霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第38巻(丑の巻)
> 第3篇 冒険神験 > 第17章 旅装
<<< 禁猟区
(B)
(N)
鞍馬山(一) >>>
第一七章
旅装
(
りよさう
)
〔一〇五四〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第3篇 冒険神験
よみ(新仮名遣い):
ぼうけんしんけん
章:
第17章 旅装
よみ(新仮名遣い):
りょそう
通し章番号:
1054
口述日:
1922(大正11)年10月18日(旧08月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
明治三十三年八月一日、喜楽は郷里の義弟が危篤の電報に接して、急いで故郷へ帰った。義弟の西田元吉は重体であったが、神界へ祈願の上全快することを得た。これが西田元教が信仰の道に入ったきっかけである。
喜楽が綾部へ帰ってみると、門口に荷物一切が荒縄や新聞紙で包んで放り出してある。聞けば、四方春蔵が独断で役員会を開き、教祖にも内緒でこんなことをしたのだという。
四方春蔵は陰謀が露見し、四方平蔵を取り持ちにして謝罪の嘆願をなし、ひとまず無事におさまった。しかし機会さえあれば上田を追い出してやろうという考えは少しも離れなかった。
自分は教祖に招かれて、義弟が回復した報告をなして喜び合っていたが、そこに中村竹蔵がやってきて、お筆先を盾に喜楽を非難し始めた。教祖は中村をたしなめ、三宝の上に置かれた筆先を気楽に渡された。
そこには、普通の人間では行かれないところに出修する旨が書かれていた。教祖のほかに、上田海潮、出口澄子、四方春蔵の三人を連れて行くとあった。
自分は四方春蔵が同道することに異を唱えたが、神様の主意を教祖に諭されて納得した。その日は八月七日であった。
教祖は自分に、恐ろしいことがあるから裏口を開けてごらんなさい、神様が皆の戒めのためじゃとおっしゃっている、というので、側にいた四方祐助と四方春蔵を誘って見てみた。
三人が見回していると、カエルがミミズを飲み込み、蛇がカエルを飲み込んだ。次いで、自分が寵愛しているお長という雌猫が蛇をかみ殺した。すると大きな黒猫が現れてお長を追い、お長は黒猫にかまれて木の枝から墜落して伸びてしまった。
自分はお長の敵と黒猫を木から揺り落そうとしたが、猫の糞まみれにされてしまった。三人は、上には上があるものだということを知った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-07 13:47:05
OBC :
rm3817
愛善世界社版:
180頁
八幡書店版:
第7輯 226頁
修補版:
校定版:
185頁
普及版:
96頁
初版:
ページ備考:
001
明治
(
めいぢ
)
三十三
(
さんじふさん
)
年
(
ねん
)
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
一日
(
いちじつ
)
、
002
喜楽
(
きらく
)
は
郷里
(
きやうり
)
なる
穴太
(
あなを
)
より
義弟
(
ぎてい
)
危篤
(
きとく
)
の
電報
(
でんぱう
)
に
接
(
せつ
)
し、
003
急
(
いそ
)
ぎ
故郷
(
こきやう
)
へ
帰
(
かへ
)
つた。
004
案
(
あん
)
の
如
(
ごと
)
く
大病
(
たいびやう
)
で
義弟
(
ぎてい
)
なる
西田
(
にしだ
)
元吉
(
もときち
)
は
重態
(
ぢうたい
)
である。
005
早速
(
さつそく
)
神界
(
しんかい
)
へ
祈願
(
きぐわん
)
の
上
(
うへ
)
、
006
全快
(
ぜんくわい
)
すべきことを
告
(
つ
)
げ、
007
其
(
その
)
翌々
(
よくよく
)
三日
(
みつか
)
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つた。
008
大本
(
おほもと
)
の
布教者
(
ふけうしや
)
西田
(
にしだ
)
元教
(
げんけう
)
は
此
(
この
)
時
(
とき
)
始
(
はじ
)
めて
神
(
かみ
)
の
尊
(
たふと
)
き
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
信仰
(
しんかう
)
に
入
(
い
)
つた。
009
其
(
その
)
動機
(
どうき
)
には
実
(
じつ
)
に
面白
(
おもしろ
)
い
次第
(
しだい
)
あれど
稿
(
かう
)
を
改
(
あらた
)
めて
口述
(
こうじゆつ
)
することとする。
010
さて
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
