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霊界物語
舎身活躍(第37~48巻)
第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
第1章 道すがら
第2章 吉崎仙人
第3章 帰郷
第4章 誤親切
第5章 三人組
第6章 曲の猛
第7章 火事蚊
第2篇 光風霽月
第8章 三ツ巴
第9章 稍安定
第10章 思ひ出(一)
第11章 思ひ出(二)
第12章 思ひ出(三)
第3篇 冒険神験
第13章 冠島
第14章 沓島
第15章 怒濤
第16章 禁猟区
第17章 旅装
第4篇 霊火山妖
第18章 鞍馬山(一)
第19章 鞍馬山(二)
第20章 元伊勢
第5篇 正信妄信
第21章 凄い権幕
第22章 難症
第23章 狐狸狐狸
第24章 呪の釘
第25章 雑草
第26章 日の出
第27章 仇箒
第28章 金明水
余白歌
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霊界物語
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舎身活躍(第37~48巻)
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第38巻(丑の巻)
> 第1篇 千万無量 > 第6章 曲の猛
<<< 三人組
(B)
(N)
火事蚊 >>>
第六章
曲
(
まが
)
の
猛
(
たけび
)
〔一〇四三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻
篇:
第1篇 千万無量
よみ(新仮名遣い):
せんまんむりょう
章:
第6章 曲の猛
よみ(新仮名遣い):
まがのたけび
通し章番号:
1043
口述日:
1922(大正11)年10月14日(旧08月24日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年4月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
そして、教祖様の言として、上田は結構な御魂を邪神界の神だと言って霊縛をかけたり神界の邪魔ばかりするので、綾部に帰れないようにするのだとおっしゃった。すると大雨で和知川の水があふれ、橋が流されてしまったのも、まったくご神徳のなせる業だと、懇々と説き聞かせ、自分に忠告するのであった。
自分は相当教育もある人たちが、こんなことを信じてわざわざ自分に言って聞かせるために綾部からやってきたことに呆れていた。
足立氏らと入れ違いに、出口澄子がやってきて、福島寅之助や四方春蔵らの神がかりが無茶苦茶に荒れ狂って上田先生の悪口を言い、信者たちがそれを信じ切ってしまっている、と注進に来た。教祖様は何事も神様に任すがよいと言って静観しているが、自分に早く綾部に帰ってもらい、一同の目を覚まして欲しいという。
また祐助爺さんがやってきて、綾部は福島らの神がかり騒ぎで町中の人が野次馬に集まり、しまいには野次馬の中で喧嘩が始まり、車引きの人足がご神前に土足のまま暴れまわって見物人がますます面白がり、困り果てていると報告した。
祐助爺さんは、また信者たちが教祖様の財産を食い物にして、日清戦争に出征した教祖様の息子・清吉さんの恩給もすっかり食いつぶし、それでいてお賽銭も入れず会計もせずに、神がかりだの霊眼だのにかまけていると嘆いた。
喜楽は半紙に爺さんの苦労を慰める狂歌を書いて渡すと、爺さんはありがたく押し頂いて懐に入れて帰った。二三日後、また祐助爺さんがやってきて、大切そうに牛人の金神からの筆先だとうやうやしく差し出す。
喜楽は、爺さんの眼を覚ますために、目の前で筆先を引き破った。爺さんは驚いたが、喜楽は爺さんに、金神からもらった扇子を破ってみろ、と進めた。爺さんは扇子を引き破ったが、罰が当たる気配もないので、また狂乱した村上房之助の神がかりに騙された、と怒った。
喜楽は祐助爺さんと一緒に綾部に帰った。大広間は信者があふれ、外には見物人がごった返してちょっとした騒ぎになっている。村上房之助に何者かが憑依して、信者におかしな命令をなしてたぶらかしていた。
神がかりの村上は自分を見るなり、扇子に何か書いたものをもったいぶって差し出したので、喜楽は一同の目を覚ますちょうとよい機会だと、扇子で村上の顔をたたいた。
奥からは四方春蔵ら三人が、喜楽に神罰を当てろと細い声で叫んでいる。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-31 14:13:07
OBC :
rm3806
愛善世界社版:
55頁
八幡書店版:
第7輯 177頁
修補版:
校定版:
55頁
普及版:
27頁
初版:
ページ備考:
001
四方
(
しかた
)
源之助
(
げんのすけ
)
、
002
西村
(
にしむら
)
文右衛門
(
ぶんうゑもん
)
の
両氏
(
りやうし
)
は、
003
喜楽
(
きらく
)
のすすむる
茶
(
ちや
)
を
飲
(
の
)
み
乍
(
なが
)
ら、
004
又
(
また
)
話
(
はなし
)
を
続
(
つづ
)
けられた。
005
『
金明会
(
きんめいくわい
)
の
御
(
お
)
広間
(
ひろま
)
では、
006
先日
(
せんじつ
)
から
世
(
よ
)
に
落
(
お
)
ちて
御座
(
ござ
)
つた、
007
沢山
(
たくさん
