霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サイトをリニューアルしました。不具合がある場合は
従来バージョン
をお使い下さい|
サブスク
のお知らせ
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第38巻(丑の巻)
> 第5篇 正信妄信 > 第24章 呪の釘
<<< 狐狸狐狸
(B)
(N)
雑草 >>>
第二四章
呪
(
のろひ
)
の
釘
(
くぎ
)
〔一〇六一〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第5篇 正信妄信
よみ(新仮名遣い):
せいしんぼうしん
章:
第24章 呪の釘
よみ(新仮名遣い):
のろいのくぎ
通し章番号:
1061
口述日:
1922(大正11)年10月18日(旧08月28日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
明治三十三年八月下旬、元治郎が危篤との知らせを受けて郷里の穴太に帰った。鎮魂をしてみると、産土の小幡神社に呪い釘が打ってあり、それを抜き取るようにとの御告げがあった。
行ってみると果たして、実際に小幡神社の杉の木に釘が打ってあったので抜き取った。村の衛生係は猩紅熱だと言ったが、実際に釘を抜くことで元治郎の容態はとても良くなり、見舞いに来ていた人たちも神徳の広大無辺なことに驚いた。
元治郎は喜楽の留守宅で鍛冶屋を営んでいたが、同業者に恨まれてしまった。下男の幸之助は元治郎を恨む鍛冶職人たちに頼まれて、呪い釘を打ち、元治郎を呪い殺そうとしたのであった。
幸之助は会長に呪い釘のことを見透かされ、恐ろしくなって夜のうちに家族を連れて逐電してしまった。
元治郎はこの件がきっかけで博奕をやめて神様を拝む心になり、最後には神の道を宣伝するようになった。
それから喜楽の祖母が八十八歳で亡くなり、また百日祭の後には火事があって家が焼けた。喜楽は火事のことは神様に知らされていたので、村の他家から預かっていた農具を別の小屋にしまっておくように注意しておいた。そのおかげで預かった農具にはまったく被害がなかった。
喜楽の母と兄弟は二三年綾部に来ていたが、役員の反対がきつく、あるとき小松林の母親だからという理由で蹴り倒され、折よくそこへ帰ってきた西田に介抱されてようやく息を吹き返したということがあった。
母はたいへんに怒ってしまいには穴太へ帰ってしまった。そのとき役員は迷信上からやったことで、決して悪いことをしたとは思っていなかった。お道のため、世界のためになることだと固く信じて、喜楽の母の横腹を蹴って気絶させるようなことをして、得々としていたのである。
実に、迷信ほど恐ろしいものはないのである。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-11 09:17:03
OBC :
rm3824
愛善世界社版:
252頁
八幡書店版:
第7輯 254頁
修補版:
校定版:
258頁
普及版:
134頁
初版:
ページ備考:
001
明治
(
めいぢ
)
卅三
(
さんじふさん
)
年
(
ねん
)
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
下旬
(
げじゆん
)
の
事
(
こと
)
であつた。
002
会長
(
くわいちやう
)
は
大本
(
おほもと
)
に
在
(
あ
)
つていろいろと
一心
(
いつしん
)
に
教典
(
けうてん
)
を
執筆
(
しつぴつ
)
してゐる
時
(
とき
)
、
003
郷里
(
きやうり
)
の
穴太
(
あなを
)
から……
元治郎
(
もとぢらう
)
危篤
(
きとく
)
すぐ
帰
(
かへ
)
れ……といふ
電報
(
でんぱう
)
がついたので、
004
直
(
すぐ
)
に
教祖
(
けうそ
)
に
其
(
そ
)
の
由
(
よし
)
を
申上
(
まをしあ
)
げた。
005
教祖
(
けうそ
)
は
早速
(
さつそく
)
に
神
(
かみ
)
さまにお
伺
(
うかが
)
ひになり、
006
教祖
(
けうそ
)
『
余程
(
よほど
)
の
大病
(
たいびやう
)
ぢやそうですから、
007
早
(
はや
)
う
行
(
い
)
つて
助
(
たす
)
けて
上
(
あ
)
げなされ、
008