ると、
011
門口
(
かどぐち
)
に
喜楽
(
きらく
)
の
荷物
(
にもつ
)
一切
(
いつさい
)
が
荒縄
(
あらなは
)
や
古新聞
(
ふるしんぶん
)
で
包
(
つつ
)
んで、
012
放
(
はう
)
り
出
(
だ
)
してある。
013
不思議
(
ふしぎ
)
に
思
(
おも
)
つて
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
を
呼
(
よ
)
んで、
014
誰
(
たれ
)
が
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
をしたのかと
尋
(
たづ
)
ねると、
015
彼
(
かれ
)
は
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
逃
(
に
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
016
益々
(
ますます
)
不思議
(
ふしぎ
)
だと
思
(
おも
)
つて
四方
(
しかた
)
祐助
(
いうすけ
)
を
呼
(
よ
)
んで
委細
(
ゐさい
)
を
聞
(
き
)
くと
斯
(
こ
)
うである。
017
祐助
(
いうすけ
)
『
先生
(
せんせい
)
の
御
(
ご
)
不在中
(
ふざいちう
)
に
役員
(
やくゐん
)
会議
(
くわいぎ
)
がありました。
018
其
(
その
)
時
(
とき
)
に
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
サンが
発起人
(
ほつきにん
)
で、
019
あんな
上田
(
うへだ
)
サンの
様
(
やう
)
な
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
先生
(
せんせい
)
は、
020
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
追
(
お
)
ひ
返
(
かへ
)
すがよい。
021
天眼通
(
てんがんつう
)
も
天耳通
(
てんじつう
)
も
何
(
なに
)
もかも、
022
皆
(
みな
)
上田
(
うへだ
)
サンの
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
は、
023
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
が
皆
(
みな
)
覚
(
おぼ
)
えたから、
024
今
(
いま
)
故郷
(
こきやう
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
居
(
を
)
られるのを
幸
(
さいは
)
ひ、
025
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
荷物
(
にもつ
)
を
穴太
(
あなを
)
へ
送
(
おく
)
つて、
026
断
(
ことわ
)
りに
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
サンが
役員
(
やくゐん
)
総代
(
そうだい
)
で
行
(
ゆ
)
かれる
処
(
ところ
)
でありました。
027
あなたの
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りが
一
(
いち
)
日
(
にち
)
遅
(
おそ
)
かつたら、
028
皆
(
みな
)
の
役員
(
やくゐん
)
サンの
思惑
(
おもわく
)
が
立
(
た
)
つのに
惜
(
をし
)
い
事
(
こと
)
ぢや』
029
と
頭
(
あたま
)
を
掻
(
か
)
いて
苦笑
(
にがわら
)
ひをして
居
(
ゐ
)
る。
030
そこで、
031
喜楽
(
きらく
)
『
此
(
この
)
事
(
こと
)
は
教祖
(
けうそ
)
さまは
御
(
ご
)
承知
(
しようち
)
か』
032
と
尋
(
たづ
)
ねると、
033
祐助
(
いうすけ
)
『イエイエあんたを
先
(
さき
)
へ
送
(
おく
)
つて
了
(
しま
)
ふた
上
(
うへ
)
で
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げるのです。
034
前
(
さき
)
に
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
に
申上
(
まをしあ
)
げたら、
035
キツと
止
(
と
)
められるは
必定
(
ひつぢやう