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
や
竜神
(
りうじん
)
様
(
さま
)
が、
008
今度
(
こんど
)
勿体
(
もつたい
)
なくも
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
さまが、
009
此
(
この
)
世
(
よ
)
へおでましなさるに
就
(
つい
)
て、
010
今度
(
こんど
)
の
際
(
さい
)
に、
011
今迄
(
いままで
)
おちてゐた
神
(
かみ
)
を
此
(
この
)
世
(
よ
)
へ
上
(
あ
)
げて、
012
其
(
その
)
霊魂
(
みたま
)
を
救
(
すく
)
ふてやらねば、
013
モウ
此
(
この
)
先
(
さき
)
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
あがることが
出来
(
でき
)
ぬから、
014
今
(
いま
)
上田
(
うへだ
)
の
審神者
(
さには
)
が
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たら、
015
邪神界
(
じやしんかい
)
の
神
(
かみ
)
ぢやといふて
封
(
ふう
)
じ
込
(
こ
)
めたり、
016
追
(
お
)
つ
払
(
ぱら
)
つたり、
017
霊縛
(
れいばく
)
をかけたり、
018
いろいろと
神界
(
しんかい
)
の
邪魔
(
じやま
)
許
(
ばか
)
り
致
(
いた
)
すに
依
(
よ
)
つて、
019
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら、
020
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
上田
(
うへだ
)
を
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
らぬ
様
(
やう
)
にしてやると
仰有
(
おつしや
)
つた。
021
教祖
(
けうそ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
の
通
(
とほ
)
り、
022
俄
(
にはか
)
に
大雨
(
おほあめ
)
が
降
(
ふ
)
つて
来
(
き
)
て、
023
和知川
(
わちがは
)
は
一升
(
いつしよう
)
二合
(
にがふ
)
の
水
(
みづ
)
が
出
(
で
)
て、
024
綾部
(
あやべ
)
の
大橋
(
おほはし
)
が
流
(
なが
)
れて
了
(
しま
)
ひました
故
(
ゆゑ
)
、
025
上田
(
うへだ
)
サンが
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
れぬやうになつたのも、
026
これも
全
(
まつた
)
く
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
の
広大
(
くわうだい
)
無辺
(
むへん
)
の
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
だと
思
(
おも
)
ひます。
027
神
(
かみ
)
さまは
大変
(
たいへん
)
に
先生
(
せんせい
)
を
嫌
(
きら
)
うて
居
(
を
)
られますから、
028
今度
(
こんど
)
綾部
(
あやべ
)
へお
帰
(
かへ
)
りになつても、
029
今
(
いま
)
までみたやうに
我
(
が
)
を
出
(
だ
)
さぬ
様
(
やう
)
にして、
030
何事
(
なにごと
)
に
依
(
よ
)
らず、
031
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
と
神懸
(
かむがか
)
りサンの
言
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
うて
下
(
くだ
)
さらぬと、
032
いつもゴテゴテ
致
(
いた
)
しまして、
033
先生
(
せんせい
)
には
綾部
(
あやべ
)
に
居
(
を
)
つて
貰
(
もら
)
ふことが
出来
(
でき
)
ぬやうになりますから、
034
私
(
わたくし
)
たちは
先生
(
せんせい
)
を
大事
(
だいじ
)
に
思
(
おも
)
ふ
余
(
あま
)
り、
035
ソツと
御
(
ご
)
意見
(
いけん
)
に
来
(
き
)
たのであります。
036
兎角
(
とかく
)
出
(
で
)
る
杭
(
くひ
)
は
打
(
う
)
たれると
云
(
い
)
ひますから、
037
何神
(
なにがみ
)
さまにでも
敵対
(
てきたい
)
なさらぬが
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
ぢや、
038
先生
(
せんせい
)
の
御
(
お
)
身
(
み
)
の
得
(
とく
)
ぢや』
039
と
忠告
(
ちうこく
)
をする。
040
喜楽
(
きらく
)
は
相当
(
さうたう
)
教育
(
けういく
)
あり、
041
村
(
むら
)
でも
町村会
(
ちやうそんくわい
)
議員
(
ぎゐん
)
まで
勤
(
つと
)
めてゐる