元
(
もと
)
ハンもこれで
改心
(
かいしん
)
が
出来
(
でき
)
て、
009
反対
(
はんたい
)
をせんよにならはりませう』
010
との
言
(
ことば
)
に
早速
(
さつそく
)
草鞋
(
わらぢ
)
脚絆
(
きやはん
)
に
身
(
み
)
を
固
(
かた
)
め、
011
木下
(
きのした
)
慶太郎
(
けいたらう
)
氏
(
し
)
をつれて、
012
翌早朝
(
よくさうてう
)
から
竜宮館
(
りうぐうやかた
)
を
立出
(
たちい
)
で、
013
十四
(
じふよ
)
里
(
り
)
に
余
(
あま
)
る
山路
(
やまみち
)
を
辿
(
たど
)
りつつ
其
(
その
)
日
(
ひ
)
の
黄昏時
(
たそがれどき
)
に
漸
(
やうや
)
く
穴太
(
あなを
)
の
自宅
(
じたく
)
に
着
(
つ
)
いた。
014
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
二人
(
ふたり
)
共
(
とも
)
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れで
前後
(
ぜんご
)
も
知
(
し
)
らずに
寝
(
ね
)
て
了
(
しま
)
つた。
015
翌朝
(
よくてう
)
早
(
はや
)
く
起
(
おき
)
て
病人
(
びやうにん
)
は
如何
(
どう
)
かと
調
(
しら
)
べてみるに、
016
手
(
て
)
もつけられぬやうな
熱
(
ねつ
)
と
痛
(
いたみ
)
の
為
(
ため
)
に、
017
一寸
(
ちよつと
)
も
身動
(
みうご
)
きならずウンウンと
唸
(
うな
)
り
声
(
ごゑ
)
を
立
(
た
)
てて
苦
(
くるし
)
んでゐる。
018
直
(
ただち
)
に
神前
(
しんぜん
)
に
向
(
む
)
かつて
元治郎
(
もとぢらう
)
の
病気
(
びやうき
)
平癒
(
へいゆ
)
を
祈願
(
きぐわん
)
した。
019
さうすると
喜楽
(
きらく
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
なか
)
から、
020
固
(
かた
)
まりがゴロゴロと
上
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
て、
021
喜楽
(
きらく
)
『
此
(
この
)
病
(
やまひ
)
は
商売敵
(
しやうばいがたき
)
で
十五
(
じふご
)
人
(
にん
)
の
鍛冶屋
(
かぢや
)
の
団体
(
だんたい
)
から
呪
(
のろ
)
はれてゐるのだから、
022
これからすぐに
産土
(
うぶすな
)
さまへ
参拝
(
さんぱい
)
して
見
(
み
)
よ。
023
お
宮
(
みや
)
の
裏
(
うら
)
の
二本
(
にほん
)
の
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
に、
024
元治郎
(
もとぢらう
)
の
姿
(
すがた
)
を
画
(
ゑが
)
き、
025
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
七本
(
しちほん
)
の
釘
(
くぎ
)
がうつてあるから、
026
早
(
はや
)
う
行
(
い
)
つて
其
(
その
)
釘
(
くぎ
)
を
抜
(
ぬ
)
き
取
(
と
)
り、
027
其
(
その
)
釘跡
(
くぎあと
)
につき
立
(
たて
)
の
餅
(
もち
)
をうめておいたら、
028
此
(
この
)
病気
(
びやうき
)
はキツと
直
(
なほ
)
る』
029
との
事
(
こと
)
であつた。
030
かくと
聞
(
き
)
いた
傍
(
かたはら
)
の
人
(
ひと
)
は
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
体
(
てい
)
で、
031
会長
(
くわいちやう
)
の
顔
(
かほ
)
をポカンとして
見
(
み
)
つめて
居
(
ゐ
)
た。
032
弟
(
おとうと
)
の
幸吉
(
かうきち
)
と
木下
(
きのした
)
慶太郎
(
けいたらう
)
氏
(
