霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第一四章 沓島(めしま)〔一〇五一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第3篇 冒険神験 よみ(新仮名遣い):ぼうけんしんけん
章:第14章 沓島 よみ(新仮名遣い):めしま 通し章番号:1051
口述日:1922(大正11)年10月17日(旧08月27日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
教祖の一行は明治三十三年旧六月八日に冠島の参拝を無事に終えた。次いで、生き神艮の金神を奉祀して天下泰平と皇軍の勝利を祈願しようと、古来人跡なき沓島に渡ることになった。
一行九人は前回同様、舞鶴の大丹生屋に宿泊して舟を雇い、穏やかな海面を沓島に向かって滑り出した。舟人の話によれば、ここ五年ほどでこれほど静穏な海上はないとのことである。
途中すれ違った釣り舟から鯖を二十尾ほど買い上げて、お供え物とした。まずは冠島に上陸し、祝詞を奏上して木下慶太郎、福林安之助、四方祐助、中村竹蔵の四名を島に残し、社殿の清掃を命じた。
その他の教祖、自分、出口澄子、四方平蔵、福島寅之助の五名は沓島に向かった。沓島への途上の巨浪に福島氏は肝をつぶし、船底にしがみついて発動気味になっていた。それ以降、福島氏は二度と沓島には参らないと懲りていた。
冠島で清掃にあたっていた中村竹蔵は激しい腹痛に襲われ、神明に罪を謝したところ激痛が止んだ。頑固な中村も、その神徳に感激した様子であった。
沓島は冠島と違って、人が渡らない島だけに岩に囲まれて適当な上陸地点が見当たらない。教祖はぜひに釣鐘岩につけよ、と言った。自分は縄を持って岸壁に飛びつき、船頭と共に舟を縄で固定した。
少しばかり平面のある場所を頼りに岩場を登って行き、百尺ほど高所の二畳敷きほどの平面の場所に、綾部から持ってきた神祠を設置し艮の大金神国常立尊、竜宮の乙姫、豊玉姫神、玉依姫神をはじめ天神地祇を奉祭し、祈願の祝詞を奏上した。
文禄年間に海賊がこの冠島・沓島を一時ねぐらにしたことがあった以外には、誰も沓島に来たことがないというところへ、百難を排して教祖が渡り、天下無事の祈祷をされたということで、東京の富士新聞や福知山の三丹新聞など諸新聞に掲載された。
沓島参拝を終えた後、冠島に戻り神前に礼拝し、供物を献じて島を一周した。冠島は世界のあらゆる草木の種が集まっていると言われている。世の俗塵を一切払ったような観念が湧いてくる島であり、信徒たる者ぜひ一度参詣すべき場所である。
九日の夕方、無事に舞鶴に到着し、翌日記念撮影をなして、めでたく本宮に帰ることとなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-05 17:14:41 OBC :rm3814
愛善世界社版:144頁 八幡書店版:第7輯 211頁 修補版: 校定版:147頁 普及版:74頁 初版: ページ備考:
001 丹後(たんご)舞鶴(まひづる)からも若狭(わかさ)小浜(をばま)からも、002(しま)財布(さいふ)(から)になると()宮津(みやづ)からも、003丁度(ちやうど)(じふ)()あると()沖中(おきなか)(ひと)(じま)で、004(むかし)から『(をとこ)一生(いつしやう)(かなら)一度(いちど)(まゐ)れ、005二度(にど)(まゐ)るな、006(をんな)絶対(ぜつたい)禁制(きんせい)万一(まんいち)(をんな)参拝(さんぱい)しやうものなら、007竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまの(いか)りに()れて海上(かいじやう)()