様
(
やう
)
な
人
(
ひと
)
が、
042
こんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふと
思
(
おも
)
へば
余
(
あま
)
りのことで
呆
(
あき
)
れて
答
(
こた
)
へる
言
(
ことば
)
も
知
(
し
)
らなんだ。
043
二人
(
ふたり
)
はいろいろと
喜楽
(
きらく
)
に
意見
(
いけん
)
をした
後
(
のち
)
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
044
それと
行違
(
ゆきちがひ
)
に、
045
喜楽
(
きらく
)
が
上谷
(
うへだに
)
まで
帰
(
かへ
)
つたと
聞
(
き
)
いて、
046
出口
(
でぐち
)
澄子
(
すみこ
)
が
密
(
ひそ
)
かに
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
て、
047
澄子
(
すみこ
)
『
先生
(
せんせい
)
、
048
あなたの
御
(
ご
)
不在中
(
ふざいちう
)
に、
049
四方
(
しかた
)
春三
(
はるざう
)
サンやら
村上
(
むらかみ
)
サン、
050
黒田
(
くろだ
)
サン、
051
塩見
(
しほみ
)
サン
等
(
ら
)
が
御
(
お
)
広間
(
ひろま
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
052
無茶
(
むちや
)
苦茶
(
くちや
)
な
神懸
(
かむがかり
)
をしたり、
053
他愛
(
たあい
)
もないこというたり、
054
飛
(
と
)
んだり、
055
跳
(
はね
)
たり、
056
しまひには
裸
(
はだか
)
になつた
儘
(
まま
)
屋外
(
をくぐわい
)
を
走
(
はし
)
つたり、
057
上田
(
うへだ
)
は
神界
(
しんかい
)
の
大敵役
(
だいかたきやく
)
だから、
058
今度
(
こんど
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
ても
金明会
(
きんめいくわい
)
へ
入
(
い
)
れることはならぬ、
059
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
がよつてたかつて
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
へ、
060
三人世
(
さんにんよ
)
の
元
(
もと
)
、
061
これ
丈
(
だけ
)
居
(
を
)
つたら
結構
(
けつこう
)
々々
(
けつこう
)
、
062
上田
(
うへだ
)
は
悪神
(
あくがみ
)
の
守護神
(
しゆごじん
)
ぢや、
063
鬼
(
おに
)
の
霊
(
れい
)
だから、
064
鬼退治
(
おにたいぢ
)
をすると
云
(
い
)
つて、
065
春三
(
はるざう
)
サンが
先生
(
せんせい
)
の
顔
(
かほ
)
に
角
(
つの
)
の
生
(
は
)
えた
絵
(
ゑ
)
を
書
(
か
)
いて、
066
釘
(
くぎ
)
を
打
(
う
)
つたり
叩
(
たた
)
いたり、
067
唾
(
つば
)
を
吐
(
は
)
きかけたりして、
068
大変
(
たいへん
)
に
煙
(
けむ
)
たがつて、
069
悪
(
わる
)
い
口
(
くち
)
許
(
ばか
)
り
言
(
い
)
ひますので、
070
皆
(
みな
)
の
信者
(
しんじや
)
がそれを
真
(
ま
)
に
受
(
う
)
け、
071
そんな
先生
(
せんせい
)
なら
帰
(
い
)
んで
貰
(
もら
)
へと、
072
口々
(
くちぐち
)
に
言
(
い
)
ふので
仕方
(
しかた
)
がないので、
073
教祖
(
けうそ
)
さまにチツと
云
(
い
)
うて
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
はうと
思
(
おも
)
うて
申
(
まを
)
し
上
(
あ
)
げますと、
074
教祖
(
けうそ
)
ハンは
平気
(
へいき
)
な
顔
(
かほ
)
で、
075
何事
(
なにごと
)
も
神界
(
しんかい
)
へ
任
(
まか
)
すがよいと
云
(
い
)
うて
黙
(
だま
)
つて
居
(
を
)
られますなり、
076
一体
(
いつたい
)
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やら
訳
(
わけ
)
が
分
(
わか
)
りませぬ
故
(
ゆゑ
)
、
077
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
う
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
うて、
078
皆
(
みな
)
の
人
(
ひと
)
等
(
ら
)
の
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
ましたいと
思
(
おも
)
ひ、
079
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
に
隠