し
)
と
下男
(
げなん
)
の
幸之助
(
かうのすけ
)
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が、
033
神
(
かみ
)
のお
告
(
つげ
)
のままに、
034
直様
(
すぐさま
)
産土
(
うぶすな
)
の
小幡
(
をばた
)
神社
(
じんじや
)
に
至
(
いた
)
り
捜
(
さが
)
してみれば、
035
果
(
はた
)
して
二本
(
にほん
)
の
大杉
(
おほすぎ
)
に
五寸
(
ごすん
)
位
(
ぐらゐ
)
の
釘
(
くぎ
)
が
八本
(
はちほん
)
づつ
打込
(
うちこ
)
んである
事
(
こと
)
を
発見
(
はつけん
)
し、
036
直
(
ただち
)
に
釘
(
くぎ
)
を
抜
(
ぬ
)
き
取
(
と
)
つて
急
(
いそ
)
いで
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
037
そこへ
村
(
むら
)
の
衛生係
(
えいせいがかり
)
が
巡査
(
じゆんさ
)
と
医者
(
いしや
)
をつれて
入来
(
いりきた
)
り、
038
『
此
(
この
)
病気
(
びやうき
)
は
猩紅熱
(
しやうこうねつ
)
だから、
039
伝染
(
でんせん
)
する
虞
(
おそれ
)
がある、
040
今
(
いま
)
すぐに
予防
(
よばう
)
の
手当
(
てあて
)
をしなくてはならぬ、
041
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
たちは
家
(
いへ
)
を
一歩
(
いつぽ
)
も
出
(
で
)
てはならぬ』
042
ときびしく
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
した。
043
其
(
その
)
当時
(
たうじ
)
は
村中
(
むらぢう
)
に
猩紅熱
(
しやうこうねつ
)
が
流行
(
りうかう
)
して、
044
どこの
家
(
いへ
)
にも
二人
(
ふたり
)
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
患者
(
くわんじや
)
が
唸
(
うな
)
つてゐたのだから、
045
医者
(
いしや
)
も
猩紅熱
(
しやうこうねつ
)
と
診察
(
しんさつ
)
したのであつた。
046
会長
(
くわいちやう
)
も
二三
(
にさん
)
年
(
ねん
)
計
(
ばか
)
り
医学
(
いがく
)
を
研究
(
けんきう
)
した
事
(
こと
)
があつたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
047
病理
(
びやうり
)
上
(
じやう
)
から
伝染病
(
でんせんびやう
)
でない
事
(
こと
)
を
説明
(
せつめい
)
し、
048
これはきつと
生霊
(
いきりやう
)
の
祟
(
たた
)
りだといふ
事
(
こと
)
を
主張
(
しゆちやう
)
した。
049
医者
(
いしや
)
等
(
ら
)
は
嘲笑
(
あざわら
)
うて、
050
『
此
(
この
)
開
(
ひら
)
けた
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に、
051
生霊
(
いきりやう
)
の
祟
(
たた
)
りなどといふ
事
(
こと
)
があるものか』
052
と
一笑
(
いつせう
)
に
附
(
ふ
)
して
聞入
(
ききい
)
れぬ。
053
会長
(
くわいちやう
)
は
熱心
(
ねつしん
)
に
霊的
(
れいてき
)
の
作用
(
さよう
)
を
説
(
と
)
き、
054
且
(
かつ
)
抜
(
ぬ
)
いて
来
(
き
)
た
其
(
その
)
釘
(
くぎ
)
を
見
(
み
)
せて
証拠
(
しようこ
)
とした。
055
医者
(
いしや
)
を
始
(
はじ
)
め
巡査
(
じゆんさ
)
衛生係
(
えいせいがかり
)
は
半信
(
はんしん
)
半疑
(
はんぎ
)
の
体
(
てい
)
で
一先
(
ひとま
)
づ
引取
(
ひきと
)
つて
了
(
しま
)
つた。
056
不思議
(
ふしぎ
)
にも
今