()し、008いろいろの妖怪(えうくわい)()たり大蛇(をろち)沢山(たくさん)(あら)はれて(をんな)丸呑(まるの)みにする、009さうして子孫(しそん)(だい)(まで)神罰(しんばつ)(かうむ)る』と()古来(こらい)伝説(でんせつ)迷信(めいしん)とを打破(だは)して、010教祖(けうそ)一行(いつかう)(つつが)なく明治(めいじ)三十三(さんじふさん)(ねん)(きう)(ろく)(ぐわつ)八日(やうか)冠島(をしま)参拝(さんぱい)()げ、011今度(こんど)(さら)古来(こらい)人跡(じんせき)なき神聖(しんせい)なる沓島(めしま)(わた)つて、012天神(てんしん)地祇(ちぎ)(はじ)(たてまつ)り、013生神(いきがみ)(うしとら)鬼門(きもん)大金神(だいこんじん)奉祀(ほうし)して天下(てんか)泰平(たいへい)皇軍(くわうぐん)大勝利(だいしようり)祈願(きぐわん)せむと、014陰暦(いんれき)(しち)(ぐわつ)八日(やうか)(ふたた)本宮(ほんぐう)出立(しゆつたつ)015一行(いつかう)()(にん)前回(ぜんくわい)同様(どうやう)大丹生(おほにふ)()(ふね)(やと)ひ、016(おだや)かな海面(かいめん)(すべ)(なが)沓島(めしま)(むか)つて()()した。
017 埠頭(ふとう)万灯(まんとう)海水(かいすゐ)(えい)じて(その)(いろ)(あか)(うるは)しく、018港門(みなと)潮水(しほみづ)緑色(みどりいろ)をなし、019海湾(かいわん)(なみ)(しづか)にして(みが)ける(かがみ)(ごと)く、020百鳥(ももとり)(むら)がり()んで磯端(いそばた)(しづか)に、021青松(せいしよう)浜頭(ひんとう)(つら)なり(こずゑ)()()()はれぬ月夜(つきよ)景色(けしき)(なが)めつつ、022午後(ごご)(はち)()(はん)二隻(にせき)小舟(こぶね)()り、023舟人(ふなびと)前回(ぜんくわい)(ごと)橋本(はしもと)六蔵(ろくざう)024田中(たなか)岩吉(いはきち)()(めい)これに(あた)(こゑ)(すず)しく船唄(ふなうた)(うた)(なが)悠々(いういう)として()()した。025満天(まんてん)梨地色(なしぢいろ)(ほし)(かがや)き、026(なみ)(いた)つて平穏(へいおん)に、027(あたか)海面(かいめん)(あぶら)(なが)した(ごと)く、028(ほし)(うつ)つてキラキラと(ひか)つて()る。029海月(くらげ)()いて()くの(まで)判然(はんぜん)()える。030銀砂(ぎんしや)()いた(うへ)()(やう)心持(こころもち)がして(きは)めて安全(あんぜん)航海(かうかい)である。031博奕(ばくち)(さき)(まで)()つた(ころ)は、032八日(やうか)半絃(はんげん)(つき)(うみ)彼方(かなた)西渡(かたむ)(きやう)(みさき)灯台(とうだい)明々(めいめい)滅々(めつめつ)(なみ)のまにまに(ただよ)ふて()える。033(あたま)(うへ)にも(あし)(した)にも、034銀河(ぎんが)(よこたは)つて(その)真中(まんなか)敏鎌(とがま)(やう)()えた(つき)(しづ)かに(なが)れて、035(うみ)(はて)(がつ)するかと(うたが)はれるばかりであつた。036舟人(ふなびと)(はなし)によれば、
037(ここ)(さん)(ねん)()(ねん)今夜(こんや)(くらゐ)静穏(せいをん)海上(かいじやう)はない。038大方(おほかた)冠島(をしま)沓島(めしま)(かみ)(さま)()守護(しゆご)でありませう。039ほんに()(がた)い、040勿体(もつたい)ない』
041(よろこ)(いさ)(なが)ら、042(あか)(ふんどし)()真裸(まつぱだか)となつて(ふし)面白(おもしろ)船唄(ふなうた)(うた)()した。