)
ぢや。
036
あんな
権太郎
(
ごんたらう
)
先生
(
せんせい
)
に
永
(
なが
)
らく
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
つては、
037
皆
(
みな
)
の
役員
(
やくゐん
)
が
困
(
こま
)
るから、
038
善
(
ぜん
)
は
急
(
いそ
)
げといふ
事
(
こと
)
があると
昨日
(
きのふ
)
から
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が
位田
(
ゐでん
)
の
村上
(
むらかみ
)
新之助
(
しんのすけ
)
サンの
家
(
うち
)
で
集会
(
しふくわい
)
してます』
039
との
事
(
こと
)
である。
040
誠
(
まこと
)
に
油断
(
ゆだん
)
も
隙
(
すき
)
もあつたものでない。
041
又
(
また
)
一方
(
いつぱう
)
の
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
は
陰謀
(
いんぼう
)
露顕
(
ろけん
)
に
及
(
およ
)
んだので、
042
何
(
なん
)
とか
善後策
(
ぜんごさく
)
を
講
(
かう
)
ぜねばなるまいと、
043
位田
(
ゐでん
)
の
村上
(
むらかみ
)
宅
(
たく
)
へ
自
(
みづか
)
ら
走
(
はし
)
つて
報告
(
はうこく
)
した。
044
反対者
(
はんたいしや
)
は
驚愕
(
きやうがく
)
の
余
(
あま
)
り
施
(
ほどこ
)
すべき
手段
(
しゆだん
)
がないので、
045
とうとう
山家村
(
やまがむら
)
鷹栖
(
たかのす
)
の
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
方
(
かた
)
へ、
046
謝罪
(
しやざい
)
して
貰
(
もら
)
ひたいと
歎願
(
たんぐわん
)
に
出
(
で
)
かけた。
047
平蔵
(
へいざう
)
氏
(
し
)
の
取持
(
とりもち
)
で
双方
(
さうはう
)
共
(
とも
)
に
一先
(
ひとま
)
づ
無事
(
ぶじ
)
に
治
(
おさ
)
まるは
治
(
おさ
)
まつたが、
048
機会
(
きくわい
)
さへあらば、
049
上田
(
じぶん
)
を
追出
(
おひだ
)
してやらうといふ
考
(
かんが
)
へは
少
(
すこ
)
しも
放
(
はな
)
れなかつたのである。
050
何
(
いづ
)
れも
皆
(
みな
)
金光
(
こんくわう
)
教会
(
けうくわい
)
の
教師
(
けうし
)
や
役員
(
やくゐん
)
や
信者
(
しんじや
)
になつて
居
(
を
)
つた
人々
(
ひとびと
)
計
(
ばか
)
りだから、
051
金光教
(
こんくわうけう
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
が
憑
(
うつ
)
つて、
052
上田
(
じぶん
)
を
排斥
(
はいせき
)
せむとするので
其
(
その
)
肉体
(
にくたい
)
は
実
(
じつ
)
に
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なものである。
053
喜楽
(
きらく
)
が
斯道
(
しだう
)
の
為
(
ため
)
に
満腔
(
まんこう
)
の
熱誠
(
ねつせい
)
をこめ、
054
寝食
(
しんしよく
)
を
忘
(
わす
)
れて
活動
(
くわつどう
)
せる
結果
(
けつくわ
)
は
大
(
おほい
)
に
功
(
こう
)
を
奏
(
そう
)
し、
055
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
隆盛
(
りうせい
)
に
赴
(
おもむ
)
き、
056
教祖
(
けうそ
)
も
是非
(
ぜひ
)
神勅
(
しんちよく
)
なれば
上田
(
うへだ
)
をして
事務
(
じむ
)
を
総理
(
そうり
)
せしめむとされたので、
057
例
(
れい
)
の
足立
(
あだち
)
氏
(
し
)
は
憤怨
(
ふんゑん
)
措
(
を
)
く
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らず、
058
身
(
み
)
は
京都
(
きやうと
)
に
在
(
あ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
059
従来
(
じうらい
)
の
部下
(
ぶか
)
を
使嗾
(
しそう
)
して
百方
(
ひやつぱう
)
排斥
