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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
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舎身活躍(第37~48巻)
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第38巻(丑の巻)
> 第1篇 千万無量 > 第2章 吉崎仙人
<<< 道すがら
(B)
(N)
帰郷 >>>
第二章
吉崎
(
よしざき
)
仙人
(
せんにん
)
〔一〇三九〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
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王仁DB
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主な登場人物
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備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
文字数:
OBC :
rm3802
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
丹波
(
たんば
)
何鹿郡
(
いかるがぐん
)
東八田
(
ひがしやた
)
村
(
むら
)
字
(
あざ
)
淤与岐
(
およぎ
)
といふ、
002
大本
(
おほもと
)
に
因縁
(
いんねん
)
深
(
ふか
)
き
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめの
)
命
(
みこと
)
を
斎
(
まつ
)
られたる
弥仙山
(
みせんざん
)
のある
小
(
ちひ
)
さき
村
(
むら
)
に、
003
吉崎
(
よしざき
)
兼吉
(
かねきち
)
といふ
不思議
(
ふしぎ
)
な
人
(
ひと
)
があつて、
004
自
(
みづか
)
ら
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
と
称
(
しよう
)
してゐる。
005
彼
(
かれ
)
は
七
(
しち
)
才
(
さい
)
の
時
(
とき
)
、
006
白髪
(
はくはつ
)
異様
(
いやう
)
の
老人
(
らうじん
)
に
山中
(
さんちう
)
に
出会
(
であ
)
ひ
種々
(
しゆじゆ
)
の
神秘
(
しんぴ
)
を
伝
(
つた
)
へられてから、
007
其
(
その
)
言行
(
げんかう
)
は
俄然
(
がぜん
)
一変
(
いつぺん
)
し、
008
日夜
(
にちや
)
木片
(
もくへん
)
や
竹
(
たけ
)
の
端
(
はし
)
等
(
など
)
にて、
009
金釘流
(
かなくぎりう
)
の
筆先
(
ふでさき
)
を
書
(
か
)
きあらはし、
010
天
(
てん
)
のお
宮
(
みや
)
の
一
(
いち
)
の
馬場
(
ばんば
)
の
大神
(
おほかみ
)
様
(
さま
)
の
命令
(
めいれい
)
を
受
(
う
)
けて、
011
天地
(
てんち
)
の
神々
(
かみがみ
)
に
大神
(
おほかみ
)
の
神勅
(
しんちよく
)
を
宣伝
(
せんでん
)
するのを
以
(
もつ
)
て
一生
(
いつしやう
)
の
天職
(
てんしよく
)
となし、
012
親族
(
しんぞく
)
、
013
兄弟
(
きやうだい
)
、
014
村人
(
むらびと
)
よりは
発狂者
(
はつきやうしや
)
と
見做
(
みな
)
され、
015
一人
(
ひとり
)
も
相手
(
あひて
)
にする
者
(
もの
)
がない、
016
それにも
屈
(
くつ
)
せず、
017
仙人
(
せんにん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
書
(
か
)
く
筆先
(
ふでさき
)
は、
018
現代
(
げんだい
)
の
訳
(
わけ
)
の
分
(
わか
)
らぬ
人間
(
にんげん
)
に
宣教
(
せんけう
)
するのではない、
019
宇宙
(
うちう
)
の
神々
(
かみがみ
)
様
(
さま
)
に
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
を
取次
(
とりつ
)
ぐのであるから、
020
到底
(
たうてい
)
人間
(
にんげん
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
021
自分
(
じぶん
)
の
書
(
か
)
いたことが
紙
(
かみ
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
だつて、
022
分
(
わか
)
るべき
道理
(
だうり
)
がないのだと
云
(
い
)
つてゐる。
023
二十五六
(
にじふごろく
)
才
(
さい
)
の
頃
(
ころ
)
から
郷里
(
きやうり
)
の
淤与岐
(
およぎ
)
を
立出
(
たちい
)
で、
024
口上林
(
くちかんばやし
)
村
(
むら
)
の
山奥
(
やまおく
)
に
忍
(
しの
)
び
入
(
い
)
り、
025
平素
(
へいそ
)
は
樵夫
(
きこり
)
を
職業
(
しよくげう
)
となし、
026
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
の
食
(
く
)
ふ
丈
(
だけ
)
のものを
働
(
はたら
)
いて
拵
(
こしら
)
へ、
027
チツとでも
米塩
(
べいえん
)
の
貯
(
たくは
)
へが
出来
(
でき
)
ると、
028
それが
大方
(
おほかた
)
なくなるまで、
029
山中
(
さんちう
)
の
小屋
(
こや
)
に
立
(
たて
)
こもつて、
030
板
(
いた
)
の
引
(
ひき
)
わつたのに
竹
(
たけ
)
の
先
(
さき
)
を
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
して
拵
(
こしら
)
へた
筆