043 万波(ばんぱ)洋々(やうやう)たる(うみ)彼方(かなた)には、044幾百(いくひやく)漁火(いさりび)波上(はじやう)(うか)み、045甲艇(かふてい)乙舸(おつか)(きそ)ふて海魚(かいぎよ)(すなど)りする壮丁(さうてい)(こゑ)(なみ)(おと)(かす)めて(たか)(きこ)えて()る。046(この)漁火(いさりび)打見(うちみ)やれば、047(あたか)海上(かいじやう)のイルミネーシヨンを()(やう)である。048(ふね)容赦(ようしや)なく東北(とうほく)さして()()された。049二三(にさん)釣舟(つりぶね)二三丁(にさんちやう)ばかり(かたはら)(とほ)りかかるのを、050二人(ふたり)船頭(せんどう)大声(おほごゑ)()びとめる。051船頭(せんどう)同志(どうし)(たがひ)()(へだ)てなき間柄(あひだがら)とて、052(きは)めて乱雑(らんざつ)挨拶(あいさつ)()り、053(はじ)めて()いたものは喧嘩(けんくわ)ではないかと(うたが)ふばかりである。054(この)釣舟(つりぶね)(いつ)(しやく)二三寸(にさんずん)ばかりの(さば)二十尾(にじふび)ばかり()(もと)めて、055冠島(をしま)沓島(めしま)への(そな)(もの)とした。056(ひがし)(そら)はソロソロと(あか)くなり()した。057舟人(ふなびと)(まはし)(ひと)つになつて、058(あせ)をタラタラ(なが)しつつ(ちから)(きは)み、059根限(こんかぎ)()ぎつける。060午前(ごぜん)(はち)()(はん)無事(ぶじ)冠島(をしま)磯際(いそぎは)についた。061『まあ一安心(ひとあんしん)だ』と上陸(じやうりく)し、062神前(しんぜん)(むか)つて教祖(けうそ)以下(いか)(はち)(にん)天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(をは)つて、063木下(きのした)慶太郎(けいたらう)064福林(ふくばやし)安之助(やすのすけ)065四方(しかた)祐助(いうすけ)066中村(なかむら)竹造(たけざう)()(めい)冠島(をしま)(のこ)しおき、067神社(じんじや)境内(けいだい)掃除(さうぢ)(めい)じおき、068帰途(かへりみち)(あらた)めて参拝(さんぱい)する(こと)とし教祖(けうそ)(はじ)出口(でぐち)海潮(かいてう)069出口(でぐち)澄子(すみこ)070四方(しかた)平蔵(へいざう)071福島(ふくしま)寅之助(とらのすけ)()(にん)(ただち)沓島(めしま)(むか)つて出発(しゆつぱつ)する。072福島(ふくしま)寅之助(とらのすけ)冠島(をしま)から沓島(めしま)()(あひだ)巨浪(きよらう)(きも)(つぶ)し、073舟底(ふなぞこ)(くら)ひつき時々(ときどき)発動(はつどう)気味(ぎみ)になつて(うな)つて()る。074それきり同人(どうにん)はコリコリしたと()沓島(めしま)へは(ふたた)(まゐ)らないと()つて()た。
075 さて冠島(をしま)(のこ)された連中(れんちう)(いつ)(しやく)以上(いじやう)堆高(うづたか)(つも)つて()(には)一面(いちめん)鳥糞(てうふん)()(さら)へ、076(には)(きよ)める、077枯木(かれき)朽葉(くちば)(あつ)めて(やしろ)(かたはら)(はやし)(なか)()()せる(など)078大活動(だいくわつどう)をやつて()た。079(たちま)中村(なかむら)竹造(たけざう)激烈(げきれつ)腹痛(ふくつう)(おこ)七顛(しちてん)八倒(ばつたう)する。080(まつた)神罰(しんばつ)(あた)つたのだと一同(いちどう)(おそ)()つて謝罪(しやざい)をなし、081(ちり)(あくた)一層(いつそう)(とほ)(はやし)(なか)()(はこ)んだ。