(
かく
)
れて、
080
知
(
し
)
らせに
一人
(
ひとり
)
で
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
ました』
081
と
気色
(
けしき
)
ばんで
報告
(
はうこく
)
するのであつた。
082
そこで
喜楽
(
きらく
)
は、
083
後
(
あと
)
の
修業者
(
しうげふしや
)
を
四方
(
しかた
)
藤太郎
(
とうたらう
)
氏
(
し
)
に
任
(
まか
)
しておき、
084
一先
(
ひとま
)
づ
綾部
(
あやべ
)
へ
立帰
(
たちかへ
)
らうとしてゐる
所
(
ところ
)
へ、
085
又々
(
またまた
)
例
(
れい
)
の
祐助
(
いうすけ
)
爺
(
ぢい
)
サンが
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
て、
086
大地
(
だいち
)
へ
手
(
て
)
をついて
泣声
(
なきごゑ
)
を
出
(
だ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
087
祐助
(
いうすけ
)
『
一寸
(
ちよつと
)
先生
(
せんせい
)
に
申上
(
まをしあ
)
げます。
088
昨日
(
きのふ
)
の
夕方
(
ゆふがた
)
からお
昼
(
ひる
)
までが
余
(
あま
)
り
騒
(
さわ
)
がしいので、
089
町中
(
まちぢう
)
の
人
(
ひと
)
が
芝居
(
しばゐ
)
でも
見
(
み
)
るやうに
面白
(
おもしろ
)
がつて
集
(
あつ
)
まり
来
(
きた
)
り、
090
門口
(
かどぐち
)
も
道
(
みち
)
も
山
(
やま
)
の
如
(
よ
)
うに、
091
大勢
(
おほぜい
)
が
冷笑
(
ひやかし
)
に
来
(
き
)
ますので、
092
大変
(
たいへん
)
に
困
(
こま
)
りましたけれ
共
(
ども
)
、
093
何
(
なん
)
にも
知
(
し
)
らぬ
盲人間
(
めくらにんげん
)
だと
思
(
おも
)
うて、
094
相手
(
あひて
)
にせずに
役員
(
やくゐん
)
も
信者
(
しんじや
)
も、
095
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
幽斎
(
いうさい
)
を
修行
(
しうぎやう
)
して
居
(
ゐ
)
ました
所
(
ところ
)
、
096
夕方
(
ゆふがた
)
に
西八田
(
にしやた
)
の
小万
(
こまん
)
といふ
俥
(
くるま
)
ひきが、
097
横
(
よこ
)
の
細路
(
ほそみち
)
を
空車
(
からぐるま
)
をひき
乍
(
なが
)
ら……
金神
(
こんじん
)
々々
(
こんじん
)
阿呆
(
あはう
)
金神
(
こんじん
)
、
098
気違
(
きちがひ
)
金神
(
こんじん
)
、
099
夢金神
(
ゆめこんじん
)
、
100
乞食
(
こじき
)
金神
(
こんじん
)
、
101
根
(
ね
)
つからましな
人間
(
にんげん
)
が
来
(
こ
)
ん
神
(
じん
)
ぢや……と
大
(
おほ
)
きい
声
(
こゑ
)
でいろいろ
悪
(
わる
)
いことを
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て、
102
沢山
(
たくさん
)
の
見物人
(
けんぶつにん
)
を
笑
(
わら
)
はして
通
(
とほ
)
りつつ、
103
俥
(
くるま
)
を
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
へ
転覆
(
てんぷく
)
さしました
所
(
ところ
)
が、
104
丁度
(
ちやうど
)
そこを
通
(
とほ
)
りかかつた
人
(
ひと
)
が、
105
それを
見
(
み
)
て……お
前
(
まへ
)
は
余
(
あま
)
り
金神
(
こんじん
)
さまの
悪口
(
わるくち
)
を
言
(
い
)
うたので、
106
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
つたのぢやと
言
(
い
)
ひましたら、
107
人力曳
(
くるまひき
)
の
小万
(
こまん
)
が
怒
(
おこ
)
つて、
108
其
(
その
)
人
(
ひと
)
を
殴
(
なぐ
)
りかけましたので、
109
ビツクリして
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
へ
一目散
(
いちもくさん
)
に
逃出
(
にげだ
)
しました。
110
サアさうすると
小万
(
こまん
)
が……
金神
(
こんじん
)
の
信者
(
しんじや
)
たるものが、
111
人
(
ひと
)
が
泥
(
どろ
)
まぶれになつて
困
(
こま
)
つて
居
(
ゐ
)
るに
罰
(
ばち
)
とは
何
(
なん
)
ぢや、
112
そんなことを
吐
(
ぬか
)
した
奴
(
やつ
)
を、
113
今
(
いま
)
ここへ
引
(
ひき
)
ずり
出
(
だ
)
せ……と
呶鳴
(
どな
)
つて
広間
(
ひろま
)
へあばれ
込
(
こ
)
み、
114
西原
(
にしばら
)
の
善太郎
(
ぜんたらう
)
サンが
