せらるるものである。096(しか)(ひと)(かみ)(さま)(つい)での(たふと)きもので、097世界(せかい)(ぜん)(すす)()(ひら)くべき天職(てんしよく)天賦(てんぷ)(てき)()つて()るものである。098人間(にんげん)(せう)なる(かみ)として(また)(かみ)生宮(いきみや)として(この)()(うま)()でたる以上(いじやう)は、099終生(しうせい)(かみ)御旨(みむね)奉戴(ほうたい)天地(てんち)御用(ごよう)(たす)(まつ)らねば、100(ひと)(うま)()でたる本分(ほんぶん)(つく)せないのである。101人間(にんげん)裸体(はだか)(うま)れて()たのであるから、102(また)裸体(はだか)()ねば()いと()(やう)棄鉢(すてばち)根性(こんじやう)では、103人生(じんせい)天賦(てんぷ)職責(しよくせき)()げられぬのみならず、104折角(せつかく)神界(しんかい)より(えら)まれて(かみ)生宮(いきみや)として()(うま)れさして(いただ)いた、105大神(おほかみ)()聖旨(せいし)(そむ)罪人(ざいにん)となるのである。
106 人生(じんせい)本分(ほんぶん)としては、107第一(だいいち)天地(てんち)神明(しんめい)大業(たいげふ)奉仕(ほうし)し、108政治(せいぢ)をすすめ、109産業(さんげふ)(ひら)き、110(かつ)(しん)宗教(しうけう)宣伝(せんでん)し、111道義心(だうぎしん)発達(はつたつ)(たす)けて世界(せかい)醜悪(しうあく)駆追(くつゐ)し、112真善美(しんぜんび)天地(てんち)(すす)めて()かねばならぬのである。113他人(たにん)如何(どう)でも(かま)はぬ、114自分(じぶん)のみ(きよ)(ただ)しければ()いのだと()つて、115聖人(せいじん)()どりで()まして()(やう)(こと)では、116人間(にんげん)としての天職(てんしよく)(まつた)くしたものと()(こと)出来(でき)ないのである。117喜楽(きらく)(つね)(せい)(けう)(くわん)(ざう)進歩(しんぽ)発達(はつたつ)祈願(きぐわん)し、118(かつ)完成(くわんせい)せしむるを(もつ)(ひと)たるものの天職(てんしよく)だと(かんが)へて()る。119皇祖(くわうそ)天照(あまてらす)大神(おほかみ)(さま)建国(けんこく)()趣旨(しゆし)は、120(せい)(けう)(くわん)(ざう)四大(よんだい)主義(しゆぎ)実行(じつかう)であつて、
121一、122(せい)万世(ばんせい)一系(いつけい)(なり)
123一、124(けう)天授(てんじゆ)真理(しんり)(なり)
125一、126(くわん)天人道(てんじんだう)(つね)(なり)
127一、128(ざう)適宜(てきぎ)事務(じむ)(なり)
129(すなは)(この)四大(よんだい)主義(しゆぎ)実践(じつせん)躬行(きうかう)するのが人生(じんせい)本分(ほんぶん)であつて、130(とく)(わが)神国(しんこく)(うま)れたものは、131一層(いつそう)責任(せきにん)(ぢゆう)()(だい)なるものである(こと)(わす)れてはならぬ。132吾人(ごじん)(いづ)れも(この)主義(しゆぎ)(むか)つて、133(もつと)忠実(ちうじつ)(つと)(まつ)らねばならぬのである。134吾人(ごじん)人生(じんせい)重大(ぢうだい)なる責任(せきにん)(かん)じ、135如何(どう)しても肉体(にくたい)安楽(あんらく)のみを(むさぼ)(こと)出来(でき)ない。136人生(じんせい)本分(ほんぶん)幾分(いくぶん)なりとも遂行(すゐかう)()ざる(うち)は、137如何(いか)なる栄華(えいぐわ)歓楽(くわんらく)自分(じぶん)(こころ)()たす(こと)出来(でき)ない。138美衣(びい)美食(びしよく)財宝(ざいほう)なども到底(たうてい)天授(てんじゆ)心魂(しんこん)(よろこ)ばすに()らぬ。139(ただ)天下(てんか)公共(こうきよう)()めに自分(じぶん)としての天職(てんしよく)(つく)()(こと)肝賢(かんじん)である。140一寸先(いつすんさき)()えない(やう)不完全(ふくわんぜん)なる、141(つみ)(けが)れたる吾人(ごじん)()(もつ)て、142到底(たうてい)重大(ぢうだい)なる天職(てんしよく)(まつた)ふする(こと)出来(でき)ずとも、143(その)幾分(いくぶん)にても奉仕(ほうし)()たならば、144これに()ぎたる人生(じんせい)(さいはひ)はないのである。