082神明(しんめい)聴許(ちやうきよ)(あそ)ばしたか、083(にはか)(いた)みも()まつたので頑固(ぐわんこ)一辺(いつぺん)中村(なかむら)も、084(その)神徳(しんとく)感激(かんげき)した(やう)であつた。085教祖(けうそ)一行(いつかう)(やうや)くにして沓島(めしま)()ぎついた。086流石(さすが)(むかし)から(ひと)(おそ)れて(ちか)づき()ない神島(かみしま)だけありて、087冠島(をしま)とは大変(たいへん)(おもむき)(ちが)ふてゐる。088今日(けふ)格別(かくべつ)(おだや)かな(うみ)だと()ふに(かか)はらず、089(やま)(ごと)きウネリが(しき)りに()()せて()る。090(かもめ)信天翁(あはうどり)091()などが(いは)一面(いちめん)胡麻(ごま)()りかけた(やう)()まつて、092不思議(ふしぎ)(さう)一行(いつかう)見下(みお)ろして()る。093(なみ)(うへ)には数万(すうまん)海鳥(かいてう)()きつ(しづ)みつ、094悠々(いういう)(あそ)んでゐる。095(おと)名高(なだか)断岩(だんがん)絶壁(ぜつぺき)096小舟(こぶね)()()せる場所(ばしよ)()つからぬ。097()(かく)(この)(しま)一周(いつしう)して適当(てきたう)上陸点(じやうりくてん)(さぐ)らうと評定(へうぢやう)して()ると、098教祖(けうそ)是非(ぜひ)釣鐘岩(つりがねいは)(ふね)()けよと()はれる。099(めい)のまにまに釣鐘岩(つりがねいは)直下(ちよつか)()ぎつけて()ると、100(あたか)(ひと)背中(せなか)(ごと)険峻(けんしゆん)断岩(だんがん)如何(どう)しても()きつく(こと)出来(でき)ない。101愚図(ぐづ)々々(ぐづ)してゐると、102激浪(げきらう)のために(ふね)(いは)衝突(しようとつ)させ、103破壊(はくわい)して(しま)(おそれ)があるから、104瞬時(しゆんじ)躊躇(ちうちよ)してをる場合(ばあひ)でない。105海潮(かいてう)は『地獄(ぢごく)(うへ)一足飛(いつそくと)び』と()(やう)(きも)()()して(こし)八尋縄(やひろなは)(むす)びつけたまま、106(ふね)(なみ)にうたれて(いは)(ちか)づいた一刹那(いちせつな)(ねら)ひすまして、107岩壁(がんぺき)目蒐(めが)けて()びついた。108(さいはひ)にも粗質(そしつ)(いは)手足(てあし)(すべ)らぬ、109一丈(いちぢやう)四五(しご)(しやく)(ほど)(うへ)(はう)(すこ)しばかりの平面(へいめん)(ところ)がある。110そこから(ふね)目蒐(めが)けて(なは)片端(かたはし)()()めば、111舟人(ふなびと)手早(てばや)(ひろ)ふて(ふね)(むす)びつける。112最早(もはや)大丈夫(だいぢやうぶ)だと岩上(がんじやう)からは上田(うへだ)海潮(かいてう)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(なは)手繰(たぐ)()せる。113(した)からは真正(しんせい)海潮(かいてう)教祖(けうそ)()せた(ふね)()がけて()()せ、114()るや()るや母曾呂(もそろ)々々々(もそろ)()(わた)す。115教祖(けうそ)手早(てばや)(なは)(すが)(なが)(やうや)上陸(じやうりく)された。116(つづ)いて(さん)(にん)(のぼ)つて()た。117綾部(あやべ)()()てて()つて()神祠(ほこら)をといて、118(はしら)一本(いつぽん)づつ舟人(ふなびと)(なは)(しば)る、119四方(しかた)福島(ふくしま)がひきあげる。