(
ふで
)
で
神勅
(
しんちよく
)
を
書
(
か
)
きあらはし、
031
日当
(
ひあた
)
りのよい
場所
(
ばしよ
)
を
選
(
えら
)
んで、
032
大空
(
おほぞら
)
を
向
(
む
)
けて
斜
(
ななめ
)
に
立
(
た
)
てて
日
(
ひ
)
にさらしておくのである。
033
其
(
その
)
仙人
(
せんにん
)
の
書
(
か
)
いた
筆先
(
ふでさき
)
は、
034
大本
(
おほもと
)
の
教祖
(
けうそ
)
のお
筆先
(
ふでさき
)
と
対照
(
たいせう
)
して
見
(
み
)
ると、
035
余程
(
よほど
)
面白
(
おもしろ
)
い
連絡
(
れんらく
)
がある。
036
其
(
その
)
筆先
(
ふでさき
)
の
大要
(
たいえう
)
は
先
(
ま
)
づザツと
左
(
さ
)
の
通
(
とほ
)
りである。
037
『
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
の
世界
(
せかい
)
は、
038
吾々
(
われわれ
)
邪神
(
じやしん
)
等
(
ら
)
の
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
、
039
跳梁
(
てうりやう
)
する
世界
(
せかい
)
であつたが、
040
愈
(
いよいよ
)
天運
(
てんうん
)
循環
(
じゆんかん
)
して、
041
吾々
(
われわれ
)
大自在天
(
だいじざいてん
)
派
(
は
)
の
世界
(
せかい
)
はモウ
済
(
す
)
んで
了
(
しま
)
つたから、
042
これからは
綾部
(
あやべ
)
の
大本
(
おほもと
)
へ
世
(
よ
)
を
流
(
なが
)
して、
043
神界
(
しんかい
)
の
一切
(
いつさい
)
の
権利
(
けんり
)
を、
044
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
に
手渡
(
てわた
)
しせなくてはならぬ』
045
といふ
意味
(
いみ
)
の
事
(
こと
)
が
沢山
(
たくさん
)
に
書
(
か
)
いてある。
046
又
(
また
)
出口
(
でぐち
)
教祖
(
けうそ
)
の
古
(
ふる
)
き
神代
(
かみよ
)
からの
因縁
(
いんねん
)
などもあらまし
書
(
か
)
き
現
(
あら
)
はしてある。
047
此
(
この
)
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
の
精霊
(
せいれい
)
が、
048
上谷
(
うへだに
)
の
幽斎
(
いうさい
)
修行場
(
しうぎやうば
)
へ
現
(
あら
)
はれて
来
(
き
)
て、
049
当年
(
たうねん
)
十八
(
じふはつ
)
才
(
さい
)
の
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
に
神懸
(
かむがかり
)
し
筆
(
ふで
)
を
取
(
と
)
らして、
050
『
此
(
この
)
世
(
よ
)
一切
(
いつさい
)
の
神界
(
しんかい
)
の
事
(
こと
)
を、
051
綾部
(
あやべ
)
の
大本
(
おほもと
)
へ
引
(
ひき
)
つがねばならぬから、
052
今度
(
こんど
)
みえた
霊学
(
れいがく
)
の
先生
(
せんせい
)
と、
053
足立
(
あだち
)
先生
(
せんせい
)
、
054
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
至急
(
しきふ
)
に
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ』
055
とスラスラと
四方
(
しかた
)
の
手
(
て
)
を
通
(
つう
)
じて
依頼文
(
いらいぶん
)
を
書
(
か
)
いた。
056
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
霊学
(
れいがく
)
上
(
じやう
)
の
参考
(
さんかう
)
の
為
(
ため
)
、
057
一
(
ひと
)
つ
研究
(
けんきう
)
して
見
(
み
)
ようと
思
(
おも
)
ひ、
058
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
直様
(
すぐさま
)
、
059
口上林
(
くちかんばやし
)
の
山奥
(
やまおく
)
の
仙人
(
せんにん
)
の
許
(
もと
)
へ
出張
(
しゆつちやう
)
する
筈
(
はず
)
であつたのが、
060
折
(
をり
)
ふし
綾部
(
あやべ
)
に
急用
(
きふよう
)
が
出来
(
でき
)
たので、
061
帰
(
かへ
)
らねばならなくなつた。
062
さうしてゐると
三日目
(
みつかめ
)
の
正午過
(
しやうごすぎ
)
に、
063
上谷
(
うへだに
)
の
修行場
(
しうぎやうば
)
から
四方
(
しかた
)
祐助
(
いうすけ
)
といふ
老爺
(
ぢい
)
サンが
慌
(
あはた
)
だしく
大本
(
おほもと
)
へ
飛
(
と
)
んで
来
(
き
)
て、
064
祐助
(
いうすけ
)
『
上田
(
うへだ
)
先生
(
せんせい
)
、
065
大変
(
たいへん
)
なことが
出来
(
でき
)
ました。
066
今
(
いま
)
の
先
(
さき
)
足立
(
あだち
)
サンと
春三
(
はるざう
)
サンが
諜
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ、
067
上田
(
うへだ
)
先生
(
せんせい
)
にかくれて、
068
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
に
会見
(
くわいけん
)
に
行
(
ゆ
)
き、
069
一切
(
いつさい
)
の
神界
(
しんかい
)
の
秘術
(
ひじゆつ
)
を
授
(
さづ
)
けて
貰
(
もら
)
ひ、
070
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
071
上田
(
うへだ
)
をアフンとさせてやらう、