(
はいせき
)
を
試
(
こころ
)
み、
060
野心
(
やしん
)
満々
(
まんまん
)
たりし
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
を
旗頭
(
はたがしら
)
となし、
061
今回
(
こんくわい
)
の
横暴
(
わうばう
)
を
繰返
(
くりかへ
)
したるなるに、
062
斯
(
かか
)
る
重大
(
ぢうだい
)
事件
(
じけん
)
を
傍観
(
ばうくわん
)
し
居
(
ゐ
)
られし
教祖
(
けうそ
)
の
心事
(
しんじ
)
面白
(
おもしろ
)
からずと、
063
稍
(
やや
)
捨鉢
(
すてばち
)
気分
(
きぶん
)
に
成
(
な
)
り
居
(
を
)
れる
際
(
さい
)
、
064
四方
(
しかた
)
祐助
(
いうすけ
)
の
使
(
つかい
)
を
以
(
もつ
)
て、
065
教祖
(
けうそ
)
は
上田
(
じぶん
)
を
招
(
まね
)
かれたれば、
066
心中
(
しんちう
)
に
積
(
つ
)
み
重
(
かさ
)
なれる
疑団
(
ぎだん
)
を
晴
(
は
)
らすには
好機
(
かうき
)
逸
(
いつ
)
す
可
(
べ
)
からずと、
067
直
(
ただち
)
に
広前
(
ひろまへ
)
に
参
(
さん
)
じ
教祖
(
けうそ
)
に
故郷
(
こきやう
)
の
様子
(
やうす
)
などをお
話
(
はなし
)
し、
068
互
(
たがひ
)
に
義弟
(
ぎてい
)
の
病気
(
びやうき
)
の
快方
(
くわいはう
)
に
向
(
むか
)
へることを
喜
(
よろこ
)
び
合
(
あ
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、
069
中村
(
なかむら
)
竹造
(
たけざう
)
は
奥
(
おく
)
の
一間
(
ひとま
)
より
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
を
奉
(
ほう
)
じて
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
り、
070
さもおごそかに
喜楽
(
じぶん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
071
中村
(
なかむら
)
『
今回
(
こんくわい
)
教祖
(
けうそ
)
殿
(
どの
)
は
此
(
この
)
寒空
(
さむぞら
)
に、
072
何国
(
なにくに
)
へか
神命
(
しんめい
)
を
奉
(
ほう
)
じて
御
(
ご
)
修行
(
しうぎやう
)
に
御
(
お
)
出
(
で
)
ましになり、
073
御
(
ご
)
老体
(
らうたい
)
の
身
(
み
)
として
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
遊
(
あそ
)
ばすこと、
074
吾々
(
われわれ
)
は
何
(
なん
)
とも
申様
(
まをしやう
)
がありませぬ。
075
是
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
上田
(
うへだ
)
サンの
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
ぬからであります。
076
謹
(
つつし
)
んでお
筆先
(
ふでさき
)
を
拝読
(
いただ
)
きなされ。
077
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
や
御
(
お
)
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
に
尽
(
つく
)
さなならぬ
人
(
ひと
)
が、
078
病人
(
びやうにん
)
位
(
くらゐ
)
で
郷里
(
きやうり
)
へ
帰
(
かへ
)
るなんて、
079
実
(
じつ
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
軽
(
かる
)
しめて
居
(
を
)
られるのぢや。
080
人
(
ひと
)
の
一人
(
ひとり
)
や
半分
(
はんぶん
)
死
(
し
)
んだつて、
081
大切
(
たいせつ
)
の
御用
(
ごよう
)
に
代
(
か
)
へられますか、
082
此
(
この
)
筆先
(
ふでさき
)
は
今度
(
こんど
)
教祖
(
けうそ
)
さまが
御
(
ご
)
修行
(
しうぎやう
)
に
御
(
お
)
出
(
で
)
ましなさる