120(やうや)(ひやく)(しやく)ばかりもある高所(かうしよ)二畳敷(にでふじき)ほどの平面(へいめん)(いは)(うへ)鎮祭所(ちんさいじよ)となし、121(いち)時間(じかん)あまりもかかつて(やうや)神祠(ほこら)()()げ、122(うしとら)大金神(だいこんじん)国常立(くにとこたちの)(みこと)123竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)124豊玉姫(とよたまひめの)(かみ)125玉依姫(たまよりひめの)(かみ)(はじ)め、126天地(てんち)八百万(やほよろづ)(かみ)(たち)奉斎(ほうさい)し、127山野(さんや)河海(かかい)珍物(うましもの)(そな)(をは)り、128教祖(けうそ)(うやうや)しく祠前(しぜん)静座(せいざ)して声音(せいおん)(ほがら)かに天下(てんか)泰平(たいへい)神軍(しんぐん)大勝利(だいしようり)祈願(きぐわん)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)される。
129 (はなし)一寸(ちよつと)後前(あとさき)になつたが、130第一着(だいいちちやく)海潮(かいてう)遷座式(せんざしき)祝詞(のりと)(かしこ)(かしこ)(まを)()げ、131最後(さいご)一同(いちどう)打揃(うちそろ)ふて大祓(おほはらひ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)した。132(しま)群鳥(むらどり)祝詞(のりと)拝聴(はいちやう)するものの(ごと)くである。133何分(なにぶん)(きた)露西亜(ロシア)浦塩斯徳(ウラジオストツク)(かう)(まで)つつ(ぱな)しの(しま)であるから、134日本海(にほんかい)激浪(げきらう)怒濤(どたう)(みな)(この)沓島(めしま)釣鐘岩(つりがねいは)(ぶつ)かるので一面(いちめん)(あら)()られて、135(この)方面(はうめん)(いは)ばかりで(つち)()()たいと(おも)ふても見当(みあた)らなかつた。136(おき)(はう)から時々(ときどき)()()(やま)(やう)(おほ)きな(なみ)(この)釣鐘岩(つりがねいは)衝突(しようとつ)して、137百雷(ひやくらい)(いち)()()(ひび)(やう)に、138ゴンゴン ドドンドドンと(はげ)しき(おと)(みみ)刺戟(しげき)する。139舟人(ふなびと)今日(けふ)数年来(すうねんらい)()(こと)のない(おだや)かの(なみ)だと()つた(なみ)でさへも、140これ(くらゐ)(おと)がするのだもの、141(うみ)()れた()にはどんなに(はげ)しからうと(おも)へば、142(すご)(やう)心持(こころもち)がして()た。143船人(ふなびと)(かた)(ところ)によれば(この)釣鐘岩(つりがねいは)には、144文禄(ぶんろく)年間(ねんかん)三種(みくさ)四郎(しらう)左衛門(ざゑもん)()(をとこ)145数百(すうひやく)(にん)部下(ぶか)引率(ひきつ)冠島(をしま)策源地(さくげんち)として陣屋(ぢんや)(かま)へ、146(とき)天下(てんか)横領(わうりやう)せむと軍資金(ぐんしきん)(あつ)むるために海上(かいじやう)往来(わうらい)船舶(せんぱく)(かす)海賊(かいぞく)(かせ)いで、147(この)(いは)頂上(ちやうじやう)半鐘(はんしよう)()斥候(せきこう)合図(あひづ)をし冠島(をしま)との連絡(れんらく)をとつて()たので、148被害者(ひがいしや)(かず)ふるに(ひま)なき(まで)続出(ぞくしゆつ)したので、149武勇(ぶゆう)(ほまれ)(たか)豪傑(がうけつ)岩見(いはみ)重太郎(ぢうたらう)がこれを()いて()ておけぬと計略(けいりやく)(もつ)呉服屋(ごふくや)()け、150一人(ひとり)一人(ひとり)舞鶴(まひづる)引寄(ひきよ)牢獄(らうごく)()()み、151悉皆(しつかい)退治(たいぢ)したと(つた)ふる有名(いうめい)(しま)で、152(その)()釣鐘島(つりがねしま)153鬼門島(きもんじま)(しよう)し、154(たれ)(この)沓島(めしま)へは()たものはないと()つてゐた。