(
いま
)
まで
苦悶
(
くもん
)
してゐた
元治郎
(
もとぢらう
)
は、
057
社内
(
しやない
)
の
杉
(
すぎ
)
から
釘
(
くぎ
)
を
一本
(
いつぽん
)
一本
(
いつぽん
)
ぬき
取
(
と
)
ると
同時刻
(
どうじこく
)
に
体
(
からだ
)
の
中
(
なか
)
が
涼
(
すず
)
しく
覚
(
おぼ
)
え、
058
やがて
全部
(
ぜんぶ
)
の
釘
(
くぎ
)
をぬき
取
(
と
)
ると
同時
(
どうじ
)
に、
059
やがて
熱
(
ねつ
)
も
痛
(
いたみ
)
も
拭
(
ぬぐ
)
ふが
如
(
ごと
)
く
去
(
さ
)
り、
060
今
(
いま
)
まで
身動
(
みうご
)
きだに
出来
(
でき
)
なんだ
者
(
もの
)
が、
061
俄
(
にはか
)
に
起上
(
おきあが
)
つて
喜
(
よろこ
)
び
勇
(
いさ
)
み、
062
もうこれなら
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だと
泣
(
な
)
き
笑
(
わら
)
ひをした。
063
ここに
始
(
はじ
)
めて
見舞
(
みまひ
)
に
来
(
き
)
てゐた
人
(
ひと
)
も
神徳
(
しんとく
)
の
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
なるに
驚
(
おどろ
)
いた。
064
元治郎
(
もとぢらう
)
は
喜楽
(
きらく
)
の
不在宅
(
るすたく
)
で
鍛冶屋
(
かぢや
)
を
職業
(
しよくげう
)
としてゐたが、
065
下男
(
げなん
)
の
幸之助
(
かうのすけ
)
は
沢山
(
たくさん
)
の
鍛冶
(
かぢ
)
職人
(
しよくにん
)
から
頼
(
たの
)
まれて、
066
氏神
(
うぢがみ
)
の
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
に
元治郎
(
もとぢらう
)
の
姿
(
すがた
)
をかき、
067
釘
(
くぎ
)
を
打込
(
うちこ
)
んで
呪
(
のろ
)
ひ
殺
(
ころ
)
さうとしたのであつた。
068
それを
神
(
かみ
)
さまの
霊眼
(
れいがん
)
に
依
(
よ
)
つて
発見
(
はつけん
)
し、
069
病気
(
びやうき
)
が
直
(
なほ
)
つたのだから、
070
俄
(
にはか
)
に
会長
(
くわいちやう
)
が
恐
(
おそろ
)
しうなり、
071
自分
(
じぶん
)
の
罪
(
つみ
)
が
発覚
(
はつかく
)
せむ
事
(
こと
)
を
恐
(
おそ
)
れて、
072
其
(
その
)
夜
(
よ
)
の
中
(
うち
)
に
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
と
共
(
とも
)
に
何処
(
どこ
)
ともなく
逐電
(
ちくでん
)
して
了
(
しま
)
つた。
073
あとにて
聞
(
き
)
けば
幸之助
(
かうのすけ
)
は
紀州
(
きしう
)
の
故郷
(
こきやう
)
へ
帰
(
かへ
)
ると
共
(
とも
)
に
元治郎
(
もとぢらう
)
と
同
(
おな
)
じ
重病
(
ぢうびやう
)
にかかり、
074
大変
(
たいへん
)
に
苦
(
くるし
)
んだと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
であつた。
075
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
穴太
(
あなを
)
に
逗留
(
とうりう
)
してゐると、
076
近所
(
きんじよ
)
の
熱心
(
ねつしん
)
な
人
(
ひと
)
が
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
て、
077
いろいろと
病気
(
びやうき
)
の
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
を
頼
(
たの
)
むので
鎮魂
(
ちんこん
)
をし、
078
難病
(
なんびやう
)
を
癒
(
なほ
)
してゐた。
079