072
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
十分
(
じふぶん
)
の
神力
(
しんりき
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
を
)
らねば、
073
上田
(
うへだ
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
すことが
出来
(
でき
)
ぬ。
074
これは
大秘密
(
だいひみつ
)
だから、
075
決
(
けつ
)
して
上田
(
うへだ
)
には
知
(
し
)
らしてはならぬぞ……と
云
(
い
)
つて、
076
二人
(
ふたり
)
があわてて
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
かはりました。
077
あの
人
(
ひと
)
達
(
たち
)
二人
(
ふたり
)
が、
078
先生
(
せんせい
)
に
隠
(
かく
)
れて
勝手
(
かつて
)
に
行
(
ゆ
)
くといふのは、
079
何
(
いづ
)
れ
碌
(
ろく
)
な
事
(
こと
)
ぢやありますまい。
080
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ
何
(
なに
)
かよからぬことを
企
(
たく
)
むのでせう。
081
先生
(
せんせい
)
、
082
グヅグヅして
居
(
を
)
つては
大変
(
たいへん
)
ですから、
083
サアこれから
私
(
わたし
)
が
口上林
(
くちかんばやし
)
の
山
(
やま
)
の
口
(
くち
)
まで
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しますから、
084
今
(
いま
)
から
二人
(
ふたり
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
つかけて
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい、
085
サア
早
(
は
)
よ
早
(
は
)
よ!』
086
と
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
る。
087
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
早速
(
さつそく
)
教祖
(
けうそ
)
に
面会
(
めんくわい
)
して、
088
其
(
その
)
報告
(
はうこく
)
通
(
どほ
)
りの
事
(
こと
)
を
申上
(
まをしあ
)
げると、
089
教祖
(
けうそ
)
は、
090
教祖
『そんなら
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
う、
091
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
乍
(
なが
)
ら
仙人
(
せんにん
)
に
会
(
あ
)
うて
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい』
092
と
云
(
い
)
はれた。
093
祐助
(
いうすけ
)
爺
(
ぢい
)
サンの
案内
(
あんない
)
で、
094
口上林
(
くちかんばやし
)
の
仙人
(
せんにん
)
の
居
(
を
)
るといふ
杉山
(
すぎやま
)
の
一
(
いち
)
里
(
り
)
程
(
ほど
)
手前
(
てまへ
)
まで
送
(
おく
)
られ、
095
そこから
祐助
(
いうすけ
)
爺
(
ぢい
)
サンに
地理
(
ちり
)
を
詳
(
くは
)
しく
教
(
をし
)
へられ、
096
袂
(
たもと
)
を
分
(
わか
)
ち、
097
雑草
(
ざつさう
)
の
生
(
お
)
ひ
茂
(
しげ
)
る
羊腸
(
やうちやう
)
の
小路
(
こみち
)
を
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
登
(
のぼ
)
つていつた。
098
案内
(
あんない
)
も
知
(
し
)
らぬ
草深
(
くさぶか
)
い
峻坂
(
しゆんぱん
)
を、
099
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
の
紙
(
かみ
)
に
書
(
か
)
いた、
100
そそかしい
地
(
ち
)
図
(
づ
)
を
力
(
ちから
)
に
辿
(
たど
)
り
辿
(
たど
)
りつつ、
101
心
(
こころ
)
を
先
(
さき
)
に
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
つた。
102
半
(
はん
)
里
(
り
)
ばかり
登
(
のぼ
)
つたと
思
(
おも
)
ふ
時
(
とき
)
に
路
(
みち
)
の
傍
(
かたはら
)
の
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
に
矮小
(
わいせう
)
な
小屋
(
こや
)
があつて、
103
其
(
その
)
中
(
なか
)
には
何
(
なに
)
か
二三
(
にさん
)
人
(
にん
)
の
話声
(
はなしごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
104
喜楽
(
きらく
)
は
聞
(
き
)
くともなしに、
105
小屋
(
こや
)
の
傍
(
かたはら
)
に
佇立
(
ちよりつ
)
して
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
めてゐると、
106
六十余
(
ろくじふあま
)
りの
年
(
とし
)
よりの
声
(
こゑ
)
で、
107
(老人)
『
一体
(
いつたい
)
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
を
致
(
いた
)
す
者
(
もの
)
であるならば、
108
なぜに
世間
(
せけん
)
の
義務
(
ぎむ
)
や
人情
(
にんじやう
)
を
知
(
し
)
らぬのか、
109
そんなことで
如何
(
どう
)