参
(
まゐ
)
つて
居
(
を
)
りましたら、
115
白
(
しろ
)
い
浴衣
(
ゆかた
)
を
着
(
き
)
てゐた
餓鬼
(
がき
)
ぢや、
116
此奴
(
こいつ
)
に
違
(
ちが
)
ひないと
云
(
い
)
つて、
117
土足
(
どそく
)
のままで
御
(
ご
)
神前
(
しんぜん
)
へあがり、
118
あばれ
狂
(
くる
)
ひ、
119
神
(
かみ
)
さまの
御
(
お
)
道具
(
だうぐ
)
を
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
からメチヤメチヤに
叩
(
たた
)
き
壊
(
こわ
)
して
了
(
しま
)
ひ、
120
沢山
(
たくさん
)
の
町
(
まち
)
の
人
(
ひと
)
が
面白
(
おもしろ
)
がつて、
121
……ヤレ
金神
(
こんじん
)
征伐
(
せいばつ
)
ぢや、
122
ヤレヤレ……とケシをかけたり
嘲笑
(
あざわら
)
つたりして、
123
一人
(
ひとり
)
も
仲裁
(
ちうさい
)
する
者
(
もの
)
はなし、
124
散々
(
さんざん
)
に
神
(
かみ
)
さまの
悪口
(
あくこう
)
を
言
(
い
)
うた
揚句
(
あげく
)
ヤツとのことで
其
(
その
)
晩
(
ばん
)
の
十二
(
じふに
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
に
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
きました。
125
皆
(
みな
)
の
信者
(
しんじや
)
はチクチクと
怖
(
こは
)
がつてゐますなり、
126
警察
(
けいさつ
)
は
側
(
そば
)
にあつても、
127
常
(
つね
)
から
足立
(
あだち
)
サンの
行状
(
ぎやうじやう
)
が
悪
(
わる
)
いとか
云
(
い
)
つて、
128
保護
(
ほご
)
もして
下
(
くだ
)
さらぬなり、
129
此
(
この
)
爺
(
ぢ
)
イも
誠
(
まこと
)
に
残念
(
ざんねん
)
で
残念
(
ざんねん
)
で
堪
(
たま
)
りませぬ』
130
とソロソロ
声
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つて
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
した。
131
凩
(
こがらし
)
や
犬
(
いぬ
)
の
吠
(
ほ
)
えつく
壁
(
かべ
)
の
蓑
(
みの
)
132
涙
(
なみだ
)
をふいて
又
(
また
)
祐助
(
いうすけ
)
爺
(
ぢい
)
サンがソロソロと
悔
(
くや
)
み
出
(
だ
)
した。
133
祐助
(
いうすけ
)
『モシ
先生
(
せんせい
)
さま、
134
よう
聞
(
き
)
いて
下
(
くだ
)
さいませ。
135
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
さまが、
136
日清
(
につしん
)
戦争
(
せんそう
)
で
台湾
(
たいわん
)
で
亡
(
な
)
くなられた
清吉
(
せいきち
)
サンの
恩給
(
おんきふ
)
とか
年金
(
ねんきん
)
とかを、
137
これは
生命
(
いのち
)
と
釣換
(
つりかへ
)
の
金
(
かね
)
ぢやからと
云
(
い
)
うて、
138
一文
(
いちもん
)
も
使
(
つか
)
はずに
貯
(
ため
)
ておかれたお
金
(
かね
)
を、
139
銀行
(
ぎんかう
)
からひつぱり
出
(
だ
)
して、
140
勿体
(
もつたい
)
ない
白米
(
はくまい
)
を
二石
(
にこく
)
も
買
(
か
)
うて
下
(
くだ
)
さりましたが、
141
毎日
(
まいにち
)
日日
(
ひにち
)
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て
食
(
く
)
ふので、
142
最早
(
もはや
)
一升
(
いつしよう
)
もないやうになりましたから、
143
又
(
また
)
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
銀行
(
ぎんかう
)
から
金
(
かね
)
を
出
(
だ
)
して
来
(
き
)
て、
144
白米
(
はくまい
)
や
油
(
あぶら
)
を
買
(
か
)
うて
下
(
くだ
)
さいましたが、
145
種油
(
たねあぶら
)
丈
(
だけ
)
でも
五六升
(
ごろくしよう
)
も
一
(
いち
)
日
(
にち
)
に
此
(
この
)
頃
(
ごろ
)
は
要
(
い
)
ります。
146
それでもまだ
邪神界
(
じやしんかい
)
が
暗
(
くら
)
いから、
147
マツと
灯明
(
とうみやう
)
をつけてくれと、
148
お
三
(
さん
)
人
(
にん
)
サンの
神懸
(
かむがかり
)
の
口
(
くち
)
をかつて
仰有
(
おつしや
)
るので、
149
百目
(
ひやくめ
)
蝋燭
(
らふそく
)
を
二三十
(
にさんじつ
)
本
(
ぽん
)
づつ
立
(
た
)
てますので、
150
大変
(
たいへん
)
な
物要