やがて
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
らうとする
時
(
とき
)
、
080
元治郎
(
もとぢらう
)
に、
081
喜楽
(
きらく
)
『お
前
(
まへ
)
は
神
(
かみ
)
さまの
思召
(
おぼしめし
)
に
依
(
よ
)
つて、
082
こんな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
うたのだから、
083
キツと
幸之助
(
かうのすけ
)
を
恨
(
うら
)
めてはならぬぞ、
084
一日
(
いちじつ
)
も
早
(
はや
)
く
真心
(
まごころ
)
に
立帰
(
たちかへ
)
つて、
085
神
(
かみ
)
さまの
御恵
(
みめぐみ
)
を
享
(
う
)
けるよに
祈
(
いの
)
つてやれ、
086
幸之助
(
かうのすけ
)
が
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
いのではない、
087
余
(
あま
)
りお
前
(
まへ
)
の
我
(
が
)
が
強
(
つよ
)
いから、
088
大勢
(
おほぜい
)
の
同職人
(
どうしよくにん
)
に
憎
(
にく
)
まれたのだ、
089
お
前
(
まへ
)
もこれから
病気
(
びやうき
)
が
直
(
なほ
)
つたら、
090
心
(
こころ
)
を
入
(
い
)
れかへて
信神
(
しんじん
)
をせい』
091
といつて
木下
(
きのした
)
と
共
(
とも
)
に
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
となつた。
092
そして
帰
(
かへ
)
りがけに
重
(
かさ
)
ねて、
093
喜楽
(
きらく
)
『お
前
(
まへ
)
の
病気
(
びやうき
)
は
呪
(
のろ
)
ひ
釘
(
くぎ
)
をぬいたのだから、
094
一旦
(
いつたん
)
は
全快
(
ぜんくわい
)
したやうであるけれど、
095
お
前
(
まへ
)
の
罪
(
つみ
)
は
消
(
き
)
えてをらぬから、
096
再
(
ふたたび
)
悩
(
なや
)
みが
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るだろ、
097
しかし
命
(
いのち
)
には
別状
(
べつじやう
)
ないから
安心
(
あんしん
)
せい、
098
二月
(
ふたつき
)
計
(
ばか
)
りは
苦
(
くる
)
しいが、
099
それを
越
(
こ
)
えたら
元
(
もと
)
の
体
(
からだ
)
になるだらう』
100
というておいた。
101
其
(
その
)
後
(
ご
)
又
(
また
)
もや
体
(
からだ
)
がそこら
中
(
ぢう
)
がウヅき
出
(
だ
)
し、
102
腰
(
こし
)
のあたりが
腫
(
は
)
れて、
103
再
(
ふたたび
)
身動
(
みうご
)
きもならぬ
様
(
やう
)
になり、
104
困
(
こま
)
つてゐたが
六十
(
ろくじふ
)
日目
(
にちめ
)
の
夜
(
よ
)
、
105
二三升
(
にさんぜう
)
の
膿汁
(
うみ
)
が
腰
(
こし
)
の
腫物
(
はれもの
)
からはぢけ
出
(
だ
)
し、
106
始
(
はじ
)
めて
病気
(
びやうき
)
が
全快
(
ぜんくわい
)
した。
107
今
(
いま
)
まで
信神
(
しんじん
)
の
嫌
(
いや
)
であつた
元治郎
(
もとぢらう
)
もこれより
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
の
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
を
悟
(
さと
)
り、
108
今
(
いま
)
までのバクチを
止
(
や
)
めて
朝晩
(
あさばん
)
神
(
かみ
)
さまを
拝
(
をが
)
む
心
(
こころ
)
になり、
109
とうとう
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
を
宣伝
(
せんでん
)
するやうになつたのである。
110
それから
八十八