して
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
が
出来
(
でき
)
る、
110
口先
(
くちさき
)
計
(
ばか
)
りの
誠
(
まこと
)
で、
111
心
(
こころ
)
と
行
(
おこな
)
ひが
正反対
(
せいはんたい
)
だ。
112
衆生
(
しうじやう
)
済度
(
さいど
)
所
(
どころ
)
か、
113
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
の
済度
(
さいど
)
も
出来
(
でき
)
まいぞ。
114
僅
(
わづ
)
かに
一銭
(
いつせん
)
や
二銭
(
にせん
)
の
金
(
かね
)
が
惜
(
を
)
しいか、
115
口先
(
くちさき
)
で
甘
(
うま
)
いことをいうて、
116
信者
(
しんじや
)
から
金
(
かね
)
を
取
(
と
)
ること
許
(
ばか
)
り
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
考
(
かんが
)
へてゐる
神
(
かみ
)
商売人
(
しやうばいにん
)
だらう。
117
此
(
この
)
老人
(
らうじん
)
の
労苦
(
らうく
)
に
酬
(
むく
)
ゆることを
知
(
し
)
らぬか。
118
俺
(
わし
)
も
一旦
(
いつたん
)
それ
程
(
ほど
)
惜
(
を
)
しい
金
(
かね
)
なら
要
(
い
)
らぬと
云
(
い
)
うた
以上
(
いじやう
)
は、
119
仮令
(
たとへ
)
此
(
この
)
山奥
(
やまおく
)
でかつえて
死
(
し
)
んでもお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
の
金
(
かね
)
は
汚
(
けが
)
らはしい!』
120
とだんだん
声高
(
こわだか
)
になつて
罵
(
ののし
)
つてゐる。
121
一方
(
いつぱう
)
の
小
(
ちひ
)
さい
声
(
こゑ
)
はよく
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
れば、
122
聞覚
(
ききおぼ
)
えのある
足立
(
あだち
)
正信
(
まさのぶ
)
氏
(
し
)
の
声
(
こゑ
)
であつた。
123
足立
(
あだち
)
『オイ
爺
(
ぢい
)
サン、
124
余
(
あま
)
り
劫託
(
がふたく
)
をつくものでない。
125
山路
(
やまみち
)
の
修繕料
(
しうぜんれう
)
をくれと
云
(
い
)
つたつて、
126
どうしてそれがやれるものか。
127
どこに
修繕
(
しうぜん
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
る。
128
道草
(
みちくさ
)
一本
(
いつぽん
)
刈
(
か
)
つた
形跡
(
けいせき
)
もなし、
129
土
(
つち
)
一所
(
ひとところ
)
動
(
うご
)
かした
気配
(
けはい
)
もないぢやないか。
130
今
(
いま
)
先
(
さき
)
も
道端
(
みちばた
)
の
芒
(
すすき
)
で
足
(
あし
)
を
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
切
(
き
)
り、
131
高
(
たか
)
い
石
(
いし
)
に
躓
(
つまづ
)
いて
生爪
(
なまづめ
)
を
起
(
おこ
)
したり、
132
これ
丈
(
だけ
)
難儀
(
なんぎ
)
をして
居
(
を
)
る
旅人
(
たびびと
)
に、
133
山路
(
やまみち
)
の
修繕費
(
しうぜんひ
)
をよこせもないものだ。
134
金
(
かね
)
の
有余
(
ありあま
)
つた
気違
(
きちが
)
ひならいざ
知
(
し
)
らず、
135
こんな
山子
(
やまこ
)
のイカサマ
爺
(
ぢ
)
イの
山賊
(
さんぞく
)
みたいな
奴
(
やつ
)
には、
136
淵川
(
ふちかは
)
へすてる
金
(
かね
)
があつても、
137
勿体
(
もつたい
)
なうてやれぬワイ。
138
世間
(
せけん
)
の
人間
(
にんげん
)
をバカにするにも
程
(
ほど
)
があるぞ。
139
お
前
(
まへ
)
もよい
年
(
とし
)
しとつて、
140
よい
加減
(
かげん
)
に
改心
(
かいしん
)
をしたら
如何
(
どう
)
だ。
141
乞食
(
こじき
)
のやうな
真似
(
まね
)
をして、
142
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だ』
143
と
鼻先
(
はなさき
)
でからかつて
居
(
ゐ
)
る。
144
喜楽
(
きらく
)
はつと
其
(
その
)
矮屋
(
わいをく
)
の
入口
(
いりくち
)
を
見
(
み
)
ると、
145
『
私
(
わたし
)
は
妻子
(
さいし
)
眷族
(
けんぞく
)
も
親類
(
しんるゐ
)
もない
憐
(
あはれ
)
な
孤独者
(
ひとりもの
)
であります。
146
年
(
とし
)
は
六十七
(
ろくじふしち
)
才
(
さい
)
、
147
此
(
この
)
奥山
(
おくやま
)
へ
通
(
かよ
)
ふ
人々
(
ひとびと
)
の
為
(
ため
)
に、
148
一年中
(
いちねんぢう
)
ここに
住居
(
ぢうきよ
)
して
山路
(
やまみち
)
を
直
(
なほ
)
し、
149
往来
(
わうらい
)
のお
方
(
かた
)
の
便利
(
べんり
)
をはかつて
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
であります。
150
どうぞ
御
(
ご
)
同情
(
どうじやう
)
のあるお
方
(
かた
)
は、
151
乞食
(
こじき
)
にやると
思
(
おも
)
うて、
152
一銭
(
いつせん
)
でも
半銭
(
はんせん
)
でも
宜
(
よろ
)
しいから、
153
お
心持
(
こころもち
)
を
投
(
な
)
げてやつて
下
(
くだ
)
さい……
世界
(
せかい
)
の
慈善者
(
じぜんしや
)
さま……
年月日
(
ねんぐわつぴ
)
……
矮屋
(
わいをく
)
主人
(
しゆじん
)
』