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
でありますぞ、
083
改心
(
かいしん
)
の
出来
(
でき
)
ぬ
者
(
もの
)
は
教祖
(
けうそ
)
の
御
(
お
)
伴
(
とも
)
叶
(
かな
)
ひませぬ。
084
上田
(
うへだ
)
を
伴
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くとありますが、
085
あなたのやうなお
方
(
かた
)
のお
出
(
い
)
でになるべき
所
(
ところ
)
ぢやない。
086
何程
(
なにほど
)
神勅
(
しんちよく
)
でも、
087
役員
(
やくゐん
)
として
御
(
お
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
に、
088
拙者
(
せつしや
)
が
今回
(
こんくわい
)
の
御
(
お
)
供
(
とも
)
は、
089
生命
(
いのち
)
に
代
(
か
)
へてもさせませぬ。
090
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
拙者
(
せつしや
)
が
及
(
およ
)
ばず
乍
(
なが
)
ら
御
(
おん
)
供
(
とも
)
仕
(
つかまつ
)
る。
091
上田
(
うへだ
)
サン
如何
(
いかが
)
で
御座
(
ござ
)
る。
092
只今
(
ただいま
)
教祖
(
けうそ
)
の
前
(
まへ
)
で
御
(
ご
)
返答
(
へんたふ
)
なされ。
093
トコトン
改心
(
かいしん
)
するから、
094
御
(
お
)
供
(
とも
)
をさして
下
(
くだ
)
さいと
契約書
(
けいやくしよ
)
を
御
(
お
)
書
(
か
)
きなさい』
095
云々
(
しかじか
)
と
中村
(
なかむら
)
氏
(
し
)
は
胸
(
むね
)
に
一物
(
いちもつ
)
ある
事
(
こと
)
とて、
096
口角泡
(
こうかくあわ
)
を
飛
(
と
)
ばして
上田
(
うへだ
)
に
毒
(
どく
)
付
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
097
喜楽
(
きらく
)
は
聞
(
き
)
かぬ
顔
(
かほ
)
して、
098
横
(
よこ
)
を
向
(
む
)
いて
庭
(
には
)
の
面
(
おも
)
を
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ると、
099
教祖
(
けうそ
)
は
中村
(
なかむら
)
氏
(
し
)
に
向
(
むか
)
ひ、
100
教祖
(
けうそ
)
『
御
(
お
)
神諭
(
ふでさき
)
は
上田
(
うへだ
)
さまの
事
(
こと
)
ぢやと
思
(
おも
)
ふたら
違
(
ちが
)
ひますぜ、
101
中村
(
なかむら
)
サン チと
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
をおいて、
102
先日
(
せんじつ
)
からの
皆
(
みな
)
サンの
行
(
おこな
)
ひを
考
(
かんが
)
へて、
103
取違
(
とりちが
)
ひを
成
(
な
)
さらぬやうに……』
104
と
一言
(
ひとこと
)
柔
(
やはら
)
かな
針
(
はり
)
を
入
(
い
)
れられて、
105
中村
(
なかむら
)
は
首尾
(
しゆび
)
悪
(
わる
)
さうに
教祖
(
けうそ
)
の
前
(
まへ
)
を
下
(
さ
)
がり、
106
御
(
ご
)
神諭
(
しんゆ
)
を
元
(
もと
)
の
所
(
ところ
)
へ
納
(
をさ
)
めて
了
(
しま
)
つた
限
(
ぎり
)
、
107
物
(
もの
)
も
言
(
い
)
はず
面
(
つら
)
ふくらしつつ、
108
足音
(
あしおと
)
高
(
たか
)
く
畳
(
たたみ
)
ざわり
荒々
(
あらあら
)
しく、
109
自分
(
じぶん
)
の
居間
(
ゐま
)
へ
下
(
さが
)
つて
了
(
しま
)
つた。
110
教祖
(
けうそ
)
は
自
(
みづか
)
ら
座
(
ざ
)
を
立
(
た
)
ち、
111
神前
(
しんぜん
)
の
三宝
(
さんぱう
)
の
上
(
うへ
)
に
置
(
お
)
かれたお
筆先
(
ふでさき
)
を
手
(
て
)
づから
喜楽
(
きらく
)
に
渡
(
わた
)
された。
112
恭
(
うやうや
)
しく
押戴
(
おしいただ
)
いて
直
(
ただち
)
に
其
(
その
)
場
(
ば
)
で
拝読
(
はいどく
)
すると、
113
御
(
ご