(
ものい
)
りで
御座
(
ござ
)
いますが、
151
金
(
かね
)
の
一銭
(
いつせん
)
も
上
(
あ
)
げやうとせず、
152
どれもこれも
皆
(
みな
)
よいことにして、
153
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
さまの
手足
(
てあし
)
許
(
ばか
)
りかぢつて、
154
心配
(
こころくば
)
り
気配
(
きくば
)
りする
誠
(
まこと
)
の
信者
(
しんじや
)
は
一人
(
ひとり
)
もなし、
155
誠
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
千万
(
せんばん
)
で、
156
此
(
この
)
爺
(
ぢ
)
イも
神
(
かみ
)
さまに
申
(
まを
)
し
訳
(
わけ
)
がない、
157
四方
(
しかた
)
平蔵
(
へいざう
)
サンは
天眼通
(
てんがんつう
)
とかが
上手
(
じやうづ
)
だというて、
158
お
三
(
さん
)
人
(
にん
)
サンと
一
(
ひと
)
つになつて、
159
望遠鏡
(
ばうゑんきやう
)
でも
覗
(
のぞ
)
くやうに
妙
(
めう
)
な
格好
(
かくかう
)
して、
160
……
平蔵
(
へいざう
)
どのあれを
見
(
み
)
やいのう……と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
サンが
仰有
(
おつしや
)
ると、
161
平蔵
(
へいざう
)
サンが
目
(
め
)
をふさいでハイハイ
拝
(
をが
)
めました
拝
(
をが
)
めました、
162
大
(
おほ
)
きな
竜神
(
りうじん
)
さまが
現
(
あら
)
はれましたとか
云
(
い
)
つて、
163
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
になつて
御座
(
ござ
)
るもんだから、
164
会計
(
くわいけい
)
のことは
一寸
(
ちよつと
)
も
構
(
かま
)
うて
下
(
くだ
)
さらず、
165
中村
(
なかむら
)
の
竹
(
たけ
)
サンは、
166
お
筆先
(
ふでさき
)
を
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで、
167
晩
(
ばん
)
から
夜中
(
よなか
)
まで、
168
阿呆
(
あはう
)
のやうになつて、
169
節
(
ふし
)
を
附
(
つ
)
けては、
170
浮
(
う
)
かれ
節
(
ぶし
)
の
様
(
やう
)
に、
171
読
(
よ
)
んで
読
(
よ
)
んでよみ
倒
(
たふ
)
して、
172
アハヽヽヽ、
173
オホヽヽヽと
笑
(
わら
)
うて
許
(
ばか
)
り、
174
何
(
なん
)
にも
役
(
やく
)
には
立
(
た
)
たず、
175
出口
(
でぐち
)
の
神
(
かみ
)
さまはお
筆先
(
ふでさき
)
の
御用
(
ごよう
)
計
(
ばか
)
りして、
176
こんな
大騒
(
おほさわ
)
ぎをして
居
(
を
)
るのに、
177
そしらぬ
顔
(
かほ
)
をして
居
(
を
)
られますなり、
178
私
(
わたし
)
もコラ
何
(
ど
)
うなることかと、
179
余
(
あま
)
り
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
しますので、
180
元
(
もと
)
から
沢山
(
たくさん
)
ない
禿頭
(
はげあたま
)
が
一入
(
ひとしほ
)
禿
(
はげ
)
て、
181
其
(
その
)
上
(
うへ
)
竈
(
かまど
)
の
煙
(
けむり
)
で
黒光
(
くろびかり
)
になつて
了
(
しま
)
ひまして、
182
皆
(
みな
)
の
役員
(
やくゐん
)
サンが……
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
の
黒
(
くろ
)
うの
祐助
(
いうすけ
)
とひやかします、
183
アタ
阿呆
(
あはう
)
らしい、
184
神
(
かみ
)
さまの
事
(
こと
)
でなかつたら、
185
隠居
(
いんきよ
)
の
身分
(
みぶん
)
で
安楽
(
あんらく
)
に
暮
(
くら
)
せるものを、
186
誰
(
たれ
)
がこんなことを
致
(
いた
)
しませうか』
187
と
涙交
(
なみだまじ
)
りの
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
を
黒
(
くろ
)
い
手
(
て
)
で
撫
(
な
)
で
廻
(
まは
)
し、
188
歯糞
(
はくそ
)
の
溜
(
たま
)
つた
口
(
くち
)
から
一口
(
ひとくち
)
々々
(
ひとくち
)
唾
(
つば
)
を
飛
(
と
)
ばして、
189
喜楽
(
きらく
)
の
顔
(
かほ
)
へ
吹
(
ふ
)
きかけ
乍
(
なが
)
ら、
190
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
ててゐる。
191
そこで
喜楽
(
きらく
)
は
側
(
そば
)
にあつた
半紙
(
はんし
)
に