154
と
記
(
しる
)
してある。
155
右
(
みぎ
)
の
張札
(
はりふだ
)
を
見
(
み
)
て、
156
先程
(
さきほど
)
からの
小屋
(
こや
)
の
中
(
なか
)
の
争論
(
そうろん
)
の
理由
(
りいう
)
も
略
(
ほぼ
)
推定
(
すいてい
)
することが
出来
(
でき
)
た。
157
喜楽
(
きらく
)
はよい
所
(
ところ
)
で
足立
(
あだち
)
、
158
四方
(
しかた
)
の
両人
(
りやうにん
)
に
出会
(
であ
)
うたと
打喜
(
うちよろこ
)
び、
159
直
(
ただち
)
に
其
(
その
)
小屋
(
こや
)
へ、
160
喜楽
(
きらく
)
『
御免
(
ごめん
)
下
(
くだ
)
さい』
161
と
声
(
こゑ
)
をかけて
這入
(
はい
)
り、
162
爺
(
ぢ
)
イサンに、
163
喜楽
(
きらく
)
『
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
さまで
御座
(
ござ
)
います』
164
と
云
(
い
)
つて
十銭
(
じつせん
)
銀貨
(
ぎんくわ
)
一
(
いち
)
枚
(
まい
)
を
与
(
あた
)
へた。
165
老人
(
らうじん
)
は
別
(
べつ
)
に
喜
(
よろこ
)
んだ
顔
(
かほ
)
もせず、
166
喜楽
(
きらく
)
を
見
(
み
)
て、
167
老人
(
らうじん
)
『ウンよし、
168
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
して
通
(
とほ
)
れ』
169
と
只
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
を
放
(
はな
)
つたきり、
170
穴
(
あな
)
のあく
程
(
ほど
)
喜楽
(
きらく
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
つめて
居
(
ゐ
)
たが、
171
やがて
吾
(
わが
)
膝
(
ひざ
)
をうつて、
172
『ウンウン』
173
と
何度
(
なんど
)
となく
諾
(
うなづ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
174
此
(
この
)
老人
(
らうじん
)
こそ
実
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
なものである。
175
虚構
(
きよこう
)
も
修飾
(
しうしよく
)
もない
実際話
(
じつさいばなし
)
であるから、
176
此処
(
ここ
)
に
読者
(
どくしや
)
は
注意
(
ちうい
)
して
貰
(
もら
)
ひたい。
177
要
(
えう
)
するに
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
が、
178
此
(
この
)
老人
(
らうじん
)
に
臨時
(
りんじ
)
憑依
(
ひようい
)
して、
179
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
心
(
こころ
)
を
試
(
ため
)
したのであつたと
云
(
い
)
ふことが
後
(
のち
)
に
分
(
わか
)
つて
来
(
き
)
たのである。
180
足立
(
あだち
)
、
181
四方
(
しかた
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
182
ヨモヤ
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて
来
(
こ
)
まいと
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
た
喜楽
(
きらく
)
の
姿
(
すがた
)
が、
183
眼前
(
がんぜん
)
に
現
(
あら
)
はれたのに
一寸
(
ちよつと
)
面
(
めん
)
くらつて、
184
足立
(
あだち
)
『オヽ
上田
(
うへだ
)
サンですか、
185
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
で
此
(
この
)
山路
(
やまみち
)
をどこへお
越
(
こ
)
しですか。
186
私
(
わたし
)
は
一寸
(
ちよつと
)
急用
(
きふよう
)
で
上林
(
かんばやし
)
の
某
(
ぼう
)
の
宅
(
たく
)
へ
行
(
い
)
つて
来
(
き
)
ますから、
187
マア
御
(
ご
)
ゆるりとここで
休
(
やす
)
まして
貰
(
もら
)
うて
結構
(
けつこう
)
な
御
(
お
)
話
(
はなし
)
でも
爺
(
ぢ
)
イサンから
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひなさい。
188
老人
(
としより
)
の
云
(
い
)
ふことは
身
(
み
)
の
為
(
ため
)
になりますぞ』
189
と
捨科白
(
すてぜりふ
)
を
残
(
のこ
)
し、
190
あわただしく
矮屋
(
わいをく
)
を
立
(
た
)
つて、
191
四方
(
しかた
)
と
共
(
とも
)
に
山路
(
やまみち
)
を
登
(
のぼ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
192
喜楽
(
きらく
)
はすぐ
様
(
さま
)
後
(
あと
)
追
(
お
)
つかけて
行
(
ゆ
)
かうとしてゐる
時
(
とき
)
、
193
其
(
その
)
老人
(
らうじん
)
は
袖
(
そで
)
を
引
(
ひ
)
いて、
194
老人
(
らうじん
)
『
一寸
(
ちよつと
)
お
待
(
ま
)
ちなさい、
195
愚老
(
ぐらう
)
が
近路
(
ちかみち
)
を
案内
(
あんない
)
して
上
(
あ
)
げませう』
196
ときせる
煙草
(
たばこ
)
を
一二服
(
いちにふく
)
グツと
喫
(
の
)
み、
197
老人
(
らうじん
)
『サアサアこうお
出
(
い
)
で』
198
と
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