(
はちじふはつ
)
歳
(
さい
)
になつた
喜楽
(
きらく
)
の
祖母
(
そぼ
)
が
亡
(
な
)
くなり、
111
百日祭
(
ひやくにちさい
)
をすました
翌日
(
よくじつ
)
家
(
いへ
)
が
焼
(
や
)
けて
了
(
しま
)
つたので
112
、
113
母
(
はは
)
と
共
(
とも
)
に
家族
(
かぞく
)
一同
(
いちどう
)
が、
114
一先
(
ひとま
)
ず
綾部
(
あやべ
)
へ
引
(
ひ
)
つ
越
(
こ
)
して
来
(
く
)
ることとなつたのである。
115
自宅
(
じたく
)
の
焼
(
や
)
ける
事
(
こと
)
は
二三
(
にさん
)
年前
(
ねんまへ
)
から、
116
神
(
かみ
)
さまに
知
(
し
)
らされてゐた。
117
それ
故
(
ゆゑ
)
に
何時
(
いつ
)
も
元吉
(
もときち
)
に
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けて
村々
(
むらむら
)
の
百姓
(
ひやくしやう
)
から、
118
修繕
(
しうぜん
)
の
為
(
ため
)
に
預
(
あづか
)
つて
来
(
き
)
た
農具
(
のうぐ
)
を、
119
別
(
べつ
)
の
小屋
(
こや
)
の
中
(
なか
)
へしまつておけと
云
(
い
)
つておいたお
蔭
(
かげ
)
で、
120
上田家
(
うへだけ
)
の
物
(
もの
)
は
何
(
なに
)
もかも
残
(
のこ
)
らず
焼
(
や
)
けて
了
(
しま
)
つたが、
121
預
(
あづか
)
つた
農具
(
のうぐ
)
は
少
(
すこ
)
しも
焼
(
や
)
けなかつたのは
不幸中
(
ふかうちう
)
の
幸
(
さいはひ
)
であつた。
122
家
(
いへ
)
の
焼
(
や
)
ける
前
(
まへ
)
の
日
(
ひ
)
、
123
西田
(
にしだ
)
は
弟
(
おとうと
)
の
幸吉
(
かうきち
)
と
綾部
(
あやべ
)
へ
一度
(
いちど
)
参
(
まゐ
)
つて
来
(
こ
)
うと、
124
相談
(
さうだん
)
をきめ、
125
家
(
いへ
)
に
寝
(
ね
)
てゐると、
126
喜楽
(
きらく
)
が
黒木綿
(
くろもめん
)
の
紋付
(
もんつき
)
羽織
(
はおり
)
を
着
(
き
)
て
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
127
火
(
ひ
)
の
用心
(
ようじん
)
が
悪
(
わる
)
いから、
128
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
どこへも
出
(
で
)
るなと
云
(
い
)
つたと
思
(
おも
)
へば
夢
(
ゆめ
)
であつた。
129
又
(
また
)
母
(
はは
)
の
耳
(
みみ
)
へ、
130
どこからともなく、
131
火事
(
くわじ
)
があるから
気
(
き
)
をつけ、
132
どこへも
行
(
ゆ
)
くなと
云
(
い
)
ふ
声
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えたので、
133
不思議
(
ふしぎ
)
がつて
注意
(
ちうい
)
をしてゐた
所
(
ところ
)
、
134
俄
(
にはか
)
に
仏壇
(
ぶつだん
)
の
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
から
火
(
ひ
)
が
出
(
で
)
て、
135
丸焼
(
まるや
)
けになつて
了
(
しま
)
うたのである。
136
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
王子
(
わうじ
)
の
栗山
(
くりやま
)
のおことハンが
綾部
(
あやべ
)
へ
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
たので、
137
帰
(
かへ
)
りがけに
手紙
(
てがみ
)
を
書
(
か
)
いて、
138
亀岡
(
かめをか
)
の
古世
(
こせ
)
の
岩崎
(
いはさき
)
といふ
伯母
(
をば