筆
(
ふで
)
を
走
(
はし
)
らせ、
192
禿頭
(
はげあたま
)
鳥居
(
とりゐ
)
もかみもなきままに
193
クロウクロウと
愚痴
(
ぐち
)
を
祐助
(
いうすけ
)
194
と
書
(
か
)
いて
与
(
あた
)
へたら、
195
祐助
(
いうすけ
)
『アハヽヽヽ
此奴
(
こいつ
)
ア
有難
(
ありがた
)
い』
196
と
喜
(
よろこ
)
んで
押頂
(
おしいただ
)
き、
197
懐
(
ふところ
)
に
捻込
(
ねぢこ
)
んで
一目散
(
いちもくさん
)
に
又
(
また
)
もや
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
行
(
ゆ
)
く。
198
それから
三日目
(
みつかめ
)
に
又
(
また
)
此
(
この
)
爺
(
ぢ
)
イさんがスタスタとやつて
来
(
き
)
て、
199
何
(
なに
)
か
大切
(
たいせつ
)
相
(
さう
)
に
風呂敷
(
ふろしき
)
包
(
づつみ
)
から
手紙
(
てがみ
)
の
様
(
やう
)
な
物
(
もの
)
を
出
(
だ
)
し、
200
祐助
(
いうすけ
)
『
先生
(
せんせい
)
、
201
これは
畏
(
おそれおほ
)
くも、
202
牛人
(
うしうど
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
から、
203
上田
(
うへだ
)
先生
(
せんせい
)
に
対
(
たい
)
しお
気付
(
きづ
)
けのお
筆先
(
ふでさき
)
で
御座
(
ござ
)
いますから、
204
叮重
(
ていちやう
)
にして
御覧
(
ごらん
)
下
(
くだ
)
さいませ』
205
と
差
(
さ
)
し
出
(
だ
)
す。
206
喜楽
(
きらく
)
は
直
(
ただち
)
に
披
(
ひら
)
いて
見
(
み
)
ると、
207
不規律
(
ふきりつ
)
な
乱雑
(
らんざつ
)
な
書方
(
かきかた
)
で、
208
『
牛人
(
うしうど
)
の
金神
(
こんじん
)
が
上田
(
うへだ
)
に
一寸
(
ちよつと
)
気
(
き
)
をつけるぞよ。
209
神
(
かみ
)
の
都合
(
つがふ
)
があるから、
210
修業者
(
しうげふしや
)
一統
(
いつとう
)
引
(
ひき
)
つれて
帰
(
かへ
)
るべし、
211
此
(
この
)
神
(
かみ
)
の
命令
(
めいれい
)
を
叛
(
そむ
)
いたら
怖
(
こは
)
いぞよ
云々
(
うんぬん
)
……』
212
と
記
(
しる
)
してある。
213
喜楽
(
きらく
)
は
祐助
(
いうすけ
)
爺
(
ぢ
)
イサンの
迷
(
まよ
)
ひを
醒
(
さ
)
ます
為
(
ため
)
に、
214
其
(
その
)
手紙
(
てがみ
)
を
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
でバリバリと
引
(
ひき
)
さいて
見
(
み
)
せた。
215
爺
(
ぢい
)
サン
吃驚
(
びつくり
)
して、
216
祐助
(
いうすけ
)
『アヽ
先生
(
せんせい
)
勿体
(
もつたい
)
ない、
217
そんな
事
(
こと
)
をなさると
神罰
(
しんばつ
)
が
忽
(
たちま
)
ち
当
(
あた
)
りますぞ』
218
と
躍気
(
やくき
)
となる。
219
喜楽
(
きらく
)
は
祐助
(
いうすけ
)
サンに
向
(
むか
)
つて、
220
喜楽
(
きらく
)
『ナアに
心配
(
しんぱい
)
が
要
(
い
)
るものか、
221
お
前
(
まへ
)
が
牛人
(
うしうど
)
の
金神
(
こんじん
)
に
貰
(
もら
)
うたとかいふ
其
(
その
)
扇子
(
せんす
)
を
一
(
ひと
)
つ
引裂
(
ひきさ
)
いてみるがよい。
222
決
(
けつ
)
して
罰
(
ばち
)
など
当
(
あた
)
るものでない』
223
と
励
(
はげ
)
ましてみると、
224
どつちやへでも
人
(
ひと
)
の
言
(
い
)
ふことにつく、
225
阿呆
(
あはう
)
正直者
(
しやうぢきもの
)
の
祐助
(
いうすけ
)
サンは、
226
其
(
その
)
場
(
ば
)
でベリベリと
破
(
やぶ
)
つて
了
(
しま
)
ひ、
227
別
(
べつ
)
に
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
歪
(
ゆが
)
み
相
(
さう
)
にないので、
228
祐助
(
いうすけ
)
さんはソロソロ
地団駄
(
ぢだんだ
)
を
踏
(
ふ
)
み
出
(
だ
)
し、
229
祐助
(
いうすけ
)
『
此
(
この
)
頭
(
あたま
)
の
禿
(
は
)
げた
爺
(
ぢ
)
イが、
230
まだ
十八
(
じふはち
)
やそこらの
村上
(
むらかみ
)
に
騙
(
だま
)
されたか、
231
エヽ
残念
(
ざんねん
)
至極
(
しごく
)
口惜
(
くちを
)
しやなア』
232
と
其
(
その
)
扇子
(
せんす
)
を
大地
(
だいち
)
に
投
(
な
)
げつけ、
233
踏
(
ふ
)
むやら
蹴
(
け
)
るやら、
234
其
(
その
)
様子
(
やうす
)
の
可笑
(
おか
)
しさ、
235
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さ、
236
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
ひやうがなかつた。
237
それから
祐助
(
いうすけ
)
サンと
同行
(
どうかう
)
して、
238
金明会
(
きんめいくわい
)
の
広間
(
ひろま
)
へ
帰
(
かへ
)
つてみると、
239
御
(
お
)
広前
(
ひろまへ
)
には
信者
(
しんじや
)
が
溢
(
あふ
)
れて
居
(
を
)
り、
240
屋外
(
をくぐわい
)
には
見物人
(
けんぶつにん
)
が
山
(
やま
)
をなして、
241
邪神
(
じやしん
)
の
面白
(
おもしろ
)
い
神懸
(
かむがか
)
り
[
※
初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神憑り」。
]
をひやかして
居
(
を
)
る。
242
喜楽
(
きらく
)
はすぐに
内
(
うち
)
へ
這入
(
はい
)
ると、
243
村上
(
むらかみ
)
房之助
(
ふさのすけ
)
に
何者
(
なにもの
)
かが
憑依
(
ひようい
)
して、
244
沢山
(
たくさん
)
の
信者
(
しんじや
)
をたぶらかし、
245
あつちやへ
行
(
ゆ
)
け、
246
こつちやへ
行
(
ゆ
)
けと
嬲
(
なぶ
)
り
者
(
もの
)
にし
乍
(
なが
)
ら
荒
(
あ
)
れまはつてゐる。
247
何
(
なん
)
にも
訳
(
わけ
)
を
知
(
し
)
らぬ
信者
(
しんじや
)
が、
248
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
だと
思
(
おも
)
うて
怖
(
こは
)
がり、
249
ヘイヘイハイハイと
言
(
い
)
ふが
儘
(
まま
)
になつてゐた。
250
村上
(
むらかみ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
るなり、
251
村上
(
むらかみ
)
『オヽ
上田
(
うへだ
)
か、
252
よく
帰
(
かへ
)
つた。
253
此
(
この
)
方
(
はう
)
は
小松林
(
こまつばやしの
)
命
(
みこと
)
だ。
254
その
方
(
はう
)
は
牛人
(
うしうど
)
の
金神
(
こんじん
)
の
命令
(
めいれい
)
をよく
聞
(
き
)
いた、
255
偉
(
えら
)
い
奴
(
やつ
)
だ、
256
其
(
その
)
褒美
(
ほうび
)
として
之
(
これ
)
を
其
(
その
)
方
(
はう
)
に
使
(
つか
)
はす
間
(
あひだ
)
、
257
大切
(
たいせつ
)
に
保存
(
ほぞん
)
するがよからうぞよ』
258
と
大
(
おほ
)
きな
骨
(
ほね
)
の
扇
(
あふぎ
)
に、
259
何
(
なに
)
かクシヤクシヤと
書
(
か
)
いて
勿体
(
もつたい
)
振
(
ぶ
)
つて
差出
(
さしだ
)
すのを、
260
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
261
数多
(
あまた
)
の
役員
(
やくゐん
)
信者
(
しんじや
)
の
目
(
め
)
をさますにはよい
機会
(
きくわい
)
だと
思
(
おも
)
つて、
262
其
(
その
)
大扇
(
おほあふぎ
)
で
村上
(
むらかみ
)
の
頭
(
あたま
)
を
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ
叩
(
たた
)
いてみせた。
263
信者
(
しんじや
)
は
各自
(
めいめい
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
264
喜楽
(
きらく
)
の
顔
(
かほ
)
許
(
ばか
)
りながめて
居
(
ゐ
)
る。
265
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
の
方
(
はう
)
から
例
(
れい
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
程
(
ほど
)
の
声
(
こゑ
)
として、
266
『
上田
(
うへだ
)
殿
(
どの
)
が
今
(
いま
)
帰
(
かへ
)
りよつた。
267
大神
(
おほかみ
)
さま
早
(
はや
)
く
神罰
(
しんばつ
)
を
当
(
あ
)
てて
下
(
くだ
)
さいよ』
268
と
細
(
ほそ
)
い
声
(
こゑ
)
で、
269
叫
(
さけ
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
270
心
(
こころ
)
なき
世人
(
よびと
)
の
誹
(
そしり
)
何
(
なに
)
かせむ
271
神
(
かみ
)
に
任
(
ま
)
かせし
吾
(
わが
)
身
(
み
)
なりせば
272
(
大正一一・一〇・一四
旧八・二四
松村真澄
録)
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