)
神文
(
しんもん
)
の
中
(
なか
)
に、
114
『
今度
(
こんど
)
は
普通
(
ふつう
)
の
人間
(
にんげん
)
では
行
(
ゆ
)
かれぬ
処
(
ところ
)
ぢや。
115
実地
(
じつち
)
の
神
(
かみ
)
の
住居
(
すまゐ
)
いたして
居
(
ゐ
)
る、
116
結構
(
けつこう
)
な
所
(
とこ
)
の
怖
(
こわ
)
い
処
(
ところ
)
である。
117
皆
(
みな
)
の
改心
(
かいしん
)
の
為
(
ため
)
に
上田
(
うへだ
)
海潮
(
かいてう
)
、
118
出口
(
でぐち
)
澄子
(
すみこ
)
、
119
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
を
連
(
つ
)
れ
参
(
まゐ
)
るぞよ』
120
と
記
(
しる
)
されてあるので、
121
早速
(
さつそく
)
教祖
(
けうそ
)
に
向
(
むか
)
つて
厳
(
きび
)
しく
談判
(
だんぱん
)
を
吹
(
ふ
)
きかけた。
122
其
(
その
)
理由
(
りいう
)
は
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
の
御
(
お
)
供
(
とも
)
に
加
(
くは
)
はつて
居
(
ゐ
)
ることである。
123
彼
(
かれ
)
は
当年
(
たうねん
)
の
夏
(
なつ
)
頃
(
ごろ
)
より
上田
(
うへだ
)
排斥
(
はいせき
)
の
主謀者
(
しゆぼうしや
)
とも
云
(
い
)
ふべき
人物
(
じんぶつ
)
で、
124
西原
(
にしばら
)
と
上谷
(
うへだに
)
の
間
(
あひだ
)
の
峻坂
(
しゆんぱん
)
にて
上田
(
うへだ
)
を○○せむとなしたる
如
(
ごと
)
き
侫人
(
ねいじん
)
である。
125
それでも
寛仁
(
くわんじん
)
大度
(
たいど
)
の
吾々
(
われわれ
)
は、
126
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
して
赦
(
ゆる
)
して
置
(
お
)
いたにも
係
(
かか
)
はらず、
127
又々
(
またまた
)
今回
(
こんくわい
)
吾
(
わが
)
帰郷中
(
ききやうちう
)
に
大排斥
(
だいはいせき
)
運動
(
うんどう
)
の
原動力
(
げんどうりよく
)
となつて
駆廻
(
かけまは
)
つて
居
(
を
)
る。
128
然
(
しか
)
るに
世界
(
せかい
)
の
善悪
(
ぜんあく
)
正邪
(
せいじや
)
を
透見
(
とうけん
)
し
玉
(
たま
)
ふ
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
が
彼
(
かれ
)
をお
供
(
とも
)
に
加
(
くは
)
へられるとは
如何
(
どう
)
しても
合点
(
がてん
)
が
出来
(
でき
)
ぬ、
129
艮
(
うしとらの
)
金神
(
こんじん
)
さまは
良
(
よ
)
い
加減
(
かげん
)
な
神
(
かみ
)
さまだ。
130
彼
(
かれ
)
の
如
(
ごと
)
き
者
(
もの
)
と
同行
(
どうかう
)
するは
恰
(
あたか
)
も
送
(
おく
)
り
狼
(
おほかみ
)
と
道
(
みち
)
づれになるやうなものだ。
131
それを
知
(
し
)
つて
同行
(
どうかう
)
させると
神
(
かみ
)
から
言
(
い
)
はれるのは、
132
要
(
えう
)
するに
上田
(
うへだ
)
を
排斥
(
はいせき
)
されたのであらう。
133
表面
(
へうめん
)
は
体裁
(
ていさい
)
を
良
(
よ
)
くし、
134
裏面
(
りめん
)
には
上田
(
うへだ
)
を
同行
(
どうかう
)
させない
御
(
ご
)
神意
(
しんい
)
であらうから、
135
今度
(
こんど
)
の
御
(
お
)
伴
(
とも
)
は
御免
(
ごめん
)
蒙
(
かうむ
)
りたい……と
稍
(
やや
)
憤怒
(
ふんど
)
の
情
(
じやう
)
を
以
(
もつ
)
て
教祖
(
けうそ
)
に
肉迫
(
にくはく
)
した。
136
さうすると
教祖
(
けうそ
)
は、
137
教祖
(
けうそ
)
『イエイエ
決
(
けつ
)
して
其
(
その
)
様
(
やう
)
な
主意
(
しゆい
)
ではありませぬ。
138
最早
(
もはや
)
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
旅立
(
たびだち
)
の
用意
(
ようい
)
も