145 今日(こんにち)瑞月(ずゐげつ)としては、146浅薄(せんぱく)なる肉体(にくたい)(じやう)観察(くわんさつ)から()るならば、147(じつ)安楽(あんらく)なものの(やう)であるが自分(じぶん)としては(じつ)(いち)(にち)(やす)んじては()ないのである。148数多(あまた)役員(やくゐん)信者(しんじや)(おや)(やう)(あが)め『先生(せんせい)々々(せんせい)』と()つて(あつ)(ぐう)して()れて()(やう)であるが、149自分(じぶん)()めには、150(かへつ)てそれが苦痛(くつう)(たね)となるのである。151何故(なにゆゑ)なれば役員(やくゐん)信者(しんじや)親切(しんせつ)好意(かうい)(おほい)有難(ありがた)迷惑(めいわく)(かん)ずる(こと)があるからである。152自分(じぶん)(しん)使命(しめい)諒解(りやうかい)するのでもなく、153(ただ)(たん)出口(でぐち)教祖(けうそ)のお筆先(ふでさき)によつて、154色々(いろいろ)(わたし)(たい)する空想(くうさう)(ゑが)いて()(ひと)(おほ)いからである。155(また)如何(いか)なる立派(りつぱ)(こと)(はな)しても()いてもそれは教祖(けうそ)筆先(ふでさき)()てゐないから(もち)ゐられないとか()つて、156如何(いか)なる真理(しんり)無造作(むざうさ)(はうむ)つて(しま)ふので、157何程(なにほど)筆先(ふでさき)精神(せいしん)縦横(じうわう)無尽(むじん)()いても、158十分(じふぶん)感得(かんとく)せしむる(こと)出来(でき)ぬのが(じつ)遺憾(ゐかん)である。159(また)自分(じぶん)肉体(にくたい)(たい)し、160役員(やくゐん)信者(しんじや)非常(ひじやう)()をつけて好意(かうい)(へう)して()れられるが、161肝賢要(かんじんかなめ)真実(しんじつ)精神(せいしん)()みとつて()れるものが(すくな)いのは最大(さいだい)苦痛(くつう)である。162今迄(いままで)役員(やくゐん)信者(しんじや)自分(じぶん)(めう)(こと)過信(くわしん)して、163堅実(けんじつ)教理(けうり)(など)(あたま)から(みみ)()れぬのみか、164(いま)世界(せかい)(すく)(ぬし)にでもなる(やう)に、165身魂(みたま)(みが)かずに(さわ)(まは)つて()るのは(じつ)残念(ざんねん)であります。166自分(じぶん)(すこ)しにても権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)(てき)精神(せいしん)があるならば、167(じふ)(ねん)以前(いぜん)大本(おほもと)は、168役員(やくゐん)信者(しんじや)(など)とも折合(をりあひ)がうまくついて、169(きは)めて平和(へいわ)であつたでせう。170役員(やくゐん)信者(しんじや)迷信(めいしん)利用(りよう)して(ねこ)(かぶ)つて()やうものなら、171物質(ぶつしつ)(てき)方面(はうめん)(こと)などは如何(どん)(こと)でも出来(でき)たでありませう。172(しか)(なが)自分(じぶん)天授(てんじゆ)良心(りやうしん)如何(どう)しても、173そんな(こと)(ゆる)さない。174(いま)()(なか)(やう)(かみ)(みち)方便(はうべん)手段(しゆだん)では()かぬ。175方便(はうべん)手段(しゆだん)(もつ)てした(こと)何時(いつ)しか(ばけ)(かは)()げるものである。176(いは)んや至誠(しせい)至直(しちよく)(かみ)(つか)ふる身分(みぶん)としては、177(ゆめ)にだにも良心(りやうしん)(ゆる)さぬ(こと)出来(でき)ない。178自分(じぶん)天地(てんち)(とも)(ほろ)びざる大真理(だいしんり)(すなは)(かみ)大道(だいだう)より(ほか)(みち)(あゆ)(こと)出来(でき)ぬ。179真理(しんり)()めには一身(いつしん)(ささ)げて()いないのである。180今日(こんにち)場合(ばあひ)如何(いか)にしても社会(しやくわい)一般(いつぱん)誤解(ごかい)(ただ)し、181大本(おほもと)正解(せいかい)させることが必要(ひつえう)であると(かん)じたから、182(ここ)天下(てんか)修斎(しうさい)のため真理(しんり)旗幟(きしき)(ひるがへ)し、183(かみ)(さま)一身(いつしん)(ささ)げて(くち)()し、184(ここ)(いよいよ)(この)物語(ものがたり)発表(はつぺう)する(こと)となつたのである。185混濁(こんだく)せる社会(しやくわい)のため一身(いつしん)(ささ)げて五六七(みろく)御世(みよ)奉仕(ほうし)せむと()(まこと)(ひと)は、186(いち)(にち)(はや)(この)物語(ものがたり)精神(せいしん)()()まし天下(てんか)万民(ばんみん)()めに(まこと)(つく)して(いただ)()いものである。
187(えら)まれし(かみ)使(つかひ)甲斐(かひ)もなし
188(ひと)(みちび)(ちから)なき()
189大正一一・一〇・一四 旧八・二四 北村隆光録)
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