)
の
内
(
うち
)
へ
言
(
こと
)
づて、
139
穴太
(
あなを
)
が
焼
(
や
)
け
相
(
さう
)
なから
気
(
き
)
をつけて
貰
(
もら
)
ひたいというてやつた。
140
伯母
(
をば
)
は
一
(
いち
)
日
(
にち
)
二日
(
ふつか
)
グヅグヅしてゐる
内
(
うち
)
に
穴太
(
あなを
)
が
焼
(
や
)
け、
141
穴太
(
あなを
)
から
行
(
い
)
つてみると、
142
喜楽
(
きらく
)
の
手紙
(
てがみ
)
が
来
(
き
)
てゐるので、
143
驚
(
おどろ
)
いたといふ
事
(
こと
)
があつた。
144
母
(
はは
)
及
(
および
)
弟妹
(
きやうだい
)
は
二三
(
にさん
)
年
(
ねん
)
綾部
(
あやべ
)
に
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
たが、
145
余
(
あま
)
り
元
(
もと
)
の
役員
(
やくゐん
)
の
反対
(
はんたい
)
がきつく、
146
小松林
(
こまつばやし
)
の
親
(
おや
)
ぢやというて
虐待
(
ぎやくたい
)
をされ、
147
しまひには
役員
(
やくゐん
)
に
蹴
(
け
)
り
倒
(
たふ
)
されて
息
(
いき
)
が
止
(
と
)
まり、
148
折
(
をり
)
よく
西田
(
にしだ
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
介抱
(
かいほう
)
して、
149
息
(
いき
)
を
吹
(
ふ
)
き
返
(
かへ
)
したといふやうな
塩梅
(
あんばい
)
で、
150
母
(
はは
)
は
大変
(
たいへん
)
に
怒
(
おこ
)
つて、
151
一生
(
いつしやう
)
綾部
(
あやべ
)
の
方
(
はう
)
向
(
む
)
いて
小便
(
せうべん
)
もこかぬと
云
(
い
)
つて、
152
明治
(
めいぢ
)
卅五
(
さんじふご
)
年
(
ねん
)
の
秋
(
あき
)
一先
(
ひとま
)
づ
園部
(
そのべ
)
まで
引上
(
ひきあ
)
げ、
153
それから
卅六
(
さんじふろく
)
年
(
ねん
)
には、
154
元
(
もと
)
の
穴太
(
あなを
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
了
(
しま
)
うたのである。
155
併
(
しか
)
し
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
役員
(
やくゐん
)
は
或
(
ある
)
迷信
(
めいしん
)
上
(
じやう
)
から
行
(
や
)
つたことで、
156
決
(
けつ
)
して
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
とは
夢
(
ゆめ
)
にも
思
(
おも
)
うてゐなかつたのである。
157
御
(
お
)
道
(
みち
)
の
為
(
ため
)
世界
(
せかい
)
の
為
(
ため
)
になることだと
固
(
かた
)
く
信
(
しん
)
じて、
158
喜楽
(
きらく
)
の
母
(
はは
)
の
横腹
(
よこばら
)
まで
蹴
(
け
)
つて
気絶
(
きぜつ
)
さすやうな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はし
得々
(
とくとく
)
として
居
(
ゐ
)
たのであつた。
159
実
(
じつ
)
に
迷信
(
めいしん
)
程
(
ほど
)
恐
(
おそろ
)
しいものはないのである。
160
(
大正一一・一〇・一八
旧八・二八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 狐狸狐狸
(B)
(N)
雑草 >>>
霊界物語
>
舎身活躍(第37~48巻)
>
第38巻(丑の巻)
> 第5篇 正信妄信 > 第24章 呪の釘
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第24章 呪の釘|第38巻|舎身活躍|霊界物語|/rm3824】
合言葉「みろく」を入力して下さい→