出来
(
でき
)
て
居
(
を
)
りますから、
139
今度
(
こんど
)
は
是非
(
ぜひ
)
同行
(
どうかう
)
して
貰
(
もら
)
はねばなりませぬ』
140
と
蓑笠
(
みのかさ
)
に
杖
(
つゑ
)
草履
(
ざうり
)
など
準備
(
じゆんび
)
の
出来上
(
できあが
)
つたのを、
141
見
(
み
)
せられたので、
142
漸
(
やうや
)
く
得心
(
とくしん
)
して
御
(
お
)
供
(
とも
)
することにした。
143
其
(
その
)
日
(
ひ
)
は
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
の
七日
(
なぬか
)
であつた。
144
教祖
(
けうそ
)
は
尚
(
なほ
)
も
上田
(
じぶん
)
に
向
(
むか
)
ひ、
145
教祖
(
けうそ
)
『
海潮
(
かいてう
)
さん、
146
一寸
(
ちよつと
)
裏口
(
うらぐち
)
を
開
(
あ
)
けて
御覧
(
ごらん
)
なさい、
147
恐
(
おそ
)
ろしい
事
(
こと
)
がありますからよく
見
(
み
)
ておいて
下
(
くだ
)
されや。
148
皆
(
みな
)
戒
(
いまし
)
めの
為
(
ため
)
ぢやと
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
仰有
(
おつしや
)
りますぜ』
149
との
言
(
こと
)
である。
150
何
(
なん
)
となく
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
いので
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
た
四方
(
しかた
)
祐助
(
いうすけ
)
と
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
とを
誘
(
さそ
)
うて、
151
裏口
(
うらぐち
)
の
障子
(
しやうじ
)
を
開放
(
かいはう
)
して
見
(
み
)
たが、
152
教祖
(
けうそ
)
の
言
(
い
)
はれたやうな
恐
(
おそ
)
ろしいものは
一
(
ひと
)
つも
見当
(
みあた
)
らぬ。
153
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
か
合点
(
がてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬので、
154
三
(
さん
)
人
(
にん
)
がそこらをキヨロキヨロ
見廻
(
みまは
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
155
裏口
(
うらぐち
)
の
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
蚯蚓
(
みみづ
)
が
一筋
(
ひとすぢ
)
這
(
は
)
うて
居
(
を
)
る
斗
(
ばか
)
り、
156
暫時
(
しばらく
)
経
(
た
)
つと
一疋
(
いつぴき
)
の
殿蛙
(
とのがへる
)
が
勢
(
いきほひ
)
よく
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
たかと
思
(
おも
)
ふと、
157
矢庭
(
やには
)
に
其
(
その
)
蚯蚓
(
みみづ
)
を
呑
(
の
)
んで
了
(
しま
)
うた。
158
其
(
その
)
後
(
あと
)
へ
又
(
また
)
黒
(
くろ
)
い
可
(
か
)
なり
太
(
ふと
)
い
蛇
(
へび
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
159
其
(
その
)
蛙
(
かへる
)
を
一呑
(
ひとの
)
みにして
了
(
しま
)
うた。
160
併
(
しか
)
し
別
(
べつ
)
に
是
(
これ
)
位
(
くらゐ
)
の
事
(
こと
)
が
何
(
なに
)
恐
(
おそ
)
ろしいものかと
思
(
おも
)
つて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
熟視
(
じゆくし
)
してゐると、
161
平素
(
へいそ
)
上田
(
じぶん
)
が
寵愛
(
ちようあい
)
して
居
(
ゐ
)
るお
長
(
ちやう
)
といふ
雌猫
(
めすねこ
)
が
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
て
其
(
その
)
蛇
(
へび