155(しか)るに今回(こんくわい)(はじ)めて教祖(けうそ)世界(せかい)万民(ばんみん)のために、156百難(ひやくなん)(はい)して(わた)()られ、157神々(かみがみ)(さま)奉祀(ほうし)し、158天下(てんか)無事(ぶじ)祈祷(きたう)をされたのは(じつ)前代(ぜんだい)未聞(みもん)壮挙(さうきよ)であると()ふので、159東京(とうきやう)富士(ふじ)新聞(しんぶん)福知山(ふくちやま)三丹(さんたん)新聞(しんぶん)(はじ)(その)()諸新聞(しよしんぶん)連載(れんさい)された(こと)がある。
160 さて(この)(しま)一周(ひとめぐ)りして、161奇岩(きがん)絶壁(ぜつぺき)嘆賞(たんしやう)しつつ冠島(をしま)(ふたた)(ふね)()()せ、162一行(いつかう)()(にん)打揃(うちそろ)ふて神前(しんぜん)拝礼(はいれい)し、163供物(くぶつ)(けん)(をは)つて(また)(この)冠島(をしま)一周(いつしう)する(こと)となつた。164周囲(しうゐ)四十(しじふ)有余(いうよ)(ちやう)あり、165世界(せかい)所在(あらゆる)草木(さうもく)種子(たね)(みな)(この)(しま)(あつ)まつてあると()はれてある。166(むかし)陸稲(をかぼ)自然(しぜん)出来(でき)てゐたのを、167大浦村(おほうらむら)百姓(ひやくしやう)肥料(こやし)(ほどこ)して(けが)したので、168(その)()(いね)一株(ひとかぶ)出来(でき)なくなり、169雑草(ざつさう)密生(みつせい)する(やう)になつたのだと二人(ふたり)(はな)しつつ(のぞ)(いは)(まで)()ぎつけて()れば、170数十丈(すうじふぢやう)岩石(がんせき)自然(しぜん)隧道(トンネル)穿(うが)たれてある。171屏風(びやうぶ)()てた(やう)(いは)書籍(しよせき)()(かさ)ねた(やう)(いは)()(なら)び、172(りう)()(とら)(はし)(ごと)不思議(ふしぎ)(いは)海中(かいちう)()つてゐる。173(すこ)しく(ふね)西北(せいほく)(すす)めると、174一望(いちばう)(きも)()すの断巌(だんがん)175一瞻(いつせん)(むね)(とどろ)かすの碧潮(へきてう)鯛魚(たひぎよ)(むれ)をなして(たて)(およ)ぎ、176(よこ)(ひそ)み、177翠紅(すゐこう)178(いろ)交々(こもごも)(みだ)れて(あたか)錦綾(きんれう)(ごと)く、179感賞(かんしやう)(ひさ)しうして(かへ)(こと)(わす)れるに(いた)る。180此処(ここ)(しばら)(あそ)んでゐると、181(じふ)(ねん)寿命(じゆみやう)がのびる(やう)である。182()俗塵(ぞくぢん)一切(いつさい)払拭(ふつしき)()つた(やう)観念(くわんねん)(むね)()いて()る。183()(かく)男女(だんぢよ)()はず信徒(しんと)たるものは一度(いちど)是非(ぜひ)参詣(さんけい)すべき(ところ)である。
184 九日(ここのか)夕方(ゆふがた)185(つつが)なく舞鶴(まひづる)帰着(きちやく)(よく)十日(とをか)舞鶴(まひづる)京口町(きやうぐちまち)一行(いつかう)記念(きねん)撮影(さつえい)をなし、186目出度(めでたく)本宮(ほんぐう)(かへ)(こと)となつた。
187大正一一・一〇・一七 旧八・二七 北村隆光録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki