霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
×
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
ルビの表示


アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注[※]用語解説 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

脚注[*]編集用 [?][※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]

外字の外周色 [?]一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。[×閉じる]
現在のページには外字は使われていません

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は従来バージョンをお使い下さい| サブスクのお知らせ

第八章 ()(どもゑ)〔一〇四五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第2篇 光風霽月 よみ(新仮名遣い):こうふうせいげつ
章:第8章 三ツ巴 よみ(新仮名遣い):みつどもえ 通し章番号:1045
口述日:1922(大正11)年10月16日(旧08月26日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
明治三十二年十月十五日、足立、四方、中村の三人は全権大使として綾部にやってきて、自分を本宮山上に誘い出した。三人は、自分たちは役員信者たちの代表としてやってきたのだと、自分に対して退去を勧告してきた。
足立は、教祖様を無学の紙屑拾いの婆さん、自分を牛乳屋と嘲弄し、今後は金光教で綾部の教会の面倒を見るからと侮辱している。中村も自分を悪罵し、怒りで退散させようとしている。
喜楽は黙って聞いていたが、とうとう堪忍袋がこらえきれなくなってきた頃に、出口澄子が一人で登ってきて、教祖様がたいへんに探しているからと迎えに来た。これ幸いと、自分は出口澄子と一緒に山を降って行った。
一時間ほどして、足立ら三人も広間にやっていた。喜楽はここを退去すべきかどうか思案していたが、直日の御魂に省みて、このめちゃくちゃな状態を打ち捨てて行くわけにはいかないと思い直した。
教祖様と四方平蔵氏がふすまをあけて入ってきて、喜楽に、神様のご都合で引き寄せられた方だから、帰ることはまかりならない、と言い渡した。
役員や信者がどんなに反対しても、自分(教祖)と上田先生の二人さえ残れば神様のお仕組みは成就するから、しっかり上田先生の言うことを聞いて他の役員に惑わされてはならない、と四方平蔵氏に説き諭した。
そして、別派を作りたいなら勝手に開くようにと言い渡し、自分(教祖)と上田先生と四方平蔵氏の三人はどこまでもここを動かない決心である、と宣言した。これ以降、四方平蔵氏は陰に陽に喜楽を庇護してくれるようになり、ようやく大本の基礎ができ始めたのである。
今度は京都の谷口房次郎という者が、霊学の修行で天眼通が開け、慢心して四方春蔵や喜楽を押しのけて、金明会の次期教主になろうと野心を起こし、教祖様に直談判に来た。
自分が次期教主になれば、金明会の教えは一年とたたずに日本全国に広がる、と説く谷口に対し、教祖様は、誠というものはそんなものではない、と叱りつけた。そして、自分はどこまでも上田先生と教えを開くつもりだからと、逆に谷口に退去を命じた。
谷口は上谷に行って、次の上田反対運動の作戦を練っていた。
また足立正信氏も、金明会の勢いが将来的に伸びるだろうと踏んで、教祖様の娘婿となって次期教主となることをもくろんでいた。四方平蔵氏から綾部の金神さんの噂を聞いた金光教は、出口教祖の人気を利用して金光教の教師にしようとし、足立氏が受け持ち教師として送られてきたとう経緯の人であった。
中村竹蔵は、難病を助けてもらって熱心な信者になった。最初から教祖様の信者であったが、次第に慢心を起こし、自分の女房を離縁して教祖様の娘婿になろうと企んでいた。
四方春蔵は上谷の財産家の息子であったが、邪神がうつって野心を起こし、弟に後を譲って自分は教祖様の娘婿になろうと画策していた。
足立、中村、四方春蔵は三つ巴となって暗躍していたが、そこに突然、喜楽が世継ぎと神様から示されたので、三派は喜楽を攻撃することになったのである。そこに谷口がまた出てきて野心を抱いて運動をする。
喜楽や澄子はそんなことには構わずに一意専心に霊学の発達と筆先の研究に傾注していた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-02 12:49:58 OBC :rm3808
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第7輯 188頁 修補版: 校定版:83頁 普及版:41頁 初版: ページ備考:
001 明治(めいぢ)三十二(さんじふに)(ねん)(じふ)(ぐわつ)十五(じふご)(にち)(こと)であつた。002足立(あだち)003四方(しかた)004中村(なかむら)(さん)(にん)は、005上谷(うへだに)修行場(しうぎやうば)にて、006神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑り」。一統(いつとう)鳩首(きうしゆ)謀議(ぼうぎ)結果(けつくわ)007喜楽(きらく)(たい)し、008綾部(あやべ)退却(たいきやく)勧告(くわんこく)をなさむと、009全権(ぜんけん)公使(こうし)(かく)何喰(なにく)はぬ(かほ)して、010金明会(きんめいくわい)(かへ)(きた)り、011(ことば)(たく)みに本宮山(ほんぐうさん)(じやう)(さそ)()し、012第一番(だいいちばん)四方(しかた)春三(はるざう)(くち)(ひら)いて()ふ。
013四方(しかた)上田(うへだ)先生(せんせい)申上(まをしあ)げますが、014夜前(やぜん)上谷(うへだに)(わたし)(うち)で、015金明会(きんめいくわい)役員(やくゐん)一同(いちどう)集会(しふくわい)いたし、016相談(さうだん)結果(けつくわ)017先生(せんせい)(いち)(にち)(はや)綾部(あやべ)(たち)のいて(もら)(こと)になりました。018(わたし)()(さん)(にん)(たい)し、019(みな)役員(やくゐん)サンから、020先生(せんせい)(たい)談判(だんぱん)をしてくれと(たの)まれ、021()むを()(さん)(にん)()()ましたのですから、022どうぞシツカリ()いて(くだ)され。023(なが)らく霊学(れいがく)(をし)へて(もら)うた先生(せんせい)(たい)して、024すげなう(かへ)つて(くだ)さいと()(こと)は、025弟子(でし)(わたくし)としては(まこと)心苦(こころくるし)くて()(どく)でたまりませぬけれど、026先生(せんせい)綾部(あやべ)(ござ)ると、027第一(だいいち)教祖(けうそ)さまの(をしへ)邪魔(じやま)になり、028仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)しませぬので、029役員(やくゐん)信者(しんじや)(こころ)がハダハダになつて、030如何(どう)しても一致(いつち)しませぬから、031どうぞ(いち)(ねん)(ほど)穴太(あなを)(かへ)つて(くだ)され。032(その)(うへ)(また)御縁(ごえん)がありましたら、033(みな)相談(さうだん)(うへ)034こちらの(はう)からお(むか)へに(まゐ)ります。035実際(じつさい)(こと)()へば、036先生(せんせい)綾部(あやべ)へお()でるのが一二(いちに)(ねん)(ばか)(はや)すぎました』
037立退(たちの)勧告(くわんこく)臆面(おくめん)もなくやつて()る。038喜楽(きらく)黙然(もくねん)として(なん)(こたへ)もなく、039春三(はるざう)(かほ)(あな)のあく(ほど)()つめて(すこ)しく(わら)うてゐると、040春三(はるざう)気味(きみ)(わる)(さう)真青(まつさを)(かほ)をして(うつ)むいて(くび)(しき)りに()つてゐる。041さうすると足立(あだち)正信(まさのぶ)全権(ぜんけん)委員(ゐゐん)(がほ)をして()ふ。
042足立(あだち)足立(あだち)今日(こんにち)先生(せんせい)にお(はなし)(まゐ)つたのは、043一個人(いちこじん)(かんが)へではありませぬ。044()第一(だいいち)(うしとら)金神(こんじん)さまを(はじ)め、045役員(やくゐん)信者(しんじや)一同(いちどう)代表者(だいへうしや)として、046(まゐ)つたのですから、047あなたも(その)(かんが)へで()いて(いただ)かねばなりませぬぞ。048(そもそ)綾部(あやべ)には、049天地金(てんちかね)(かみ)さまのお(みち)(ひら)く、050結構(けつこう)金光(こんくわう)教会所(けうくわいしよ)があつたのを、051出口(でぐち)(なほ)さまが()をいらつて、052四方(しかた)平蔵(へいざう)サンとひそかに相談(さうだん)して、053吾々(われわれ)(はじ)役員(やくゐん)信者(しんじや)には一言(いちごん)相談(さうだん)もなく、054()(ちが)霊学(れいがく)先生(せんせい)(よび)よせて、055とうとう金光(こんくわう)教会(けうくわい)丸潰(まるつぶ)しにしられたのは、056(まへ)サンも御存(ごぞん)じの(とほ)りですが、057金光教(こんくわうけう)立派(りつぱ)公認(こうにん)神道(しんだう)本局(ほんきよく)直轄(ちよくかつ)教会(けうくわい)で、058天下(てんか)(はばか)らず布教(ふけう)伝道(でんだう)従事(じうじ)してゐるお(みち)です。059かう(まを)すと()みませぬが、060上田(うへだ)サンの()てた金明(きんめい)霊学会(れいがくくわい)は、061(その)(すぢ)認可(にんか)もうけずに、062偉相(えらさう)布教(ふけう)してゐられても、063到底(たうてい)064駄目(だめ)です。065出口(でぐち)(なほ)さまや四方(しかた)平蔵(へいざう)サン、066(まへ)サンの(さん)(にん)(くらゐ)何程(なにほど)(ほね)()つても、067(またた)(うち)(その)(すぢ)から(たた)(つぶ)されて(しま)ひますよ。068さうなつてはお(まへ)サンも(みな)サンに()はす(かほ)がないから、069足許(あしもと)()かい(うち)一時(いつとき)(はや)くお(かへ)りなされ。070(いま)こそ教祖(けうそ)だとか、071会長(くわいちやう)だとか()うてゐられますが(もと)(ただ)せば紙屑買(かみくづかひ)無学(むがく)()アサンや、072牛乳屋(ぎうにうや)(くらゐ)が、073どれ(だけ)気張(きば)つて()ても、074到底(たうてい)(はなし)にならぬから、075(はな)のある(うち)にここを引上(ひきあ)げなされ。076(また)(なほ)さまの(はう)金光(こんくわう)教会(けうくわい)(はう)大切(たいせつ)世話(せわ)をしますから、077(いま)(うち)決心(けつしん)をきめて(たし)かな()返答(へんたふ)(ねが)ひます。078(まへ)サン、079これ(だけ)(みな)(もの)(きら)はれて()つても綾部(あやべ)(かへ)るのがおいやですか。080よくよくお(まへ)サンも()(ところ)のない(こま)つた人足(にんそく)()えますな。081(はら)()ちますかなア。082(はら)()つならこれ()たかで、083(ひと)つこんな田舎(いなか)ではなく、084立派(りつぱ)大都会(だいとくわい)中央(まんなか)で、085一奮発(ひとふんぱつ)して教会(けうくわい)でも()てて御覧(ごらん)086イヤ(しか)人間(にんげん)()(もの)(すゑ)()(わか)らぬから(なん)(わけ)(わか)らぬお(まへ)サンでも、087(また)(いぬ)(ある)けや(ぼう)(あた)ると()(こと)があるよつて、088どんな(えら)(もの)に、089(この)(さき)(おい)てなれぬとも(かぎ)りませぬワイ』
090嘲弄(てうろう)(てき)(せめ)かける。091喜楽(きらく)(あま)りの侮辱(ぶじよく)暴言(ばうげん)(なん)(こたへ)もなく、092黙然(もくねん)として(うつむ)いてゐた。093足立(あだち)心地(ここち)よげに微笑(びせう)をうかべ、094喜楽(きらく)尻目(しりめ)にかけて(うで)をふり(なが)ら、095コツコツと(ほそ)坂路(さかみち)(くだ)つて()く。096中村(なかむら)竹造(たけざう)はニタニタ(わら)(なが)ら、
097中村(なかむら)上田(うへだ)サン、098(まへ)サンは(もと)(ただ)せば百姓(ひやくしやう)蛙切(かはづき)り、099(すこ)出世(しゆつせ)して牛乳屋(ぎうにうや)になつてゐたのぢやありませぬか。100それに(なん)ぞや、101霊学(れいがく)だとか審神者(さには)ぢやとか()つて、102草深(くさふか)田舎(いなか)(ひと)をだましに()ても、103何時迄(いつまで)尻尾(しつぽ)()えずには()りませぬぞ。104なんぼ綾部(あやべ)山家(やまが)だと()うても、105(なか)には()のあいた(もの)()りますでな。106百姓(ひやくしやう)(せがれ)(だい)それた神道家(しんだうか)になるなんて、107そんな謀反(むほん)(おこ)してもだめですよ。108ヤツパリ蚯蚓切(みみづき)りの蛙飛(かはずと)ばしは、109どこともなく土臭(つちくさ)(ところ)がある。110なんぼ綾部(あやべ)小都会(せうとくわい)でも、111(まへ)サン(くらゐ)自由(じいう)自在(じざい)にしられて、112(よろこ)んでゐるやうな馬鹿者(ばかもの)はありませぬぞや。113そんな(しやう)()はぬ(こと)するより、114(いち)(にち)(はや)穴太(あなを)(かへ)つて(もと)のお百姓(ひやくしやう)をしなさい。115(かへる)()のお玉杓子(たまじやくし)は、116何程(なにほど)(なまづ)()によく()()つても、117チツと(おほ)きうなりかけると、118()()えたり、119(あし)がはえたり、120いつのまにやら尻尾(しつぽ)()れて、121ヤツパリ先祖(せんぞ)(ゆづ)りの糞蛙(くそがへる)によりなれませぬぞや。122どうしても(なまづ)になれぬのは天地(てんち)道理(だうり)ぢや。123(わたし)今年(ことし)九年振(くねんぶり)124天地金(てんちかね)大神(おほかみ)さまのお(みち)(まな)び、125(はち)(ねん)(あひだ)(うしとら)金神(こんじん)さまのお筆先(ふでさき)(あさ)から(ばん)まで拝読(いただ)いて()つても、126まだ満足(まんぞく)(ひと)布教(ふけう)することが出来(でき)(くらゐ)むつかしいものだのに、127(まへ)サンは去年(きよねん)(はる)まで、128蛙飛(かはづと)ばしや牛乳(ぎうにう)(しぼ)りをして()(なが)ら、129(いま)から審神者(さには)になるの、130神懸(かむがか)初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神がかり」。(ひと)(をし)へるといふのはチツと時節(じせつ)(はや)すぎます。131(いち)(にち)(はや)うどつかへ()つて、132モツトモツト(かみ)さまのお(みち)勉強(べんきやう)をして()なさい。133(まへ)サンの修行(しうぎやう)出来(でき)て、134立派(りつぱ)(ひと)になりなさつたら、135(また)世話(せわ)になるかも()れませぬ。136綾部(あやべ)には四方(しかた)春三(はるざう)サンのやうな日本一(にほんいち)神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神がかり」。出来(でき)てゐる(うへ)に、137福島(ふくしま)大先生(だいせんせい)のやうな生神(いきがみ)さまが、138時節(じせつ)(まゐ)りて(あら)はれました。139(まへ)サンも御存(ごぞん)じだらうが、140二三(にさん)日前(にちまへ)にも穴太(あなを)のお()アさまから、141(いち)(にち)(はや)(かへ)つて百姓(ひやくしやう)手伝(てつだ)ひをしてくれ、142いつまでもウロウロしてをる(とし)ぢやないというて、143手紙(てがみ)()たぢやありませぬか。144(いま)(まへ)サンが(こころよ)(かへ)つて(くだ)されば、145天地(てんち)大神(おほかみ)さまへもお(わび)(かな)ひませうし、146大勢(おほぜい)役員(やくゐん)神懸(かむがか)初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神がかり」。サンも大喜(おほよろこ)び、147第一(だいいち)穴太(あなを)のお()アさまに孝行(かうかう)ぢや。148何程(なにほど)教祖(けうそ)さまが(ひつ)ぱりなさつても、149大勢(おほぜい)(もの)にこれ(ほど)(いや)がられても、150ヤツパリ綾部(あやべ)()りたいのですか。151()かけにもよらぬ卑怯(ひけふ)未練(みれん)()(かた)ぢやなア。152よつ(ぽど)よい腰抜(こしぬけ)だと(みな)(かげ)()うて()りますで』
153(くち)(きは)めて嘲罵(てうば)をきわめ、154立腹(りつぷく)させて喜楽(きらく)()(かへ)すべく手段(しゆだん)をめぐらしてゐる。155喜楽(きらく)(むね)はわき(かへ)(ばか)りになつた。156最早(もはや)勘忍袋(かんにんぶくろ)()()れやうとする一刹那(いちせつな)157出口(でぐち)澄子(すみこ)がエチエチと本宮山(ほんぐうやま)(のぼ)つて()て、
158澄子(すみこ)先生(せんせい)159最前(さいぜん)から教祖(けうそ)さまが、160先生(せんせい)のお姿(すがた)()えぬと()うて、161大変(たいへん)心配(しんぱい)をして()られますので、162平蔵(へいざう)サンや祐助(いうすけ)サンがそこら(ぢう)(さが)して()られます。163(わたし)本宮山(ほんぐうやま)(のぼ)られたに(ちがひ)ないと(おも)うて、164(むか)へに()ました。165サア(はや)(かへ)つて、166教祖(けうそ)さまがお待兼(まちかね)ですから、167一所(いつしよ)御飯(ごはん)をおあがりなされ』
168(うなが)すのをよい機会(きかい)に、169喜楽(きらく)四方(しかた)170中村(なかむら)(あと)(のこ)して本宮山(ほんぐうやま)(くだ)つて()く。171二人(ふたり)後姿(うしろすがた)見送(みおく)つて、172()(しきり)打叩(うちたた)き、
173『ワハイ ワハイ、174()似合(にあひ)ますで、175()夫婦(ふうふ)万歳(ばんざい)!』
176などと(ひや)かしてゐる。177まだ澄子(すみこ)とは(その)(とき)夫婦(ふうふ)でも(なん)でもない、178無関係(むくわんけい)(なか)であつた。179(しか)るに両人(りやうにん)(めう)(ところ)()をまはして(わら)うて()る。180(いち)時間(じかん)(ほど)()つてから、181以前(いぜん)(さん)(にん)(おち)つかぬ(かほ)して広間(ひろま)(かへ)つて()た。
182 喜楽(きらく)一室(いつしつ)端坐(たんざ)し、183(くび)(かたむ)けて一先(ひとま)づここを退去(たいきよ)せむか、184思案(しあん)にくれてゐた。185直日(なほひ)(みたま)(かへり)みて……イヤイヤ目下(もつか)金明会(きんめいくわい)役員(やくゐん)や、186神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。状態(じやうたい)見捨(みす)てて(かへ)(わけ)にも()かぬ、187自分(じぶん)(いま)(かへ)つたならば、188(なに)()もメチヤメチヤになつて(しま)うだらう、189どこ(まで)忍耐(にんたい)忍耐(にんたい)(かさ)ね、190(いま)一度(いちど)無念(むねん)(こら)へて、191(かれ)()精神(せいしん)鎮定(ちんてい)した(うへ)192進退(しんたい)(けつ)しやうかと(おも)うてゐる(をり)しも、193教祖(けうそ)平蔵(へいざう)()(とも)に、194(しづ)かに(ふすま)(おし)あけ()(きた)り、195自分(じぶん)(まへ)()()めて、196教祖(けうそ)()第一(だいいち)(ことば)をかけ、
197教祖(けうそ)先生(せんせい)198あなたは穴太(あなを)(かへ)(つもり)思案(しあん)をしてゐられるやうだが、199それはなりませぬ。200(かみ)さまの()都合(つがふ)(ひき)よせられたお(かた)ぢやから、201どんなことがあつても綾部(あやべ)立退(たちの)くことは出来(でき)ませぬぞや。202()苦労(くらう)さまで(ござ)いますけれど、203(かみ)さまの(ため)にどこまでも辛抱(しんばう)して(もら)はねば、204肝腎(かんじん)()仕組(しぐみ)成就(じやうじゆ)しませぬから、205役員(やくゐん)信者(しんじや)反対(はんたい)して、206一人(ひとり)()りつかぬやうになつても、207出口(でぐち)(なほ)先生(せんせい)二人(ふたり)さへ(この)広間(ひろま)()れば、208(かみ)さまのお仕組(しぐみ)立派(りつぱ)成就(じやうじゆ)すると、209(うしとら)金神(こんじん)仰有(おつしや)いますから、210どんな難儀(なんぎ)なことが()()ても、211(なに)ほど反対(はんたい)があつても此処(ここ)(はな)れてはいけませぬ。212平蔵(へいざう)サン、213チとしつかりして(くだ)され。214(いま)先生(せんせい)(まを)した(とほ)り、215(かみ)さまは如何(どう)しても()(はな)しなさらぬから、216平蔵(へいざう)サン、217チとシヤンとして先生(せんせい)(をしへ)()き、218(ほか)神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。役員(やくゐん)()(こと)(まよ)うては()けませぬ。219金光(こんくわう)さまの(をしへ)(ひら)きたい(ひと)勝手(かつて)(ひら)いたが(よろ)しい。220(わたし)()(さん)(にん)はどこまでも(うご)かぬ決心(けつしん)をせねばなりませぬから、221(その)(つもり)でゐて(くだ)され。222先生(せんせい)くれぐれも(たの)みますぜ』
223()()てて自分(じぶん)居間(ゐま)引取(ひきと)られた。224それから四方(しかた)平蔵(へいざう)態度(たいど)一変(いつぺん)して、225(いん)(やう)上田(うへだ)庇護(ひご)する(こと)となり、226(やうや)大本(おほもと)基礎(きそ)(かた)まりかけたのである。
227 (もと)金光(こんくわう)教会(けうくわい)教師(けうし)であつた土田(つちだ)雄弘(たかひろ)は、228喜楽(じぶん)霊学(れいがく)(ちから)(かん)京都(きやうと)(のぼ)り、229旧友(きういう)などを(あつ)めて金明会(きんめいくわい)支部(しぶ)を、230塩小路(しほこうぢ)七条下(しちでうさが)谷口(たにぐち)房次郎(ふさじらう)(たく)開設(かいせつ)し、231一同(いちどう)協議(けふぎ)(うへ)谷口(たにぐち)熊吉(くまきち)なる(もの)を、232綾部(あやべ)修行(しうぎやう)(ため)差向(さしむ)けた。233喜楽(じぶん)熱心(ねつしん)なる(をしへ)に、234二三(にさん)週間(しうかん)(のち)は、235一通(ひととほ)霊術(れいじゆつ)(おぼ)え、236第一(だいいち)天眼通(てんがんつう)()くやうになつて()た。237そこで当人(たうにん)非常(ひじやう)慢心(まんしん)(おこ)し、238自分(じぶん)(くらゐ)霊術(れいじゆつ)到達(たうたつ)したものはない、239四方(しかた)春三(はるざう)(くらゐ)(もの)(かず)でもない、240過去(くわこ)現在(げんざい)未来(みらい)(つう)ずるやうになつたのは、241自分(じぶん)天賦(てんぷ)霊能(れいのう)(しか)らしむる(ところ)であらうと、242得々(とくとく)として教祖(けうそ)(まへ)()で、243厚顔(こうがん)にも、
244谷口(たにぐち)(この)谷口(たにぐち)(かみ)から(えら)まれた因縁(いんねん)身魂(みたま)で、245将来(しやうらい)大本(おほもと)教主(けうしゆ)になるべきものでせう。246(しか)らざれば、247(わづか)二三(にさん)週間(しうかん)修行(しうぎやう)でこんなに上達(じやうたつ)する(こと)出来(でき)ますまい。248(かなら)(むかし)からの因縁(いんねん)神助(しんじよ)(しか)らしむる(ところ)(ちがひ)()りますまい。249今日(こんにち)以後(いご)(およ)ばず(なが)ら、250(わたし)御用(ごよう)をつとめ、251天晴(あつぱ)(うしとら)金神(こんじん)さまを(おもて)へあらはし、252教主(けうしゆ)のつとめを(いた)(かんが)へでありますから、253上田(うへだ)サンには(いま)まで()世話(せわ)になつた()(れい)に、254相当(さうたう)(かね)(あた)へて、255穴太(あなを)()(かへ)しなさつた(はう)がよろしからう』
256教祖(けうそ)(まへ)恐気(おそれげ)もなく()()てた。257教祖(けうそ)(あま)りの(こと)(あき)れて(ことば)もなく、258谷口(たにぐち)(かほ)をジツと()つめてゐられた。259谷口(たにぐち)はモドかし(さう)に、260(ことば)せわしく、
261谷口(たにぐち)教祖(けうそ)(さま)262どちらになされますか。263(わたし)にも()返答(へんたふ)次第(しだい)(ひと)(かんが)へがあります。264谷口(たにぐち)熊吉(くまきち)金明会(きんめいくわい)をかまへば、265(うしとら)金神(こんじん)さまの御教(みをしへ)(いち)(ねん)たたぬ(うち)日本(にほん)国中(こくぢう)(ひろ)まり、266金光(こんくわう)教会(けうくわい)全部(ぜんぶ)はキツと綾部(あやべ)(うしとら)金神(こんじん)さまに帰順(きじゆん)いたさせます。267かう(まを)すと慢心(まんしん)のやうで(ござ)いますが、268上田(うへだ)サンの(やう)に、269役員(やくゐん)信者(しんじや)一般(いつぱん)()けが(わる)いやうな(ひと)()つては大本(おほもと)(つぶ)れるより(ほか)はありませぬ。270とかく()ういふ(こと)人気(にんき)肝腎(かんじん)であります。271役員(やくゐん)信者(しんじや)神懸(かむがかり)初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神憑」。も、272上田(うへだ)サンが何時(いつ)までも綾部(あやべ)()すわつてるやうなら一人(ひとり)もよりつかぬと()つて、273昨夜(さくや)上谷(うへだに)四方(しかた)春三(はるざう)サンとこで相談(さうだん)がきまりました。274(わたし)大本(おほもと)大事(だいじ)(おも)ひ、275教祖(けうそ)さまのお()(うへ)(おも)(あま)り、276(なに)()(かく)さず申上(まをしあ)げます。277一体(いつたい)教祖(けうそ)さまは、278上田(うへだ)サンを買被(かひかぶ)つてゐられますと(みな)(もの)()うてゐます』
279野心(やしん)包蔵(はうざう)する谷口(たにぐち)は、280教祖(けうそ)がどういはれるかと、281(その)()返答(へんたふ)(まち)かね(がほ)であつた。
282 教祖(けうそ)(ただち)(こた)へて、
283教祖(けうそ)谷口(たにぐち)サン、284それは(まこと)結構(けつこう)思召(おぼしめ)しで(ござ)いますな、285(みな)さまの()(こころざし)(かみ)さまもさぞ()(よろこ)びで(ござ)いませう。286乍併(しかしながら)(まこと)といふ(もの)はそんなものぢやありませぬ。287(まへ)サンも上田(うへだ)サンに、288仮令(たとへ)三日(みつか)でも(をし)へて(もら)うたら先生(せんせい)(ちがひ)なからう。289(その)先生(せんせい)追出(おひだ)して自分(じぶん)(あと)にすわるといふやうな()精神(せいしん)()(かた)(わたし)(いや)です。290(まこと)といふものはそんな(やす)いものとは(ちが)ひますで、291(わたし)はどこ(まで)上田(うへだ)サンと()()いて、292(かみ)さまの御用(ごよう)をする覚悟(かくご)であります。293そんな(こと)()ふお(かた)は、294どうぞ(いち)(にち)(はや)(かへ)つて(くだ)され』
295とあべこべに退却(たいきやく)請求(せいきう)され、296目算(もくさん)がガラリと(はづ)れた谷口(たにぐち)(あを)(かほ)して、297首尾(しゆび)(わる)(さう)教祖(けうそ)(まへ)(さが)り、298すぐさま上谷(うへだに)へかけつけ、299第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)について大運動(だいうんどう)(はじ)めて()た。
300 教祖(けうそ)筆先(ふでさき)に、
301()用継(ようつぎ)末子(ばつし)澄子(すみこ)(さだ)まりたぞよ』
302繰返(くりかへ)繰返(くりかへ)(あら)はれてゐるので、303第一(だいいち)出口(でぐち)養子(やうし)たらむとの野心(やしん)(おこ)してゐたのは、304金光(こんくわう)教会(けうくわい)足立(あだち)正信(まさのぶ)()であつた。305(かれ)(うしとら)金神(こんじん)さまの(をしへ)将来(しやうらい)発達(はつたつ)するに(ちがひ)ない、306さうすれば第一(だいいち)出口(でぐち)(むすめ)婿(むこ)となつておけば、307将来(しやうらい)権利(けんり)(にぎ)(こと)出来(でき)るといふので、308(いん)(やう)教祖(けうそ)近付(ちかづ)きつつあつたのである。309(この)(をとこ)(もと)(よど)藩士(はんし)で、310小学校(せうがくかう)教員(けうゐん)(つと)めてゐたが、311そこに金光(こんくわう)教会所(けうくわいしよ)(まう)けられてあつた、312(その)教会(けうくわい)(ひま)ある(ごと)(かよ)うて受持(うけもち)教師(けうし)理屈(りくつ)をふきかけ、313いろいろと妨害(ばうがい)をなし、314とうとう(その)教会(けうくわい)をメチヤメチヤに(たた)きつぶして(しま)うた(をとこ)である。315それを上級(じやうきふ)教会(けうくわい)の、316京都(きやうと)島原(しまばら)支所長(ししよちやう)杉田(すぎた)政次郎(まさじらう)(うま)自分(じぶん)手元(てもと)引入(ひきい)れ、317相当(さうたう)俸給(ほうきふ)をやつて事務員(じむゐん)使(つか)うてゐた。
318 出口(でぐち)教祖(けうそ)(はじ)めて神懸(かむがかり)になられた(とき)319四方(しかた)平蔵(へいざう)()妻君(さいくん)(とも)に、320南桑田(みなみくはだ)土田村(つちだむら)といふ(ところ)()つて()つた。321(その)(とき)亀岡(かめをか)金光(こんくわう)教会(けうくわい)大橋(おほはし)亀次郎(かめじらう)といふ教師(けうし)について、322金光教(こんくわうけう)(をしへ)()いてゐた関係(くわんけい)(じやう)から、323教祖(けうそ)(こと)亀岡(かめをか)大橋(おほはし)(はなし)をしてみた。324さうすると大橋(おほはし)は、325(うしとら)金神(こんじん)というて信者(しんじや)沢山(たくさん)によつて()(さう)だから、326(なん)とかして、327(その)出口(でぐち)(なほ)サンを金光(こんくわう)教会(けうくわい)教師(けうし)となし、328亀岡(かめをか)教会(けうくわい)部下(ぶか)として、329綾部(あやべ)(ひと)教会(けうくわい)()てたいものだといふのが手蔓(てづる)となり西原(にしばら)西村(にしむら)文右衛門(ぶんうゑもん)といふ(をとこ)教祖(けうそ)難病(なんびやう)(たす)けて(もら)うた関係(くわんけい)(じやう)330亀岡(かめをか)教会(けうくわい)()つて大橋(おほはし)亀次郎(かめじらう)から、331金光教(こんくわうけう)剣先(けんさき)()げて(いただ)き、332西村(にしむら)文右衛門(ぶんうゑもん)()背中(せなか)()うて、333大島(おほしま)景僕(けいぼく)といふ(ひと)(はな)れの六畳(ろくでふ)()つて、334(はじ)めて金光(こんくわう)サンを(まつ)つたのである。335(その)六畳(ろくでふ)のはなれは(いま)大本(おほもと)保存(ほぞん)されてある。336大橋(おほはし)亀次郎(かめじらう)は、337自分(じぶん)弟子(でし)奥村(おくむら)定次郎(さだじらう)といふ(をとこ)(つか)はし、338教師(けうし)として(みち)(ひら)かせ、339出口(でぐち)直子(なほこ)をお給仕役(きふじやく)(やう)にして(みち)(ひら)いて()つた。340乍併(しかしながら)出口(でぐち)教祖(けうそ)はそんな(こと)満足(まんぞく)しては()られず、
341教祖(けうそ)自分(じぶん)金光教(こんくわうけう)をひらくのではない、342(うしとら)金神(こんじん)さまを()()さねばならぬ(やく)だから……』
343()つて、344奥村(おくむら)定次郎(さだじらう)に、345幾度(いくたぴ)となくお筆先(ふでさき)()して警告(けいこく)されたけれど、346上級(じやうきふ)教会(けうくわい)(はばか)つて、347如何(どう)しても(うしとら)金神(こんじん)さまを(おもて)にせうとはせず、348とうとういろいろと(くわん)手続(てつづ)きをして、349福知山(ふくちやま)金光(こんくわう)教会(けうくわい)支所長(ししよちやう)青木(あをき)松之助(まつのすけ)出張所(しゆつちやうしよ)といふ()で、350東四辻(ひがしよつつじ)(ふる)(いへ)()つて、351そこに道場(だうぢやう)(ひら)き、352奥村(おくむら)定次郎(さだじらう)受持(うけもち)教師(けうし)となつて、353金光教(こんくわうけう)(ひら)いて()つた。