)
を
噛
(
か
)
み
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
うたと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に、
162
何処
(
どこ
)
から
来
(
き
)
たか、
163
黒色
(
くろいろ
)
の
大猫
(
おほねこ
)
がお
長
(
ちやう
)
を
噛殺
(
かみころ
)
さむとする。
164
お
長
(
ちやう
)
は
驚
(
おどろ
)
いて
直
(
ただち
)
に
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
へ
逃
(
に
)
げ
登
(
のぼ
)
つた。
165
黒猫
(
くろねこ
)
も
亦
(
また
)
続
(
つづ
)
いてお
長
(
ちやう
)
の
跡
(
あと
)
を
追
(
お
)
うて
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
へ
登
(
のぼ
)
つた。
166
上田
(
じぶん
)
はお
長
(
ちやう
)
を
助
(
たす
)
けたさに
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
へ
続
(
つづ
)
いて
攀登
(
よぢのぼ
)
つたが、
167
一
(
いち
)
の
枝
(
えだ
)
まで
上
(
あが
)
つた
頃
(
ころ
)
、
168
お
長
(
ちやう
)
は
黒猫
(
くろねこ
)
に
噛
(
か
)
まれて、
169
悲
(
かな
)
しい
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して、
170
高
(
たか
)
い
枝
(
えだ
)
の
上
(
うへ
)
から
地上
(
ちじやう
)
に
墜落
(
つゐらく
)
しふンのびて
鳴
(
な
)
いてゐる。
171
上田
(
じぶん
)
はお
長
(
ちやう
)
の
仇敵
(
かたき
)
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
黒猫
(
くろねこ
)
をゆり
落
(
おと
)
さうとしたが、
172
何
(
ど
)
うしても
落
(
お
)
ちぬので、
173
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
下
(
した
)
へおりて
見
(
み
)
ると、
174
上田
(
じぶん
)
の
新
(
あたら
)
しい
浴衣
(
ゆかた
)
の
白
(
しろ
)
いのが、
175
猫
(
ねこ
)
の
糞
(
くそ
)
まぶれになつて
居
(
ゐ
)
た。
176
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
始
(
はじ
)
めて……あゝ
上
(
うへ
)
に
上
(
うへ
)
のあるものぢや、
177
如何
(
いか
)
にも
恐
(
おそ
)
ろしい
事
(
こと
)
ぢや……と
肌
(
はだ
)
に
粟粒
(
あはつぶ
)
を
生
(
しやう
)
ずる
程
(
ほど
)
に
驚
(
おどろ
)
いた。
178
其
(
その
)
時
(
とき
)
教祖
(
けうそ
)
はニコニコし
乍
(
なが
)
ら
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
現
(
あら
)
はれ、
179
教祖
(
けうそ
)
『これで
何事
(
なにごと
)
も
分
(
わか
)
りませう』
180
と
言
(
い
)
はれたが、
181
其
(
その
)
時
(
とき
)
には
余
(
あま
)
り
深
(
ふか
)
く
教祖
(
けうそ
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
も
心
(
こころ
)
にとめなかつたけれど、
182
後
(
のち
)
に
至
(
いた
)
つて
其
(
その
)
理由
(
りいう
)
が
判明
(
はんめい
)
したのである。
183
(
大正一一・一〇・一八
旧八・二八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 禁猟区
(B)
(N)
鞍馬山(一) >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第38巻(丑の巻)
> 第3篇 冒険神験 > 第17章 旅装
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第17章 旅装|第38巻|舎身活躍|霊界物語|/rm3817】
合言葉「みろく」を入力して下さい→