ち、
199
老人
(
らうじん
)
にも
似
(
に
)
ず、
200
足
(
あし
)
も
軽々
(
かるがる
)
しく
仙人
(
せんにん
)
の
隠
(
かく
)
れてゐる、
201
杉山
(
すぎやま
)
の
麓
(
ふもと
)
の
谷川
(
たにがは
)
の
傍
(
そば
)
まで
送
(
おく
)
り、
202
老人
『サア
此
(
この
)
川
(
かは
)
を
向
(
むか
)
うへ
渡
(
わた
)
り、
203
右
(
みぎ
)
に
取
(
と
)
つて
一二丁
(
いちにちやう
)
進
(
すす
)
めば、
204
そこが
仙人
(
せんにん
)
の
隠
(
かく
)
れ
場所
(
ばしよ
)
だ。
205
左様
(
さやう
)
なら……』
206
と
云
(
い
)
つたきり、
207
早々
(
さうさう
)
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
208
喜楽
(
きらく
)
はよく
辷
(
すべ
)
る
谷川
(
たにがは
)
の
急流
(
きふりう
)
を
渡
(
わた
)
り、
209
樵夫
(
きこり
)
小屋
(
ごや
)
をさして
急
(
いそ
)
いだ。
210
五六丁
(
ごろくちやう
)
も
登
(
のぼ
)
つたと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
、
211
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
は
坂路
(
さかみち
)
の
中央
(
ちうあう
)
に
立
(
た
)
つて
待
(
ま
)
つてゐる。
212
そして
喜楽
(
きらく
)
に
向
(
むか
)
ひ、
213
顔色
(
かほいろ
)
を
和
(
やはら
)
げ、
214
さも
愉快
(
ゆくわい
)
げに、
215
仙人
(
せんにん
)
『アヽ
先生
(
せんせい
)
、
216
此
(
この
)
山路
(
やまみち
)
をはるばるとよく
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
てくれましたなア。
217
マアマアこちらへ
来
(
き
)
て
一服
(
いつぷく
)
なさい』
218
と
自分
(
じぶん
)
の
小
(
ちひ
)
さい
小屋
(
こや
)
へ
案内
(
あんない
)
し、
219
白湯
(
さゆ
)
を
黒
(
くろ
)
い
土瓶
(
どびん
)
から
汲
(
く
)
んですすめ、
220
いろいろと
神界
(
しんかい
)
の
秘事
(
ひじ
)
を
一夜間
(
いちやかん
)
かかつて、
221
諄々
(
じゆんじゆん
)
と
説
(
と
)
き
諭
(
さと
)
した。
222
喜楽
(
きらく
)
は
高熊山
(
たかくまやま
)
の
第一次
(
だいいちじ
)
の
修行
(
しうぎやう
)
や、
223
第二回
(
だいにくわい
)
目
(
め
)
の
修行
(
しうぎやう
)
の
時
(
とき
)
に、
224
神界
(
しんかい
)
から
見
(
み
)
せられてゐた
事実
(
じじつ
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
し、
225
符節
(
ふせつ
)
を
合
(
あは
)
すが
如
(
ごと
)
きに
益々
(
ますます
)
感
(
かん
)
じ、
226
自分
(
じぶん
)
の
信念
(
しんねん
)
はいよいよ
強
(
つよ
)
くなつて
来
(
き
)
た。
227
喜楽
(
きらく
)
は
矮屋
(
わいをく
)
の
老人
(
らうじん
)
の
親切
(
しんせつ
)
なる
案内
(
あんない
)
に
依
(
よ
)
つて、
228
恙
(
つつが
)
なく
九十九
(
つくも
)
仙人
(
せんにん
)
の
小屋
(
こや
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
229
いろいろと
有益
(
いうえき
)
な
神界
(
しんかい
)
の
経綸
(
けいりん
)
を
聞
(
き
)
かされ、
230
非常
(
ひじやう
)
に
満足
(
まんぞく
)
したが、
231
足立
(
あだち
)
、
232
四方
(
しかた
)
両人
(
りやうにん
)
の、
233
一
(
いち
)
日
(
にち
)
たつてもここへ
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ぬのに
心配
(
しんぱい
)
し
始
(
はじ
)
め、
234
仙人
(
せんにん
)
に
向
(
むか
)
つて、
235
喜楽
(
きらく
)
『
両人
(
りやうにん
)
はキツとここへ
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
だのに、
236
まだ
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せぬのは
如何
(
どう
)
なつたのでせう、
237
山奥
(
やまおく
)
へでも
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んで
居
(
ゐ
)
るのではありますまいか』
238
と
尋
(
たづ
)
ねてみた。
239
仙人
(
せんにん
)
は
笑
(
わら
)
つて
答
(
こた
)
へて
云
(
い
)
ふ。
240
仙人
(
せんにん
)
『アハヽヽヽ、
241
大変
(
たいへん
)
な
野心
(
やしん
)
を
起
(
おこ
)
し、
242
お
前
(
まへ
)
さまを
出
(
だ
)
しぬいて、
243
大切
(
たいせつ
)
なる
神秘
(
しんぴ
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
握
(
にぎ
)
らうとした、
244
腹
(
はら
)
の
黒
(
くろ
)
い
人物
(
じんぶつ
)
だから、
245
今日
(
けふ
)
も
到底
(
たうてい
)
ここへは
来
(
く
)
ることが
出来
(
でき
)
ぬやうに、
246
神界
(
しんかい
)
から
垣
(
かき
)
をされてゐるのだから、
247
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
になつたら、
248
ヤツとの
事
(
こと
)
で
来
(
く
)
るであらう。
249
憂慮
(
いうりよ
)
するには
及
(
およ
)
ばぬ。
250
天
(
てん
)
のお
宮
(
みや
)
の
一
(
いち
)
の
馬場
(
ばんば
)
のお
父
(
とう
)
様
(
さま
)
も、
251
天
(
てん
)
のお
宮
(
みや
)
の
二
(
に
)
の
馬場
(
ばんば
)
のお
父
(
とう
)
様
(
さま
)
も、
252
天
(
てん
)
のお
宮
(
みや
)
の
三
(
さん
)
の
馬場
(
ばんば
)
の
国族
(
こくぞく
)
武蔵
(
むさし
)
吉崎
(
よしざき
)
兼吉
(
かねきち
)
も、
253
皆
(
みな
)
お
前
(
まへ
)
の
体
(
たい
)
を
守
(
まも
)
り、
254
此
(
この
)
神秘
(
しんぴ
)
を
伝
(
つた
)
へむ
為
(
ため
)
に、
255
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
両人
(
りやうにん
)
が
居
(
を
)
ると
邪魔
(
じやま
)
になるから、
256
ワザとに
遅
(
おく
)
れさして
居
(
ゐ
)
るのだ』
257
といつて
微笑
(
びせう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
258
喜楽
(
きらく
)
は
仙人
(
せんにん
)
の
言
(
ことば
)
を
一伍
(
いちぶ
)
一什
(
しじふ
)
聞
(
き
)
き
終
(
をは
)
り、
259
余
(
あま
)
り
教祖
(
けうそ
)
の
筆先
(
ふでさき
)
に
符合
(
ふがふ
)
せるに
驚
(
おどろ
)
き、
260
益々
(
ますます
)
神界
(
しんかい
)
に
対
(
たい
)
して
一大
(
いちだい
)
責任
(
せきにん
)
の
身
(
み
)
にかかれることを
覚悟
(
かくご
)
し
信念
(
しんねん
)
はますます
堅
(
かた
)
くなつた。
261
一方
(
いつぱう
)
の
二人
(
ふたり
)
は
喜楽
(
きらく
)
の
先
(
せん
)
を
越
(
こ
)
さうとして、
262
却
(
かへつ
)
て
山路
(
やまみち
)
にふみ
迷
(
まよ
)
ひ、
263
濃霧
(
のうむ
)
の
為
(
ため
)
に
方向
(
はうかう
)
を
誤
(
あやま
)
り、
264
深
(
ふか
)
い
谷底
(
たにそこ
)
へ
転落
(
てんらく
)
し、
265
身体
(
しんたい
)
の
各所
(
かくしよ
)
にすり
傷
(
きず
)
さへも
負
(
お
)
ひ、
266
迷
(
まよ
)
ひ
迷
(
まよ
)
うて
漸
(
やうや
)
く
又
(
また
)
元
(
もと
)
の
老人
(
らうじん
)
の
小屋
(
こや
)
の
前
(
まへ
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
267
今度
(
こんど
)
は
老人
(
らうじん
)
に
目
(
め
)
が
剥
(
む
)
けるほど
呶鳴
(
どな
)
りつけられ、
268
ブルブル
震
(
ふる
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
269
先
(
さき
)
の
無礼
(
ぶれい
)
を
陳謝
(
ちんしや
)
し、
270
漸
(
やうや
)
く
老人
(
らうじん
)
の
怒
(
いか
)
りも
解
(
と
)
け、
271
老人
(
らうじん
)
の
好意
(
かうい
)
的
(
てき
)
案内
(
あんない
)
に
依
(
よ
)
つて、
272
夜
(
よる
)
の
十一
(
じふいち
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
漸
(
やうや
)
く
杉山
(
すぎやま
)
の
麓
(
ふもと
)
の
一軒
(
いつけん
)
の
宿屋
(
やどや
)
に
着
(
つ
)
いた。
273
其
(
その
)
夜
(
よ
)
はそこで
一泊
(
いつぱく
)
し、
274
翌日
(
よくじつ
)
早朝
(
さうてう
)
登山
(
とざん
)
して
来
(
き
)
たのである。
275
二人
(
ふたり
)
は、
276
『
余
(
あま
)
り
心得
(
こころえ
)
違
(
ちがひ
)
を
致
(
いた
)
したから、
277
神界
(
しんかい
)
から、
278
お
気付
(
きづけ
)
をされたと
喜楽
(
きらく
)
サンは
思
(
おも
)
はれるか
知
(
し
)
らぬが、
279
これも
何
(
なに
)
か
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
仕組
(
しぐみ
)
でせう』
280
と
負惜
(
まけをし
)
みの
強
(
つよ
)
い
性質
(
せいしつ
)
とて、
281
表面
(
へうめん
)
平気
(
へいき
)
を
装
(
よそほ
)
うてゐたが、
282
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
には
隠
(
かく
)
し
切
(
き
)
れぬやうな
不安
(
ふあん
)
な
血相
(
けつさう
)
が
見
(
み
)
えてゐた。
283
仙人
(
せんにん
)
は
足立
(
あだち
)
に
向
(
むか
)
ひ
厳然
(
げんぜん
)
として、
284
仙人
(
せんにん
)
『お
前
(
まへ
)
の
面部
(
めんぶ
)
には
殺気
(
さつき
)
が
現
(
あら
)
はれてゐる。
285
何
(
なん
)
となく
心中
(
しんちう
)
不穏
(
ふおん
)
だ。
286
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
惟神
(
かむながら
)
の
道
(
みち
)
に
立帰
(
たちかへ
)
つて、
287
及
(
およ
)
ばぬ
企図
(
きと
)
を
止
(
や
)
めなさい。
288
今
(
いま
)
改心
(
かいしん
)
せなくては
身
(
み
)
の
破滅
(
はめつ
)
を
招
(
まね
)
きますぞよ』
289
と
言
(
ことば
)
強
(
つよ
)
く
言
(
い
)
ひ
放
(
はな
)
ち、
290
又
(
また
)
もや
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
291
仙人
(
せんにん
)
『お
前
(
まへ
)
は
盤古
(
ばんこ
)
の
霊
(
れい
)
が
守護
(
しゆご
)
して
居
(
ゐ
)
る。
292
甚
(
はなはだ
)
面白
(
おもしろ
)
くない、
293
お
前
(
まへ
)
の
大望
(
たいまう
)
は、
294
丁度
(
ちやうど
)
猿猴
(
ゑんこう
)
が
水
(
みづ
)
の
月
(
つき
)
を
捉
(
とら
)
へむとするやうなものだ。
295
今
(
いま
)
に
改
(
あらた
)
めなくてはキツと
身
(
み
)
を
亡
(
ほろ
)
ぼすことが
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るぞ。
296
今日
(
こんにち
)
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
良心
(
りやうしん
)
に
立
(
た
)
ち
復
(
かへ
)
り、
297
一心
(
いつしん
)
に
真心
(
まごころ
)
を
以
(
もつ
)
て
神界
(
しんかい
)
に
仕
(
つか
)
へなさい。
298
さうすれば
昔
(
むかし
)
からの
霊
(
みたま
)
の
深
(
ふか
)
い
罪科
(
つみとが
)
を
赦
(
ゆる
)
された
上
(
うへ
)
、
299
天晴
(
あつぱ
)
れ
神界
(
しんかい
)
の
御用
(
ごよう
)
に
使
(
つか
)
つて
貰
(
もら
)
へるであらう。
300
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
の
心
(
こころ
)
では
駄目
(
だめ
)
だ。
301
早
(
はや
)
く
改
(
あらた
)
めないと、
302
災
(
わざはい
)
忽
(
たちま
)
ち
其
(
その
)
身
(
み
)
に
至
(
いた
)
る
凶徴
(
きようちよう
)
が、
303
お
前
(
まへ
)
の
顔
(
かほ
)
に
現
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
る。
304
此
(
この
)
仙人
(
せんにん
)
の
云
(
い
)
ふことをゆめゆめ
疑
(
うたが
)
ふこと
勿
(
なか
)
れ』
305
ときめつける
様
(
やう
)
に
言
(
い
)
つた。
306
二人
(
ふたり
)
は
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
をして
一言
(
いちごん
)
もよう
答
(
こた
)
へず、
307
体
(
からだ
)
をビリビリと
震
(
ふる
)
はせて
居
(
ゐ
)
た。
308
仙人
(
せんにん
)
は
更
(
あらた
)
めて
言
(
い
)
ふ。
309
仙人
(
せんにん
)
『いよいよ
時節
(
じせつ
)
到来
(
たうらい
)
して、
310
自分
(
じぶん
)
の
役目
(
やくめ
)
は
今日
(
こんにち
)
を
以
(
もつ
)
て
終
(
をは
)
りをつげた。
311
明日
(
あす
)
からは
人界
(
じんかい
)
へ
下
(
くだ
)
つて、
312
人場
(
ひとば
)
の
勤
(
つと
)
めに
従
(
したが
)
ひ、
313
余生
(
よせい
)
を
送
(
おく
)
りませう。
314
神場
(
かみば
)
の
用
(
よう
)
は
今日
(
けふ
)
で
終結
(
しうけつ
)
だから、
315
再
(
ふたた
)
び
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
て
貰
(
もら
)
つても
最早
(
もはや
)
駄目
(
だめ
)
だ。
316
左様
(
さやう
)
なら……』
317
と
云
(
い
)
ひすて、
318
大鋸
(
おほのこぎり
)
を
肩
(
かた
)
にひつかけ、
319
山奥
(
やまおく
)
深
(
ふか
)
く
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
没
(
ぼつ
)
した
限
(
き
)
り、
320
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
ないので、
321
やむを
得
(
え
)
ず、
322
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
帰途
(
きと
)
に
就
(
つ
)
いた。
323
これから
以後
(
いご
)
の
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
は
盤古
(
ばんこ
)
の
悪霊
(
あくれい
)
に
憑依
(
ひようい
)
され、
324
邪心
(
じやしん
)
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
に
募
(
つの
)
りて
喜楽
(
きらく
)
を
排斥
(
はいせき
)
し、
325
其
(
その
)
後
(
ご
)
の
御用
(
ごよう
)
を
勤
(
つと
)
めむと
数多
(
あまた
)
の
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
を
籠絡
(
ろうらく
)
し、
326
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
たが、
327
一
(
いち
)
年
(
ねん
)
たつた
後
(
のち
)
に、
328
仙人
(
せんにん
)
の
云
(
い
)
ふた
如
(
ごと
)
く、
329
大変
(
たいへん
)
な
神罰
(
しんばつ
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
悶死
(
もんし
)
するに
至
(
いた
)
つた。
330
実
(
じつ
)
に
慎
(
つつし
)
むべきは
慢心
(
まんしん
)
と
取違
(
とりちがひ
)
とである。
331
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
332
(
大正一一・一〇・一四
旧八・二四
松村真澄
録)
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