354 出口(でぐち)教祖(けうそ)(かみ)さまの命令(めいれい)によつて、355奥村(おくむら)(わか)れ、356裏町(うらまち)土蔵(くら)()つて、357そこで(かみ)さまを(まつ)つて、358筆先(ふでさき)をかいてゐられた。359金光(こんくわう)教会(けうくわい)はだんだん(さび)しくなり、360()()えたやうになつて(しま)奥村(おくむら)()()むを()夜逃(よに)げをして(しま)うた。361これも出口(でぐち)教祖(けうそ)が……(うしとら)金神(こんじん)()(こと)をきかねば、362()()()きもつて()げて(かへ)らねばならぬぞよ……と注意(ちうい)しておかれた(とほ)りになつたのである。363(その)(あと)島原(しまばら)杉田(すぎた)()から、364足立(あだち)正信(まさのぶ)受持(うけもち)教師(けうし)として綾部(あやべ)教会(けうくわい)へよこしたのであつた。
365 (つぎ)中村(なかむら)竹造(たけざう)といふ(をとこ)は、366本町(ほんまち)播磨屋(はりまや)というて、367古物商(こぶつしやう)をやつてゐたが、368(はじ)めから教祖(けうそ)さまに(したが)ひ、369難病(なんびやう)(たす)けて(もら)ふてから熱心(ねつしん)信者(しんじや)となり、370筆先(ふでさき)(だい)熱心者(ねつしんしや)であつた。371これも何時(いつ)()にか慢心(まんしん)()()て、372自分(じぶん)女房(にようばう)離縁(りえん)し、373出口(でぐち)(むすめ)(よめ)(もら)はうと(かんが)へてゐたのである。
374 (つぎ)四方(しかた)春三(はるざう)は、375上谷(うへだに)相当(さうたう)財産家(ざいさんか)総領(そうりやう)息子(むすこ)で、376邪神(じやしん)(うつ)つた結果(けつくわ)377(おとうと)(あと)をゆづり、378相当(さうたう)財産(ざいさん)()つて出口家(でぐちけ)養子(やうし)()()まうと、379幾度(いくど)となく申込(まをしこ)んで()たのである。380()くの(ごと)(さん)(にん)養子(やうし)候補者(こうほしや)が、381()をかへ(しな)()暗中(あんちう)飛躍(ひやく)(こころ)みて()有様(ありさま)は、382(あたか)古事記(こじき)にある八十神(やそがみ)八上姫(やかみひめ)(めと)らむとして争奪(そうだつ)余日(よじつ)なきと(おな)じことであつた。383足立(あだち)正信(まさのぶ)塩見(しほみ)384四方(しかた)二女(にぢよ)参謀(さんぼう)として、385教祖(けうそ)取入(とりい)り、386それとはなしに()年間(ねんかん)根気(こんき)よく運動(うんどう)してゐたといふ(こと)である。387(また)中村(なかむら)()四方(しかた)源之助(げんのすけ)388村上(むらかみ)清次郎(せいじらう)参謀(さんぼう)として、389これも二三(にさん)年間(ねんかん)不断(ふだん)活動(くわつどう)をつづけてゐた。390四方(しかた)春三(はるざう)(みづか)少々(せうせう)財富力(ざいふりよく)(たて)単独(たんどく)運動(うんどう)をやつて、391自分(じぶん)十中(じつちう)()まで最早(もはや)成功(せいこう)したものと(しん)じ、392(たがひ)(さん)(にん)三巴(みつどもゑ)となつて(すき)(うかが)うてゐる。393そこへ突然(とつぜん)喜楽(きらく)(かみ)さまから、394大本(おほもと)御用(ごよう)つぎと(いた)すぞよと(しめ)されたので(さん)(にん)不平(ふへい)()はず(かた)らず(いち)()爆発(ばくはつ)して、395喜楽(きらく)(たい)しいろいろの圧迫(あつぱく)(くは)へ、396悪罵(あくば)(こころ)み、397百方(ひやつぱう)妨害(ばうがい)着手(ちやくしゆ)する(こと)となつたのである。
398 (また)もや谷口(たにぐち)熊吉(くまきち)()()て、399野心(やしん)(いだ)きいろいろの運動(うんどう)開始(かいし)する。400喜楽(きらく)澄子(すみこ)もそんな(こと)(ゆめ)にも()らず、401何事(なにごと)頓着(とんちやく)なく、402一意(いちい)専心(せんしん)霊学(れいがく)発達(はつたつ)筆先(ふでさき)研究(けんきう)とに、403心意(しんい)傾注(けいちう)してゐたのである。
404大正一一・一〇・一六 旧八・二六 松村真澄録)
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki